JP3014389B2 - 量子波干渉層を有した受光素子 - Google Patents

量子波干渉層を有した受光素子

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JP3014389B2 JP11118953A JP11895399A JP3014389B2 JP 3014389 B2 JP3014389 B2 JP 3014389B2 JP 11118953 A JP11118953 A JP 11118953A JP 11895399 A JP11895399 A JP 11895399A JP 3014389 B2 JP3014389 B2 JP 3014389B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は新規構造の光電気変
換素子、即ち、受光素子に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、pin接合を有した受光素子が知
られている。この構造の受光素子では、pinに逆方向
電圧が印加されており、通常、p層側から入力した光が
i層で吸収されて、電子正孔対が生成される。このi層
で励起された電子正孔対がi層中の逆方向電圧で加速さ
れて、電子はn層へ、正孔はp層へと移動する。これに
より、光強度に応じた強さの光電流を出力させることが
できる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】この構造の受光素子に
おいて、光/電気の変換効率を向上させるためには、光
が吸収されるi層を厚くすれば良い。しかし、このi層
を厚くすればする程、キャリアをn層、p層へ引き出す
ための時間が長くなり、光/電気変換の応答速度が低下
する。この応答速度を向上させるためには、逆方向電圧
を大きくして、i層における電界を大きくすれば良い。
しかし、逆方向電圧を大きくすると、素子分離が困難と
なり、漏れ電流を生じる原因となる。この結果、光が入
力していない時に流れる電流、即ち、暗電流が大きくな
るという問題がある。
【0004】よって、従来の受光素子では、受光感度、
検出速度、雑音電流との間に相互関連があり、受光素子
の性能に制限があった。
【0005】従って、本発明の目的は、受光素子におい
て、全く新規な構造を有したpin接合により、受光感
度、応答速度を改善することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、第1
層と第1層よりもバンド幅の広い第2層とを多重周期で
積層した量子波干渉層を有し、入力光を電気に変換する
受光素子において、第1層と第層の各層の厚さを、
層を伝導するキャリアの、各層における量子波の波長の
4分の1の奇数倍に設定した量子波干渉層を、第2層よ
りもバンド幅の狭いキャリア閉込層を介在させて複数配
設したことを特徴とする。
【0007】請求項2の発明は、量子波の波長を決定す
るためのキャリアの運動エネルギをキャリアが電子であ
る場合には第2層の伝導帯の底付近、キャリアが正孔で
ある場合には第2層の価電子帯の底付近に設定したこと
を特徴とする。
【0008】請求項3の発明は、第1層の厚さDW と第
2層の厚さDB を次のように設定したことを特徴とす
る。
【数1】 DW =nW λW /4=nW h/ 4 [2mw (E+V) ]1/2 …(1)
【数2】 DB =nB λB /4=nB h/ 4 (2mB E)1/2 …(2) 但し、hはプランク定数、mw は第1層を伝導するキャ
リアの有効質量、mBは第2層におけるキャリアの有効
質量、Eは第2層を伝導する、第2層の最低エネルギレ
ベル付近におけるキャリアの運動エネルギ、Vは第1層
に対する第2層のバンド電位差、nW 、nB は奇数であ
る。
【0009】請求項4の発明は、量子波干渉層を、第2
層を伝導するキャリアの運動エネルギを複数の異なる値
k 、第1層におけるその各運動エネルギをEk +Vと
し、第2層、第1層の各エネルギに対応した各量子波長
をλBk,λWkとする時、第2層、第1層をnBkλBk
4、nWkλWk/4の厚さで、Tk 周期繰り返された部分
量子波干渉層Ik が値Ek の数だけ繰り返し形成された
層、但し、nWk、nBkは奇数、としたことを特徴とす
る。
【0010】請求項5の発明は、キャリア閉込層のバン
ド幅は、第1層のバンド幅に等しくしたことを特徴とす
る。請求項6の発明は、キャリア閉込層の厚さを、量子
波の波長λW としたことを特徴とする。請求項7の発明
