JP2001272633A - 光学ローパスフィルタ及び光学ローパスフィルタ用赤外線カット手段 - Google Patents

光学ローパスフィルタ及び光学ローパスフィルタ用赤外線カット手段

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JP2001272633A
JP2001272633A JP2000082555A JP2000082555A JP2001272633A JP 2001272633 A JP2001272633 A JP 2001272633A JP 2000082555 A JP2000082555 A JP 2000082555A JP 2000082555 A JP2000082555 A JP 2000082555A JP 2001272633 A JP2001272633 A JP 2001272633A
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infrared cut
coat layer
pass filter
optical low
glass
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JP2000082555A
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English (en)
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Hideshi Saito
秀史 斉藤
Hidekazu Kameda
英一 亀田
Keimei Matsui
啓明 松井
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Daishinku Corp
Original Assignee
Daishinku Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 光学ローパスフィルタに採用される赤外線遮
断のための手段として赤外線カットコート層を用いた場
合において、この赤外線カットコート層の損傷を回避す
ると共に環境の影響による分光特性の変化を抑制する。 【解決手段】 赤外線カットガラス3の片面に赤外線カ
ットコート層4を真空蒸着により積層して赤外線カット
手段Aを構成する。外側面に反射防止膜5,5が形成さ
れた水晶複屈折板2,2の内側面を赤外線カットガラス
3及び赤外線カットコート層4にそれぞれ接着し、赤外
線カット手段Aを保護する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光学ローパスフィ
ルタ及び光学ローパスフィルタ用赤外線カット手段に係
る。特に、本発明は、赤外線カットコート層の赤外線遮
断性能の信頼性を向上するための対策に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、ビデオカメラや電子スチルカ
メラ等の撮像装置に備えられ、光学的疑似信号を濾波し
て画質の劣化を防止するための光学ローパスフィルタが
知られている。この光学ローパスフィルタは、例えば特
開平11−218612号公報に開示されているよう
に、水晶複屈折板を備え、この水晶複屈折板によって入
射光を分離することにより、CCD等の撮像素子に対す
る入力光をぼかし、モアレ像を誘発する疑似信号を減衰
させるようになっている。
【0003】また、この光学ローパスフィルタには、赤
外線を遮断するための手段として、例えば特開昭62−
34103号公報に開示されているような赤外線カット
ガラスが採用されている。この赤外線カットガラスとし
ては、例えば弗リン酸系のガラスが用いられている。こ
の赤外線カットガラスの配置形態としては、例えば図6
(a)に示すように2枚の水晶a,a(複屈折板)の間
に赤外線カットガラスbを挟み込んだものや、図6
(b)に示すように1枚の水晶aの片面に赤外線カット
ガラスbを接着したものがある。尚、これら図における
cは、反射防止膜であって、例えばMgF2により形成
されている。
【0004】一方、上述の如く赤外線カットガラスを赤
外線遮断のための手段として使用した場合、光学ローパ
スフィルタの厚さ寸法を小さくするには限界がある。こ
のため、この赤外線カットガラスに代えて、例えば特開
