JP3011817B2 - メチン化合物 - Google Patents

メチン化合物

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JP3011817B2
JP3011817B2 JP4116809A JP11680992A JP3011817B2 JP 3011817 B2 JP3011817 B2 JP 3011817B2 JP 4116809 A JP4116809 A JP 4116809A JP 11680992 A JP11680992 A JP 11680992A JP 3011817 B2 JP3011817 B2 JP 3011817B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、着色剤、光吸収剤、ハ
ロゲン化銀写真や電子写真の分光増感色素、光ディスク
用色素、さらに医薬として有用な新規なメチン化合物に
関する。
【0002】
【従来の技術】可視域の光を吸収する化合物は、吸収し
た光の波長に応じて様々な色を示す。このような化合物
は、色素あるいは染料と称せられ、各種材料の着色に用
いられる他、より高度な利用法として高密度情報記録材
料である光ディスクの情報記録するための色素記録層
や、画像情報記録材料であるハロゲン化銀写真や電子写
真の分光増感色素、あるいはフィルター用色素にも使用
されている。また、近年ではフォトセラピー等の医薬と
しても注目されるようになってきている。
【0003】上記用途に用いられる色素は、色相を呈す
ることに加えて何らかの処理を施すことで吸収位置を短
波長側にシフトできる(短波長化)機能を付与すること
ができれば適用する媒体の付加価値を高めることができ
る。上記短波長化が、可視域で起こる場合でも有用であ
るが、特に可視域から紫外域に変化するように起これ
ば、即ち色素に脱色(褪色)する機能があればイメージ
ング(画像形成)の分野で有用なものとなる。例えば、
写真用の染料、分光増感色素やフィルター用色素の色相
は、露光時には不可欠であるが、現像以降の形成画像に
は残色やステインの原因となるので、このような残色や
ステインはなんらかの方法で無色化する必要がある。
【0004】従来から、このような色素を水溶性にする
ことにより脱色効率を高めたり、この脱色効率向上のた
めの処理液についても改良が進められている。すなわ
ち、残色を軽減する方法としては、例えばリサーチ・デ
ィスクロージャー誌(ResearchDisclosure)、第207
巻、No. 20733 (1981年、7月号)に記載された、
(1)水可溶性スチルベン化合物、非イオン性界面活性
剤、もしくは両者の混合物を現像液中に添加する方法、
(2)漂白、定着後の写真要素を酸化剤で処理して色素
を破壊する方法、および(3)漂白浴として過硫酸漂白
浴を用いる方法、などが知られている。しかしながら、
これらの方法では、残色の程度が大きい場合には不充分
であり、また増感色素の脱着及び溶出過程を積極的に促
進しないので、特に脱色の迅速処理には適していない。
【0005】さらに、色素の脱色処理方法が、特開昭6
4−4739号公報、同64−15734号公報、特開
平1−9451号公報、同64−35440号公報、同
1−21444号公報、同1−35441号公報、同1
−159645号公報などにも記載されている。これら
は、いずれも現像処理液等に添加剤を加える方法で、脱
色の効果はあるが、充分満足のいくものではない。ま
た、同様な方法で、特願昭63−112169号及び特
願昭63−136717号には、増感色素の会合を破壊
することによる脱色処理方法が提案されている。この方
法も処理液に添加剤を加える方法であるが、優れた脱色
効率を示し、特に特願昭63−136717号に記載さ
れた方法は有効なものである。欠点としては、経時的に
あるいは使用するに従い処理液の脱色効果が低下する
為、処理液の管理が要求される。
【0006】上記のように、写真等の画像形成工程にお
いて色素を脱色するために、一般に色素を溶出させて脱
色処理が行なわれており、脱色効率の高い方法であって
も、煩雑な処理工程が必要とされ、写真の現像処理等の
迅速化の障害となっている。即ち、小型現像処理装置
(ミニラボ)などの普及と共に、脱色工程はできるだけ
簡単な方法で、短時間でなされることが望ましく、さら
に処理剤の廃液を出ない様に、また環境汚染を防止する
上でも脱色処理の必要としないシステムの出現が望まれ
ている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、着色剤、光
吸収剤、ハロゲン化銀写真や電子写真の分光増感色素、
光ディスク用色素、さらに医薬として有用な新規なメチ
ン化合物を提供することを目的とする。
【0008】また、本発明は、適当な求核剤の存在下で
色相が短波長側にシフトあるいは脱色する性質を有する
新規なメチン化合物を提供することを目的とする。
【0009】さらに、本発明は、脱色処理剤を用いて色
素を溶出することなく、単に現像液のアルカリ性等を利
用することにより、脱色が可能な新規なメチン化合物を
提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的は、下記一般式
(I):
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、下記一般式
(I):
【化2】 [式中、V1及びV2はそれぞれ独立に、水素原子、アル
キル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、ア
ルコキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイ
ル基、スルホ基、カルボキシ基、シアノ基、ヒドロキシ
基、アミノ基、アシルアミノ基、アルコキシ基、アルー
ルオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、スルホ
ンアミド基、ウレイド基、アルキルスルホニル基、アリ
ールスルホニル基、アリール基又は複素環基を表わし、
1は、−S−を表わし、Tは化学式中で指定された位
置において、芳香族環、脂肪族環又は複素環を形成する
ために必要な原子団を表わし、L1は置換基を有してい
ても良いエチレン基又はプロピレン基を表わし、Yは、
求核剤により酸素との結合部分で開裂する性質を有する
基を表わし、そしてQは、他端側に複素環基を有してい
ても良いメチン基又はポリメチン基を表わす]で表わさ
れるメチン化合物にある。
【0012】本発明の好適な態様は次の通りである。 (1)上記Z1が、−S−であることを特徴とする上記
メチン化合物。
【0013】(2)上記L1 が、エチレン基であること
を特徴とする上記メチン化合物。
【0014】(3)上記Tが、ベンゼン環であることを
特徴とする上記メチン化合物。
【0015】(4)上記一般式(I)が、下記の一般式
(II)〜(IV):
【0016】
【化3】 [式中、V1 、V2 、Z1 、T、L1 及びYについて
は、それぞれ上記一般式(I)と同義である。Z2 は、
[C=(CH-CH)n3=N+]と共に5ないし6員の含窒素複素環
を形成する原子群であり、Z3 は、[C-CO]と共に5な
いし6員の含窒素複素環を形成する原子群であり、Z4
及びZ5 は、[C-CO]と共に5ないし6員の含窒素複素
環を形成する原子群であり、これらが[C-CO]と共に形
成する5ないし6員環は、Z3 によって形成される5な
いし6員環から適切な位置にあるオキソ基あるいはチオ
キソ基を除いたものであり。Z6 はZ2 と同義であり、
2、L3 、L4 、L5 、L6 、L7 、L8 、L9 、L
10及びL11は、それぞれメチン基および置換メチン基を
表わし、R5 及びR6 は、置換されていてもよいアルキ
