JP3004822B2 - マトリックス型液晶表示装置およびその製法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明はマトリックス型液晶表示
装置およびその製法であって、さらに詳しくは回路基板
と対向基板とを位置合わせするためのアライメントマー
クの形成を改良したマトリックス型液晶表示装置および
その製法に関する。

【０００２】

【従来の技術】図２は従来のマトリックス型液晶表示装
置の主要部である回路基板と対向基板とを示す説明図で
ある。図中、１は液晶駆動用回路および信号ラインが形
成された回路基板、２は対向電極が形成された対向基
板、３は中に複数個の表示画素が形成されその集合体で
ある表示領域、４は表示領域３の周囲を囲むように形成
された遮光膜、６は回路基板１上に形成された信号ライ
ン、９ａ、９ｂは回路基板１と対向基板２とを厳密に位
置合わせするために設けられたアライメントマーク、７
は重ね合わせたのちの切断後も製品として残る対向基板
の領域（以下、使用領域という）、８は信号ライン６の
一部に設けられた曲折部である。

【０００３】つぎに前記液晶表示装置の製法について説
明する。前記液晶表示装置は、前記回路基板１と対向基
板２とを前記アライメントマーク９ａ、９ｂを用いて位
置合わせをし、重ね合わせたのちに圧着し、対向基板２
を使用領域７になるように切断することにより製造され
る。

【０００４】前記目的に使用されるアライメントマーク
９ａ、９ｂは、通常信号ラインや対向電極を形成する工
程でＣｒなどにより形成される。

【０００５】重ね合わせを行う際の位置合わせは、アラ
イメントマーク用モニタカメラの視野内で、両基板１、
２上のアライメントマーク９ａ、９ｂを一致させる方法
により行う。

【０００６】特開平1-40492号公報には、ステップアン
ドリピート方式で複数のパターンが形成されたウェハな
どの物体を処理装置に対して位置合わせする方法、とく
にステップアンドリピート方式の露光装置に好適な前記
位置合わせ方法が記載されているが、本発明においては
前記方法を用いて位置合わせを行うことができる。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】従来のアライメントマ
ーク９ａ、９ｂは以上のような方法で形成されているの
で、形成位置を変更するためには、成膜およびパターニ
ング工程のマスクを新たに作製する必要があり、多大な
経費を要する。そのため、重ね合わせ機の機種変更など
に容易に対応できないという問題がある。

【０００８】また、マトリックス型液晶表示装置の良否
判定試験は対向基板２が使用領域７に切断されたのちに
行われるため、判定試験で不良と判明した時点では既に
アライメントマーク９ａ、９ｂは対向基板２から切り離
されている。したがって、従来の方法により形成された
アライメントマーク９ａ、９ｂを有する前記液晶表示装
置では、不良と判定された液晶表示装置を再び回路基板
１と対向基板２とに分離して所定の処理を施したのち
に、再度重ね合わせを行うことはできず、マトリックス
型液晶表示装置の欠陥修復は不可能であるという問題が
ある。

【０００９】本発明は前記のような問題を解消するため
になされたもので、重ね合わせ機の機種変更にも容易に
対応でき、さらに対向基板２が使用領域７に切断された
のちでも再度重ね合わせをすることができるマトリック
ス型液晶表示装置およびその製法を提供することを目的
とする。

【００１０】

【課題を解決するための手段】本発明のマトリックス型
液晶表示装置は、液晶駆動回路および信号ラインが形成
された回路基板と、液晶駆動用の対向電極および各画素
の集合体である表示領域の周囲に遮光膜が形成された対
向基板と、前記両基板間に充填された液晶層とを有する
マトリックス型液晶表示装置であって、前記対向基板の
遮光膜の一部を前記信号ラインに沿って除去することに
より形成されたマークを備えたことを特徴とするもので
ある。

【００１１】また、本発明のマトリックス型液晶表示装
置の製法は、液晶駆動回路および信号ラインが形成され
た回路基板と、液晶駆動用の対向電極および各画素の集
合体である表示領域の周囲に遮光膜が形成された対向基
板とを位置合わせをして接着し、前記両基板間に液晶材
料を充填するマトリックス型液晶表示装置の製法であっ
て、前記位置合わせを前記対向基板の遮光膜の一部を前
記信号ラインに沿って除去することにより形成されたマ
ークと前記回路基板上に形成された信号ラインとを合わ
せることにより行うことを特徴とするものである。

