JP3466526B2 - 量子波干渉層を有するトランジスタ - Google Patents

量子波干渉層を有するトランジスタ

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JP3466526B2 JP35804999A JP35804999A JP3466526B2 JP 3466526 B2 JP3466526 B2 JP 3466526B2 JP 35804999 A JP35804999 A JP 35804999A JP 35804999 A JP35804999 A JP 35804999A JP 3466526 B2 JP3466526 B2 JP 3466526B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規構造により動
作抵抗を減少させた接合構造を有するトランジスタに関
する。
【0002】
【従来の技術】従来、pnp、npn接合のバイポーラ
トランジスタが知られている。これらのトランジスタの
pn接合においては、順方向電圧を印加する時に流れる
電流は、その順方向電圧がバンド電位差を越える電圧か
ら急激に増加する。この動作領域での電圧電流特性の傾
きが大きい程、トランジスタに使用する場合に都合が良
い。しかし、この傾きは、半導体材料により決定されて
おり、変化させることはできなかった。また、電解効果
トランジスタのようなユニポーラトランジスタも知られ
ている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、JJAP L
etters Vol.29,No.11(1990年) L1977-L1980 に記載され
たように、レーザダイオードにおいてクラッド層に多重
量子井戸障壁を設けることで、キャリアを反射させるこ
とが提案されている。しかし、この文献では、キャリア
の運動エネルギをどのような値とするかは明示されてい
ない。この文献の文脈からは、運動エネルギとしてバン
ドギャップエネルギを代用したものと想像できるが、そ
れにより指摘された第1層と第2層との最適な厚さは、
本発明者らが最適とする厚さに対して1/4〜1/6で
ある。即ち、この文献の示す第1層と第2層の厚さで
は、キャリアの反射の効果が十分ではないという問題が
残されている。
【0004】そこで、本発明者らは、多重量子井戸構造
を光の多重反射における誘電体多層膜に対応させて、キ
ャリアの量子波が多重量子井戸構造により多重反射され
ると考えた。そして、この反射によりキャリアの効果的
な閉じ込めが可能となると考え、量子波干渉層の最適構
造を創作した。
【0005】次に、本発明者らは、電子の波動としての
性質を考慮して、光の多重反射からの類推により、上記
の量子波干渉層がキャリアの透過層として機能するので
はないかと考えた。即ち、多重層構造の各層の厚さがキ
ャリアの量子波程度となると、その多重層構造はキャリ
アの伝導において量子波の干渉効果が発生すると考え
た。この量子波の干渉効果により、波としての伝導が生
じ、従って、電子を古典的な粒子としての伝導の形では
なく、波としての共鳴、干渉等の様々な現象が発生する
ものと考えた。この波動的性質により、キャリアの移動
度及び伝搬速度が向上すると考えられる。
【0006】そして、この透過によりキャリアの通電時
のV−I特性を急峻とすることができると考え、量子波
干渉層の最適構造を創作した。従って、本発明の目的
は、最適構造の量子波干渉層を設けることで、動作抵抗
を著しく減少させる、又は、高速応答性のトランジスタ
を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、第1層と第1層よりもバンド幅の広い第2層とを多
重周期で積層した量子波干渉層をベース領域又はチャネ
ル領域に設けたトランジスタにおいて、第1層と第2層
の厚さを、注入される第2層の最低エネルギーレベルよ
りも大きく最低エネルギーレベル付近に存在するキャリ
アである少数キャリアの各層における量子波の波長の4
分の1の偶数倍に設定したことを特徴とする。
【0008】
【0009】請求項2及び請求項3に記載の発明は、第
1層の厚さDと第2層の厚さDを次のように設定し
たことを特徴とする。 D=nλ/4=nh/4[2m(E+V)]1/2…(1) D=nλ/4=nh/4(2mE)1/2…(2) 但し、hはプランク定数、mは第1層における注入さ
れる少数キャリアの有効質量、mは第2層における少
数キャリアの有効質量、Eは第2層に注入される少数キ
ャリアの運動エネルギでE>0、Vは第1層に対する第
2層のバンド電位差、n、nは偶数である。尚、E
は第2層のバンドの底付近にとることが望ましい。
【0010】請求項4の発明は、第1層と第1層よりも
バンド幅の広い第2層との多重周期から成る量子波干渉
層を、ベース領域又はチャネル領域に、次のように形成
したことを特徴とする。第1層、第2層を、それぞれ、
厚さDWk,DBkで任意周期Tだけ繰り返して部分
量子波干渉層Iとする。但し、 DWk=nWkλWk/4=nWkh/4[2mWk(E+V)]1/2