ル基を表わし、n1 及びn2 は、0または1を表わし、
1 及びm4 は0〜5の整数を表わし、m2 及びm3
1〜5の整数を表わし、そしてX1 -は、第四級塩の対ア
ニオンを表わす。]のいずれかで表わされることを特徴
とする上記メチン化合物。
【0017】(5)上記一般式(I)が、下記の一般式
(V):
【0018】
【化4】 [式中、V1 、V2 、Z1 、T、L1 、L2 、L3 、L
4 、Y及びX1 -については、それぞれ上記一般式(II)
と同義である。]で表わされることを特徴とする上記メ
チン化合物。
【0019】(6)上記V1 及びV2 はそれぞれ独立
に、水素原子であることを特徴とする上記メチン化合
物。
【0020】(7)上記Yが、アルキル基、アリール
基、アシル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル
基、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル
基、アリールスルホニル基、アルキルアミノスルホニル
基、アリールアミノスルホニル基、アシルアミノスルホ
ニル基、置換スルホニルアミノスルホニル基、リン酸エ
ステル基、複素環基、シリル基又はスルホ基であること
を特徴とする上記メチン化合物。
【0021】[発明の詳細な記述]本発明の上記一般式
(I)で表わされるメチン化合物は、基本的には、環状
アルキレンカーボネート化合物(下記一般式(1))
を、ルイス酸の存在下で縮合環を有する含窒素複素環化
合物(下記一般式(3))と反応させることにより、縮
合環を有するN−置換含窒素複素環化合物を合成し、さ
らに該化合物の窒素を四級化させることにより縮合環を
有するN−置換含窒素複素環化合物第四級塩を合成し、
そしてこの四級塩と上記Qで表わされる複素環基を有し
ても良いメチン基またはポリメチン基を形成する成分と
を常法により反応させることにより製造することができ
る。
【0022】本発明の上記一般式(I)で表わされるメ
チン化合物は、例えば下記の様にして製造することがで
きる。
【0023】上記メチン化合物を製造するために用いら
れる原料の一つである環状アルキレンカーボネートは、
下記一般式(1)で表わされる化合物である。
【0024】
【化5】 上記一般式(1)において、L1 は前記一般式(I)と
同義で、置換基を有していても良いエチレン基又はプロ
ピレン基を表わす。
【0025】ルイス酸とは「少なくとも一つの電子対を
受け取ることができる空の軌道を持った物質、即ち電子
対受容体」を意味する。ルイス酸の定義については、例
えばジェリー・マーチ著、アドヴァンスト・オーガニッ
ク・ケミストリー(リアクションズ、メカニズム、アン
ド・ストラクチャー)(Advanced Organic Chemistry(r
eactions, mechanisms, and structure))、第3版、ウ
ィリー・インターサイエン社、227〜234頁に記載
されている。本発明で使用することができる上記ルイス
酸は、一般に、半金属化合物又は金属化合物、又はこれ
らの錯体からなるルイス酸である。その好ましいルイス
酸としては、例えばBF3 ・Et2 O、TiCl4 、A
lCl3 、FeCl3 、SnCl4 、ZnCl2 、BF
3 ・Me2 O、BF3 ・THFなどを挙げることができ
る。これらの中で、特に、BF3 ・Et2 O、BF3
Me2 O、BF3 ・THF等のフッ化ホウ素エーテル錯
体が好ましい。
【0026】上記環状アルキレンカーボネート化合物
と、ルイス酸の存在下で反応させる含窒素複素環化合物
は、下記一般式(3)で表わされる。
【0027】
【化6】 式中、R1 は、アルキル基、アリール基又は複素環基を
表わし、そしてV1 、V2 、Z1 及びTは前記一般式
(I)と同義である。R1 は一般に、炭素原子数18以
下の置換されていても良い、アルキル基、アリール基又
は複素環基である。炭素原子数18以下の置換されてい
ても良いアルキル基の例としては、メチル、エチル、プ
ロピル、イソプロピル、アリル、ブチル、イソブチル、
ヘキシル、オクチル、ドデシル及びオクタデシルの基を
挙げることができ、その置換基としては、カルボキシル
基、スルホ基及びハロゲン原子を挙げることができる。
炭素原子数18以下の置換されていても良いアリール基
の例としては、フェニル、2−ナフチル及び1−ナフチ
ルを挙げることができ、その置換基としては、カルボキ
シル基、スルホ基、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ
基、ハロゲン原子、炭素原子数8以下のアルキル基
(例、メチル、エチル)、炭素原子数8以下のアルコキ
シ基(例、メトキシ、エトキシ)、炭素原子数15以下
のアリールオキシ基(例、フェノキシ)、炭素原子数8
以下のアシルオキシ基(例、アセチルオキシ)、炭素原
子数8以下のアシル基、炭素原子数8以下のスルファモ
イル基、炭素原子数8以下のカルバモイル基及び炭素原
子数15以下のアリール基(例、フェニル)を挙げるこ
とができる。炭素原子数18以下の置換されていても良
い複素環基の例としては、2−ピリジル、2−チアゾリ
ル、2−フリル及び2−チオフェニルを挙げることがで
きる。R1 で表わされる好ましい基は、置換されていな
いアルキル基(例、メチル、エチル、プロピル、ブチ
ル)、置換されていないアリール基(例、フェニル、1
−ナフチル)であり、特に、メチル基、エチル基及びフ
ェニル基が好ましい。
【0028】上記含窒素複素環化合物は、例えば、ピリ
ジン環、イミダゾール環、チアゾール環、オキサゾール
環、セレナゾール環、インドール環、ピリミジン環など
の5員又は6員環の含窒素複素環化合物にさらにベンゼ
ン環又はナフタレン環などの芳香族環、脂肪族環又は複
素環が縮合した縮合環を有する含窒素縮合複素環化合物
である。
【0029】前記環状アルキレンカーボネート化合物
を、ルイス酸の存在下で縮合環を持たない含窒素複素環
化合物と反応させることにより従来のN−置換複素環化
合物も製造することができる。得られたN−置換複素環
化合物を塩交換することにより、N−ヒドロキシアルキ
ル置換複素環化合物第四級塩を得ることができる。この
N−ヒドロキシアルキル置換複素環化合物第四級塩の具
体例を下記に示す。
【0030】
【化7】
【化8】
【化9】
【0031】前記環状アルキレンカーボネート化合物
(一般式(1))を、ルイス酸の存在下で上記縮合環を
有する含窒素複素環化合物(一般式(3))と反応させ
て縮合環を有するN−置換複素環化合物(下記一般式
(2))を製造することができる。
【0032】前記のようにして得られる、下記一般式
(2)で表わされる縮合環を有するN−置換含窒素複素
環化合物について説明する。
【0033】
【化10】 [式中、R1 は上記一般式(3)と同義であり、そして
1 、V2 、Z1 、T及びL1 は一般式(I)と同義で
ある]
【0034】以下に、上述した一般式(2)で表わされ
るN−置換含窒素複素環化合物の具体例を示す。
【0035】
【化11】
【化12】
【0036】次に、一般式(2)で表わされるN−置換
含窒素複素環化合物を第四級塩にした下記一般式(4)
で表わされるN−置換含窒素複素環化合物について説明
する。
【0037】
【化13】
【0038】上記一般式(4)において、R1 は、上記
一般式(2)のものと同義であり、V1 、V2 、Z1
T、L1 及びYについては、それぞれ上記一般式(I)
のものと同義である。
【0039】X- は、第四級塩の対アニオンを表わす。
これは第四級窒素陽イオンの電荷を中和するのに必要な
数の陰電荷を供給されるものであり、一価でなくても良
い。対アニオンの例としては、F- 、Cl- 、Br-
びI- のハロゲンイオン;SO4 2- 、HSO4 -及びCH
