JP3005019B2 - 凍結保存用血液の調製キット及び調製方法 - Google Patents

凍結保存用血液の調製キット及び調製方法

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【発明の詳細な説明】 (利用分野) 本発明は、特別な装置や無菌室等の特別な施設を用い
ずに血液プールから凍害保護剤の添加された凍結保存用
血液を調製するための凍結保存用血液調製キット及び調
製方法に関するものである。
(従来技術とその問題点) 血液成分の活性を長期に保ち、必要な時に有効に利用
するために血液より血球成分(主に赤血球成分)を分離
し、これに凍害保護剤を添加して−75℃以下の極低温で
凍結させる技術が知られている。通常の血液保存方法
は、血液に抗凝固剤としてACD−A液等を添加し4℃で
保存するものであるが、この方法にしたがう保存血液の
有効期間は3週間である。これに対し、凍害保護剤を添
加して凍結血液に調製すれば有効期限を5年以上延長さ
せることが可能となる。
従来採用されている凍結保存用血液の調製法は、まず
血液プールから血液をバッグに採血し、これを遠心分離
して血漿成分と血球成分に分け、血漿成分はそのまま凍
結し、血球成分は無菌室又はクリーンベンチ内で凍結保
存バッグに移しグリセリンを主成分とする凍害保護剤を
加えて血球成分と混和させる、という方法である。
しかしながらこの方法には、少なくとも以下の3つの
問題があった。
その1つは血漿を分離・除去する手段として、遠心分
離装置を使用しなければならない点である。即ち、遠心
分離装置とそれを動かすための電源設備が整っていない
場所では血液プールから採取した直後の新鮮な血液の調
製が行えない。
2つめの問題は、血漿を分離・除去して得られた血球
成分へ凍害保護剤を添加するために、無菌室又はクリー
ンベンチ等の特別な施設を必要とする点である。血球成
分への凍害保護剤の添加は血球成分が該保護剤の急激な
濃度変化によって、変性、破壊されないように、徐々に
行う必要があり、このような時間と細心の注意を要する
操作を無菌性を保持しながら実施するためには、特別な
施設が必要であった。
第3の問題は、血球成分に添加された過剰分の凍害保
護剤の除去に再び遠心分離等の操作が必要な点である。
凍害保護剤が十分な凍害保護効果を奏するには、血球成
分に一旦過剰量の凍害保護剤を混合することが必要であ
る。しかし、凍結保存する際には過剰の凍害保護剤は保
存血の容量を不必要に大きくするばかりで無駄な上に、
解凍後の凍害保護剤の除去の手間も増大させてしまう。
したがって過剰量の凍害保護剤は凍結保存する前に除去
しておくことが望ましいが、従来の方法では、この除去
は再度遠心分離装置を使用するか、またはその他の手段
による分離・除去法を実施しなければならなかった。
(発明の目的) 本発明は、上記のような従来技術の問題点を解決すべ
くなされたもので、遠心分離装置等の機械や無菌室、ク
リーンベンチ等の特別な施設を必要とせずに、血液プー
ルから極めて簡単な操作で凍結保存用の血液を調製する
ための調製キット及び調製方法を提供するものである。
(発明の構成) 本発明の要旨は、下記のとおりのものである。
1.少なくとも採血針と、予め抗凝固剤の入った血液バッ
グと、血液の出入口2つと分離液の出口を2つ有する膜
型分離器と、膜型分離器により分離された血漿を貯める
血漿バッグと、膜型分離器により分離された凍害保護剤
を貯める廃液バッグと、凍害保護剤の入った凍害保護剤
貯蔵バッグと、調合バッグを具備し、これらが採血針と
血液バッグとを連通する第1連通管と、血液バッグ又は
第1連通管と膜型分離器の血液出入口の一方とを連通す
る第2連通管と、膜型分離器の分離液出口の一方と血漿
バッグとを連通する第3連通管と、膜型分離器の分離液
出口の他方と廃液バッグとを連通する第6連通管と、膜
型分離器の血液出入口の他方と調合バッグとを連通する
