JP2995025B2 - 沸騰水型原子炉用燃料被覆管及び燃料棒並びにその製造方法 - Google Patents

沸騰水型原子炉用燃料被覆管及び燃料棒並びにその製造方法

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JP2995025B2
JP2995025B2 JP10035059A JP3505998A JP2995025B2 JP 2995025 B2 JP2995025 B2 JP 2995025B2 JP 10035059 A JP10035059 A JP 10035059A JP 3505998 A JP3505998 A JP 3505998A JP 2995025 B2 JP2995025 B2 JP 2995025B2
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照雄 原
大和 朝倉
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和彦 赤嶺
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    • Y02E30/30Nuclear fission reactors

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  • Monitoring And Testing Of Nuclear Reactors (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はBWR(沸騰水型原子
炉)用燃料被覆管に係り、特に、炉水放射能濃度を低減
するのに好適なBWR用燃料被覆管及びそれを備えた燃
料棒並びにその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】BWRプラントの炉水制御技術として、
例えば特開昭62−85897号公報,特開昭63−9
0796号公報等に記載の技術がある。
【0003】特開昭62−85897号公報記載の従来
技術では、BWRの給水系中の鉄濃度とニッケル濃度と
の比(Fe/Ni)が所定値以上となるように、給水系
中のFe/Niがこの所定値を下回ったとき、給水系路
内にFe酸化物の懸濁液やFe水酸化物の懸濁液を注入
するようにしている。
【0004】また、特開昭63−90796号公報記載
の従来技術では、原子炉に新しい燃料棒を装荷した後、
冷却水に鉄イオンを注入しつつ核加熱による予備運転を
行うことで、燃料棒表面に鉄酸化物の層を形成し、その
後、イオンの注入量を下げ、冷却水のFe/Niモル濃
度を2〜10の値に保つように調整している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来技術で
は、鉄とニッケル等との比率を一定範囲に入るように制
御することで、放射性イオンをフェライト化させ燃料棒
の表面に捕捉させることで、炉水中から放射性イオンを
除去するようにしている。しかし、これらの従来技術
は、炉水中の金属イオンの燃料棒表面への付着速度が十
分に大きいことを前提にしている。
【0006】Zrライナー管燃料は、今後、BWR用燃
料棒として炉心に順次装荷される新しい燃料棒である
が、その表面は平滑であり、金属イオンの燃料棒表面へ
の付着速度は小さい。このため、フェライト化反応の前
に生じるべき鉄クラッドおよび放射性イオンの燃料棒表
面への付着が不十分となり、炉水中の放射能を効率よく
除去できないという問題が判明した。
【0007】本発明の目的は、Zrライナー管燃料のよ
うに表面にクラッドの付着が困難な燃料棒が炉心に装荷
されるBWRにおいても炉水中の放射能を効率よく低減
できるBWR用燃料被覆管及びそれを備えた燃料棒並び
にその製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的は、ジルコニウ
ムの内張りを備えた沸騰水型原子炉用燃料被覆管におい
て、前記燃料被覆管の外表面の少なくとも一部に、金属
酸化物の層が形成されていることにより、達成される。
【0009】上記目的は、好適には、金属酸化物の層厚
が10μm以上であることにより、更に、金属酸化物の
層の空隙率が5%以上であることにより、更にまた、金
属酸化物を構成する金属元素が、Be,Al,Ti,F
e,Y,Zr,Nb,Moから選ばれた一つ以上の元素
であることにより、達成される。
【0010】上記目的は、燃料棒が、上記金属酸化物の
層を形成した何れかの燃料被覆管と、該燃料被覆管内に
装填される燃料ペレットと、前記燃料被覆管の上端及び
下端を密封する上部端栓及び下部端栓とを備えたことに
より、達成される。
【0011】上記目的は、燃料棒の製造方法において、
ジルコニウムの内張りを備えた燃料被覆管の外表面に、
溶射によって金属酸化物の層を形成するステップと、前
記燃料被覆管内に燃料ペレットを装填し、上部端栓及び
下部端栓を取り付けるステップとを有することにより、
達成される。
【0012】上記目的は、ジルコニウムの内張りを備え
た燃料被覆管の外表面を金属酸化物の懸濁溶液又は金属
イオン含有溶液の何れかと接触させ、その後乾燥するこ
とにより、前記燃料被覆管の外表面に前記金属酸化物の
層を形成するステップと、前記燃料被覆管内に燃料ペレ
ットを装填し、上部端栓及び下部端栓を取り付けるステ
ップとを有することにより、達成される。
【0013】上記目的は、前記接触が、前記何れかの溶
液を前記燃料被覆管の外表面に塗布することにより行な
われることにより、達成される。
【0014】
【作用】Zrライナー管燃料は、従来の燃料被覆管には
なかった純ジルコニウムの内張りがあるため、従来行っ
ていたオートクレーブ処理が容易にできなくなってしま