(3) DBk=nBkλBk/4=nBkh/4(2mBk1/2…(4) ここで、Eは第2層に注入される少数キャリアの運動
エネルギの複数の異なる値でEk>0、mWkは第1層
における運動エネルギE+Vを有する少数キャリアの
有効質量、mBkは第2層における運動エネルギE
有する少数キャリアの有効質量、nWk、nBkは偶数
である。このように形成された部分量子波干渉層I
,…,Iと、kの最大値jだけ直列接続して量子
波干渉層が形成される。
【0011】請求項5の発明は、(4),(3)式で決
定される厚さ(DBk,DWk)の(第2層,第1層)を、(D
B1,DW1),…,(DBk,DWk),…,(DBj,DWj)と積
層し、部分量子波干渉層とする。この部分量子波干渉層
を任意周期繰り返して量子波干渉層が形成される。
【0012】請求項6の発明は、印加される電界が所定
値の時に伝導するキャリアの量子波の波長に対して量
子波干渉層の各層の厚さが決定されていることを特徴と
する。
【0013】請求項7の発明は、上記のように形成され
た第1層と第2層との境界に、第1層と第2層の厚さに
比べて充分に薄く、エネルギバンドを急変させるδ層を
設けたことを特徴とする。
【0014】請求項8の発明は、量子波干渉層の量子波
の入射端は注入される少数キャリアのトンネル伝導を禁
止するに十分な厚さの第2層が形成されていることを特
徴とする。
【0015】請求項9の発明は、前記量子波干渉層がベ
ース領域に形成されたバイポーラトランジスタであるこ
とを特徴とする。また、請求項10の発明は、前記量子
波干渉層がチャネル領域に形成された電界効果トランジ
スタであることを特徴とする。
【0016】
【発明の作用及び効果】〔請求項1、2、3の発明〕 本発明にかかる、量子波干渉層の原理を次に説明する。
図1は、バンド幅の異なる層の多重層構造の伝導帯を示
している。電子が図上左から右方向に伝導するとする。
伝導に寄与する電子は、第2層Bの伝導帯の底付近に存
在する電子と考えられる。この電子の運動エネルギをE
(E>0)とする。すると、第2層Bから第1層Wに伝
導する電子は第2層Bから第1層Wへのバンド電位差V
により加速されて、第1層Wにおける運動エネルギはE
+Vとなる。又、第1層Wから第2層Bへ伝導する電子
は第1層Wから第2層Bへのバンド電位差Vにより減速
されて、第2層Bにおける電子の運動エネルギはEに戻
る。伝導電子の運動エネルギは、多重層構造のポテンシ
ャルエネルギによりこのような変調を受ける。
【0017】一方、第1層Wと第2層Bの厚さが電子の
量子波長と同程度となると、電子は波動として振る舞
う。電子の量子波は電子の運動エネルギを用いて、
(1)、(2)式により求められる。さらに、波の反射
率Rは第2層B、第1層Wにおける量子波の波数ベクト
ルをKB,KWとする時、次式で求められる。 R=(|KW|−|KB|)/(|KW|+|KB|) ={[mW(E+V)]1/2−(mBE)1/2}/{[mW(E+V)]1/2+(mBE)1/2} ={1-[mBE/mW(E+V)]1/2}/{1+[mBE/mW(E+V)]1/2}…(5) 又、mB=mWと仮定すれば、反射率は次式で表される。 R={1−[E/(E+V)]1/2}/{1+[E/(E+V)]1/2} …(6) E/(E+V)=xとおけば、(6)式は次式のように変
形できる。 R=(1−x1/2)/(1+x1/2) …(7) この反射率Rのxに対する特性は図2のようになる。
【0018】x≦0.1の時R≧0.52となり、そのための
E,Vの関係は E≦V/9 …(8) となる。第2層Bにおける伝導電子の運動エネルギEは
伝導帯の底付近であることから、(8)式の関係が満足
され、第2層Bと第1層Wとの境界での反射率Rは52
%以上となる。このような多重層構造により、第1層と
第2層の境界において、量子波の反射が生じる。
【0019】又、xを用いて第2層Bの厚さの第1層W
の厚さに対する比DB/DWは次式で求められる。 DB/DW=[mW/(mBx)]1/2 …(9)
【0020】第1層Wと第2層Bの厚さがこれらの各層
における量子波の波長の1/4の偶数倍、例えば、量子
波長の1/2となると、量子波干渉層に定在波が立ち、
共鳴的伝導が生じるものと思われる。即ち、定在波によ
る量子波の周期と量子波干渉層とのポテンシャル周期と
が一致する結果、各層でのキャリアの散乱が抑制され、
高移動度の伝導が実現すると考えられる。
【0021】又、価電子帯においても、エネルギレベル
が周期的に変動するが、バンド電位差Vが伝導帯のバン
ド電位差と異なること、第1層W、第2層Bにおける正
孔の有効質量が電子の有効質量と異なること等のため、
電子に対して高透過性に設定された第1層Wと第2層B
の幅の設定値は正孔に対する高透過性が得られる条件に
はならない。よって、上記の構造の量子波干渉層は、電
子に対して高透過性(高移動度)となり、正孔に対して
高透過性(高移動度)にはならない。
【0022】又、逆に、価電子帯のバンド電位差、正孔
の有効質量を用いて、第1層W、第2層Bの厚さを設計