第4連通管と、調合バッグ又は第4連通管と凍害保護剤
貯蔵バッグとを連通する第5連通管により一体的かつ閉
鎖的に連結されていることを特徴とする凍結保存用血液
の調製キット。
2.予め抗凝固剤の入った血液バッグに血液を採取し、該
血液を膜型分離器に導入して血漿成分を分離して血球濃
厚液を得、該血球濃厚液に凍害保護剤を添加混合し、次
いで得られた凍害保護剤入りの血球浮遊液を再び前記膜
型分離器に導入して余分な凍害保護剤を分離除去するこ
とを特徴とする凍結保存用血液の調製方法。
予め血液バッグに入れておく抗凝固剤としては、通常
用いられているクエン酸系のACD−A液やCPD液が用いら
れる。本発明を構成する血液バッグには、予定された採
血量に対して予め計算された量の抗凝固剤が入れてあ
る。血液バッグから膜型分離器に至る第2連通管又は第
1連通管は、血液バッグに近い所で破壊することにより
液体の流通が可能となるシールやローラークランプ等の
流通遮断手段により抗凝固剤が膜型分離器側へ流出しな
いように閉じておくことが好ましい。
血液バッグの下流に第2連通管または第1連通管及び
第2連通管を介して接続された膜型血漿分離器は、血球
成分と血漿成分や凍害保護剤とを効率的に分離できるも
のであれば膜の材質、膜形状とも特に限定されるもので
はないが、使用前に生理的溶液によるプライミング・洗
浄操作が不要な膜や、予め膜孔が生理的溶液により湿潤
されており使用に際して改めてプライミング・洗浄操作
の必要のない膜からなるものを用いることも望ましい。
また、膜型分離器の大きさも特に限定されるものではな
いが、血球成分の分離・回収率の点からは膜型分離器の
内容積が処理血液量の1/4以下であることが好ましい。
本発明で使用される膜型分離器は、少なくとも血液の
出入口を2つと、分離された血漿及び凍害保護剤を排出
するための分離液出口を1つ有している。この分離液出
口は1つの出口を血漿分離時と凍害保剤分離・排出時と
で兼用してもよいが、好ましくは、それぞれの分離用に
別々に2つの出口を設ける。
膜型分離器は第4連通管を介して調合バッグと接続さ
れている。調合バッグには、凍害保護剤貯蔵バッグが第
5連通管を介して直接に、または第5連通管及び第4連
通管を介して接続されている。
凍害保護剤貯蔵バッグには血球成分を凍結保存時に保
護し得る薬剤が満たされており、使用前にはこの保護剤
が貯蔵バッグから流出しないように第5連通管の貯蔵バ
ッグに近い所が流通遮断手段により閉じてある。
凍害保護剤としては、例えば濃グリセリン60.0g、70
%乳酸ナトリウム2.57g、塩化カリウム0.02g及び結晶リ
ン酸二水素ナトリウム0.26gを注射用蒸留水で溶かし全
量を100mとしたものや濃グリセリン79.2g、ブドウ糖
8.0g、果糖1.0g及びエデト酸ナトリウム0.3gを注射用蒸
留水で溶かし全量を100mとしたものが用いられる。
本発明の凍結保存用血液調製キットは少なくとも以上
の部材を有し、使用前には上記全部材が一体的且つ閉鎖
的に連結されている。
本発明はまた、上記の構成部材に加えて他の様々な部
材を一体的、閉鎖的に接続しておくことも出来る。例え
ば、血液バッグ、調合バッグ、第2連通管または第4連
通管のいずれかに、調製された血球成分を凍結保存し、
解凍後の脱凍害保護剤の操作に使用する一連の凍結保存
専用バッグ及び接続ユニットを予め接続しておくことが
出来る。
また、プライミングや、膜型分離器内に残留する血球
成分を洗い出して回収するために用いる生理的溶液を含
有するバッグを第2連通管や第3連通管に予め接続した
り、膜型分離器に2つの分離液出口を有するものを用い
て過剰の凍害保護剤を回収するための廃液バッグを膜型
分離器の1方の分離液出口に接続したり、血液プールか
ら採取した血液中の変性成分や白血球を除去するための
フィルターを第2連通管や第4連通管に挿入したり、抗
凝固剤や凍害保護剤や生理的溶液等に流出防止や各種連