【００１２】

【作用】本発明では対向基板のアライメントマークを表
示領域の周囲に形成されている遮光膜部分にレーザ光照
射により形成しているため、アライメントマークは表示
領域周囲の遮光膜内で任意に変更でき、重ね合わせ機の
機種を変更しても、信号ラインなどパターン形成マスク
を変更することなく自由に変更できる。また表示領域の
表示性能を害することもない。

【００１３】また反対側の回路基板は信号ラインの一部
をアライメントマークとしたり、信号ラインの形成され
ていないところにレーザ光照射などにより形成した印を
アライメントマークとして両基板の位置合わせをできる
ため、通常の重ね合わせ機で通常の位置合わせ法によっ
て正確に位置合わせができる。

【００１４】さらに本発明によれば、表示領域周囲の遮
光膜部分にアライメントマークを形成しているため、回
路基板の外端部を切断除去して表示パネルを形成したの
ちでも、アライメントマーク部分は残り、再度基板を剥
して位置合わせをし直すこともできる。

【００１５】

【実施例】つぎに、本発明の一実施例を図１に基づいて
説明する。図中、１は液晶駆動用回路および信号ライン
が形成された回路基板、２は対向電極が形成された対向
基板、３は中に複数個の表示画素が形成されたその集合
体である表示領域、４は表示領域３の周囲を囲むように
形成された遮光膜、５は遮光膜４上にレーザ照射により
形成されたアライメントマーク、６は回路基板１上に形
成された信号ライン、７はマトリックス型液晶表示装置
の領域（使用領域）である。

【００１６】回路基板１にはたとえば各画素を駆動する
薄膜トランジス（以下、ＴＦＴという）が各画素ごとに
形成され、導電膜により各画素のＴＦＴが横さらに縦方
向に連結され、信号ライン６として回路基板１の端部に
導出されている。また、対向基板２には表示領域３全面
に透明導電膜を用いて対向電極が形成されており、基板
１の信号ライン６を通してＴＦＴを駆動することにより
各画素と対向電極との間に電圧が印加される構成になっ
ている。両基板は各画素集合体の表示領域の周囲でシー
ル材により、一定間隔で接着され、その間隙に液晶材料
が充填され両基板間に印加される電圧に応じてある画素
の液晶層のみが表示される構成になっている。このシー
ル材で接着する部分またはその内側は表示領域外への光
もれ防止など、表示性能を向上させるため、接着部分に
相当する表示領域周囲の対向基板にクロム、アルミニム
などを付着した遮光膜４が形成されている。

【００１７】本発明ではこの遮光膜４にＹＡＧやＸｅな
どのレーザ光を照射してアライメントマークを形成して
いるところに特徴がある。このアライメントマークは、
前述のように回路基板１と対向基板２とを重ね合わせて
接着する際に画素ずれがおこらないように両基板を位置
合わせするもので、このアライメントマーク５と回路基
板１の、たとえばある信号ラインの曲折部８とを位置合
わせすることによって行われる。回路基板側は信号ライ
ンの一部を使用してもよいし、信号ラインのない部分に
別途レーザ光などでアライメントマークを形成しておい
てもよい。

【００１８】つぎに、前記液晶表示装置の製法について
説明する。

【００１９】まず、回路基板１には、通常の方法で薄膜
トランジスタなどの液晶駆動回路およびＣｒなどの金属
膜で信号ライン６などを形成する。信号ライン６は、通
常たとえば10〜20μｍの幅を有し、表示領域の外側にた
とえば図１に示されるような曲折部８を有している。

【００２０】一方、対向基板２には、液晶駆動用の対向
電極を透明導電膜で同様に形成すると共に表示領域３周
囲のシール材部分またはその内側には表示性能を向上さ
せるため、遮光膜などを形成する。前記遮光膜は、通常
たとえば２〜３mmの幅を有し、クロムなどの金属の薄膜
により形成される。

【００２１】前記対向基板２の遮光膜４にＹＡＧ、Ｘｅ
などのレーザ光（図示省略）を照射して金属膜の一部を
蒸発させて透明にしアライメントマーク５とする。

【００２２】このアライメントマークの形成場所は回路
基板１のマークと対応させた場所をあらかじめ設定して
おく。

【００２３】このようにして形成された、対向基板２側
のアライメントマーク５は、遮光膜４内に形成されてい
るため、マトリックス型液晶表示装置の表示性能を損う
ことがない。

