JP3007554B2 - イメージセンサ用窓ガラス - Google Patents

イメージセンサ用窓ガラス

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JP3007554B2 JP7096302A JP9630295A JP3007554B2 JP 3007554 B2 JP3007554 B2 JP 3007554B2 JP 7096302 A JP7096302 A JP 7096302A JP 9630295 A JP9630295 A JP 9630295A JP 3007554 B2 JP3007554 B2 JP 3007554B2
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誠 後藤
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ビデオカメラ等に使用
されるイメージセンサのパッケージ窓用として用いられ
るガラスに関し、特にイメージセンサのノイズ発生を低
減させたイメージセンサ用窓ガラスに関する。
【0002】
【従来の技術】固体撮像素子(イメージセンサ)は、受
光素子であるLSIチップをアルミナセラミックパッケ
ージ内に納め、その受光面に色分解モザイクフィルター
を重ねてワイヤボンディングし、さらにその上にカバー
ガラスをエポキシ樹脂または、ガラスフリットを用いて
封着した構造となっている。ここで用いられるカバーガ
ラスは、アルミナセラミックパッケージとの気密封着に
よりLSIチップを保護するだけではなく受光面へ効率
的に光を導入するため、内部欠陥の少ない光学的に均質
な材料特性、高い透過率特性が要求される。このためカ
バーガラス表面に弗化マグネシウム膜等の反射防止膜を
被膜したものが用いられている。
【0003】一方、通常のICはもちろん、大容量メモ
リー素子など各種超LSIチップ半導体装置において、
アッセンブリに使用される気密封着用低融点ガラスある
いはその充填剤(フィラー)がα線粒子を放出し、ソフ
トエラーを発生することが知られている。これは、主と
して低融点ガラスの線膨脹係数の調整および強度向上を
目的として使用される充填剤(例えば、ジルコン Zr
SiO4 など)が原因であり、放射性元素の分離が困難
である封着物質が使用された結果、α線放射率が著しく
増大し、高集積ICの封止材料として用いることは適当
でないことが判明している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】テレビカメラなどに応
用されるイメージセンサとしての固体撮像素子は、高解
像度化の要請からしだいに画素数を増加させる方向にあ
る。同時にカメラ一体型VTRの小型,軽量化の進展と
ともに、光学系は、1/2インチ系から1/3インチ
系、さらには1/4インチ系へと縮小化が進んでいる。
したがって画素面積が全体的に縮小化され更に画素数が
増加するため、一画素当たりの信号レベルは相対的に低
下し、従来問題にならなかった微小ノイズが画質向上の
大きな妨げとなってきている。固体撮像素子の高解像度
化を達成するためには、一画素当りの感度を上げるとと
もにできるだけノイズを減らす必要がある。
【0005】それに関連してCCDなどイメージセンサ
の窓ガラスが放射性元素を大量に含有し放射性元素が崩
壊する際に放出される各種放射線が、イメージセンサに
誤動作を引き起こしノイズとなることが見出され、すで
に高純度に精製された原料を使用するなど放射線に対す
る対策を施された基板ガラスの開発が進められている。
【0006】ところが、上述のようにイメージセンサ用
窓ガラスでは、高い透過率特性が要求されるため、その
表面に反射防止膜が被膜されて使用される。この結果、
ガラスからの放射線が問題のないレベルまで低減されて
も、反射防止膜に含まれる放射性元素から放出される放
射線によって、同様にイメージセンサに誤動作が発生し
ノイズとなることが判明した。このため反射防止膜も含
めて放射線対策を施したイメージセンサ用窓ガラスを開
発し、先に提案した(特願平5-342977号)。これによっ
てイメージセンサ用窓ガラスに起因するノイズは大幅に
低減されたが、上述のように高解像度化を達成するため
には、一画素当りの感度を上げることも必要であり、そ
のためには1%でも高い透過率が求められている。
【0007】本発明は、これらの事情を考慮してなされ
たもので、反射防止膜を含めたイメージセンサ用窓ガラ
スからの放射性同位元素に起因する固体撮像素子のノイ
ズ発生がなく、透過率特性に優れたイメージセンサ用窓
ガラスを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するために、ガラス基板の表面に反射防止膜を被着した
イメージセンサ用窓ガラスにおいて、前記反射防止膜を
構成する材質として、ガラス基板側から第1層が酸化ア
ルミニウムに酸化タンタルを0.1〜10質量%含有し
た混合膜、第2層が酸化タンタル膜、第3層が弗化マグ
ネシウム膜からなり、ガラス基板と反射防止膜の双方に
含まれる放射性同位元素の合量が100ppb以下とし
たイメージセンサ用窓ガラスである。
【0009】また、ガラス基板の表面に反射防止膜を被
着したイメージセンサ用窓ガラスからのα線放出量を
0.05c/cm2 ・h以下とした。
【0010】
【作用】反射防止膜は通常、2層または3層で十分な反
射防止効果が得られる。2層の場合、ガラス基板側から
高屈折率膜、ついで低屈折率膜を被膜する。また3層の
場合、ガラス基板側から中間屈折率の膜、高屈折率の膜
そして低屈折率の膜を順次被膜することで光学的に反射
防止効果が得られる。
【0011】一般に、2層に比べて3層のほうが高い透
過率が得られるが、3層膜において、中間屈折率膜の屈
折率を変えることによりさらに高い透過率を得ることが
できる。本発明では中間屈折率膜として酸化アルミニウ
ムを使用し、これに酸化タンタルを含有させて屈折率を
調整し高透過率を得られるようにした。酸化タンタルの
含有量は、反射防止膜の透過率が向上するように適切に
調整する必要があり、後述する実施例中に示すように、
酸化アルミニウムに対する酸化タンタルの含有量が0.
