JP2756704B2 - イオンビーム照射装置における電荷中和装置 - Google Patents

イオンビーム照射装置における電荷中和装置

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JP2756704B2 JP1159301A JP15930189A JP2756704B2 JP 2756704 B2 JP2756704 B2 JP 2756704B2 JP 1159301 A JP1159301 A JP 1159301A JP 15930189 A JP15930189 A JP 15930189A JP 2756704 B2 JP2756704 B2 JP 2756704B2
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【発明の詳細な説明】 〔概要〕 イオンビーム照射装置において、イオンビーム照射時
にターゲットの絶縁膜表面に生じるチャージアップを軽
減する為に、該チャージアップを電子によって中和する
装置に関し、 ターゲットのチャージアップを解消すると同時に、高
精度のドーズ量制御を可能とする電荷中和装置を実現す
ることを目的とし、 接地電位に対し±20V以下の電極に囲まれた電離領域
と、前記電離領域に電離用ガスを導入する手段と、前記
電離領域内の電離用ガスを電離させて10〜20eV以下の低
エネルギー電子を発生させるために、該電離領域に前記
電離用ガスの電離エネルギーよりも高いエネルギーを有
する電子を入射する高エネルギー電子発生手段と、前記
低エネルギー電子を加速・減速し、ターゲット上のイオ
ンビーム照射領域近傍に輸送する電子輸送手段と、前記
電子輸送手段を取り巻いて、前記電離領域とイオンビー
ム照射領域との間にガス圧力差を生じさせる連結手段
と、を備えて成るように構成する。
〔産業上の利用分野〕
本発明は、イオン注入法によって半導体基板などに不
純物を注入するためのイオンビーム照射装置において、
イオンビーム照射時にターゲットの絶縁膜表面に生じる
チャージアップを軽減する為に、該チャージアップを電
子によって中和する装置に関する。
〔従来の技術〕
(1)イオンビーム照射装置の概要 装置の概要 第5図は、イオンビーム照射装置の概要を説明する図
で、(a)は装置全体の概要図、(b)はターゲットの
概要図である。
イオンビーム11は、イオン源1で作ったイオンを導出
し、必要とするイオンのみを分離・加速して得られる。
たとえば、 1)注入する不純物を含むガスをイオン源1に導入し、
該イオン源1をイオン源用電源2で駆動することによっ
てプラズマ状態を生じさせ、その中でイオンを作る。ち
なみに、イオン源1内のガス圧力は10-2〜101torr程度
である。
2)前記1)のイオンを引き出し電極4で引き出し、真
空容器5で導出し、マグネット部6とスリット7で質量
分離して必要とする目的イオンのみを分離する。尚、真
空容器5中は、図に示されない真空ポンプによって10-4
〜10-6torr程度の真空度に保たれている。
3)スリット7を通過したイオンは、筐体8と筐体9間
の電位差によって加速され、エンドステーション12内の
ターゲット13に照射される。ちなみに、エンドステーシ
ョンの真空度は10-6torr程度に保たれている。
以上のようにしてイオンビーム11が得られる。
尚、前記2)におけるイオンの引き出しは、イオン源
1と引き出し電極4間の電源E1の電位差で、前記3)に
おけるイオンの加速は、筐体8と筐体9間の電源E2の電
位差で行われ、イオン源1と真空容器5とは絶縁材3で
絶縁され、筐体8と筐体9とは絶縁材10で絶縁されてい
る。ちなみに、E1は30〜80KV程度であり、E2は0〜170K
V程度である。
他方、ターゲット13は、ディスク14に半導体のウェハ
ー15を載置したもので、該ディスク14を高速で回転させ
ると同時に図上方向で上下させ、該ウェハー15全面にイ
オンビーム11を照射する。
第6図は、イオンビーム照射装置各部の電位を説明す