3 OSO3 -などのアルキル硫酸イオン;パラトルエンス
ルホン酸イオン、メタンスルホン酸イオン及びトリフル
オロメタンスルホン酸イオンなどのスルホン酸イオン;
酢酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン及びシュウ酸イオ
ンなどのカルボン酸イオン;及びPF6 -、BF4 -、Cl
4 -、IO4 -、PO4 3- 、NO3 -及びピクリン酸イオン
などのフェノラートイオンを挙げることができる。
【0040】以下に、上述した一般式(4)で表わされ
るN−置換含窒素複素環化合物の具体例を示す。
【0041】
【化14】
【化15】
【0042】次に、環状アルキレンカーボネート及びル
イス酸を用いて、N−置換含窒素複素環化合物を製造す
る方法について説明する。上記N−置換含窒素複素環化
合物は、含窒素複素環が縮合環であって更にその4、5
位に環が形成された化合物のN−置換体である一般式
(2)で表わされるN−置換含窒素複素環化合物、及び
その第四級塩である前記一般式(4)で表わされるN−
置換含窒素複素環化合物である。
【0043】前記一般式(3)で表わされる含窒素複素
環化合物、環状アルキレンカーボネート及びルイス酸の
混合物を、所定の温度に加熱して反応させることにより
N−置換含窒素複素環化合物を製造することができる。
上記反応方法は、例えば、上記含窒素複素環化合物と環
状アルキレンカーボネートの混合物を反応する所定温度
(反応温度)にまで加熱し、この混合物を攪拌しながら
ルイス酸を添加する(好ましくは徐々に)ことにより行
なわれる。
【0044】上記含窒素複素環化合物と環状アルキレン
カーボネートの混合物の両者の使用量割合は、含窒素複
素環化合物:環状アルキレンカーボネートが1:1〜
1:5(モル比)の範囲が一般的であり、1:1.5〜
1:2の範囲が好ましい。またルイス酸の使用量割合
は、上記含窒素複素環化合物と環状アルキレンカーボネ
ートの種類によって異なるが、上記含窒素複素環化合
物:ルイス酸が1:1〜1:3(モル比)の範囲が一般
的であり、1:1〜1:1.5の範囲が好ましい。
【0045】上記反応温度は、80〜250℃の範囲が
一般的で、120〜200℃の範囲が好ましい。反応温
度が上記範囲より低いと目的物の収率が低下し、一方、
反応温度が上記範囲より高いと、N−置換含窒素複素環
化合物の収率のより一層の増大は殆どなく、原料や生成
物が分解する恐れがあり、好ましくない。また、反応時
間は、原料、反応温度により異なるが、通常10分〜3
時間でほぼ最大収率に達する。従って、反応時間は10
分以上が一般的で、10分〜6時間が好ましく、特に1
0分〜3時間が好ましい。
【0046】また、上記反応においては、一般に不活性
溶剤などの溶剤を使用しないことが好ましい。勿論、必
要に応じて反応に関与しない不活性溶剤(例、スルホラ
ン、アニソール、1,1,2−トリクロロエタン)を添
加しても良い。上記反応において、例えば、酢酸ナトリ
ウム、2,6−ルチジン等の四級化され難い弱塩基性物
質を共存させると、収率が向上する場合がある。
【0047】上記反応により、含窒素複素環化合物の環
状アルキレンカーボネート付加体あるいは前記一般式
(2)で表わされる含窒素複素環化合物の環状アルキレ
ンカーボネート付加体(閉環体)が得られる。含窒素複
素環化合物の環状アルキレンカーボネート付加体には、
従来通り、所望の酸を添加することにより、N−ヒドロ
キシアルキル置換含窒素複素環化合物の第四級塩を得る
ことができる。
【0048】前記一般式(2)で表わされる含窒素複素
環化合物の環状アルキレンカーボネート付加体(閉環
体)の第四級塩(一般式(4))を得るには、上記反応
で得られたこの閉環体を単離精製後下記の方法により行
なっても良いし、上記の反応混合物のまま、下記の方法
による次工程に移っても良い。その方法は、例えば、上
記反応混合物に下記の酸、酸無水物等の第四級化するた
めの適当な試薬を徐々に添加することにより行なわれ
る。このような試薬としては、置換又は無置換のハロゲ
ン化アルキル、ハロゲン化アリール、カルボン酸無水
物、スルホン酸無水物、イソシアナート化合物、酸ハロ
ゲン化物(スルホン酸、カルボン酸、炭酸、カルバミン
酸などの)、及びスルファミン酸を挙げることができ
る。第四級塩生成後、所望により塩交換して、異なった
塩の第四級塩にしても良い。
【0049】上記の方法において、含窒素複素環化合物
と上記試薬との使用量割合は、一般に含窒素複素環化合
物:試薬が、1:1〜1:5(モル比)の範囲デあり、
1:1.5〜1:2が好ましい。
【0050】上記四級化の反応温度は、一般に室温〜2
00℃、特に30〜100℃であることが好ましい。反
応温度が上記範囲よりも低いと第四級塩の収率が低下
し、また、反応温度が上記範囲よりも高いと、第四級塩
の収率のより一層の増大は殆どなく、原料や生成物が分
解する恐れがあり、好ましくない。
【0051】上記の反応において、特に他の不活性溶剤
を使用する必要はない。勿論、必要に応じて、上記反応
に関与しない不活性溶剤(例えば、スルホラン、アニソ
ール、1,1,2−トリクロロエタンなど)を添加して
もよい。上記の反応は、反応原料、反応温度などにより
異なるが、通常10分〜3時間でほぼ最大収率に達す
る。従って、反応時間は10分以上が一般的で、10分
〜6時間が好ましく、特に10分〜3時間が好ましい。
【0052】反応が終了した後、生成混合物からN−置
換含窒素複素環化合物の第四級塩を常法により分離し、
必要に応じて精製してN−置換含窒素複素環化合物の第
四級塩を取得する。N−置換窒素複素環化合物の第四級
塩の精製方法としては、反応生成混合物を貧溶媒、例え
ば、酢酸エチルエステル中に注ぎ、結晶化後濾別し、ア
ルコール性溶媒、例えば、メタノール、エタノール、プ
ロパノールなどから再結晶するなどの方法を採用するこ
とができる。ただし、四級塩にする前の一般式(3)で
表わされる閉環体の分離精製は、閉環体が第四級塩のよ
うに有機溶媒に対して難溶性ではないため、分離精製用
の溶媒はより注意深く選択して使用する必要がある。例
えば、n−ヘキサン等を使用することができる。
【0053】上記方法により、上記含窒素複素環化合物
基準で40%以上の収率でN−置換含窒素複素環化合物
の第四級塩(一般式(4)も含む)や閉環体(一般式
(2))を得ることができる。
【0054】上記のN−置換含窒素複素環化合物の第四
級塩(一般式(4))を用いて本発明の下記の一般式
(I)で表わされるメチン化合物を合成することができ
る。
【0055】
【化16】 [式中、V1及びV2はそれぞれ独立に、水素原子、アル
キル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、ア
ルコキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイ
ル基、スルホ基、カルボキシ基、シアノ基、ヒドロキシ
基、アミノ基、アシルアミノ基、アルコキシ基、アルー
ルオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、スルホ
ンアミド基、ウレイド基、アルキルスルホニル基、アリ
ールスルホニル基、アリール基又は複素環基を表わし、
1は、−S−を表わし、Tは化学式中で指定された位
置において、芳香族環、脂肪族環又は複素環を形成する
ために必要な原子団を表わし、L1は置換基を有してい
ても良いエチレン基又はプロピレン基を表わし、Yは、
求核剤により酸素との結合部分で開裂する性質を有する
基を表わし、そしてQは、他端側に複素環基を有してい
ても良いメチン基又はポリメチン基を表わす]
【0056】V1 及びV2 は一般に、水素原子、炭素原
子数18以下の置換されていても良いアルキル基(例、
メチル、エチル、プロピル;置換基としては、上記一般
