JP3013477B2 - アルミナ基セラミックスおよびそのセラミックスからなる切削工具 - Google Patents

アルミナ基セラミックスおよびそのセラミックスからなる切削工具

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JP3013477B2 JP3060935A JP6093591A JP3013477B2 JP 3013477 B2 JP3013477 B2 JP 3013477B2 JP 3060935 A JP3060935 A JP 3060935A JP 6093591 A JP6093591 A JP 6093591A JP 3013477 B2 JP3013477 B2 JP 3013477B2
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alumina
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Mitsubishi Materials Corp
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、酸化アルミニウム
(以下、Al2 3 と記す)および酸化ジルコニウムを
主成分とするアルミナ基セラミックスに関するものであ
り、このアルミナ基セラミックスは、主として切削工具
に用いるものである。
【0002】
【従来の技術】従来、Al2 3 および酸化ジルコニウ
ムを主成分とするアルミナ基セラミックスは、Al2
3 粉末、安定化剤無添加ZrO2 (このZrO2 は、他
の成分として不可避不純物しか含まれていない純ZrO
2 を示す)粉末、焼結助剤粉末および粒成長抑制剤粉末
などを混合し、この混合粉末をプレス成形して圧粉体と
し、この圧粉体を焼結またはHIPすることにより製造
していた。このようにして製造されたアルミナ基セラミ
ックスは、上記焼結助剤および粒成長抑制剤を含む酸化
アルミニウム素地中に、安定化剤無添加ZrO2 微粒子
が均一に分散している組織を有し、これら安定化剤無添
加ZrO2 微粒子は、焼結体またはHIP体の冷却過程
において高温で安定な立方晶から室温で安定な単斜晶へ
と結晶が変態し、その際にZrO2 微粒子が体積膨張し
て焼結体内部に極めて微細な亀裂を無数に生じせしめ、
この微細亀裂が大きな亀裂の伝播を阻止するために、結
果として優れた靭性を示すものと考えられている。
【0003】しかし、上記微細亀裂の存在は、耐摩耗性
の低下をもたらすために、MgO,CaOなどを含有せ
しめた安定化剤添加ZrO2 微粒子を酸化アルミニウム
素地中に均一分散せしめた組織を有するアルミナ基セラ
ミックスも提案されている。上記安定化剤添加ZrO2
微粒子は、焼結体を室温に冷却する過程において立方晶
から単斜晶へ結晶形が変態することがないので体積膨張
することがなく、したがって微細亀裂の発生がない。そ
のため上記安定化剤添加ZrO2 微粒子を含むアルミナ
基セラミックスは耐摩耗性が数倍向上し、その際の靭性
は少なくとも変らないとされている(特開昭54−60
308号公報参照)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記安
定化剤添加ZrO2微粒子を素地中に均一分散した上記
アルミナ基セラミックスは、安定化剤無添加ZrO2
粒子が均一分散したアルミナ基セラミックスに比べて靭
性が劣ることは避けられず、上記安定化剤添加ZrO2
微粒子が均一分散しているアルミナ基セラミックスで作
製された切削工具は、耐欠損性に劣るために特に過酷な
条件の断続切削に用いることはできなかった。
【0005】
【課題を解決するための手段】そこで本発明者等は、上
記過酷な断続切削に対しても安心して使用することので
きる優れた耐摩耗性および優れた靭性を兼ね備えたアル
ミナ基セラミックスを開発すべく研究を行った結果、A
2 3 粉末、安定化剤無添加ZrO2 粉末、安定化剤
添加ZrO2 粉末および焼結助剤粉末を配合および混合
し、プレス成形して圧粉体とし、この圧粉体を焼結して
得られたアルミナ基セラミックスは、上記焼結助剤を含
有したAl2 3 素地中に、安定化剤無添加ZrO2
粒子および安定化剤添加ZrO2 微粒子が共存して均一
分散した組織を有し、このアルミナ基セラミックスは、
靭性および耐摩耗性が共に優れた性質を示し、このアル
ミナ基セラミックスで作製された切削工具は特に過酷な
