JP3003315B2 - 光学活性なアルコールの製造法 - Google Patents

光学活性なアルコールの製造法

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JP3003315B2
JP3003315B2 JP3223035A JP22303591A JP3003315B2 JP 3003315 B2 JP3003315 B2 JP 3003315B2 JP 3223035 A JP3223035 A JP 3223035A JP 22303591 A JP22303591 A JP 22303591A JP 3003315 B2 JP3003315 B2 JP 3003315B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は光学活性なアルコールの
製造法に関する。より詳しくは、下記式 化9で示され
る光学活性なアルコールの製造法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】下記式
化9で示されるアルコールは優れた有害生物防除活性
を有するエーテル化合物の重要なアルコール成分として
知られている。(特開昭60-215671 号公報) また、こ
のエーテル化合物としての有害生物防除活性は(S)−
体がラセミ体あるいは(R)−体に比し数倍優れている
ことも知られている。従って、一方の光学異性体である
下記式 化9で示されるアルコールの実用的製造法の開
発が望まれている。従来、酵素の不斉加水分解作用など
の生体の不斉識別能力を利用して分割する方法が特開昭
60-176592 号公報に記載されているが、この方法におい
ては一方の光学異性体のアルコールと共にほぼ同量のア
ルコールとは反対の立体配置を有するアルコール誘導体
の生成を伴うことになり、効率のよい分離設備の必要性
から工業的な観点からは必ずしも充分とは言えない。
【0003】
【課題を解決するための手段】このような状況の下に、
本発明者らは下記一般式化9で示される光学活性なアル
コールの製造法につき種々検討していく中で、光学活性
なアルコールと該アルコールとは反対の立体配置を有す
るアルコールのカルボン酸エステルとの混合物を特定の
反応試剤と反応させたものを、加水分解することによ
り、一方の立体配置を有するアルコールが効率よく得ら
れることを見いだし本発明を完成するに至った。即ち、
本発明は一般式 化7
【化7】 〔式中、R1 はハロゲン原子で置換されていてもよい低
級アルキル基を表わすか、またはパラ位にメチル基もし
くはハロゲン原子を有していてもよいフェニル基を表わ
し、*は不斉炭素を表わす。〕で示される光学活性なス
ルホン酸エステルと、該スルホン酸エステルとは逆の立
体配置を有する一般式 化8
【化8】 〔式中、R2 は低級アルキル基を表わし、**は不斉炭
素を表わす。〕で示される光学活性なカルボン酸エステ
ルとの混合物を加水分解することを特徴とする、上記一
般式 化7で示されるスルホン酸エステルとは逆の立体
配置を有する式 化9
【化9】 〔式中、**は不斉炭素を表わす。〕で示される光学活
性なアルコールの製造法を提供する。さらに本発明は、
式 化10
【化10】 〔式中、*は不斉炭素を表わす。〕で示される光学活性
なアルコールと、該アルコールとは逆の立体配置を有す
る一般式 化8で示される光学活性なカルボン酸エステ
ルとの混合物に、一般式 化11
【化11】 〔式中、R1 はハロゲン原子で置換されていてもよい低
級アルキル基を表わすか、またはパラ位にメチル基もし
くはハロゲン原子を有していてもよいフェニル基を表わ
す。Xはクロル原子またはブロム原子を表す。〕で示さ
れるスルホン酸ハライドを作用させ、上記一般式 化1
0と同じ立体位置を有する一般式 化7で示される光学
活性なスルホン酸エステルと、上記一般式化8で示され
る光学活性なカルボン酸エステルとの混合物に導いた
後、該混合物を加水分解することを特徴とする、前記式
化10とは逆の立体配置を有する式 化9で示される
光学活性なアルコールの製造法、ならびに、一般式 化
12
【化12】 〔式中、R2 は低級アルキル基を表わす。〕で示される
ラセミのカルボン酸エステルに、微生物が生産するエス
テラーゼまたは動物膵臓エステラーゼを作用させてこれ
を不斉加水分解して 式 化10で示される光学活性な
アルコールと、該アルコールとは逆の立体配置を有する
一般式化8で示される光学活性なカルボン酸エステルと
の混合物に導き、次いで、該混合物に一般式 化11で
示されるスルホン酸ハライドを作用させ、上記一般式化
10と同じ立体配置を有する一般式 化7で示される光
学活性なスルホン酸エステルと、上記一般式 化8で示
