JP3004890B2 - 病原体感染防御剤 - Google Patents

病原体感染防御剤

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  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ラクトバシラス アシ
ドフィルス コンプレックス(Lactobacillusacidophilu
s complex)に属する微生物またはその菌体を有効成分
とする感染防御剤に関する。本発明はまた、前記ラクト
バシラス アシドフィルス コンプレックスに属する微生
物の菌体から抽出して得ることができ、アシアロGM1
に親和性を有し、病原体感染防御活性を有する蛋白質に
関する。本発明の感染防御剤及び蛋白質は、アシアロG
M1をレセプターとする病原体と拮抗的にアシアロGM
1に結合することによって、病原体のレセプターへの結
合を阻害し、病原体の感染を防御することができる。
【0002】
【従来の技術】ラクトバシラス属細菌は、ヒト消化管内
に生息することが知られ、免疫機能の亢進、感染防御、
腸内環境の改善、腸管機能の亢進等、様々な生理活性を
果たしていると考えられている。近年、ジョンソン(Jo
hnson)らによって、従来、ラクトバシラス アシドフィ
ルス(L.acidophilus)に分類されてきた菌株は、新た
に、ラクトバシラス アシドフィルス(L.acidophilu
s)、ラクトバシラス クリスパタス(L.crispatus)、
ラクトバシラス アミロボラス(L.amylovorus)、ラク
トバシラス ガセリ(L.gasseri)、ラクトバシラス ガ
リナルム(L.gallinarum)及びラクトバシラスジョンソ
ニイ(L.johnsonii)の6複合菌種として再分類される
に至った(Int.J.Systemic Bacteriol.,Vol.30,No.1,p
p.53-68)。従って、本発明においては、従来の分類に
基づくラクトバシラス アシドフィルスを、「ラクトバ
シラス アシドフィルス コンプレックス(L.acidophilu
s complex)」と呼び、新分類による菌種を全て包含す
るものとして使用する。即ち、本発明においては、「ラ
クトバシラス アシドフィルス コンプレックス(L.acid
ophilus complex)」を、上記の新規分類により名称を
付与された上記6菌種の共通の名称として使用する。
【0003】旧分類で、ラクトバシラス アシドフィル
スとして一括分類されていた菌種の前記生理的作用は、
新分類の6複合菌種のいずれに認められるのか、未だに
判明しておらず、その検討も十分になされていない。さ
らにまた、ラクトバシラスアシドフィルス コンプレッ
クスに関して報告された上記のような生理活性の大部分
は、未だに現象論に終始しているものが多く、はっきり
とした作用機作が解明されていないものが多い。
【0004】ラクトバシラス アシドフィルス コンプレ
ックスに属する細菌の抗菌作用、感染防御作用は、in v
itroの系のみならず、in vivoにおいても尿路感染を中
心として数多く報告されている(Clements,M.L.ら、Ant
imicrobial Agents and Chemotherapy,20(1),104-108,
(1981); Reid,G. ら、Infection and Immunity,49(2)32
0-324,(1985))。しかし、その感染防御効果の主な作用
因子としては、これらの菌の生産する有機酸(Burnett,
G.S.ら、Nature,197,815,(1963))、バクテリオシン様
因子(Barefoot,S.F.ら、Applied and Environmental M
icrobiology,45,1808-1815,(1983))、ハイドロジェン
パーオキサイド(Juven,B.J.ら、Journalof Applied ba
cteriology,65,357-360,(1988))等が取上げられてき
た。また、ライド(Reid)ら(Raphael,C.Y.ら、Infect
ion and Immunity,47(1), 84-89,(1985))が先鞭をつけ
て主張してきたように、ラクトバシラス アシドフィル
スの定着作用に関する機構は、主として非特異的な疎水
性相互作用に支配されるものであり、大腸菌などの雑菌
に対する付着阻止機能は、共通の受容体に対する競合で
はなく、むしろその立体障害性によって発揮されるもの
という見方が支配的であった。従って、特異的な共通受
容体の奪い合いによる病原体の付着を拮抗的に阻止する
作用を報告した例はない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、ラクト
バシラス アシドフィルス コンプレックスに属する細菌
に共通する結合受容体の研究を行ったところ、この結合
受容体が、アシアロGM1であることを確認した。この
アシアロGM1は、病原性大腸菌、緑膿菌、シュードモ
ナス セパシア(Pseudomonas cepacia)、カンピロバク
ター(Campyrobacter)、ロタウイルス(Rota viru
s)、レオウイルス(Reo virus)、ポリオウイルス(Po
lio virus )に属する微生物が細胞に付着し感染が成立
する際の受容体であることが知られている。本発明者ら
は、このアシアロGM1とラクトバシラス アシドフィ
ルス コンプレックスの結合性と、病原体の感染の関係
について検討を行った。特に、アシアロGM1を受容体
とする病原体(エンテロパソジェンを中心として)とラ
クトバシラス アシドフィルス コンプレックスの受容体
に対する拮抗を、アシアロGM1標品を展開した薄層ク
ロマトグラフィー(TLC)上で検討し、さらに、アシ
アロGM1リッチな回盲弁由来腫瘍細株HCT−8(AT
CC CCL224)上での拮抗現象について検討を行った。そ
の結果、ラクトバシラス アシドフィルス コンプレック
スは、病原体感染防御効果を有しており、この感染防御
効果には、これまで知られていなかったラクトバシラス
アシドフィルス コンプレックスの特異的受容体が重要
な機能を果していることが判明した。即ち、アシアロG
M1に対して親和性を示すパソジェン(例:病原性大腸
菌、緑膿菌、キャンピロバクター、ロタウイルス、レオ
ウイルス、ポリオウイルス、エンテロウイルス、シュー
ドモナス スペーシア等)は、このアシアロGM1に結
合して感染が成立するが、ラクトバシラス アシドフィ
ルス コンプレックスは、病原体がこの受容体へ結合す
ることを拮抗的に阻害する。特に消化器官での感染防御
には、腸管粘膜の細胞表面に存在するアシアロGM1に
対する結合を阻害することで感染防御を行うことが明ら
かとなった。このようなアシアロGM1に対する病原性
微生物の結合を拮抗的に阻害する作用は、ラクトバシラ
ス アシドフィルス コンプレックスに属する菌種全てに
存在していた。さらにまた、本発明者らの検討により、
この阻害作用は、ラクトバシラス アシドフィルス コン
プレックスの菌体から抽出される蛋白質にも存在するこ
とが明らかとなった。
【0006】本発明はこのような知見に基づいてなされ
たものであり、ラクトバシラス アシドフィルス コンプ
レックスに属する微生物またはその菌体を有効成分とす
る、アシアロGM1に親和性を有する病原性微生物に対
する感染防御剤を提供することを目的とする。さらに本
発明は、このラクトバシラス アシドフィルス コンプレ
ックスに属する微生物の菌体から抽出され、病原体感染
防御効果を有する蛋白質を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】従って、本発明は、ラク
トバシラス アシドフィルス コンプレックス(Lactobac
illus acidophilus complex)に属しアシアロGM1に
親和性を有する微生物の生菌体、死菌体または細胞壁か
ら、アルカリ塩水溶液または界面活性剤を用いて抽出し
