JP2996111B2 - 光ファイバ母材製造方法 - Google Patents

光ファイバ母材製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、分散シフト光ファイバ
をVAD法にて製造する光ファイバ母材製造方法に係
り、特に、サイドコアの屈折率分布を均一にする光ファ
イバ母材製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】石英系シングルモード光ファイバ(SM
F)では、最低損失波長帯である1.55μm帯で大容
量の伝送を行うために、伝送速度を制限する波長分散に
ついて、その零分散波長を1.55μm帯に合わせる必
要がある。これを実現するために分散シフト光ファイバ
(DSF)ではSMFに対して屈折率分布形状を変える
ことで構造分散を変え、材料分散を相殺して零分散波長
を1.55μm帯にしている。
【0003】波長1.55μm帯で使用されるDSFの
代表例として二重コア(DSC)ファイバについて、そ
の屈折率分布を図6に示す。図6において、屈折率分布
のうち中央の部分61がセンターコアに相当し、屈折率
はn1 、その両脇の平坦部分62がセンターコアの外周
に形成されたサイドコアに相当し、屈折率はn2 、さら
に両脇の低い平坦部分63がサイドコアの外周に形成さ
れたクラッドに相当し、屈折率はn3 であり、各屈折率
の関係はn1 >n2 >n3 となっている。
【0004】図6の屈折率分布を示すDSCファイバの
センターコア、サイドコア、クラッドを含む多孔質ガラ
ス母材をVAD法にて合成するとき、多重同心円管構造
の酸水素火炎用石英バーナを3本用いるのが一般的であ
る。図7にVAD法における多孔質母材71の合成の様
子を示す。各酸水素火炎バーナ72,73,74に酸素
ガス、水素ガス、アルゴンガスと共にガラス原料である
SiCl4 ガスが供給され、さらにコア用のバーナ7
2,73にはドーパントであるGeCl4 ガスも供給さ
れる。これらのガスの流量を調整しながら火炎加水分解
反応により生成したガラス微粒子を棒状に堆積させ、セ
ンターコア、サイドコア、クラッドを含む多孔質ガラス
母材71を作成する。
【0005】その後、多孔質ガラス母材71をHeガス
雰囲気中で加熱して透明ガラス化を行い、センターコア
対サイドコアの外径比が1:3、サイドコア対クラッド
の外径比が1:2.5程度の透明ガラス母材を得る。
【0006】更にクラッドの外周にVAD法により必要
量のクラッド層を付加外付し、所定のクラッド量が付い
たガラスプリフォームとする。このガラスプリフォーム
を加熱延伸しなから紡糸してDSCファイバとする。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】前記の製造方法でセン
ターコア、サイドコア、クラッドを同時合成するとき、
図6に示したような理想的な屈折率分布には仕上がら
ず、特にサイドコアには図8の屈折率分布に示すように
ダレ、凹凸等の不整81が発生しやすい。これは母材の
屈折率分布形成がドープするGe分の分布に依存し、そ
のGe分の付着率が温度に依存しているからで、VAD
法にて母材を形成する際、Ge分の分布や母材の表面温
度分布を均一にすることが困難なため、屈折率分布を均
一にすることが困難となっている。
【0008】例えば、図9に示される従来の多重同心円
管構造を有する丸型四重管バーナ91を用い、4つの層
92,93,94,95には中心より順に、原料ガス
(ガラス原料ガスとドーパントガス)、水素ガス、アル
ゴンガス、酸素ガスを供給して、サイドコアスートを合
成するときの母材表面温度分布及びGe濃度分布と透明
ガラス化したときの屈折率分布の様子を調べてみると、
図11に示すように、屈折率分布に窪み113、裾引き
114が見られた。
【0009】サイドコアにおける母材表面温度分布は、
母材形状とバーナ火炎の広がりの影響とにより形成され
る。従来のバーナは、その断面が同心円状の多重管構造
となっており、かつ、燃焼ガスのH2 が中心層近くの第
2層目から噴出している。このため、図10に示される
ように、母材101のA部に当たる火炎の温度が一番高
く、以下、B部、C部の順に火炎温度が低くなる。さら
に、サイドコア102における母材の径の拡大部ではA
部、B部、C部の順に径が大きくなっているので母材表
面温度を上げるために必要な熱量は、A部、B部、C部