される光学活性なカルボン酸エステルとの混合物に導い
た後、該混合物を加水分解することを特徴とする、前記
一般式 化10とは逆の立体配置を有する式 化9で示
される光学活性なアルコールの製造法を提供する。化7
および化11におけるR1 としては、例えば、メチル
基、エチル基、クロルメチル基、フェニル基、p−メチ
ルフェニル基、p−クロルフェニル基が挙げられる。化
8および化12におけるR2 としては、例えば、メチル
基、エチル基、プロピル基、ブチル基が挙げられる。本
発明によれば、エステラーゼによる光学分割法において
副生する一方の光学異性体のカルボン酸エステルを分離
することなく、直接、逆の立体配置を有する式 化9で
示されるアルコールに能率よく変換されることから、式
化9で示される光学活性なアルコールを工業的規模に
おいても有利に製造することができる。以下に、本発明
につき詳しく説明する。
【0004】一般式 化7で示される光学活性なスルホ
ン酸エステルと、一般式化8で示される光学活性なカル
ボン酸エステルとの混合物の加水分解反応は、中性条
件、酸性条件または塩基性条件で行うことができるが、
反応速度およびラセミ化防止などの観点から弱酸性条件
または弱塩基性条件で行うのが好ましい。用いられる試
剤としては、酸性条件では、硫酸、硝酸等の鉱酸あるい
はスルホン酸類等があげられ、塩基性条件では、炭酸カ
リウム、水酸化ナトリウム、アンモニア等の無機塩基あ
るいは酢酸ナトリウム等の有機塩基等があげられる。な
お、該加水分解反応は常に同条件を保つ必要はなく、加
水分解反応の進行状況に応じて条件を変更することも可
能である。反応温度の範囲は通常0〜100℃である。
また該加水分解反応においては、水以外に有機溶媒の使
用は必須ではないが、必要に応じて、例えばテトラヒド
ロフラン、ジオキサンなどの脂環式エーテル類、アセト
ン、メチルエチルケトンなどの低級脂肪族ケトン類、ジ
メチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどの非プ
ロトン性極性溶媒などの、水と相互に溶解し合う有機溶
媒を併用することもできる。また、適当な緩衝液を使用
することもできる。反応後の反応液は必要に応じて中
和、濃縮した後、有機溶媒による抽出などの通常の手段
により、容易に目的の式 化9で示される光学活性なア
ルコールを得ることができる。尚、必要に応じ、シリカ
ゲルクロマトグラフィー等によりさらに精製することも
できる。
【0005】式 化10で示される光学活性なアルコー
ルと一般式 化8で示される光学活性なカルボン酸エス
テルとの混合物を、一般式 化7で示される光学活性な
スルホン酸エステルと上記一般式 化8で示される光学
活性なカルボン酸エステルとの混合物に導くに際して用
いられる一般式 化11で示されるスルホン酸ハライド
としては、入手のしやすさの点から通常メタンスルホン
酸クロリド、p−トルエンスルホン酸クロリドが使用さ
れる。これらのスルホン酸ハライドの使用量は特に制限
されるものではなく、式 化10で示される光学活性な
アルコール1モルに対し1モル以上あればよいが、通常
1〜2モルで充分目的が達成される。また、該反応にお
いて脱ハロゲン化水素剤として三級アミンの存在下に行
うことが好ましく、そのような三級アミンとしてはトリ
エチルアミン等のようなトリアルキルアミンやピリジン
等のような芳香族アミンを挙げることができ、その使用
量は、用いるスルホン酸ハライド1モルに対して通常1
〜1.5モルである。該反応は、通常不活性な有機溶媒中
で行われ、そのような溶媒としては、ジエチルエーテ
ル、エチレングリコールジメチルエーテルなどの鎖状エ
ーテル類、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどの脂環
式エーテル類、アセトン、メチルエチルケトンなどの低
級脂肪族ケトン類、トルエン、キシレンなどの芳香族炭
化水素類、ジクロロエタン、四塩化炭素などのハロゲン
化炭化水素類などの有機溶媒が挙げられる。反応温度の
範囲は、通常−40〜30℃である。上記のようにして
反応させた後の反応液を必要に応じて濃縮した後、有機
溶媒による抽出などの通常の手段により反応後の生成物
を取り出し、次の加水分解に用いることができる。
【0006】一般式 化12で示されるラセミのカルボ
ン酸エステルに、微生物が生産するエステラーゼあるい
は動物膵臓エステラーゼを作用させ、これを式 化10
で示される光学活性なアルコールと一般式 化8で示さ
れるカルボン酸エステルとに不斉加水分解するに際し、
使用に供される微生物由来のエステラーゼを生産する微
生物は、一般式 化12で示されるラセミのカルボン酸
エステルを不斉加水分解する能力を有するエステラーゼ
を生産する微生物であればよく、特に限定されるもので
