JP3013568B2 - 圧電素子用導体ペースト材料及び圧電素子用電極 - Google Patents

圧電素子用導体ペースト材料及び圧電素子用電極

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JP3013568B2 JP4008291A JP829192A JP3013568B2 JP 3013568 B2 JP3013568 B2 JP 3013568B2 JP 4008291 A JP4008291 A JP 4008291A JP 829192 A JP829192 A JP 829192A JP 3013568 B2 JP3013568 B2 JP 3013568B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は圧電素子の電極を形成す
るための圧電素子用導体ペースト材料、及び圧電素子用
電極に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、各種の機械的駆動素子として、電
磁力を利用したアクチュエータに代わって、チタン酸ジ
ルコン酸鉛(PZT)磁器などのセラミックスの圧電効
果を利用した積層型圧電アクチュエータが多用されてい
る。この積層型圧電アクチュエータは発熱が少なく、ま
た小型で高速駆動が可能であり、しかも高精度な電圧−
変位特性を期待できるため、各種の機械的駆動素子とし
て極めて有望である。ただ圧電効果による機械的変位は
本質的に極めて小さいので、大きな変位量を得るために
圧電素子と電極とを交互に多重に積層し絶縁保護層で被
覆された構造の圧電積層体として提供されている。
【0003】例えば、特開昭63−142875号公報
には、導体ペースト材料がスクリーン印刷されたチタン
酸ジルコン酸鉛のグリーンシートを複数枚積層し、11
50〜1250℃で焼成した後、絶縁保護層で被覆し、
さらに分極処理することにより、圧電素子と内部電極と
が交互に積層されて一体化された積層型圧電アクチュエ
ータが開示されている。なお上記分極処理は、一般に室
温〜150℃の雰囲気中で内部電極を介して圧電素子に
所定の電圧を印加することにより行われる。この積層型
圧電アクチュエータは、上記内部電極への通電により上
記圧電素子が軸方向に伸びてアクチュエータとして作動
する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記内部電
極を形成するための導体ペースト材料として、銀、銀−
パラジウム、白金、金などの貴金属材料を用いるのが主
流である。この貴金属材料は圧電素子とのオーミックコ
ンタクト性が良好なので、圧電素子に優れた電気特性を
発揮させることができるものの、コストが高いという欠
点がある。このため近年、上記導体ペースト材料とし
て、コストの低い卑金属材料が使われ始めている。
【0005】しかし、卑金属材料は貴金属材料に比べて
圧電素子とのオーミックコンタクト性が低い。このた
め、卑金属材料で圧電素子用電極を形成した場合、圧電
素子の分極性が低下し、圧電素子本来の電気特性を十分
に発揮させることができないという問題点がある。本発
明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、低コスト
で、しかも圧電素子本来の電気特性を十分に発揮させる
ことのできる圧電素子用電極を提供することを目的とす
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する本発
明の圧電素子用導体ペースト材料は、母材としての卑金
属粒子と、該卑金属粒子より粒径が小さくかつ比重が大
きい添加材としての貴金属粒子とを含むことを特徴とす
る。また本発明の圧電素子用電極は、圧電素子の表面に
形成される圧電素子用電極であって、母材としての卑金
属粒子と、該卑金属粒子より粒径が小さくかつ比重が大
きい添加材としての貴金属粒子とからなり、前記貴金属
粒子は、前記圧電素子との界面に集まって分散している
ことを特徴とする。
【0007】
【作用】本発明の圧電素子用導体ペースト材料は、母材
としての卑金属粒子と、該卑金属粒子より粒径が小さく
かつ比重が大きい添加材としての貴金属粒子とを含む。
このペースト材料を圧電素子の表面に塗布して、水平状