することで、量子波干渉層を正孔に対して高移動度と
し、電子に対して通常の移動度とする層とする正孔透過
層とすることも可能である。
【0023】以上の議論を、図3を用いて更に説明す
る。図3の(a)〜(h)は、多重量子井戸構造のポテ
ンシャルにおける電子の量子波の反射と、多重量子井戸
の伝導帯を示すポテンシャルの周期との関係を示したも
のである。図3の(a)〜(d)は、伝播する電子の量
子波の波長の1/4の厚さの第2層Bと第1層Wとが周
期的に形成された多重層を用いたときの関係を示し、図
3の(e)〜(h)は、伝播する電子の量子波の波長の
1/2の厚さの第2層Bと第1層Wとが周期的に形成さ
れた多重層を用いたときの関係を示している。図3の
(a)〜(h)では、各層の厚さを等しくしているが、
これは視覚的な理解を助けるためのものである。いま、
第2層Bの伝導帯の底付近にある電子が、図3の(a)
及び(e)上左から右に流れ、図3の(b)或いは図
(f)のように、第1層Wとの界面に到達するとする。
【0024】図3の(a)のように、伝播する電子の量
子波の波長の1/4の厚さの第2層Bと第1層Wとが周
期的に形成された多重量子井戸に、電子の量子波が第2
層Bから第1層Wとの界面に到達すると、図3の(c)
のように、入射波QW1に対し、透過波QW2と、透過
波QW2と同位相の反射波QW3が生じる。次に、図3
の(d)のように、透過波QW2が第1層Wから第2層
Bとの界面に到達すると、透過波QW4と、透過波QW
4と逆位相の反射波QW5が生じる。界面での透過波と
反射波の位相のこれらの関係は、界面での伝導帯のポテ
ンシャルが下がるか、上がるかの違いによるものであ
る。また、やはり視覚的な理解を助けるため、QW1、
QW2、QW3、QW4、QW5はすべて同振幅で図示
してある。
【0025】さて、図3の(a)のような、伝播する電
子の量子波の波長の1/4の厚さの第2層Bと第1層W
とが周期的に形成された多重量子井戸においては、QW
1、QW2、QW4で構成される図上左から右へ伝播す
る電子の量子波と、2つの界面での反射による反射波Q
W3、QW5で構成される図上右から左へ伝播する電子
の量子波は、互いに打ち消しあう関係にあることがわか
る(図3の(d))。ここから、図3の(a)のよう
な、伝播する電子の量子波の波長の1/4の奇数倍厚さ
の第2層Bと第1層Wとが周期的に形成された多重量子
井戸においては、電子の量子波を打ち消す、即ち電子を
伝播しない反射層として作用することが理解できる。
【0026】同様の議論で、図3の(e)〜(h)に示
すように、伝播する電子の量子波の波長の1/4の偶数
倍の厚さの第2層Bと第1層Wとが周期的に形成された
多重量子井戸においては、電子の量子波を定在波とする
ことが理解できる。
【0027】即ち、図3の(e)のような、伝播する電
子の量子波の波長の1/2の厚さの第2層Bと第1層W
とが周期的に形成された多重量子井戸に電子の量子波が
第2層Bから第1層Wとの界面に到達すると、図3の
(g)のように、入射波QW1に対し、透過波QW2
と、透過波QW2と同位相の反射波QW3が生じる。次
に図3の(h)のように、透過波QW2が第1層Wから
次の第2層Bとの界面に到達すると、透過波QW4と、
透過波QW4と逆位相の反射波QW5が生じる。図3の
(e)のような、伝播する電子の量子波の波長の1/2
の厚さの第2層Bと第1層Wとが周期的に形成された多
重量子井戸においては、QW1、QW2、QW4で構成
される図上左から右へ伝播する電子の量子波と、第2の
界面での反射による反射波QW5で構成される図上右か
ら左へ伝播する電子の量子波は、互いに強めあう関係に
あることがわかる(図3の(h))。また逆に、反射波
QW3とQW5が打ち消しあい、QW1、QW2、QW
4で構成される図3の(e)上左から右へ伝播する電子
の量子波が定在波となるとも理解できる。ここから、伝
播する電子の量子波の波長の1/4の偶数倍の厚さの第
2層Bと第1層Wとが周期的に形成された多重量子井戸
においては、電子の量子波を定在波とする、即ち電子に
対して高透過性(高移動度)となる透過層として作用す
ることが理解できる。
【0028】全く同様の議論が、正孔と、正孔の量子波
の波長の1/2の厚さの第2層Bと第1層Wとが周期的
に形成された多重量子井戸構造についても明らかに成り
立つ。
【0029】このような、本発明にかかるキャリアに対
して高透過性(高移動度)となる透過層を、ベース領域
又はチャネル領域に設けたトランジスタは、動作抵抗が
低く、或いはキャリアの移動度に比例する遮断周波数を
高くすることができる。このように、本発明にかかる新
規な構造を有するトランジスタは、従来のトランジスタ
と比較し、格段に優れた性能を有することとなる。
【0030】〔請求項4の発明〕 図4に示すように、複数の運動エネルギEのそれぞれ
に対して部分量子波干渉層Iを形成しても良い。各部
分量子波干渉層Iは(3)、(4)式で決定される厚
さの第1層Wと第2層Bとを(DWk,DBk)を1組
としてT周期分多重化して形成される。この部分量子
波干渉層IをI〜Iまで、設定した電子の運動エ
