JP3013094B2 - ポリオレフィンの製法 - Google Patents
ポリオレフィンの製法Info
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Description
動を行なうための方法に関し、詳しくは、気相流動床反
応器によるポリオレフィンの製造において、反応開始時
に起こりやすい溶融樹脂の発生を抑制し、反応装置の運
転を円滑に行なうための方法に関するものである。
いては、流動床反応器にあらかじめ種ポリマーと呼ばれ
る樹脂の粉末を充填して流動を開始し、原料混合ガス、
触媒および助触媒としてのアルキルアルミニウム化合物
を連続的に供給すると共に、ガス中の不純物(酸素、水
分等)を除去しながら重合反応を行ない、所定の滞留時
間の間に成長した重合体粒子を抜き出す。上記の種ポリ
マーを使用しないと、供給した触媒が分散し難いため粒
状の樹脂が生成せず、したがって流動床も形成されない
ので、流動床系の重合反応器においては運転開始時に必
ず種ポリマーが使用されてきた。
重要な点は、投入された触媒が反応器内できる限り均一
に分散され、かつ流動化ガスが反応器内に均一に分散さ
れて、これらにより反応熱が充分に除去されることであ
る。すなわち、反応器内において触媒濃度が局部的に著
しく高くなったり、ガスが充分に分散せずに、冷却効果
が不完全となった場合には、溶融樹脂が生成し、これが
塊状となって流動化を妨げ、温度分布が一層不均一にな
ってさらに溶融樹脂が生成し、この悪循環が繰り返され
て、ついには樹脂を容器内から抜き出すことが不可能と
なり、生産を停止せざるを得なくなる。
ついては、樹脂の粒径および粒径分布、かさ密度などと
流動化ガス速度との関係を検討し、かつ容器の構造を配
慮することなどによって比較的容易に解決することがで
きる。しかし、前者の触媒の分散に関しては、触媒およ
び樹脂の粉末の運動により発生する静電気のため、容器
壁へ触媒の微粉末が付着して触媒濃度が増大する結果、
均一な分散状態を実現することがきわめて困難であっ
た。多くの場合、反応開始後約半日間にこの現象が著し
く、壁面のみ温度が上昇して、そこで樹脂の溶融が発生
する。
は日常よく経験されるところであり、たとえば樹脂粉を
パイプで輸送する際に、その粉末がパイプの内面に薄く
付着することなどが知られている。流動床によるポリオ
レフィンの製造においてもこれらの事実は従来から経験
されており、その対策として、米国特許4,855,370号に
おいては反応器内に水分を含有したガスを供給し、特開
昭56−4608号においては液状炭化水素を共存させる方法
を開示しており、さらに米国特許4,532,311号ではクロ
ム含有化合物の添加を、また、特開平1−230607号では
アルコール、ケトンなどをそれぞれ反応器内に添加する
方法を開示している。しかし、これらはいずれも重合反
応中に特定物質を反応器内に供給する方法であるため、
実施に当たり特別の装置を設置する必要があり、かつ運
転操作も複雑にならざるをえない。したがって、より簡
便な方法によって有効に上記の欠点を排除する手段が強
く求められていた。
欠点を排除し、反応系に特に新たな設備を設けることな
く、きわめて容易な手段で静電気の発生に基づく溶融樹
脂の生成を防止してポリオレフィン粒子を製造する方法
を提供することを目的とする。
果、あらかじめ反応器に水および酸素を含有する粒子を
充填して流動床反応を開始することにより、溶融樹脂の
生成を防ぐことができることを見出して本発明に到達し
た。
の重合反応において、水および分子状の酸素を含有し、
かつ流動床を形成し得る粒子をあらかじめ反応器内に送
入して反応を開始することを特徴とするポリオレフィン
の製法を提供するものである。
で運転される流動床系をすべて包含し、攪拌機を有する
場合または有しない場合のいずれであってもよい。
2〜8のもの、たとえば、エチレン、プロピレン、1−
ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1
−オクテンなどのα−オレフィンが挙げられる。これら
は単独で、または2種以上の混合物として用いられる。