る図である。
エンドステーション12の電位は0(グランド電位)で
あるが、真空容器(イオン導出部)5は電位E2を有し、
イオン源1は電位E2+E1を有する。また、マグネット部
6は真空容器(イオン導出部)5の途中に有る。
イオン注入法の長所 イオン注入法の長所は、ウェハー15に注入する不純物
イオンの量とエネルギー量を、正確に制御することがで
きる点である。
すなわち、ターゲット13とグランド間に流れる電流を
電流計17で測定することによって、ウェハー15に注入し
たイオン量(ドーズ量)を正確に求めることができるか
らである。
また、イオン注入の際のエネルギー量は、イオンの加
速電圧で正確に決めることができる。
絶縁膜のチャージアップ 近年、高ドーズ量領域におけるイオン注入技術の利用
が増加すると共に、20〜30mAにも及ぶ大電流イオン注入
装置の実用化が進んでいる。
しかし、これら大電流イオン注入装置においては、タ
ーゲット表面に単位時間当たりに供給される電荷量が増
加する為、ターゲットの絶縁膜がチャージアップにより
絶縁破壊する問題がある。
他方、イオン注入されるデバイス側でも、素子の微細
加工化によって絶縁酸化膜の膜厚が減少している。ま
た、半導体基板とのコンタクト窓面積の減少等、チャー
ジアップに対する耐性が減少し、前記問題を助長してい
る。
例えば、最近のLSI等では、20V程度のチャージアップ
ですら絶縁破壊を生じる可能性を持つ。
そのため、チャージアップを電子によって中和するよ
うにしている。第5図に示す電荷中和装置16がそれであ
る。
(2)従来の電荷中和装置 第7図は、従来の電荷中和装置を説明する図であ
る。
本電荷中和装置は、2次電子によって中和を行うも
ので、ターゲット13の直前に設ける。
すなわち、電源E5によって加熱されたフィラメント20
に、電源E6で−100〜−300Vのバイアス電圧を印加し、
該フィラメント20の周囲には電源E4によってさらに数10
V低い電位のリペラ21を設ける。
したがって、フィラメント20から放出された一次電子
23は、グランド電位のメッシュ状電極22によって加速さ
れ、イオンビーム11を横切って、対向するファラデー電
極19(二次電子発生部)に照射される。
これによって、ファラデー電極19壁から低エネルギー
の二次電子24が放出され、該二次電子24は、イオンビー
ム11とウェハー15上の正電荷に吸引されて該ウェハー15
に到達し、チャージアップした絶縁膜の正電荷を打ち消
すのである。
また、サプレッション電極18には二つの役目があり、
第1には、ファラデー電極19から放出された二次電子24
が、ターゲット13と反対の方向に移動し漏洩することを
防ぐものであり、第2には、イオンビーム11をウェハー
15に照射したときに、該ウェハー15から放出される二次
電子がファラデー電極19の外に漏洩することを防ぐため
である。
そのために、サプレッション電極18には−1000V程度
のバイアス電圧が、電源E3によって印加されている。
尚、もしウェハー15から放出された二次電子が、ファ
ラデー電極19に捕らえられずに漏洩した場合は、電流計
17に該二次電子放出による電流が加算され、ドーズ量の
測定に誤差を生じる。
(3)従来の電荷中和装置 第8図は、従来の電荷中和装置を説明する図であ
る。
本電荷中和装置は、ターゲット13直前のイオンビー
ム照射領域26にArなどのガスを導入し、該Arガスを電離
させ、そのときに生じた低エネルギー電子によって中和
を行うものである。
電離は、イオンビーム11によって導入ガス分子が励起
されて生じるが、さらに積極的に電離した低エネルギー
電子を作り出すために、ガス中に高エネルギー電子を入
射することが行われている。
すなわち、電源E5によって加熱されたフィラメント20
に、電源E6で−100〜−300Vのバイアス電圧を印加し、
該フィラメント20の周囲およびイオンビーム照射領域26
を囲むようにしてリペラ21aを設け、該リペラ電極21aに
は電源E4によってさらに数10V低い電位が与えられてい
