JP2004301891A - 光学ローパスフィルタ、撮像素子およびカメラ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】波長板101を挟むように樹脂製複屈折板102,103を積層し、樹脂製複屈折板102側に透明基板105を、樹脂製複屈折板103側にIRカット基板104をそれぞれ設けて、樹脂製複屈折板102,103の表面が外部環境に曝されないようにした。そのため、湿気等が樹脂製複屈折板102,103へ侵入するのを透明基板105およびIRカット基板104によって阻止することができ、光学ローパスフィルタの耐環境性の向上を図ることができる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学異方性樹脂基板を用いた光学ローパスフィルタ、および、その光学ローパスフィルタを有する撮像素子や、その撮像素子を有するカメラに関する。
【0002】
【従来の技術】
デジタルスチルカメラやビデオカメラ等の電子撮像装置では、CCD素子やMOS素子等の固体撮像素子を用いて被写体像を撮像している。このような撮像素子では受光画素が規則的に配列されているため、受光画素の配列パターンと被写体像のパターンとによってモアレ縞や偽色などが生じやすい。通常、これらの影響を取り除くために、光学ローパスフィルタを撮像素子の前面に配設するようにしている。
【0003】
これらの光学ローパスフィルターとしては、例えば、水晶やリチウムナイオベイト(LiNbO3)などの結晶材料が一般的に用いられている。また、このような結晶材料ではなく、樹脂を素材とした光学ローパスフィルタも開発されるようになってきており、光学異方性高分子フィルムからなるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。この光学異方性高分子フィルムの材料には、室温で液晶相を示し、光重合反応により硬化する樹脂(光重合性液晶組成物)、例えばフェノール化合物などが用いられる。
【0004】
【特許文献1】
特開平8−122708号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような光学異方性樹脂基板を用いた光学ローパスフィルタの場合、耐環境性(特に耐湿性)の点で問題がある。すなわち、石英等の結晶材料と比較して樹脂基板は湿気を吸収し易いため、樹脂基板が露出していると湿気を含んで光学性能に影響が出やすく、光学ローパスフィルタとしての性能劣化を生じやすい。
【0006】
本発明は、光学異方性樹脂基板を用いた光学ローパスフィルタであって、耐環境性に優れた光学ローパスフィルタを提供するとともに、その光学ローパスフィルタを適用した撮像素子およびカメラを提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明による光学ローパスフィルタは、光学異方性樹脂基板を有する複屈折基板と、複屈折基板を挟み込むように複屈折基板の表面を覆う耐湿性透明基板とを備えたことを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1に記載の光学ローパスフィルタにおいて、耐湿性透明基板の表面に反射防止膜を有するものである。
請求項3の発明は、請求項1または2に記載の光学ローパスフィルタにおいて、光学異方性樹脂基板は複数設けられ、該複数の光学異方性樹脂基板の間に波長板を介在させたものである。
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の光学ローパスフィルタにおいて、複屈折基板の側面を耐湿性封止材で覆ったものである。
請求項5の発明による撮像素子は、請求項1〜4のいずれかに記載の光学ローパスフィルタを有する。
請求項6の発明によるカメラは、請求項5に記載の撮像素子を有する。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、図を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明の一実施の形態を示す図であり、光学ローパスフィルタの断面を示す図である。図1に示す光学ローパスフィルタ1は、波長板(1/4波長板)101を挟んで2枚の透明な樹脂製複屈折板102,103を有している。例えば、図示下方から入射する光を直交するx、yの2方向に分離する場合、複屈折板103でx方向またはy方向に分離し、複屈折板102は分離されたそれぞれの光を複屈折板103の分離方向と直交する方向にさらに分離する。
【0009】
樹脂製複屈折板102,103の材料としては、上述した特許文献1に記載されているような光学異方性高分子フィルムが用いられる。光学異方性高分子フィルムは、光重合性官能基を有する液晶化合物を含有してなる光重合性液晶組成物を光重合して硬化させたものであるが、その際に液晶化合物の液晶を特定の方向に配向させて光重合することにより光学異方性を持たせている。
【0010】
複屈折板103の図示下側の面には、IR(赤外)カットガラス104が設けられている。IRカット基板104は赤外光が撮像素子に入射するのを防止する。一方、複屈折板102の図示上側の面には、保護用透明基板105が設けられている。複屈折板102,103の厚さは出射される光の分離幅によって異なるが、例えば、100μm程度のものが用いられる。波長板の厚さは50〜100μm、IRカット基板104は300μm程度のものが用いられる。保護用透明基板105の厚さについては耐湿性や透過率等を考慮して設定すれば良く、例えば、IRカット基板104と同程度のものが用いられる。
【0011】
IRカット基板104,複屈折板103,波長板101,複屈折板102および保護用透明基板105は、互いに接着剤により貼り合わされて積層される。接着剤には、例えば、光学素子の接合に用いられる光学用UV硬化接着剤などが用いられる。貼り合わせの手順は、IRカット基板104または保護用透明基板105から順に貼り合わせても良いし、各面に接着剤を塗布していっぺんに貼り合わせても良い。
【0012】
保護用透明基板105は、複屈折板102の表面が外気に露出するのを防止し、外部環境から樹脂製複屈折板102に湿気が侵入するのを防止するものである。そのため、複屈折性を有していない透明な基板であって、かつ、湿気を通さない材料が用いられる。また、光学ローパスフィルタ1の表面、すなわち保護用透明基板105の上面やIRカット基板104の下面には反射防止コートが施されるので、保護用透明基板105の材料としては反射防止コート形成時の温度に耐えられるものが好ましい。例えば、ガラスやレンズ用プラスチック材として用いられるシクロオレフィンポリマーなどが使用されるが、上記条件を満たす透明基板であればこれらに限定されない。