は、第1層と第2層との境界に、第1層と第2層の厚さ
に比べて充分に薄く、エネルギバンドを急変させるδ層
を設けたことを特徴とする。請求項8の発明は、受光素
子は、pin接合構造を有し、量子波干渉層及びキャリ
ア閉込層は、i層に形成されていることを特徴とする。
請求項9の発明は、量子波干渉層及びキャリア閉込層
は、n層、又は、p層に形成されていることを特徴とす
る。請求項10の発明は、受光素子は、pn接合構造を
有することを特徴とする。
【0011】
【発明の作用及び効果】〔請求項1、2、3、8、9、
10の発明〕本発明にかかる量子波干渉層の原理を図
1、図2に基づいて説明する。図1は、p層とn層との
間に順方向に外部電圧が印加された状態を示している。
即ち、外部電圧によりi層のバンドは平坦となってい
る。図1では、i層に4つの量子波干渉層Q1 ,Q2
3 ,Q4 が形成されており、各量子波干渉層の間に
は、キャリア閉込層C1 ,C2 ,C3 が形成されてい
る。又、図2は、1つの量子波干渉層Q1 の伝導帯のバ
ンド構造を示している。
【0012】電子が外部電界により図上左から右方向に
伝導するとする。伝導に寄与する電子は、第2層の伝導
帯の底付近に存在する電子と考えられる。この電子の運
動エネルギをEとする。すると、第2層Bから第1層W
に伝導する電子は第2層から第1層へのバンド電位差V
により加速されて、第1層Wにおける運動エネルギはE
+Vとなる。又、第1層Wから第2層Bへ伝導する電子
は第1層から第2層へのバンド電位差Vにより減速され
て、第2層Bにおける電子の運動エネルギはEに戻る。
伝導電子の運動エネルギは、多重層構造のポテンシャル
エネルギによりこのような変調を受ける。
【0013】一方、第1層と第2層の厚さが電子の量子
波長と同程度となると、電子は波動として振る舞う。電
子の量子波の波長は電子の運動エネルギを用いて、
(1)、(2)式により求められる。さらに、波の反射
率Rは第2層B、第1層Wにおける量子波の波数ベクト
ルをKB ,KW とする時、次式で求められる。
【数3】 R=(|KW |−|KB |)/(|KW |+|KB |) =([mw ( E+V)]1/2-[ mB E]1/2)/([mw ( E+V)]1/2+[ mB E]1/2) =[1- ( mB E/ mw ( E+V))1/2]/[1+ (mB E/ mw ( E+V))1/2] …(3) 又、mB =mw と仮定すれば、反射率は次式で表され
る。
【数4】 R=[1- ( E/ ( E+V))1/2]/[1+ (E/ ( E+V))1/2] …(4) E/ ( E+V) =xとおけば、(4)式は次式のように
変形できる。
【数5】 R=(1−x1/2 )/(1+x1/2 ) …(5) この反射率Rのxに対する特性は図3のようになる。
【0014】又、第2層Bと第1層WがそれぞれS層多
重化された場合の量子波の入射端面での反射率RS は次
式で与えられる。
【数6】 RS =〔(1−xS )/(1+xS )]2 …(6) x≦1/10の時R≧0.52となり、そのためのE,
Vの関係は
【数7】 E≦V/9 …(7) となる。第2層Bにおける伝導電子の運動エネルギEは
伝導帯の底付近であることから、(7)式の関係が満足
され、第2層Bと第1層Wとの境界での反射率Rは52
%以上となる。このようなバンド幅の異なる層で形成さ
れた多重層構造により、i層を伝導する電子の量子波を
効率良く反射させることができる。
【0015】又、xを用いて第2層Bの厚さの第1層W
の厚さに対する比DB /DW は次式で求められる。
【数8】 DB /DW =〔mw /(mB x)〕1/2 …(8)
【0016】この状態において、i層に光が入射する
と、キャリア閉込層C1 ,C2 ,C3の伝導帯に光励起
された電子が蓄積される。この光励起された電子は、印
加された順方向電圧によりp層側に流れようとするが、
その光励起電子は閉込られたキャリア閉込層に対してp
層側に存在する量子波干渉層による反射条件が満たされ
ているので、電子は移動しない。
【0017】ところが、このキャリア閉込層C1
2 ,C3 の電子が多くなると、より高レベルに電子が
存在するようになる。この高レベルに存在する電子の運
動エネルギが増加するため、上記の量子波干渉層による
反射条件を満たさなくなる。この結果、電子は量子波干
渉層Q2 ,Q3 ,Q4 を透過してp層に流れる。これが
光電流となる。
【0018】この受光素子には順方向電圧が印加される
ことから、低電圧駆動が可能となり、素子間の絶縁分離