て得られる表面粗蛋白質画分を有効成分とする病原体感
染防御剤である。本発明はまた、ラクトバシラス アシ
ドフィルス コンプレックスに属しアシアロGM1に親
和性を有する微生物の生菌体、死菌体または細胞壁
ら、アルカリ塩水溶液または界面活性剤を用いて抽出し
て得ることができ、アシアロGM1に親和性を有し、病
原体感染防御活性を有する表面粗蛋白質画分である。
【0008】以下、本発明について詳細に説明する。本
発明において使用されるラクトバシラス アシドフィル
ス コンプレックスに属する微生物は、生菌であっても
死菌であってもよい。また、菌体が化学的または物理的
な方法により破壊されたものであってもよい。ラクトバ
シラス アシドフィルス コンプレックスに属する微生物
としては、従来の分類(Bergey's Manual of Determina
tive Bacteriology 8th Ed.,pp.576-593)によりラクト
バシラス アシドフィルスに分類され、前記のジョンソ
ンらによる新分類による「ラクトバシラス アシドフィ
ルス(L.acidophilus)」、「ラクトバシラス クリスパ
タス(L.crispatus)」、「ラクトバシラス アミロボラ
ス(L.amylovorus)」、「ラクトバシラス ガセリ(L.g
asseri)」、「ラクトバシラス ガリナルム(L.gallina
rum)」及び「ラクトバシラス ジョンソニイ(L.johnso
nii)」の6複合菌種のいずれか1種または1種以上で
ある。これらの菌種に分類されるものであれば、いずれ
のものであってもよい。また、この分類に属する菌種の
変異株や育種により性質が変わったものであっても、本
発明の病原体感染防御剤として使用することができる。
【0009】本発明において使用することができるこれ
らの微生物の代表的な菌株として、下記の菌株を例示す
ることができる。これらの菌株は、併記した寄託番号に
より工業技術院生命工学工業技術研究所に寄託されてお
り、入手可能である。 (菌株) −ラクトバシラス アシドフィルス(L.acidophilus)S
BT2062(寄託番号FERM P−10730) −ラクトバシラス クリスパタス(L.crispatus)SBT
1264(寄託番号FERM P−14826)、 −ラクトバシラス アミロボラス(L.amylovorus)SB
T1269(寄託番号FERM P−14827)、 −ラクトバシラス ガセリ(L.gasseri)SBT1265
(寄託番号FERM P−14825)、 −ラクトバシラス ガリナルム(L.gallinarum)JCM
2011(寄託番号FERM P−14823)及び −ラクトバシラス ジョンソニイ(L.johnsonii)SBT
2050(寄託番号FERM P−14824)。
【0010】菌体は、これらのラクトバシラス アシド
フィルス コンプレックスに属する微生物を、ヒトの乳
または牛、羊、山羊等の獣乳またはこれらの脱脂乳を基
本とした培地で培養するか、ブリッグス肝臓培地(Brig
gs liver broth)、MRS培地等の公知の半合成培地に
て培養して回収することができる。また、回収した菌体
は、有効成分としてそのまま使用することもできるが、
必要に応じて、洗浄し、培地成分を除去したものを使用
してもよい。また、回収した菌体は、洗浄した後、紫外
線、エックス線、ガンマ線等の照射またはペニシリンや
ストレプトマイシン処理等によって死菌体としてもよ
い。さらに、菌体は、菌体を含有する培養物そのもので
あっても、凍結乾燥や噴霧乾燥して得られる乾燥物であ
ってもよい。
【0011】本発明においては、この菌体のみならず、
菌体から抽出した蛋白質を感染防御剤の有効成分として
使用することもできる。蛋白質を使用することにより、
単位重量当たりの感染防御効果を、さらに増大させるこ
とができる。蛋白質は、通常、上記の生菌体、死菌体及
び細胞壁からアルカリ塩の水溶液または界面活性剤によ
って抽出することで得られる蛋白質画分であることがで
きる。抽出に用いるアルカリ塩としては、これらに限定
されるものではないが、例えば、塩化リチウム、塩化ナ
トリウム、塩化カリウム等を例示することができる。ま
た、抽出に用いる界面活性剤としては、これらに限定さ
れるものではないが、N-ラウロイルサルコシン(lauroy
lsarcosine)、CHAPS、CHAPSO、SDS、ト
ライトンX−100、トゥイーン20、トゥイーン80
等を例示することができる。これらの中でも、アルカリ
塩としては塩化リチウムが、界面活性剤としてはN-ラウ
ロイルサルコシンが特に好ましい。この蛋白質画分は、
さらに薄層クロマトグラフィー(TLC)上に展開した
アシアロGM1に対する親和性を指標として活性物質を
分離精製することができる。本発明はこの精製蛋白質を
も包含するものである。本発明の病原体感染防御活性を
有する蛋白質は、ラクトバシラス アシドフィルス コン
プレックスの菌体細胞壁上に存在する。このため菌体を
破壊後、細胞壁画分を回収し、得られた細胞壁画分を感
染防御剤として用いることもできる。
【0012】これらの微生物、その菌体またはその菌体
から抽出した蛋白質を有効成分とする本発明の病原体感
染防御剤は、経口投与することが望ましい。また、本発
明の病原体感染防御剤は、直接投与することもできる
が、医薬品の製造に通常用いられる賦形剤、安定剤等の
添加剤、例えば、乳糖、ステアリン酸ナトリウム等を用
いて、散剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、顆粒剤等の適宜
の製剤として投与することもできる。また、本発明の病
原体感染防御剤の投与量は、対象となる病原微生物の種
類、投与対象者の症状、年齢、性別、体重等を考慮し
て、個別に決定することが好ましいが、通常は、菌体乾
燥物として、0.01g〜50gを1日1回または数回
に分けて投与するとよい。
【0013】また、これらの有効成分は、耐熱性に優
れ、殺菌処理によってもその効果が失活しないため、飲
食品の原料中に添加して用いることもできる。飲食品と
しては、特に限定されないが、例えば、バター、チー
ズ、ヨーグルト等の乳食品、牛乳やジュース等の飲料、
ケーキやクッキー等の菓子類を挙げることができる。ま
た、本発明の病原体感染防御剤の有効成分であるラクト
バシラス アシドフィルス コンプレックスに属しアシア
ロGM1に親和性を有する微生物を、ヨーグルト製造用
の乳酸菌として使用すると、病原体感染防御効果を有す
るヨーグルトを製造することができる。
【0014】尚、本発明の有効成分は、発酵乳の原料乳
酸菌として広く使用されてきた菌種であるため、安全性
の点で何等問題がないことが従来より知られている。従
って、ラットでの急性毒性試験を、体重200〜230
gのWistar系雄性ラットを1群7匹として用い、本発明
の感染防御剤(生菌体の生理食塩水懸濁液)を2週間経
口投与したが、LD50値は、1g/kg以上であり、極め
て安全性が高いことが明らかである。
【0015】
【実施例】以下、実施例及び試験例を示し、本発明をさ
らに詳細に説明する。 試験例1 本試験例では、ラクトバシラス アシドフィルス コンプ
レックスの内、特に発酵特性に優れたラクトバシラス
アシドフィルスSBT2062株、ラクトバシラス ガ
セリSBT1265株、ラクトバシラス アミロボラス
SBT1269及びラクトバシラス クリスパタスSB
T1264株が、病原性大腸菌(E.coli Pb176;CFA/II
(CS1+CS3);LT+ST+)のアシアロGM1への結合を阻害す
る効果を示す。 尚、本試験例では、下記の活性測定方
法を用いて、本発明の有効成分の活性を確認した。
【0016】レセプターへの付着阻害活性の測定法 (a)TLCオーバーレイアッセイ アシアロGM1(5μg)、アシアロGM2(5μg)、
ガングリオシド混合物(20μg)、中性グリコスフィ
ンゴリピド混合物(20μg)、グリコテトラオシルセ
ラミド(5μg)及びホスファチジルエタノールアミン
