JP3005666B2 - 直流高電圧電源の遮断回路 - Google Patents

直流高電圧電源の遮断回路

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、直流高電圧電源、
特に、電圧の昇圧効率を高めるために、直流電圧で高周
波発振回路を自励発振させて高周波電圧を高圧トランス
の一次側に印加するとともに、この高圧トランスの二次
電圧を倍電圧整流回路で更に高めかつ整流して出力する
直流高電圧電源において、安全のためにその出力を遮断
する遮断回路に関する。
【0002】
【従来の技術】本出願人は、倍電圧整流回路を使用した
このような直流高電圧電源として、特開平5−2991
91号公報に開示されたものを既に提供している。この
公報に記載された直流高電圧電源は直流除電器に使用し
たものであるが、このような直流除電器や静電塗装機等
の電源として使用して異常放電状態になった場合には、
着火爆発等の危険があるため、その防止のために直流高
電圧電源の出力を遮断する必要がある。
【0003】その遮断方法として従来は、倍電圧整流回
路の出力端と除電電極等の電極との間に非常用スイッチ
を挿入し、異常放電をセンサで検出したときこの非常用
スイッチを開くことにより、電極への高電圧の印加を遮
断していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、これによる
と、直流高電圧電源の最終出力電圧である例えばプラス
50KVやマイナス50KVといった高電圧が、非常用
スイッチにそのまま加わるため、非常用スイッチをこの
ような高電圧に十分に耐え得る構造及び大きさとしなけ
ればならないばかりでなく、更にそのスイッチ部分の安
全性確保のための保護手段も必要とし、大変高価なもの
となっていた。
【0005】そこで、本発明の目的は、異常放電による
危険性を回避する必要などから、直流高電圧電源の出力
を遮断する場合において、その遮断を、まだ最終の高電
圧とならないところで安全にしかも小さい回路規模で特
別な保護手段を必要とせずに経済的に行えるようにする
ことにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、高圧トランス
の一次側に直流電圧により自励発振する高周波発振回路
を接続する一方、該高圧トランスの二次側に、その二次
電圧をコンデンサとダイオードとの積み重ね段数分だけ
倍電圧して整流する倍電圧整流回路を接続した直流高電
圧電源において、次のような態様の遮断回路を備えたも
のである。
【0007】すなわち、倍電圧整流回路中に、その一部
のコンデンサを兼ねてオンになったとき倍電圧整流回路
をショートさせる電界効果トランジスタを接続するとと
もに、この電界効果トランジスタのゲートに、該電界効
果トランジスタをオン・オフするゲート動作回路を接続
したものである。
【0008】出力端子に接続された負荷の異常高圧放電
時に直流高電圧電源側に誘導される異常電位を検出する
異常放電検出回路を設け、ゲート動作回路が、この異常
放電検出回路からの検出信号に基づいて動作する構成と
することができる。
【0009】異常放電検出回路は、高圧トランスの一次
側に生ずる異常電位を閾値と比較するコンパレータを有
するもの、又は、高圧トランスの二次側に生ずる異常電
位を検出するパルストランスと、該パルストランスの出
力を閾値と比較するコンパレータとを有するものが良
い。
【0010】また、負荷の異常高圧放電時に、倍電圧整
流回路を遮断すると同時に高周波発振回路の発振も停止
させるように、異常放電検出回路の出力により高周波発
振回路への直流電圧の印加を遮断又は電圧低下させる発
振停止回路を設けることもできる。
【0011】
【作用】本発明によれば、電界効果トランジスタが、そ
れ自体の静電容量により倍電圧整流回路の一部のコンデ
ンサを構成しているので、電界効果トランジスタをゲー
ト動作回路でオンにすると、倍電圧整流回路がショート
してそのコンデンサに蓄積されていた電荷が瞬時に放電
し、当該直流高電圧電源の高圧出力が瞬時に遮断され
る。
【0012】上記電界効果トランジスタは、異常放電検
出回路で異常放電を検出したとき、自動的にオンさせる
ことができる。
【0013】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳細
に説明する。
【0014】図1は本発明の実施例を示す。この図は、
直流高電圧電源の回路中に本発明による遮断回路を含め