が容易となる。又、光が入力されない状態では、電子は
量子波干渉層で効果的に反射されるために、電流は流れ
ず、暗電流を極めて小さくすることができる。又、電子
の移動は、量子波干渉層を波動として伝搬すると考えら
れるので、応答速度が高速となる。
【0019】尚、量子波干渉層の価電子帯においても、
エネルギレベルが周期的に変動するが、バンド電位差V
が伝導帯のバンド電位差と異なり、さらに、第1層、第
2層における正孔の有効質量が電子の有効質量と異なる
ため、電子に対して反射率を高くするように設定された
第1層と第2層の幅の設定値は正孔に対する高反射率が
得られる条件にはならない。よって、上記の構造の量子
波干渉層は電子だけを反射するように第1層と第2層の
厚さが設計されているので、電子だけを反射させ正孔は
透過する。
【0020】よって、正孔に対して反射層として機能す
る正孔反射の量子波干渉層を上記の電子を反射する各量
子波干渉層に従属接続して設けても良い。
【0021】上記のキャリアの反射機能を有する量子波
干渉層は、0Vから所定のバイアス電圧までキャリアを
反射させ、電流が流れない状態を形成できるので、光受
光素子をn層だけ、又は、p層だけで形成し、上記の量
子波干渉層とキャリア閉込層を、n層又はp層に形成し
ても良い。同様に、pn接合の受光素子を形成し、その
n層、p層に形成しても良い。
【0022】〔請求項4の発明〕 請求項4の発明は、図4に示すように、第1層と第1層
よりもバンド幅の広い第2層との多重周期から量子波干
渉層を次のように形成したことを特徴とする。第1層
W、第2層Bを、それぞれ、厚さDWk Bk 任意周期
k だけ繰り返して部分量子波干渉層Ik とする。但
し、
【数9】 DWk=nWkλWk/4=nWkh/ 4 [2mwk(Ek +V) ]1/2 …(9)
【数10】 DBk=nBkλBk/4=nBkh/ 4 (2mBkk )1/2 …(10) ここで、Ek は第2層を伝導するキャリアの運動エネル
ギの複数の異なる値、mwkは第1層における運動エネル
ギEk +Vを有するキャリアの有効質量、mBkは第2層
における運動エネルギEk を有するキャリアの有効質
量、nWk、nBkは任意の奇数である。このように形成さ
れた部分量子波干渉層Ik をI1,,j と、kの最大
値jだけ直列接続して量子波干渉層が形成される。この
運動エネルギEk の離散間隔を狭くすれば、連続したあ
るエネルギ範囲にあるキャリアを反射させることができ
る。
【0023】〔請求項5、6〕請求項5は、キャリア閉
込層のバンド幅を第1層のバンド幅に等しくしている。
又、請求項6はそのキャリア閉込層の厚さをその層の量
子波の波長λW としている。これにより、光励起された
キャリアの閉込を効果的に行うことができる。
【0024】〔請求項7〕請求項7は、図5に示すよう
に、第1層Wと第2層Bとの境界において、エネルギバ
ンドを急変させる厚さが第1層W、第2層Bに比べて十
分に薄いδ層を設けても良い。境界での反射率は(5)
式で得られるが、境界にδ層を設けることで、バンド電
位差Vを大きくすることができx値が小さくなる。x値
が小さいことから反射率Rが大きくなる。このδ層は、
図5(a)に示すように、各第1層Wの両側の境界に設
けられているが、片側の境界だけに設けても良い。又、
δ層は、図5(a)に示すように、境界に第2層Bのバ
ンドの底よりもさらに高い底のバンドが形成されるよう
に設けているが、図5(b)に示すように、境界に第1
層のバンドの底よりもさらに低い底を有するように形成
しても良い。さらに、図5(c)に示すように、境界に
第2層Bのバンドの底よりも高い底を有し、第1層Wの
バンドの底よりも低い底を有するバンドを形成するよう
に、δ層を形成しても良い。このようにすることで、第
1層Wと第2層Bとの境界での量子波の反射率を大きく
することができ、多重層に形成した場合に全体での量子
波の反射率を大きくすることができる。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明を具体的な実施例に
基づいて説明する。なお本発明は下記実施例に限定され
るものではない。 〔第1実施例〕図6は量子波干渉層をi層に形成した受
光素子の断面図である。GaAsから成る基板10の上に、
n-GaAsから成る厚さ0.3 μm 、電子濃度 2×1018/cm3
バッファ層12が形成され、その上にn-Ga0.51In0.49P
から成る厚さ0.13μm 、電子濃度 2×1018/cm3のn形コ
ンタクト層14が形成されている。n形コンタクト層1