ネルギの数だけ直列に設けて量子波干渉層を形成しても
良い。図4に示すように、各運動エネルギE (Ek>
0)を有する電子は、各部分量子波干渉層Iで高透過
(高伝導)されることになり、運動エネルギがE〜E
の範囲にある電子を効率良く伝搬させることができ
る。運動エネルギの間隔を細かく設定すれば、各部分量
子波干渉層Iにおける第1層W又は第2層Bの厚さ
(DWk,DBk)はkに対してほぼ連続して変化する
ことになる。
【0031】〔請求項5の発明〕 図5に示すように、(3)、(4)式で決定される厚さ
(DWk,DBk)に関して、厚さ(DW1
B1),…,(DWk,DBk),…(DWj,D
Bj)で多重化した部分量子波干渉層を任意個数分だけ
直列接続しても良い。このように配列しても、運動エネ
ルギがE〜E (E1〜Ej>0)の範囲にある電子
を効率良く透過させることができる。運動エネルギの間
隔を細かく設定すれば、各第1層W又は各第2層Bの厚
さはほぼ連続して変化することになる。
【0032】〔請求項6〕 請求項6は、印加される電界が所定値の時に伝導する
キャリアの量子波の波長に対して量子波干渉層の各層の
厚さが決定されていることを特徴とする。
【0033】〔請求項7の発明〕図6に示すように、第
1層Wと第2層Bとの境界において、エネルギバンドを
急変させる厚さが第1層W、第2層Bに比べて十分に薄
いδ層を設けても良い。この効果としては、製造技術上
の問題から生じる層間のバンドギャップを急峻にできる
ことである。これを図7に示す。δ層を形成しないと
き、図7(a)の如くバンドを形成しようとしても、積
層時に第1層Wと第2層Bの成分が層間で一部混合し、
急峻なバンドギャップが得られない(図7(b))。し
かし、図7(c)の如く層間にδ層を形成するときは、
成分が層間で一部混合したとしても、δ層を形成しない
ときに比較し、急峻なバンドギャップが得られる(図7
(d))。
【0034】このδ層は、図6(a)に示すように、各
第1層Wの両側の境界に設けられているが、片側の境界
だけに設けても良い。又、δ層は、図6(a)に示すよ
うに、境界に第2層Bのバンドの底よりもさらに高い底
を有するバンドが形成されるように設けているが、図6
(b)に示すように、境界に第1層Wの底よりもさらに
低い底を有するバンドを有するように形成しても良い。
さらに、図6(c)に示すように、境界に第2層Bより
も高いエネルギレベルを有し第1層Wよりも低いエネル
ギレベルを有する2つのδ層を形成しても良い。更に、
前述の通り、図6(c)で各層の両側の境界に設けられ
ているδ層は、図6(d)に示すように、片側の境界だ
けに設けても良い。
【0035】〔請求項8の発明〕請求項8の発明は、量
子波干渉層の入射端面側の1つの第2層B0だけを厚く
形成することで、共鳴トンネル伝導を防止し、キャリア
の反射を効果的に行うことができる。
【0036】〔請求項9、10の発明〕以上の通り、本
発明にかかる電子透過層としての量子波干渉層を設ける
ことにより、V−I特性を急峻とすることができる。こ
の、V−I特性の急峻な範囲を、バイポーラトランジス
タのベース電圧とコレクタ電流との特性、或いは電界効
果トランジスタのゲート電圧とドレイン電流との特性に
適用するトランジスタとすることにより、従来型のトラ
ンジスタよりも増幅率の高いトランジスタが作製可能と
なる。又、明らかに、本発明にかかる正孔透過層として
の量子波干渉層を設けることにより、V−I特性を急峻
とすることができる。この、V−I特性の急峻な範囲
を、バイポーラトランジスタのベース電圧とコレクタ電
流との特性、或いは電界効果トランジスタのゲート電圧
とドレイン電流との特性に適用するトランジスタとする
ことによっても、従来型のトランジスタよりも増幅率の
高いトランジスタが作製可能となる。
【0037】
【発明の実施の形態】以下、本発明を具体的な実施例に
基づいて説明する。なお本発明は下記実施例に限定され
るものではない。
【0038】〔第1実施例〕図8はnin接合構造にお
いて、量子波干渉層をi層に形成した半導体素子の断面
図である。GaAsから成る基板10の上に、n-GaAsから成
る厚さ0.3μm、電子濃度2×1018/cm3のバッファ層12
が形成され、その上にn-Ga0.51In0.49Pから成る厚さ0.1
3μm、電子濃度2×1018/cm3のn形コンタクト層14が
形成されいる。さらに、n形コンタクト層14の上に
は、n-Al0.51In0.49Pから成る厚さ0.2μm、電子濃度1×
1018/cm3のn層16が形成されている。そのn層16の
上には、不純物無添加のi層18が形成され、そのi層
18の上にはAl0.51In0.49Pから成る厚さ0.2μm、電子
濃度1×1018/cm3のn層20が形成されている。さら
に、そのn層20の上にn-Ga0.51In0.49Pから成る厚さ
0.13μm、電子濃度2×1018/cm 3の第2n形コンタクト層
22とn-GaAsから成る厚さ0.06μm、電子濃度2×1018/c
m3の第1n形コンタクト層24が形成されている。さら