て示してあり、直流高電圧電源自体は、高圧トランス1
と、その一次側に接続され、入力端子INから直流電圧
(例えばDC12V)を印加されて自励発振する高周波
発振回路2と、高圧トランス1の二次側に接続されたプ
ラス側の倍電圧整流回路3及びマイナス側の倍電圧整流
回路4とで構成されており、プラス側の倍電圧整流回路
3の最終段のプラス高電圧をプラス出力端子OUT1か
ら出力し、マイナス側の倍電圧整流回路4の最終段のマ
イナス高電圧をマイナス出力端子OUT2から出力す
る。高周波発振回路2の具体的構成は、前出の特開平5
−299191号公報等で既知であるので説明は省略す
る。
【0015】図1に示す遮断回路は、プラス側の倍電圧
整流回路3中に接続された第1及び第2の電界効果トラ
ンジスタ(MOSFET)5・6、マイナス側の倍電圧
整流回路4中に接続された第3及び第4の電界効果トラ
ンジスタ(MOSFET)7・8、高圧トランス1の一
次側に接続された異常放電検出回路9、この異常放電検
出回路9からの出力で動作して第1から第4の電界効果
トランジスタ5・6・7・8を同時にオンさせるゲート
動作回路10、異常放電検出回路9からの出力で動作し
て高周波発振回路2の発振を停止させる発振停止回路1
1とで構成されている。
【0016】プラス側及びマイナス側の倍電圧整流回路
3・4は、通常はコンデンサ12とダイオード13とを
数段に積み重ね接続してそれぞれ構成するが、電界効果
トランジスタはそれ自体に静電容量をもっていることか
ら、これを利用するため、図1の例では、プラス側の倍
電圧整流回路3の一部の2つのコンデンサに代えて第1
及び第2の電界効果トランジスタ5・6が使用され、同
様にマイナス側の倍電圧整流回路4の一部の2つのコン
デンサに代えて第3及び第4の電界効果トランジスタ7
・8が使用されている。なお、符号14は、各電界効果
トランジスタ5・6・7・8に組み込まれている逆チャ
ージ防止用ダイオード14である。
【0017】4個の電界効果トランジスタ5・6・7・
8のゲートはゲート動作回路10の並列出力端子と接続
され、これら電界効果トランジスタは、ゲート動作回路
10の並列出力端子から同時に出力される信号によって
一斉にオンされる。ゲート動作回路10は、複数の電界
効果トランジスタ(MOSFET)を一斉にオン・オフ
する公知の回路構成で良い。
【0018】異常放電検出回路9は、出力端子OUT1
・OUT2に接続された負荷が異常放電したときに、高
圧トランス1の二次側から一次側に誘導される異常電
圧、つまり高圧トランス1の中間タップとグランド間に
生ずるノイズを検出するもので、そのノイズをダイオー
ド15で整流し、コンデンサ16と抵抗17とによる積
分回路で積分してからコンパレータ18に入力して基準
電圧と比較する。これが基準電圧を越えると、コンパレ
ータ18の出力でD型フリップフロップ19がオンとな
り、このフリップフロップ19の一方の出力でトランジ
スタ20がオン、他方の出力でトランジスタ21がオフ
となる。
【0019】このトランジスタ21がオフになると、ゲ
ート動作回路10の入力がHIGHになるため(入力端
子INから直流電圧を印加される)、このゲート動作回
路10が動作してその出力で4個の電界効果トランジス
タ5・6・7・8が同時にオンとなり、プラス側及びマ
イナス側の倍電圧整流回路3・4が瞬時にショートさ
れ、そのコンデンサ12に蓄積されていた電荷が瞬時に
放電する。
【0020】また、トランジスタ20がオンになると、
発振停止回路11を構成しているリレー22がオンとな
り、そのリレー接点23が開いて高周波発振回路2への
直流電圧印加が遮断され、高周波発振回路2の発振が停
止する。なお、フリップフロップ19は、入力端子IN
からの直流電圧印加時にリセットされる。
【0021】従って、負荷側で異常放電が生じたこと
が、高圧トランス1の一次側で異常放電検出回路9によ
り検出されると、プラス側及びマイナス側の倍電圧整流
回路3・4が瞬時に遮断されるとともに、高周波発振回
路2も発振を停止する。
【0022】ところで、倍電圧整流回路3・4は、コン
デンサ12とダイオード13との積み重ね段数が1段増
えるに従い電圧が倍に大きくなるので、図1の例におい
て、電界効果トランジスタ5・6・7・8を倍電圧整流
回路3・4内に組み入れるには、なるべく電圧が低い段
のところがよい。また、同図では遮断動作の確実性を考
慮して、各倍電圧整流回路3・4に電界効果トランジス
タを2つずつ組み入れたが、1つずつでもよく、またコ
ンデンサ12とダイオード13との積み重ねの各段に設