る。
したがって、フィラメント20から放出された電子23a
はメッシュ状電極27で加速されてArガス中に入射し、該
Arガス分子を励起して電離させる。
また、前記電子23aはリペラ電極21aで減速・反射さ
れ、第8図に示すような往復運動を繰り返しながらArガ
ス分子を励起し、やがて該メッシュ状電極27に捕らえら
れる。
同図においてAr+で示したものが電離した陽イオンで
あり、e-で示したものが電離した低エネルギー電子であ
る。
電離した低エネルギー電子は、イオンビーム11とウェ
ハー15上の正電荷に吸引されて該ウェハー15に到達し、
チャージアップした絶縁膜の正電荷を打ち消す。他方、
Ar+イオンはリペラ電極21aに吸引されて捕らえられる。
サプレッション電極18の役目は、前記の電荷中和装置
と同一である。
〔発明が解決しようとする課題〕
(1)従来の電荷中和装置の問題点 ところが、前記の電荷中和装置においては、高エネ
ルギーの反跳電子25がウェハー15に入射する問題があ
る。
すなわち、反跳電荷25がウェハー15上の絶縁膜に入射
すると、該絶縁膜が逆に負のチャージアップを引き起こ
し、正電荷がチャージアップした時と同様に絶縁膜破壊
を生じてしまうのである。
(2)従来の電荷中和装置の問題点 また、前記の電荷中和装置においては、電離用ガス
を導入する為ターゲット付近の真空度が低下する問題が
ある。
すなわち、電離を促進し低エネルギー電子を多く発生
させるためには、ガス圧を上げたいのであるが、ガス圧
を上げると真空度が低下してしまうのである。
真空度が低下すると、導入ガスがサプレッション電極
18を越えて流れ出し、該流出部でイオンビーム11によっ
て励起・電離した低エネルギー電子と該イオンビーム11
とが結合し、ニュートラルビームを生じる。
ところが、ニュートラルビームは電流計17で計測され
ないため、ドーズ量制御に誤差を生じることになる。
そのため、現状ではドーズ量制御精度への悪影響を抑
えるため、標準的真空度を1〜2×10-5torr程度に制限
し、ガス電離による電子供給効率も十分に生かせずにい
る。
尚、リペラ電極21a内においてもニュートラルビーム
は生じるが、該リペラ電極21a内においては、イオンビ
ームの中和に消費された低エネルギー電子と同電荷のAr
+イオン(陽イオン)が、電流計17で測定されるのでド
ーズ量計測に誤差を生じることはない。
本発明は、従来のイオンビーム照射装置における電荷
中和装置の以上のような問題を解決し、イオンビーム照
射領域と別の場所に電離領域を設けることによって、タ
ーゲットのチャージアップを解消すると同時に、高精度
のドーズ量制御を可能とする電荷中和装置を実現するこ
とにある。
〔課題を解決するための手段〕
第1図は、本発明の基本原理を説明する図である。
本発明は、イオンビーム照射領域と別の場所に、低エ
ネルギ電子の供給源となる電離領域を設け、そして、前
記両領域間に低エネルギー電子の輸送手段を設けると同
時に、該輸送手段部分のガスに対するコンダクタンスを
小さくしたところに特徴がある。
すなわち、以下の構成から成るイオンビーム照射装置
における電荷中和装置である。
接地電位に対し±20V以下の電極29に囲まれた電離領
域30と、前記電離領域30に電離用ガス31aを導入する手
段31と、前記電離領域30内の電離用ガスを電離させて10
〜20eV以下の低エネルギー電子34を発生させるために、
該電離領域30に前記電離用ガスの電離エネルギーよりも
高いエネルギーを有する電子33を入射する高エネルギー
電子発生手段32とによって、低エネルギー電子の供給源
を構成する。
そして、前記低エネルギー電子34をターゲット13a上
のイオンビーム照射領域37近傍に輸送するために、該低
エネルギー電子34を加速・減速する電子輸送手段35と、
前記電子輸送手段35を取り巻いて、前記電離領域30とイ
オンビーム照射領域37との間にガス圧力差を生じさせる
連結手段36とによって、ガスに対しては低コンダクタン
スである低エネルギー電子輸送部分を構成する。