昭62−96621号公報に開示されているような赤外
線カットコート層を採用し、光学ローパスフィルタの小
型化を図ることも行われている。この赤外線カットコー
ト層としては、例えば、TiO2とSiO2とが交互に積
層(例えば30層)されて構成されている。この赤外線
カットコート層の配置形態としては、例えば図7(a)
に示すように1枚の水晶aの一方の外側面に赤外線カッ
トコート層dが形成されたものや、図7(b)及び
(c)に示すように複数枚の水晶a,a,…で成る光学
ローパスフィルタの一方の外側面に赤外線カットコート
層dが形成されたものがある。これら図においてもc
は、反射防止膜であり、光学ローパスフィルタの他方の
外側面(赤外線カットコート層dが形成されていない側
の面)に設けられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記赤外線
カットコート層は、膜の硬度が低く、且つ湿度による悪
影響を受けやすいものであった。つまり、他の部材との
接触などによって容易に傷付いてしまい所定の赤外線カ
ット機能が得られなくなったり、湿度によって分光特性
が大きく変化してしまい設置場所の環境によって赤外線
カット性能のばらつきが大きく、十分な信頼性を得るこ
とができなかった。
【0006】本発明は、かかる点に鑑みてなされたもの
であり、その目的とするところは、光学ローパスフィル
タに採用される赤外線遮断のための手段として赤外線カ
ットコート層を用いた場合において、この赤外線カット
コート層の損傷を回避すると共に環境の影響による分光
特性の変化を抑制することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】−発明の概要− 上記の目的を達成するために、本発明は、赤外線カット
コート層を覆うことによって、この赤外線カットコート
層の損傷や湿度の悪影響を回避するようにしている。
【0008】−解決手段− 具体的に、第1の解決手段では、赤外線を遮断するため
の赤外線カットコート層を備えた光学ローパスフィルタ
を前提とする。この光学ローパスフィルタに対し、赤外
線カットコート層をフィルタ外面に露出しないように保
護手段によって覆っている。
【0009】また、第2の解決手段は、赤外線を遮断す
るための赤外線カットコート層及び赤外線カットガラス
を備えた光学ローパスフィルタであって、赤外線カット
コート層を、赤外線カットガラスの表面に積層する。ま
た、赤外線カットコート層がフィルタ外面に露出しない
ように、この赤外線カットコート層の反赤外線カットガ
ラス側を保護手段によって覆っている。
【0010】これら特定事項により、赤外線カットコー
ト層が保護手段によって保護された状態となる。このた
め、赤外線カットコート層の傷付きを防止することがで
き、安定した赤外線カット機能を維持することができ
る。また、赤外線カットコート層が湿度の影響を受ける
ことを回避でき、分光特性の変動を防止することがで
き、信頼性の高い赤外線カット性能を得ることができ
る。また、赤外線カットコート層及び赤外線カットガラ
スを併用した場合、これらを単独で使用した場合とは異
なる光の透過特性を得ることができる。つまり、特定波
長を容易に設定し易い赤外線カットガラスの特性(図2
(a)参照)を維持しながら、透過率の低下割合が急峻
な赤外線カットコート層の特徴(図2(b)参照)をも
たせることができる。これにより、これまでにない透過
特性(図2(c)参照)が得られる。
【0011】第3の解決手段は、上記第2の解決手段に
おいて、赤外線カットガラスの反赤外線カットコート層
側も保護手段によって覆っている。
【0012】この特定事項により、赤外線カットガラス
も保護手段によって保護することができる。つまり、こ
の赤外線カットガラスの損傷も防止でき、信頼性の高い
赤外線カット性能が維持できる。また、この赤外線カッ
トガラスへの水分の悪影響も回避でき、ガラスの曇り等
が防止でき、これによっても信頼性の高い赤外線カット
性能が得られる。
【0013】第4の解決手段は、少なくとも1枚の複屈
折板、この複屈折板に積層され且つ赤外線を遮断するた
めの赤外線カットコート層を備えた光学ローパスフィル
タを前提とする。この光学ローパスフィルタに対し、赤
外線カットコート層をフィルタ外面に露出しないように
保護手段によって覆っている。