の順に多くなっている。与えられる熱量が均一に近いと
すると、母材表面温度分布は、A部、B部、C部の順に
低くなる。また、B´部は、母材径が小さいので温度上
昇に必要な熱量は少なくてよいが、B´部には火炎の外
側が当たり、火炎の中心部のようには熱量が大きくない
ので、表面温度がA部よりも低くなる。この結果、図1
1に示す表面温度分布となる。
【0010】ここで、屈折率分布は、母材中へのGeの
添加量分布であり、このGeの添加量は母材表面温度分
布に依存するので、図11に示されるように、センター
コア111とサイドコア112との間に屈折率分布にΔ
nの低い窪み113があり、サイドコア112の中央部
で高くなり、外周部にかけてΔnが低くなる裾引き11
4の形になる。
【0011】このような屈折率分布の母材をファイバ化
し、そのファイバの分散特性を調べたところ、コア径変
化に対する分散値の変動率が大きく、いわゆる分散制御
性に劣るものになった。
【0012】そこで、本発明の目的は、上記課題を解決
し、サイドコアの屈折率分布を均一にする光ファイバ母
材製造方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明は、センターコアを囲むサイドコアがセンター
コアよりも低い屈折率を有し、かつそのサイドコアを囲
むクラッドよりも高い屈折率を有する分散シフト光ファ
イバ母材をVAD法にて製造する方法において、多孔質
母材のサイドコア部分を合成するバーナを角型多重管構
造とし、その吹出口の中心に配置される原料ガス投入層
を堆積軸に沿う方向に長軸を有する長方形とし、この原
料ガス投入層を長軸方向に複数の層に分割し、各分割層
よりガラス原料ガスを投入すると共に2つ以上の分割層
でガラス原料ガスにドーパントガスを加え、かつ1つ以
上の分割層でガラス原料ガスに水素ガスを添加するもの
である。
【0014】上記多孔質母材のサイドコア部分の表面温
度がドーパントガスの濃い部分でドープ効率を抑制する
高い温度となってもよい。
【0015】上記原料ガス投入層の分割層を3層とし、
ガラス原料ガスに対するドーパントガスの濃度比を、セ
ンターコアに近い部分を合成する分割層から順にa1
2 ,a3 とし、これらの濃度比がa1 =0かつa2
3 の関係を満たしてもよい。
【0016】
【作用】上記構成により、堆積軸に沿う方向に分割層が
並び、かつ2つ以上の分割層でガラス原料ガスにドーパ
ントガスが添加されるので、各々の分割層によるドーパ
ントガスの濃度比の空間的変化を合成した濃度比の空間
的変化が得られる。屈折率はドープ量に依存し、ドープ
量はドーパントガスの濃度比に依存するので、上記濃度
比の空間的変化は屈折率分布に寄与する。従って、2つ
以上の分割層でガラス原料ガスにドーパントガスを添加
することにより、屈折率分布を整えることが可能とな
る。
【0017】一方、堆積軸に沿って部分的に水素ガスを
添加すると、燃焼によってその部分の温度が高まるの
で、堆積軸に沿って多孔質母材の表面温度の変化が得ら
れる。ドープ量は温度にも依存するので、1つ以上の分
割層で水素ガスを添加することにより、屈折率分布を整
えることが可能となる。
【0018】2つ以上の分割層でドーパントガスを添加
し、かつ1つ以上の分割層で水素ガスを添加することに
より、それぞれの屈折率分布を整える効果が併せられ、
屈折率分布の平坦化が可能となる。
【0019】ドーパントガスの濃い部分のドープ量を他
の部分のドープ量と同じようにするには、ドープ効率を
抑制するべく上記表面温度の変化を与えればよい。ここ
で、ドープ効率の温度依存性は、ある温度までは温度を
高くするほうがドープ効率が高くなるが、ある温度を越
えると逆にドープ効率が低くなる。そこで、ドーパント
ガスの濃い部分でドープ効率を抑制する高い温度とする
ことにより、ドープ量が他の部分と同じになり、屈折率
分布の平坦化が達成できる。
【0020】堆積軸に沿う方向に分割層が並ぶので、堆
積の進む側にある分割層がセンターコアに近い部分を合
成する分割層となる。センターコアより遠い部分を合成
する分割層でのドーパントガスの濃度比a3 を中間の分
割層での濃度比a2 より高くすることにより、センター
コアより遠い部分でのドープ量が補われ、従来見られた
屈折率分布の裾引きが防止される。
【0021】一方、センターコアに最も近い部分を合成
する分割層での濃度比a1 をゼロとする、即ち、この分
割層よりガラス原料ガスのみを投入することにより、セ