(5μg)を、クロロホルム:メタノール:水(60:40:
9)からなる組成の移動相を用いて;また、セラミドタ
イプII(ceramide typeIII:5μg)、セラミドタイプ
IV(ceramide typeIV:5μg)、グリコシルセラミド
(5μg)、スルファチド(5μg)、ガラクトシルセラ
ミド(5μg)及びラクトシルセラミド(5μg)を、ク
ロロホルム:メタノール:水(65:24:4)からなる組成
の移動相を用いて、シリカゲルプレートに展開した。こ
れらの脂質を風乾した後、一旦水に浸漬し、その後、1
%のゼラチン(ELISA-グレード)を含むトリス緩衝化生
理食塩水(10mMTris-150mMNaCl-0.04%アジ化ナトリウ
ム;pH8.0)にてブロッキング(37℃、50rpm、一晩)し
た。
【0017】対象となる病原菌については、トリプチケ
ースソイブロース(TSB)またはM−9培地(Antibodie
s a laboratory manual,p422,Ed Harlow and Daivid La
neEds., Cold Spring Harbor Labolatory Publicatio
n)を用いて、35S−メチオニン(10ml/74MBq)により
代謝ラベル(37℃、150rpm,12-24時間)した。また、ラ
クトバシラス アシドフィルス コンプレクッスに属する
細菌については、ブリッグス肝臓培地(Briggs liver b
roth)を用いて、35S-メチオニン(10ml/148MBq)によ
り代謝ラベル(37℃、150rpm、48-72時間)した。その
後、代謝ラベルした菌を、1%牛血清アルブミン(BS
A)を含むリン酸緩衝化生理食塩水(PBS;pH7.0)により
遠心洗浄(3回、6,000rpm、5分)した。一方、シリカゲ
ルプレートを、1%BSA−PBSにより3回洗浄し
(50rpm、10分)、1%BSA−PBSにより懸濁した
ラベル病原菌またはラクトバシラス アシドフィルス コ
ンプレックスに属する細菌を加え、37℃にて1時間オ
ーバーレイ(50rpm)を行った。オーバーレイは、旋回
式のシェーカーを用いて、10mlの病原菌懸濁液とTL
Cプレートを合わせて旋回させて行った。オーバーレイ
後、1%BSA−PBSにより6回洗浄し(50rpm、3
分)、風乾した後、オートラジオグラムをとった。必要
に応じ、デンシトメトリーにて定量化した後、付着強度
を調べることとした。一方、ラクトバシラス アシドフ
ィルス コンプレックスに属する細菌に関しては、代謝
ラベルを行うことなく、マウスによって作成した抗体を
プローブとして、パーオキシダーゼ標識二次抗体にて検
出する方法を併用した。
【0018】抗体の調製は、6週齢のBALB/c雌マ
ウスを用いて、死菌体100μgをPBS20μl中に
懸濁させた後、フロイントインコンプリートアジュバン
ト(FIA)80μlとのエマルジョンを作製した後、
背部皮下へ1週1回、4週連続して免疫を行った。最終
免疫時にSP−2(106細胞)を腹腔内に投与して、
9日後の腹水を回収し抗体を得た。
【0019】尚、抗ロタウイルス付着活性に関しては、
ヨードビーズを使用したNa-125Iラベルを行うウィロー
ビ(Willoughby)らの方法(J.Virology,64(10),4830-4
835(1990))に準じて、オーバーレイアッセイを行い、
同様に評価した。
【0020】(b)TLCオーバーレイ阻害アッセイ 本方法は、カールソン、ストロンバーグ(Karlsson,Str
onberg)の方法(Karlsson K.A.,Stronberg N, Methods
in Enzymology Vol.138,220-232,(1987))に準じた方
法である。アシアロGM1(5μg)をスポットし、こ
れを展開(クロロホルム:メタノール:水=60:4
0:9)したシリカゲルプレートを風乾した後、一旦水
に浸漬し、その後、1%のゼラチン(ELISA-グレード、
バイオラッド社製)を含むトリス緩衝化生理食塩水(10
mMTris-150mMNaCl-0.04%アジ化ナトリウム;pH8.0)によ
りブロッキング(37℃、50rpm 、一晩)した。対象とな
る病原菌についてはトリプチケースソイブロース(TS
B)またはM−9培地を用いて35S−メチオニン(放射
活性10ml/74MBq)により代謝ラベル(37℃、150rpm,12-
24時間)した。その後、病原菌を、1%牛血清アルブミ
ン(BSA)を含むリン酸緩衝化生理食塩水(PBS;pH7.0)
により遠心洗浄(3回、6,000rpm、5分)した。場合に
より、その後、被検定蛋白画分を含む1%BSA−PB
Sに浸漬し、37℃において30分間保持することによ
り前処理を行った。一方、シリカゲルプレートを、1%
BSA−PBSにより3回洗浄し(50rpm、10分)、場
合によってはそのまま、または、必要な場合には、同様
に被検定蛋白画分を含む1%BSA−PBSにより、3
7℃において30分間保持することにより前処理を行
い、その後、これを吸引して除いた。次いで、被検定蛋
白画分を含む1%BSA−PBSにより前処理をしたラ
ベル病原菌、または前処理を施さない病原菌を加え、3
7℃にて1時間オーバーレイ(50rpm)を行った。オー
バーレイは、旋回式のシェーカーを用いて10mlの病原
菌懸濁液とTLCプレートを合わせて旋回させて行っ
た。オーバーレイ後、1%BSA−PBSにより6回洗
浄し(50rpm、3分)、風乾した後、オートラジオグラ
ムをとった。必要に応じ、デンシトメトリーにて定量化
した後、被検定蛋白画分の阻害活性を主として、IC50
値にて判定した。IC50値は次の数1式の値を50とす
る場合の被検物質の濃度である。
【0021】
【数1】付着阻害強度=100×(1−被検物質存在下
での付着強度/被検物質非存在下での付着強度)
【0022】尚、抗ロタウイルス付着活性に関しては、
ヨードビーズを使用したNa-125Iラベルを行う、ウィロ
ービ(Willoughby)らの方法(J.Virology,64(10),4830
-4835(1990))に準じてオーバーレイアッセイを行い、
同様に評価することができた。
【0023】(C)細胞結合阻害アッセイ 本方法は、ロークス(Laux)D.C.らの方法(J.Microbio
logical Methods,Vol.2,27-39,(1984))に準じた方法で
ある。アシアロGM1が細胞表面に高密度に発現してい
ることが確認されている回盲部アデノカルシノーマ細胞
株HCT−8(ATCC CCL224)を検定細胞として用い
た。このHCT−8細胞は、ATCCの培養指針に従っ
て、100U/mlペニシリンG、100mg/mlストレプト
マイシン、10%牛胎児血清(FCS)を含む25mMHE
PES緩衝化RPMI1640(HEPES-RPMI-FCS)にて
継代培養した。アッセイには24穴カルチャープレート
(コスター社製)を用いた。通常、1ウェル当たり1×
105の細胞(1ml)をシードし、加湿された5%炭酸ガ
ス雰囲気下で、37℃において48−72時間培養し、
コンフリュエントの状態にした。次いで、コンフリュエ
ントの状態に達した細胞を、温めた1mlの25mMHEP
ES緩衝化HANK'S BSS(HEPES-HANK'S)により
洗浄した後、0.5mlの5%BSA−PBSを加えて1
時間ブロッキングした。1mlのHEPES−HANK'
Sにより2回洗浄した後、さらに、目的蛋白画分を含む
0.5mlのHEPES−HANK'Sにより30分間プレ
インキュベート(コントロールはHEPES-HANK'Sのみ)し
た。これを、アスピレートした後、35S−メチオニン
(10ml/74MBq)により代謝ラベルした病原菌(1X109cfu
/0.5mlHEPES-HANK'S) を加え(ある場合には病原菌自体
も、目的蛋白画分を含む0.5mlのHEPES−HAN
K'Sにより30分間プレインキュベートしておく)、
約2時間インキュベートして、付着を完了させた。1.