通管の使用時における一時的もしくは半永久的流通遮断
のためにシール手段を各種連通管に設けることも可能で
ある。
本発明の凍結保存用血液調製キットは、上記の如く様
々な付属部材を接続した場合でも、使用直前の状態にお
いて全ての構成部材が一体的且つ閉鎖的に連結されてお
り、内部が滅菌された状態にある。本発明の調製キット
は、全ての構成部材を一体的且つ閉鎖的に連結した後で
滅菌処理を施してもよいし、個々の滅菌された構成部材
を、使用直前に公知の滅菌的チューブ接続装置を用いて
接続して最終的に一体的なキットとすることもできる。
以上のような本発明のキットを用い、血液プールから
採取した血液を凍結保存用に調製する基本的な操作は次
の通りである。まずキットを適切な位置に取り付け、穿
刺、採血を行う。この時落差のみで採血を行う場合は血
液バッグを血液プールよりも下の適当な位置に置き、重
力によって採取する。また、採血バッグの外側を減圧す
ることにより採血する、いわゆる吸引採血器や、或いは
駆血帯を用いることも可能である。
採血され血液バッグに採取された血液は、抗凝固剤と
混合されて抗凝固化された後膜型分離器へ導入され、こ
こで膜を通らない血球成分が調合バッグへ流下し、膜を
通る血漿成分は血漿バッグに分離・採取される。
調合バッグに回収された濃厚血球成分は該バッグ内で
凍結保護剤を混合され、過剰の凍結保護剤中に浮遊する
血球成分となる。かくして内部に凍結保護剤が浸透した
凍結保護剤中に浮遊する血球成分は、再び前記膜型分離
器に導入され、ここで過剰量の凍結保護剤が膜を通過し
て分離・除去されて膜を通らない凍結保護剤含有血球成
分が血液バッグ内に回収される。
このように本発明のキットを用いた凍結保存用血液の
調製方法は大がかりな装置や設備を一切用いず、且つ煩
雑な操作も必要としない。
なお、本発明の各部連通管の長さは使用に際して好ま
しい落差が実現でき、且つ操作に手間取らない長さにす
る。また、各部をつなぐチューブとしては血液回路用と
して周知のポリ塩化ビニル樹脂製のもの等が用いられ
る。各部をつなぐチューブはフレキシブルなものでもよ
いが、好適な落差を与える長さの硬質チューブを用い、
かつ該チューブの随所に折れ曲がり部などを適宜設けて
おき、使用前にはコンパクトに折り畳んでおき、使用時
に好ましい位置に各部材が配置される装置とすることも
できる。
本発明に使用される膜型分離器は前述の如く特に限定
されるものではないが、特に好ましいものとして、特開
平1−171566に記載されているごとき小型で高分離能の
膜型血漿分離器が挙げられる。
(実施態様) 次に、本発明の実施態様を図面を用いて説明する。第
1図は、袋(20)の中に滅菌保持された本発明の第1の
実施例で、凍結保存バッグを血液バッグ(3)で兼用し
たものである。血液は、採血針(1)を血液プールに穿
刺し、予め抗凝固剤を含有する血液バッグ(3)に適当
な落差若しくは吸引採血器等で採取する。次に本キット
を血液バッグ(3)が他のバッグよりも上部になる様に
適当な支持体に取り付け、破壊することにより液体の流
通が可能となるシール(4)を破壊することにより、血
液を予め膜部分に生理的溶液が含浸された膜型分離器
(7)に落差で流入させる。この時、血漿成分は膜を通
過し、第3連通管(10)を通して血漿バッグ(11)に分
離・回収される。一方血球成分は第4連通管(12)を経
て調合バッグ(13)に回収される。血漿分離操作が終了
したら、血漿バッグ(11)を第3連通管(10)をヒート
シール切断することにより取除く。次に、凍害保護剤を
破壊することにより液体の流通が可能となるシール(1
4)を破壊することにより、凍害保護剤貯蔵バッグ(1
6)から調合バッグ(13)に流入させる。この時、血球
成分に急激な濃度変化を与えない様に調合バッグ(13)
を十分振とうしながら15分以上の時間をかけて徐々に凍
害保護剤を添加・混合する。
次に第5連通管(15)をクランプで締め、調合バッグ