式(3)のR1 で示された置換基)、ハロゲン原子
(例、塩素原子、臭素原子)、炭素原子数8以下のアシ
ル基(例、アセチル)、炭素原子数8以下のアシルオキ
シ基(例、アセチルオキシ)、炭素原子数8以下のアル
コキシカルボニル基(例、メトキシカルボニル)、炭素
原子数8以下のカルバモイル基、炭素原子数8以下のス
ルファモイル基、カルボキシル基、シアノ基、ヒドロキ
シ基、炭素原子数8以下のアミノ基(例、アミノ、メチ
ルアミノ、ジメチルアミノ)、炭素原子数8以下のアシ
ルアミノ基、炭素原子数15以下のアルコキシ基(例、
メトキシ、エトキシ、ベンジルオキシ、フェネチルオキ
シ)、炭素原子数15以下のアリールオキシ基(例、フ
ェノキシ)、炭素原子数8以下のアルキルチオ基(例、
メチルチオ、エチルチオ)、炭素原子数15以下のアリ
ールチオ基(例、フェニルチオ)、スルホンアミド基、
ウレイド基、炭素原子数8以下のアルキルスルホニル基
(例、メタンスルホニル、エチルスルホニル)、炭素原
子数15以下のアリールスルホニル基(例、ベンゼンス
ルホニル、p−トルエンスルホニル)、炭素原子数15
以下のアリール基(例、フェニル、4−メチルフェニ
ル、4−クロロフェニル、2−ナフチル)、スルホ基又
は炭素原子数15の以下の複素環基(例、モルホリノ、
2−ピリジル)である。V1 とV2 は、互いに連結して
シクロヘキサン環、芳香族環又は複素環を形成して、V
1 とV2 を有するベンゼン環と共に縮合環を形成しても
良い。V1 またはV2 で表わされる好ましい基は、水素
原子、メチル基、メトキシ基、メチルチオ基又はハロゲ
ン原子であり、特に水素原子が好ましい。
【0057】一般式(I)のZ1は、−S−を表わす。
【0058】Tは、芳香族環、脂肪族環または複素環
(ヘテロ原子環)を形成するために必要な原子団を表わ
す。
【0059】そして、Tは、化学式中で指定された位置
において、Tを有するベンゼン環と共に縮合環を形成し
ている。
【0060】上記芳香族環としては、置換基を有してい
ても良いベンゼン環(置換基としては、V1及びV2で表
わされる基として記載された例を挙げることができ
る)、脂肪族環としてはシクロヘキセン環、また複素環
としてはピリジン環、フラン環、チオフェン環、ピロー
ル環、チアゾール環、オキサゾール環、イミダゾール環
及びトリアゾール環が好ましい。特にベンゼン環が好ま
しい。
【0061】L1 は、上記一般式(1)のL1 と同じ基
を表わす。即ち、置換されていても良いエチレン基又は
プロピレン基を表わす。置換基としては、ヒドロキシ
基、スルホ基、カルボキシル基、炭素原子数8以下のア
ルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチ
ル)、炭素原子数8以下のアルコキシ基(例えば、メト
キシ、エトキシ、ベンジルオキシ、フェネチルオキ
シ)、炭素原子数15以下のアリールオキシ基(例え
ば、フェノキシ)、炭素原子数8以下のアルキルチオ基
(例えば、メチルチオ、エチルチオ、ベンジルチオ)、
炭素原子数8以下のアシルオキシ基(例えば、アセチル
オキシ)、炭素原子数8以下のアシル基またはスルファ
モイル基、炭素原子数15以下のアリール基(例えば、
フェニル、4−メチルフェニル、4−クロロフェニル、
2−ナフチル)及び炭素原子数15以下の複素環基(例
えば、2−ピリミジル、2−チアゾリル)を挙げること
ができる。L1 としては、一般にエチレン基、メチルエ
チレン基、1,2−ジメチルエチレン基、フェニルエチ
レン基、プロピレン基及び2−メチルプロピレン基であ
り、エチレン基及びプロピレン基が好ましく、更にエチ
レンが好ましい。
【0062】Yは、求核剤により酸素との結合部分が開
裂する性質を有する基である。Yと酸素間の結合を開裂
させる求核剤としては、水、アルコール、アミン、メル
カプタン、ヒドラジン、ヒドロキシルアミン、ヒドロキ
サム酸やそのアニオン、及びハロゲンイオン、チオシア
ン酸イオン、サルフェートイオンなどが挙げられる。最
も一般的な適用条件としては酸及び塩基性条件下の加水
分解が挙げられる。特殊な条件としては、メチン化合物
と求核剤を分離しておき、外部から熱を加えることで融
合又は接触する方法がある。
【0063】Yは、写真現像処理の時に現像抑制剤ある
いは現像抑制剤の前駆体を放出可能なブロック基(例え
ば、特開昭62−30243号に開示されている)に相
当するものであることが好ましい。上記ブロック基とし
ては、例えば、特公昭48−9968号公報、特開昭5
2−8828号公報、同57−82834号公報、米国
特許第3311476号、特公昭47−44805号公
報(米国特許第3615617号)に記載されているア
シル基及びスルホニル基:特公昭55−17369号公
報(米国特許第3888677号)、同55−9696
号公報(米国特許第3791830号)、同55−34
927号公報(米国特許第4009029号)、特開昭
56−77842号(米国特許第4307175号)、
同59−105642号公報、同59−105640号
に記載のいわゆる逆マイケル反応により開裂する基:特
公昭54−39727号公報、米国特許第367447
8号、同第3932480号、同第3993661号、
特開昭57−135944号公報、同57−13594
5号公報、同57−136640号公報に記載の分子内
電子移動によりキノンメチドまたはキノンメチド類化合
物の生成に伴って開裂する基:特開昭55−53330
号公報、同59−218439号に記載の分子内閉環反
応により開裂するもの:特開昭57−76541号公報
(米国特許第4335200号)、同57−13594
9号公報、同57−179842号公報、同59−13
7945号公報、同59−140445号公報、同59
−219741号公報、同60−41034号公報に記
載の5員または6員の環形成により開裂するもの、ある
いは特開昭59−201057号公報、特願昭59−1
45593号公報、同59−216926号公報、同5
9−216928号公報に記載の不飽和結合への求核剤
の付加により開裂するものを挙げることができる。
【0064】Yは一般に、炭素原子数22以下のアルキ
ル基(例、メチル、エチル、ベンジル)、炭素原子数1
6以下のアリール基(例、フェニル)、炭素原子数22
以下のアシル基(例、ベンゾイル、アセチル、ピバロイ
ル、ステアロイル)、炭素原子数22以下のカルバモイ
ル基(例、カルバモイル、メチルカルバモイル、エチル
カルバモイル、フェニルカルバモイル)、炭素原子数2
2以下のアルコキシカルボニル基(メトキシカルボニ
ル、エトキシカルボニル)、炭素原子数16以下のアリ
ールオキシカルボニル基(例、フェノキシカルボニ
ル)、炭素原子数22以下のアルキルスルホニル基
(例、メタンスルホニル)、炭素原子数16以下のアリ
ールスルホニル基(例、ベンゼンスルホニル、p−トル
エンスルホニル)、炭素原子数12以下のアルキルアミ
ノスルホニル基(例、エチルアミノスルホニル)、炭素
原子数16以下のアリールアミノスルホニル基(例、フ
ェニルアミノスルホニル)、炭素原子数16以下のアシ
ルアミノスルホニル基(例、アセチルアミノスルホニ
ル)、炭素原子数12以下のリン酸エステル基(例、ジ
メトキシホスホリル基)、炭素原子数15以下の複素環
(例、2−ベンゾオキサゾリル、2−テトラヒドロピラ
ニル)、炭素原子数16以下のシリル基又はスルホ基を
表わす。これらの置換基は更に置換されていても良い。
置換される基としては、例えばシアノ基、水酸基、メト
キシ基、ニトロ基、メタンスルホニル基、カルバモイル
基、カルボキシル基、スルホ基、ハロゲン原子、メルカ
プト基、メチルチオ基、ウレイド基、メタンスルホニル
アミノ基、アセチル基、チオアセチル基、チオアミド
基、2−シアノエチル基、メトキシエチル基、メタンス
ルホニルカルバモイル基及び4−クロロフェノキシ基?