はない(ここでエステラーゼとはリパーゼを含む広義の
エステラーゼを意味する。)このような微生物の具体例
としては、シュードモナス(Pseudomonas)属、クロモバ
クテリウム (Chromobacterium)属、アルスロバクター
(Arthrobacter) 属、アルカリゲネス (Alcaligenes)
属、キャンディダ (Candida)属、アクロモバクター (Ac
hromobacter)属、ノカルディア (Nocardia) 属、フラボ
バクテリウム(Flavobacterium) 属、トルロプシス (Tol
ulopsis) 属、ブレビバクテリウム (Brevibacterium)
属、バチルス (Bacillus) 属、エスケリシア (Escheric
hia)属、ミクロコッカス (Micrococcus)属、ハンセヌラ
(Hansenula)属、ムコール (Mucor)属に属する微生物が
挙げられる。これらの各属に属する代表的な菌株名を下
記に例示するが、本発明に用いられる微生物はこれらの
例示に限定されるものではない。 (1) ノカルディア・エリスロポリス IFO−12682 及び Nocardia erythroporis IFO−12320 (2) アルスロバクター・シンプレックス IFO−12069 Arthrobacter simplex (3) フラボバクテリウム・アルボレッセンス IFO− 3750 Flavobacterium arborescens (4) トルロプシス・キャンディダ IFO− 0380 Torulopsis candida (5) ブレビバクテリウム・アンモニアゲネス IFO−12072 Brevibacterium ammoniagenes (6) バチルス・リケニホルミス IFO−12197 Bacillus licheniformis (7) バルチス・スフェリカ IFO− 3528 Bacillus sphaelicus (8) エスケリシア・コリ IFO− 3301 Escherichia coli (9) ハンセヌラ・サチェルヌス IFO− 0117 Hansenula saturnus (10) ミクロコッカス・バリアンス IFO− 3765 Micrococcus varians (11) クロモバクテリウム・ビスコサム ATCC−6918 Chromobacterium viscosum (12) シュードモナス・フルオレッセンス IFO− 3081 Pseudomonas fluorescens (13) アルスロバクター・ウレアファシエンス ATCC−7562 Arthrobacter ureafaciens (14) アルカリゲネス・フェーカリス IFO− 12669 Alcaligenes faecalis (15) キャンディダ・ユテリス IFO− 0988 Candida utilis (16) アクロモバクター・スペシーズ ATCC−21910 Achromobacter sp. (17) ムコール・プシラス IFO− 9856 Mucor pusillus これらの菌株はいずれも American Type Culure Collec
tion(ATCC)あるいは大阪市の財団法人醗酵研究所
(IFO)に保存され、これらの保存機関より入手する
ことができる。また、これらの微生物起源のエステラー
ゼのなかには市販されているものがあり、容易に入手す
ることができる。市販エステラーゼの具体例としてはシ
ュードモナス属のリパーゼ(天野製薬製)、ムコール属
のリパーゼ(リパーゼM−AP(天野製薬製))、キャ
ンディダ・シリンドラッセのリパーゼ(リパーゼMY
(名糖産業製))、アルカリゲネス属のリパーゼ(リパ
ーゼPL(名糖産業製))、アクロモバクター属のリパ
ーゼ(リパーゼAL(名糖産業製))、アルスロバクタ
ー属のリパーゼ(リパーゼ合同BSL(合同酒精
製))、同じくアルスロバクター属のリパーゼ(新日本
化学工業製)、クロモバクテリウム属のリパーゼ(東洋
醸造製)などが挙げられる。また、動物臓器由来のエス
テラーゼとしては、一般式 化12で示されるラセミの
有機カルボン酸エステルを不斉加水分解する能力を有す
るエステラーゼ(ここで、エステラーゼとはリパーゼを
含む広義のエステラーゼを意味する。)であればよく、
特に限定されるものではない。この様なエステラーゼの
具体例としては、豚膵臓由来のパンクレアチン、子豚膵
臓由来のステアプシンなどが挙げられる。上記のような
微生物起源または動物臓器由来のエステラーゼにおい
て、工業規模での実施時には、入手のし易さから微生物
起源のエステラーゼの使用が好ましく、中でも不斉収率
の点でシュードモナス(Pseudomonas)属、ムコール (Mu
