JP3011660U - 板欄間 - Google Patents

板欄間

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JP3011660U
JP3011660U JP1994014718U JP1471894U JP3011660U JP 3011660 U JP3011660 U JP 3011660U JP 1994014718 U JP1994014718 U JP 1994014718U JP 1471894 U JP1471894 U JP 1471894U JP 3011660 U JP3011660 U JP 3011660U
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昭 田丸
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冨士工芸株式会社
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 1つの板欄間の表裏に2つの作品が彫刻で
き、よって板欄間の表裏が共に見附けとなって装飾性を
高め、図案と背景との調和が得られ、職人の彫刻手法に
制約を加えず、作成の手間も増えず、必要なら換気に有
用な透かしを従来通り残す事。 【構成】 板欄間1であって、1枚の欄間板の木表2と
木裏3に、異なった図案4を透かしの無い彫刻により成
した。

Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、欄間の表と裏に異なる図案を施した板欄間に関する。
【0002】
【従来の技術】
板欄間の1つに彫刻欄間があり、欄間板に透かしの彫刻彫りがしてある。板欄 間に施す図案は、風景や動植物を絵柄としたものが主なものであり、風景なら「 近江八景」や「富獄山景」など、動植物なら「松竹梅」や「松に鷹」などの伝統 的な図案が主流である。そして、彫刻欄間は絵柄の部分に欄間板の部材を残し、 背景部分は透かしにしている。
【0003】 また、この彫刻欄間の1つに、図6に示すような縁取り欄間10があり、欄間 面の外周部分が平板部11を成し、この平板部の内方が透かし彫りの彫刻部12 を成し、この彫刻部12と平板部11の境に張り出した張り出し縁13が彫刻部 12の縁取りを成している。
【0004】 一般に欄間板は、原木の皮肌側を木表(きおもて)といい、反対側を木裏(き うら)という。この木表は木裏よりも木肌が美しく、従って、板欄間は木表を欄 間の表として彫刻されている。出来上がった欄間面の表裏もそれぞれを同様に木 表・木裏と呼び、特に木表は欄間の正面として「見附け」ともいう。また、高級 な欄間にはこの見附けに落款の押してあるものもあり、一層、装飾品としての価 値も高めている。
【0005】 また、彫刻欄間の木表と木裏には、透かし彫りのため同じ図案の表裏がぞれぞ れ施されている。そして、図案は木表の方が木裏より深く彫られるのが一般であ り、図7に示すように、欄間板厚の約60%を木表2の彫りに充て、この彫りの 深さにより見附けとしての装飾性を高めており、残りの約40%を木裏3の彫り に充てて木表よりは低い装飾性となっている。
【0006】 又、特開昭59ー38455号公報には「表板と裏板の間に平板状の中板を挟 みつけ」た3層構造にて、表板・裏板のみに透かし彫刻をして中板は透かさない 「透かし無し彫刻欄間」が提案され、空調効果の為の気密性や遮光性、防音性の 向上が得られる旨が記載してある。又、この提案では「表板と裏板の彫刻を同一 又は変えたことを特徴」とし、表裏の彫刻を変えた場合は「その部屋と隣りの部 屋では変わった彫刻を別々に楽しむことが出来る」と記載してある。
【0007】 一方、作りの高価な和室では高級材が多く用いられているが、この様な和室で は完備された空調設備を用いるとかえって造作を傷める事が多い。つまり気密性 を嫌うのであり、冬場は炭火で暖を取り、欄間の透かしを換気に役立てるなどし て、むしろ透かしが有用なものになっている。
【0008】
【考案が解決しようとする課題】
しかし、板欄間の木裏も高い装飾性の求められる事がある。その点、従来の板 欄間は木裏の彫りが浅く、又、欄間に裏表があるのは当然とされていたので、木 裏の装飾性が木表よりも劣る事に甘んじていた。そして、落款を押す場合には、 表裏で1つの作品であるため木表にのみ押され、落款のない木裏はその分、見劣 りがした。
【0009】 又、前記公報の「透かし無し彫刻欄間」においては、中板が表板・裏板と別部 材のため木肌の色や杢目が違ったものとなり、彫刻による絵柄とその背景とがア ンバランスで調和の採れないものとなり易い。この点、板欄間の装飾的価値は彫 刻の美しさと木肌自体の美しさの双方により実現されるものであり、刻設された 表板等と背景をなす中板が別部材であることは、装飾性において問題であった。