を挙げることができる。上記一般式(4)のYは、スル
ホネートイオンとなっても良い以外は上記Yと同義であ
る。
【0065】Yで表わされる基としては、アセチル基、
エトキシカルボニル基、エチルカルバモイル基及びジメ
チルスルファモイル基が好ましい。
【0066】上記Yは、結合する酸素原子との間に更に
二価の連結基を有していても良い。この様な連結基とし
ては、特開昭54−145135号公報(英国特許第2
010818A号)に記載の分子内閉環反応により開裂
するもの、特開昭57−154234号公報等に記載の
分子内電子移動により開裂するもの、特開昭57−17
9842号公報等に記載の炭酸ガスの離脱を伴って開裂
するもの、あるいは、特開昭59−93442号公報に
記載のホルマリンの離脱を伴って開裂するもの等の連結
基を挙げることができる。以上の連結基の内、代表的な
ものを下記に示す。
【0067】
【化17】
【0068】Qは、複素環基を有していても良いメチン
基又はポリメチン基を表わす。
【0069】Qは、メチン基もしくはポリメチン基を表
わす。ただし、Qの他端側には複素環基が付いていても
よい。
【0070】
【化18】 式中、V1 、V2 、Z1 、T、L1 及びYについては、
それぞれ上記一般式(I)と同義である。
【0071】Z2 は、[C=(CH-CH)n3=N+]と共に5ない
し6員の含窒素複素環を形成する原子団であり、以下の
ものを挙げることができる。但し、便宜上四級塩ではな
い場合の名称により示す。チアゾール核(例えば、チア
ゾール、4−メチルチアゾール、4−フェニルチアゾー
ル、4,5−ジメチルチアゾール、4,5−ジフェニル
チアゾール)、ベンゾチアゾール核(例えば、ベンゾチ
アゾール、4−クロロベンゾチアゾール、5−クロロベ
ンゾチアゾール、6−クロロベンゾチアゾール、5−ニ
トロベンゾチアゾール、4−メチルベンゾチアゾール、
5−メチルベンゾチアゾール、6−メチルベンゾチアゾ
ール、5−ブロモベンゾチアゾール、6−ブロモベンゾ
チアゾール、5−ヨードベンゾチアゾール、5−フェニ
ルベンゾチアゾール、5−メトキシベンゾチアゾール、
6−メトキシベンゾチアゾール、5−エトキシベンゾチ
アゾール、5−エトキシカルボニルベンゾチアゾール、
5−カルホキシベンゾチアゾール、5−フェネチルベン
ゾチアゾール、5−フルオロベンゾチアゾール、5−ク
ロロ−6−メチルベンゾチアゾール、5,6−ジメチル
チオベンゾチアゾール、5,6−ジメチルベンゾチアゾ
ール、5−ヒドロキシ−6−メチルベンゾチアゾール、
テトラヒドロベンゾチアゾール、4−フェニルベンゾチ
アゾール)、ナフトチアゾール核(例えば、ナフト
[2,1−d]チアゾール、ナフト[1,2−d]チア
ゾール、ナフト[2,3−d]チアゾール、5−メトキ
シナフト[1,2−d]チアゾール、7−エトキシナフ
ト[2,1−d]チアゾール、8−メトキシナフト
[2,1−d]チアゾール、8−メチルチオナフト
[1,2−d]チアゾール、5−メトキシナフト[2,
3−d]チアゾール)、チアゾリン核(例えば、チアゾ
リン、4−メチルチアゾリン、4−ニトロチアゾリ
ン)、
【0072】オキサゾール核(例えば、オキサゾール、
4−メチルオキサゾール、4−ニトロオキサゾール、5
−メチルオキサゾール、4−フェニルオキサゾール、
4,5−ジフェニルオキサゾール、4−エチルオキサゾ
ールなど)、ベンゾオキサゾール核(ベンゾオキサゾー
ル、5−クロロベンゾオキサゾール、5−メチルベンゾ
オキサゾール、5−ブロモベンゾオキサゾール、5−フ
ルオロベンゾオキサゾール、5−フェニルベンゾオキサ
ゾール、5−メトキシベンゾオキサゾール、5−ニトロ
ベンゾオキサゾール、5−トルフルオロメチルベンゾオ
キサゾール、5−ヒドロキシベンゾオキサゾール、5−
カルボキシベンゾオキサゾール、6−メチルベンゾオキ
サゾール、6−クロロベンゾオキサゾール、6−ニトロ
ベンゾオキサゾール、6−メトキシベンゾオキサゾー
ル、6−ヒドロキシベンゾオキサゾール、5,6−ジメ
チルベンゾオキサゾール、4,6−ジメチルベンゾオキ
サゾール、5−エトキシベンゾオキサゾール)、ナフト
オキサゾール核(例えば、ナフト[2,1−d]オキサ
ゾール、ナフト[1,2−d]オキサゾール、ナフト
[2,3−d]オキサゾール、5−ニトロナフト[2,
1−d]オキサゾール)、オキサゾリン核(例えば、
4,4−ジメチルオキサゾリン)、
【0073】セレナゾール核(例えば、4−メチルセレ
ナゾール、4−ニトロセレナゾール、4−フェニルセレ
ナゾール)、ベンゾセレナゾール核(例えば、ベンゾセ
レナゾール、5−クロロベンゾセレナゾール、5−ニト
ロベンゾセレナゾール、5−メトキシベンゾセレナゾー
ル、5−ヒドロキシベンゾセレナゾール、6−ニトロベ
ンゾセレナゾール、5−クロロ−6−ニトロベンゾセレ
ナゾール)、ナフトセレナゾール核(例えば、ナフト
[2,1−d]セレナゾール、ナフト[1,2−d]セ
レナゾール)、3,3−ジアルキルインドレニン核(例
えば、3,3−ジメチルインドレニン、3,3−ジエチ
ルインドレニン、3,3−ジメチル−5−シアノインド
レニン、3,3−ジメチル−6−ニトロインドレニン、
3,3−ジメチル−5−ニトロインドレニン、3,3−
ジメチル−5−メトキシインドレニン、3,3,5−ト
リメチルインドレニン、3,3−ジメチル−5−クロロ
インドレニン)、
【0074】イミダゾール核(例えば、1−アルキルイ
ミダゾール、1−アルキル−4−フェニルイミダゾー
ル、1−アルキルベンゾイミダゾール、1−アルキル−
5−クロロベンゾイミダゾール、1−アルキル−5,6
−ジクロロベンゾイミダゾール、1−アルキル−5−メ
トキシベンゾイミダゾール、1−アルキル−5−シアノ
ベンゾイミダゾール、1−アルキル−5−フルオロベン
ゾイミダゾール、1−アルキル−5−トリフルオロメチ
ルベンゾイミダゾール、1−アルキル−6−クロロ−5
−シアノベンゾイミダゾール、1−アルキル−6−クロ
ロ−5−トリフルオロメチルベンゾイミダゾール、1−
アルキルナフト[1,2−d]イミダゾール、1−アリ
ル−5,6−ジクロロベンゾイミダゾール、1−アリル
−5−クロロベンゾイミダゾール、1−アリ−ルイミダ
ゾール、1−アリ−ルベンゾイミダゾール、1−アリ−
ル−5−クロロベンゾイミダゾール、1−アリール−
5,6−ジクロロベンゾイミダゾール、1−アリ−ル−
5−メトキシベンゾイミダゾール、1−アリ−ル−5−
シアノベンゾイミダゾール、1−アリ−ルナフト[1,
2−d]イミダゾール{但し、上記の複素環の置換基で
あるアルキル基は炭素原子1〜8個のもの、例えば、メ
チル、エチル、プロピル、イソプロビル、ブチル等の無
置換アルキル基やヒドロキシアルキル基(例えば、2−
ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル)が好まし
い。特に好ましくはメチル基、エチル基である。上記の
アリール基は、フェニル、ハロゲン(例えばクロロ)置
換フェニル、アルキル(例えばメチル)置換フェニル、
アルコキシ(例えばメトキシ)置換フェニルを表す}、
【0075】ピリジン核(例えば、2−ピリジン、4−
ピリジン、5−メチル−2−ピリジン、3−メチル−4
−ピリジン)、キノリン核(例えば、2−キノリン、3
−メチル−2−キノリン、5−エチル−2−キノリン、
6−メチル−2−キノリン、6−ニトロ−2−キノリ
ン、8−フルオロ−2−キノリン、6−メトキシ−2−
キノリン、6−ヒドロキシ−2−キノリン、8−クロロ
−2−キノリン、4−キノリン、6−エトキシ−4−キ
ノリン、6−ニトロ−4−キノリン、8−クロロ−4−
キノリン、8−フルオロ−4−キノリン、8−メチル−
4−キノリン、8−メトキシ−4−キノリン、イソキノ
リン、6−ニトロ−1−イソキノリン、3,4−ジヒド
ロ−1−イソキノリン、6−ニトロ−3−イソキノリ
ン)、イミダゾ[4,5−b]キノキザリン核(例え
ば、1,3−ジエチルイミダゾ[4,5−b]キノキザ
リン、6−クロロ−1,3−ジアリルイミダゾ[4,5
−b]キノキザリン)、ベンゾテルラゾール核(例えば
ベンゾテルラゾール、5−メチルベンゾテルラゾール、
5−メトキシベンゾテルラゾール)、ナフトテルラゾー
ル核(例えばナフト[1,2−d]テトラゾール)オキ
サジアゾール核、チアジアゾール核、テトラゾール核、
ピリミジン核を挙げることができる。
【0076】Z3 は、[C-CO]と共に5ないし6員の含
窒素複素環を形成する原子団であり、以下のものを挙げ
ることができる。例えばロダニン核、2−チオヒダント
イン核、2−チオキソオキサゾリジン−4−オン核、2
−ピラゾリン−5−オン核、バルビツール酸核、2−チ
オバルビツール酸核、チアゾリジン−2,4−ジオン
核、チアゾリジン−4−オン核、イソオキサゾロン核、
ヒダントイン核、インダンジオン核がある。また、アセ
チルアセトン、マロンジニトリル、アセト酢酸エチル、
シアノ酢酸エチルなどから誘導される環が開いた構造の
開鎖型のものであっても良い。Z3 により形成される5
ないし6員環の置換基としては、例えばアルキル基、置
換アルキル基、アリール基、置換アリール基、複素環基
を挙げることができ、例えば炭素原子数1〜18個のア
ルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、
イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ヘキシル
基、オクチル基、ドデシル基、オクタデシル基;好まし
くは炭素原子数1〜7個、特に好ましくは1〜4個のア
ルキル基)、置換アルキル基(例えばアラルキル基(例
えばベンジル基、2−フェニルエチル基)、ヒドロキシ