【0014】また、第5の解決手段は、赤外線を遮断す
るための機能部品の単体に係るものである。つまり、上
記第2の解決手段に係る光学ローパスフィルタに備えら
れ、赤外線カットガラスの表面に赤外線カットコート層
が積層されて構成された光学ローパスフィルタ用赤外線
カット手段である。
【0015】このような機能部品を単体で構成すること
により、光学ローパスフィルタの製造工程で赤外線カッ
トコート層の形成(一般的には真空蒸着により形成され
る)工程を廃することができる。つまり、赤外線カット
ガラスの製造工程の一部に赤外線カットコート層の形成
工程を組み込むことができ、光学ローパスフィルタの製
造作業の簡素化を図りながらも、赤外線カットガラス及
び赤外線カットコート層を併用した光学ローパスフィル
タを実現するすることができる。
【0016】第6の解決手段は、上記第1〜4の解決手
段のうち何れか一つの解決手段において、保護手段を、
水晶、無色ガラス、保護コート層のうちから選択したも
のである。
【0017】特に、保護手段として水晶を採用した場合
には、水晶に入射光分離機能と赤外線カットのための手
段を保護する機能とを兼ね備えさせることができる。こ
のため、保護のための特別な部材を採用する必要が無
く、光学ローパスフィルタを構成する部材の個数を増加
させることがない。また、保護用の無色ガラスとしてレ
ンズの焦点を合わせるために使用される所謂ダミーガラ
スを適用した場合も同様である。また、保護コート層と
しては、具体的には、樹脂系(エポキシ系等)の接着剤
やアルミナ等、比較的耐候性に優れた材料や硬度の高い
材料などが採用される。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の複数の実施形態に
ついて図面に基づいて説明する。以下の各形態では、C
CD等の撮像素子を備えたビデオカメラに備えられた光
学ローパスフィルタに本発明を適用した場合について説
明する。尚、以下に説明する各実施形態のうち、第1及
び第2の実施形態では、赤外線を遮断する手段として赤
外線カットガラスと赤外線カットコート層とを併用した
場合に関して説明し、第3及び第4の実施形態では、赤
外線を遮断する手段として赤外線カットコート層のみを
使用した場合に関して説明する。
【0019】(第1実施形態) −光学ローパスフィルタの構成− 本実施形態に係る光学ローパスフィルタ1は、図1に示
すように、2枚の水晶複屈折板2,2を備えたものであ
る。図1(a)は光学ローパスフィルタ1を構成する各
部材を接着する前の状態であり、図1(b)はこれら各
部材が接着されて形成された光学ローパスフィルタ1を
示している。
【0020】本形態の光学ローパスフィルタ1において
赤外線を遮断するための手段としては、赤外線カットガ
ラス3及び赤外線カットコート層4を併用している。
【0021】具体的には、この赤外線カットガラス3の
片側(図1における右側)の表面に赤外線カットコート
層4が真空蒸着により形成され、この赤外線カットガラ
ス3と赤外線カットコート層4とが一体となって赤外線
カット手段Aを構成している。
【0022】そして、赤外線カットガラス3及び赤外線
カットコート層4のそれぞれの外側面(図1の左右方向
における各外側面)に上記各水晶複屈折板2,2が接着
剤により接着されている。また、各水晶複屈折板2,2
の外側面には反射防止膜5,5が形成されている。
【0023】上記赤外線カットガラス3は、材質として
弗リン酸系ガラスが採用され、厚さ寸法は例えば1.2
mm程度に設定されている。赤外線カットコート層4は、
TiO2とSiO2とが真空蒸着により交互に積層され、
例えば20層の積層体により形成されている。反射防止
膜5,5はMgF2の単層またはAl23 、ZrO2
MgF2の三層により形成されている。尚、これら各部
材の材質及び構成はこれに限るものではない。
【0024】−光学ローパスフィルタ1の作用− このようにして構成された光学ローパスフィルタ1の作
用としては、先ず、入射光が各水晶複屈折板2,2を通
過する際に、その光学軸方向に分離され、これによって
入射光が複数分離(例えば4点分離)される。このよう
に入射光を分離することにより、CCD等の撮像素子に
対する入力光をぼかし、モアレ像を誘発する疑似信号を
減衰させることができる。また、入射光が赤外線カット
ガラス3及び赤外線カットコート層4を通過する際に赤
