JP3007436B2 - シロキサン系分子膜 - Google Patents
シロキサン系分子膜Info
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Description
または単分子累積膜に関するものである。さらに詳しく
は、親水性の基材の表面の耐久性向上のため、ナノメー
タレベルの膜厚で形成された親水性または撥水性の高い
耐熱シロキサン系単分子膜または単分子累積膜に関する
ものである。
絶縁性、耐水性、耐熱性、耐湿性、耐候性、耐溶剤性な
ど耐久性を向上させる目的として、各種シリコーン系樹
脂を塗布する方法が数多く用いられている。しかしなが
ら、シリコーン系樹脂は透明性が低いので基材の色調や
光沢を保持したまま塗布しようとすれば、塗布厚をきわ
めて薄くする必要があった。ところが、シリコーン系樹
脂は、硬度が低く耐引っかき性に劣る欠点があるため、
塗膜を薄くすることは耐久性の劣化につながるという欠
点があった。このため、エポキシ基やビニル基をシリコ
ーン系樹脂の分子内に導入して、架橋反応を利用して塗
膜の硬度を上げたり、シリカ、アルミナ、アンチモン微
粒子などのフィラーを混合して塗膜の硬度を上げること
などが提案されている。
シリコーン系樹脂塗膜は、基材表面に対して単に接触し
ているに過ぎなかったので、硬度が低く耐引っかき性に
劣るという課題は依然として改善されていない。本発明
は前記従来のシリコーン樹脂塗膜の課題を解決するた
め、基材の色調や光沢を保持したままで薄い塗膜を形成
しても傷つきにくく、耐引っかき性の高いシリコーン系
の塗膜を提供することを目的とする。
め、本発明のシロキサン系分子膜は、直鎖状のシロキサ
ン結合を含む分子が、配向された状態で基体表面にシロ
キサン結合によって化学吸着されてなるという構成を備
えたものである。前記構成においては、分子膜が単分子
膜または単分子累積膜であることが好ましい。
に親水性の官能基を有する直鎖状のシロキサン結合を含
む分子が基体表面に配向された状態でシロキサン結合に
よって化学吸着されているという構成を備えたものであ
る。
レベルの膜厚のシロキサン系単分子膜や単分子累積膜を
基材表面に化学結合した状態で形成するため、基材本来
の色調や光沢を損なうことがなく、耐引っかき性の高い
塗膜が得られる。従って基材の離型性や撥水性、電気絶
縁性、耐水性、耐熱性、耐湿性、耐候性、耐溶剤性など
の耐久性を向上させることが可能となる。また、この膜
の表面を撥水性にしたり親水性にすることも可能であ
る。
説明する。まず本発明のシロキサン系分子膜を製造する
ための手段について説明する。まず、よく洗浄した親水
性の基体を用意し、一端にクロルシラン基(SiCl n
X3-n 基、n=1、2、3、Xは官能基)を有する直鎖
状のシロキサン結合を含むクロロシラン系界面活性剤、
例えば、A−(SiR2 O)n −SiCl3 (A、Rは
官能基、nは整数)を溶かした非水系の有機溶媒中に前
記基体を浸漬し前記シロキサン系界面活性材分子と前記
基体表面に存在する水酸基とを反応させ、前記界面活性
材を化学吸着する工程と、非水系の有機溶媒で洗浄し基
体上に残った余分なシロキサン系界面活性材分子を除去
した後水と反応させる工程により、膜厚がナノメーター
レベルのシロキサン系単分子膜を製造できる。
た後、両端にクロルシラン基(SiCln X3-n 基、n
=1、2、3、Xは官能基)を有する直鎖状のシロキサ
ン結合を含むクロロシラン系界面活性剤、例えばCl3
Si−(SiR2 O)n −SiCl3 (Rは官能基、n
は整数)を溶かした非水系の有機溶媒中に前記基体を浸
漬し、前記シロキサン系界面活性材分子を前記基体表面
に化学吸着する工程と、非水系の有機溶媒で洗浄し基体
上に残った余分なシロキサン系界面活性材分子を除去し
た後水と反応させると表面が親水性の水酸基で被われた
親水性のシロキサン系単分子膜を製造できる。
ン基(SiCln X3-n 基、n=1、2、3、Xは官能