(13)が膜型分離器(7)よりも上部になる様に適当な
支持体に取り付け、調合バッグ(13)内の血球成分を再
度、膜型分離器(7)に流通させる。この時、余分な凍
害保護剤は膜を通過し第6連通管(8)を通して廃液バ
ッグ(9)に分離・除去される。回収された血球成分
は、血液バッグ(3)と兼用の凍結保存バッグに封入さ
れ、凍結血液として極低温での保存をすることが可能と
なる。
第2図は、本発明の第2の実施例を示したもので、第
1図のキットに血漿分離後の膜型分離器(7)中の残留
血液を洗浄するための生理的溶液貯留を兼用した凍結保
存バッグ(18)と、保存血液を解凍した際に使用する凍
害保護剤洗浄用付属連結チューブ(19)を第7連通管
(17)で接続したもので、採血後、血漿分離操作の前に
膜型分離器(7)等に含有されている余剰の生理的溶液
を凍結保存バッグ(18)に一旦回収して第7連通管(1
7)をクランプで締めておき、血漿分離操作の後に再度
開放して膜型分離器(7)中に残留する血液を該生理的
溶液で洗浄するために使用する。また、余分な凍害保護
剤を除去した調製血球成分は、専用の凍結保存バッグ
(18)に回収される。
第3図は本発明の第3の実施例を示したもので、第2
図のキットの第2連結管(5)に白血球を除去するため
のフィルター(6)を挿入したものである。操作は第2
図と同様であり、白血球を除去された凍結保存用血液を
調製することが出来る。
(発明の効果) 本発明にしたがえば、遠心分離装置等の機械や、無菌
室、クリーンベンチ等の特別な施設を必要とせずに、本
発明の調製キットのみを用いて血液プールから新鮮なう
ちに凍結保存可能な血液を簡単に調製することが出来
る。
さらに、一連の調製操作を系の閉鎖性の保たれた、し
かも全体が滅菌された調製キットの中で実施することが
可能であるため、遠心分離操作を用いた従来法に比べ、
雑菌混入の可能性がなく衛生的に極めて安全に凍結保存
用血液の調製を実施することができる。
次に、本発明を実施例によって具体的に説明する。
(実施例1) 膜型分離器として、高密度ポリエチレンを特開昭61−
271003に従い、溶融・延伸開孔した後、多孔質膜の膜孔
表面をポリエチレン・ビニルアルコール共重合体でコー
ティングし、親水化処理して得られた、内径220μm、
膜厚50μm、バブル・ポイント法で測定される平均孔径
が0.2μmの中空糸膜を1700本束ねて、有効長9.7cm、有
効膜面積1100cm2のものを使用し、生理食塩水10mを中
空糸部分に含浸させた。
採血針は17Gを用い、軟質塩化ビニル製の凍結保存バ
ッグ兼用の血液バッグ、および血漿バッグ、廃液バッ
グ、調合バッグ、凍害保護剤貯蔵バッグを第1図に従い
内径3mmの連通管で接続させた。破壊することにより液
体の流通が可能となるシール部分により密閉された血液
バッグに血液抗凝固剤としてCPD溶液を56m充填し、同
様に密閉された凍害保護剤貯蔵バッグに全量100mに対
しグリセリン60.0g、70%乳酸ナトリウム2.57g、塩化カ
リウム0.02g及び結晶リン酸二水素ナトリウム0.26gを溶
かした凍害保護剤400mを封入した。これらの一体型、
閉鎖型調製キットを滅菌用の袋に入れ115℃で30分間高
圧蒸気滅菌した。
使用に先立ち、滅菌袋から前記調製キットを取出し、
採血針を血液プールに穿刺し、落差により約400mの血
液を採取した。次に、本キットを血液バッグが他のバッ
グよりも上部になる様に適当な支持体に取り付け、CPD
加血液を膜型分離器に落差で流入させた。血液バッグ下
端から膜型分離器中央部までの落差を100cmとし、膜型
分離器の下端と同じ高さ付近に位置する様に調合バッグ
を設置した。血漿バッグは、血漿の落差による吸引が可
能な様に、膜型分離器の中央部よりさらに下方に50cmの
落差をつけて設置した。CPD溶液を加えてヘマトクリッ
ト40%の血液456mから175mの血漿を分離することが
出来、ヘマトクリット64%の濃厚血球成分254mを調合