0mlのHEPES−HANK'Sにより6回洗浄した
後、0.5mlの1%SDSを含む0.1NNaOHを用い37
℃にて1時間インキュベートした。その後、全てを10
mlのシンチレーションカクテル(Ready Protein+,ベッ
クマン社製)に加え、ベータ線の放射活性より付着菌数
を測定した。阻害活性はオーバーレイアッセイと同様の
計算方法でIC50値を求めた。
【0024】尚、抗ロタウイルス付着活性については、
HCT−8細胞を標的として用いた上で、ウィロービ
(Willoughby)らの方法(J.Virology,64(10),4830-483
5 (1990))に従ってアッセイを行い、付着阻害活性を測
定した。
【0025】(1)ラクトバシルス アシドフィルス コ
ンプレックスの糖脂質結合性 ラクトバシラス アシドフィルス コンプレックスの各種
糖脂質に対する結合性を、TLCオーバーレイアッセイ
で確認した。受容体がアシアロGM1のみであることを
示すために、受容体として認識される糖脂質として、ア
シアロGM1(5μg)、アシアロGM2(5μg)、
ガングリオシド混合物(20μg)、グロボシド混合物
(20μg)、グロボトリアオシルセラミド(5μg)
及びホスファチジルコリン(5μg)を展開して、結合
性を確認した。展開した糖脂質をオルシノール発色によ
り検出したパターンを図1に示す。各レーンは、1がア
シアロGM1を、2がアシアロGM2を、3がガングリ
オシド混合物を、4がグロボシド混合物を、5がグロボ
テトラオシルセラミドを、6がホスファチジルコリンを
展開したものを示す。また、代表的な菌株であるラクト
バシラス アシドフィルスSBT2062株、ラクトバ
シラス ガセリSBT1265株、ラクトバシラス アミ
ロボラスSBT1269株及びラクトバシラス クリス
パタスSBT1264株の結合性を図2に示す。各レー
ンは、1がアシアロGM1を、2がアシアロGM2を、
3がガングリオシド混合物を、4がグロボシド混合物
を、5がグロボテトラオシルセラミドを、6がホスファ
チジルコリンを展開したものを示す。図2から明らかで
あるように、これらのラクトバシルス アシドフィルス
コンプレックスに属する微生物は、いずれもアシアロG
M1にのみ結合した。
【0026】(2)大腸菌の糖脂質結合性 通常の大腸菌(E.coli SBT 3254)及び病原性大腸菌
(E.coli SBT3275(Pb176:CFA/II(CS1+CS3)))の糖脂質
結合性を同様に確認した。結果を図3に示す。各レーン
は、1がアシアロGM1を、2がアシアロGM2を、3
がガングリオシド混合物を、4がグロボシド混合物を、
5がグロボテトラオシルセラミド(5μg)を、6がホ
スファチジルコリン(5μg)を展開したものを示す。
図3から明らかであるように、両株ともに、アシアロG
M1に選択的な結合性を示した。
【0027】(3)アシアロGM1への大腸菌の結合阻
害 上記(1)と同様にして、アシアロGM1をTLC上に
展開し、ブロッキング処理を行った。次いで、ペニシリ
ン及びストレプトマイシンにて殺菌処理を施したラクト
バシラス アシドフィルス コンプレックス(L.acidophi
lus SBT 2062株、ラクトバシラス ガセリSBT126
5株、ラクトバシラス アミロボラスSBT1269株
及びラクトバシラス クリスパタスSBT1264)
を、2×109/mlPBS-1%BSA濃度でTLC上に加え、
50rpmの速度で回転させながら、37℃で1時間イン
キュベーションした。このTLCプレートに35S−メチ
オニンで標識した病原性大腸菌(E.coli Pb176)を終濃
度2×109/mlとなるように加え、さらに1.5時間イ
ンキュベートした。その後、洗浄、風乾し、オートラジ
オグラムを取った。結果を図4に示す。各レーンは、1
がアシアロGM1(10μg)を、2がアシアロGM1
(5μg)を、3がアシアロGM1(2.5μg)を、
4がアシアロGM1(1.25μg)を示す。図4に示
されるように、試験を行ったラクトバシラス アシドフ
ィルス コンプレックスに属する微生物はいずれも、病
原性大腸菌(E.coli SBT3275(Pb176:CFA/II(CS1+CS
3)))がアシアロGM1へ結合する現象を阻害した。同
様にして、上記菌株の生菌体を用いた試験においても、
各菌株は同様に、大腸菌のアシアロGM1への結合を阻
害した。
【0028】(4)HCT−8細胞への大腸菌の結合阻
害 ラクトバシラス アシドフィルスSBT2062による
拮抗阻害について、検討を行った。HCT−8細胞の成
育したウエルに、5×108、1×109、2×109
4×109/mlの濃度になるように、ラクトバシラス ア
シドフィルスSBT2062の生菌体を加え、37℃で
0.5時間インキュベーションを行った。その後、ラク
トバシラス アシドフィルスSBT2062生菌体懸濁
液を新しいものと交換した上で、これに35S-メチオニ
ン標識病原性大腸菌(E.coli Pb176)を最終濃度が2×
109/mlとなるように加え、さらに1時間インキュベ
ートした。細胞を6回洗浄した後、常法通り溶解し、放
射活性の測定を行い、放射活性を指標として大腸菌の結
合を阻害する効果を確認した。測定結果を図5に示す。
処理1は、2.5×109/mlのE.coli SBT3275をそのま
ま加えた場合の結合を、処理2は、5×108/mlのラ
クトバシラス アシドフィルスSBT2062と共存さ
せた場合の結合を、処理3は、1×109/mlのラクト
バシラス アシドフィルスSBT2062と共存させた
場合の結合を、処理4は、2×109/mlのラクトバシ
ラス アシドフィルスSBT2062と共存させた場合
の結合を、処理5は、4×109/mlのラクトバシラス
アシドフィルスSBT2062と共存させた場合の結合
を、処理6は、細胞なしの場合の結合を示す。データ
は、12回の測定結果を箱髭図で示す。図5に示される
ように、ラクトバシラス アシドフィルスSBT206
2は、病原性大腸菌の付着を阻害することが明らかであ
る。
【0029】同様に、ラクトバシラス ガセリSBT1
265、ラクトバシラス アミロボラスSBT1269
及びラクトバシラス クリスパタスSBT1264につ
いても測定を行い、同様な結果を得た。これを図6に示
す。処理1は、2.5×109/mlのE.coli SBT3275をそ
のまま加えた場合の結合を、処理2は、5×108/ml
のラクトバシラス アミロボラスSBT1269と共存
させた場合の結合を、処理3は、5×108/mlのラク
トバシラス ガセリSBT1265と共存させた場合の
結合を、処理4は、5×108/mlのラクトバシラス ク
リスパタスSBT1264と共存させた場合の結合を、
処理5は、細胞なしの場合の結合を示す。また、データ
は、12回の測定結果を箱髭図で示した。図6に示され
るように、いずれの菌も強い付着阻害活性を示た。さら
に、ラクトバシラス アシドフィルス コンプレックスに
属するその他の細菌について試験を行ったが、いずれの
菌種も同様の大腸菌の付着阻害効果を有することを確認
した。
【0030】(5)HCT−8細胞への大腸菌の結合阻
害(ラクトバシラス アシドフィルスコンプレックス死
菌の効果 上記(4)の効果が、代謝産物(特に有機酸)を介さず
に生じていることを確認するために、ペニシリン及びス
トレプトマイシンにより殺菌処理を施したラクトバシラ
ス アシドフィルスSBT2062を用いて、上記
(4)と同様の試験を実施した。尚、殺菌処理は、1ml