4の上には、n-Al0.51In0.49P から成る厚さ0.2 μm 、
電子濃度 1×1018/cm3のn層16が形成されている。そ
のn層16の上に不純物無添加のi層18を形成した。
そのi層18の上にはAl0.51In0.49P から成る厚さ0.2
μm 、正孔濃度1×1018/cm3のp層20が形成されてい
る。さらに、そのp層20の上にp-Ga0.51In0.49P から
成る厚さ0.13μm 、正孔濃度 2×1018/cm3の第2p形コ
ンタクト層22とp-GaAsから成る厚さ0.06μm 、正孔濃
度 2×1018/cm3の第1p形コンタクト層24が形成され
ている。さらに、基板10の裏面には厚さ0.2 μm のAu
/Geから成る電極26が形成され、第1p形コンタクト
層24の上には厚さ0.2 μmのAu/Zn から成る電極28
が形成されている。
【0026】上記のi層18には、Ga0.51In0.49P から
成る厚さ5nm の第1層WとAl0.51In 0.49P から成る厚さ
7nm の第2層Bと第1層Wの両側に形成された厚さ1.3n
m の不純物無添加のAl0.33Ga0.33In0.33P から成るδ層
とを1組として10周期繰り返された量子波干渉層Q1
と、これと同一構造の量子波干渉層Q2,, 4 とを合
わせて、全体で4組設けられている。1つの量子波干渉
層Q1 の詳細なバンド構造は図5(a)に示すものであ
る。又、各量子波干渉層Qi,i+1 間には厚さ20nm、不
純物無添加のGa0.51In0.49P から成るキャリア閉込層C
1 〜C3 が形成されている。第2層Bと第1層Wの厚さ
の条件は、電極28と電極26間に順方向電圧を印加し
て、i層18に電位傾斜がない状態において上記した
(1)、(2)式で決定されている。
【0027】尚、n層16又はp層20に接合する第2
層Bは0.05μm である。このように最初の第2層Bを厚
くしたのは、n層16又はp層20からキャリアが第1
層Wにトンネル伝導することを防止するためである。
又、基板10は、2インチ径の大きさであり、基板の主
面は面方位(100) に対して15°方位[011] 方向にオフセ
ットしている。
【0028】この受光素子は、ガスソースMBE法によ
り製造された。ガスソースMBE法は、結晶のエレメン
ト材料全てを固体ソースから供給する従来形のMBE法
とは異なり、V族元素(As,P)等をガス状原料(AsH3,PH3)
の熱分解により供給し、III族エレメント(In,Ga,Al)は
固体ソースから供給する超高真空下の分子線結晶成長法
である。なお、有機金属ガス気相成長法(MOCVD)
を用いることもできる。
【0029】上記の構成の受光素子において、p層20
とn層16との間に順方向に電圧Vを増加させて行く
と、図1に示すように、i層18のバンドの傾斜が平坦
となる電位が存在する。この状態では、量子波干渉層Q
1 〜Q4 において電子に対して反射条件が設立するの
で、電子は流れない。
【0030】次に、キャリア閉込層C1 〜C3 のバンド
幅に共鳴したエネルギの光が入射すると、このキャリア
閉込層C1 〜C3 に電子が励起される。このキャリア閉
込層C1 〜C3 における電子濃度が高くなり、第2層B
の伝導帯の底付近以上の電子が多く存在するようになる
と、n層16の電子が隣のキャリア閉込層C1 に伝導
し、キャリア閉込層C1 の電子は隣のキャリア閉込層C
2 に伝導する。このようにして、電子は各キャリア閉込
層C1 を介在させて、各量子波干渉層中は電子の波とし
ての性質により高速に伝導すると考えられる。このよう
にして、光励起により電子は高速にn層16からp層2
0へと伝導すると考えられる。
【0031】尚、この光受光素子は、キャリア閉込層C
1 〜C3 に励起される電子がn層16からp層20への
電子の伝導に対してゲートスイッチの機能を有している
ので、光電気変換効率が高い。さらに、キャリア閉込層
1 〜C3 に電子が励起されていない場合には、量子波
干渉層Q1 〜Q4 は電子に対して反射条件が満たされて
いるが、キャリア閉込層C1 〜C3 に電子が励起された
場合にのみ、電子の反射条件が満たされなくなり、量子
波干渉層Q1 〜Q4 を電子は量子波として伝導すると考
えられるため、スイッチング速度も高速になると思われ
る。
【0032】この光受光素子のV−I特性を測定した。
図7に示す。光を照射した場合には、0.2Vの順方向
電圧により、電流は4桁程急峻に増加しているのが分か
る。それに対して、暗電流は量子波干渉層による電子の