外線が遮断され、撮像素子が赤外線を受光することがな
いようになっている。具体的には、赤外線カットガラス
3にあっては赤外線が吸収され、赤外線カットコート層
4にあっては赤外線が反射されることにより赤外線が遮
断される。
【0025】−赤外線カットガラス3と赤外線カットコ
ート層4とを併用した場合の透過特性− 以下、この赤外線カットガラス3と赤外線カットコート
層4とを併用したことによる入射光の透過特性の変化に
ついて説明する。
【0026】図2(a)は赤外線カットガラス3のみを
使用した場合の入射光の波長と透過率との関係を示して
いる。このように、特定波長(遮断したい波長と透過し
たい波長との臨界部分の波長)付近における透過率の低
下割合が緩やかである。また、この赤外線カットガラス
3は、光学系内部での乱反射が無く、分光特性のばらつ
きも少ない。これは、赤外線カットガラス3が吸収によ
り赤外線を遮断することに起因する。更に、この赤外線
カットガラス3を使用した場合、その厚さ寸法を調整す
ることによって特定波長を任意に設定し易い。
【0027】一方、図2(b)は赤外線カットコート層
4を使用した場合における入射光の波長と透過率との関
係を示している。このように、特定波長付近における透
過率の低下割合が急峻である。また、この赤外線カット
コート層4は、光学系内部での乱反射が多く、分光特性
のばらつきが大きい。これは、赤外線カットコート層4
が反射により赤外線を遮断することに起因する。また、
赤外線カットコート層4は、湿度によって分光特性が大
きく変化してしまい、設置場所の環境によって赤外線カ
ット性能のばらつきが大きくなりやすい。尚、この赤外
線カットコート層4は、その層数が多いほど上記急峻の
度合いは増す。
【0028】このような特性を有する赤外線カットガラ
ス3と赤外線カットコート層4とを併用したことによ
り、入射光の波長と透過率との関係は、図2(c)に示
すようになる。つまり、赤外線カットガラス3の利点を
維持しながらも上記特定波長付近において透過率の低下
割合を急峻にすることができる(図2(c)に斜線を付
した部分は赤外線カットコート層4を併用したことによ
り透過率が抑えられた部分である)。
【0029】−実施形態の効果− 上述したように本形態では、赤外線カットガラス3及び
赤外線カットコート層4のそれぞれの外側面に水晶複屈
折板2,2が接着剤により接着されている。つまり、赤
外線カットガラス3及び赤外線カットコート層4が保護
手段としての水晶複屈折板2,2によって保護された構
成となっている。このため、特に、赤外線カットコート
層4の反赤外線カットガラス側(図1の右側)に配設さ
れた水晶複屈折板2の存在により、膜の硬度が低い赤外
線カットコート層4に対しては、その傷付きを防止する
ことができ、安定した赤外線カット機能を維持すること
ができて、光学ローパスフィルタ1の長寿命化を図るこ
とができる。また、赤外線カットコート層4の保護によ
り、この赤外線カットコート層4が湿度の影響を受ける
ことを回避でき、分光特性の変動を防止することができ
る。つまり、光学ローパスフィルタ1を設置できる環境
が制約されるといったことが無くなり、且つ信頼性の高
い赤外線カット性能を得ることができる。
【0030】また、赤外線カットガラス3の反赤外線カ
ットコート側(図1の左側)に配設された水晶複屈折板
2の存在により、赤外線カットガラス3が保護され、こ
の赤外線カットガラス3の損傷も防止でき信頼性の高い
赤外線カット性能が維持できる。また、この赤外線カッ
トガラス3への水分の悪影響も回避でき、ガラスの曇り
等が防止でき、これによっても信頼性の高い赤外線カッ
ト性能が得られる。
【0031】更に、本形態では、赤外線カットガラス3
及び赤外線カットコート層4を保護するための手段とし
て水晶複屈折板2を採用している。つまり、この水晶複
屈折板2に入射光分離機能と赤外線カット手段Aの保護
機能とを兼ね備えさせている。このため、赤外線カット
手段Aを保護するための特別な部材を採用する必要が無
く、光学ローパスフィルタ1を構成する部材の個数を増
加させることがない。その結果、光学ローパスフィルタ
1の構成の簡素化及びコストの削減を図ることができ
る。
【0032】(第2実施形態)次に、第2実施形態につ
いて説明する。本形態に係る光学ローパスフィルタ1
は、図3に示すように、1枚の水晶複屈折板2を備えた
ものである。図3(a)は光学ローパスフィルタ1を構