に、基板10の裏面には厚さ0.2μmのAu/Geから成る電
極26が形成され、第1n形コンタクト層24の上には
厚さ0.2μmのAu/Geから成る電極28が形成されてい
る。
【0039】上記のi層18の中に、不純物無添加のGa
0.51In0.49Pから成る第1層Wと不純物無添加のAl0.51I
n0.49Pから成る第2層Bを3周期多重化した量子波干渉
層Aが設けられている。量子波干渉層Aの詳細なバンド
構造が図6(a)に示されている。第1層Wの厚さは10
nm、第2層Bの厚さは14nmであり、第2層Bと第1層W
との間には厚さ1.3nmの不純物無添加のAl0.33Ga0.33In
0.33Pから成るδ層が形成されている。第2層Bと第1
層Wの厚さの条件は、外部電圧が印加されていない状態
で、上記した(1)、(2)式で決定されている。
【0040】尚、n層20に接合する第2層Bの厚さは
0.3μmであり、n層16に接合する第2層Bの厚さは0.
1μmである。これは、n層20又はn層16からの電子
の第1層Wへのトンネル伝導を防止するためである。
又、基板10は、2インチ径の大きさであり、基板の主
面は面方位(100)に対して15°方位[011]方向にオフセッ
トしている。
【0041】このようにして製造されたnin半導体素
子に電圧を印加して、V−I特性を求めた。その特性図
を図9に示す。約0.9mVで電流が急峻に10-8〜10-5Aとス
テップ的に増加しているのが分かる。これは、外部電圧
がこの電圧に達した時に、量子波干渉層に流入する電子
の量子波の波長が各層の厚さの2倍に達したためと思わ
れる。これにより、この電子の高伝導透過条件が満たさ
れた結果、急激に電流が流れたものと思われる。さら
に、外部電圧を増加すると、量子波干渉層に流入する電
子の運動エネルギーが大きくなり、その量子波の波長は
量子波干渉層の各層の厚さの2倍よりも短くなるため、
高透過条件が満たされなくなるためと思われる。
【0042】比較例として、上記の量子波干渉層に関し
て、第1層Wの厚さを前実施例の1/2の5nm、第2層
Bの厚さを前実施例の1/2の7nmとして、6周期繰り
返した素子を製造した。その素子の測定されたV−I特
性を図10に示す。本実施例のものに比べて電流の立ち
上がりの勾配が小さく、流れる電流量も1桁から2桁小
さくなっいることが分かる。尚、この層の厚さの条件の
場合には、量子波干渉層は反射層として機能しているこ
とが、本発明者らにより確認されている。よって、図1
0は順方向電圧を増加せさる時、反射条件が満たされな
くなった電圧で、せき止められていた電流が急激に流れ
るものと思われる。しかし、その時の電流は、本実施例
のように量子波長の1/2の厚さに各層の厚さを設定し
た場合に比べて1/100程小さいことが理解される。即
ち、通常の伝導に対して、本発明では、100倍の伝導率
又は100倍の移動度が得られているものと思われる。こ
れは、トランジスタにおいて、上記のような本発明にか
かる多重周期層を形成し、V−I特性の急峻な範囲を適
用することにより、従来型のトランジスタよりも増幅率
の高いトランジスタが作製可能となることを示してい
る。
【0043】そこで図11に示す構造のトランジスタが
有効となる。図11は、前述とほぼ同様に、本発明にか
かるnpn接合を有するバイポーラトランジスタの構造
を示している。量子波干渉層(電子透過層)Aは、p型
にドープされたGa0.51In0.49Pから成る膜厚10nmの第1
層Wとp型にドープされたAl0.51In0.49Pから成る膜厚1
4nmの第2層Bとを3周期多重化した量子井戸構造であ
る。簡単のため図11ではδ層を省略して示した。本実
施例のトランジスタは、上述の半導体素子とほぼ同様に
基板10から第1n形コンタクト層24まで形成した
後、第1n形コンタクト層24、第2n形コンタクト層
22及びn層20の一部分をエッチングし、電子透過層
18の最上層を露出させ、第1n形コンタクト層24に
電極28、電子透過層18の最上層のp層(ベース領
域)に電極30を形成したものである。このトランジス
タにおいては、電極26がエミッタ電極、電極30がベ
ース電極、電極28がコレクタ電極である。このトラン
ジスタのエミッタを接地して使用することで、従来構造
のトランジスタの増幅率に比し、改善された増幅率を持
つトランジスタを得ることができる。
【0044】また、同様に、pnp接合構造のバイポー
ラトランジスタにおいて、n層(ベース領域)に正孔透
過層を設けた場合も、従来のトランジスタに比して増幅
率が大幅に改善できる。更に、npn接合構造のトラン
ジスタにおいて、エミッタ領域又は/及びコレクタ領域
に電子透過層を形成しても良い。また、pnp接合構造
のトランジスタにおいても、エミッタ領域又は/及びコ
レクタ領域に正孔透過層を形成しても良い。これらの構
造により、更に増幅率が著しく改善する。また、npn
接合構造のトランジスタのベース領域に量子波干渉層
(図3の(a)に示す量子波の波長の1/4の厚さの第
1層、第2層から成る多重層)による正孔反射層を設け
ても良い。これにより、キャリアを電子だけとすること
