JP3014038U - ヤキトリ炉の炉壁冷却構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ヤキトリ炉から発生する放射熱が、客や調理
人に悪影響を与えないようにすると共に、ヤキトリを美
味しく焼き上げることができるヤキトリ炉を提供するこ
と。 【構成】 ヤキトリ炉の炉壁を中空構造にし、その空洞
部に冷却媒体を通流せしめるという技術手段を採用し
た。 【効果】 空洞部に冷却媒体が通流することにより、炉
壁が遠赤外線の熱エネルギーを吸収遮蔽し、客や調理人
に熱放射による悪影響を与えなくて済むという、実用的
価値が高いヤキトリ炉が得られた。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、ヤキトリ炉に、本体から発生する炭火による放射熱が客席側および 調理側に不快な影響を与えないように改善したヤキトリ炉に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

周知のとおり、ヤキトリは鳥肉や牛肉など一口サイズに切り揃えた食品素材を 串刺しにして焼き上げて食する串焼食品であり、殆ど手を汚さずに串を持って手 掴みで食べることができ、しかも、屋台で一杯飲み交わしながら気軽に歓談を楽 しむことにも適していることから、ヤキトリは老若男女を問わず大衆的な料理と して定着し、最近では外国にも普及してきている。

【０００３】 そして、最近のグルメ指向から、ヤキトリも単に食べることができれば良いと した過去の安物料理のイメージから進化して、ヤキトリの味にも品格が求められ るようになった。ところで、ヤキトリを美味しく焼き上げるには、炭火を使うの が良いことは周知のことである。炭火で焼くヤキトリが美味しい所以は、炭火が 放射する遠赤外線が肉や野菜の内部深くまで浸透して万遍なくじっくりと焙焼せ しめると同時に、燃焼する炭が発生する燃焼ガスに含有される水素の還元作用に よって肉の臭みが消去されて、肉特有の臭みがなくなるからである。

【０００４】 ところが、大衆的ヤキトリ店で炭を使用してヤキトリを調理する際に、大量の ヤキトリを処理しようとすると、必然的に大量の炭を燃焼させることが必要とな る。そうすると、炭火の放射する強烈な放射熱が、ヤキトリ炉の前で作業する調 理人を著しく疲労させることになり、特に夏場のヤキトリ炉の前での作業には、 一日の営業時間内に何回も調理人が交代しなければならず、経営における人件費 を押し上げていた。また、大方のヤキトリ店の構造にみられるとおり、客席はヤ キトリ炉に近接した位置にあり、調理人と客とが対面して飲食する仕組みになっ ているので、炭火の強烈な放射熱が同時に客をも悩ませることになり、もっとヤ キトリを賞味したいにも拘わらず、居たたまれずに、退散させてしまう結果を招 き、収益にも影響を及ぼすのである。

【０００５】 このような弊害を解決するために、従来では、クーラーを用いて調理場や客席 を冷却することが考えられたが、クーラーの冷気は対流熱による室温上昇を防ぐ ことはできても、炭火の放射する遠赤外線の影響は除くことができず、調理人や 客の苦痛に対しては余り効果がなかった次第である。

【０００６】

【解決すべき技術的課題】

本考案は、前述の如き問題点があったことに鑑みて為されたものであり、炭火 が側方へ放射する遠赤外線を巧みに吸収遮蔽することにより、快適な環境の中で 調理人は作業でき、また客は飲食が楽しむことができ、しかも、構造を簡素にし てメンテナンスにも手間の掛からないヤキトリ炉を提供することを技術的課題と するものである。

【０００７】

【課題解決のために採用した手段】

本考案者が上記技術的課題を解決するために採用した手段を、添附図面を参照 して説明すれば、次のとおりである。

【０００８】 即ち、図１において、燃焼チャンバー１に配設されたロストル２上で炭Ｃを燃 焼させ、その上方のグリット３に配置した串刺ヤキトリＧを前記炭Ｃの燃焼熱に よって串焼するヤキトリ炉において、 チャンバー１における少なくとも調理側炉壁１１と客席側炉壁１２とを中空構造 に構成して、これら調理側炉壁１１の空洞部１１ａ内および客席側炉壁１２の空 洞部１２ａ内に冷媒液Ｗを通流せしめるという手段を採用することによって、上 記の技術的課題を解決した点に特徴がある。