成する各部材を接着する前の状態であり、図3(b)は
これら各部材が接着されて形成された光学ローパスフィ
ルタ1を示している。
【0033】本形態の光学ローパスフィルタ1において
赤外線を遮断するための手段Aとしては、上記第1実施
形態のものと同様に、赤外線カットガラス3及び赤外線
カットコート層4を併用している。
【0034】そして、赤外線カットコート層4の外側面
(赤外線カット手段Aにおける図1の右側面)に保護手
段としての水晶複屈折板2が接着剤により接着されてい
る。また、水晶複屈折板2の外側面には反射防止膜5が
形成されている。
【0035】この構成によっても、上述した第1実施形
態の場合と同様に、赤外線カットガラス3と赤外線カッ
トコート層4とを併用したことによる透過特性を得るこ
とができる。また、赤外線カットコート層4が水晶複屈
折板2によって保護されていることにより、傷付き防止
による光学ローパスフィルタ1の長寿命化、湿度の影響
を回避することによる赤外線カット性能の向上を図るこ
とができる。
【0036】尚、赤外線カットガラス3の外側面(赤外
線カット手段Aにおける図1の左側面)にも反射防止膜
5を形成するようにしてもよい。これによれば、赤外線
カットガラス3を保護することができ、信頼性の高い赤
外線カット性能が得られる。
【0037】(第3実施形態)次に、第3実施形態につ
いて説明する。本形態に係る光学ローパスフィルタ1
は、図4に示すように、1枚の水晶複屈折板2を備えた
ものである。図4(a)は光学ローパスフィルタ1を構
成する各部材を接着する前の状態であり、図4(b)は
これら各部材が接着されて形成された光学ローパスフィ
ルタ1を示している。
【0038】本形態の光学ローパスフィルタ1において
赤外線を遮断するための手段としては、赤外線カットコ
ート層4のみを使用している。つまり、水晶複屈折板2
の片面に真空蒸着により赤外線カットコート層4を形成
している。そして、この赤外線カットコート層4に保護
手段としての無色ガラス6を接着することにより、赤外
線カットコート層4を保護している。また、水晶複屈折
板2の外側面及び無色ガラス6の外側面には反射防止膜
5が形成されている。この無色ガラス6としては、赤外
線カットコート層4を保護するための専用のものであっ
てもよいし、レンズの焦点を合わせるために使用される
所謂ダミーガラスを適用してもよい。
【0039】この構成によっても、上述した第2実施形
態の場合と同様に、赤外線カットコート層4が保護され
ていることにより、傷付き防止による光学ローパスフィ
ルタ1の長寿命化、湿度の影響を回避することによる赤
外線カット性能の向上を図ることができる。
【0040】(第4実施形態)次に、第4実施形態につ
いて説明する。本形態に係る光学ローパスフィルタ1
は、図5に示すように、3枚の水晶複屈折板2、2,2
を備えたものである。図5(a)は光学ローパスフィル
タ1を構成する各部材を接着する前の状態であり、図5
(b)はこれら各部材が接着されて形成された光学ロー
パスフィルタ1を示している。
【0041】本形態の光学ローパスフィルタ1において
赤外線を遮断するための手段としては、上述した第3実
施形態と同様に、赤外線カットコート層4のみを使用し
ている。つまり、中央の水晶複屈折板2の片面(図5に
おける右側の面)に真空蒸着により赤外線カットコート
層4を形成している。そして、この赤外線カットコート
層4に他の水晶複屈折板2を接着することにより、赤外
線カットコート層4を保護している。また、赤外線カッ
トコート層4が形成されている中央の水晶複屈折板2の
他方の面(図5における左側の面)にも他の水晶複屈折
板2が接着されている。そして、両外側に位置する水晶
複屈折板2,2の外側面には反射防止膜5,5が形成さ
れている。
【0042】この構成によっても、上述した第2実施形
態の場合と同様に、赤外線カットコート層4が保護され
ていることにより、傷付き防止による光学ローパスフィ
ルタ1の長寿命化、湿度の影響を回避することによる赤
外線カット性能の向上を図ることができる。
【0043】(その他の実施形態)上述した第1、第2
及び第4の実施形態では、赤外線カットコート層4を水
晶複屈折板2によって保護するようにしていた。本発明
は、これに限らず、水晶複屈折板2に代えて無色ガラス
を採用したり、その他の保護コート層によって赤外線カ