で、より増幅率が向上する。同様に、pnp接合構造の
トランジスタのベース領域に量子波干渉層による電子反
射層を設けても良い。更に、npn接合構造のトランジ
スタのベース領域に電子反射層と電子透過層とを縦続に
設けても良い。この場合は電子反射層を急に電子が流れ
る電圧で電子透過層の透過が最大となるように設ける。
この様な電子反射層と電子透過層との縦続構造により、
V−I特性を更に急峻とすることができる。全く同様
に、pnp接合構造のトランジスタにおいても正孔反射
層と正孔透過層をベース領域に設けることでV−I特性
を更に急峻とすることができる。
【0045】〔第2実施例〕図12は、第1実施例に示
したものと同様に、p層に量子波干渉層(電子透過層)
Aを形成したnpn接合を有する本発明にかかる電界効
果トランジスタの構造を示す模式図である。量子波干渉
層(電子透過層)Aは、p型にドープされたGa0.51In
0.49Pから成る膜厚10nmの第1層Wとp型にドープされ
たAl0.51In0.49Pから成る膜厚14nmの第2層Bを3周期
多重化した量子井戸構造である。本実施例ではソース領
域(図12中S)、ドレイン領域(図12中D)をとも
にn層とするMESFET構造が示されている。ゲート
(G)電極は電子透過層18上に形成されている。この
ような構造のトランジスタも、ゲート(G)に印加され
る電圧が、注入する電子が量子波干渉層(電子透過層)
18を透過できるエネルギを超えるまではソース
(S)、ドレイン(D)間に電流が流れない。これによ
りV−I特性を急峻とすることができ、、MESFET
としての性能を向上させることができる。
【0046】この電界効果トランジスタは図13に示す
手順で作製される。まず、積層構造が形成される(図1
3の(a))。次に、エッチングにより傾斜した面(図
13(b)においてVで示された部分)が形成される。
この後図13の(c)のように、金(Au)から成るショッ
トキ電極32が電子透過層18の傾斜した側面上に形成
され、ソース(S)、ドレイン(D)に電極26、28
が形成される。
【0047】また、同様に、pnp型の電界効果トラン
ジスタにおいて、n層(チャネル領域)に正孔透過層を
持たせたものも、従来のトランジスタに比して増幅率が
改善する。更に、npn型の電界効果トランジスタにお
いて、ソース領域又は/及びドレイン領域に電子透過層
を形成しても良い。また、pnp型の電界効果トランジ
スタにおいても、ソース領域又は/及びドレイン領域に
正孔透過層を形成しても良い。これらの構造により、更
に増幅率が著しく改善する。また、npn型の電界効果
トランジスタのチャネル領域に量子波干渉層(図3の
(a)に示す量子波の波長の1/4の厚さの第1層、第
2層から成る多重層)による正孔反射層を設けても良
い。これにより、キャリアを電子だけとすることで、よ
り増幅率が向上する。同様に、pnp型の電界効果トラ
ンジスタのチャネル領域に量子波干渉層による電子反射
層を設けても良い。更に、npn型の電界効果トランジ
スタのチャネル領域に電子反射層と電子透過層とを縦続
に設けても良い。この場合は電子反射層を急に電子が流
れる電圧で電子透過層の透過が最大となるように設け
る。この様な電子反射層と電子透過層との縦続構造によ
り、V−I特性を更に急峻とすることができる。全く同
様に、pnp型の電界効果トランジスタにおいても正孔
反射層と正孔透過層をチャネル領域に設けることでV−
I特性を更に急峻とすることができる。
【0048】〔第3実施例〕図14は、第1実施例に示
したものと同様の、p層に量子波干渉層(電子透過層)
Aを形成したnpn接合を有する、本発明にかかる電界
効果トランジスタの構造を示す模式図である。量子波干
渉層(電子透過層)Aは、p型にドープされたGa0.51In
0.49Pから成る膜厚10nmの第1層Wとp型にドープされ
たAl0.51In0.4 9Pから成る膜厚14nm第2層Bを3周期多
重化した量子井戸構造である。本実施例ではソース領域
(図14中S)、ドレイン領域(図14中D)をともに
n層とするMOSFET構造を示した。このような構造
のトランジスタも、ゲート(G)に印加される電圧がし
きい値を超えるまではソース(S)、ドレイン(D)間
に電流が流れず、MOSFETとしての性能を向上させ
ることができる。図14のMOSFETは図13に示す
MESFETと同様に作成され、ショットキー電極32
の部分を、窒化珪素から成る絶縁層34と金(Au)から成
る金属層36とすることで作製できる。
【0049】上記の全実施例のトランジスタは、電子の
波動的性質を用いたものである。よって電子/正孔透過
層における電子/正孔の移動速度は波の伝搬速度とな
り、高速応答が実現できるとともに、使用帯域を拡大で
きる。上記実施例では、δ層を形成している。このδ層
によりポテンシャル界面でのバンドギャップエネルギの
変化を急峻とし、量子波干渉効果(高透過)を著しく向
上させることができる。効果は低下するもののδ層がな
い多重量子井戸構造でも良い。又、上記実施例では、量
子波干渉層をGa0.51In0.49PとAl0.51In0.49Pとの多重層