アルキル基(例えば、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒ
ドロキシプロピル基)、カルボキシルアルキル基(例え
ば、2−カルボキシエチル基、3−カルボキシプロピル
基、4−カルボキシブチル基、カルボキシメチル基)、
アルコキシアルキル基(例えば、2−メトキシエチル
基、2−(2−メトキシエトキシ)エチル基)、スルホ
アルキル基(例えば、2−スルホエチル基、3−スルホ
プロピル基、3−スルホブチル基、4−スルホブチル
基、2−[3−スルホプロポキシ]エチル基、2−ヒド
ロキシ−3−スルホプロピル基、3−スルホプロポキシ
エトキシエチル基)、スルファトアルキル基(例えば、
3−スルファトプロピル基、4−スルファトブチル
基)、複素環置換アルキル基(例えば2−(ピロリジン
−2−オン−1−イル)エチル基、テトラヒドロフルフ
リル基、2−モリホリノエチル基)、2−アセトキシエ
チル基、カルボメトキシメチル基、2−メタンスルホニ
ルアミノエチル基、アリル基)、アリール基(例えばフ
ェニル基、2−ナフチル基)、置換アリール基(例え
ば、4−カルボキシフェニル基、4−スルホフェニル
基、3−クロロフェニル基、3−メチルフェニル基)、
複素環基(例えば、2−ピリジル基、2−チアゾリル
基)を挙げることができる。
【0077】Z4 及びZ5 は、[C-CO]と共に5ないし
6員の含窒素複素環を形成する原子団であり、これらが
[C-CO]と共に形成する5ないし6員環は、Z3 によっ
て形成される5ないし6員環から適切な位置にあるオキ
ソ基あるいはチオキソ基を除いたものである。
【0078】L2 、L3 、L4 、L5 、L6 、L7 、L
8 、L9 、L10及びL11は、それぞれメチン基および置
換メチン基を表わし、その置換基としては、例えばアル
キル基(例えばメチル、エチル)、アリール基(例えば
フェニル)、アラルキル基(例えばベンジル基)、アル
コキシ基(例えばメトキシ、エトキシ)、アリールオキ
シ基(例えば、フェノキシ)、アルキルチオ基(例え
ば、メチルチオ、エチルチオ)、アリールチオ基(例え
ば、フェニルチオ)、又はハロゲン原子(例えば、塩
素、臭素)であり、またメチル鎖の置換基同士で4ない
し6員環を形成してもよい。
【0079】Z6 はZ2 と同義である。
【0080】R5 及びR6 は、置換されていてもよいア
ルキル基を表わし、例えば、炭素原子1〜18、このま
しくは1〜7、特に好ましいくは1〜4のアルキル基で
ある。無置換アルキル基としては、例えば、メチル、エ
チル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、
ヘキシル、オクチル、ドデシル、オクタデシル)、置換
アルキル基としては、例えばアラキル基(例、ベンジ
ル、2−フェニルエチル)、ヒドロキシアルキル基
(例、2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピ
ル)、カルボキシアルキル基(例、2−カルボキシエチ
ル、3−カルボキシプロピル、4−カルボキシブチル、
カルボキシメチル)、アルコキシアルキル基(例、2−
メトキシエチル、2−(2−メトキシエトキシ)エチ
ル)、スルホアルキル基(例えば、2−スルホエチル、
3−スルホプロピル、3−スルホブチル、4−スルホブ
チル、4−スルホ−3−メチルブチル、2−(3−スル
ホプロボキシ)エチル、2−ヒドロキシ−3−スルホプ
ロピル、3−スルホプロポキシエトキシエチル)、スル
ファトアルキル基(例、3−スルファトプロピル、4−
スルファトブチル)、複素環置換アルキル基(例、2−
(ピロリジン−2−オン−1−イル)エチル、テトラヒ
ドロフルフリル)、2−アセトキシエチル、カルボメト
キシメチル、2−メタンスルホニルアミノエチル及びア
リル基がある。また、これらのα位のメチン基を含む環
を形成してもよい。
【0081】n1 及びn2 は、0または1を表わし、m
1 及びm4 は0〜5の整数を表わし、m2 及びm3 は1
〜5の整数を表す。
【0082】X1 -は、第四級塩の対アニオンを表わす。
これは、第四級窒素陽イオンの電荷を中和するのに必要
な数の陰電荷を供給されるものであり、一価でなくても
良い。対アニオンの例としては、F- 、Cl- 、Br-
及びI- のハロゲンイオン;SO4 2- 、HSO4 -及びC
3 OSO3 -などのアルキル硫酸イオン;パラトルエン
スルホン酸イオン、メタンスルホン酸イオン及びトリフ
ルオロメタンスルホン酸イオンなどのスルホン酸イオ
ン;酢酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン及びシュウ酸
イオンなどのカルボン酸イオン;及びPF6 -、BF4 -
ClO4 -、IO4 -、PO4 3- 、NO3 -及びピクリン酸イ
オンなどのフェノラートイオンを挙げることができる。
【0083】一般式(I)により形成されるメチン化合
物の内、下記一般式(V)で表されるシアニン色素が特
に短波長シフト幅が大きく写真感光材料の脱色性増感色
素として好ましい。
【0084】
【化19】
【0085】式中、V1 、V2 、Z1 、T、L1 、L
2 、L3 、L4 、Y及びX1 -については、それぞれ上記
一般式(II) と同義である。
【0086】本発明の一般式(I)で表される化合物
は、目的とする化合物の構造に応じ、Q以外の複素環構
造に対応する上記一般式(4)の第四級塩と、上記Qの
構造に対応する原料と組合わせて反応を行い合成するこ
とがきる。組合わせて用いる原料の選定に関しては一般
的にエフ・エム・ハーマー(F.M.Hamer)著「ヘテロサイ
クリック・コンパウンズ−シアニン・ダイズ・アンド・
リレイティド・コンパウンズー『(Heterocyclic Compo
unds-Cyanine dyes and related compounds)』(ジョン
・ウィリー・アンド・サイズ(John Wiley & Sons)社−
ニューヨーク、ロンドン、1964年刊)、デー・エム
・スターマー(D.M.Sturmer) 著『ヘテロサイクリック・
コンパウンズ−スペシャル・ヒピックス・イン・ヘテロ
サイクリック・ケミストリ−(Heterocyclic Compounds-
Special topics in heterocyclic chemistry) 』第8
章、第4節、第482〜515頁(ジョン・ウィリー・
アンド・サイズ(John Wiley & Sons) 社−ニューヨー
ク、ロンドン−1977年刊)、などの記載を参考にす
ることができる。
【0087】本発明の一般式(I)で表される化合物の
合成は、Q以外の複素環構造に対応する上記一般式
(4)の第四級塩と、上記Qの構造に対応する原料と組
合わせて行なうことができる。これらの混合物の反応温
度は20℃ないし200℃の範囲から選ぶことができ
る。0℃ないし180℃の範囲が好ましく、15℃ない
し160℃の範囲が更に好ましい。反応溶媒は、水およ
びN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチル
スルホキシド(DMSO)などの極性溶媒から、ベンゼ
ンやヘキサンなどの非極性溶媒までの範囲から選ぶこと
ができる。DMFやDMSOなどの極性溶媒、メタノー
ルやエタノール等のアルコール類、アセトニトリルやベ
ンゾニトリルなどのニトリル類、酢酸エチルなどのエス
テル類、テトラヒドロフランや1,2−ジメトキシエタ
ン等のエーテル類が好ましく、中でも、極性溶媒、アル
コール類、ニトリル類が更に好ましく、また、これらの
混合溶媒を用いることができる。反応の際に、酸あるい
は塩基を用いることができる。酸および塩基の両者を混
合して用いることが好ましい場合もある。酸としては無
機酸および有機酸から選ぶことができ、有機酸が好まし
い。特に酢酸、プロピオン酸などのカルボン酸、フェノ
ール、m−クレゾール等のフェノール類が好ましい。塩
基としては、無機塩基および有機塩基から選ぶことがで
き、有機塩基が好ましい。特にトリエチルアミンなどの
三級アミン及びピリジンなどの芳香族又は複素環アミン
が好ましい。
【0088】上記本発明の一般式(I)で表されるメチ
ン化合物の具体例を、下記に示す。(下記の各構造式に
於て、窒素陽イオン(N+ )を便宜上左側に配置した
が、右側に配置しても同一であり互いに共鳴し合ってい
る。)
【0089】
【化20】
【化21】
【化22】
【化23】
【化24】
【化25】
【化26】
【化27】
【0090】
【化28】
【化29】
【化30】
【化31】
【0091】
【化32】
【化33】
【化34】
【化35】
【0092】
【化36】
【0093】
【化37】
【化38】
【化39】
【0094】
【化40】
【化41】
【化42】
【0095】
【化43】
【化44】
【化45】
【0096】
【実施例】次に、実施例により本発明を更に詳細に説明
する。
【0097】[参考例1] 3−(2−ヒドロキシエチル)−2−メチルベンゾチア
ゾリウム・パラトルエンスルホナート(前記化合物例C
−1)の合成
【0098】撹拌機及び還流冷却器を取り付けた丸底フ
ラスコに、2−メチルベンゾチアゾール14.9g
(0.10モル)、エチレンカーボネート11.4g
(0.13モル)及び三フッ化ホウ素エーテル錯体14
ml(0.11モル)を入れ、このフラスコを油浴中に
浸し、撹拌しながら190℃で4.5時間加熱した。
【0099】反応終了後、反応生成混合物を室温にまで
冷却し、フラスコに酢酸エチル280mlを添加し撹拌
すると、黄色結晶が析出した この結晶を濾別し、イソ
プロパノール中でパラトルエンスルホン酸17.2g
(0.10モル)と共に1時間攪拌後、得られた結晶を
再度ろ過した。これを50℃で1時間乾燥して、29.
