JP3007467B2 - 二輪車用空気入りラジアルタイヤ - Google Patents

二輪車用空気入りラジアルタイヤ

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JP3007467B2
JP3007467B2 JP4033384A JP3338492A JP3007467B2 JP 3007467 B2 JP3007467 B2 JP 3007467B2 JP 4033384 A JP4033384 A JP 4033384A JP 3338492 A JP3338492 A JP 3338492A JP 3007467 B2 JP3007467 B2 JP 3007467B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は二輪車用空気入りラジ
アルタイヤ、とくにはそのベルト構造に関するものであ
り、路面グリップ力およびトラクション性能をともに有
利に向上させるものである。
【0002】
【従来の技術】トレッド周方向に対して75〜90°の範囲
の角度で延びるカーカスコードの少なくとも一プライか
らなるカーカスと、このカーカスの外周側で実質的にト
レッド周方向に延びるベルト層コードよりなるベルト層
とを具える従来のこの種のタイヤにあっては、ベルト層
コードとして1500d/2 〜1500d/3 の芳香族ポリアミドコ
ードを用いたものがあり、ここではコード径が0.63〜0.
90mmの範囲にあり、
【数1】 として定義される撚係数が0.4 〜0.55の範囲にある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、このような
ラジアルタイヤにおいては、いわゆるクロスベルトのタ
イヤに比し、その幅方向断面内での剪断剛性、いいかえ
れば、その断面内でタイヤの接線方向に作用する力に対
する剛性が低いことに起因して横力が小さくなるという
問題があり、また、旋回走行中の路面突起の乗り越えに
際してタイヤが路面から浮き上がることによる、いわゆ
る荷重抜けが一旦発生した場合には、タイヤがその着地
から、再び所定の横力を発生するまでの間の時間が長く
なるという問題があった。
【0004】しかも、かかるラジアルタイヤをレース用
として使用する場合には、そのタイヤのベルト構造に基
づくすぐれたトラクション性能をより向上させて、コー
ナ脱出時の速度を一層高めることが要求されている。
【0005】そこでこの発明は、ベルト構造に改良を加
えることによって、発生横力を高めるとともに、荷重抜
け後の着地から横力発生までの時間を十分に短縮するこ
とができ、併せて、トラクション性能をより一層向上さ
せることができる二輪車用空気入りラジアルタイヤを提
供する。
【0006】
【課題を解決するための手段】この発明は、トレッド周
方向に対して75〜90°の範囲の角度で延びるカーカスコ
ードの少なくとも一プライによってカーカスを形成する
とともに、このカーカスのクラウン部の外周側に、実質
的にトレッド周方向に延びるコードよりなり、トレッド
幅とほぼ等しい幅を有するベルト層を含むベルトを配設
した二輪車用空気入りラジアルタイヤにおいて、とく
に、前記コードの弾性率を600kg/mm2 以上とし、コード
径を0.6mm 以下とするとともに、撚係数を0.5 以下とし
たものである。
【0007】
【作用】この二輪車用空気入りラジアルタイヤでは、と
くにベルト層において、コードの撚係数を低くして、そ
こへの外力の作用時におけるそのコードそれ自身の伸び
変形を十分少ならしめることにより、路面突起を通過後
のタイヤの着地から横力の発生までの間の時間を有効に
低減させることができる。
【0008】またここでは、ベルト層コードのコード径
を細くして、タイヤの接地性を高めることにより、発生
横力それ自体を高めることができ、このことは、コード
の撚係数の低下と相俟ってより顕著なものとなる。
【0009】従って、このタイヤでは、発生横力を高め
るとともに、横力回復時間を有効に短縮することがで
き、しかも、細いコードの少ない伸び変形の下で、トラ
ション性能をもまた一層向上させることができる。
【0010】ところで、このタイヤにおいて、コードの
弾性率を600kg/mm2 以上とするのは、必要な周方向剛性
を確保するためであり、また、コードのコード径を0.6m
m 以下とするのは、細糸化により、断面曲げ剛性の低下
に基づく、接地性の向上を担保するためである。
【0011】そして、そのコードの撚係数を0.5 以下と
するのは、周方向入力に対する応答性を高めて、トラク
ションフォースおよび路面グリップ力の発生に至るまで
のタイムラグを取除くためである。
【0012】
【実施例】以下にこの発明の実施例を図面に基づいて説
明する。図1はこの発明の実施例を示す幅方向断面図で
ある。ここでは、トレッド周方向に対して90°の角度で
延びるナイロンコード(840d/2)の二プライによってカー
カス1を形成して、このカーカス1のそれぞれの側端部
分をビードコア2の周りで内側から外側に向けて折り返