【０００９】

【実施例】

以下、本考案を添附図面に示す実施例に基づいて更に詳しく説明する。なお、 図１は第１実施例におけるヤキトリ炉本体の側面方向の断面図、図２は第１実施 例におけるヤキトリ炉本体の正面図、図３は第２実施例におけるヤキトリ炉本体 の側面方向の断面図である。

【００１０】 〔第１実施例〕 第１実施例のヤキトリ炉のチャンバー１は、炉筐Ｒを構成するところの調理側 炉壁１１、これに対向する客席側炉壁１２、左右の妻壁１３・１３、および底壁 １４によって囲われる空間をいう。これらの調理側炉壁１１、客席側炉壁１２、 左右の妻壁１３・１３は、ステンレスで形成され、かつ、調理側、客室側、およ び左右の妻壁側の炉壁１１・１２・１３は中空構造になっている。そして、調理 側空洞部１１ａと客席側空洞部１２ａ・左右の妻壁１３・１３の空洞部１３ａ・ １３ａは連通していて、炉筐Ｒの周囲に空洞部を形成する。また、底壁１４はス テンレスの厚板で形成してある。符号１０で示されるのは防熱部であって、調理 側炉壁１１の上部を炉筐Ｒの内部方向に突出させ、調理人が焼いているヤキトリ を裏返すときに、裏返す手が炭火の放射熱で火傷を負わないように、防熱部１０ で放射熱を反射して遮蔽する。

【００１１】 符号２で示されるのはロストルであって、炉筐Ｒ内部のチャンバー１のほゞ中 央の位置に、鋳鉄で形成された方形状の柱を横方向に複数本、適宣の間隔で配設 し、その上に炭Ｃを置く。実際にヤキトリを焼くときは、ロストル２に完全着火 の炭Ｃを載置し、その上に燃焼していない炭Ｃを重ねて載置していく。炭Ｃが燃 焼した後の灰はロストル２の間隙より下に落ちて、チャンバー１の下部に堆積す る。

【００１２】 符号３で示されるのはグリットであって、グリット３自体は鉄で形成されてお り、防熱部１０の上面に敷設された鉄製のクランク形支承板３ａによって、グリ ット３をロックしてチャンバー１の上部に配設する。詳しく説明すると、支承板 ３ａの凹部に前述のグリット３を挿入すると共に、客席側炉壁１２側へ架設する ことによりグリット３が水平状態に配設され、そのグリット３の上で串刺ヤキト リＧが焼ける。また、グリッド３が屈折する部位には、串元支承板３ｂが上向き に固設される。その串元支承板３ｂには、ヤキトリの串元が載置されるが、串元 支承板３ｂが炭Ｃによる炎を遮ることで、串を必要以上に焦がさないようにする のと共に、炎が串元支承板３ｂに当って煽り返され、串刺ヤキトリＧを根元から 万遍なく焼き上げる効果もある。

【００１３】 符号４で示されるのは給水口であって、給水口４は前述の調理側炉壁１１の上 部に設けられ、炉筐Ｒの空洞部に冷却媒体である水を、水道管から直接注入する ことにより、注入された温度の低い水道水は対流により、炉筐Ｒ空洞部の上部か ら下部に向かって流動し、炉筐Ｒ内の隅々まで行き届く。符号５で示されるのは 排水口であって、炉筐Ｒ空洞部内を一巡することで、遠赤外線熱エネルギーを吸 収し、温度が上昇した水道水が、客席側炉壁１２の上部に配設された排水口５か ら、本体外部に排出される。符号６で示されるのは耐火煉瓦であって、炉筐Ｒの 耐火強度を上げ、燃焼効率を高めるために、炉筐Ｒの炉壁１１・１２・１３およ び１４の内壁面に沿って耐火煉瓦６が配設される。

