JP3003488B2 - エンジンの蒸発燃料処理装置 - Google Patents

エンジンの蒸発燃料処理装置

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JP3003488B2
JP3003488B2 JP5312247A JP31224793A JP3003488B2 JP 3003488 B2 JP3003488 B2 JP 3003488B2 JP 5312247 A JP5312247 A JP 5312247A JP 31224793 A JP31224793 A JP 31224793A JP 3003488 B2 JP3003488 B2 JP 3003488B2
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fuel ratio
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太容 吉野
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Nissan Motor Co Ltd
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  • Supplying Secondary Fuel Or The Like To Fuel, Air Or Fuel-Air Mixtures (AREA)
  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明はエンジンの蒸発燃料処
理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】エアフローメーターやインジェクターな
どの構成部品の経時劣化やバラツキ、インジェクターの
パルス幅−流量特性の非直線性などによるベース空燃比
の理論空燃比からのズレをなくすため、ストイキ運転時
(理論空燃比を目標空燃比とする運転時のこと)に空燃
比の学習制御が行われている。
【0003】一方、燃料タンク内に発生した燃料蒸気は
キャニスターの活性炭に吸着され、一般にエンジン始
動後で所定時間の経過後であること、冷却水温が所定
水温以上あること、車速が設定値以上であること、
スロットルバルブが開かれていることのすべてを満足す
る場合に、パージバルブが開かれ、新気により活性炭か
ら離脱された燃料蒸気が新気とともにパージガスとなっ
て吸気管に導入される。
【0004】ストイキ運転時の空燃比のフィードバック
条件成立時にこのパージガスの導入で空燃比フィードバ
ック補正係数αがリーン側に動き(α<1.0)、一定
の学習条件が成立するとこのαにもとづいて空燃比学習
補正係数(以下学習値という)αmが排気空燃比を理論
空燃比に戻すようにリーン側に更新される(αm<1.
0)わけであるが、多量の燃料蒸気が発生する炎天下で
気化しやすいガソリンを使用したときや高地走行時にな
ると、高濃度のパージガスが導入され、これに伴って学
習値の更新を続けたときは学習値αmがオーバーリーン
側の値になる。この状態からパージをカットした直後に
このオーバーリーン側の値になった学習値αmが用いら
れると、空燃比がオーバーリーンとなり、エンジンが不
安定となって走行性や排気性能が悪くなる。
【0005】そこで、濃いパージガスの導入によって学
習値がオーバーリーンの値になってしまわないように、
特開平2−67441号公報の装置では、パージ中は学
習値αmの更新を禁止している。パージ中の学習値の禁
止でパージ中も学習値αmはパージ直前の値に維持さ
れ、この値がパージカットに移行した直後から用いられ
ることになり、パージカット直後に空燃比がオーバーリ
ーンとなることがないのである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
装置のように、パージ中は学習値の更新を禁止する構成
だと、運転条件によっては学習値の更新の機会が著しく
減少する(あるいはまったくなくなる)ことがある。た
とえば、炎天下における渋滞のように気温が高い条件下
で発進と停止を繰り返すときは、停車中にキャニスター
への燃料蒸気のチャージが繰り返されるので、走行中に
可能な限りパージを行おうとすれば、学習値の更新の機
会がなくなるというわけである。一方、学習値の更新の
機会を増やそうとして、パージを行う機会を制限したの
では、上記のような炎天下における渋滞走行時にパージ
が不十分になる。
【0007】このため、炎天下の渋滞運転の前に学習値
が収束しておらず、学習値がかりにオーバーリーン側の
値にあったとすれば、オーバーリーンに伴う排気性能と
運転性の悪化が続いてしまう。なお、空燃比のフィード
バック補正が行われるにしても、その補正係数αの平均
値が収束するまでのあいだは空燃比の制御精度が悪くな
る。
【0008】そこで、ストイキ運転時にパージを行う前
に学習値の更新を禁止した状態でパージバルブを開いて
パージを開始し、パージ前空燃比とパージ開始直後の空
燃比とにもとづいてパージガス濃度を求め、このパージ
ガス濃度に応じたバルブ開度でパージバルブを制御する
とともに、パージガス濃度が所定値以下である場合には
学習値の更新禁止を解除し、所定値を越えたときは学習
値の更新禁止を継続することで、ストイキ運転時のパー
ジ中に大きく誤学習しない範囲で学習の頻度を高めるこ
とができるようになった。
【0009】また、パージ前空燃比とリーン運転時の空
燃比変動許容幅とからリッチ化誤学習許容限界空燃比を
算出し、このリッチ化誤学習許容限界空燃比とパージガ
ス濃度とにもとづいてリッチ化誤学習許容限界空燃比を
与えるパージ率を目標パージ率として算出し、ストイキ
運転時にこの目標パージ率に応じたバルブ開度でパージ
バルブを開かせることで、ストイキ運転時のパージによ
って誤学習したその学習値をリーン運転時にもそのまま
用いた場合に、そのときの目標空燃比よりリーン化した
場合でも、そのリーン化幅がリーン運転時の空燃比変動
許容幅内に収まることになり、リーン運転時にオーバー
リーンで運転状態が不安定となることがないのである。
【0010】しかしながら、サージ限界曲線とNOx排
出量限界線とから定まるリーン運転時の空燃比変動許容
幅は、運転条件により大きく変化するので、この空燃比
変動許容幅がすべての運転域で一定だと、リーン運転時
の運転条件によってはサージ限界やNOx排出量の限界
を越えることがある。たとえば、リーン運転時の空燃比
変動許容幅を低負荷高回転域にあわせて大きく設定した
のでは、高負荷低回転域でサージを生じてしまったり、
NOx排出量が限界を越えてしまう。この逆にリーン運
転時の空燃比変動許容幅を低負荷高回転域にあわせて小
さく設定したのでは、高負荷低回転域で十分なパージを
行うことができない。
【0011】そこでこの発明は、リーン運転時の空燃比
変動許容幅を運転条件信号に応じた可変値で与えること
により、リーン運転時にはすべての運転域でサージ限界
やNOx排出量の限界を越えさせることのないようにす
ることを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】第1の発明は、図1に示
したように、リーン運転条件であるかどうかを判定する
手段31と、この判定結果よりリーン運転条件になると
理論空燃比よりリーン側の値を目標空燃比として、また
リーン運転条件でないストイキ運転時のときは理論空燃
比を目標空燃比として算出する手段32と、学習値αm
を格納するメモリー33と、この学習値αmを運転条件
信号に応じて読み出す手段34と、この読み出した学習
値αmと前記目標空燃比とで運転条件信号に応じた基本
噴射量TPを補正して燃料噴射量を算出する手段35
と、この噴射量の燃料を吸気管に供給する装置36と、
排気中の酸素濃度を検出するセンサー(たとえばO2
ンサーや広域空燃比センサー)37と、このセンサー検
出値にもとづいて前記ストイキ運転時でだけ排気空燃比
が理論空燃比付近に収まるように空燃比フィードバック
補正量αを算出する手段38と、この空燃比フィードバ