〔作用〕
本発明の装置は、電離領域30に導入した電離用ガス
に、高エネルギー電子発生手段32から高エネルギー電子
33を入射することで、該電離用ガス分子を励起して電離
させ、低エネルギー電子34を発生する。
この場合、イオンビーム照射領域37と分離した別の場
所に電離領域30を設けてあり、両領域37,30とを、低コ
ンダクタンスの連結手段36で接続しているので、電離領
域30のガス圧を上げてもイオンビーム照射領域のガス圧
を低く保つことができ、該イオンビーム照射領域におい
て、ドーズ量制御に影響のない低い圧力を確保すること
ができる。
もちろん、電離領域30のガスはイオンビーム照射領域
37へも拡散していくのであるが、連結手段36のコンダク
タンスに応じた圧力差を確保することができるのであ
る。
他方、電離領域30のガス圧を上げることができるの
で、該電離領域30の電離を促進して、電離した低エネル
ギー電子発生量を増加させることが可能となり、この多
数の低エネルギー電子34を、電子輸送手段35でイオンビ
ーム照射領域37へ輸送することによって、ターゲット13
aのチャージアップを十分に打ち消すことができる。
この場合、ターゲット13aの電位は接地電位であり、
電離領域30の電位は、電極29によって±20Vの範囲内に
保たれているので、該ターゲット13aの破壊に繋がるよ
うな、電子による負のチャージアップを生じることは無
い。
また、低エネルギー電子34を輸送するために、該低エ
ネルギー電子34が拡散しないように加速して輸送すると
同時に、イオンビーム照射領域37の直前位置で減速し、
電子のエネルギーを電離領域30における値に戻してい
る。
〔実施例〕
第2図は、実施例を説明する図である。
(1)構成と作用 低エネルギー電子の発生部(電離部) 本実施例は、電離領域30aをメッシュ状電極29aで覆
い、該メッシュ状電極29aを電源E0aによって±20V以内
の電位に保っている。
また、ガス導入部31bからは、電離電圧が低く半導体
ウェハーなどの汚染原因とならないArガスを導入してい
る。
他方、電源E5によって加熱されたフィラメント20に、
電源E6で−100〜−300Vのバイアス電圧を印加し、該フ
ィラメント20の周囲には電源E4によってさらに数10V低
い電位のリペラ21bを設け、該フィラメント20から放射
された電子をメッシュ状電極29aで加速し、電離領域30a
に入射させている。尚、本実施例の場合は、電離領域30
a全体に約60ガウスの磁場を印加し、入射電子に旋回運
動とドリフト運動を与えるることによってArガスの電離
効率を更に高めた。
連結手段と輸送手段 以上の電離領域30aと、イオンビーム照射領域37とを
連結するために筒状部36aを設けた。ちなみに該筒状部
は3cmφ×4cmの大きさとした。
そして、前記筒状部36aの中には、メッシュ状の加速
・減速電極35aを設け、該加速・減速電極35aは電源E7に
よって最大約200Vの電位を与えた。また、筒状部36aを
ファラデー電極19aに接続した位置にはメッシュ状電極2
2aを設け、該メッシュ状電極22aの電位を電離領域30aを
覆うメッシュ状電極29aと同電位にすることによって、
イオンビーム照射領域37への加速・減速電極35aの電界
を遮蔽している。
ターゲットとイオンビーム電流の計測 ターゲット13は、ディスク14上にウェハー15を載置し
てあり、該ディスク14とファラデー電極19aとを接続
し、電流計17を介してグランドに接続することによって
イオンビーム電流を計測する。
また、サプレッション電極18には、電源E3によって約
−1000Vの電位を与えている。
加速・減速電極の作用 第3図は、加速・減速電極の作用を説明する図であ
る。
加速・減速電極35aは、電離領域30a側およびイオンビ
ーム照射領域37側が円弧状の形状をしており、該電極35
aによって生じる電界の等電位面39a,39bも同図に示すよ
うに円弧状となる。
したがって、図中e-で示す電子が図中A〜Dで示す各
点で受ける力は、次のようになる。
