JP3001163B2 - イオン処理装置 - Google Patents

イオン処理装置

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JP3001163B2
JP3001163B2 JP2140543A JP14054390A JP3001163B2 JP 3001163 B2 JP3001163 B2 JP 3001163B2 JP 2140543 A JP2140543 A JP 2140543A JP 14054390 A JP14054390 A JP 14054390A JP 3001163 B2 JP3001163 B2 JP 3001163B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [発明の目的] (産業上の利用分野) 本発明は、イオン処理処理に関する。
(従来の技術) イオン注入処理例えばイオン注入装置は、被処理物に
対して不純物を導入する装置として近年広く用いられて
いる。このイオン注入装置は、注入量、注入深さ等を高
精度で制御できるので、特に半導体ウエハへの不純物導
入に際しては必要不可欠な装置となりつつある。
一般に、イオン注入技術では、正に帯電したイオンを
電場により加速して半導体ウエハに照射するため、半導
体ウエハに加速された正イオンが衝突する過程で、半導
体ウエハから電子が叩き出されたり、絶縁体部分に正電
荷の蓄積が起きるなど、半導体ウエハ表面が正に帯電し
やすくなっている。そのために、半導体ウエハに形成さ
れた絶縁体部分(絶縁膜)が、高集積化に伴い蓄積され
た正電荷により静電破壊を起こす可能性がある。従っ
て、イオン注入装置においては、イオン注入に伴なう半
導体ウエハの帯電を防止しなければならない。
このため、従来から、例えばエネルギーの高い一次電
子をイオンビーム導入管の内壁面に衝突させてエネルギ
ーの低い(例えば数エレクトロンボルト程度)二次電子
を発生させ、この二次電子を半導体ウエハに供給して半
導体ウエハに蓄積された正電荷を中和する電子供給装置
を具備したイオン注入装置が用いられている。
また、例えば特開昭62−296357号公報、特開昭63−12
6147号公報等では、電子源から電子引き出し電極で電子
を引き出し、半導体ウエハに供給してこの半導体ウエハ
の正電荷を中和する装置が提案されている。
(発明が解決しようとする課題) 上述した従来のイオン注入装置のうち、エネルギーの
高い一次電子をイオンビーム導入管内壁面に衝突させて
エネルギーの低い二次電子を発生させる装置では、負電
荷の蓄積により絶縁膜の静電破壊が生じるという問題が
ある。すなわち、イオンビーム導入管の内壁面で反射さ
れた一次電子が半導体ウエハに供給され、この結果半導
体ウエハ上に電子が過剰に供給されて負電荷が蓄積し、
絶縁膜が破壊されることがある。
なお、イオンビームの照射により、半導体ウエハ表面
に被着されたレジストが飛散し、イオンビーム導入管内
壁がこのレジストにより汚染されることがあるが、一次
電子を衝突させる部位がこのようなレジストにより汚染
されると、ここに負電荷が蓄積され、一次電子が反射さ
れ易くなるため、特にこのような危険性が増大する。
また、近年は、半導体デバイスの高集積化に伴い、半
導体ウエハ上に形成される絶縁膜も、薄くされる傾向に
あり、静電破壊に対する耐性が低くなる傾向にある。こ
のため、上述した絶縁膜の静電破壊が特に大きな問題と
なりつつある。
一方、電子源から電子引き出し電極で電子を引き出す
装置では、前述した二次電子を用いる場合に較べて半導
体ウエハに供給される電子のエネルギーを制御し易い。
したがって、半導体ウエハにエネルギーの高い電子が過
剰に供給され、半導体ウエハが負に帯電することを防止
することができる。
しかしながら、このような装置では、半導体ウエハ表
面への電子の行路において電子引き出し電極の近傍、例
えば電子引き出し電極を保持する絶縁部材等に電子が衝
突し、この電子の衝突にともなってこれらの部位に導電
性の夾雑物が付着し、経時的に絶縁不良を生じるという
問題がある。