基)を有する直鎖状のシロキサン結合を含むクロロシラ
ン系界面活性剤、例えばH3 C−(SiR2 O)n −S
iCl3 (Rはアルキル基、nは整数)を溶かした非水
系の有機溶媒中に前記基体を浸漬し前記シロキサン系界
面活性材分子と前記基体表面に存在する水酸基とを反応
させ、前記界面活性材を化学吸着する工程と、非水系の
有機溶媒で洗浄し基体上に残った余分なシロキサン系界
面活性材分子を除去した後水と反応させる工程により表
面が撥水性のシロキサン系単分子2層膜を製造できる。
一方、一端にクロルシラン基(SiCl n X3-n 基、n
=1、2、3、Xは官能基)を有する直鎖状のシロキサ
ン結合を含むクロロシラン系界面活性剤の代わりに、両
端にクロルシラン基(SiCln X3-n 基、n=1、
2、3、Xは官能基)を有する直鎖状のシロキサン結合
を含むクロロシラン系界面活性剤、例えばCl3 Si−
(SiR2 O)n −SiCl 3 (Rはアルキル基、nは
整数)をもちいれば、表面が親水性の水酸基で被われた
シロキサン系単分子2層膜を製造できる。
Cln X3-n 基、n=1、2、3、Xは官能基)を有す
る直鎖状のシロキサン結合を含むクロロシラン系界面活
性剤、例えばCl3 Si−(SiR2 O)n −SiCl
3 (Rはアルキル基、nは整数)を溶かした非水系の有
機溶媒中に前記基体を浸漬し前記シロキサン系界面活性
材分子を前記基体表面に化学吸着する工程と、非水系の
有機溶媒で洗浄し基体上に残った余分なシロキサン系界
面活性材分子を除去した後水と反応させる工程を繰り返
せば、必要とする層数のシロキサン系単分子累積膜を製
造できる。
膜の作製には、一端にクロルシラン基(SiCln X
3-n 基、n=1、2、3、Xは官能基)を有する直鎖状
のシロキサン結合を含むクロロシラン系界面活性剤なら
殆どすべてが使用可能であるが、特にXp SiO−
(A)l −SiXq Cl3-q (ただし、Xはアルキル基
またはアルコキシ基またはフェニル基等の官能基、pは
3、qは0または1または2、lは20以下(好ましく
は5乃至10が良い)の整数、AはSiOを含む官能
基)を用いると好都合である。
ン系単分子膜の作製には、両端にクロルシラン基(Si
Cln X3-n 基、n=1、2、3、Xは官能基)を有す
る直鎖状のシロキサン結合を含むクロロシラン系界面活
性剤なら殆どすべてが使用可能であるが、特にCl3-p
SiXp O−(A)l −SiXq Cl3-q (ただし、X
はアルキル基またはアルコキシ基またはフェニル基等の
官能基、p、qは0または1または2、lは20以下
(好ましくは5乃至10が良い)の整数、AはSiOを
含む官能基)を用いると好都合である。
系単分子累積膜の作製には、両端にクロルシラン基を有
する直鎖状のシロキサン結合を含むクロロシラン系界面
活性剤、特にCl3-p SiXp O−(A)l−SiXq
Cl3-q (ただし、Xはアルキル基またはアルコキシ
基、p、qは0または1または2、lは20以下(好ま
しくは5乃至10が良い)の整数、AはSiOを含む官
能基)と、一端にクロルシラン基を有する直鎖状のシロ
キサン結合を含むクロロシラン系界面活性剤、特にXp
SiO−(A)l −SiXq Cl3-q (ただし、Xはア
ルキル基またはアルコキシ基、pは3、qは0または1
または2、lは20以下(好ましくは5乃至10が良
い)の整数、AはSiOを含む官能基)を組み合わせて
用いると好都合である。
O)6 −SiCl3 と(CH3 )3 SiO−(Si(C
H3 )2 O)6 −SiCl3 を用いて具体的実験例をそ
れぞれ説明する。 実施例1 まず、図1に示すように、親水性基体1(金属やセラミ
ック、ガラス、その他表面が酸化された基体ならよい
が、プラスチック等の撥水性基体の場合は、表面を重ク
ロム酸で処理して酸化し親水性にすればよい)を用意し
(図1(a))、よく乾燥した後、クロロシリル基を分
子末端に1個含む物質、たとえば(CH3 )3 SiO−
(Si(CH3 )2 O)6 −SiCl3 を用い、4wt%
