JP3011126U - 果実整列板 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 偏平な果実をその平らな頂部又は底部を真上
にした状態で果実挿入部内に安定に保持できる果実整列
板を提供する。この果実整列板は、果肉を破砕せずに果
実から種子を打ち抜いて除去する種子除去装置に用いら
れる。 【構成】 上端開口部を果実の径より大径の果実入口
６、下端開口部を種子出口８とする果実装着孔４を備え
た果実整列板において、果実装着孔４内の上側に果実が
挿入される果実挿入部１０、下側に果実の径より小径の
種子排出部１２、果実挿入部１０と種子排出部１２との
間に平面状の段部をそれぞれ形成する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、果肉を破砕せずに果実から種子を除去する種子除去装置に用いられ る果実整列板に関し、さらに詳述すると、アセロラのように形状が偏平でかつ種 子が果実の中心に位置していない果実から種子を除去する場合に好適に使用され る果実整列板に関する。

【０００２】

【従来の技術】

サクランボ等の食用に適さない種子を含む果実をプレザーブジャムや糖果など に加工する場合、果肉を破砕せずに果実から種子を除去し、果肉を原形を残した 状態で採取することが行われる。このような場合に用いられる種子除去装置とし て、従来、図３に示す構成のものがある。

【０００３】 図３に示す種子除去装置５２は、果肉採取容器５４と、果肉採取容器５４の上 方に上下動可能に設置された種子打ち抜き板５６とを備えている。果肉採取容器 ５４は、四角容器５８の上端開口部に四角形の果実整列板６０が取り付けられた ものである。

【０００４】 果実整列板６０は図４に示すように、多数の果実装着孔６２を備えている。こ の果実装着孔６２は、図５に示すように、果実整列板６０の上面に形成された円 形の果実入口６４を上端開口部とし、果実整列板６０の下面に形成された円形の 種子出口６６を下端開口部とするものである。果実入口６４の径は果実の径より 大きく、種子出口６６の径は果実の径より小さく形成されている。また、果実装 着孔６２の周壁部６６は、下方に向かうにしたがい次第に小径となるやや丸みを 帯びたテーパ面に形成されている。したがって、この果実整列板６０では、果実 装着孔６２内の種子出口６６より上方のほぼ全領域が略半球状の果実挿入部６８ となっており、この果実挿入部６８の周壁部６６で果実を支持するようになって いる。

【０００５】 種子打ち抜き板５６は、果実整列板６０とほぼ同じ大きさの四角板７０の下面 に多数の種子打ち抜きシャフト７２が固定されたものである（図１参照）。この 種子打ち抜きシャフト７２は、図６に示すように、円柱形のシャフト本体７４の 先端に放射状に配列した複数の板刃７６からなる刃部７８を設けた構成を有する 。種子打ち抜きシャフト７２は、果実整列板６０の果実装着孔６２に対応する位 置に配置されており、種子打ち抜き板５６を下降させたときに果実挿入孔６２の 中央部に挿入されるようになっている。

【０００６】 図３の種子除去装置５２によってサクランボ等の果実から種子を除去する場合 、まず、果実整列板６０の多数の果実装着孔６２の果実挿入部６８内にそれぞれ 果実を入れる。種子出口６６の径は果実の径より小さいので、果実挿入部６８内 に入った果実は果実整列板６０から落下しない。

【０００７】 次に、種子打ち抜き板５６を下降させると、シャフト７２の刃部７８が果実挿 入部６８内に存する果実の中央部を打ち抜く。これにより、果肉を破砕すること なく果実から種子が打ち抜かれ、この種子は種子出口６６から四角容器５８内に 落下する。一方、果肉は果実挿入部６８内に残存するので、種子除去後に果実挿 入部６８から原形を残した状態の果肉を採取する。

【０００８】

【考案が解決しようとする課題】

図３の種子除去装置は、サクランボのように形状がほぼ球状でかつ１個の種子 が果実のほぼ中心に位置している果実の種子の除去には有効に機能し、果実から 種子を効率的に除去することができる。すなわち、ほぼ球状の果実は略半球状果 実挿入部６８の側壁部６６にうまくフィットし、果実挿入部６８内に安定に保持 される。しかも、１個の種子が果実のほぼ中心に位置している場合、果実挿入部 ６８内で果実がどのような方向を向いていても、シャフト７２で果実の中心部を 打ち抜けば必ず種子を除去することができる。

【０００９】 しかし、図３の装置は、アセロラのように形状が偏平でかつ種子が果実の中心 に位置していない果実の種子の除去には有効に機能しないという欠点がある。す なわち、図７に示すように、アセロラは果実ａの頂部ｂ（木と繋がる軸の付いて いた箇所）の側及び底部ｃ（頂部ｂの反対側の箇所）の側が平らになっており、 形状が偏平であるとともに、果実ａの中心から外周方向にやや離れたほぼ同じ高 さの位置に３個の種子ｄが互いに離間した状態で存在している。そのため、アセ ロラの果実ａから種子ｄを打ち抜きシャフトによって打ち抜くには、果実ａの頂 部ｂ側から底部ｃ側に向けて（図中Ｘ方向）、あるいは底部ｃ側から頂部ｂ側に 向けて（図中Ｙ方向）、果実ａの中央部に打ち抜きシャフトを通さなければ、全 ての種子ｄを除去することが難しい。例えば、果実ａに対して横方向（図中Ｐ方 向）あるいは斜め方向（図中Ｑ方向）に打ち抜きシャフトを通した場合には、種 子ｄのいくつかが除去されずに果肉中に残存することが多い。