態で所定時間静置しておくと、粒径が小さくかつ比重が
大きい貴金属粒子が圧電素子との界面に沈降して集ま
る。この状態で焼成すれば、貴金属粒子が圧電素子との
界面に集まって分散した圧電素子用電極を形成すること
ができる。
【0008】この貴金属粒子が圧電素子との界面に集ま
って分散した圧電素子用電極は、圧電素子とのオーミッ
クコンタクト性の良好な貴金属粒子が圧電素子と多く接
触するので、圧電素子の分極性が良好となる。
【0009】
【実施例】以下、本発明の実施例を具体的に説明する。 (実施例1)表1に示す金属成分組成及び平均粒径をも
つ金属混合粒子100g、低融点ガラスフリット10
g、エチルセルロース2.0g、及びテレピネオール2
0gを配合し、らいかい機で混練して導体ペースト材料
を調整した。なお、Alの比重はd20=2.7、Pdの
比重はd20=12.03である。
【0010】
【表1】 PZT(PbZrO3 ・PbTiO3 )系セラミックス
よりなる円板状の圧電素子(φ17mm×t0.5m
m)1を水平に維持した状態で、この圧電素子2の片面
全面に、上記導体ペースト材料をスクリーン印刷した。
この導体ペースト材料が印刷された圧電素子1を水平の
まま約30分間静置した後、120℃で10分間乾燥し
た。これにより、圧電素子1の片面に10μmの厚さの
導体ペースト膜2aを形成した(図1参照)。
【0011】上記圧電素子1の他方の片面全面に、上記
と同様に10μmの厚さの導体ペースト膜2bを形成し
た(図2参照)。両面に導体ペースト膜2a、2bが形
成された圧電素子1を空気中にて600℃で20分間焼
成して、圧電素子1の両面に圧電素子用電極21、22
を形成した。なお、焼成後の電極21の圧電素子1との
界面部分を拡大して観察した結果を図3の模式図に示す
ように、母材としてのAl粒子(卑金属粒子)3間に添
加材としてのPd粒子(貴金属粒子)4が分散するとと
もに、圧電素子1との界面に大部分のPd粒子4が集ま
って分散していた。 (評価)シリコーンオイル中にて、圧電素子1の両電極
21、22にDC1.5kVの電圧を印加して分極処理
を行い、インピーダンスアナライザーでd33を測定し
た。その結果を図4に示す。なお図4中、線図AはPd
粒子の平均粒径を0.05μm、及び0.1μmとした
ときの結果を示し、線図BはPd粒子の平均粒径を0.
3μmとしたときの結果を示し、線図CはPd粒子の平
均粒径を0.5μmとしたときの結果を示し、線図Dは
Pd粒子の平均粒径を0.7μmとしたときの結果を示
し、線図EはPd粒子の平均粒径を1.0μm以上とし
たときの結果を示す。また、金属成分としてPd100
重量%(平均粒径0.1μm)としたときの結果を図4
に合わせて示す。
【0012】図4からも明らかなように、母材としての
卑金属粒子(Al粒子)に、所定の平均粒径をもつ添加
材としての貴金属粒子(Pd粒子)を少量添加すること
により、貴金属粒子100%のものと同レベルの電気特
性を得ることが可能である。これは、圧電素子とのオー
ミックコンタクト性の良好なPd粒子が圧電素子と多く
接触しているためと考えられる。
【0013】また、Pd粒子の平均粒径が大きくなるに
つれてd33の向上率が低下し、Pdの平均粒径が0.5
μmより大きくなると(線図D又はE)、十分な電気特
性を得ることができなくなる。したがって、Pd粒子の
平均粒径は0.05〜0.50μm(線図A、B又は
C)の範囲が好ましいことがわかる。またPd粒子の平
均粒径が0.05〜0.1μmのとき(線図A)、Pd
粒子を金属成分全体に対して2重量%以上添加すれば十
分な電気特性を得ることができ、Pd粒子の平均粒径が
0.5μmのとき(線図C)でも、Pd粒子を金属成分
全体に対して15重量%以上添加すれば十分な電気特性
を得ることができる。なお、Pd粒子を必要以上に添加
してもd33の向上率は増加しない。このため、Pd粒子
の平均粒径に応じて、金属成分全体に対するPd粒子の
最適添加量を決定することができる。
【0014】なお、母材としての卑金属粒子(Al粒
子)の平均粒径を1μm以下として上記と同様に電極を
形成した結果、サブミクロンオーダーのAl粒子は大気
中又は焼成中での酸化が著しく、電気抵抗値が平均粒径
1μm以上のものと比べて、10倍以上に上昇した。ま