ック補正量αにもとづいて前記学習値αmを更新する手
段39と、キャニスターに吸着させた燃料を新気ととも
にパージガスとして吸気管に導入する通路を駆動信号に
応じて開閉するパージバルブ40と、パージ前の空燃比
λaを算出する手段41と、前記ストイキ運転時にパー
ジを行う前に前記学習値更新手段39による学習値の更
新を禁止する手段42と、この学習値の更新が禁止され
た状態で前記パージバルブ40を開いてパージを開始す
る手段43と、このパージ開始直後の空燃比(たとえば
パージ開始のタイミングから所定時間T1内の空燃比最
小値λ′a)を算出する手段44と、このパージ開始直
後の空燃比λ′aと前記パージ前空燃比λaとにもとづ
いてパージガス濃度λpを算出する手段45と、運転条
件信号に応じ、高負荷低回転域で小さく、低負荷高回転
域で大きくなる値をリーン運転時の空燃比変動許容幅D
1として算出する手段46と、このリーン運転時の空燃
比変動許容幅D1と前記パージ前空燃比λaとからリッ
チ化誤学習許容限界空燃比λ″aを算出する手段47
と、このリッチ化誤学習許容限界空燃比λ″aと前記パ
ージガス濃度λpとにもとづいてリッチ化誤学習許容限
界空燃比λ″aを与えるパージ率を目標パージ率Rpと
して算出する手段48と、この目標パージ率Rpに応じ
たバルブ開度PVOTで前記ストイキ運転時に前記パー
ジバルブ40を開かせる手段49と、前記パージガス濃
度λpが所定値λp1以下であるかどうかを判定する手
段50と、この判定結果よりパージガス濃度λpが所定
値λp1以下である場合に前記学習値更新禁止手段42
による更新禁止を解除し、またパージガス濃度λpが所
定値λp1を越えるときは更新禁止を継続する手段51
とを設けた。
【0013】第2の発明は、前記リーン運転時の空燃比
変動許容幅を前記リーン運転時の目標空燃比に応じ、こ
れが大きくなるほど小さくなる側に補正する。
【0014】
【作用】ストイキ運転時にパージ処理を行う前に学習値
の更新を禁止した状態でパージバルブが開かれてパージ
が開始され、パージ前空燃比λaとパージ開始直後の空
燃比とにもとづいてパージガス濃度λpが求められる。
このパージガス濃度λpに応じたパージバルブ開度でパ
ージバルブ27が制御される一方、パージガス濃度λp
が所定値λp1以下である場合に学習値の更新禁止が解
除され、λp>λp1であるときは学習値の更新禁止が
継続されることから、ストイキ運転時のパージ中に学習
値の更新が行われても、大きく誤学習することがなく、
パージ中に学習値が更新される機会が生じて、パージ中
はまったく学習値の更新を禁止する場合より学習の頻度
が高まる。
【0015】また、パージガス濃度λpとリーン運転時
の空燃比変動許容幅D1とからリッチ化誤学習許容限界
空燃比λ″aが、さらにこのリッチ化誤学習許容限界空
燃比λ″aを与えるパージ率が目標パージ率Rpとして
求められ、この目標パージ率Rpに応じたバルブ開度P
VOTでパージバルブが開かれると、学習値の更新禁止
が解除されているときは、誤学習が開始され、学習値が
1−D1に収束していく。
【0016】このため、この誤学習した学習値をリーン
運転時にそのまま用いたときの空燃比誤差はD1以内に
収まることになり、ストイキ運転時に得られた学習値を
リーン運転中にそのまま用いる場合に、空燃比のオーバ
ーリーンで運転状態が不安定となることがない。
【0017】さらに、リーン運転時の空燃比変動許容幅
1が運転条件信号に応じ、低負荷高回転域では大き
く、高負荷低回転域では小さくなる可変値で求められる
と、ストイキ運転時に誤学習した学習値をリーン運転時
にそのまま用いたときの空燃比誤差が運転条件が相違し
てもD1以内に収まることになり、これによって、リー
ン運転時のすべての運転域でサージ限界とNOx排出量
の限界を越えさせることがない。
【0018】第2の発明でリーン運転時の空燃比変動許
容幅がリーン運転時の目標空燃比に応じ、この目標空燃
比が大きくなるほど小さくなる側に補正されると、リー
ン運転時の目標空燃比が相違しても、リーン運転時のす
べての運転域でサージ限界とNOx排出量の限界を越え
させることがない。
【0019】
【実施例】図2において、エアクリーナー3から吸入さ
れた空気は、一定の容積を有するコレクター部2aにい
ったん蓄えられ、ここから分岐管をへて各気筒に流入す
る。各気筒の吸気ポート2bにはインジェクター4が設
けられ、このインジェクター4からエンジン回転に同期
して間欠的に燃料が噴射される。この噴射燃料と空気と
から形成される混合気は、燃焼室内でピストンにより圧
縮され、点火プラグから発する火花の助けをかりて燃焼
する。
【0020】インジェクター4からの噴射時間が長くな
れば噴射量が多くなり、噴射時間が短くなれば噴射量が
少なくなる。混合気の濃さつまり空燃比は、一定量の吸
入空気に対する燃料噴射量が多くなればリッチ側にず
れ、燃料噴射量が少なくなればリーン側にずれる。した
がって、マイクロコンピューターからなるコントロール
ユニット11で吸入空気流量との比が一定値となるよう
に燃料の基本噴射流量を決定してやれば運転条件が違っ
ても同じ空燃比が得られる。燃料の噴射がエンジンの1
回転について1回行われるときは、1回転で吸い込んだ
空気量に対して基本噴射パルス幅TPをそのときの吸入
空気流量とエンジン回転数とから求めるのである。通常
このTpにより決定される空燃比(ベース空燃比といわ
れる)は理論空燃比付近になっている。
【0021】排気管5には燃焼室から排出されるCO,
HC,NOxといった3つの有害成分を処理する触媒
(三元触媒)6が設けられる。触媒6が有害三成分を同
時に効率よく処理できるのは、排気空燃比が理論空燃比
を中心とする狭い範囲にあるときだけである。この範囲
に空燃比を収めるため、コントロールユニット11で
は、触媒6の上流に設けたO2センサー7の出力にもと
づいてインジェクター4からの燃料噴射量をフィードバ
ック補正する。
【0022】さて、バラツキや経時変化によりエアフロ
ーメーターやインジェクターの流量特性が規定値から大
きく外れるなどしてストイキ運転時に空燃比の狂う原因
が発生したときも、フィードバック補正が働くのである
が、空燃比が理論空燃比付近の空燃比に復帰するまでに
多少の時間がかかり、その間は不安定な状態が継続す
る。その後、エンジンを停止するまで正常な状態が維持
されるものの、再始動後の空燃比フィードバック補正条
件になると再びO2センサー7が異常を検出→マイクロ
コンピューターが噴射量を調整する…という、補正のフ
ィードバックサイクルを繰り返す。つまり、エンジンを
再始動するたびに不安定な状態がしばらく発生する。ま
た、始動時、冷却水温の低いときや高負荷時など、空燃
比フィードバック補正が停止される運転条件下では、最
適な空燃比が得られないこともある。
【0023】そこで、ストイキ運転時の空燃比補正の応
答性を向上させるため、コントロールユニット11では
学習制御を行う。この学習機能では、フィードバック補
正の観察により学習制御に必要な補正量(つまり学習値
αm)を得ると、学習値αmは、エンジンが停止されて
も、マイクロコンピューターのバックアップ電源が停止
されない限り覚え続けられるため、再始動時もこの学習
値αmにより最初から適切な増量(減量)補正が行われ
る。
【0024】一方、リーン運転が可能な条件になると、
燃費向上のためコントロールユニット11では、空燃比
目標値を理論空燃比から理論空燃比よりもリーン側の値
に切換えて運転する。
【0025】ここまでのコントロールユニット11での
空燃比制御を流れ図でみてみると、図3はインジェクタ
ー4に与える燃料噴射パルス幅Tiの算出を示す流れ図
で、一定周期(たとえば10msec)で実行する。
【0026】ステップ1では目標燃空比相当量TFBY
Aを TFBYA=KMR+KAS+KTW …(1) ただし、KMR;燃空比補正係数 KAS;始動後増量補正係数 KTW;水温増量補正係数 の式で、またステップ2で基本噴射パルス幅TPを TP=(Qa/NE)×K …(2) ただし、Qa;吸入空気流量 NE;エンジン回転数 K;ベース空燃比を定める定数 の式で計算する。