本発明は、かかる従来の事情に対処してなされたもの
で、被処理物に所望のエネルギーレベルの電子のみを所
望量供給することができ、被処理物の正または負の電荷
による帯電を防止することができるとともに、絶縁不良
の発生を防止して、長期間に亘って確実な処理を実施す
ることができ、生産性の向上を図ることのできるイオン
処理装置を提供しようとするものである。
[発明の構成] (課題を解決するための手段) すなわち本発明は、イオンビーム導入管内を通過させ
たイオンビームを、前記イオンビーム導入管の端部に設
けられた被処理物に照射するとともに、 前記イオンビーム導入管の端部近傍の側壁部分に設け
られ、フィラメントで発生させた電子を電子引き出し電
極によって前記イオンビーム導入管内に引き出す電子供
給手段によって、前記被処理物に電子を供給するイオン
処理装置において、 前記電子供給手段の前記フィラメントと前記イオンビ
ーム導入管との間に、内部に電子流路を形成する絶縁性
部材であって、その内側に沿って全周に亘り前記フィラ
メントに対する影を形成する凹部あるいは凸部が、複数
形成された絶縁性部材を設け、 前記複数の凹部あるいは凸部の間に、前記電子引き出
し電極を配設したことを特徴とする。
また、請求項2の発明は、請求項1記載のイオン処理
装置において、 前記絶縁性部材には、前記電子引き出し電極より前記
イオンビーム導入管側に、前記電子引き出し電極によっ
てイオンビーム導入管内に形成される電界を制限する電
界制限用電極が設けられ、当該電界制限用電極と前記電
子引き出し電極との間に前記凹部あるいは凸部が設けら
れていることを特徴とする。
(作 用) 上記構成の本発明のイオン処理処理では、電子源から
電子引き出し電極で電子を引き出すので、被処理物に所
望のエネルギーレベルの電子のみを所望量供給すること
ができ、被処理物の正または負の電荷による帯電を防止
することができる。したがって、例えば半導体ウエハの
表面に形成された絶縁膜が正または負の電荷の蓄積によ
り静電破壊されることを防止することができる。
また、電子供給手段の電子引き出し電極を保持する絶
縁部材に、電子流に対する影を形成する如く、凹部ある
いは凸部が形成されているので、この部位に電子が衝突
し導電性の夾雑物が付着することを防止することができ
る。したがって、絶縁不良の発生を防止することがで
き、長期間に亘って確実な処理を実施することができ
る。
(実施例) 以下、本発明をイオン注入装置に適用した実施例を図
面を参照して説明する。
第1図に示すように、正イオンからなるイオンビーム
1を導くためのイオンビーム導入管2の端部には、円板
状に形成されたディスク3が設けられている。このディ
スク3内側面には、複数(例えば十数枚)の半導体ウエ
ハ4が保持されており、ディスク3を図示矢印の如く回
転させながら、各半導体ウエハ4に、イオンビーム1を
照射する如く構成されている。
なお、イオンビーム導入管2のイオンビーム1飛来側
には、周知の如く、イオン源、イオン引き出し電極、質
量分析マグネット、加速管、偏向電極(いずれも図示せ
ず)等が設けられており、これらの機器によって所望の
イオンビーム1が形成される。
また、上記イオンビーム導入管2のディスク3近傍の
所定部位例えば上部には、電子供給機構5が設けられて
いる。すなわち、イオンビーム導入管2の外側には、例
えばセラミックス等からなる絶縁部材6を介して、例え
ばアルミニウム等の導電性部材からなる電子供給機構5
の筐体7が設けられている。
また、この筐体7内には電子源として、棒状に形成さ
れたフィラメント8と、このフィラメント8から放出さ
れた電子eをイオンビーム導入管2の方向へ反射する反
射板9が設けられている。さらに、絶縁部材6には、フ
ィラメント8からイオンビーム導入管2内へ電子eを引
き出すための電子引き出し電極10が保持されている。
上記電子引き出し電極10は、第2図に示す如く、導電
性部材から矩形状に形成された枠体10aと、この枠体10a
に固定された導電性部材からなるメッシュ10bとから構
成されており、メッシュ10bの開口部位を電子が通過可
能な如く構成されている。