cor)属、クロモバクテリウム (Chromobacterium)属、エ
スケリシア (Eseherichia)属、アルスロバクター (Arth
robacter) 属、アルカリゲネス (Alcaligenes)属、バチ
ルス (Bacillus) 属、ノカルディア (Nocardia) 属に属
する微生物の生産するエステラーゼが好ましい。使用さ
れるエステラーゼを生産する微生物の培養は、通常、常
法に従って液体培養を行うことにより培養液を得る。例
えば滅菌した液体培地〔かび類、酵母類用には麦芽エキ
ス、酵母エキス培地(水1リットルにペプトン5.0g、
可溶性デンプン10.0g、麦芽エキス3.0gおよび酵母エ
キス3.0gを溶解し、pH6.2とする) 、放線菌用には滅
菌した液体培地 (水1リットルに可溶性デンプン10.0
g、NZアミン(タイプA)2.0g、肉エキス1.0gお
よび酵母エキス1.0gを溶解し、pH7.2とする)、細菌
用には滅菌した液体培地(水1リットルに可溶性デンプ
ン10.0g、ペプトン5.0gおよび酵母エキス5.0gを溶
解しpH6.8とする) 〕に微生物を接種し、通常20〜4
0℃で1〜3日間往復又は回転振盪培養を行う。また必
要に応じて固体培養を行ってもよい。さらに、このよう
な培養に際し、誘導物質としてオリーブ油、大豆油など
の天然油脂、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエ
ートなどの非イオン系界面活性剤を培地に添加すること
により、酵素の生産量を向上させることもできる。
【0007】本工程の不斉加水分解は、上記微生物を培
養した培養液、培養液から分離した菌体、エステラーゼ
を含有する培養濾液、あるいは各種酵素分離法によって
菌体または培養濾液から分離した粗製エステラーゼ、精
製エステラーゼおよびエステラーゼ含有抽出液または濃
縮液、あるいは動物臓器由来のエステラーゼを含有する
水溶液と、一般式 化12で示される有機カルボン酸エ
ステルとを混合し、攪拌または振盪することにより行わ
れる。また、固定化菌体あるいは固定化エステラーゼを
使用することもできる。不斉加水分解を行う条件として
は、反応温度は10〜70℃が適当であり、好熱菌の培
養液または好熱菌の培養により得られた耐熱性エステラ
ーゼでは50〜65℃、中温菌の培養液または特に耐熱
性を有しないエステラーゼでは20〜50℃が好まし
い。反応時間は通常3〜70時間であるが、反応温度を
高めたり酵素量を増加させるなどにより反応時間の短縮
も可能である。反応中の pH は好アルカリ性菌の培養液
やアルカリ性エステラーゼではpH8〜11、好アルカリ
性でない微生物の培養液や耐アルカリ性を有しないエス
テラーゼではpH5〜8が好ましい。また、加水分解によ
って生成する有機カルボン酸を中和し、反応中のpHを一
定に保つために緩衝液の使用や、反応進行に伴いアルカ
リ水溶液を滴下することが好ましい。緩衝液としては、
リン酸ナトリウム、リン酸カリウムなどの無機酸塩の緩
衝液、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムなどの有機
酸塩の緩衝液を挙げることができる。基質である一般式
化12で示される有機カルボン酸エステルの使用濃度
は反応液に対し0.5〜80重量%であり、工業的実施時
には10〜50重量%が好適である。反応後の反応液は
有機溶媒抽出、濃縮などの通常の後処理をすることによ
り反応後の生成物を取り出し、次の反応に用いることが
できる。尚、一般式 化12で示されるカルボン酸エス
テルは、エステル製造の常法、例えば1−(4−フェノ
キシフェノキシ)プロパン−2−オールに有機カルボン
酸の無水物を反応させる方法あるいは有機カルボン酸ク
ロリドを有機塩基の存在下で反応させることなどにより
容易に製造することができる。
【0008】
【実施例】以下実施例で本発明をさらに詳細に説明する
が、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、下
記実施例において、1−(4−フェノキシフェノキシ)
プロパン−2−オールの光学異性体比は、3,5−ジニ
トロフェニルイソシアネートと反応させてカーバメート
誘導体とした後、光学活性カラムを用いた高速液体クロ
マトグラフィー(カラム:Sumipax OA-1000 )で測定し
た値である。 実施例1 (I)不斉加水分解工程 0.2Mリン酸第一カリウム水溶液180gに3N水酸化
ナトリウム水溶液を加え、pH6.5の緩衝液を調整した。
この緩衝液に、シュードモナス属エステラーゼ(天野
P)0.60gを加え、ついでラセミの1−(4−フェノキ
シフェノキシ)プロパン−2−イル アセテート20.0g
を加え、3N水酸化ナトリウム水溶液によりpH6.5±0.