【００１０】 図３に示した種子除去装置を用いて上記のように果実の頂部側から底部側ある いはその逆に打ち抜きシャフトを通すためには、果実の頂部又は底部が真上にく るように果実挿入部６８に果実を装着する必要がある。しかし、図３の種子除去 装置の果実挿入部６８は、略半球状であるため偏平な果実にフィットせず、頂部 又は底部を真上にした状態で果実挿入部６８内に果実を安定に保持することが難 しい。そのため、従来の種子除去装置は、偏平で複数の種子が果実の中心から離 れた位置に存在するような果実から種子をうまく除去することができないもので あった。

【００１１】 本考案は、上記事情に鑑みてなされたもので、偏平な果実をその平らな頂部又 は底部を真上にした状態で安定に保持することが可能な果実整列板を提供するこ とを目的とする。

【００１２】

【課題を解決するための手段】

本考案の果実整列板は、上記目的を達成するため、上端開口部を果実の径より 大径の果実入口、下端開口部を種子出口とする果実装着孔を備えた果実の種子除 去装置用の果実整列板において、前記果実装着孔内の上側に果実が挿入される果 実挿入部、下側に果実の径より小径の種子排出部を設けるとともに、前記果実挿 入部と種子排出部との間に平面状の段部を形成したことを特徴としている。

【００１３】

【作用】

本考案の果実整列板では、果実挿入部の底面が平面状の段部となっているので 、頂部側及び底部側が平らになった偏平な果実の平らな部分が平面状の段部の上 に載り、この段部によって果実が支持される。そのため、果実挿入部内で偏平な 果実がその頂部又は底部を真上にした状態で安定する。

【００１４】

【実施例】

次に、実施例によって本考案を具体的に示すが、本考案は下記実施例に限定さ れるものではない。図１は本考案に係る果実整列板の一実施例を示す概略平面図 、図２は一部拡大断面図である。

【００１５】 本実施例の果実整列板２は、金属により形成されたもので、多数の果実装着孔 ４を備えている。この果実装着孔４は、果実整列板２上面の円形の果実入口６を 上端開口部とし、果実整列板２下面の円形の種子出口８を下端開口部としている 。果実入口６の径は果実の径より大径に、種子出口８の径は果実の径より小径に 形成されている。

【００１６】 果実装着孔４内の上側には内部に果実が挿入される果実挿入部１０が形成され 、下側には果実の径より小径の種子排出部１２が設けられている。また、果実挿 入部１０と種子排出部１２との間には円形リング状の平面状段部１４が形成され ている。果実挿入部１０の周壁部１６は下方に向かうにしたがい次第に小径とな る直線的なテーパ面に形成され、種子排出部１２の周壁部１８は垂直面に形成さ れている。なお、図中１５はネジ穴１７を有する取付板を示す。

【００１７】 本実施例の果実整列板２は、果実挿入部１０の底面が平面状の段部１４となっ ているので、アセロラ等の偏平で頂部及び底部が平らになった果実を果実挿入部 １０内に入れた場合、果実の頂部又は底部が段部１４の上に載って果実が段部１ ４で支持される。そのため、果実挿入部１０内に偏平な果実がその頂部又は底部 を真上にした状態で安定に保持される。

【００１８】 上記実施例の果実整列板を用いて図３の装置と同様の種子除去装置を構成し、 アセロラの果実から種子を除去した。この場合、果実整列板２の果実装着孔４は 、果実入口６の径を２６ｍｍ、果実挿入部１０の高さを１０ｍｍ、円形リング状 段部１４の外径を２２ｍｍ、種子排出部１２及び種子出口８の径を１２ｍｍ、種 子排出部１２の高さを１０ｍｍとした。なお、打ち抜きシャフトとしては、径１ ２ｍｍの円柱形のシャフト本体の先端に鋭利な鋸状刃からなる刃部を設けた構成 のものを用いた。使用したアセロラ果実の大きさ、重量は表１の通りであった。

【００１９】

【表１】

【００２０】 その結果、得られた果肉には種子の混入がなく、本実施例の果実整列板を用い ることにより、偏平でかつ種子が果実の中心に位置していないアセロラ等の果実 から種子を完全に除去できることが確認された。

【００２１】 なお、本考案の果実整列板において、果実挿入部、種子排出部、平面状段部の 形状は上記実施例に限定されず、処理する果実の種類に応じて適宜変更すること ができる。

【００２２】

【考案の効果】

本考案の果実整列板によれば、偏平な果実をその平らな頂部又は底部を真上に した状態で安定に保持することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係る果実整列板の一実施例を示す概略
平面図である。

【図２】同果実整列板の拡大断面図である。

【図３】従来の種子除去装置の一例を示す概略正面図で
ある。

【図４】同種子除去装置の果実整列板を示す平面図であ
る。

【図５】同果実整列板の拡大断面図である。

【図６】同種子除去装置の種子除去シャフトを示す一部
省略正面図である。

【図７】アセロラ果実を示すもので、（Ａ）は平面断面
図、（Ｂ）は一部切り欠き正面断面図である。

【符号の説明】

２ 果実整列板 ４ 果実装着孔 ６ 果実入口 ８ 種子出口 １０ 果実挿入部 １２ 種子排出部 １４ 平面状の段部

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 上端開口部を果実の径より大径の果実入
   口、下端開口部を種子出口とする果実装着孔を備えた果
   実の種子除去装置用の果実整列板において、前記果実装
   着孔内の上側に果実が挿入される果実挿入部、下側に果
   実の径より小径の種子排出部を設けるとともに、前記果
   実挿入部と種子排出部との間に平面状の段部を形成した
   ことを特徴とする果実整列板。