ットコート層4を保護するようにしてもよい。この保護
コート層としては、例えば、樹脂系(エポキシ系等)の
接着剤やアルミナ等、比較的耐候性に優れた材料や硬度
の高い材料などが採用される。つまり、赤外線カットコ
ート層4の傷付きや湿度の悪影響を回避できるように保
護できるものであって、入射光を透過可能とする材料で
あれば如何なる材料を採用してもよい。また、上述した
第3実施形態においても、保護手段として無色ガラス6
に代えて、上記各保護層によって赤外線カットコート層
4を保護するようにしてもよい。
【0044】また、上述したように、赤外線カットコー
ト層4をTiO2とSiO2との積層体により形成した場
合、この両材料のうち比較的耐候性に優れた材料や硬度
の高い材料を最も外側に配置するように積層させた場合
には、この最も外側に配置された材料を保護のための層
とし、それ以外の層を赤外線カットコート層4を構成す
る層であるとみなすことができる。このような構成も本
発明の技術的思想の範疇である。この場合、赤外線カッ
トコート層4を構成する材料としては、TiO 2とSi
2との組み合わせに限らず、赤外線カット機能を有す
る材料の組み合わせであれば如何なる材料を採用しても
よい。
【0045】更に、赤外線カットコート層4として赤外
線カット接着剤(例えばアクリル系の接着剤であって、
特開平3−33716号公報に開示されている)を採用
した場合には、この赤外線カットコート層4と、それを
保護するための手段(水晶複屈折板2等)との間に個別
の接着剤を使用する必要が無くなり、光学ローパスフィ
ルタ1の製作工数の削減を図ることができる。
【0046】加えて、赤外線カットコート層4として
は、一層のみを設ける場合に限らず、例えば、第1及び
第2の実施形態において、赤外線カットガラス3の両外
側面に赤外線カットコート層4を形成したり、第3及び
第4の実施形態において、水晶複屈折板2の両外側面に
赤外線カットコート層4を形成してもよい。この場合、
それぞれの赤外線カットコート層4に対して保護手段に
よる保護が必要になる。
【0047】また、上記各実施形態の構成において、光
学ローパスフィルタ1の外縁を黒色ペイントによって覆
うことが好ましい。この場合、赤外線カットガラス3や
赤外線カットコート層4を外気から完全に遮断すること
ができ、湿度などの環境による悪影響を確実に阻止する
ことができると共に、光の乱反射を防止することができ
て光学ローパスフィルタ1の光学特性の向上を図ること
ができる。
【0048】また、赤外線カットガラス3の材質として
は弗リン酸系に限らず、リン酸系その他の材料を採用す
ることも可能である。
【0049】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
以下のような効果が発揮される。
【0050】請求項1及び2記載の発明では、赤外線カ
ットコート層を保護手段によって覆うことにより、赤外
線カットコート層をフィルタ外面に露出しないようにし
ている。このため、赤外線カットコート層の傷付きを防
止することができ、安定した赤外線カット機能を維持す
ることができて、光学ローパスフィルタの長寿命化を図
ることができる。また、赤外線カットコート層が湿度の
影響を受けることを回避でき、分光特性の変動を防止す
ることができる。つまり、光学ローパスフィルタを設置
できる環境が制約されるといったことが無くなり、且つ
信頼性の高い赤外線カット性能を得ることができる。
【0051】請求項3記載の発明では、赤外線カットガ
ラスの反赤外線カットコート層側も保護手段によって覆
っている。このため、赤外線カットガラスの損傷も防止
でき信頼性の高い赤外線カット性能が維持できる。ま
た、この赤外線カットガラスへの水分の悪影響も回避で
き、ガラスの曇り等が防止でき、これによっても信頼性
の高い赤外線カット性能が得られる。
【0052】請求項4記載の発明では、複屈折板に積層
され且つ赤外線を遮断するための赤外線カットコート層
を保護手段によって覆っている。このため、赤外線カッ
トコート層のみによって赤外線を遮断するように構成さ
れた光学ローパスフィルタにおいても赤外線カットコー
ト層の保護により、光学ローパスフィルタの長寿命化が
図れ、信頼性の高い赤外線カット性能を得ることができ
る。
【0053】請求項5記載の発明では、赤外線を遮断す
るための機能部品を、赤外線カットガラスの表面に赤外