3g(標題の化合物として収率80%)の淡黄色結晶を
得た。
【0100】[参考例2] 5−クロロ−3−(2−ヒドロキシエチル)−2−メチ
ルベンゾチアゾリウム・ブロミド(前記化合物例C−
2)の合成
【0101】撹拌機及び還流冷却器を取り付けた丸底フ
ラスコに、5−クロロ−2−メチルベンゾチアゾール1
8.4g(0.10モル)、エチレンカーボネート1
1.4g(0.13モル)及び三フッ化ホウ素エーテル
錯体14ml(0.11モル)を入れ、このフラスコを
油浴中に浸し、撹拌しながら190℃で4.5時間加熱
した。
【0102】反応終了後、反応生成混合物を室温にまで
冷却し、フラスコに酢酸エチル280mlを添加し撹拌
すると、黄色結晶が析出した。この結晶を濾別し、イソ
プロパノール中で臭化水素酸30gと共に1時間攪拌
後、得られた結晶を再度ろ過した。これを50℃で1時
間乾燥して、24.3g(標題の化合物として収率79
%)の淡黄色結晶を得た。
【0103】[参考例3] 3−(2−ヒドロキシエチル)−2,5−ジメチルベン
ゾチアゾリウム・ブロミド(前記化合物例C−3)の合
【0104】撹拌機及び還流冷却器を取り付けた丸底フ
ラスコに、2,5−ジメチルベンゾチアゾール16.3
g(0.10モル)、エチレンカーボネート11.4g
(0.13モル)及び三フッ化ホウ素エーテル錯体14
ml(0.11モル)を入れ、このフラスコを油浴中に
浸し、撹拌しながら190℃で2.5時間加熱した。
【0105】反応終了後、反応生成混合物を室温にまで
冷却し、フラスコに酢酸エチル280mlを添加し撹拌
すると、黄色結晶が析出した。この結晶を濾別し、イソ
プロパノール中で臭化水素酸30gと共に1時間攪拌
後、得られた結晶を再度ろ過した。これを50℃で1時
間乾燥して、23.0g(標題の化合物として収率80
%)の淡黄色結晶を得た。
【0106】[参考例4] 3−(2−ヒドロキシエチル)−2−メチルナフト
[2,1−d]チアゾリウム・ブロミド(前記化合物例
C−4)の合成
【0107】撹拌機及び還流冷却器を取り付けた丸底フ
ラスコに、2−メチルナフト[2,1−d]チアゾール
19.9g(0.10モル)、エチレンカーボネート1
1.4g(0.13モル)及び三フッ化ホウ素エーテル
錯体14ml(0.11モル)を入れ、このフラスコを
油浴中に浸し、撹拌しながら190℃で2.5時間加熱
した。
【0108】反応終了後、反応生成混合物を室温にまで
冷却し、フラスコに酢酸エチル280mlを添加し撹拌
すると、黄色結晶が析出した。この結晶を濾別し、イソ
プロパノール中で臭化水素酸30gと共に1時間攪拌
後、得られた結晶を再度ろ過した。これを50℃で1時
間乾燥して、13.2g(標題の化合物として収率41
%)の淡黄色結晶を得た。
【0109】[参考例5] 三フッ化ホウ素エーテル錯体を使用しないで、反応温度
を220℃にし、加熱時間を6時間にした他は、実施例
1におけると同様にして、2−メチルベンゾチアゾール
の塩酸塩及びエチレンカーボネートの混合物の加熱、及
び後処理を行なった。しかし目的化合物である3−(2
−ヒドロキシエチル)−2−メチルベンゾチアゾリウム
・ブロミドは痕跡量しか得られなかった。
【0110】[参考例6] 三フッ化ホウ素エーテル錯体を使用しないで、反応温度
を220℃にし、加熱時間を6時間にした他は、実施例
4におけると同様にして、2−メチルナフト[2,1−
d]チアゾール及びエチレンカーボネートの混合物の加
熱、及び後処理を行なった。しかし目的化合物である3
−(2−ヒドロキシエチル)−2−メチルナフト[2,
1−d]チアゾリウム・ブロミドは痕跡量しか得られな
かった。
【0111】[参考例7] オキサゾリノ[2,3−b]−2−メチルナフト[1,
2−d]チアゾール(前記化合物例d−1)の合成
【0112】撹拌機及び還流冷却器を取り付けた丸底フ
ラスコに、2−メチルナフト[1,2−d]チアゾール
19.9g(0.10モル)、エチレンカーボネート1
1.4g(0.13モル)及び三フッ化ホウ素エーテル
錯体14ml(0.11モル)を入れ、このフラスコを
油浴中に浸し、撹拌しながら170℃で2時間加熱し
た。
【0113】反応終了後、反応生成混合物を室温にまで
冷却し、フラスコにn−ヘキサン400mlを添加し撹
拌すると、白色結晶が析出した。この結晶を濾別し、こ
れを50℃で1時間乾燥して、18.7g(標題の化合
物として収率60%)の淡黄色結晶を得た。
【0114】この白色結晶は、NMR及びFABマスス
ペクトルにより、標題の化合物であることが確認され
た。
【0115】[NMR] δ:2.00(s,3H) 3.45(m,1H) 3.90(m,2H) 4.25(m,1H) 7.35(m,4H) 7.75(m,2H)
【0116】[FABマススペクトル] m/e:243
【0117】[参考例8] 3−(2−アセトキシエチル)−2−メチルナフト
[1,2−d]チアゾリウム・パークロレート(前記化
合物例e−1)の合成
【0118】撹拌機及び還流冷却器を取り付けた丸底フ
ラスコに、2−メチルナフト[1,2−d]チアゾール
19.9g(0.10モル)、エチレンカーボネート1
1.4g(0.13モル)及び三フッ化ホウ素エーテル
錯体14ml(0.11モル)を入れ、このフラスコを
油浴中に浸し、撹拌しながら170℃で2時間加熱し
た。
【0119】反応終了後、反応生成混合物を室温にまで
冷却し、フラスコに無水酢酸15mlを添加した。1時
間後、アンモニウムパークロレート8.23g(0.0
8モル)を添加し、さらに1時間後酢酸エチル300m
lを添加し、撹拌すると、白色結晶が析出した。この結
晶を濾別し、50℃で1時間乾燥して、18.7g(標
題の化合物として収率60%)の淡黄色結晶を得た。
【0120】この白色結晶は、NMR及びFABマスス
ペクトルにより、標題の化合物であることが確認され
た。
【0121】[NMR] δ:1.90(s,3H) 3.33(s,3H) 4.70(t,2H) 5.55(t,2H) 7.94(m,2H) 8.40(m,3H) 8.80(d,1H)
【0122】[FABマススペクトル] m/e:286(posi)
【0123】[参考例9] 2−メチルナフト[1,2−d]チアゾリウム・3−エ
チルオキシスルホナート(前記化合物例e−4)の合成
【0124】撹拌機及び還流冷却器を取り付けた丸底フ
ラスコに、2−メチルナフト[1,2−d]チアゾール
19.9g(0.10モル)、エチレンカーボネート1
1.4g(0.13モル)及び三フッ化ホウ素エーテル
錯体14ml(0.11モル)を入れ、このフラスコを
油浴中に浸し、撹拌しながら170℃で2時間加熱し
た。
【0125】反応終了後、反応生成混合物を室温にまで
冷却し、フラスコにスルファミン酸13.0gを添加し
た。1時間後、さらに酢酸エチル300mlを添加し、
撹拌すると、白色結晶が析出した。この結晶を濾別し、
50℃で1時間乾燥して、18.4g(標題の化合物と
して収率57%)の淡黄色結晶を得た。
【0126】この白色結晶は、NMR及びFABマスス
ペクトルにより、標題の化合物であることが確認され
た。
【0127】[NMR] δ:2.55(s,3H) 4.45(t,2H) 5.40(t,2H) 7.90(m,2H) 8.35(m,3H) 8.73(d,1H)
【0128】[FABマススペクトル] m/e:323
【0129】[実施例1] 前記メチン化合物例(M−1)の合成 1)3−(2−アセトキシエチル)−2−メチルナフト
[1,2−d]チアゾリウム・アセテート(前記化合物
例e−7)の合成
【0130】撹拌機及び還流冷却器を取り付けた丸底フ