す。
【0013】またここでは、そのカーカス1のクラウン
部の外周側に、芳香族ポリアミドにより形成されて、コ
ード径が0.6mm 以下、撚係数が0.5 以下のコードの一本
を螺旋状に巻回して、トレッド幅とほぼ等しい幅を有す
る一層のベルト層3を構成し、このベルト層3をもって
ベルト4とする。従って、そのベルト層3のコードは、
実質的にトレッド周方向に延在し、そして600kg/mm2
上の弾性率を有することになる。なお図中5は、ベルト
3のさらに外周側に配設したトレッド部を示す。
【0014】かかるラジアルタイヤによれば、特有のベ
ルト構造、いいかえれば、ベルト4を、実質的にトレッ
ド周方向にのびるコードよりなる一層のベルト層3にて
構成し、そのコードの弾性率を600kg/mm2 以上、コード
径を0.6mm 以下そして、コードの撚係数を0.5 以下とす
ることに基づき、前述したように、旋回走行時の横力を
高めるとともに、荷重抜け後の横力回復を極めて迅速な
ものとすることができ、併せて、トラクション性能をも
向上させることができる。
【0015】以上この発明を図示例に基づいて説明した
が、ベルト層3は、複数本のコードを一体的にゴムコー
ティングしてなる帯状リボンを螺旋巻回することによっ
て形成することもでき、また、所要のベルト層幅を有す
るシート状材料を一巻回することによって形成すること
もできる。
【0016】(比較例) 以下に発明タイヤと従来タイヤ等との路面グリッ力およ
びトラクション性能に関する比較試験について説明す
る。
【0017】◎供試タイヤ サイズが 170/60 R 17のタイヤ。 ・比較タイヤ1 図1に示す構造を有するタイヤであって、ベルト層コー
ドの繊度を1500d/3 、コード径を0.77mm、撚係数を0.40
としたもの。
【0018】・比較タイヤ2 ベルト層コードの繊度を1500d/2 、コード径を0.63mm、
撚係数を0.40とした点を除いて比較タイヤ1と同一のも
の。
【0019】・発明タイヤ ベルト層コードの繊度を1000d/2 、コード径を0.51mm、
撚係数を0.40とした点を除いて比較タイヤ1と同一のも
の。
【0020】・従来タイヤ ベルト層コードの繊度を1500d/3 、コード径を0.83mm、
撚係数を0.53とした点を除いて比較タイヤ1と同一のも
の。
【0021】◎試験方法 上記各タイヤを排気量が750cc の二輪車の後輪に装着し
て実車走行を行い、路面グリップ力については、旋回時
のグリップ力及び、旋回時のギャップ乗りこし後のグリ
ップ力のそれぞれをフィーリングをもって評価し、トラ
クション性能については、コーナ立上りのトラクション
フォースをこれもフィーリングをもって評価した。
【0022】◎試験結果 各評価の結果を表1 に示す。なお評価は、数値が大きい
ほどすぐれた結果を示すものとする。
【表1】
【0023】この表1に示すところによれば、発明タイ
ヤは、路面グリップ力、トラクション性能ともに、従来
タイヤおよび比較タイヤのそれぞれに比して有利に向上
することが明らかであり、このことは、撚係数を、本願
発明で特定する数値範囲内に含まれる小さい一定値
(0.4)とした比較タイヤ1および2と、発明タイヤ
との間にあっても、コード径が小さくなるほど顕著であ
る。
【0024】
【発明の効果】以上に述べたところから明らかなよう
に、この発明によれば、とくには、ベルトを、実質的に
トレッド周方向に延びるコードよりなるベルト層の少な
くとも一層を含む構成とし、そのベルト層コードの弾性
率を600kg/mm2 以上、コード径を0.6mm 以下、撚係数を
0.5 以下とすることによって、タイヤの発生横力を高め
るとともに、荷重抜け後の横力の回復を迅速ならしめる
ことができ、しかも、トラクション性能をもまた向上さ
せることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施例を示すタイヤ幅方向断面図
である。
【符号の説明】
1 カーカス 2 ビードコア 3 ベルト層 4 ベルト 5 トレッド部

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 トレッド周方向に対して75〜90°の範囲
    の角度で延びるカーカスコードの少なくとも一プライか
    らなるカーカスと、このカーカスの外周側で実質的にト
    レッド周方向に延びるコードよりなり、トレッド幅とほ
    ぼ等しい幅を有するベルト層を含むベルトとを具える二
    輪車用空気入りラジアルタイヤであって、前記コードの
    弾性率を600kg/mm2 以上とし、コード径を0.6mm 以下と
    するとともに、撚係数を0.5 以下としてなる二輪車用空
    気入りラジアルタイヤ。
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酒井秀男著,「タイヤ工学」,株式会社グランプリ出版,1987年1月12日,p.61

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