2に制御しながら、40℃で24時間激しく攪拌した。
次いで反応液を酢酸エチルにて抽出し、酢酸エチル層
は、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮して、(R)−
1−(4−フェノキシフェノキシ)プロパン−2−オー
ルと(S)−1−(4−フェノキシフェノキシ)プロパ
ン−2−イル アセテートの混合物(各々の含有量は、
50.6%、および49.4%である) 18.2gを得た。上記混合
物の一部をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより
分離し、(R)−1−(4−フェノキシフェノキシ)プ
ロパン−2−オールと(S)−1−(4−フェノキシフ
ェノキシ)プロパン−2−イル アセテートの光学異性
体比分析を行った結果は、 1−(4−フェノキシフェノキシ)プロパン−2−オー
ル (R)−体/(S)−体=98.7:1.3 1−(4−フェノキシフェノキシ)プロパン−2−イル
アセテート(加水分解後、アルコールとして分析) (R)−体/(S)−体=0.7:99.3 であった。 (II)スルホン酸エステル化工程及び加水分解工程 (I)で得られた混合物2.58gを10mlのジエチルエー
テルに溶解した後、メシルクロライド0.86gを加え、そ
の後、トリエチルアミン0.76gを5mlのジエチルエーテ
ルに溶解した溶液を0℃で10分かけて滴下した。滴下
後25℃で2時間攪拌した後、反応液を25mlの7%酢
酸ナトリウム水溶液に注ぎ、ジエチルエーテルで抽出し
た。これを濃縮して、(R)−1−(4−フェノキシフ
ェノキシ)プロパン−2−イル メタンスルフォナート
と(S)−1−(4−フェノキシフェノキシ)プロパン
−2−イル アセテートの混合物を得た。この混合物を
1.7gの30%硫酸を加えたジオキサン:水=8:3の
55ml溶液とし、80℃で25時間攪拌した。反応液を
5%炭酸水素ナトリウムで中和し、約半量に濃縮した
後、ジエチルエーテルで抽出した。ジエチルエーテル層
は、無水硫酸ナトリウムで乾燥後濃縮した後、シリカゲ
ルを充填した粗カラムクロマトグラフィーに付し、
(S)−1−(4−フェノキシフェノキシ)プロパン−
2−オール1.54g (収率;63.5%、 [α] D 25:13.9°
(c =2.38、クロロホルム) ) を得た。該生成物は、旋
光性を除き、IR、NMRスペクトルおよびガスクロマ
トグラフィーによる保持時間の特性においてラセミの1
−(4−フェノキシフェノキシ)プロパン−2−オール
と一致した。その光学異性体比分析を行った結果、 (R)−体/(S)−体=8.5:91.5 であった。 実施例2 (I)不斉加水分解工程 実施例1の(I)と同一である。 (II)スルホン酸エステル化工程及び加水分解工程 (I)で得られた混合物2.67gを10mlのジエチルエー
テルに溶解した後、メシルクロライド0.86gを加え、そ
の後、トリエチルアミン0.77gを5mlのジエチルエーテ
ルに溶解した溶液を0℃で10分かけて滴下した。滴下
後25℃で1.5時間攪拌した後、反応液を25mlの1%
塩酸に注ぎ、ジエチルエーテルで抽出した。これを濃縮
して、(R)−1−(4−フェノキシフェノキシ)プロ
パン−2−イル メタンスルフォナートと(S)−1−
(4−フェノキシフェノキシ)プロパン−2−イル ア
セテートの混合物を得た。この混合物を2.1gの酢酸ナ
トリウムを加えたジオキサン:水=1:1の35ml溶液
とし、25℃で14時間攪拌した。更に反応液に2.78g
の炭酸カリウムと20mlのメタノールを加えて、25℃
で21時間攪拌した。反応液を10%塩酸で中和し、約
半量に濃縮した後、酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル
層は、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮し、シリカゲ
ルを充填した粗カラムクロマトグラフィーに付し、
(S)−1−(4−フェノキシフェノキシ)プロパン−
2−オール1.57g (収率;63.1%、 [α] D 25:16.6°
(c=2.38、クロロホルム) )を得た。該生成物は、旋
光性を除き、IR、NMRスペクトルおよびガスクロマ
トグラフィーによる保持時間の特性においてラセミの1