さらに、この実施例では、上記電子引き出し電極10の
下部に、この電子引き出し電極10と同様にメッシュ状に
構成され、電子引き出し電極10によってイオンビーム導
入管2内に形成される電界を制限するための電界制限用
電極11が、絶縁部材6に保持される如く設けられてい
る。
電子の流路に面する絶縁面例えば上記絶縁部材6の電
子引き出し電極10上部および電界制限用電極11下部に
は、それぞれ断面ほぼL字状の凹部12、13が形成されて
いる。また、絶縁部材6の電子引き出し電極10と電界制
限用電極11との中間部には、断面ほぼT字状の凹部14が
形成されている。すなわち、これらの凹部12、13、14
は、フィラメント8に対して、凹部12、13、14内部が影
となるよう形成されている。つまり、これらの凹部12、
13、14内部に、第1図に矢印で示す如くフィラメント8
から飛来する電子eが衝突しないよう構成されている。
また、これらの凹部12、13、14は、それぞれ、第2図に
示すように、電子引き出し電極10上部および電界制限用
電極11を囲む如く設けられた絶縁部材6の内側に沿って
全周に亘り形成されている。
なお、上記凹部12、13、14は、フィラメント8に対し
て影となる部位を形成することのできる形状であればど
のような形状でもよく、工作性等により適宜変更可能で
ある。また、凸部によりフィラメント8に対して影とな
る部位を形成したり、凹部と凸部を適宜組合せて設けて
もよい。
上記構成のこの実施例のイオン注入装置では、イオン
ビーム導入管2、ディスク3(半導体ウエハ4)、筐体
7は同電位(例えば0V)に保たれる。そして、半導体ウ
エハ4にイオンビームを照射するとともに、電源20によ
りフィラメント8に所定電圧例えば−5V、電源21により
反射板9に所定電圧例えば−30V、電源22により電子引
き出し電極10に所定電圧例えば+500V、電源23により電
界制限用電極11に所定電圧例えば+50Vを印加すること
により、イオンビーム導入管2に電子eを供給し、半導
体ウエハ4に電子eを供給しながらイオンの注入を行
う。
この時、半導体ウエハ4には、フィラメント8から飛
び出した電子eが供給されるが、この電子eは半導体ウ
エハ4とフィラメント8との電位差に相当するエネルギ
ーを有する。すなわち、上記印加電圧の例では、半導体
ウエハ4(0V)と、フィラメント8(−5V)との電位差
が5Vであるので、電子eは5eVのエネルギーを有する。
したがって、半導体ウエハ4に高いエネルギー(例え
ば数百eV)を有する電子が供給されることがなく、半導
体ウエハ4に電子が過剰に供給されて、半導体ウエハ4
の表面に形成された絶縁膜が負の電荷の蓄積により静電
破壊されることを防止することができる。なお、半導体
ウエハ4とフィラメント8との電位差を所望の値に設定
することにより、所望のエネルギーを有する電子のみを
半導体ウエハ4に供給することができる。
また、周知のラングミュアの公式に示されるように、
フィラメント8から引き出される電子の量は、フィラメ
ント8と電子引き出し電極10との間の電圧Vの3/2乗に
比例し、フィラメント8と電子引き出し電極10との間の
間隔dの2乗に反比例する。したがって、この実施例の
イオン注入装置では、上述した如く半導体ウエハ4とフ
ィラメント8との電位差を小さく設定(あるいは同電位
に設定)した状態であっても、電源22により電子引き出
し電極10に印加する電圧をある程度大きく設定(例えば
+500V)することにより、フィラメント8から多量の電
子を引き出すことができる。
したがって、イオンビーム1の照射によって半導体ウ
エハ4に生じる正電荷を充分に中和することのできる量
の電子eを供給することができ、半導体ウエハ4の表面
に形成された絶縁膜が正の電荷の蓄積により静電破壊さ
れることを防止することができる。
また、絶縁部材6には、電子eが衝突して導電性の夾
雑物が付着するが、凹部12、13、14内部は、フィラメン
ト8に対して影になるので、この凹部12、13、14内部、
特に凹部12、13、14内の上面等には、電子eが衝突せ
ず、導電性の夾雑物も付着しない。このため、例えば電