当たり5000IUのペニシリンGまたは5000μgの
ストレプトマイシンを含むPBSを調製し、これに菌体
を懸濁して1晩、37℃にて保持し、これを殺菌水で洗
浄する方法を採用した。死菌体を用いる以外の操作は、
上記(4)と同様に操作を行った。結果を図7に示す。
処理1は、2.5×109/mlのE.coli SBT3275をそのま
ま加えたときの結合を、処理2は、5×108/mlのラ
クトバシラス アシドフィルスSBT2062と共存さ
せた場合の結合を、処理3は、1×109/mlと共存さ
せた場合の結合を、処理4は、2×109/mlと共存さ
せた場合の結合を、処理5は、4×109/mlと結合さ
せた場合の結合を、処理6は、細胞なしの場合の結合を
示す。データは、12回の測定結果を箱髭図で示す。図
7に示される結果から、ラクトバシラス アシドフィル
スSBT2062株の菌体が、病原性大腸菌のHCT−
8細胞への結合を阻害することが確認できた。
【0031】同様に、ラクトバシラス ガセリSBT1
265、ラクトバシラス アミロボラスSBT1269
及びラクトバシラス クリスパタスSBT1264の死
菌体についても検討を行った。結果を図8に示す。処理
1は、2.5×109/mlのE.coli SBT3275をそのまま加
えた場合の結合を、処理2は、5×108/mlのラクト
バシラス アミロボラスSBT1269と共存させた場
合の結合を、処理3は、5×108/mlのラクトバシラ
ス ガセリSBT1265と共存させた場合の結合を、
処理4は、5×108/mlのラクトバシラス クリスパタ
スSBT1264と共存させた場合の結合を、処理5
は、細胞なしの場合の結合を示す。また、データは、1
2回の測定結果を箱髭図で示した。図8に示されるよう
に、いずれの菌も強い大腸菌付着阻害活性を示した。さ
らに、ラクトバシラス アシドフィルス コンプレックス
に属するその他の細菌について、検討を行ったが、いず
れの菌種にも同様な効果を確認した。
【0032】(6)HCT−8細胞への大腸菌の結合阻
害(ラクトバシラス アシドフィルスコンプレックス)
死菌の前処理による効果 上記の阻害作用は、ラクトバシラス アシドフィルス コ
ンプレックス細菌の死菌体の細胞への付着によることを
確認するための試験を行った。最初に、細胞をラクトバ
シラス アシドフィルス コンプレックス細菌の死菌体に
より処理した上で、一旦洗浄し、その後、病原性大腸菌
で処理を行った。その結果、死菌体の前処理によっての
みでも、病原性大腸菌のHCT−8細胞への付着阻害効
果が生じることを確認した。結果を図9に示す。2.5
×109/mlのE.coli SBT3275の処理に先だって、処理
1は、前処理をしない場合の結合を、処理2は、5×1
8/mlのラクトバシラス アシドフィラスSBT206
2と共存させた場合の結合を、処理3は、5×108/m
lのラクトバシラス アミロボラスSBT1269と共存
させた場合の結合を、処理4は、5×108/mlのラク
トバシラス ガセリSBT1265と共存させた場合の
結合を、処理5は、5×108/mlのラクトバシラス ク
リスパタスSBT1264と共存させた場合の結合を、
処理6は細胞なしの場合の結合を示す。また、データ
は、12回の測定結果を箱髭図で示した。
【0033】(7)ラクトバシラス アシドフィルス コ
ンプレックス細胞壁成分の病原性大腸菌付着阻害効果) マタレリ(Mattarelli)P.らの方法(Mattarelli P. et
al., Res. Microbiology,Vol.144,581-593,(1993))に
従って、細胞壁画分の調製を行った。ラクトバシラス
アシドフィルス コンプレックスに属する各微生物ラク
トバシラス アシドフィルスSBT2062、ラクトバ
シラス ガセリSBT1265、ラクトバシラス アミロ
ボラスSBT1269及びラクトバシラス クリスパタ
スSBT1264を培養し、常法により菌体を回収し、
この菌体を洗浄後超音波処理に付し、菌体を破砕し、3
000rpmで10分間遠心分離することによって、未破
砕の菌体を除去し、上清を5000rpmで5時間超遠心
して細胞壁画分を回収した。この細胞壁画分を凍結乾燥
処理した後、下記の試験(A)及び(B)に用いた。
【0034】 (A) アシアロGM1への大腸菌付着阻害効果 5μgのアシアロGM1のTLCを行い、このTLCプ
レートを用いたTLCオーバーレイ阻害アッセイを行っ
た。標識化した大腸菌の付着量をオートラジオグラムの
黒変化によってデンシトメトリーで測定した。測定値
は、細胞壁画分を添加しない場合を100とした相対値
を求め、3回の実験の平均値で表した。結果を下記表1
に示す。
【0035】
【表1】 ラクトバシラス アシドフィルス コンプレックス細胞壁画分の 病原性大腸菌のアシアロGM1への付着阻害率 ---------------------------------------------------------------- 添加細胞壁画分濃度(mg/ml) 0 2.5 5 10 ---------------------------------------------------------------- L.acidophilus SBT2062 100 83 65 38 L.gasseri SBT1265 100 93 71 48 L.amylovorus SBT1269 100 79 53 32 L.crispatus SBT1264 100 86 61 42 ----------------------------------------------------------------
【0036】 (B) HCT−8細胞への大腸菌付着阻害効果 HCT−8細胞を培養したウエルに細胞壁成分を加え、
大腸菌の付着阻害を測定した。前記のHCT−8細胞へ
の付着阻害実験と同様に操作を行い、放射活性を測定し
た。測定結果は、無添加の場合を100とした相対値を
求め、8回の実験の平均値で表した。結果を下記表2に
示す。
【0037】
【表2】 ラクトバシラス アシドフィルス コンプレックス細胞壁画分の 病原性大腸菌のHCT−8細胞への付着阻害率 ------------------------------------------------------------------- 添加細胞壁画分濃度(mg/ml) 0 2.5 5 10 ------------------------------------------------------------------- L.acidophilus SBT2062 100 78 61 28 L.gasseri SBT1265 100 72 59 41 L.amylovorus SBT1269 100 83 63 35 L.crispatus SBT1264 100 81 69 39 -------------------------------------------------------------------
【0038】(8)ラクトバシラス アシドフィルス コ
ンプレックス表面粗蛋白質画分の病原性大腸菌付着阻害
効果) 培養後、回収、洗浄した菌体を、ペニシリン−ストレプ
トマイシン処理により菌体を殺菌処理した。このペニシ
リン−ストレプトマイシン処理菌体より、ロータル(Lo
rtal)S.らの方法(Lortal S.,et al.,Journal of Gene
ral Microbiology, Vol.138,611-618,(1992))に従っ
て、菌体の湿重量の5倍量の5MLiClを加え、4℃で1