【００１４】 図２において、符号８で示されるのは通気孔であって、チャンバー１内に空気 を導入するために、調理側炉壁１１の下部２箇所に通気孔８が設けられる。符号 ７で示されるのは化粧パネルであって、前述の通気孔８の外側の美観を良くする ためと、チャンバー１内に流入する空気の量を調整するために、通気孔８の外側 を覆うように化粧パネル７が設られる。また、化粧パネル７は容易に着脱可能で あり、化粧パネル７を外して、チャンバー１の下部に体積した灰を炉筐Ｒから排 出する。符号９で示されるものはステンレス製の架台であって、調理人が作業し やすい高さに炉筐Ｒを設置するために、当該ステンレス製架台９の上に炉筐Ｒを 載置する。

【００１５】 上記の実施例においては、炉筐Ｒの空洞部内を一巡する水道水により、炭火の 遠赤外線の熱エネルギーが水道水に吸収遮蔽され、調理人に遠赤外線が当たらな くなり、快適に仕事が出来ると共に、同様に、客席にも遠赤外線が当たらなくな り、客も快適な状態で飲食することができる。

【００１６】 その上、上記の実施例を用いる際、調理人は、図１に示される調理側炉壁１１ 側に位置して、通気孔８を開閉調節することにより、炭火の燃焼を加減しながら ヤキトリＧを焼くのであるが、従来ではチャンバー１の下部に堆積した灰の上に 燃焼した炭Ｃが載置されていたので、空気の通りが妨げられ、燃焼効率も悪く、 火力の加減も困難であったが、本実施例の場合、燃焼している炭Ｃはロストル２ の上に、燃焼後の灰はロストル２の間隙から下に落ちて、チャンバー１の下部に 堆積するので、空気の通りが良好になり、燃焼効率も良く、火力の加減も容易に できるようになった。それに、調理人にとって手元付近の防熱部１０が、炭火の 遠赤外線の熱エネルギーを吸収遮蔽することで、手が炉筐Ｒに近付いても熱によ る苦痛を感じることがなく、仕事の能率も向上する。

【００１７】 〔第２実施例〕 第２実施例においての炉筐Ｒの構造は、第１実施例と形状は同じであるが、第 １実施例において、冷却水を挿入した炉筐Ｒの空洞部内に、本実施例では、金属 パイプを用いたジグザグ状の吸熱パイプ２０を挿設している。各炉壁の空洞部内 に挿設された吸熱パイプ２０は炉筐Ｒ内で、後で述べるコンプレッサー２１と共 に、一つの閉回路である冷却サイクルを形成しており、その吸熱パイプ２０の中 に冷媒液であるフロンが注入される。注入されたフロンは吸熱パイプ２０内で気 化して、周りの熱と共に炭火の放射する熱エネルギーを吸収する。符号２１で示 されるものは炉筐Ｒの外部に設けたコンプレッサー２１であり、これによってフ ロンが加圧され、再び液化し、冷却サイクル内を循環する。

【００１８】 上記の実施例では、炉筐Ｒの空洞部内を循環するフロンの気化により、炭火の 遠赤外線が吸収遮蔽され、調理人に遠赤外線が当たらなくなり、快適に仕事が出 来ると共に、同様に客席にも遠赤外線が届かなくなり、客も快適な状態で飲食す ることができる。さらに、冷媒液にフロンを使用することで、水を大量に使用出 来ないヤキトリ店でも、ヤキトリ炉を冷却することができ、しかも、本実施例の 場合、コンプレッサー２１の電源工事が必要なだけで、クーラーの設備工事に必 要な、ガス管及びドレン配管工事や電源設備の工事が不要であるため、施工が容 易にでき、経費も節減される。

【００１９】 本考案の実施例は概ね上記のとおりであるが、本考案は前述の実施例に限定さ れるものでは決してなく、「実用新案登録請求の範囲」の記載内において種々の 変更が可能であって、例えば、炉壁Ｒを形成する炉壁の金属を、ステンレスの替 わりにアルミニウムやその他の金属に変更することも可能なことや、耐火煉瓦６ をその他の不燃性の材質に変更するなど、これら何れの変更態様も本考案の技術 的範囲に属することはいうまでもない。