【００２４】前記のように遮光膜にアライメントマーク
５を形成したのち、両基板はラビング処理のなされた配
向膜と共にシール材印刷などを経て、重ね合わされる。

【００２５】前記遮光膜へのアライメントマーク５の形
成は、重ね合わせの前であれば、前記工程のどの時点で
行ってもよい。

【００２６】重ね合わせには、両基板に存在するアライ
メントマークで基板位置調整を行う方式の重ね合わせ機
を使用する。

【００２７】本実施例では対向基板の遮光膜に形成した
アライメントマークに対し、回路基板１側のアライメン
トマーク５は、信号ライン６のパターンを使用する。位
置合わせは、重ね合わせ機のモニタ用カメラの視野内で
アライメントマーク５側から信号ライン６を透過するこ
とにより行う。また、基板長辺方向の位置合わせは、信
号ライン６の一部に設けられた曲折部８を遮光膜４の外
周に一致させることで行うことができる。さらにこの屈
折部８が存在するために、信号ライン６の中から回路基
板１側のアライメントマーク５とすべき信号ライン６を
容易に判別できる。

【００２８】このような方法で位置合わせをしたのち接
着し、前記両基板間に液晶を充填し、偏光板や光反射板
を貼り付ける工程などを経て、マトリックス型液晶表示
装置が製造される。

【００２９】両基板１、２の重ね合わせおよび貼り合わ
せ（接着）完了後に液晶表示装置が不良と判明したばあ
いでも、アライメントマーク５が対向基板２の使用領域
７の内側にあるために両基板１、２をもう一度分離して
所定の処理を施したのちに、再度の重ね合わせが可能と
なる。また、対向基板２のアライメントマーク５の位
置、サイズなどは図１に示したものに限らず、重ね合わ
せ機の仕様に合わせて、また回路基板２上の信号ライン
６のパターンに合わせて自由に選択できる。

【００３０】なお、前記実施例では回路基板１側のアラ
イメントマークは信号ライン６を使用したが、回路基板
１にパターンを新規に設けて、このパターンにレーザを
照射することにより、アライメントマークを形成しても
よい。

【００３１】

【発明の効果】以上のように、本発明によればアライメ
ントマークの形成位置および形状を任意に形成できるの
で、重ね合わせ機の機種変更に容易に対応できる。ま
た、マトリックス型液晶表示装置で不良が発生したばあ
いには、回路基板と対向基板とに分離したのちにアライ
メントマークを再形成して再度重ね合わせすることがで
きるため、欠陥の修復が可能となり、大幅なコスト削減
が図れる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のマトリッックス型液晶表示装置の要部
である基板部分の一実施例を示す説明図である。

【図２】従来のマトリックス型液晶表示装置の要部であ
る基板部分を示す説明図である。

【符号の説明】

１ 回路基板 ２ 対向基板 ３ 表示領域 ４ 遮光膜 ５ アライメントマーク ６ 信号ライン ８ 曲折部

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) G02F 1/1333 500 G02F 1/13 101 G02F 1/1335 500

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 液晶駆動回路および信号ラインが形成さ
   れた回路基板と、液晶駆動用の対向電極および各画素の
   集合体である表示領域の周囲に遮光膜が形成された対向
   基板と、前記両基板間に充填された液晶層とを有するマ
   トリックス型液晶表示装置であって、前記対向基板の遮
   光膜の一部を前記信号ラインに沿って除去することによ
   り形成されたマークを備えたことを特徴とするマトリッ
   クス型液晶表示装置。
2. 【請求項２】 液晶駆動回路および信号ラインが形成さ
   れた回路基板と、液晶駆動用の対向電極および各画素の
   集合体である表示領域の周囲に遮光膜が形成された対向
   基板とを位置合わせをして接着し、前記両基板間に液晶
   材料を充填するマトリックス型液晶表示装置の製法であ
   って、前記位置合わせを前記対向基板の遮光膜の一部を
   前記信号ラインに沿って除去することにより形成された
   マークと前記回路基板上に形成された信号ラインとを合
   わせることにより行うことを特徴とするマトリックス型
   液晶表示装置の製法。