程度の濃度で溶かした80wt%シクロヘキサン(n−ヘ
キサデカントルエン、キシレン、ジシクロヘキシルでも
よい)、12wt%四塩化炭素、8wt%クロロホルム溶液
を調整し、前記基体を2時間程度浸漬すると、親水性基
体の表面は水酸基2が多数含まれているので、クロロシ
リル(−SiCl)基を分子両末端に複数個含む物質の
何れか片方のSiCl基と前記水酸基が反応し脱塩酸反
応が生じ基体表面全面に亘り、次式(化1)に示す結合
が生成される。
体表面に残留した余分の界面活性剤を除去し、水洗すれ
ば、シロキサン系単分子膜3が表面と化学結合した状態
でおよそ25オングストロームの膜厚で形成できた(図
1(b))。 実施例2 まず、親水性基体1(金属やセラミック、ガラス、その
他表面が酸化された基体のならよいが、プラスチック等
の撥水性基体の場合は表面を重クロム酸で処理して酸化
し親水性にすればよい)を用意し(図2(a))、よく
乾燥した後、クロロシリル基を分子両末端に2個含む物
質、例えばCl3 SiO−(Si(CH 3 )2 O)6 −
SiCl3 を用い、4wt%程度の濃度で溶かした80wt
%シクロヘキサン(n−ヘキサデカントルエン、キシレ
ン、ジシクロヘキシルでもよい)、12wt%四塩化炭
素、8wt%クロロホルム溶液を調整し、前記基体を2時
間程度浸漬すると、親水性基体の表面は水酸基2が多数
含まれているので、クロロシリル(−SiCl)基を分
子両末端に複数個含む物質の何れか片方のSiCl基と
前記水酸基が反応し脱塩酸反応が生じ基体表面全面に亘
り、次式(化2)で示す単分子膜4が生成される(図2
(b))。
体表面に残留した余分の界面活性剤を除去し、水洗する
と、次式(化2)で示される親水性シロキサン系単分子
膜5が表面と化学結合した状態でおよそ25オングスト
ロームの膜厚で形成できた(図2(c))。
クロロシリル基を分子末端に1個含む物質、例えば(C
H3 )3 SiO−(Si(CH3 )2 O)6 −SiCl
3 を用い、4wt%程度の濃度で溶かした80wt%シクロ
ヘキサン(n−ヘキサデカントルエン、キシレン、ジシ
クロヘキシルでもよい)、12wt%四塩化炭素、8wt%
クロロホルム溶液を調整し、前記基体を2時間程度浸漬
すると、単分子膜5の表面は水酸基が多数含まれている
ので、クロロシリル(−SiCl)基を分子両末端に複
数個含む物質の何れか片方のSiCl基と前記水酸基が
反応し脱塩酸反応が生じ基体表面全面に亘り、次式(化
4)で示す単分子膜3が実施例2で得られた単分子膜5
の表面に累積生成される。
体表面に残留した余分の界面活性剤を除去し、水洗すれ
ば、シロキサン系単分子膜8が表面と化学結合した状態
でおよそ50オングストロームの膜厚の2分子膜がで形
成できた(図3(a))。なお、多層膜を必要とすると
きには、必要とする層数だけ実施例2の工程を繰り返し
実施例1行なえば、表面が撥水性のシロキサン系単分子
累積膜を製作できる。また、最後の層で実施例2の工程
を行なえば、表面が親水性のシロキサン系単分子累積膜
を製作できる。
分子両末端に複数個含む物質として、Cl3 SiO−
(Si(CH3 )2 O)6 −SiCl3 、(CH3 )3
SiO−(Si(CH3 )2 O)6 −SiCl3 を例と
して取り上げたが、上記のもの以外にも、Cl3 SiO
−(Si(CH3 )2 O)8 −SiCl3 、(CH3 )
3 SiO−(Si(CH3 )2 O)10−SiCl3 、C
lSi(CH3 )2 −(Si(CH3 )2 O)8 −Si
(Cl)3 、ClSi(CH3 )2 −(Si(CH3 )
2 O)8 −Si(CH3 )2 Cl、ClSi(CH3 )
2 −(Si(CH 3 )2 O)10−Si(Cl)3 、Cl
Si(CH3 )2 −(Si(CH3 )2 O)10−Si
(CH3 )2 Cl等が利用できた。
親水性や撥水性を有するきわめて薄いナノメータレベル
の膜厚のシロキサン系単分子膜や単分子累積膜を基材表