線カットコート層を積層して成る単体で構成したことに
より、光学ローパスフィルタの製造工程において赤外線
カットコート層の形成工程を廃することができる。つま
り、赤外線カットガラスの製造工程の一部に赤外線カッ
トコート層の形成工程を組み込むことができ、光学ロー
パスフィルタの製造作業の簡素化を図りながらも、赤外
線カットガラス及び赤外線カットコート層を併用した光
学ローパスフィルタを実現するすることが可能になり、
実用性の高い光学ローパスフィルタ構造を得ることがで
きる。
【0054】請求項6記載の発明では、保護手段を、水
晶、無色ガラス、保護コート層のうちから選択したもの
としている。特に、保護手段として水晶を採用した場合
には、水晶に入射光分離機能と赤外線カットのための手
段を保護する機能とを兼ね備えさせることができる。こ
のため、保護のための特別な部材を採用する必要が無
く、光学ローパスフィルタを構成する部材の個数を増加
させることがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態に係り、(a)は光学ローパスフ
ィルタを構成する各部材を接着する前の状態を示し、
(b)はこれら各部材が接着されて形成された光学ロー
パスフィルタを示す図である。
【図2】赤外線カットガラスと赤外線カットコート層と
を併用したことによる透過特性を説明するための図であ
る。
【図3】第2実施形態に係る図1相当図である。
【図4】第3実施形態に係る図1相当図である。
【図5】第4実施形態に係る図1相当図である。
【図6】従来の赤外線カットガラスの配置形態を示す図
である。
【図7】従来の赤外線カットコート層の配置形態を示す
図である。
【符号の説明】
1 光学ローパスフィルタ 2 水晶複屈折板 3 赤外線カットガラス 4 赤外線カットコート層 5 反射防止膜 6 無色ガラス A 赤外線カット手段
フロントページの続き (72)発明者 松井 啓明 兵庫県加古川市平岡町新在家字鴻野1389番 地 株式会社大真空内 Fターム(参考) 2H048 CA06 CA12 CA24 CA26 GA04 GA24 GA27 GA33 GA52 2H049 BA05 BA42 BB03 BB66

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 赤外線を遮断するための赤外線カットコ
    ート層を備えた光学ローパスフィルタにおいて、 上記赤外線カットコート層はフィルタ外面に露出しない
    ように保護手段によって覆われていることを特徴とする
    光学ローパスフィルタ。
  2. 【請求項2】 赤外線を遮断するための赤外線カットコ
    ート層及び赤外線カットガラスを備えた光学ローパスフ
    ィルタであって、 上記赤外線カットコート層は、赤外線カットガラスの表
    面に積層されており、 上記赤外線カットコート層がフィルタ外面に露出しない
    ように、この赤外線カットコート層の反赤外線カットガ
    ラス側は保護手段によって覆われていることを特徴とす
    る光学ローパスフィルタ。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の光学ローパスフィルタに
    おいて、 赤外線カットガラスの反赤外線カットコート層側も保護
    手段によって覆われていることを特徴とする光学ローパ
    スフィルタ。
  4. 【請求項4】 少なくとも1枚の複屈折板、この複屈折
    板に積層され且つ赤外線を遮断するための赤外線カット
    コート層を備えた光学ローパスフィルタにおいて、 上記赤外線カットコート層はフィルタ外面に露出しない
    ように保護手段によって覆われていることを特徴とする
    光学ローパスフィルタ。
  5. 【請求項5】 上記請求項2記載の光学ローパスフィル
    タに備えられ、赤外線カットガラスの表面に赤外線カッ
    トコート層が積層されて構成された光学ローパスフィル
    タ用赤外線カット手段。
  6. 【請求項6】 請求項1〜4のうち何れか一つに記載の
    光学ローパスフィルタにおいて、 保護手段は、水晶、無色ガラス、保護コート層のうちか
    ら選択されることを特徴とする光学ローパスフィルタ。
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