た、圧電素子との密着強度も著しく低下した。このた
め、母材としての卑金属粒子の平均粒径は1μm以上と
することが好ましい。このことは、卑金属粒子全般に言
えることである。 (実施例2)卑金属粒子としてのAl粒子の代わりにN
i粒子(平均粒径3μm、比重d25=8.845)を用
い、貴金属粒子として平均粒径が0.05μm、0.1
0μmのPd粒子を用いて実施例1と同様の導体ペース
ト材料を準備した。そして、実施例1と同様に、圧電素
子の両面に圧電素子用電極を形成するとともに分極し、
33を測定した。
【0015】その結果、d33の向上率は最大で6%であ
った。この原因としては、貴金属粒子としてのPd粒子
が卑金属粒子としてのNiに固溶してPdの効果が小さ
くなったため、オーミックコンタクト性が十分に向上し
なかったものと考えられる。このことは、電極と圧電素
子との界面を焼成前後で観察した結果を比較すると、焼
成前では界面に分散していたPd粒子が焼成後ではNi
粒子中に部分的に拡散していたことからも明らかであ
る。
【0016】これにより、卑金属粒子と貴金属粒子との
組合せ及び組成は、貴金属粒子が卑金属粒子に固溶しな
いような組合せ及び組成とすることが好ましいことがわ
かる。なお、上記実施例では、貴金属粒子としてPd粒
子を用いたが、貴金属粒子の種類としては、卑金属粒子
よりも比重の大きいものであればよい。具体的にはPd
の他にPt、Ag、Au等を用いることができ、これら
の一種以上とすることもできる。また卑金属粒子の種類
としては、貴金属粒子よりも比重の小さいものであれば
よい。具体的には、Al、Ni、Co、Zn、Sn、I
n、Cd、Mgなどの粒子から選ばれる一種以上とする
ことができる。ただし、卑金属粒子と貴金属粒子との組
合せ及び組成は、上述したように互いに固溶しないよう
な組合せ及び組成とすることが好ましい。 (比較例)上記実施例1のAl粒子の代わりにAg粒子
(平均粒径3μm)を用い、貴金属粒子として平均粒径
が0.05μm、0.10μmのPd粒子を用いて実施
例1と同様の導体ペースト材料を準備した。そして、実
施例1と同様に、圧電素子の両面に圧電素子用電極を形
成するとともに分極し、d33を測定した。
【0017】その結果、Ag粒子にPd粒子を添加して
も、Ag粒子単独の場合よりもd33が向上することはな
かった。これはPdがAgに固溶するためであり、これ
によりAg粒子にPd粒子を添加してもオーミックコン
タクト性の向上は無かったことがわかる。
【0018】
【発明の効果】以上詳述したように本発明によれば、母
材としての卑金属粒子に添加材として所定の貴金属粒子
を加えることにより、貴金属のみからなる従来の圧電素
子用電極と同等の電気特性を確保することができ、卑金
属粒子を用いる分だけコスト低減を図ることができる。
【0019】また、卑金属のみからなる従来の圧電素子
用電極と比べて、圧電素子の駆動電圧を小さくすること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】圧電素子の片面に導体ペースト材料を塗布した
状態を示す断面図である。
【図2】圧電素子の両面に圧電素子用電極を形成した状
態を示す断面図である。
【図3】本実施例に係る圧電素子用電極の圧電素子との
界面部分を拡大した模式図である。
【図4】Pd粒子添加量とd33向上率との関係を示す線
図である。
【符号の説明】 1は圧電素子、2aは導体ペースト膜、21、22は圧
電素子用電極、3はAl粒子、4はPd粒子である。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 母材としての卑金属粒子と、該卑金属粒
    子より粒径が小さくかつ比重が大きい添加材としての貴
    金属粒子とを含むことを特徴とする圧電素子用導体ペー
    スト材料。
  2. 【請求項2】 圧電素子の表面に形成される圧電素子用
    電極であって、母材としての卑金属粒子と、該卑金属粒
    子より粒径が小さくかつ比重が大きい添加材としての貴
    金属粒子とからなり、 前記貴金属粒子は、前記圧電素子との界面に集まって分
    散していることを特徴とする圧電素子用電極。
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