ナジウム化合物を含有するチーグラー触媒またはクロム
化合物を含有するフィリップス触媒など公知のものが挙
げられる。
を抑制する有害な不純物であり、アルキルアルミニウム
などの助触媒でこれらを除去した後に反応を開始する必
要があるとされてきた。しかしながら本発明者らによれ
ば、一定量の水および分子状の酸素を含有する粒子をあ
らかじめ反応器内に充填した後に反応を開始することに
より、重合反応を大きく低下させることなく反応開始後
の静電気の発生による塊状の溶融樹脂の生成を著しく抑
制することができる事実が判明した。この事実は従来実
施されている種ポリマーの使用においては経験されてい
なかったところである。
び分子状の酸素を含有する粒子は、流動床を形成し得る
ものであればいかなる種類のものでも使用することがで
きるが、流動化の条件および製品品質への影響などを考
慮すれば、粒状樹脂、特に製品ポリオレフィンに類似し
た成分からなる粒状樹脂に水および分子状酸素を含有さ
せたものが好ましい。これらポリオレフィン粒子を使用
する場合には、粒子中に含まれる触媒残渣の多いものが
好ましい。触媒残渣が多い場合には、少ない場合に比べ
て溶融樹脂の生成防止効果が大きく、かつ反応停止作用
が小さい。なおこの目的で使用するポリオレフィン粒子
の性状としては、平均粒径500〜2,000μmで微粉が少な
く、かつかさ密度0.25〜0.5g/cm3のものが好ましい。
ppm、好ましくは30〜50ppmの範囲である。含水量が20pp
m未満では溶融樹脂の生成を抑制する効果を発揮するこ
とができない。一方、水分が80ppmを越える場合には、
重合反応が停止したり、または水分とアルキルアルミニ
ウムとが急激に反応を起こし、却って溶融樹脂を生成し
易くなったりするため、いずれも好ましくない。
のではなく、分子状の酸素と室温で十分に接触させるこ
とにより容易に目的を達することができる。該粒子がポ
リオレフィン粒子である場合には、1kgのポリオレフィ
ン粒子に対して0.02〜0.2kgの酸素を、所要時間1時間
以上で通気接触させることが好ましい。
にわたり均一に分布していることが好ましい。そのため
には、該粒子を水蒸気および分子状酸素を含有する不活
性ガスで処理する方法が好ましい。分子状の酸素を含有
する不活性ガスとしては、空気が実用上最も好ましいの
で、具体的な方法としては、たとえば、前記粒子の貯蔵
容器に水蒸気を含有する空気を流入させたり、粒子を大
気中に長時間暴露するなどの方法を用いることができ
る。あるいは、攪拌機付き混合機またはスクリューミキ
サー内で粒子を水蒸気および空気で処理する方法などで
もよい。また、これらの方法を併用してもよい。
としては気体輸送が一般に用いられ、また充填量は重合
反応に必要な流動床高さを保つ量とする。
を反応開始時に用いて気相流動床によるポリオレフィン
粒子の製造を行なったところ、反応器内の温度は局部的
に高温を示すことなく、運転停止後の反応器内には溶融
樹脂の生成が認められず、かつ水および酸素を含有する
素粒子を用いない場合に比べて著しく円滑な運転が可能
となった。
テン共重合体を製造するに際し、まず反応系内にエチレ
ン40モル%、水素8モル%、1−ブテン17モル%および
窒素35モル%からなる原料ガスを循環させ、加熱しなが
ら反応系内の水分量が1ppm以下になるまで乾燥した。次
に、種ポリマーとしてあらかじめ製造してあったエチレ
ン・1−ブテン共重合体の粒状樹脂(平均粒径1,000μ
m)の貯蔵サイロ(窒素シール)の下部から空気を空搭
速度0.75cm/secで送入し、一方水を定量ポンプによりヒ
ーターを通して水蒸気とし、上記空気流に注入した。上
記処理を24時間継続し、この間に送入した水の量は3×
10-3kg−水/kg−種ポリマーであった。この結果、反応
器に充填する前の種ポリマーの水分は40ppmであった。
また上記処理の間に送入された酸素の量は0.13kg−酸素
/kg−種ポリマーであった。
ーを窒素気流により反応器に充填し、上記ガスにより流
動化させて反応を開始した。触媒はシリカ−塩化マグネ
シウム−四塩化チタン系の固体触媒成分をジエチルアル
ミニウムクロリドにより活性化したものである。助触媒