断続切削に用いた場合に優れた効果を発揮するという知
見を得たのである。
【0006】この発明は、かかる知見にもとづいてなさ
れたものであって、焼結助剤:0.05〜5重量%を含
有し、残りがAl2 3 からなる素地中に、安定化剤無
添加ZrO2 微粒子が0.3〜20容量%、安定化剤添
加ZrO2 微粒子が0.3〜20容量%、の範囲内にあ
り、かつ上記安定化剤無添加ZrO2 微粒子および安定
化剤添加ZrO2 微粒子の合計量が0.6〜30容量%
の範囲内にあるように均一分散している組織を有するア
ルミナ基セラミックスおよびそのアルミナ基セラミック
スで作製した切削工具に特徴を有するものである。
【0007】この発明において、上記焼結助剤とは、C
r,Mn,Fe,Co,Ni,V,NbおよびTaの酸
化物のうち1種または2種以上を示し、上記安定化剤無
添加ZrO2 微粒子とは純ZrO2 または不可避不純物
のみを含む通常のZrO2 微粒子を示し、さらに上記安
定化剤添加ZrO2 微粒子とは、Y2 3 ,MgO,C
eOおよびCaOのうち1種または2種以上を0.5〜
10モル%固溶したZrO2 の微粒子を示す。
【0008】上記酸化アルミニウム素地中に均一分散し
ている安定化剤無添加ZrO2 微粒子および安定化剤添
加ZrO2 微粒子の平均粒径は、いずれも1μm以下で
あることが好ましい。
【0009】この発明のアルミナ基セラミックスを製造
するには、Al2 3 粉末、安定化剤無添加ZrO2
粉末、安定化剤添加ZrO2 微粉末、および焼結助剤微
粉末を所定の割合に配合し、混合し、プレス成形して圧
粉体とし、この圧粉体を大気中、温度:1300〜17
00℃で焼結するか焼結後さらに熱間静水圧プレスす
る。
【0010】つぎに、この発明のアルミナ基セラミック
スの成分組成および分散量を上記の如く限定した理由に
ついて説明する。
【0011】(a)安定化剤無添加ZrO2 微粒子 安定化されないZrO2 微粒子とは、通常の純ZrO2
微粒子であって、不可避不純物のみが含まれているZr
2 微粒子であるが、この安定化剤無添加ZrO2 微粒
子が酸化アルミニウム素地中に0.3容量%未満均一分
散していても靭性向上効果が現われず、一方、20容量
%を越えて分散しているとアルミナ基セラミックスの強
度が低下するので好ましくない。したがって、安定化剤
無添加ZrO2 微粒子の分散量は0.3〜20容量%に
定めた。
【0012】(b)安定化剤添加ZrO2 微粒子 安定化剤添加ZrO2 微粒子とは、Y2 3 ,CeO,
MgOおよびCaOのうち1種または2種以上を0.5
〜10モル%固溶しているZrO2 微粒子であるが、か
かる安定化剤添加ZrO2 微粒子が酸化アルミニウム素
地中に0.3容量%未満均一分散しても耐摩耗性効果を
十分に発揮することができず、一方、その分散量が20
容量%を越えても耐熱衝撃性が低下するので好ましくな
い。したがって安定化剤添加ZrO2 微粒子の分散量は
0.3〜20容量%に定めた。またZrO2微粒子に含
まれる安定化剤が0.5モル%未満では十分に安定され
ず、この安定化剤:0.5モル%未満添加のZrO2
粒子を酸化アルミニウム素地中に均一分散させても耐摩
耗性を向上させる効果が現われず、一方、安定化剤を1
0モル%を越えて添加したZrO2 微粒子を均一分散さ
せたものは靭性が低下するので好ましくない。
【0013】(c)安定化剤無添加ZrO2 と安定化剤
添加ZrO2 の微粒子の合計量 上記安定化剤無添加ZrO2 微粒子が0.3〜20容量
%、安定化剤添加ZrO2 微粒子が0.3〜20容量%
の割合で酸化アルミニウム素地中に均一分散していて
も、それらの合計量が30容量%を越えると高温特性が
悪くなり、耐熱衝撃性も低下するので好ましくない。し
たがって、安定化剤無添加ZrO2 微粒子および安定化
剤添加ZrO2 微粒子の合計均一分散量は30容量%以
下に定めた。
【0014】(d)焼結助剤 焼結助剤として、Cr,Mn,Fe,Co,Ni,V,
NbおよびTaの酸化物粉末を1種または2種以上添加
して焼結すると、特にAl2 3粉末の焼結性が向上
し、素地の密度を向上せしめ、もってアルミナ基セラミ
ックスの強度を向上せしめる効果を有するが、素地に含
まれる焼結助剤の量が0.05重量%未満では上記効果
が現われず、一方、5重量%を越えて含有すると高温特
性が悪くなりまた耐摩耗性も低下するので好ましくな
い。したがって、素地中に含まれる焼結助剤の含有量は
0.05〜5重量%に定めた。