−(4−フェノキシフェノキシ)プロパン−2−オール
と一致した。その光学異性体比分析を行った結果、 (R)−体/(S)−体=3.5:96.5 であった。
【0009】
【発明の効果】本発明方法により、一方の立体配置を有
する一般式 化9で示されるアルコールのみを能率よく
得ることができ、工業規模においても該アルコールを有
利に製造することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI // C07M 7:00 (56)参考文献 特開 昭60−215671(JP,A) 特開 昭60−176592(JP,A) 特開 昭59−199673(JP,A) Tetrahedron Vol.47 No.41 p8701〜8716(1991) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07C 43/295 C07B 53/00 C07B 57/00 343 C07M 7:00 CA(STN) CAOLD(STN) REGISTRY(STN)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式 化1 【化1】 〔式中、R1 はハロゲン原子で置換されていてもよい低
    級アルキル基を表わすか、またはパラ位にメチル基もし
    くはハロゲン原子を有していてもよいフェニル基を表わ
    し、*は不斉炭素を表わす。〕で示される光学活性なス
    ルホン酸エステルと、該スルホン酸エステルとは逆の立
    体配置を有する一般式 化2 【化2】 〔式中、R2 は低級アルキル基を表わし、**は不斉炭
    素を表わす。〕で示される光学活性なカルボン酸エステ
    ルとの混合物を加水分解することを特徴とする、上記一
    般式 化1で示されるスルホン酸エステルとは逆の立体
    配置を有する式 化3 【化3】 〔式中、**は不斉炭素を表わす。〕で示される光学活
    性なアルコールの製造法。
  2. 【請求項2】式 化4 【化4】 〔式中、*は不斉炭素を表わす。〕で示される光学活性
    なアルコールと、該アルコールとは逆の立体配置を有す
    る請求項1記載の一般式 化2で示される光学活性なカ
    ルボン酸エステルとの混合物に、一般式 化5 【化5】 〔式中、R1 はハロゲン原子で置換されていてもよい低
    級アルキル基を表わすか、またはパラ位にメチル基もし
    くはハロゲン原子を有していてもよいフェニル基を表わ
    す。Xはクロル原子またはブロム原子を表す。〕で示さ
    れるスルホン酸ハライドを作用させ、上記式 化4と同
    じ立体配置を有する請求項1記載の一般式 化1で示さ
    れる光学活性なスルホン酸エステルと、請求項1記載の
    一般式 化2で示される光学活性なカルボン酸エステル
    との混合物に導いた後、該混合物を加水分解することを
    特徴とする、前記式 化4とは逆の立体配置を有する請
    求項1記載の式 化3で示される光学活性なアルコール
    の製造法。
  3. 【請求項3】一般式 化6 【化6】 〔式中、R2 は低級アルキル基を表わす。〕で示される
    ラセミのカルボン酸エステルに、微生物が生産するエス
    テラーゼまたは動物膵臓エステラーゼを作用させてこれ
    を不斉加水分解して請求項2記載の式化4で示される光
    学活性なアルコールと、該アルコールとは逆の立体配置
    を有する請求項1記載の一般式 化2で示される光学活
    性なカルボン酸エステルとの混合物に導き、次いで、該
    混合物に請求項2記載の一般式 化5で示されるスルホ
    ン酸ハライドを作用させ、請求項2記載の式 化4と同
    じ立体配置を有する請求項1記載の一般式 化1で示さ
    れる光学活性なスルホン酸エステルと請求項1記載の一
    般式 化2で示される光学活性なカルボン酸エステルと
    の混合物に導いた後、該混合物を加水分解することを特
    徴とする、前記一般式 化4とは逆の立体配置を有する
    請求項1記載の式 化3で示される光学活性なアルコー
    ルの製造法。
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