5分間振盪抽出した。蛋白質は白色沈殿として得られ、
蛋白質画分を透析し、次いで蛋白質濃度を5mg/mlに調
整した。この蛋白質画分を凍結乾燥処理した後、下記の
試験(A)及び(B)に用いた。
【0039】(A)TLCオーバーレイ阻害活性 5μgのアシアロGM1をTLCを行い、そのTLCプ
レートを用いたTLCオーバーレイ阻害アッセイを行っ
た。標識化した大腸菌の付着量を、オートラジオグラム
の黒変化をデンシトメトリーで測定することにより求め
た。測定値は、細胞壁画分を添加しない場合を100と
した相対値を求め、3回の実験の平均値で表した。結果
を表3に示す。
【0040】
【表3】 ラクトバシラス アシドフィルス コンプレックスの表面蛋白質粗画分 の病原性大腸菌のアシアロGM1への付着阻害効果 -------------------------------------------------------------- 添加表層蛋白画分濃度(mg/ml) 0 0.63 1.25 2.5 -------------------------------------------------------------- L.acidophilus SBT2062 100 86 67 44 L.gasseri SBT1265 100 91 73 59 L.amylovorus SBT1269 100 89 87 61 L.crispatus SBT1264 100 85 62 25 --------------------------------------------------------------
【0041】(B)HCT−8細胞への大腸菌付着阻害効
果 HCT−8細胞を培養したウエルに抽出蛋白質を加え、
大腸菌の付着阻害を測定した。前記のHCT−8細胞へ
の付着阻害実験と同様に操作を行い、放射活性を測定し
た。測定結果は、無添加の場合を100とした相対値を
求め、8回の実験の平均値で表した。結果を表4に示
す。
【0042】
【表4】 ラクトバシラス アシドフィルス コンプレックス表面蛋白質画分の 病原性大腸菌のHCT−8細胞への付着阻害率 --------------------------------------------------------------- 添加表層蛋白画分濃度(mg/ml) 0 0.63 1.25 2.5 --------------------------------------------------------------- L.acidophilus SBT2062 100 86 63 49 L.gasseri SBT1265 100 90 72 60 L.amylovorus SBT1269 100 92 81 58 L.crispatus SBT1264 100 88 78 55 ---------------------------------------------------------------
【0043】以上の結果から、ラクトバシラス アシド
フィルス コンプレックスの病原性微生物付着阻止作用
は、菌体に存在し、特に、菌体の細胞壁表面の蛋白質が
必要であることが判明した。
【0044】試験例2 本試験例では、ラクトバシラス アシドフィルス コンプ
レックスの大腸菌付着阻害効果について、抗体を用いて
解析した結果について示す。 (1)抗GA1抗体による細胞前処理と病原性大腸菌の
HCT−8細胞への付着最初に、HCT−8細胞に対す
る病原性大腸菌(E.coli Pb176:CFA/II(CS1+CS3))の付
着受容体であるアシアロGM1に対する抗体である抗ア
シアロGM1抗体により、HCT−8細胞を前処理し、
その結合に及ぼす影響を評価した。市販のウサギ抗アシ
アロGM1抗血清(和光純薬(米)社製)を用い、その
アシアロGM1に対する特異性を確認した。各種糖脂質
(5μg)をシリカゲルプレートを用いてTLCを行い
(クロロホルム:メタノール:水=65:24:4)、
5%BSA−PBSにてブロッキングした後、ウサギ抗
アシアロGM1抗血清及び通常ウサギ血清(コントロー
ル)により処理(37℃、1時間、1%BSA-0.05%Tween20-PB
Sにより1:100に希釈)した。1%BSA−PBSにより
5回洗浄(50rpm、37℃、5分)した後、アルカリフォ
スファターゼラベル羊抗ウサギIgGにて同様に処理し
た。次いで、同様に洗浄した後、常法に従って発色させ
た。結果を図10に示す。図10において、レーン1
は、ガラクトシルセラミドの場合を、2はラクトシルセ
ラミドの場合を、3はグロボトリオシルセラミドの場合
を、4はグロボテトラオシルセラミドの場合を、5はア
シアロGM2の場合を、6はアシアロGM1の場合を、
7はホスファチジルコリンの場合を示す。図10に示さ
れるように、抗アシアロGM1抗血清は、アシアロGM
1に特異的であることが確認できた。尚、図10の左図
に示されるように、コントロールとして用いた同希釈率
(1:100)の通常ウサギ血清(シグマ化学社製:脱塩後
使用)は、いずれの糖脂質とも反応しなかった。
【0045】このウサギ抗アシアロGM1抗血清(HEPE
S-HANK'Sで希釈)によりHCT−8細胞を1.5時間処
理した後、HEPES−HANK'Sにて3回洗浄し、
次いで、プロトコールに従って、細胞付着実験を行っ
た。結果を図11に示す。図11において、1は無処理
の場合を、2は通常ウサギ血清処理(1:50)の場合
を、3はウサギ抗アシアロ抗血清処理(1:50)の場
合を、4はウサギ抗アシアロ抗血清処理(1:100)
の場合を、5はウサギ抗アシアロ抗血清処理(1:20
0)の場合を、6はウサギ抗アシアロ抗血清処理(1:
400)の場合を、7は細胞が存在しない状態での結合
を示す。図11に示されるように、抗血清濃度依存的な
結合阻害作用を確認することができた。
【0046】(2)アシアロGM1含有HEPES−H
ANK'Sによる細胞前処理が病原性大腸菌の細胞付着
に及ぼす影響 アシアロGM1を含有するHEPES−HANK'Sに
より、病原性大腸菌(E.coli Pb176:CFA/II(CS1+CS3))
を前処理(37℃,1時間)した。その後、HEPES−H
ANK'Sにより3回洗浄し、細胞付着実験を行った。
結果を図12に示す。データは12回の測定結果を箱髭
図で示した。図12に示されるように、アシアロGM1
の前処理濃度依存的な結合阻害作用を確認することがで
きた。また、80mg/mlの濃度のアシアロGM1で前処
理した群では、ほぼ50%の結合阻害が確認された。
【0047】(3)粗CFA/II(CS1+CS3)
抗原による細胞前処理が病原性大腸菌の細胞付着に及ぼ
す影響 アシアロGM1に親和性を示すことが明かにされている
病原性大腸菌のCFA/II(CS1+CS3)抗原
を、病原性大腸菌(E.coli Pb176(CFA/II:(CS1+CS
3)))より、PBS−2MUreaにより、抽出(37
℃、0.5時間)した。菌体を除去した後、硫安沈殿(80
%飽和)及び透析した後、凍結乾燥粉末として保存した
ものを本試験に用いた。HEPES−HANK'Sにて
溶解したCFA/II(CS1+CS3)抗原により、病原性
大腸菌(E.coli Pb176:CFA/II(CS1+CS3))を前処理(37
℃、1時間)した。その後、前処理された前記抗原を、
HEPES−HANK'Sにより3回洗浄し、次いで、
細胞付着阻害効果を確認した。結果を図13に示す。図
13において、1は無処理の場合の結合を、2はCFA
/IIの濃度が0.01mg/mlの場合の結合を、3は0.