【0015】
【実施例】つぎに、この発明を実施例にもとづいて具体
的に説明する。
【0016】原料粉末として、いずれも平均粒径で、
0.4μmのAl2 3 粉末、0.5μmのZrO2
末、0.8μmのCr2 3 粉末、0.9μmのFe2
3粉末、1.1μmのMnO粉末、1.2μmのCo
O粉末、1.0μmのNiO粉末、1.2μmのV2
5 粉末、0.9μmのNb2 5 粉末、1.0μmのT
2 5 粉末、を用意し、さらに、いずれも平均粒径:
0.5μmの Y2 3 :3モル%固溶のZrO2 粉末、Y2 3 :2
モル%固溶のZrO2 粉末、MgO:9モル%固溶のZ
rO2 粉末、CaO:5モル%固溶のZrO2粉末、C
eO:3モル%固溶のZrO2 粉末、をそれぞれ用意し
た。
【0017】これら原料粉末を所望の配合組成となるよ
うに配合し、ボールミルで72時間湿式混合したのち、
圧粉体にプレス成形した。
【0018】上記圧粉体を大気雰囲気中、温度:155
0℃、3時間保持の条件で焼結して焼結体とし、これら
焼結体の一部についてはさらにAr雰囲気中圧力:10
00気圧、温度:1500℃、3時間保持のHIP処理
を施し、表1および表2に示される組成および組織を有
する本発明セラミックス1〜10、比較セラミックス1
〜6および従来セラミックス1〜3を作製した。
【0019】これら本発明セラミックス1〜10、比較
セラミックス1〜6および従来セラミックス1〜3につ
いての抵抗力、インデンテーション法による破壊靭性値
を測定し、さらにこれらのセラミックスを用いて、下記
の条件で鋳鉄の高送り乾式断続切削試験を行ない、切刃
の逃げ面摩耗幅を測定し、それらの測定結果を表3に示
した。
【0020】乾式断続切削試験条件 被削材:長さ方向に沿って等間隔に設けた4本の縦溝を
有するFC30丸棒、切削速度:300m/min.、送
り:0.3mm/rev.、切込み:1.0mm、切削時間:2
0min.、
【0021】
【表1】
【0022】
【表2】
【0023】
【表3】
【0024】
【発明の効果】表1〜表3の結果から、本発明セラミッ
クス1〜10は、いずれも従来セラミックス1〜3より
も抗折力および破壊靭性値が優れ、切削試験においても
欠損が発生せず、逃げ面摩耗幅が少ないことから靭性お
よび耐摩耗性に優れていることがわかる。
【0025】しかし、この発明の条件から外れた比較セ
ラミックス1〜6は、抗折力、破壊靭性値または逃げ面
摩耗幅のいずれかが劣ることがわかる。
【0026】したがって、この発明のアルミナ基セラミ
ックスを用いて作製された切削工具は、従来のアルミナ
基セラミックス切削工具に比べて使用寿命が長く、切削
工具の交換回数が少なくなるために従来よりもコストを
下げることができ、工業的に大きな貢献をなしうるもの
である。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C04B 35/10 C04B 35/48

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッ
    ケル、バナジウム、ニオブおよびタンタルのそれぞれの
    酸化物の1種または2種以上:0.05〜5重量%を含
    有し、残りが酸化アルミニウムからなる素地中に、安定
    化剤無添加酸化ジルコニウム微粒子:0.3〜20容量
    %、酸化イットリウム、酸化マグネシウム、酸化セリウ
    ムおよび酸化カルシウムのうち1種または2種以上を
    0.5〜10モル%固溶した酸化ジルコニウム(以下、
    これを安定化剤添加酸化ジルコニウムという)微粒子:
    0.3〜20容量%、の範囲内であって、上記安定化剤
    無添加酸化ジルコニウム微粒子および安定化剤添加酸化
    ジルコニウム微粒子の合計量は30容量%を越えないよ
    うに均一分散している組織を有することを特徴とするア
    ルミナ基セラミックス。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のアルミナ基セラミックス
    からなることを特徴とする切削工具。
JP3060935A 1991-02-14 1991-02-14 アルミナ基セラミックスおよびそのセラミックスからなる切削工具 Expired - Lifetime JP3013477B2 (ja)

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