【００２０】

【考案の効果】

以上、実施例を挙げて説明したとおり、本考案においては、炉筐を構成する炉 壁の空洞部に冷媒液が通流することにより、炉壁が遠赤外線の熱エネルギーを吸 収遮蔽し、調理人は熱による不快を感じることなく、快適に仕事ができるように なることや、ヤキトリを裏返すときに、手が炉筐近傍に近付いても、防熱部が熱 エネルギーを吸収遮蔽するので、熱による苦痛を感じることなくヤキトリを裏返 すことができ、これによって、仕事の能率も向上する。しかもまた、客席側炉壁 も同様に遠赤外線の熱エネルギーを吸収遮蔽するので、客に対しても、熱による 不快感を与えなくて済み、長時間の歓談、飲食を可能にする。

【００２１】 このように本考案によれば、炉筐内部に冷却構造を備えることにより、新たに 冷却装置をヤキトリ炉に具設する必要が無く、徒にヤキトリ炉を大きくしなくて 済み、スペース的にも節約できるのに加えて、特別な工事を必要としないため、 簡単に施工することができ、しかも、構造が簡素なのでメンテナンスにも手間が 掛からない、誠に実用的価値が大である。

【図面の簡単な説明】

【図１】第１実施例におけるヤキトリ炉本体の側面方向
の断面図である。

【図２】第１実施例におけるヤキトリ炉本体の正面図で
ある。

【図３】第２実施例におけるヤキトリ炉本体の側面方向
の断面図である。

【符号の説明】

１ チャンバー ２ ロストル ３ グリット ３ａ 支承板 ３ｂ 串元支承板 ４ 給水口 ５ 排水口 ６ 耐火煉瓦 ７ 化粧パネル ８ 通気孔 ９ 架台 １０ 防熱部 １１ 調理側炉壁 １１ａ 調理側炉壁空洞部 １２ 客席側炉壁 １２ｂ 客席側炉壁空洞部 １３ 左右妻壁 １３ａ 左右妻壁空洞部 １４ 底板 ２０ 吸熱パイプ ２１ コンプレッサー Ｃ 炭 Ｇ ヤキトリ Ｒ 炉筐

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 燃焼チャンバー１に配設されたロストル
   ２上で炭Ｃを燃焼させ、その上方のグリット３に配置し
   た串刺ヤキトリＧを前記炭Ｃの燃焼熱によって串焼する
   ヤキトリ炉において、チャンバー１における少なくとも
   調理側炉壁１１と客席側炉壁１２とを中空構造に構成し
   て、これら調理側炉壁１１の空洞部１１ａ内および客席
   側炉壁１２の空洞部１２ａ内に冷媒液Ｗを通流せしめる
   ことを特徴としたヤキトリ炉の炉壁冷却構造。
2. 【請求項２】 燃焼チャンバー１に配設されたロストル
   ２上で炭Ｃを燃焼させ、その上方のグリット３に配置し
   た串刺ヤキトリＧを前記炭Ｃの燃焼熱によって串焼する
   ヤキトリ炉において、チャンバー１における少なくとも
   調理側炉壁１１と客席側炉壁１２とを中空構造に構成し
   て、これら調理側炉壁１１の空洞部１１ａ内および客席
   側炉壁１２の空洞部１２ａ内に冷却水Ｗを通流せしめる
   ことを特徴としたヤキトリ炉の炉壁冷却構造。
3. 【請求項３】 燃焼チャンバー１に配設されたロストル
   ２上で炭Ｃを燃焼させ、その上方のグリット３に配置し
   た串刺ヤキトリＧを前記炭Ｃの燃焼熱によって串焼する
   ヤキトリ炉において、チャンバー１における、少なくと
   も調理側炉壁１１と客席側炉壁１２とを中空構造に構成
   して、これら調理側炉壁１１の空洞部１１ａ内および客
   席側炉壁１２の空洞部１２ａ内に吸熱パイプ２０を配設
   し、この吸熱パイプ２０内に冷媒液Ｗを圧送循環可能に
   したことを特徴としたヤキトリ炉の炉壁冷却構造。