【0027】エンジンの始動からその直後にかけては空
燃比フィードバック補正を行わず、(1)式の水温増量
補正係数KTWと始動後増量補正係数KASにより燃料
増量して燃焼状態をよくするとともに、排気温度を高め
て触媒6の暖機を促進し、KAS=KTW=0となるエ
ンジンの暖機後には、(1)式の燃空比補正係数KMR
で空燃比を制御するわけである。
【0028】ステップ3では、エンジン回転数NEと基
本噴射パルス幅(エンジン負荷相当量)TPから図4の
マップを参照して、NEとTPが属する学習エリアの学
習値αmを求める。学習値αmのマップには図4に示し
たように多数のエリアが設けられ、区分けされた各エリ
アごとに別々の学習値が入っている。この学習値αm
は、ストイキ運転時およびリーン運転時とも読み出して
使用する。
【0029】ステップ4ではインジェクターに与える燃
料噴射パルス幅Tiを Ti=TP×TFBYA×(α+αm)+TS …(3) ただし、TP;基本噴射パルス幅 TFBYA;目標燃空比相当量 α;空燃比フィードバック補正係数 αm;学習値 TS;無効パルス幅 の式で求め、これをステップ5で出力レジスターに転送
する。
【0030】図5はバックグランドジョブで、これも一
定周期で実行する。
【0031】ステップ11ではリーン運転条件であるか
どうかを判定する。これは、後述する図6のサブルーチ
ンで説明する。
【0032】ステップ12でフラグFLEANの値をみ
て、FLEAN=1であればリーン運転条件にあると判
断してステップ13に進み、図7のリーン運転用マップ
MKMRLを、またFLEAN=0であると、ステップ
14で図8のストイキ運転用マップMKMRSを選択す
る。ストイキ運転用とリーン運転用の2つのマップを運
転条件により切換えるわけである。
【0033】ステップ15ではエンジン回転数NEと基
本噴射パルス幅TPを読み込み、ステップ16でふたた
びフラグFLEANの値をみて、FLEAN=1であれ
ば、ステップ17で図7を内容とするリーン運転用マッ
プMKMRLを参照し、またFLEAN=0であると、
ステップ19で図8のストイキ運転用マップMKMRS
を参照し、その参照した結果を目標燃空比相当量のマッ
プ値を表す変数TKMRに入れる。図7と図8に示した
ように、マップの値は1.0が理論空燃比相当量で、
1.0より値が小さいとリーン側の空燃比となるのであ
る。
【0034】また、ステップ18では、KMRの前回値
から燃空比移行ステップ量ΔKMRを差し引いた値(つ
まりKMR−ΔKMR)と変数TKMRの値とを比較し
て大きいほうを、またステップ20ではKMR+ΔKM
Rと変数TKMRの値とを比較して小さいほうをKMR
の今回値とする。これは、ストイキ運転からリーン運転
への移行期間とリーン運転からストイキ運転への移行期
間とは、図9に示したように、移行前のマップ値からス
テップ量ΔKMRずつ移行後のマップ値へと移行させる
ことで、空燃比切換時の空燃比変化を滑らかにするため
である。
【0035】図6は図5のステップ11のサブルーチン
で、図5の制御周期とは独立に一定周期で実行する。
【0036】アイドルスイッチ、冷却水温TW、基本噴
射パルス幅TP、エンジン回転数NEについて、次の条
件 〈1〉アイドルスイッチがONでないこと(ステップ2
2)、〈2〉TW≧所定値TWLLであること(ステッ
プ24)、〈3〉所定値TPLL≦TP<所定値TPL
Hであること(ステップ26)、〈4〉所定値NELL
≦NE<所定値NELHであること(ステップ28)、
を満足するかどうかみて、すべての条件を満足するとき
は、ステップ29に進んで、リーン運転許可フラグFL
EANを“1”にセットし、1つでも条件を満足しない
ときは、ステップ30でフラグFLEANを“0”にセ
ットする。
【0037】図10は学習値αmの更新を示す流れ図
で、クランク角度の基準信号Refに同期して実行す
る。
【0038】ステップ41では、フラグFLEANの値
をみて、FLEAN=1よりリーン運転時であれば、学
習値αmの更新を行わない。これは、O2センサー7で
はリーン運転時の空燃比を検出できないので、リーン運
転時に空燃比フィードバック補正を行うことができない
ためである。
【0039】FLEAN=0よりストイキ運転時である
ときは、ステップ61に進み、更新許可フラグFKYO
KAをみる。このフラグについては後述するとして、い
まはFKYOKA=1であるとしてステップ42に進
む。
【0040】ステップ42ではエンジン回転数NEと基
本噴射パルス幅TPを読み込み、これらからステップ4
3で学習領域ポインターPLを算出する。学習領域ポイ
ンターは、図11に示したように、学習値のマップと対
応させて各エリアに異なる値を入れたものを考えればよ
い。いまかりに、エンジン回転数NEと基本噴射パルス
幅TPとがそれぞれNE1≦NE<NE2、TP1≦T
P<TP2にあれば(ただしNE1とNE2はエリアを
分ける回転数、TP1とTP2はエリアを分ける基本噴
射パルス幅)、学習領域ポインターPLはPL=5とな
るわけである。この学習領域ポインターPLは、運転条
件が同一の学習エリアにあるかどうかをみるために使う
ものである。
【0041】ステップ44,45,46,47,49で
は次の条件を満足するかどうかをみる。
【0042】〈11〉PL=PL OLDであること。
PL OLDは前回の学習領域ポインターで、PL=P
OLDであれば、運転条件が今回も同じ学習エリア
にあることになる。
【0043】〈12〉TW≧学習開始水温TWLRCで
あること。 〈13〉空燃比フィードバック補正中であること。
【0044】〈14〉(VO 2 OLD−SLO2)・
(SLO2−VO2)>0であること。ここで、VO2
今回のO2センサー出力(排気空燃比がリッチ側にある
ときはほぼ1.0V、リーン側にあるときはほぼ0
V)、VO 2 OLDは前回のO2センサー出力、SLO
2はスライスレベル(ほぼ0.5Vに設定)のことで、
〈14〉の条件成立時とはVO 2 OLD−SLO2
<0かつSLO2−VO2<0のとき(前回はリーンで
今回はリッチのとき)か、またはVO 2 OLD−S
LO2>0かつSLO2−VO2>0のとき(前回はリ
ッチで今回はリーンのとき)である。つまり、〈14〉
の条件成立時とは、リーン側からリッチ側への、またこ
の逆にリッチ側からリーン側への反転時のことである。
【0045】〈15〉CJRC≧NJRCであること。
CJRCは、〈12〉,〈13〉,〈14〉の3つの条
件成立時から1づつ大きくなるカウント値、NJRCは
所定値(たとえば2以上の値)である。〈15〉の条件
は〈11〉から〈14〉の条件がすべて成立してからさ
らに一定時間経過したかどうかをみているわけである。
【0046】上記の〈11〉〜〈13〉の条件のいずれ
かを満たさないときは、ステップ53でカウント値CJ
RCに初期値の0を入れる。
【0047】〈11〉〜〈15〉のすべての条件を満足
する場合に学習条件が成立したと判断し、空燃比フィー
ドバック補正係数αの半周期最小値とαの半周期最大値
とを過去の所定回数NLRCにわたって記憶しておいた
データを用いて、ステップ50でそれらの最小値aと最
大値bとを a=Min(α1,α2,…,αNLRC) …(4) b=Max(α1,α2,…,αNLRC) …(5) の式で求める。たとえば、図12に示したように、半周
期最小値と半周期最大値に交互に順番を振ったとき、最
小値aはα1,α3,…,αi,αNLRCのうちの最も小さ
な値、最大値bはα2,α4,…,αi+1のうちの最も大
きな値である。なお、図12ではノイズ対策のためヒス
テリシスを設けたスライスレベルSLO2を誇張して書
いてあり、実際には図12ほどの段差はない。O2セン
サー出力も斜めに変化するように書いてあるが、実際に
はもっと急変する波形になる。
【0048】上記の所定回数NLRCは上記の所定値N
JRC以下に設定しなければならない。
【0049】ステップ50ではさらに上記(4)と
(5)式の最小値aと最大値bを用いて、空燃比フィー