けてもよい。
【0023】図2は本発明の変形例を示し、負荷側で異
常放電が生じたことを、より確実に検出できるようにパ
ルストランス33を用いたものである。すなわち、パル
ストランス33を高圧トランス1の二次側に接続し、異
常放電を二次側でパルストランス33により検出してそ
の検出パルスをコンパレータ18に入力するようにした
ものである。
【0024】なお、上記の実施例では、プラス側及びマ
イナス側の両方の電圧をそれぞれ倍電圧する2つの倍電
圧整流回路3・4を備えた例を示したが、そのうちの一
方だけ備えたものであっても、本発明は適用できること
勿論である。
【0025】
【発明の効果】本発明によれば、倍電圧整流回路を用い
た直流高電圧電源において、最終的に高電圧出力される
前の、まだ比較的電圧が低い段階で倍電圧整流回路をシ
ョートさせるので、異常放電による危険性を回避する必
要などから、直流高電圧電源の出力を遮断する場合にお
いて、その遮断を、まだ最終の高電圧とならないところ
で安全にしかも小さい回路規模で特別な保護手段を必要
とせずに経済的に行うことができる。
【0026】特に、電界効果トランジスタ自体の静電容
量を利用して、倍電圧整流回路の一部のコンデンサに代
えて電界効果トランジスタを使用し、この電界効果トラ
ンジスタで倍電圧整流回路を直接ショートさせるので、
回路構成が一層簡素になるとともに、動作スピードも速
くなる。
【0027】異常高圧放電を検出する異常放電検出回路
を備えれば、異常高圧放電時に高電圧出力を自動的に遮
断でき、また高周波発振回路の発振も停止させて安全性
をより高めることができる。パルストランスを使用すれ
ば、異常高圧放電の検出精度が高まる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の回路図である。
【図2】本発明の変形例の一部省略回路図である。
【符号の説明】
1 高圧トランス 2 高周波発振回路 3 プラス側倍電圧整流回路 4 マイナス側倍電圧整流回路 5・6・7・8 電界効果トランジスタ 9 異常放電検出回路 10 ゲート動作回路 11 発振停止回路 12 コンデンサ 13 ダイオード 18 コンパレータ 33 パルストランス
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI H02M 7/10 H02M 7/10 Z (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H02H 7/12

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】高圧トランスの一次側に直流電圧により自
    励発振する高周波発振回路を接続する一方、該高圧トラ
    ンスの二次側に、その二次電圧をコンデンサとダイオー
    ドとの積み重ね段数分だけ倍電圧して整流する倍電圧整
    流回路を接続した直流高電圧電源において、前記倍電圧
    整流回路中に、その一部のコンデンサを兼ねてオンにな
    ったとき倍電圧整流回路をショートさせる電界効果トラ
    ンジスタを接続するとともに、この電界効果トランジス
    タのゲートに、該電界効果トランジスタをオン・オフす
    るゲート動作回路を接続したことを特徴とする直流高電
    圧電源の遮断回路。
  2. 【請求項2】出力端子に接続された負荷の異常放電時
    に、直流高電圧電源側に誘導される異常電位を検出する
    異常放電検出回路を有し、ゲート動作回路が、この異常
    放電検出回路からの検出信号に基づいて動作する請求項
    1に記載の直流高電圧電源の遮断回路。
  3. 【請求項3】異常放電検出回路が、高圧トランスの一次
    側に生ずる異常電位を閾値と比較するコンパレータを有
    する請求項2に記載の直流高電圧電源の遮断回路。
  4. 【請求項4】異常放電検出回路が、高圧トランスの二次
    側に生ずる異常電位を検出するパルストランスと、該パ
    ルストランスの出力を閾値と比較するコンパレータを有
    する請求項2又は3に記載の直流高電圧電源の遮断回
    路。
  5. 【請求項5】異常放電検出回路の出力により高周波発振
    回路への直流電圧の印加を遮断又は電圧低下させる発振
    停止回路を有することを特徴とする請求項2、3又は4
    に記載の直流高電圧電源の遮断回路。
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