ラスコに、2−メチルナフト[1,2−d]チアゾール
19.9g(0.10モル)、エチレンカーボネート1
1.4g(0.13モル)及び三フッ化ホウ素エーテル
錯体14ml(0.11モル)を入れ、このフラスコを
油浴中に浸し、撹拌しながら170℃で2時間加熱し
た。
【0131】反応終了後、反応生成混合物を室温にまで
冷却し、フラスコに無水酢酸15mlを添加した。1時
間後、酢酸エチル300mlを添加し、撹拌すると、淡
黄色結晶が析出した。この結晶を濾別し、50℃で1時
間乾燥して、15.2gの淡黄色結晶(e−7)を得
た。
【0132】淡黄色結晶(e−7)5.0gを、酢酸2
0ml、ピリジン14ml、トリエチルアミン10ml
及びオルソプロピオン酸エチルエステル14mlの混合
溶液中に加え、この溶液を2時間加熱還流して、反応さ
せた。反応液を冷却後酢酸エチル600ml中に注ぎ、
生成した結晶を濾別した。この粗結晶とテトラブチルア
ンモニウムパークロレート2gとをエタノール中で加熱
溶解し、冷却後生成した結晶を濾別し、メタノールとイ
ソプロパノールとから二回再結晶させ、0.8gの目的
の化合物の結晶を得た。
【0133】λmax :581.1nm(メタノール/D
MF) ε:1.16×105
【0134】[実施例2] 前記メチン化合物例(M−20)の合成 1)2−(2−ヒドロキシブテニル)ナフト[1,2−
d]チアゾリウム・3−プロパンスルホナート(化合物
A)の合成
【0135】2−メチルナフト[1,2−d]チアゾリ
ウム・3−プロパンスルホナート40gを無水プロピオ
ン酸135ml中に懸濁させ、130℃のオイルバス中
で加熱した。この溶液に更にトリエチルアミン17.5
mlを徐々に添加し、4時間後に冷却した。n−ヘキサ
ン200mlで三回デカンテーションした後、濃塩酸5
mlを添加した。この添加により灰白色結晶が析出し
た。生成した結晶を濾別し、真空乾燥して31g(収率
66%)の化合物(A)を得た。
【0136】上記化合物(A)6.5gと下記の構造:
【0137】
【化46】 で表わされるローソン試薬(B)6.5gとをトルエン
40ml中に懸濁させた後、ピリジン5mlを添加し、
1時間加熱還流した。冷却後、トルエン300mlで三
回デカンテーションし、p−トルエンスルホン酸メチル
12gを添加し、170℃で3時間加熱した。冷却後、
酢酸エチル/n−ヘキサン(1:1、容積比)300m
lで三回デカンテーションした。得られた結晶に実施例
1の化合物(前記化合物例e−7)6.6gを加え、さ
らにエタノール100mlとトリエチルアミン20ml
とを加えて2時間攪拌した。減圧流去した後、残渣をシ
リカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、0.
8gの目的の化合物(M−20)の結晶を得た。
【0138】λmax :581.0nm(メタノール) ε:1.05×105
【0139】[実施例3] 前記メチン化合物例(M−32)の合成 5−クロロ−2−メチルベンゾチアゾリウム・3−プロ
パンスルホネート(C)3.4gと実施例1の化合物
(前記化合物例e−7)2.9gを、エタノール50m
lとトリエチルアミン2mlの混合溶媒中にて、2時間
還流した。溶媒を減圧流去した後、残渣をシリカゲルカ
ラムクロマトグラフィーにより精製し、0.8gの目的
の化合物(M−32)の結晶を得た。
【0140】λmax :443.5nm(メタノール) ε:7.86×104
【0141】[実施例4]メチン化合物(M−1)、
(M−20)及び(M−32)を、それぞれメタノール
に溶解し、濃度2.0×10-5モル/リットル(l)の
溶液を調製した。各メタノール溶液を10ml採り、2
N水酸化ナトリウム水溶液を1ml添加した。
【0142】5分後、各溶液の吸収極大を自記分光光度
計により測定したところ下表に示すように全て短波長側
にシフトした。
【0143】 ────────────────────────── 化合物 アルカリ添加前 アルカリ添加後 ────────────────────────── M−1 581.1nm 421.2nm M−20 581.0nm 499.4nm M−32 443.5nm 365.0nm ──────────────────────────
【0144】10分後、上記短波長化した各溶液に濃塩
酸1mlを添加し、更に5分後各溶液の吸収極大を自記
分光光度計により測定したところ、短波長化した時の極
大吸収も著しく減少し、いずれの溶液も完全に脱色し
た。
【0145】上記結果より、本発明のメチン化合物は、
アルカリ性にすることにより短波長側にシフトし、化合
物M−32では脱色されている。従って、通常アルカリ
性の写真現像液により短波長側にシフトし、場合によっ
ては脱色されることがわかる。さらに、中性に戻すこと
により(一般に現像後の工程で中性にされる)完全に脱
色されることから、本発明のメチン化合物は、写真画像
形成過程で脱色されることが明らかである。上記短波長
化は、本発明の一般式(I)で表わされるメチン化合物
が、アルカリ性の条件で一般式(I)のYと酸素原子と
の間で開裂し、その酸素原子が分子内の共役鎖に付加し
たために起こったものと推察される。
【0146】
【発明の効果】本発明のメチン化合物は、適当な求核剤
の存在下でその色相を短波長側にシフトさせることがで
きる。すなわち、本発明のメチン化合物のほとんどは、
単にアルカリ性にすることにより、脱色することができ
る。従って、本発明のメチン化合物を写真材料の増感色
素として用いた場合、現像処理時に現像液のアルカリ性
により、あるいはその後中和することにより脱色するこ
とができるとの利点を有する。さらに、本発明のメチン
化合物は、上記ハロゲン化銀写真の増感色素の外に、電
子写真の分光増感色素、着色剤、光吸収剤、光ディスク
用色素、さらに医薬として有用なものである。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07D 277/64 C07D 277/84 C07D 417/06 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(I): 【化1】 [式中、V1及びV2はそれぞれ独立に、水素原子、アル
    キル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、ア
    ルコキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイ
    ル基、スルホ基、カルボキシ基、シアノ基、ヒドロキシ
    基、アミノ基、アシルアミノ基、アルコキシ基、アルー
    ルオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、スルホ
    ンアミド基、ウレイド基、アルキルスルホニル基、アリ
    ールスルホニル基、アリール基又は複素環基を表わし、
    1は、−S−を表わし、Tは化学式中で指定された位
    置において、芳香族環、脂肪族環又は複素環を形成する
    ために必要な原子団を表わし、L1は置換基を有してい
    ても良いエチレン基又はプロピレン基を表わし、Yは、
    求核剤により酸素との結合部分で開裂する性質を有する
    基を表わし、そしてQは、他端側に複素環基を有してい
    ても良いメチン基又はポリメチン基を表わす]で表わさ
    れるメチン化合物。
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