ドバック補正係数αの平均値ALPAVEを ALPAVE=(a+b)/2 …(6) の式で計算し、ステップ51でこの平均値ALPAVE
学習の中心値1.0の偏差にもとづいて学習値αmを、 αm=αm+G1・(ALPAVE−1.0) …(7) ただし、G1;正の比例定数 の式で更新する。(7)式右辺のαmは学習領域ポイン
ターPLが指し示す学習エリアに入っている学習値で、
(7)式左辺のαmの値を同じ学習エリアに格納するわ
けである。
【0050】たとえば平均値ALPAVEが1.0より小
さい(空燃比平均値がリッチ側にある)とき、学習値α
mが現在より小さい値に修正されると、(3)式により
燃料噴射量が少なくなる方向へ修正され、その結果空燃
比がリッチ側へと戻される。学習が進行するのに伴って
空燃比は理論空燃比に近づき、平均値ALPAVEと学習
の中心値1.0の偏差も小さくなり、学習値αmはある
値に収束する。学習値は、エンジンの停止後もその値が
消失しないように、バッテリーバックアップしておく。
【0051】ステップ52では後処理として、学習領域
ポインターPLとO2センサー出力VO2とをそれぞれ前
回値を表す変数PL OLD、VO 2 OLDに移す。
【0052】一方、図2に戻り、燃料タンク21内で蒸
発した燃料は、エンジンの停止中に通路22を介してキ
ャニスター23に導かれ、キャニスター23内の活性炭
に吸着される。24はキャニスター23から燃料タンク
21への逆流を阻止するチェックバルブである。
【0053】キャニスター23は、スロットルバルブ2
5の下流の吸気管2とも通路26で連通され、この通路
26にステップモーターで駆動される常閉のパージバル
ブ27が設けられる。なお、リニヤソレノイド式のパー
ジバルブでもかまわない。
【0054】一定の条件でコントロールユニット11か
らの信号を受けてパージバルブ27が開かれると、スロ
ットルバルブ25の下流に発達する吸入負圧によりキャ
ニスター23の下部に設けられた新気導入路23aから
新気がキャニスター23内に導かれる。この新気で活性
炭から離脱された蒸発燃料が新気とともに吸気管2にパ
ージされ、燃焼室で燃やされる。
【0055】パージバルブ27と直列に常閉のダイヤフ
ラムアクチュエーター28を設けているのは、パージバ
ルブ27が故障した場合のフェイルセーフのためであ
る。故障によりパージバルブ27が開かれると、エンジ
ンの暖機中などにもパージガスが導入されることになっ
て、混合気がリッチになる。したがって、パージを行わ
ないときは、常閉のダイヤフラムアクチュエーター28
で通路26を遮断しておくことで、パージを行う条件以
外でパージガスが吸気管2に導入されることのないよう
にするのである。
【0056】なお、パージを行う条件でパージカットバ
ルブ29を同時に開き、スロットルバルブ25下流の吸
入負圧を通路30を介してダイヤフラムアクチュエータ
ー28(の負圧作動室)に導くと、この負圧でリターン
スプリングに抗してダイヤフラムが引かれ、通路26が
開かれる。
【0057】さて、パージ中も上記学習値の更新を続け
ると、多量の燃料蒸気が発生する炎天下で気化しやすい
ガソリンを使用したときなどに学習値がオーバーリーン
側の値に更新され、この学習値がパージカット直後にそ
のまま用いられると、空燃比がオーバーリーンとなり、
エンジンの不安定から走行性や排気性能が悪くなる。
【0058】かといって、パージ中は学習値の更新を一
切禁止するのでは、炎天下における渋滞運転などの停車
中にキャニスターにチャージされた大量の燃料蒸気を、
走行中に可能な限りパージを行おうとしたとき、学習値
の更新の機会がほとんどなくなり、渋滞運転の前に学習
値が収束していないとすれば、排気性能と運転性が悪く
なる。
【0059】そこでコントロールユニット11では、ス
トイキ運転時にパージを行うに際してまず学習値の更新
を禁止した状態でパージバルブ27を開いてパージを開
始し、パージ前空燃比λaとパージ開始直後の空燃比と
にもとづいてパージガス濃度λpを求め、このパージガ
ス濃度λpに応じたバルブ開度でパージバルブ27を制
御するとともに、パージガス濃度λpが所定値λp1以
下である場合に学習値の更新禁止を解除し、λp>λp
1であるときは学習値の更新禁止を継続する。これによ
って、大きく誤学習することなく、パージ中はまったく
学習値の更新を禁止する場合より学習の頻度を高めるこ
とができるのである。
【0060】なお、こうした制御に必要となるセンサー
は、通常の空燃比制御に必要となるセンサーと同じで、
2センサー7、クランク角度センサー12、吸入空気
流量に応じた出力をするエアフローメーター13、冷却
水温Twを検出するセンサー14からの信号が、スロッ
トルバルブ開度を検出するセンサ15からの信号ととも
に、マイクロコンピューターからなるコントロールユニ
ット11に入力されている。
【0061】コントロールユニット11ではまた、パー
ジ前空燃比λaとリーン運転時の空燃比変動許容幅とか
らリッチ化誤学習許容限界空燃比λ″aを算出し、この
リッチ化誤学習許容限界空燃比λ″aとパージガス濃度
λpとにもとづいてリッチ化誤学習許容限界空燃比λ″
aを与えるパージ率を目標パージ率Rpとして算出し、
ストイキ運転時にこの目標パージ率Rpに応じたバルブ
開度PVOTでパージバルブを開かせることで、ストイ
キ運転時のパージによって誤学習したその学習値をリー
ン運転時にそのまま用いたためにそのときの目標空燃比
よりリーン化した場合でも、そのリーン化幅がリーン運
転時の空燃比変動許容幅内に収まることになり、リーン
運転時にオーバーリーンで運転状態が不安定となること
がない。
【0062】しかしながら、サージ限界曲線とNOx排
出量限界線とから定まるリーン運転時の空燃比変動許容
幅は、運転条件により大きく変化するので、すべての運
転域で空燃比変動許容幅が一定だと、サージ限界やNO
x排出量の限界を越えることがある。
【0063】これに対処するため、コントロールユニッ
ト11では、リーン運転時の空燃比変動許容幅を運転条
件に応じ、低負荷高回転域では大きく、高負荷低回転域
では小さくなる可変値で求める。
【0064】図13は、パージ処理を示す流れ図で、一
定周期で実行する。なお、パージ処理に入る前提として
ストイキ運転時の空燃比フィードバック補正中でなけれ
ばならない。
【0065】ステップ71では、学習値の更新を禁止す
る処理を行う。たとえば学習許可フラグFKYOKAを
“0”にセットし、その一方で図10の学習値更新フロ
ーにステップ61を加えることによって、FKYOKA
=0のときは、ステップ42以降の学習値の更新に進ま
せないようにするのである。なお、燃料噴射パルス幅T
iを求める際には学習値の更新禁止に関係なく学習値を
用いる。
【0066】ステップ72では、パージバルブを所定開
度で開いてパージを開始し、パージ前の空燃比とパージ
開始直後の所定時間T1内の空燃比最小値λ′aとにも
とづいてパージガス濃度λp、パージガス流量Qpおよ
び目標パージ率Rpを求め、このうちのパージガス濃度
λpとパージガス濃度のリッチ側限界値λp1とをステ
ップ73で比較する。比較の結果、λp≦λp1の場合
にだけステップ74に進んで学習値αmの更新禁止を解
除する(フラグFKYOKA=1とする)。なお、ステ
ップ72の詳細は図16のサブルーチンで後述する。
【0067】これに対して、λp>λp1であるときは
ステップ74を飛ばすことで学習値の更新禁止を解除し
ない。これにより、パージガス濃度λpが高くてパージ
バルブ開度を小さくしても空燃比が大きくリッチ化して
しまう場合の誤学習を防止することができる。
【0068】ステップ75では目標パージ率Rpに応じ
たバルブ開度となるようにパージバルブ27を制御す
る。このステップ75の詳細は図22のサブルーチンで
後述する。
【0069】ステップ76ではこのパージバルブ開度の
制御中に空燃比フィードバック補正係数の平均値αAVE
を αAVE=(αj-1+αj)/2 …(8) ただし、αj;ステップ分付加直前のα αj-1;前回のステップ分付加直前のα の式で求める。たとえば空燃比がリッチ側に反転したタ
イミングで平均値αAVEを求めるときは、図14に示し