ンターコア周辺へのドーパントガスの拡散が抑制され、
従来センターコアとサイドコアとの間に発生しやすかっ
た屈折率分布の不整が防止される。
【0022】
【実施例】以下本発明の一実施例を添付図面に基づいて
詳述する。
【0023】本発明に係るサイドコア用バーナの吹出口
の形状を図3に示す。図示のようにこのサイドコア用バ
ーナ31は角型多重管構造になっている。吹出口の中心
に配置される原料ガス投入層32は、長方形であり、長
軸に沿って3つの層に分割されている。ここではこれら
の分割層を図の下から順に第1層33、第2層34、第
3層35と呼ぶ。この例では、分割の割合は、第3層3
5が大きく、原料ガス投入層32の半分近くを占めてい
る。以下、第2層34、第1層33の順に小さくなって
いる。この原料ガス投入層32は周囲が三重に囲まれて
おり、この周囲の層は内側から順に、燃焼ガスとしてH
2 を投入する燃焼ガス投入層36、不活性ガスであるA
rを投入する不活性ガス投入層37、助燃用のO2 を投
入する助燃用ガス投入層38となっている。
【0024】このサイドコア用バーナを使用して分散シ
フト光ファイバ母材をVAD法にて製造する様子を従来
例の図7を用いて説明する。3つのバーナが多孔質母材
71の堆積軸に対して傾斜して設けられている。下に配
置されたものから順に、センターコア用バーナ72、サ
イドコア用バーナ73、クラッド用バーナ74である。
ただし、本発明の実施例では、サイドコア用バーナ72
は図3に示したサイドコア用バーナ31である。
【0025】図1、図2には、サイドコア用バーナ31
だけが示されている。原料ガス投入層32の長軸が堆積
軸(鎖線)に沿う方向に置かれる。そして、第1層33
が堆積の進む側に位置し、センターコアに近い部分を合
成する分割層となる。
【0026】原料ガス投入層32は、各分割層33,3
4,35よりガラス原料ガスを投入するだけでなく、ド
ーパントガスを加えるようになっている。このガラス原
料ガスに対するドーパントガスの濃度比は、各分割層3
3,34,35で相違している。また、分割層によって
は、ガラス原料ガスに水素ガスを添加するようになって
いる。
【0027】具体的な例として、センターコア用バーナ
31からは、SiCl4 =200mg/min,GeC
4 =18mg/min,H2 =2リットル/min,
2 =6.5リットル/min,Ar=1.2リットル
/minを投入する。
【0028】サイドコア用バーナ32では、第1層33
からSiCl4 =1.2g/min,Ar=1000m
リットル/minを、第2層34からSiCl4 =0.
4g/min,GeCl4 =5mg/min,Ar=8
00mリットル/minを、第3層35からSiCl4
=0.4g/min,GeCl4 =10mg/min,
2 =2.0リットル/min,Ar=400mリット
ル/minを、燃焼ガス投入層36からH2 =4.0リ
ットル/minを、不活性ガス投入層37からAr=
4.2リットル/minを、助燃用ガス投入層38から
2 =15リットル/minをそれぞれ投入する。ガラ
ス原料ガスに対するドーパントガスの濃度比を第1層3
3から順にa1 ,a2 ,a3 とすると、a1 =0、かつ
2 <a3の関係となっている。
【0029】また、クラッド用バーナ33からは、Si
Cl4 =5g/min,H2 =35リットル/min,
2 =45リットル/min,Ar=10リットル/m
inを投入する。
【0030】各バーナの投入ガスによる火炎加水分解反
応により生成したガラス微粒子が棒状に堆積される。こ
のようにしてセンターコア径14mm、サイドコア径5
6mm、クラッド径100mm、コア長400mmの多
孔質母材が得られる。この多孔質母材を炉内温度が16
00℃、炉内雰囲気がHe=20リットル/min,C
2 =100mリットル/minの供給により維持され
た石英炉心管を持つ電気炉で加熱し、脱水及び透明ガラ
ス化を行うと、直径49mm、長さ210mmの透明ガ
ラス母材が得られる。
【0031】この透明ガラス母材の屈折率分布を図4に
示す。図4の屈折率分布は、ほぼ図6と同じようにセン
ターコアに相当する中央部分41、サイドコアに相当す
る平坦部分42、クラッドに相当する平坦部分43から
なる。この屈折率分布から分かるように、この透明ガラ
ス母材はコアが二重構造を持ったDSC型となってお
り、クラッドに対するセンターコアの比屈折率差は0.