1質量%未満では中間屈折率膜の屈折率変化がなく、透
過率向上の効果がない。また10質量%を越えた場合、
中間屈折率膜の屈折率が急激に大きくなり、透過率を低
下させる。より好ましくは、図5に酸化タンタルの含有
量と屈折率変化との関係を示すように、屈折率の変化が
顕著に現れる1〜10質量%の範囲である。
【0012】また、本発明の反射防止膜を構成する上記
酸化アルミニウム、酸化タンタル、弗化マグネシウム
は、いずれもその材質を精製することができ、含有され
るα線放出性元素を100ppb以下、好ましくは50
ppb以下の極低量に抑えることが可能である。
【0013】ガラス基板として、放射線対策が施され
た、たとえば特願平4-322753号に記載のガラスを用い、
上記材質からなる反射防止膜を被着させることによっ
て、ガラス基板と反射防止膜の双方に含まれる放射性同
位元素の合量を100ppb以下とすることができる。
これら双方の放射性同位元素含有量が100ppbを越
えると、α線放出量が0.05c/cm2 ・hを越えて
増大し、イメージセンサにおけるノイズ発生が顕著とな
る。したがって、反射防止膜を被着したイメージセンサ
用窓ガラスからのα線放出量は0.05c/cm2 ・h
以下に抑えることが好ましい。
【0014】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。本
発明の実施例を表1に示す。表中試料No.2ないしNo.14
は本発明の実施例を示し、No.1は第1層に混合膜を用い
ない従来例、No.15 およびNo.16 は酸化アルミニウムに
対する酸化タンタルの含有量を過剰にした比較例であ
る。また表中のα線放出量の単位はc/cm2 ・hで示
してある。
【0015】ガラス基板として、各種高純度に精製され
た原料を使用し質量百分率で,SiO2 72.1%,A
2 3 4.5%,B2 3 11.0%,Na2
6.7%,K2 O 1.9%,Li2 O 0.5%,M
gO 2.3%,As2 3 0.6%,Sb2 3 0.