としてトリエチルアルミニウムを用いた。
密度0.918g/cm3、メルトフローレート1.0g/10minのエチ
レン・1−ブテン共重合体が得られた。反応器内の温度
に場所による偏りは見られず、また、20日間運転を継続
した後停止して反応器内部の点検を行なったところ、溶
融樹脂によるシートの生成は観察されなかった。
にして直鎖低密度エチレン・1−ブテン共重合体を製造
するに当り、種ポリマーにあらかじめ水分および分子状
の酸素を含有させないで使用した。すなわち反応系内を
実施例1と同じ原料ガスを用いて乾燥した後、実施例1
と同じエチレン・1−ブテン共重合体からなる種ポリマ
ー粒状樹脂に空気および水蒸気の送入を行なわないで貯
蔵サイロから窒素気流により反応器内に充填し、原料ガ
スにより流動化させて反応を開始した。触媒および助触
媒は実施例1で使用したものと同様である。
散板上30cmの高さの反応器壁温度計が流動床平均温度よ
り1〜2℃高い値を示し始めた。さらに触媒供給関係後
7時間目頃からは前記の温度が10℃高くなり、かつガス
分散板上70cmの高さの反応器壁温度も2〜3℃高い温度
を示すに至った。この後、重合生成物中にシート状の溶
融ポリエチレンが現われはじめ、15時間後には重合物抜
き出し口が閉塞したため反応を停止した。
にして直鎖低密度エチレン・1−ブテン共重合体を製造
するに当り、種ポリマーをあらかじめ大気中に暴露して
使用した。すなわち、実施例1と同じエチレン・1−ブ
テン共重合体からなる種ポリマー粒状樹脂を紙袋に入
れ、開口したまま大気中に24時間放置した。大気の温度
は20℃、相対湿度は56%であり、大気暴露後の種ポリマ
ーの水分は25ppmであった。
た。一方、上記の大気暴露した種ポリマーを貯蔵サイロ
に投入し、そこから種ポリマーを窒素気流により反応器
内に送入し、原料ガスにより流動化させて反応を開始し
た。触媒および助触媒は実施例1で使用したものと同様
である。
0.920g/cm3、メルトフローレート2.0g/10minのエチレン
・1−ブテン共重合体が得られた。反応器内の温度に偏
りはなく、また30日間運転を継続した後に停止して反応
器内部の点検を行なったが、溶融樹脂によるシートの生
成は見られなかった。
Claims (1)
- 【請求項1】気相流動床によるα−オレフィン重合反応
において、粒子重量に対し20〜80ppmの水分を含有さ
せ、かつ1kgに対し0.02〜0.2kgの酸素を1時間以上通気
接触することにより分子状の酸素を含有させた、流動床
を形成し得るポリオレフィン粒子を、あらかじめ反応器
内に充填して反応を開始することを特徴とするポリオレ
フィンの製法。
Priority Applications (9)
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---|---|---|---|
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Publications (2)
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Family Applications (1)
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JP2200010A Expired - Fee Related JP3013094B2 (ja) | 1990-07-27 | 1990-07-27 | ポリオレフィンの製法 |
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JP6743463B2 (ja) | 2016-04-12 | 2020-08-19 | 住友化学株式会社 | ポリオレフィンの製造方法 |
-
1990
- 1990-07-27 JP JP2200010A patent/JP3013094B2/ja not_active Expired - Fee Related
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