子引き出し電極10と電界制限用電極11との間が電気的に
短絡したり、あるいは筐体7と電子引き出し電極10との
間が電気的に短絡したりすることもない。
したがって、長期間に亘って使用しても、絶縁不良が
発生することなく、確実な処理を実施することができ
る。
なお、前述した如く、電界制限用電極11は、電子引き
出し電極10によってイオンビーム導入管2内に形成され
る電界を制限し、イオンビーム導入管2内と電子供給機
構5内とを分離するためのものである。すなわち、電界
制限用電極11は、電子引き出し電極10より低い電位に設
定され、イオンビーム導入管2内に形成される電界を抑
制する。しかしながら、電界制限用電極11の設定電位が
フィラメント8の設定電位より低くなると電子eを引き
出すことができなくなってしまうので、上述した如く例
えば+50V程度に設定される。但し、この電界制限用電
極11は、省略することも可能である。
また、上記実施例では、イオン注入装置に適用した例
について説明したが、イオン照射により帯電防止であれ
ば例えばイオンリペアに適用してもよい。
[発明の効果] 以上説明したように、本発明のイオン処理装置によれ
ば、被処理物に所望のエネルギーをもった電子のみを所
望量供給することができ、被処理物の正または負の電荷
による帯電を防止することができるとともに、絶縁不良
の発生を防止して、長期間に亘って確実な処理を実施す
ることができ、生産性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例のイオン注入装置の要部構成
を示す図、第2図は第1図のイオン注入装置の電子引き
出し電極の構成を示す図である。 1……イオンビーム、2……イオンビーム導入管、3…
…ディスク、4……半導体ウエハ、5……電子供給機
構、6……絶縁部材、7……筐体、8……フィラメン
ト、9……反射板、10……電子引き出し電極、11……電
界制限用電極、12、13、14……凹部、20〜23……電源。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 広瀬 勝人 山梨県韮崎市藤井町北下条2381番地の1 テル・バリアン株式会社内 審査官 小松 徹三 (56)参考文献 特開 平1−220350(JP,A) 実開 平2−48133(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01J 37/20 H01J 37/30 - 37/317 H01L 21/265

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】イオンビーム導入管内を通過させたイオン
    ビームを、前記イオンビーム導入管の端部に設けられた
    被処理物に照射するとともに、 前記イオンビーム導入管の端部近傍の側壁部分に設けら
    れ、フィラメントで発生させた電子を電子引き出し電極
    によって前記イオンビーム導入管内に引き出す電子供給
    手段によって、前記被処理物に電子を供給するイオン処
    理装置において、 前記電子供給手段の前記フィラメントと前記イオンビー
    ム導入管との間に、内部に電子流路を形成する絶縁性部
    材であって、その内側に沿って全周に亘り前記フィラメ
    ントに対する影を形成する凹部あるいは凸部が、複数形
    成された絶縁性部材を設け、 前記複数の凹部あるいは凸部の間に、前記電子引き出し
    電極を配設したことを特徴とするイオン処理装置。
  2. 【請求項2】請求項1記載のイオン処理装置において、 前記絶縁性部材には、前記電子引き出し電極より前記イ
    オンビーム導入管側に、前記電子引き出し電極によって
    イオンビーム導入管内に形成される電界を制限する電界
    制限用電極が設けられ、当該電界制限用電極と前記電子
    引き出し電極との間に前記凹部あるいは凸部が設けられ
    ていることを特徴とするイオン処理装置。
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