反射作用により順方向電圧を印加しても小さい値に抑制
されている。尚、光電流の暗電流に対する比は1000
倍程度あることが理解される。尚、i層18の電位を平
坦にする順方向電圧は1Vと考えられるが、この1Vの
電圧で、光電流は5×10-6A以上となっているのが分
かる。
【0033】又、別の実施例として、図8に示すnip
in構造の受光素子を製造した。領域a1、a2、a3
は、上記実施例のnip構造の光受光素子と同一であ
り、i層a2に量子波干渉層とキャリア閉込層とが形成
されている。領域a4、a5はp領域a3に流入した光
電流を逆バイアス電圧により引き抜くためのものであ
る。この型の受光素子について、光を照射してV−I特
性を測定した。その結果を図9に示す。光電流の暗電流
に対する比は約1000倍以上が得られている。
【0034】次に、他の実施例として、図10に示す構
造のSiとGeとの化合物半導体系の受光素子を形成した。
この素子では、第1層Wは厚さ5nmのSi0.8Ge0.2で形成
し、第2層Bは厚さ7nmのSiで形成した。又、キャリア
閉込層C1 〜C3 は、厚さ20nmのSi0.8Ge0.2で形成し
た。但し、本実施例では、δ層を設けなかった。
【0035】このような構造の光受光素子を製造して、
受光特性を測定した。その結果を図11に示す。この場
合にも光電流の暗電流に対する比は約1000倍以上と
なっていることが分かる。又、順方向の電圧0.1〜
0.2V(p型基板のAl電極の電位に対するSiのA
uショットキー電極の電位に対する電位では、−0.1
〜−0.2V)位で光電流は急峻に立ち上がっているこ
とが分かる。この実施例において、更に、δ層を設ける
ことで、更に特性が向上するものと思われる。
【0036】このように、本発明の構造の光受光素子に
より、従来の光受光素子に比べて、S/N比の大きい光
受光素子を得ることができる。
【0037】δ層を形成することで、反射率を向上させ
ることができるが、δ層がなくとも多重反射による反射
率の増加の効果は見られるので、δ層はなくとも良い。
又、上記実施例では、Q1 〜Q4 の4つの量子波干渉層
をキャリア閉込層Cを介在させて直列に接続したが、量
子波干渉層の多重化される層の数は任意である。又、量
子波干渉層をGa0.51In0.49P とAl0.51In0.49P との多重
層で構成したが、4元系のAlxGa1-yIn1-x-yP(0≦x,y ≦
1 の任意の値) で組成比を異にして形成しても良い。さ
らに、量子波干渉層は、他のIII 族-V族化合物半導体、
II族-VI族化合物半導体、Si/Ge 、その他の異種半導体
の多重接合で構成することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の概念を説明するための説明図。
【図2】本発明の理論を説明するための説明図。
【図3】第2層におけるキャリアの運動エネルギの第1
層における運動エネルギに対する比xに対する反射率R
の関係を示した特性図。
【図4】本発明の概念を説明するための説明図。
【図5】本発明の概念を説明するための説明図。
【図6】本発明の実施例に係る受光素子の構造を示した
断面図。
【図7】同実施例素子における光の非照射時、照射時の
V−I特性の測定図。
【図8】本発明の他の実施例に係る受光素子の構造を示
した説明図。
【図9】その実施例素子における光の非照射時、照射時
のV−I特性の測定図。
【図10】他の実施例に係る受光素子の構造を示した断
面図。
【図11】その受光素子における光の非照射時、照射時
のV−I特性の測定図。
【符号の説明】
10…基板 12…バッファ層 14…n形コンタクト層 16…n層 18…i層 20…p層 22…第2p形コンタクト層 24…第1p形コンタクト層 26,28…電極 Q1 〜Q4 …量子波干渉層 B…第2層 W…第1層 C,C1 〜C3 …キャリア閉込層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 Japanese Journal of Applied Physic s,Vol.29,No.11,Novem ber,1990,pp.L1977−L1980 電子情報通信学会技術研究報告,Vo l.91,No.2(OQE91 1− 17),1991,pp.73−78 電子情報通信学会技術研究報告,Vo l.91,No.15(ED91 1−7), 1991,pp.15−21 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 31/10 H01L 29/861 H01L 29/864 - 29/87 H01L 29/88 - 29/96 H01L 29/06 H01L 31/02 H01L 31/04 H01L 31/10 H01L 33/00 H01S 5/30 JICSTファイル(JOIS)