1mg/mlの場合の結合を、4は1.0mg/mlの場合の結
合を、5は細胞が存在しない状態での結合を示す。デー
タは12回の測定結果を箱髭図で示した。図13に示さ
れるように、処理濃度依存的な付着阻害作用が認められ
た。これにより、病原性大腸菌が、細胞上のアシアロG
M1を受容体として結合していることを確認することが
できた。
【0048】(4)レクチンによる細胞前処理が病原性
大腸菌の細胞付着に及ぼす影響 3種の市販レクチン(シグマ化学社製)で、HCT−8
細胞を前処理し、その結合に及ぼす影響を評価するため
に、下記表5に示す3種のレクチンを用いて、細胞上に
存在する糖の重要性についての推定を行った。
【0049】
【表5】 レクチンの糖特異性 ------------------------------------------------------- レクチン 結合特異性 ------------------------------------------------------- Momordica charantia lectin(MCL) D-gal, D-galNAc Glycine max lectin(GML) D-galNAc Abrus prelatorius lectin(APL) D-gal -------------------------------------------------------
【0050】即ち、各レクチンを蛋白換算濃度50μg/
mlとして、HEPES−HANK'Sに溶解した。細胞
を各レクチンで前処理(37℃、1時間)した後、HEP
ES−HANK'Sにより3回洗浄し、プロトコールに
従って細胞付着実験を行った。結果を図14に示す。図
14において、1は無処理、2は表5中のAPLを用
い、3は同じくGMLを用い、4は同じくMCLを用い
各処理を施した後、2.5×109/mlのE.coliSBT3275
を加えて付着状態を示した。データは12回の測定結果
を箱髭図で示した。図14に示される結果より、ガラク
トース特異的なレクチンにより処理した場合に、大腸菌
の結合が顕著に阻害されることが判明した。この結果よ
り、細胞表面上に存在するアシアロGM1分子のうち、
末端のD−gal分子がレセプターとして重要な役割を
演じているものと推定される。
【0051】以上の結果から、ラクトバシラス アシド
フィルス コンプレックスは、HCT−8細胞上のアシ
アロGM1分子を認識し、これを病原菌と奪い合うこと
によって、感染を抑制することが確認できた。特に、レ
クチンを用いた実験で示すように、アシアロGM1末端
のガラクトース分子が、この効果発現に重要な役割を果
していることが明らかとなった。
【0052】実施例1 ラクトバシラス アシドフィルス(L.acidophilus)SB
T2062、ラクトバシラス クリスパタス(L.crispat
us)SBT1264、ラクトバシラス アミロボラス
(L.amylovorus)SBT1269、ラクトバシラス ガ
セリ(L.gasseri)SBT1265、ラクトバシラス ガ
リナルム(L.gallinarum)及びラクトバシラス ジョン
ソニイ(L.johnsonii)を、それぞれMRS培地を用い
て前培養し、対数増殖期にある培養液を、0.3%の酵
母エキスを添加した10%還元脱脂乳培地(121℃に
10分間加熱したもの)に1%添加して、37℃で2日
間培養し、培養物を凍結乾燥後粉末化し、病原体感染防
御剤を得た。
【0053】実施例2 (ヨーグルトの製造)ラクトバシラス アシドフィルス
(L.acidophilus)SBT2062、ラクトバシラス ク
リスパタス(L.crispatus)SBT1264、ラクトバ
シラス アミロボラス(L.amylovorus)SBT126
9、ラクトバシラス ガセリ(L.gasseri)SBT126
5、ラクトバシラス ガリナルム(L.gallinarum)及び
ラクトバシラス ジョンソニイ(L.johnsonii)を、それ
ぞれヨーグルトミックス(生乳に2%脱脂乳を添加し、
100℃に10分間加熱したもの)に5%接種し、37
℃で24時間培養した後、冷却し、各菌株を含有するヨ
ーグルトを調製した。このヨーグルトは、アシアロGM
1をレセプターとする病原性大腸菌に対する感染防御効
果を有していた。
【0054】実施例3 (錠剤の製造)ラクトバシラス アシドフィルス(L.aci
dophilus)SBT2062株をブリッグス肝臓培地(Br
iggs liver broth)で培養し、次いで、4℃にて700
0rpmで15分間遠心分離し、上清を分離して菌体を回
収した。菌体に10倍量の殺菌水を加え、7000rpm
で15分間遠心して洗浄を行い、これを3回繰り返して
洗浄菌体を得た。これを凍結乾燥処理して菌体粉末を得
た。この菌体粉末1部に乳糖5部を混合し、これを1g
ずつ打錠機を用いて常法により打錠して、本菌体を20
0mg含有する錠剤を調製した。
【0055】
【発明の効果】以上、詳しく説明したように、本発明に
より、ラクトバシラス アシドフィルス コンプレックス
(Lactobacillus acidophilus complex)に属しアシア
ロGM1に親和性を有する微生物またはその菌体を有効
成分とする病原体感染防御剤が提供される。本発明の病
原体感染防御剤は、アシアロGM1をレセプターとする
病原体であって、病原性大腸菌、緑膿菌、シュードモナ
ス セパシア(Pseudmonas cepacia)、カンピロバクタ
ー(Campyrobacter)、ロタウイルス(Rota virus)、
レオウイルス(Reo virus)及びポリオウイルス(Polio
virus)に属する微生物に対して有効である。また、本
発明により、前記微生物の菌体から、アルカリ塩水溶液
または界面活性剤を用いて抽出して得ることができ、ア
シアロGM1に親和性を有し、病原体感染防御活性を有
する蛋白質が提供される。本発明の蛋白質も前記微生物
に対して非常に有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】受容体として知られている糖脂質のTLC展開
図である。TLCのレーンは、1がアシアロGM1(5
μg)を、2がアシアロGM2(5μg)を、3がガン
グリオシド混合物(20μg)を、4がグロボシド混合
物(20μg)を、5がグロボテトラオシルセラミド
(5μg)を、6がホスファチジルコリン(5μg)を
展開したものである。
【図2】糖脂質に対するラクトバシラス アシドフィル
ス コンプレックスの結合性を示すTLC展開図であ
る。TLCのレーンは、1がアシアロGM1(5μg)
を、2がアシアロGM2(5μg)を、3がガングリオ
シド混合物(20μg)を、4がグロボシド混合物(2