1)AおよびB点 電子は、等電位面39aに対して垂直に、しかも高電位
側に力を受ける。
したがって、A点ではF13方向に、B点ではF24方向に
力を受ける。
そのため、A点では電子を加速する力F1と集束する力
F3とが働くことになる。また、B点では電子を加速する
力F2と集束する力F4とが働くことになる。
2)CおよびD点 電子は、等電位面39bに対して垂直に、しかも高電位
側に力を受ける。
したがって、C点ではF57方向に、D点ではF68方向に
力を受ける。
そのため、C点では電子を減速する力F5と集束する力
F7とが働くことになる。また、D点では電子を減速する
力F6と集束する力F8とが働くことになる。
以上の結果、電子は同図に示す走行路を通り、拡散す
ることなく輸送することができる。また、等電位面39a
で加速されるエネルギー量と、等電位面39bで減速され
るエネルギー量とは等しくなるので、電子を加速・減速
電極35aで輸送する際に、エネルギー量の変化を与える
ことが無い。
電子の到達効率と電離部の電位 第4図は、電子の到達効率と電離領域の電位の関係を
説明する図で、(a)は輸送した電子がファラデー電極
に直進する場合の図、(b)は輸送した電子がファラデ
ー電極に生じた電位障壁によって進行を阻まれている場
合の図、(c)は各部における電子のポテンシャルエネ
ルギーを表す図、である。
同図(a)は、加速・減速電極35aで輸送した電子が
直進し、ファラデー電極19aに捕らえられることを示し
ている。
したがって、輸送した電子は、ウェハー15の絶縁膜チ
ャージアップを打ち消すことに寄与できなくなる。
このような状態は、電離領域の電位が低いために生じ
るもので、該電位をやや高く(正に)することによって
防ぐことが可能で、輸送した電子をイオンビーム11に沿
ってウェハー15上の正電荷に吸引させることができる。
同図(b)は、イオンビーム11をウェハー15上に照射
した際に、該ウェハー15上のレジスト材等の絶縁物にス
パッタリング現象を生じ、該レジスト材がファラデー電
極19aに汚れ40として付着したために、該汚れ40が輸送
した電子やウェハー15から飛び出した二次電子によって
帯電し、電位障壁を形成してしまうことを示している。
したがって、輸送した電子は、前記の電位障壁を越え
にくくなり、ウェハー15の絶縁膜チャージアップを打ち
消すことに寄与することができなくなる。
このような場合、電離領域の電位をやや低く(負に)
することによって前記電位障壁を通過することが可能と
なり、輸送した電子をイオンビーム11に沿ってウェハー
15上の正電荷に吸引させることができる。
同図(c)は、前記(a)の場合と(b)の場合と
を、電子のポテンシャルエネルギーによって説明するも
ので、縦軸に電子のポテンシャルエネルギーを、横軸に
各領域の位置(距離)を目盛ったものである。
すなわち、電離領域30aとメッシュ状電極22aにおける
電子のポテンシャルエネルギーは、±20eVの範囲内の同
一値であり、それらの間に位置する加速・減速電極35a
では200eVのポテンシャルエネルギーを有する。
したがって、電離領域30aの電位を高く(正に)して
電子のポテンシャルエネルギーを小さくすれば、加速・
減速電極35aで輸送した電子のポテンシャルエネルギー
も小さくなり、ファラデー電極19aに直進することがな
くなる。
他方、ターゲット13との間に汚れによる障壁41が生じ
た場合は、電離領域30aの電位を低く(負に)して電子
のポテンシャルエネルギーを大きくすれば、加速・減速
電極35aで輸送した電子のポテンシャルエネルギーも大
きくなり、前記の汚れによる障壁41を越えて進むことが
できる。
また、電離領域の電位を±20Vとした理由は、グラン
ド電位にあるターゲット13とのポテンシャル差を小さく
するためである。すなわち、ポテンシャル差を小さくす
ることで、ウェハー15の電子による負のチャージアップ
を防止している。
(2)実施例装置の使用例 前記(1)装置において、電離部38にArガスを流量0.