たように(8)式のαjとαj-1はそのタイミングから過
去に逆上った半周期最大値と半周期最小値になるわけ
で、平均値αAVEはαの振れの中心値である。
【0070】ステップ77では、平均値αAVEの所定時
間(たとえば図13の制御周期)当たりの変化量δα
AVEを δαAVE=α AVE OLD−αAVE …(9) ただし、α AVE OLD;αAVEの前回値 の式で求める。次回のδαAVEの算出のためステップ7
8では平均値αAVEの値を前回値を表す変数α AVE OL
Dに移す。
【0071】ステップ79と80では次の条件を満たす
かどうかをみる。
【0072】〈21〉PL=PL OLDであること。
つまり運転条件が同一の学習エリアにあることである。
これを条件とするのは、運転条件が変化しているとき
は、次に述べる〈22〉の条件においてパージガス濃度
が所定値以下に下がったかどうかの判断に誤りが生じて
くるからである。
【0073】〈22〉δαAVE≦所定値δαAVE1である
こと。δαAVE≦δαAVE1である場合とは、パージガス
濃度が所定値以下に低くなったときである。パージガス
濃度は、図15に示したようにパージ開始からほぼ1次
遅れで小さくなる(このパージガス濃度に対応して平均
値αAVEも1次遅れで小さくなる)ので、変化量δαA VE
は図15に示した曲線の勾配(Δy/Δx)と等価であ
る。つまり、変化量δαAVEでパージガス濃度の変化量
をとらえているわけである。
【0074】上記の〈21〉と〈22〉の条件のいずれ
かを満たさないときは、ステップ75に戻ってパージを
継続する。
【0075】一方、両方の条件を満足すると、パージガ
ス濃度が所定値以下に下がったと判断し、ステップ81
に進んで、パージバルブ開度を表す変数PVOと制御可
能なパージバルブ開度の最大値PVO MAXとを比較
し、PVO<PVO MAXであるときは、ステップ8
2でパージバルブ27を所定時間T2だけ全閉として空
燃比を安定させた後、図13のステップ71に戻り、前
回よりも増量したバルブ開度でパージバルブを開いてふ
たたびパージガス濃度λp、パージガス流量Qp、目標
パージ率Rpを求め、あらたな目標パージ率Rpに対応
するパージバルブ開度へとパージバルブを制御する。パ
ージガス濃度が所定値以下に下がったときは、パージバ
ルブをいったん閉じ、再びパージバルブを前回よりも増
量したバルブ開度で開くことで、パージガス濃度の算出
精度を高めつつ、パージガス流量を大きくできるわけで
ある。なお、ステップ82の詳細は図23のサブルーチ
ンにより後述する。
【0076】これに対して、PVO≧PVO MAXの
場合は、いったんパージバルブを閉じても制御可能な範
囲で次回にパージバルブ開度を増量できないので、図1
3のフローを終了する。
【0077】なお、ステップ81でPVO≧PVO
AXより図13のフローを終了するといっても、パージ
バルブが開きっぱなしになるわけではない。図13はあ
くまでパージバルブの目標開度を決定する流れ図であ
り、パージバルブの実際の開度制御は図示しない別のフ
ローにしたがって実行される。たとえば、図13のフロ
ー終了後にアイドル中や燃料カット中になると、パージ
バルブが全閉位置に戻される。
【0078】図16は図13のステップ72のサブルー
チンで、図13の制御周期とは独立に一定周期で実行す
る。
【0079】ステップ91でスロットルバルブ開度TV
O、エンジン回転数NE、吸入空気流量Qa、パージ前
の空燃比λaを読み込む。
【0080】ここで、パージ前空燃比λaは、 λa=〔目標空燃比〕・αm・αAVE0 …(10) ただし、αAVE0;パージ前の空燃比フィードバック補
正係数の平均値 の式で求めている。このように計算式を用いてパージ前
空燃比λaを求めるのは、パージ前がリーン運転時のと
きは、O2センサー出力からではリーン運転時の空燃比
を求めることができないからである。
【0081】(10)式の〔目標空燃比〕は 〔目標空燃比〕=〔理論空燃比(≒14.7)〕/TFBYA …(11) ただし、TFBYA;目標燃空比相当量 である。目標燃空比相当量TFBYAは、理論空燃比の
逆数を1とする相対値であるため、目標空燃比に換算す
るには、TFBYAの逆数に理論空燃比である14.7
をかけてやる必要があるのである。
【0082】ステップ92でパージバルブを所定開度P
VO1で開いてパージを開始し、ステップ93ではパー
ジ開始のタイミングから所定時間T1のあいだ連続的に
空燃比を算出し、そのデータの中から空燃比最小値(パ
ージ直後の空燃比)λ′aを拾い出す。
【0083】所定開度PVO1にはあらかじめ確認実験
などにより適切な値を定める。キャニスターへの燃料チ
ャージが想定最大値としたとき、パージによって運転性
に影響をおよぼすほど空燃比がオーバーリッチとなら
ず、かつパージ前後での空燃比段差が検出できる程度に
はリーン化するパージバルブ開度をPVO1とするので
ある。
【0084】なお、ステップ93の詳細は図18のサブ
ルーチンで後述する。また、所定開度PVO1でパージ
バルブを開くには、変数PVO1に入っている初期値か
ら図17を内容とするテーブルを参照して、ステップモ
ーターに与えるステップ数STEPに変換し、これを出
力レジスターに転送してやればよい。
【0085】ステップ94ではスロットルバルブ開度T
VOとエンジン回転数NEからマップを参照して吸入負
圧(スロットルバルブ25の下流の吸気管負圧のこと)
ΔP[Pa]を求める。吸入負圧ΔPの値はすべて正の
値で与え、したがってΔPの値が大きくなるほど大気圧
に近づく値としている。マップの参照で吸入負圧ΔPを
求めるのは、スロットルバルブ下流に吸入負圧センサを
設けていないためである。吸入負圧センサの削減でコス
トを低減できる。
【0086】ステップ95で吸入負圧ΔPと理論式とを
用いてパージガス濃度λpとパージガス流量Qpを求め
る。ステップ95の詳細は図19で後述する。
【0087】ステップ96ではエンジン回転数NEと基
本噴射パルス幅(エンジン負荷相当量)TPとからマッ
プを参照してリーン運転時の空燃比変動許容係数D(0
<D<1)を求める。
【0088】空燃比変動許容係数Dは D=D1/〔リーン運転時の目標空燃比〕 …(31) ただし、D1;リーン運転時の空燃比変動許容幅 の式で表される値であり、Dの値は図21に示したよう
に高回転低負荷ほど大きく、この逆に低回転高負荷ほど
小さくなる。
【0089】このような特性としたのは次の理由によ
る。(31)式の分母の〔リーン運転時の目標空燃比〕
は、 〔リーン運転時の目標空燃比〕=〔理論空燃比〕/TFBYA…(32) ただし、TFBYA;リーン運転時の目標燃空比相当量 であり、リーン運転時の目標燃空比相当量は図7に示し
たように、それほど大きく変化しない値であるから、簡
単にはDの特性はD1そのものの特性にほぼ等しい。
【0090】さてリーン運転時の空燃比変動許容幅D1
は、図20に示したように、制御目標点(制御目標点で
の空燃比が目標空燃比)とサージ限界曲線とのあいだの
幅のことである。リーン運転時の目標空燃比が一定の状
態において、回転数の上昇で吸入空気の流速が上がるほ
ど燃焼室内の空気流動が大きくなり、燃焼が安定化する
ことによってサージ限界空燃比が大きくなるので、サー
ジ限界線が図20においてリーン側にシフトするので、
空燃比変動許容幅D1が大きくなる。一方、負荷が大き
くなるとNOx排出量が多くなり、NOx排出量限界線
が図20においてリーン側にシフトするので、今度はよ
りリーンな空燃比にしなければならなくなり、空燃比変
動許容幅D1が小さくなる。
【0091】この結果、D1の特性は、図21のように
エンジン回転数NEが高く負荷が小さいほど大きく、こ
の逆に回転数NEが低く負荷が大きいほど小さくなるわ
けである。
【0092】一方、(31)式において、〔リーン運転
時の目標空燃比〕が大きくなるほど空燃比変動許容係数
Dを小さくするのは、図20より目標空燃比が大きくな
ると、空燃比変動許容幅が小さくなるからである。リー
ン運転時の目標空燃比は一定でなく、運転条件に応じて