で構成し、δ層をAl0.33Ga0.33In0.33Pで構成したが、
多重層を構成する第1層及び第2層、並びにδ層は、4
元系のAlxGayIn1-x-yP或いはAlxGayIn1-x-yAs(0≦x,y,x
+y≦1の任意の値)で組成比を異にして形成しても良い。
【0050】さらに、量子波干渉層は、他のIII族-V族
化合物半導体、II族-VI族化合物半導体、Si/Ge、その他
の異種半導体の多重接合で構成することが可能である。
具体的には下記のような組み合わせが望ましい。尚、バ
ンド幅の広い層/バンド幅の狭い層//基板を意味し、
x、yは明記していない場合は、それぞれ0<x,y<1の任
意の値である。 <1> AlxIn1-xP/GayIn1-yP//GaAs <2> AlxGa1-xAs/GaAs//GaAs <3> GaxIn1-xP/InP//InP <4> GaxIn1-xP/GayIn1-yAs//GaAs <5> AlAs/AlxGa1-xAs//GaAs 0.8≦x≦0.9 <6> InP/GaxIn1-xAsyP1-y//GaAs <7> Si/SiGex//任意 0.1≦x≦0.3 <8> Si/SiGexCy//任意 0.1≦x≦0.3, 0<y≦0.1 <9> Alx1Gay1In1-x1-y1N/Alx2Gay2In1-x2-y2N//Si,SiC,GaN,サファイア 0≦x1,x2,y1,y2,x1+y1,x2+y2≦1 <10> Alx1Gay1In1-x1-y1Nx2Py2As1-x2-y2 /Alx3Gay3In1-x3-y3Nx4Py4As1-x4-y4//任意 0≦x1,x3,y1,y3,x1+y1,x3+y3≦1, 0<x2,x4<1, 0≦y2,y4,x2+y2,x4+y4≦1
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の概念を説明するための説明図。
【図2】第2層Bにおけるキャリアの運動エネルギの第
1層Wにおける運動エネルギに対する比xに対する反射
率Rの関係を示した特性図。
【図3】本発明の概念を説明するための説明図。
【図4】本発明の概念を説明するための説明図。
【図5】本発明の概念を説明するための説明図。
【図6】本発明の概念を説明するための説明図。
【図7】本発明の概念を説明するための説明図。
【図8】本発明の具体的な一実施例に係る半導体素子の
構造を示した断面図。
【図9】その素子のV−I特性を示す測定図。
【図10】比較例として、第1層Wと第2層Bを量子波
の波長の1/4に設定した素子のV−I特性を示す測定
図。
【図11】本発明の具体的な一実施例に係る、npn型
のバイポーラトランジスタの構造を示した断面図。
【図12】本発明の具体的な一実施例に係る、npn型
の電界効果トランジスタの構造を示した断面模式図。
【図13】その電界効果トランジスタの製造方法を示し
た断面図。
【図14】本発明の具体的な別の実施例に係る、npn
型の電界効果トランジスタの構造を示した断面模式図。
【符号の説明】
10…基板 12…バッファ層 14…n形コンタクト層 16…n層 18…電子透過層 20…n層 22…第2n形コンタクト層 24…第1n形コンタクト層 26、28、30…電極 32、36…金属層 34…絶縁層 A…量子波干渉層 W…第1層 B…第2層 Em, Bs, Cl…エミッタ,ベース,コレクタ S, G, D …ソース,ゲート,ドレイン
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平8−88434(JP,A) Kotaro Tsubaki, T akashi Honda, Hisa o Saito, Takashi F ukui,”Electron wav e interference dev ice with fractiona l layer superlatti ces”,Applied Physi cs Letters,1991年 1月28 日,Vol. 58, No. 4,p p. 376−378 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 29/06 H01L 29/205 H01L 29/66 H01L 29/68 H01L 29/73 - 29/737 H01L 21/331 H01L 29/80

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1層と第1層よりもバンド幅の広い第
    2層とを多重周期で積層した量子波干渉層をベース領域
    又はチャネル領域に設けたトランジスタにおいて、 前記第1層と前記第2層の厚さを、注入された前記第2
    層の最低エネルギーレベルよりも大きく最低エネルギレ
    ベル付近にあるキャリアである少数キャリアの各層にお
    ける量子波の波長の4分の1の偶数倍に設定した量子波
    干渉層を設けたことを特徴とするトランジスタ。
  2. 【請求項2】 第1層と第1層よりもバンド幅の広い第
    2層とを多重周期で積層した量子波干渉層をベース領域