3cc/minで導入し、電離領域30aの圧力を約1×10-4torr
とした場合に、ターゲット13のイオンビーム照射領域37
における圧力を約2×10-5torrに保つことができた。
その結果、ドーズ量計測の誤差は無視し得る値となっ
た。
またこの場合、前記電離領域30aの圧力は、従来の約
5倍の圧力(ガス分子密度)であり、Arガスの電離効率
も良好で、ターゲット13のチャージアップをほぼ完全に
阻止することができた。
〔発明の効果〕
以上のように本発明によれば、イオンビーム照射領域
と別の場所に、低エネルギー電子の供給源となる電離領
域を設け、そして、前記両領域間に低エネルギー電子を
加速・減速してターゲット上のイオンビーム照射領域近
傍に輸送する電子輸送手段を設けると同時に、該輸送手
段部分のガスに対するコンダクタンスを小さくしたこと
によって、電子発生個所での低エネルギーに戻してター
ゲットに導入することができ、ターゲットが過剰に負帯
電するのを防ぐことができる。更に電離領域に導入する
ガス圧力を大きくして電離効率を高めることができると
同時に、イオンビーム照射領域におけるガス圧をドーズ
量制御へ影響を与えることのない圧力まで小さくするこ
とができる。
したがって、ドーズ量制御に影響を与えることなく、
ターゲットのチャージアップを完全に阻止することがで
きる。
その結果、本発明の電荷中和装置を使用すれば、高精
度のドーズ量制御を可能とするイオンビーム照射装置を
実現することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の基本原理を説明する図、 第2図は、実施例を説明する図、 第3図は、加速・減速電極の作用を説明する図、 第4図は、電子の到達効率と電離領域の電位の関係を説
明する図で、(a)は輸送した電子がファラデー電極に
直進する場合の図、(b)は輸送した電子がファラデー
電極に生じた電位障壁によって進行を阻まれている場合
の図、(c)は各部における電子のポテンシャルエネル
ギーを表す図、 第5図は、イオンビーム照射装置の概要を説明する図
で、(a)は装置全体の概要図、(b)はターゲットの
概要図、 第6図は、イオンビーム照射装置各部の電位を説明する
図、 第7図は、従来の電荷中和装置を説明する図、 第8図は、従来の電荷中和装置を説明する図、 である。 図において、1はイオン源、2はイオン源用電源、3,10
は絶縁材、4は引き出し電極、5は真空容器(イオン導
出部)、6はマグネット部、7はスリット、8,9は筐
体、11はイオンビーム、12はエンドステーション、13,1
3aはターゲット、14はディスク、15はウェハー、16は電
荷中和装置、17は電流計、18はサプレッション電極、1
9,19aはファラデー電極、20はフィラメント、21,21a,21
bはリペラ電極、22,22aはメッシュ状電極、23,23aは一
次電子、24は二次電子、25は反跳電子、26はイオンビー
ム照射領域、27はメッシュ状電極、28,38は電離部、29
は電極、29aはメッシュ状電極、30,30aは電離領域、31
は電離用ガス導入手段、31aは電離用ガス、31bはガス導
入部、32は高エネルギー電子発生手段、33は高エネルギ
ー電子、34は低エネルギー電子、35は電子輸送手段、35
aは加速・減速電極、36は連結手段、36aは筒状部、37は
イオンビーム照射領域、39a,39bは等電位面、40は汚
れ、41は汚れによる障壁、をそれぞれ示している。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭60−202645(JP,A) 特開 昭63−76233(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】接地電位に対し±20V以下の電極(29)に
    囲まれた電離領域(30)と、 前記電離領域(30)に電離用ガス(31a)を導入する手
    段(31)と、 前記電離領域(30)内の電離用ガスを電離させて10〜20
    eV以下の低エネルギー電子(34)を発生させるために、
    該電離領域(30)に前記電離用ガスの電離エネルギーよ
    りも高いエネルギーを有する電子(33)を入射する高エ
    ネルギー電子発生手段(32)と、 前記低エネルギー電子(34)を加速・減速し、ターゲッ
    ト(13a)上のイオンビーム照射領域(37)近傍に輸送
    する電子輸送手段(35)と、 前記電子輸送手段(35)を取り巻いて、前記電離領域
    (30)とイオンビーム照射領域(37)との間にガス圧力
    差を生じさせる連結手段(36)と、 を備えて成ることを特徴とするイオンビーム照射装置に
    おける電荷中和装置。
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