変化するので、これを考慮しているわけである。
【0093】ステップ97ではこの空燃比変動許容係数
Dとパージ前空燃比λaとからリッチ化誤学習許容限界
空燃比λ″aを λ″a=(1−D)・λa …(12) の式で、またこのリッチ化誤学習許容限界空燃比λ″a
を与えるパージ率を目標パージ率Rpとして、 Rp=(λpp・(λa−λ″a))/(λa・(λ″a−λpp)) ただし、λpp;パージガス空燃比 …(13) の式で求める。
【0094】パージのような一時的な空燃比に対する外
乱に対しても、学習値αmを更新することによってその
時点で空燃比が理論空燃比になるように基本噴射パルス
幅TPを補正すると、パージガスの空燃比が非常にリッ
チな場合は学習値αmが小さくなり、燃料噴射量が少な
くなる側に修正される。一方、学習値αmはもともと、
オープン制御時の空燃比精度向上および空燃比フィード
バック補正係数αの収束を速くするためにベース空燃比
を補正することが目的であるから、空燃比フィードバッ
ク補正中かどうかにかかわらず燃料噴射パルス幅Tiの
計算に用いている。このため、O2センサーを使用する
リーンバーンシステムでは、リーン運転中は空燃比はオ
ープン制御となるので、ストイキ運転時に得られた学習
値をリーン運転中に用いることで空燃比の制御精度を必
要程度まで確保することができる。
【0095】しかしながら、その一方でストイキ運転時
にパージを継続したままリーン運転に移行し、空燃比が
オープン制御のままキャニスターの燃料チャージ量がほ
ぼ空になった(パージによるリッチ化分がなくなった)
ときは、学習値を用いているためにかえって空燃比がリ
ーン化することになり、このリーン化の程度が大きい
と、リーン運転時であることもあってエンジンが不安定
になりやすい。
【0096】この場合に、エンジン安定度が許容限界ま
で空燃比がリーン化したとすると(このときの空燃比変
動許容幅がD1)、そのときの学習値αmは1−D1であ
り、学習値αmが1−D1となるときの空燃比(つまり
リッチ化誤学習許容限界空燃比λ″a)は、(12)式
で与えられる。
【0097】リーン運転時にエンジン安定度が許容限界
まで空燃比がリーン化したときの学習値αmが1−D1
になる理由は次の通りである。ストイキ運転時において
パージ前の目標空燃比をΛa、パージガスを導入し、か
つ空燃比学習制御を行わないときの空燃比をΛ″aと
し、両者の関係を Λ″a=k・Λa=(1−D0)・Λa … ただし、k;定数 D0;定数(0<D0<1) とすると、パージガスの導入で空燃比が(1−D0)倍
に濃くなる。空燃比をΛ″aからパージガス導入前の値
であるΛaに戻すためには、基本噴射パルス幅TPを
(1−D0)倍にして供給燃料量を少なくする必要があ
る。したがって、空燃比学習制御により燃料噴射量を補
正することを考えると、学習が十分に進んだときの学習
値αmは αm=1−D0 … となっているはずである。
【0098】ここで、上記の空燃比Λ″aは Λ″a=(Qa+Qp)/(Qa/Λa+Qp/λpp) … ただし、Qa;パージガスを含まない吸入空気流量 Qp;パージガス流量 λpp;パージガス空燃比 の式によっても表すことができる。なお、式右辺の分
母中、Qa/Λaはインジェクターから供給される燃料
流量、Qp/λppはパージガス中の燃料流量である。
【0099】また、学習値が収束したときの空燃比はパ
ージガスの導入前の空燃比Λaになっているので、 Λa=(Qa+Qp)/(αm・Qa/Λa+Qp/λpp) … の式が成立する。
【0100】では、学習値が上記の1−D0のままで変
化せずパージだけが進行し(リーン運転時は空燃比フィ
ードバック補正できないことにより学習値が更新され
ず、パージだけが進行する)、パージガス空燃比が無限
大になった(つまりQp/λpp≒0)とすると、その
ときの空燃比Λatは、式より Λat≒(Qa+Qp)/(αm・Qa/Λa) =(Λa/αm)・(1+Qp/Qa) =(Λa/(1−D0))・(1+Qp/Qa) … の式で与えられる。
【0101】この式において、通常はD0≪1,Qp
≪Qaであるので、 Λat≒Λa/(1−D0) ≒(1+D0)・Λa … となり、目標空燃比ΛaよりD0だけリーン化すること
がわかる。
【0102】したがって、D0としてリーン運転時の空
燃比変動許容幅D1を与えれば、リーン運転時に空燃比
変動幅がD1になるときの学習値αmは式より1−D1
となるのである。
【0103】また、上記の(13)式は次のようにして
導いたものである。いま、含まれる燃料量を考えれば、 (Qa+Qp)/λ=Qa/λa+Qp/λpp …(14) ただし、Qa;吸入空気流量(パージガスは含まない) Qp;パージガス流量 λ;パージガスを含んだ吸入空気の総空燃比 λa;パージ前空燃比 λpp;パージガス空燃比 の式が成立する。
【0104】(14)式を総空燃比λについて整理す
る。 λ=λa・λpp(Qa+Qp)/(λa・Qp+λpp・Qa) =λa・λpp(1+Qp/Qa)/(λa・Qp/Qa+λpp) …(15)
【0105】ここで、パージガスを導入した結果、リッ
チ化誤学習許容限界空燃比λ″aを与えるパージ率を目
標パージ率Rpとしたいので、総空燃比λがリッチ化誤
学習許容限界空燃比λ″aに等しいときのパージ率(つ
まりQp/Qa)が目標パージ率Rpになる。
【0106】そこで、(15)式において、λ=λ″
a、Qp/Qa=Rpとおくと、 λ″a=λa・λpp(1+Rp)/(λa・Rp+λpp)…(16) であり、(16)式を目標パージ率Rpについて整理す
ると、上記の(13)式を得ることができる。
【0107】ステップ98では、変数PVO1の値に一
定値ΔPVO1を加えた値をあらためて変数PVO1に
入れる。これによって、パージガス濃度の低下でいった
んパージバルブを閉じた後にステップ92に進んでパー
ジを再開するときは、パージ再開時のバルブ開度が前回
のパージ開始時より大きくなる。このようにパージを再
開するときのパージバルブ開度を増加させるのは、パー
ジが進んでパージガス濃度λpが低くなってくると、パ
ージガス濃度λpの算出精度が落ちてしまうので、パー
ジ再開時のパージガス濃度λpの算出精度を高めるため
とパージ率をあげるためである。
【0108】図18は図16のステップ93のサブルー
チンで、一定周期で実行する。
【0109】ここでは、空燃比フィードバック補正係数
の平均値αAVEの所定時間T1当たりの最小値を求め、
この最小値に対する空燃比を空燃比最小値λ′aとして
求める。
【0110】ステップ101でタイマ値TMT1に所定
時間(固定値)T1をセットする。
【0111】ステップ102で(VO 2 OLD−SL
O2)・(SLO2−VO2)の値をみて、(VO 2
LD−SLO2)・(SLO2−VO2)>0であれ
ば、反転時と判断してステップ103に進み、空燃比フ
ィードバック補正係数の平均値αAVEを、上記の(8)
式と同じに αAVE=(αj-1+αj)/2 …(17) の式で求め、ステップ104でこの平均値αAVEと変数
αAVEminの値を比較して、両者の小さいほうを変数
αAVEminに入れなおす。
【0112】(VO 2 OLD−SLO2)・(SLO
2−VO2)≦0であるときは、反転時でないためステ
ップ103,104を飛ばし、ステップ105では、反
転時と反転時でないときとにかかわらず、タイマ値TM
T1を TMT1=TMT1−Δt …(18) ただし、Δt;図18の制御周期 の式でデクリメントする。
【0113】ステップ106でデクリメントしたタイマ
値TMT1と0を比較し、TMT1>0であるあいだス
テップ102〜105を繰り返すと、TMT1≦0とな
ったタイミングで変数αAVEminに入っている値が平
均値αAVEの所定時間T1当たりの最小値になるので、
TMT1≦0となったタイミングでステップ107に進
み、空燃比最小値λ′aを λ′a=λa・αAVEmin/αAVE0 …(19) ただし、λa;パージ前の空燃比 αAVE0;パージ前の空燃比フィードバック補正係数の
平均値 の式で求める。
【0114】図19は図16のステップ95のサブルー