0μg)を、5がグロボテトラオシルセラミド(5μ
g)を、6がホスファチジルコリン(5μg)を展開し
たものである。
【図3】糖脂質に対する病原性大腸菌と通常大腸菌の結
合性を示すTLC展開図である。TLCのレーンは、1
がアシアロGM1(5μg)を、2がアシアロGM2
(5μg)を、3がガングリオシド混合物(20μg)
を、4がグロボシド混合物(20μg)を、5がグロボ
テトラオシルセラミド(5μg)を、6がホスファチジ
ルコリン(5μg)を展開したものである。
【図4】病原性大腸菌のアシアロGM1に対する結合
を、ラクトバシラス アシドフィルス コンプレックスが
阻害する現象を確認したTLC阻害アッセイによるオー
トラジオグラムの展開図である。各レーンは、1がアシ
アロGM1(10μg)を、2がアシアロGM1(5μ
g)を、3がアシアロGM1(2.5μg)を、4がア
シアロGM1(1.25μg)を示す。
【図5】ラクトバシラス アシドフィルスSBT206
2の生菌体が示す病原性大腸菌のHCT−8細胞に対す
る付着を阻害する作用を、細胞結合阻害アッセイ法によ
り測定した結果を示すグラフである。*は、95%の範
囲から外れたデータの位置を示している。
【図6】ラクトバシラス アミロボラスSBT126
9、ラクトバシラス ガセリSBT1265、ラクトバ
シラス クリスパタスSBT1264の生菌体が示す病
原性大腸菌のHCT−8細胞に対する付着を阻害する作
用を、細胞結合阻害アッセイ法により測定した結果を示
すグラフである。
【図7】ラクトバシラス アシドフィルスSBT206
2の死菌体が示す病原性大腸菌のHCT−8細胞に対す
る付着を阻害する作用を、細胞結合阻害アッセイ法によ
り測定した結果を示すグラフである。
【図8】ラクトバシラス アミロボラスSBT126
9、ラクトバシラス ガセリSBT1265、ラクトバ
シラス クリスパタスSBT1264の死菌体が示す病
原性大腸菌のHCT−8細胞に対する付着を阻害する作
用を、細胞結合阻害アッセイ法により測定した結果を示
すグラフである。*は、95%の範囲から外れたデータ
の位置を示している。
【図9】ラクトバシラス アシドフィルスSBT206
2の死菌体により予めHCT−8細胞を前処理した後、
病原性大腸菌のHCT−8細胞に対する付着を阻害する
作用を細胞結合阻害アッセイ法により測定した結果を示
すグラフである。*は、95%の範囲から外れたデータ
の位置を示す。
【図10】糖脂質に対する抗アシアロGM1抗血清の結
合性を示すTLC展開図である。TLCのレーンは、1
がガラクトシルセラミド(5μg)を、2がラクトシル
セラミド(5μg)を、3がグロボトリオシルセラミド
(5μg)を、4がグロボテトラオシルセラミド(5μ
g)を、5がアシアロGM2(5μg)を、6がアシア
ロGM1(5μg)を、7がホスファチジルコリン(5
μg)を展開したものである。黒化した部位が抗血清と
反応性を示す糖脂質の存在を示す。
【図11】病原性大腸菌のHCT−8細胞への付着に及
ぼす抗アシアロGM1抗血清の効果を示すグラフであ
る。*は95%の範囲から外れたデータの位置を示す。
【図12】アシアロGM1による病原性大腸菌の前処理
の結果、HCT−8細胞への付着が抑制されることを示
すグラフである。*は95%の範囲から外れたデータの
位置を示す。
【図13】粗精製CFA/II(CS1+CS3)抗原
によるHCT−8細胞の前処理の結果、病原性大腸菌の
HCT−8細胞への付着が抑制されることを示すグラフ
である。*は95%の範囲から外れたデータの位置を示
す。
【図14】糖特異的レクチンによるHCT−8細胞の前
処理の結果、病原性大腸菌のHCT−8細胞への付着が
抑制されることを示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI (C12N 1/20 C12R 1:23) (C12N 1/20 C12R 1:225) (C12N 1/20 C12R 1:225 1:23) (56)参考文献 特開 平5−201828(JP,A) 特開 平7−194640(JP,A) 特開 平4−145026(JP,A) 特開 平5−292947(JP,A) 特開 平6−98782(JP,A) 特開 昭61−91126(JP,A) 特表 平6−501624(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61K 35/74 C07K 14/335

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ラクトバシラス アシドフィルス コンプ
    レックス(Lactobacillus acidophilus complex)に属
    しアシアロGM1に親和性を有する微生物の生菌体、死
    菌体または細胞壁から、アルカリ塩水溶液または界面活
    性剤を用いて抽出して得られる表面粗蛋白質画分を有効
    成分とする病原体感染防御剤。
  2. 【請求項2】 ラクトバシラス アシドフィルス コンプ
    レックスに属する微生物が、ラクトバシラス アシドフ
    ィルス(L.acidophilus)、ラクトバシラスクリスパタ
    ス(L.crispatus)、ラクトバシラス アミロボラス(L.
    amylovorus)、ラクトバシラス ガセリ(L.gasseri)、
    ラクトバシラス ガリナルム(L.gallinarum)及びラク
    トバシラス ジョンソニイ(L.johnsonii)に分類される
    乳酸菌である請求項1記載の病原体感染防御剤。
  3. 【請求項3】 病原体が、アシアロGM1に親和性を有
    する微生物である請求項1または2記載の病原体感染防
    御剤。
  4. 【請求項4】 アシアロGM1に親和性を有する病原体
    が、病原性大腸菌、緑膿菌、シュードモナス セパシア
    (Pseudomonas cepacia)、カンピロバクター(Campyro
    bacter)、ロタウイルス(Rota virus)、レオウイルス
    (Reo virus)、ポリオウイルス(Polio virus)に属す
    る微生物である請求項記載の病原体感染防御剤。
  5. 【請求項5】 ラクトバシラス アシドフィルス コンプ
    レックスに属しアシアロGM1に親和性を有する微生物
    の生菌体、死菌体または細胞壁から、アルカリ塩水溶液
    または界面活性剤を用いて抽出して得ることができ、ア
    シアロGM1に親和性を有し、病原体感染防御活性を有
    する表面粗蛋白質画分
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