【0010】 また更に、この様な別部材に依るので図案の輪郭が一律に明確となる。そのた め、欄間では必須となっている「雲」とか鷹の「羽」の図案などは、その輪郭を ボカしたい事もあるが、その様な技法を用いることも出来ない。そして、背景を なす中板には模様を施す事をしていないのでそれだけ装飾の手法が狭くなる。さ らに、表板等は彫刻部分が折れないように厚みを残さなければならず、従って彫 りの深さに強弱を付けるなどの手法も採り難くなり、職人の持つ彫刻手法に一定 の制約を加えてしまう。 そして、この「透かし無し彫刻欄間」は、表板・裏板・中板のように部材の点 数が多くこれらの準備・組立などの手間が増える。
【0011】 又、換気のための透かしを従来通り残しながら、表裏に異なる図案を彫刻して 2つの作品をなし、場合によっては表と裏の両方に落款を押したい事もある。
【0012】 この様な問題に対し、本願考案の目的とするところは、1つの板欄間の表裏に 2つの作品が彫刻でき、よって板欄間の表裏が共に見附けとなって装飾性を高め 、図案と背景との調和が得られ、職人の彫刻手法に制約を加えず、作成の手間も 増えず、必要なら換気に有用な透かしを従来通り残す事のできる板欄間を提供す ることにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決し、その目的を果すため請求項1記載の考案は、 「板欄間であって、1枚の欄間板の木表と木裏に、異なった図案を透かしの無い 彫刻により成した事」をその要旨とした。 1枚の欄間板とは、彫刻を彫るときに1枚であればよく、単材でも貼合わせて 1枚に成っているものでもよく、要は、彫刻時に複数による別々の部材になって いないものを言う。又、「異なった図案」とは、「富獄山景」と「近江八景」と か、「竹」と「松」のような明確な違いをいい、例えば、図案「松」に於ける葉 の枚数の僅かな違いとか、手作業により生じるノミさばきの違いとか、また、欄 間板には節目や割れ等を図案化させたものもあるが、こうした板欄間に於いて生 じる表裏の図案の多少の違いとかは、上記手段の「異なった図案」には含まない 。
【0014】 また、請求項2記載の考案は、 「板欄間であって、1枚の欄間板の木表と木裏に、異なった図案を透かしの無い 彫刻によりほぼ全面に成し、共通の透かしを一部のみに施した事」をその要旨と した。 「一部のみに共通の透かし」とは、例えば、表裏の図案が「富獄山景」と「近 江八景」の様に明確に異なりながらも、その中に描かれる「霞」のみが透かし彫 りにより表裏に共通した図案になっている様なものを言う。
【0015】 また、請求項3記載の考案は、請求項1又は2の前記構成に加え、 「前記図案は、その一部分が前記欄間板に貼着した別体からなる事」をその要旨 とした。 要は、図案の一部を別体による彫刻部品の様にしたものである。
【0016】 また、請求項4記載の考案は、請求項1乃至3のいずれか1の前記構成に加え 、「板欄間が縁取り欄間である事」をその要旨とした。
【0017】 また、請求項5記載の考案は、請求項1乃至4のいずれか1の前記構成に加え 、「木表と木裏の彫刻が、ほぼ同じ深さに彫られた事」をその要旨とした。 用いる欄間板を、従来より厚めにすれば、木表・木裏のいずれにも深く彫るこ とが出来る。
【0018】
【作用】
上記のような手段を採ることにより、請求項1記載の考案は、彫刻された図案 と背景とが1枚の欄間板に施されるので、後述する実施例1の図1に示す絵柄部 4aと背景部4bとにおいて、その木肌の色や杢目が揃う。また、「見附け」を 木表と木裏に設けることが出来る。 請求項2記載の考案は、請求項1記載の考案の作用に加え、透かしによる換気 が行え、図案にも変化が得られる。 請求項3記載の考案は、図案に彫り出しとは異なった変化が得られ、欄間板と 別体の樹種を別にする事もできる。 請求項4記載の考案は、従来の縁取り欄間に請求項1乃至3記載の考案の作用 が得られる。 請求項5記載の考案は、請求項1乃至4記載の考案の作用に加え、木裏の「見 附け」に木表と同じ厚みを設けることが出来る。
【0019】
【実施例】
(実施例1) 実施例1は、請求項1の考案の板欄間の1例である。 この板欄間1は1枚の欄間板から削り出したものであり、図1に示すように、 欄間板の木表2に「富獄山景」の図案4を、又、木裏3には「近江八景」の図案 4を彫刻し、互いに異なった図案となっている。これらの図案は山とか樹木とか 雲、霞などの絵柄部4aを凸部として彫刻し、空などの背景部4bは凹部として 彫刻しながらも部材は残し、よって透かしの無い板欄間となっている。
【0020】 (実施例2) 実施例2は、請求項1、2の考案の板欄間の1例である。 この実施例は、大半が実施例1と同じであるが、図2に示すように、一部のみ に透かし5を施して表裏に共通の霞模様に仕立ててある。
【0021】 (実施例3) 実施例3は、請求項3の考案の、板欄間の一種である縁取り欄間の1例である 。 この実施例は、図3に示すように、「松」の図案の一部のみを別体5で彫刻し ておき、これを欄間板8に貼着したものである。