4%からなる組成を有し、α線放射元素含有量がU 2
4ppb,Th 8ppb,Ra 1ppb未満で、か
つガラス基板からのα線放出量が0.03c/cm2
hであるガラスを使用した。肉厚0.75mmに光学研
磨加工したこのガラス基板1の両面に反射防止膜2を真
空蒸着法により被着し、反射防止膜付イメージセンサ用
窓ガラスの試料とした。
【0016】これらの試料は、図1に示すようにガラス
基板1側から第1層として中間屈折率膜2M、第2層と
して高屈折率膜2H、第3層として低屈折率膜2Lの順
に片側に3層ずつの反射防止膜を設けたものである。中
間屈折率膜2Mは酸化アルミニウムに表1に質量%で示
す割合で酸化タンタルを含む混合物、高屈折率膜2Hは
酸化タンタル、低屈折率膜2Lは弗化マグネシウムから
なる。ただし、No.1の試料は第1層の中間屈折率膜2M
が酸化アルミニウムのみからなる。
【0017】上記膜物質をそれぞれ蒸着源とし、以下の
蒸着条件で、光学膜厚が第1層:0.25λ、第2層:
0.5λ、第3層:0.25λ(λ=530nm)とな
るように成膜を行った。 (1) 真空度 6.65×10-3Pa (2) 基板加熱温度 300℃ (3) 蒸発源 エレクトロンビーム 以上のようにして作成された試料から放出されるα線放
出量の測定は、2πガスフロー式比例計数管を用いた超
低レベルα線測定装置で行ない表1に示した。またこの
測定値(反射防止膜付イメージセンサ用窓ガラスからの
α線放出量)から反射防止膜を形成する前のガラス基板
のみからのα線放出量を減じた値を反射防止膜からのα
線放出量として表中に()書きで記した。
【0018】α線放射元素含有量は、ICP−MASS
により測定し、α線放出量と同様に反射防止膜付イメー
ジセンサ用窓ガラス全体における含有量から反射防止膜
を形成する前のガラス基板のみにおける含有量を減じた
値を反射防止膜のα線放射元素含有量として表中に()
書きで記した。
【0019】また、各試料について分光透過率を測定
し、図2ないし図4に400〜700nmにおける透過
率曲線を示すとともに表1中に従来例であるNo.1の試料
を基準として、これより透過率が高いものを「+」、低
いものを「−」で示した。
【0020】そして、これらの試料を実際に有効画素数
58万画素のCCDチップを内臓したアルミナパッケー
ジに封着して、固体撮像素子に使用した場合のノイズの
有無を調査した。
【0021】
【表1】
【表1】
【0022】表1の結果より、すべての試料において
U,Th,Raの合計含有量は100ppb以下であ
り、α線放出量も0.05c/cm2 ・h以下であって
固体撮像素子におけるノイズもみられなかった。
【0023】また、図2ないし図4に示すように、本発
明に係るNo.2〜No.14 の試料と従来例であるNo.1の試料
の分光透過率は、同等以上の特性を示し、特に第1層に
おいて酸化タンタルの含有量を1質量%以上としたNo.5
〜No.14 の試料では可視透過率がほぼ100%近くに向
上している。これに対し、第1層において酸化タンタル
の含有量を10質量%以上としたNo.15 ,No.16 の試料
では極端に透過率が低下してしまった。以上のことから
第1層の酸化アルミニウムに含有される酸化タンタルの
量は、0.1〜10質量%とすることが好ましく、特に
1〜10質量%の範囲で効果が顕著となることがわか
る。
【0024】
【発明の効果】以上のように本発明のイメージセンサ用
窓ガラスは、放射線の放出量が低く、イメージセンサの
窓ガラスとして使用した場合、ガラスおよび反射防止膜
からの放射線に起因するノイズの発生を著しく低減する
ことができる。そのうえ反射防止効果が高く、極めて高
い透過率特性を有するので、イメージセンサへの入射光
量損失がない。
【0025】したがって、本発明のイメージセンサ用窓
ガラスは、固体撮像素子のパッケージ用窓ガラスとして
極めて好適し、固体撮像素子の小型化・高解像度化に貢
献することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る片側3層ずつの反射防止膜を設け
たイメージセンサ用窓ガラスの模式的断面図である。
【図2】本発明に係る試料No.2,3,4と従来例である試料
No.1の分光透過率特性を示す曲線図である。
【図3】本発明に係る試料No.5ないしNo.10 の分光透過
率特性を示す曲線図である。
【図4】本発明に係る試料No.11 ないしNo.14 と比較例
である試料No.15,16の分光透過率特性を示す曲線図であ
る。
【図5】酸化アルミニウムに対する酸化タンタルの含有
量と屈折率との関係を示す曲線図である。
【符号の説明】
1 ガラス基板 2 反射防止膜 2M 中間屈折率膜 2H 高屈折率膜 2L 低屈折率膜

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ガラス基板の表面に反射防止膜を被着し
    たイメージセンサ用窓ガラスにおいて、前記反射防止膜
    を構成する材質として、ガラス基板側から第1層が酸化
    アルミニウムに酸化タンタルを0.1〜10質量%含有
    した混合膜、第2層が酸化タンタル膜、第3層が弗化マ
    グネシウム膜からなり、ガラス基板と反射防止膜の双方
    に含まれる放射性同位元素の合量が100ppb以下で
    あることを特徴とするイメージセンサ用窓ガラス。
  2. 【請求項2】 ガラス基板と反射防止膜の双方からのα
    線放出量の合量が0.05c/cm2 ・h以下であるこ
    とを特徴とする請求項1記載のイメージセンサ用窓ガラ
    ス。
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CN100395613C (zh) * 2004-08-07 2008-06-18 鸿富锦精密工业(深圳)有限公司 透光板

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