チンで、一定周期で実行する。
【0115】パージガス流量Qpはパージガス濃度λp
の関数であり、またパージガス濃度λpを求めるにはパ
ージガス流量Qpが必要である。そこで、仮のパージガ
ス濃度を表す変数λp0に初期値(固定値)λp01を代
入し、これからパージガス流量Qpを求め、このパージ
ガス流量Qpよりパージガス濃度λpを求める。このパ
ージガス濃度λpと変数λp0との差が所定値以内に収
まるまで、パージガス濃度λpを変数λp0に代入し、
再びパージガス濃度λp0からパージガス流量Qpを求
め、…という計算をサイクリックに繰り返すことで、パ
ージガス濃度λpとパージガス流量Qpを求めることが
できる。
【0116】まず、ステップ111で仮のパージガス濃
度を表す変数λp0に初期値λp01を入れ、ステップ1
12で変数λp0の値を用いてパージガス密度ρ[g/
litre]を ρ=(28.95×λp0+68.0) ×{273.15/(273.15+t)} /{22.4×(λp0+1)} …(20) ただし、28.95;空気の分子量 68.0;ガソリン気体の平均分子量 22.4;気体1molの標準状態での体積[litr
e] 273.15;絶対零度[K] t;ガソリン気体の温度(≒40)[℃] の式で求め、このパージガス密度ρからステップ113
でパージガス流量Qp[litre/min]を Qp=A・Cq・ε・(2ΔP/ρ)1/2・60×10-3 …(21) ただし、A;パージバルブ開口面積[mm2] Cq;オリフィス流量係数(≒0.7) ΔP;吸入負圧[Pa] 60×10-3;litreへの換算値 の式で求める。
【0117】(21)式のεは ε=1−(3/(4×κ))・(ΔP/P0) …(22) ただし、κ;比熱比(=1.4) P0;大気圧[Pa] である。(21)式のパージバルブ開口面積Aは、後述
する図20のステップ123と同様に、変数PVO1か
らテーブルを参照して求める。
【0118】ステップ114ではパージガス流量Qpか
らパージガス濃度λpを λp=λa・λ′a・Qp/(λa・(Qa+Qp)−λ′a・Qa) …(23) の式で求める。(23)式は、前述の(14)式の総空
燃比λにパージ前空燃比λ′aを代入した式を変形して
得ることができる。
【0119】ステップ115では(23)式で得たパー
ジガス濃度λpと変数λp0の差の絶対値|λp−λp0
|と所定値Δλp1とを比較し、|λp−λp0|>Δ
λp1であれば、今回得たパージガス濃度λpはまだ真
の値に近くないと判断し、ステップ116に進んで変数
λp0に(23)式のパージガス濃度λpを入れてステ
ップ112〜114を繰り返し、|λp−λp0|≦Δ
λp1となったタイミングで今回得たパージガス濃度λ
pは真の値から許容できるレベルになったと判断し、パ
ージガス濃度λpとパージガス流量Qpの算出を終了す
る。
【0120】図22は、図13のステップ75のサブル
ーチンで、一定周期で実行する。
【0121】ステップ121で目標パージ率Rpから目
標パージガス流量QpTを QpT=Qa×Rp …(24) の式で、この目標パージガス流量QpTからステップ1
22で目標パージバルブ開口面積AT[mm2]を AT=QpT /(Cq・ε・(2ΔP/ρ)1/2・60×10-3) …(25) の式で、この目標パージバルブ開口面積ATからステッ
プ123でテーブルを参照して目標パージバルブ開度P
VOTを求める。
【0122】ステップ124ではパージバルブ開度を目
標パージバルブ開度PVOTに調整する。たとえば、目
標パージバルブ開度PVOTから図17を内容とするテ
ーブルを参照してステップ数STEPに変換し、これを
出力レジスターに転送すればよい。
【0123】図23は図13のステップ82のサブルー
チンである。
【0124】ステップ131でタイマ値TMT2に所定
時間T2をセットする。ステップ132でパージバルブ
を全閉にした後、ステップ133でタイマ値TMT2を TMT2=TMT2−Δt …(26) ただし、Δt;図21の制御周期 の式でデクリメントする。このデクリメントしたタイマ
値TMT2と0をステップ133で比較し、TMT1>
0であるあいだステップ133のデクリメントを繰り返
し、TMT2≦0となったタイミングで終了する。
【0125】上記の所定時間T2は、想定される最大の
パージ率でかつキャニスターのチャージ量が最大のとき
にパージしている状態からパージをカットした場合に空
燃比が安定するまでの時間で、あらかじめ確認実験など
により適切な値(固定値)を定める。
【0126】ここで、この例の作用を図24を参照しな
がら説明すると、図24の時間軸(横軸)tのスケール
は図14の時間軸tのスケールを10倍程度大きくした
もので、上段はパージバルブ開度を、下段は空燃比フィ
ードバック補正係数の平均値αAVEの各変化を示してい
る。
【0127】ストイキ運転時に初めてパージ処理を行う
に際しては、学習値の更新を禁止した状態でパージバル
ブが所定開度PVO1で開かれてパージが開始され(時
刻t1のタイミング)、パージ前空燃比λaとパージ開
始のタイミングから所定時間T1内の空燃比最小値λ′
aとにもとづいてパージガス濃度λpが求められる。こ
のパージガス濃度λpに応じたパージバルブ開度でパー
ジバルブ27が制御される一方、パージガス濃度λpが
所定値λp1以下である場合に学習値の更新禁止が解除
され、λp>λp1であるときは学習値の更新禁止が継
続されることから、ストイキ運転時のパージ中に学習値
の更新が行われても、大きく誤学習することがなく、パ
ージ中に学習値が更新される機会が生じて、パージ中は
まったく学習値の更新を禁止する場合より学習の頻度が
高まる。
【0128】また、パージガス濃度λpとリーン運転時
の空燃比変動許容幅D1とからリッチ化誤学習許容限界
空燃比λ″aが、さらにこのリッチ化誤学習許容限界空
燃比λ″aを与えるパージ率が目標パージ率Rpとして
求められ、この目標パージ率Rpに応じたバルブ開度P
VOTでパージバルブが開かれると(時刻t2のタイミン
グ)、学習値の更新禁止が解除されているときは、誤学
習が開始され、学習値が1−D1に収束していく。
【0129】このため、この誤学習した学習値をリーン
運転時にそのまま用いたときの空燃比誤差はD1以内に
収まることになり、ストイキ運転時に得られた学習値を
リーン運転中にそのまま用いる場合に、空燃比のオーバ
ーリーンで運転状態が不安定となることがない。
【0130】さらに、リーン運転時の空燃比変動許容幅
1が回転数NEと負荷(基本噴射パルス幅TP)に応
じ、低負荷高回転域では大きく、高負荷低回転域では小
さくなる可変値で求められると、ストイキ運転時に誤学
習した学習値をリーン運転時にそのまま用いたときの空
燃比誤差が運転条件が相違しても許容幅D1以内に収ま
ることになり、これによって、リーン運転時のすべての
運転域でサージ限界とNOx排出量の限界を越えさせる
ことがない。
【0131】さらにまた、リーン運転時の空燃比変動許
容幅D1がリーン運転時の目標空燃比に応じ、この目標
空燃比が大きくなるほど小さくなる側に補正され、その
補正された値(つまり空燃比変動許容係数D)が用いら
れることから、リーン運転時の目標空燃比が相違して
も、リーン運転時のすべての運転域でサージ限界とNO
x排出量の限界を越えさせることがない。
【0132】
【発明の効果】第1の発明では、リーン運転条件である
かどうかを判定する手段と、この判定結果よりリーン運
転条件になると理論空燃比よりリーン側の値を目標空燃
比として、またリーン運転条件でないストイキ運転時の
ときは理論空燃比を目標空燃比として算出する手段と、
学習値を格納するメモリーと、この学習値を運転条件信
号に応じて読み出す手段と、この読み出した学習値と前
記目標空燃比とで運転条件信号に応じた基本噴射量を補
正して燃料噴射量を算出する手段と、この噴射量の燃料
を吸気管に供給する装置と、排気中の酸素濃度を検出す
るセンサーと、このセンサー検出値にもとづいて前記ス
トイキ運転時でだけ排気空燃比が理論空燃比付近に収ま
るように空燃比フィードバック補正量を算出する手段