バッグ中に回収した。
凍害保護液約100mを血球成分と激しく混和しながら
2分間で注入し、5分間静置後、残りの凍害保護液約30
0mをよく混和しながら注入した。今度は逆に調合バッ
グが膜型分離器よりも上部になる様に適当な支持体に取
付け、再度、調合バッグ内の血球成分を膜型分離器に流
入させた。調合バッグ下端から膜型分離器中央部までの
落差を100cmとし、膜型分離器の下端と同じ高さ付近に
位置する様に血球成分を回収するための血液バッグを設
置した。廃液バッグは、膜型分離器の中央部よりさらに
下方に50cmの落差をつけて設置した。凍害保護剤添加後
の血液654mより余剰の凍害保護剤を除去し、ヘマトク
リット43%の調製血液374mを得た。赤血球回収率は、
88%、白血球回収率は、84%であった。
(実施例2) 膜型分離器として、実施例1と同様な多孔質膜で、表
2の仕様の内径260μm、膜厚50μm、バブル・ポイン
ト法で測定される平均孔径が0.3μmの中空糸膜を1100
本束ねて、有効長20cm、有効膜面積1800cm2のものを作
製し、生理食塩水10mを中空糸部分に含浸させた。
採血針は17Gを用い、軟質塩化ビニル製の血液バッグ
および血漿バッグ、廃液バッグ、調合バッグ、凍害保護
剤貯蔵バッグ、専用の凍結保存バッグ、付属連結チュー
ブを第2図に従い内径3mmの連通管で接続させた。破壊
することにより液体の流通が可能となるシール部分によ
り密閉された血液バッグに血液抗凝固剤としてCPD溶液
を56m充填し、同様に密閉された凍害保護剤貯蔵バッ
グに実施例1と同じ成分構成の凍害保護剤400mを封入
した。さらに、血液洗浄用の生理食塩水50mを予め凍
結保存バッグに注入した。これらの一体型の調製キット
を滅菌用の袋に入れ115℃で30分間高圧蒸気滅菌した。
使用に先立ち、滅菌袋から前記調製キットを取出し、
血液洗浄用の生理食塩水を凍結保存バッグに一旦回収
し、第7連通管にクランプをし、以下実施例1と同様の
操作を行った。血漿を分離除去後、連結保存バッグ中の
生理食塩水で膜型血漿分離器中の残留血液の洗浄操作を
実施し、また凍害保護剤400mのうち100mを残し、凍
害保護剤の分離除去後に、洗浄用として使用した。この
洗浄操作により、表4に示した様に赤血球の回収率が91
%に向上した。
(実施例3) 実施例2と同様なキットに白血球除去フィルターを挿
入して、第3図に示す様な凍結白血球除去赤血球を調製
するための一体型キットを用意した。白血球除去フィル
ターとしては、ポリエステル不織布を充填した内容量48
mのものを使用し、実施例2と同様な操作を行った。
表4に示した様に赤血球回収率が82%に低下したが、白
血球は、0.1%以下になりほとんど除去されていた。
(比較例1) 表1に示した様に、遠心分離装置を2回使用する従来
の凍結血液の調製法を実施した。
二連の血液バッグを用いて、実施例1と同様に採血し
たCPD加血液を4〜6℃に冷却し、高速遠心分離装置を
使用して、3000×g、5分間の遠心後、血漿218mを分
離した。凍結保護剤の添加に際して、溶血を防止するた
めに、血球成分が室温にもどるのを待ち、実施例1と同
様の添加混合操作をクリーンベンチ内で別の調合バッグ
に移して実施し、再度、高速遠心分離装置を使用して室
温で1200×g、5分間の遠心により余剰の凍害保護剤を
廃棄し、ヘマトクリット44%の調製血液392mを得た。
赤血球回収率は95%であり、白血球回収率は92%であっ
た。遠心分離後の血漿および余剰凍害保護剤の上澄液の
分離には、手技を要し、また、調合バッグへの液移動に
際して無菌性を保持するため細心の注意を必要とした。
(比較例2) 表1に示した様に、2回の遠心分離装置のうち最初の
血漿分離操作を膜型分離器で実施する方法を試みた。
膜型分離器として、実施例1と同様な多孔質膜で、表
2の仕様の内径300μm、膜厚50μm、バブル・ポイン