    又はチャネル領域に設けたトランジスタにおいて、 前記第1層と前記第2層の厚さを注入された少数キャリ
    アの各層における量子波の波長の4分の1の偶数倍に設
    定した量子波干渉層を設け、 前記第1層における前記量子波の波長λはλ=h/
    [2m(E+V)]1/2で決定され、前記第2層に
    おける前記量子波の波長λはλ=h/(2mE)
    1/2で決定され、前記第1層の厚さDはD=n
    λ/4、前記第2層の厚さDはD=nλ/4
    で決定される、但し、hはプランク定数、mは第1層
    におけるキャリアの有効質量、mは第2層におけるキ
    ャリアの有効質量、Eは第2層に注入されるキャリアの
    運動エネルギでE>0、Vは第1層に対する第2層のバ
    ンド電位差、n、nは偶数であることを特徴とする
    トランジスタ。
  3. 【請求項3】 前記注入される少数キャリアは、前記第
    2層の最低エネルギレベル付近にあるキャリアとするこ
    とを特徴とする請求項2に記載のトランジスタ。
  4. 【請求項4】 第1層と第1層よりもバンド幅の広い第
    2層とを多重周期で積層した量子波干渉層をベース領域
    又はチャネル領域に設けたトランジスタにおいて、 前記第2層に注入される少数キャリアの運動エネルギを
    複数の異なる値E (Ek>0)、前記第1層における
    その各運動エネルギをE+Vとし、第2層、第1層の
    各エネルギに対応した各量子波長をλBk,λWkとす
    る時、第2層、第1層をnBkλBk/4、nWkλ
    Wk/4の厚さで、T周期繰り返された部分量子波干
    渉層Iが前記値Eの数だけ繰り返し形成された、但
    し、nWk、nBkは偶数、量子波干渉層を設けたこと
    を特徴とするトランジスタ。
  5. 【請求項5】 第1層と第1層よりもバンド幅の広い第
    2層とを多重周期で積層した量子波干渉層をベース領域
    又はチャネル領域に設けたトランジスタにおいて、 前記第2層に注入される少数キャリアの運動エネルギを
    複数の異なる値E (Ek>0)、前記第1層における
    その各運動エネルギをE+Vとし、第2層、第1層の
    各エネルギに対応した各量子波長をλBk,λWkとす
    る時、第2層、第1層を厚さ(nB1λB1/4,n
    W1λW1/4),…,(nBkλBk/4,nWkλ
    Wk/4),…,(nBjλBj/4,nWjλWj
    4)で形成した部分量子波干渉層を任意周期繰り返して
    形成された、但し、nWk、nBkは偶数、量子波干渉
    層を設けたことを特徴とするトランジスタ。
  6. 【請求項6】 印加される電界が所定値の時に、伝導す
    る前記キャリアの量子波の波長に対して前記量子波干渉
    層の各層の厚さが決定されていることを特徴とする請求
    項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の量子波干渉層
    を有するトランジスタ。
  7. 【請求項7】 前記第1層と前記第2層との境界には、
    前記第1層と前記第2層の厚さに比べて充分に薄く、エ
    ネルギバンドを急変させるδ層が設けられていることを
    特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載
    のトランジスタ。
  8. 【請求項8】 前記量子波干渉層の量子波の入射端は少
    数キャリアのトンネル伝導を禁止するに十分な厚さの第
    2層が形成されていることを特徴とする請求項1乃至請
    求項7のいずれか1項に記載のトランジスタ。
  9. 【請求項9】 前記量子波干渉層が、ベース領域に形成
    され、 該トランジスタがバイポーラトランジスタであることを
    特徴とする、請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記
    載のトランジスタ。
  10. 【請求項10】 前記量子波干渉層が、チャネル領域に
    形成され、 該トランジスタが電界効果トランジスタであることを特
    徴とする、請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載
    のトランジスタ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
Kotaro Tsubaki, Takashi Honda, Hisao Saito, Takashi Fukui,"Electron wave interference device with fractional layer superlattices",Applied Physics Letters,1991年 1月28日,Vol. 58, No. 4,pp. 376−378

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