と、この空燃比フィードバック補正量にもとづいて前記
学習値を更新する手段と、キャニスターに吸着させた燃
料を新気とともにパージガスとして吸気管に導入する通
路を駆動信号に応じて開閉するパージバルブと、パージ
前の空燃比を算出する手段と、前記ストイキ運転時にパ
ージを行う前に前記学習値更新手段による学習値の更新
を禁止する手段と、この学習値の更新が禁止された状態
で前記パージバルブを開いてパージを開始する手段と、
このパージ開始直後の空燃比を算出する手段と、このパ
ージ開始直後の空燃比と前記パージ前空燃比とにもとづ
いてパージガス濃度を算出する手段と、運転条件信号に
応じ、高負荷低回転域で小さく、低負荷高回転域で大き
くなる値をリーン運転時の空燃比変動許容幅として算出
する手段と、このリーン運転時の空燃比変動許容幅と前
記パージ前空燃比とからリッチ化誤学習許容限界空燃比
を算出する手段と、このリッチ化誤学習許容限界空燃比
と前記パージガス濃度とにもとづいてリッチ化誤学習許
容限界空燃比を与えるパージ率を目標パージ率として算
出する手段と、この目標パージ率に応じたバルブ開度で
前記ストイキ運転時に前記パージバルブを開かせる手段
と、前記パージガス濃度が所定値以下であるかどうかを
判定する手段と、この判定結果よりパージガス濃度が所
定値以下である場合に前記学習値更新禁止手段による更
新禁止を解除し、またパージガス濃度が所定値を越える
ときは更新禁止を継続する手段とを設けたので、ストイ
キ運転時のパージ中に大きく誤学習しない範囲で学習の
頻度を高めるとともに、ストイキ運転時に得られた学習
値をリーン運転時にそのまま用いる場合に、リーン運転
時のエンジンの安定性を保ちつつ、リーン運転時のすべ
ての運転域でサージ限界とNOx排出量の限界を越えさ
せないようすることができる。
【0133】第2の発明は、前記リーン運転時の空燃比
変動許容幅を前記リーン運転時の目標空燃比に応じ、こ
れが大きくなるほど小さくなる側に補正するので、リー
ン運転時の目標空燃比が相違しても、リーン運転時のす
べての運転域でサージ限界とNOx排出量の限界を越え
させることがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の発明のクレーム対応図である。
【図2】一実施例の制御システム図である。
【図3】燃料噴射パルス幅Tiの算出を説明するための
流れ図である。
【図4】学習エリアを説明するための領域図である。
【図5】燃空比補正係数KMRの算出を説明するための
流れ図である。
【図6】リーン運転の許可判定を説明するための流れ図
である。
【図7】リーン運転用マップの特性図である。
【図8】ストイキ運転用マップの特性図である。
【図9】目標空燃比の切換時の燃空比補正係数KMRの
変化波形図である。
【図10】学習値αmの更新を説明するための流れ図で
ある。
【図11】学習領域ポインターを説明するための領域図
である。
【図12】学習値αmの更新を説明するための波形図で
ある。
【図13】パージ処理を説明するための流れ図である。
【図14】空燃比フィードバック補正係数αの平均値α
AVEの算出を説明するための波形図である。
【図15】パージガス濃度の変化波形図である。
【図16】パージガス濃度λp、パージガス流量Qp、
目標パージ率Rpの算出を説明するための流れ図であ
る。
【図17】パージバルブ開度に対するステップ数STE
Pの特性図である。
【図18】パージ開始タイミングから所定時間T1内の
空燃比最小値λ′aの算出を説明するための流れ図であ
る。
【図19】パージガス濃度λpとパージガス流量Qpの
理論的な算出を説明するための流れ図である。
【図20】リーン運転時の空燃比変動許容幅の特性図で
ある。
【図21】空燃比変動許容係数Dのマップの特性図であ
る。
【図22】パージバルブ開度の制御を説明するための流
れ図である。
【図23】パージバルブの一時的な全閉を説明するため
の流れ図である。
【図24】前記実施例の作用を説明するための波形図で
ある。
【符号の説明】
4 インジェクター(燃料供給装置) 6 触媒 7 O2センサー(酸素濃度センサー) 11 コントロールユニット 12 クランク角度センサー 13 エアフローメーター 23 キャニスター 27 パージバルブ 31 リーン運転条件判定手段 32 目標空燃比算出手段 33 学習値メモリー 34 学習値読出手段 35 燃料噴射量算出手段 36 燃料供給装置 37 酸素濃度センサー 38 空燃比フィードバック補正量算出手段 39 学習値更新手段 40 パージバルブ 41 パージ前空燃比算出手段 42 更新禁止手段 43 パージ開始手段 44 パージ直後空燃比算出手段 45 パージガス濃度算出手段 46 空燃比変動許容幅算出手段 47 リッチ化誤学習許容限界空燃比算出手段 48 目標パージ率算出手段 49 開弁手段 50 判定手段 51 禁止解除・継続手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI F02D 45/00 340 F02D 45/00 340D 364 364K

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】リーン運転条件であるかどうかを判定する
    手段と、 この判定結果よりリーン運転条件になると理論空燃比よ
    りリーン側の値を目標空燃比として、またリーン運転条
    件でないストイキ運転時のときは理論空燃比を目標空燃
    比として算出する手段と、 学習値を格納するメモリーと、 この学習値を運転条件信号に応じて読み出す手段と、 この読み出した学習値と前記目標空燃比とで運転条件信
    号に応じた基本噴射量を補正して燃料噴射量を算出する
    手段と、 この噴射量の燃料を吸気管に供給する装置と、 排気中の酸素濃度を検出するセンサーと、 このセンサー検出値にもとづいて前記ストイキ運転時で
    だけ排気空燃比が理論空燃比付近に収まるように空燃比
    フィードバック補正量を算出する手段と、 この空燃比フィードバック補正量にもとづいて前記学習
    値を更新する手段と、 キャニスターに吸着させた燃料を新気とともにパージガ
    スとして吸気管に導入する通路を駆動信号に応じて開閉
    するパージバルブと、 パージ前の空燃比を算出する手段と、 前記ストイキ運転時にパージを行う前に前記学習値更新
    手段による学習値の更新を禁止する手段と、 この学習値の更新が禁止された状態で前記パージバルブ
    を開いてパージを開始する手段と、 このパージ開始直後の空燃比を算出する手段と、 このパージ開始直後の空燃比と前記パージ前空燃比とに
    もとづいてパージガス濃度を算出する手段と、 運転条件信号に応じ、高負荷低回転域で小さく、低負荷
    高回転域で大きくなる値をリーン運転時の空燃比変動許
    容幅として算出する手段と、 このリーン運転時の空燃比変動許容幅と前記パージ前空
    燃比とからリッチ化誤学習許容限界空燃比を算出する手
    段と、 このリッチ化誤学習許容限界空燃比と前記パージガス濃
    度とにもとづいてリッチ化誤学習許容限界空燃比を与え
    るパージ率を目標パージ率として算出する手段と、 この目標パージ率に応じたバルブ開度で前記ストイキ運
    転時に前記パージバルブを開かせる手段と、 前記パージガス濃度が所定値以下であるかどうかを判定
    する手段と、 この判定結果よりパージガス濃度が所定値以下である場
    合に前記学習値更新禁止手段による更新禁止を解除し、
    またパージガス濃度が所定値を越えるときは更新禁止を
    継続する手段とを設けたことを特徴とするエンジンの蒸
    発燃料処理装置。
  2. 【請求項2】前記リーン運転時の空燃比変動許容幅を前
    記リーン運転時の目標空燃比に応じ、これが大きくなる
    ほど小さくなる側に補正することを特徴とする請求項1
    に記載のエンジンの蒸発燃料処理装置。
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