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1層と第1層よりもバンド幅の広い第
    2層とを多重周期で積層した量子波干渉層を有し、入力
    光を電気に変換する受光素子において、 前記第1層と前記第2層の各層の厚さを、各層を伝導す
    るキャリアの、各層における量子波の波長の4分の1の
    奇数倍に設定した量子波干渉層を、前記第2層よりもバ
    ンド幅の狭いキャリア閉込層を介在させて複数配設した
    ことを特徴とする量子波干渉層を有した受光素子。
  2. 【請求項2】 前記量子波の波長を決定するための前記
    キャリアの運動エネルギをキャリアが電子である場合に
    は第2層の伝導帯の底付近、キャリアが正孔である場合
    には前記第2層の価電子帯の底付近に設定したことを特
    徴とする請求項1に記載の量子波干渉層を有した受光素
    子。
  3. 【請求項3】 前記第1層における前記量子波の波長λ
    W はλW =h/[2mw(E+V) ]1/2で決定され、前記
    第2層における前記量子波の波長λB はλB =h/(2m
    B E)1/2で決定され、前記第1層の厚さDW はDW =n
    W λW /4、前記第2層の厚さDB はDB =nB λB
    4で決定される、但し、hはプランク定数、mw は第1
    層におけるキャリアの有効質量、mB は第2層における
    キャリアの有効質量、Eは第2層に流入されるキャリア
    の運動エネルギ、Vは第1層に対する第2層のバンド電
    位差、nW 、nB は奇数であることを特徴とする請求項
    1又は請求項2に記載の量子波干渉層を有した受光素
    子。
  4. 【請求項4】 前記量子波干渉層は、前記第2層を伝導
    するキャリアの運動エネルギを複数の異なる値Ek 、前
    記第1層におけるその各運動エネルギをEk +Vとし、
    第2層、第1層の各エネルギに対応した各量子波長をλ
    Bk,λWkとする時、第2層、第1層をnBkλBk/4、n
    WkλWk/4の厚さで、Tk 周期繰り返された部分量子波
    干渉層Ik が前記値Ek の数だけ繰り返し形成された
    層、但し、nWk、nBkは奇数、であることを特徴とする
    請求項1又は請求項2に記載の量子波干渉層を有した受
    光素子。
  5. 【請求項5】 前記キャリア閉込層のバンド幅は、前記
    第1層のバンド幅に等しいことを特徴とする請求項1乃
    至請求項4のいずれか1項に記載の量子波干渉層を有し
    た受光素子。
  6. 【請求項6】 前記キャリア閉込層の厚さは、前記量子
    波の波長λW であることを特徴とする請求項5に記載の
    量子波干渉層を有した受光素子。
  7. 【請求項7】 前記第1層と前記第2層との境界には、
    前記第1層と前記第2層の厚さに比べて充分に薄く、エ
    ネルギバンドを急変させるδ層が設けられていることを
    特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載
    の量子波干渉層を有した受光素子。
  8. 【請求項8】 前記受光素子は、pin接合構造を有
    し、前記量子波干渉層及び前記キャリア閉込層は、i層
    に形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項
    7のいずれか1項に記載の量子波干渉層を有した受光素
    子。
  9. 【請求項9】 前記量子波干渉層及び前記キャリア閉込
    層は、n層、又は、p層に形成されていることを特徴と
    する請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の量子
    波干渉層を有した受光素子。
  10. 【請求項10】 前記受光素子は、pn接合構造を有す
    ることを特徴とする請求項9に記載の量子波干渉層を有
    した受光素子。
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