【0022】 (実施例4) 実施例4は、請求項1、4、5の考案の、板欄間の一種である縁取り欄間の1 例である。 この縁取り欄間1aは、図4に示すように、約6cm厚の欄間板から削り出し たものである。まず、欄間板の外周部分が表裏均等に約2.5cmづつ削って厚 さ約1cmの平板部11を形成し、この平板部の内方が透かしの無い図案4を彫 刻して彫刻部12を成し、この彫刻部11と平板部12の境は部材を削り取らず に残して張り出し縁13とし、これを彫刻部12の縁取りとしている。 この欄間も、実施例1と同じく、木表が「富獄山景」で木裏が「近江八景」と 互いに異なった図案4となっている。また、図案4の背景部4bになるところも 同じく部材を残した透かしの無いものである。 そして、図5に示すように、木表2と木裏3は、同じ深さで彫刻してあり、木 裏3も見附けとなっている。そして、図4の(a)と(b)に示すように、平板 部11の表裏には落款7が1づつ押してある。
【0023】
【考案の効果】
以上のように、本願は請求項1記載の考案により、絵柄と背景とが1枚の欄間 板に施されるので、絵柄部と背景部の木肌の色や杢目が揃う。また、図案などで 絵柄の輪郭をボカしたり、背景部に模様を施したり、彫刻部分に対し彫りの深さ の強弱を付けるることも可能となり、彫刻手法に幅広さが得られる。 また更に、欄間板が1枚であるため、複数の欄間板を組み合わせるなどの手間 も必要としない。 また、1つの欄間に2つの作品を彫る事ができるため、異なる作品である木表 と木裏は別々に落款を押すことが可能である。つまり、「見附け」を木表と木裏 に設ける事ができるので、欄間の2面に「表見附け」と「裏見附け」とも言うべ き新たな製品要素を生み出す。
【0024】 請求項2記載の考案は、請求項1記載の考案の効果を基調にしながらも、従来 ながらの換気や透かしによる変化が得られる。
【0025】 請求項3記載の考案は、色の異なる別体を用いたり、彫りだした図案よりも輪 郭が顕著であるなど、図案に変化が得られる。
【0026】 請求項4記載の考案は、従来の縁取り欄間に対し請求項1乃至3記載の考案の 効果と同様の効果が得られる。
【0027】 請求項5記載の考案は、請求項1乃至4記載の考案の効果に加え、裏見附けの 装飾性を一層増すことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1に係る板欄間の木表と木裏を示す正
面図と背面図である。
【図2】 実施例2に係る板欄間の木表と木裏を示す正
面図と背面図である。
【図3】 実施例3に係る板欄間の別体を貼着する様子
を示す斜視図である。
【図4】 実施例4に係る板欄間の木表と木裏を示す正
面図と背面図である。
【図5】 実施例4に示す板欄間のA−A断面を厚みを
強調して示した断面図である。
【図6】 従来の縁取り欄間の正面図である。
【図7】 図6に示す従来の縁取り欄間のB−B断面を
厚みを強調して示した断面図である。
【符号の説明】
1 板欄間 1a 縁取り欄間 2 木表 3 木裏 4 図案 4a 絵柄部 4b 背景部 5 透かし 6 別体 7 落款 8 欄間板 10 従来の縁取り欄間 11 平板部 12 彫刻部 13 張り出し縁

Claims (5)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 板欄間であって、1枚の欄間板の木表と
    木裏に、異なった図案を透かしの無い彫刻により成した
    事を特徴とする板欄間。
  2. 【請求項2】 板欄間であって、1枚の欄間板の木表と
    木裏に、異なった図案を透かしの無い彫刻によりほぼ全
    面に成し、共通の透かしを一部のみに施した事を特徴と
    する板欄間。
  3. 【請求項3】 前記図案は、その一部分が前記欄間板に
    貼着した別体からなる事を特徴とした請求項1又は2に
    記載の板欄間。
  4. 【請求項4】 前記板欄間が縁取り欄間である事を特徴
    とした請求項1乃至3のいずれか1に記載の板欄間。
  5. 【請求項5】 木表と木裏の彫刻が、ほぼ同じ深さに彫
    られた事を特徴とした請求項1乃至4のいずれか1に記
    載の板欄間。
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Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0330069U (ja) * 1990-08-21 1991-03-25

Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0330069U (ja) * 1990-08-21 1991-03-25

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