ト法で測定される平均孔径が0.3μmの中空糸膜を900本
束ねて、有効長20cm、有効膜面積1700cm2のものを作製
し、生理食塩水15mを中空糸部分に含浸させた。
特開昭63−226364に記載されている血漿採取法を利用
して、実施例1と同様な採血をし、血漿179mを分離除
去した。その後、実施例1と同様に凍結保護剤の添加混
合操作を別の調合バッグに移して実施し、今度は高速遠
心分離装置を使用して室温で1200×g、5分間の遠心に
より余分な凍害保護剤を廃棄し、ヘマトクリット45%の
調製血液355mを得た。赤血球回収率は91%であり、白
血球回収率は89%であった。しかし、遠心分離操作は、
2回から1回に減少したものの、比較例1と同様、遠心
分離操作を要し、また、無菌性を保持するための細心の
注意を必要とした。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明調製キットの実施例1を、第2図は、
実施例2を、第3図は、実施例3を、それぞれ示す説明
図である。 1……採血針 2……第1連通管 3……抗凝固剤を含有した血液バッグ 4……シール 5……第2連通管 6……白血球を除去するためのフィルター 7……膜型分離器 8……第6連通管 9……廃液バッグ 10……第3連通管 11……血漿バッグ 12……第4連通管 13……調合バッグ 14……シール 15……第5連通管 16……凍害保護剤貯蔵バッグ 17……第7連通管 18……生理的溶液を含有した凍結保存バッグ 19……凍害保護剤洗浄用付属連結チューブ 20……滅菌袋
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−226364(JP,A) 特開 平1−280467(JP,A) 特開 平2−21871(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61J 3/00 300 A61J 1/05 A61J 1/00 353 A61N 1/02 540

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも採血針と、予め抗凝固剤の入っ
    た血液バッグと、血液の出入口2つと分離液の出口を2
    つ有する膜型分離器と、膜型分離器により分離された血
    漿を貯める血漿バッグと、膜型分離器により分離された
    凍害保護剤を貯める廃液バッグと、凍害保護剤の入った
    凍害保護剤貯蔵バッグと、調合バッグを具備し、これら
    が採血針と血液バッグとを連通する第1連通管と、血液
    バッグ又は第1連通管と膜型分離器の血液出入口の一方
    とを連通する第2連通管と、膜型分離器の分離液出口の
    一方と血漿バッグとを連通する第3連通管と、膜型分離
    器の分離液出口の他方と廃液バッグとを連通する第6連
    通管と、膜型分離器の血液出入口の他方と調合バッグと
    を連通する第4連通管と、調合バッグ又は第4連通管と
    凍害保護剤貯蔵バッグとを連通する第5連通管により一
    体的かつ閉鎖的に連結されていることを特徴とする凍結
    保存用血液の調製キット。
  2. 【請求項2】予め抗凝固剤の入った血液バッグに血液を
    採取し、該血液を膜型分離器に導入して血漿成分を分離
    して血球濃厚液を得、該血球濃厚液に凍害保護剤を添加
    混合し、次いで得られた凍害保護剤入りの血球浮遊液を
    再び前記膜型分離器に導入して余分な凍害保護剤を分離
    除去することを特徴とする凍結保存用血液の調製方法。
JP2134155A 1990-05-25 1990-05-25 凍結保存用血液の調製キット及び調製方法 Expired - Fee Related JP3005019B2 (ja)

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