面に化学結合した状態で形成するため、基材本来の色調
や光沢を損なうことがなく、耐引っかき性の高い塗膜が
得られる。従って、あらゆる基材の離型性や撥水性、電
気絶縁性、耐水性、耐熱性、耐湿性、耐候性、耐溶剤性
などの耐久性を向上できる効果がある。
吸着単分子膜の製造工程を説明するために、基体表面を
分子レベルまで拡大した工程断面図である。
系化学吸着単分子累積膜の製造工程を説明するために、
基体表面を分子レベルまで拡大した工程断面図である。
吸着単分子累積膜の製造工程を説明するために、基体表
面を分子レベルまで拡大した工程終了後の断面図であ
る。
Claims (3)
- 【請求項1】 直鎖状のシロキサン結合を含む分子が、
配向された状態で基体表面にシロキサン結合によって化
学吸着されてなるシロキサン系分子膜。 - 【請求項2】 分子膜が、単分子膜または単分子累積膜
である請求項1に記載のシロキサン系分子膜。 - 【請求項3】 一端に親水性の官能基を有する直鎖状の
シロキサン結合を含む分子が基体表面に配向された状態
でシロキサン結合によって化学吸着されているシロキサ
ン系分子膜。
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DE69220717T DE69220717T2 (de) | 1991-04-30 | 1992-04-14 | Chemisch adsorbierte Schicht und Verfahren zu deren Herstellung |
US07/872,185 US5981056A (en) | 1991-04-30 | 1992-04-22 | Chemically adsorbed film |
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Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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Family
ID=14232458
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JP9891691A Expired - Lifetime JP3007436B2 (ja) | 1991-04-30 | 1991-04-30 | シロキサン系分子膜 |
Country Status (1)
Country | Link |
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US6245387B1 (en) * | 1998-11-03 | 2001-06-12 | Diamon-Fusion International, Inc. | Capped silicone film and method of manufacture thereof |
EP1132147A3 (en) * | 1999-02-10 | 2003-12-10 | Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. | Organic thin films, process for the production thereof and equipment therefor |
JP5343271B2 (ja) * | 2003-09-17 | 2013-11-13 | 小川 一文 | 撥水撥油防汚性ガラス板とその製造方法及びそれを用いた自動車と電磁調理器 |
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1991
- 1991-04-30 JP JP9891691A patent/JP3007436B2/ja not_active Expired - Lifetime
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