【0013】
図2は、反射防止コート106が施された光学ローパスフィルタ1の断面を示す図である。IRカット基板104としては、赤外線をカットする色付きガラスや、ガラス基板面にIR反射膜を形成したものなどがある。図2では、保護用透明基板105と同一基板にIR反射膜107を形成したものをIRカット基板104として用いている。図2のIRカット基板104においては、反射防止コート106はIR反射膜107の上に施される。
【0014】
樹脂製複屈折板102,103は高温に対する耐久性が低いために、反射防止コートを蒸着等によって複屈折板102,103自身に施すのは困難である。そのため、反射防止コートを施した透明基板105を設けることにより、光学ローパスフィルタに反射防止コートを容易に施すことができ、かつ、耐湿性の向上を図ることができる。
【0015】
上述したように、本実施の形態では、樹脂製複屈折板102,103を挟み込むように透明基板105またはIRカット基板104を配設して、樹脂製複屈折板102,103の表面が外部環境に曝されるのを防止している。そのため、透明基板105およびIRカット基板104によって、湿気等の水分が外部環境から樹脂製複屈折板102,103へ侵入するのを阻止することができる。その結果、樹脂製複屈折板102,103の吸湿による劣化の防止を含め、光学ローパスフィルタの耐環境性の向上を図ることができる。
【0016】
図3は変形例を示す図であり、(a)は光学ローパスフィルタ20の断面図、(b)は(a)のII−II断面図である。光学ローパスフィルタ20では、樹脂製複屈折板102,103の面積を保護用透明基板105およびIRカット基板104の面積よりも小さく設定している。そして、積層された複屈折板102,103および波長板101の側面は封止材200によって封止されている。
【0017】
封止材200としては、例えば、接着剤が用いられるが、封止材200が設けられる部分は光学フィルタとして使用される部分ではないので、光学用接着剤のように必ずしも透明である必要はない。そのため、波長板101,複屈折板102,103,保護用透明基板105およびIRカット基板104を積層する際に用いられる接着剤のように透明性にこだわることなく、より耐湿性の良い材料を選択することができる。
【0018】
封止材200が設けられる側面部分における複屈折板102,103の面積は、保護用透明基板105およびIRカット基板104に対向する面の面積に比べると非常に小さく外部環境の影響も面積に比例して小さい。しかし、光学ローパスフィルタ20ではこの部分も封止材200で覆うことにより、この部分から侵入する湿気や水分の影響を除去し、耐湿性をより向上させることができる。なお、図3に示す例では樹脂製複屈折板102,103の面積を保護用透明基板105およびIRカット基板104の面積よりも小さく設定したが、図1に示す光学ローパスフィルタ1の側面全体を封止材で覆うようにしても良い。
【0019】
図1〜3に示した光学ローパスフィルタ1,20では、樹脂製複屈折板を2枚用いて光を2方向に分離したが、3枚以上用いるものや、図4に示すように1枚の樹脂製複屈折板301を保護用透明基板302およびIRカット基板303で挟み込んで光学ローパスフィルタ30としても良い。光学ローパスフィルタ30では、光を1方向にのみ分離する。
【0020】
以上説明した実施の形態と特許請求の範囲の要素との対応において、樹脂製複屈折板102,103,301は光学異方性樹脂基板を、波長板101および樹脂製複屈折板102,103を積層したものや図4の樹脂製複屈折板301は複屈折基板を、保護用透明基板105,302およびIRカット基板104,303は耐湿性透明基板をそれぞれ構成する。また、本発明の特徴を損なわない限り、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではない。
【0021】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、光学異方性樹脂基板を含む複屈折基板を挟み込むように、複屈折基板の表面および裏面を覆う耐湿性透明基板を設けたので、光学異方性樹脂基板の吸湿による劣化の防止や、光学ローパスフィルタの耐環境性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態を示す図であり、光学ローパスフィルタ1の断面を示す図である。
【図2】反射防止コート106が施された光学ローパスフィルタ1の断面を示す図である。
【図3】光学ローパスフィルタの変形例を示す図であり、(a)は光学ローパスフィルタ20の断面図、(b)は(a)のII−II断面図である。
【図4】1枚の樹脂製複屈折板301を用いた光学ローパスフィルタ30の断面を示す図である。
【符号の説明】
1,20,30 光学ローパスフィルタ
101 波長板
102,103,301 樹脂製複屈折板
104,303 IRカット基板
105,302 保護用透明基板
106 反射防止コート
107 IR反射膜
200 封止材
Claims (6)
- 光学異方性樹脂基板を有する複屈折基板と、
前記複屈折基板を挟み込むように前記複屈折基板の表面を覆う耐湿性透明基板とを備えたことを特徴とする光学ローパスフィルタ。 - 請求項1に記載の光学ローパスフィルタにおいて、
前記耐湿性透明基板は表面に反射防止膜を有することを特徴とする光学ローパスフィルタ。 - 請求項1または2に記載の光学ローパスフィルタにおいて、前記光学異方性樹脂基板は複数設けられ、該複数の光学異方性樹脂基板の間に波長板を介在させたことを特徴とする光学ローパスフィルタ。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の光学ローパスフィルタにおいて、
前記複屈折基板の側面を耐湿性封止材で覆ったことを特徴とする光学ローパスフィルタ。 - 請求項1〜4のいずれかに記載の光学ローパスフィルタを有する撮像素子。
- 請求項5に記載の撮像素子を有するカメラ。
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- 2003-03-28 JP JP2003091534A patent/JP2004301891A/ja active Pending
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