85%、センターコアとサイドコアとの屈折率の比率は
1:3.5である。この透明ガラス母材を延伸した後、
VAD法にて所定のクラッド層を外付けし、全合成化を
行う。このようにして得られた光ファイバ全合成母材
(プリフォーム)を線引きしてファイバとする。
【0032】このファイバの諸特性を測定した結果、
1.55μm帯での伝送損失が0.203dB/Km、
零分散波長が1560nm、分散スロープが0.085
PS/Km/nm2 、モードフィール径が8.2μmと
良好な結果であった。
【0033】本発明の作用効果を図1、図2を用いて詳
しく説明する。図1は、多孔質母材の製造時のGeの濃
度分布及び表面温度分布を多孔質母材1の堆積軸に沿っ
て示し、透明ガラス母材の屈折率分布を多孔質母材1の
径に沿って示したものである。また、図2は、円で囲ん
だサイドコア近傍Sの拡大図であり、Geの濃度分布も
拡大されている。この多孔質母材1はセンターコア部分
2、サイドコア部分3、クラッド部分4からなり、サイ
ドコア部分3はサイドコア用バーナ31によって合成さ
れる。
【0034】ここで、透明ガラス母材の屈折率分布は、
SiO2 が主成分の多孔質母材にドープされるGeO2
の濃度分布によって形成される。ドープ剤であるGe
は、SiO2 に固溶した形でドープされる。そのドープ
量は、GeCl4 の絶対量(ガス濃度)と多孔質母材の
表面温度とに依存する。固溶性Geのドープ量の温度依
存性は、500℃〜800℃の範囲では温度上昇と共に
ドープ量が増加を示すが、800℃を越えると逆にドー
プ量が減少を示す。
【0035】まず、各分割層でドーパントガスを添加し
た効果を説明する。Geが多孔質母材にドープされるた
めには、その雰囲気中にある濃度のGeが存在する必要
がある。従来のバーナによるGe濃度分布は、図11に
示されるように、火炎の中心部が当たる部分を中心とし
た放射線状の分布形状となる。本発明のサイドコア用バ
ーナ31では、3分割した原料ガス投入層32のうち、
第2層34及び第3層35からGeCl4 を投入し、さ
らに第2層34に対し第3層35のGeCl4 濃度比を
高くしている。
【0036】このようにGeの投入層を2層に分けたこ
とで、第2層34、第3層35それぞれによる分布2
1、22を堆積軸の方向にずらして形成することにな
り、それらの合成の分布23は、堆積軸の方向に幅が広
がっている。こうして、図11に見られたサイドコア外
周部の裾引き114の発生を防いでいる。また、各分割
層で濃度比を変えることによって合成の分布23の形状
を好適なものに整えることができる。
【0037】また、第1層33に供給する原料ガスをS
iCl4 ガスのみとすることで、センターコア周辺部へ
のGe拡散を抑制し、センターコアとサイドコアとの間
に発生しやすい屈折率分布不整(ツノ81a)を防いで
いる。
【0038】次に、水素ガスを添加した効果を説明す
る。
【0039】Ge濃度分布のサイドコアの部分に着目す
ると、Ge濃度は中央部で最大になっている。特に、G
eの投入層を2層にした場合、それぞれによる分布2
1、22の重なり合う部分は、両方の層からGeが投入
されるため、他に比べてGe濃度が高くなりやすい。合
成の分布23は、中央部で特に高濃度である。これがそ
のまま屈折率分布に反映されると、図1の屈折率分布に
破線で示した突起6が生じる。
【0040】一方、図1の表面温度分布を見ると図11
の従来の温度分布に比べてこの温度分布は、サイドコア
のテーパの上半分で温度が高めでかつ温度差が小さくな
っている。これは、サイドコア用バーナの吹出口を長方
形にし、かつ水素ガスを第3層35から噴出させたこと
による。サイドコアの外周部、即ち母材の径が大きくな
る領域に当たる火炎に含まれる水素ガス量が第3層35
から噴出される分だけ径が小さい領域に比べて多くなる
ため、母材表面温度を上げるための熱量が径に応じて得
られることになり、その結果、温度差が小さくなってい
る。
【0041】原料ガス投入層32に添加する水素ガスが
少ない場合、一部破線5で示した分布となり多孔質母材
の表面のほとんどの位置で温度が700℃近傍にあるこ
とになる。このためGeの濃度分布がそのまま屈折率分
布に反映する。この場合、サイドコアの屈折率分布の中
央部にツノ状の突起6が生じやすい。
【0042】原料ガス投入層32に水素ガスを多く添加
した場合、表面温度分布の破線5の部分が実線7のよう
になり、多孔質母材の表面温度が部分的に800℃以上
となる。この例では、第3層35が原料ガス投入層32
の上半分を占めており、その第3層35に水素ガスを添
加したことによる温度上昇効果は母材径の小さい中央部
に顕著となる。従って、実線7のように中央部が800
℃以上となる。この部分でドープ効率を抑制することが
できる。合成の分布23が中央部で特に高濃度となっ
て、ちょうどツノ状の突起6が生じやすい位置におい
て、表面温度が800℃以上となりドープ効率が抑制さ
れることになる。このようにして屈折率分布の平坦化が
達成できる。
【0043】次に他の実施例を説明する。
【0044】図5に示されるように、サイドコア用バー
ナ51の吹出口は原料ガス投入層52が5層(52a,
52b,52c,52d,52e)に分割されている。
原料ガス投入層52の周囲の層は図3の例と同じであ
る。このように原料ガス投入層52を5層分割とするこ
とにより、ガラス原料ガスに対するドーパントガスの濃
度比の空間的制御及び水素ガス添加による温度分布制御
が精度よく行なえ、屈折率分布制御の制御性がいっそう
向上する。
【0045】
【発明の効果】本発明は次の如き優れた効果を発揮す
る。
【0046】(1)原料ガス投入層を複数の層に分割
し、2つ以上の分割層でガラス原料ガスにドーパントガ
スを加えたので、ドーパントガスの空間的濃度制御が可
能となり、また、1つ以上の分割層でガラス原料ガスに
水素ガスを添加したので表面温度分布制御が可能となっ
た。これにより屈折率分布を決定する要因を2つとも制
御して屈折率分布を設計どおりに実現ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例による多孔質母材の製造時の
Geの濃度分布及び表面温度分布と、透明ガラス母材の
屈折率分布とを示した図である。
【図2】図1の要部拡大図である。
【図3】本発明のサイドコア用バーナの吹出口の正面図
である。
【図4】本発明の実施例で製造した透明ガラス母材の屈
折率分布を示した図である。
【図5】本発明の他の実施例を示すサイドコア用バーナ
の吹出口の正面図である。
【図6】二重コア(DSC)ファイバの屈折率分布を示
した図である。
【図7】VAD法における多孔質母材の合成の様子を示
す図である。
【図8】従来例の透明ガラス母材の屈折率分布を示すで
ある。
【図9】従来の多重同心円管構造を有するバーナの吹出
口の正面図である。
【図10】母材表面温度分布を示す母材の側面図であ
る。
【図11】従来の母材表面温度分布と屈折率分布を示し
た図である。
【符号の説明】
1 多孔質母材 3 サイドコア部分 31 サイドコア用バーナ 32 原料ガス投入層 33 第1層 34 第2層 35 第3層 36 燃焼ガス投入層 37 不活性ガス投入層 38 助燃用ガス投入層

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 センターコアを囲むサイドコアがセンタ
    ーコアよりも低い屈折率を有し、かつそのサイドコアを
    囲むクラッドよりも高い屈折率を有する分散シフト光フ
    ァイバ母材をVAD法にて製造する方法において、多孔
    質母材のサイドコア部分を合成するバーナを角型多重管
    構造とし、その吹出口の中心に配置される原料ガス投入
    層を堆積軸に沿う方向に長軸を有する長方形とし、この
    原料ガス投入層を長軸方向に複数の層に分割し、各分割
    層よりガラス原料ガスを投入すると共に2つ以上の分割
    層でガラス原料ガスにドーパントガスを加え、かつ1つ
    以上の分割層でガラス原料ガスに水素ガスを添加するこ
    とを特徴とする光ファイバ母材製造方法。
  2. 【請求項2】 上記多孔質母材のサイドコア部分の表面
    温度がドーパントガスの濃い部分でドープ効率を抑制す
    る高い温度となることを特徴とする請求項1記載の光フ
    ァイバ母材製造方法。
  3. 【請求項3】 上記原料ガス投入層の分割層を3層と
    し、ガラス原料ガスに対するドーパントガスの濃度比
    を、センターコアに近い部分を合成する分割層から順に
    1 ,a2 ,a3 とし、これらの濃度比がa1 =0かつ
    2 <a3 の関係を満たすことを特徴とする請求項1又
    は2記載の光ファイバ母材製造方法。
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