った。このため、Zrライナー管燃料の被覆管では、そ
の外表面処理を機械研磨により行っている。このように
外表面処理を機械研磨に変更したことにより、炉水中の
不純物が燃料被覆管外表面に付着しにくくなるという現
象が起きる。このため、放射化した不純物が燃料被覆管
に捕捉されず、炉水中の放射能を増加させる可能性があ
る。
【0015】炉水中の金属イオン,金属化合物および金
属粒子の燃料被覆管外表面への析出は、被覆管外表面で
の炉水の沸騰によって起こる。この沸騰は、被覆管外表
面を基点として小さな気泡ができてきて徐々に成長して
いき、やがてその気泡が外表面から離脱するというもの
である。この過程において、水が水蒸気となって気相へ
転じるときに、その水に含まれていた金属イオンや金属
化合物および金属粒子が、気泡の基点となっている被覆
管外表面に析出する。この現象は、新型の燃料被覆管で
も従来の燃料被覆管でも同様に起こっている。
【0016】従来の燃料被覆管では、被覆管の外表面が
燃料被覆管製造工程のオートクレーブ処理によってでき
た多孔質の酸化ジルコニウム層で被われているため、析
出した不純物が付着しやすくなっている。これに対し
て、新型のZrライナー燃料被覆管では、表面が研磨さ
れ滑らかになっているため、一度付着した不純物が剥離
して炉水中へ戻りやすくなっている。このため、Zrラ
イナー燃料被覆管では結果的に金属イオン等の炉水中の
不純物の析出が進まなくなる。一方、炉水中の金属イオ
ンは析出の際に金属酸化物となるが、このときの反応を
鉄イオンを例として示すと、次の化1のようになる。
【0017】
【化1】
【0018】そこで、本発明の燃料被覆管では、金属酸
化物の多孔質層を燃料被覆管外表面に燃料装荷前から形
成しておくことにより、炉水中の金属イオン,金属化合
物および金属粒子の析出する表面積を増やし、一度析出
した不純物が剥離しないように粗い表面を持たせて付着
を促進させる。
【0019】Zrライナー管を用いた燃料ではオートク
レーブ酸化処理が省かれており、クラッドや金属イオン
の付着速度係数が低いため、放射性イオンの燃料上での
固定化が十分ではなく、炉水放射能が高くなりやすい。
従来の燃料被覆管(RJ)とZrライナー管(BJ)に
おける各種金属イオンの付着速度係数を調べた結果を図
1に示す。Zrライナー管では、特に初期において金属
イオンの付着速度係数が小さく、従来の燃料被覆管の1
/10以下である。しかし、Zrライナー管でもクラッ
ドの付着が進むに従って付着速度係数は大きくなる。こ
の付着速度係数の増大は、初期において急激で、30μ
g/cm2 以上では増加は緩やかになり、従来の燃料被
覆管との差はあまりなくなる。このため、この値以上に
燃料棒にクラッドが付着した後は、従来の燃料被覆管と
同様に、燃料棒への放射性イオンの固定化が有効に進む
ものと考えられる。つまり、Zrライナー管でも初期に
一定以上のクラッド付着を生じさせれば、炉水放射能の
低減が可能となる。
【0020】本発明の好適な実施形態では、燃料被覆管
に形成させる金属酸化物の厚さを10μm以上としてい
る。これは、この程度の層厚にすることでオートクレー
ブ処理をした被覆管と同程度の金属イオン,クラッド捕
捉能力を有するようになるからである。これは、図1か
ら容易に理解できる。図1では、Zrライナー燃料被覆
管への各種金属酸化物の付着密度が約100μg/cm
2 以上で、オートクレーブ処理した燃料被覆管と同等の
付着速度係数になっている。各種金属酸化物の密度が2
〜10g/cm3 であるから、層厚に換算すると最低で
も10μmということになる。また、図1からは付着速
度係数がZrライナー燃料被覆管への付着密度、つまり
層厚のみによって決定され、用いた金属元素の種類によ
らないことも分かる。
【0021】形成する酸化物の空隙率を5%以上とする
のは、次のような理由による。ここで形成する酸化物層
の役割は、炉水中の金属イオン,クラッドが析出付着す
る場を提供することにあり、防触皮膜の場合と違ってジ
ルカロイと水が接触することを妨げようとするものでは
ない。析出付着を促進させるという意味では、酸化物層
を多孔質状とすることにより水の酸化物層内部への浸透
をしやすくし、水を介しての熱の伝達を良くして沸騰を
促した方が良く、また表面も機械研磨によって滑らかに
表面が仕上げられているよりは多少粗くなっていて、析
出物が付着しやすく、表面積も大きくなっている方が良
い。酸化物層の空隙率を5%程度以上とすると、これら
の目的が達成される。
【0022】金属酸化物層を燃料被覆管外表面に形成す
る技術としては、金属酸化物の溶射や、懸濁液を用いる
ことで、Zrライナー管の内表面に存在する純ジルコニ
ウムに影響を与えることなく、容易に金属酸化物層を形
成させることができる。従来の燃料被覆管では、純ジル
コニウムの内張りがないため、容易にオートクレーブ処
理を行うことができたが、Zrライナー管でそのままオ
ートクレーブ処理を行うと、内張りされているジルコニ
ウムが酸化されてしまい、PCIの緩和に役立たなくな
る。
【0023】Zrライナー管にオートクレーブ処理を施
すには、燃料被覆管内を不活性な雰囲気としてこれを保
持できるように、被覆管両端を溶接などによって一度密
封しなければならない。その後、燃料ペレットを装填す
るため、溶接した一端を切断して最後に再び端栓を溶接
して燃料ペレットを密封するという非常に手間のかかる
処理を行わなければならない。
【0024】これに対し、本発明の燃料被覆管を製造す
るには、金属酸化物の溶射や懸濁液を用いるだけのた
め、オートクレーブ処理ほど温度や圧力の条件が厳しく
なく、それ程しっかりした密栓が必要なわけでもなく、
場合によっては密栓を使わなくてもかまわない。
【0025】または、燃料被覆管にペレットを詰めて端
栓を溶接して燃料棒として組み立てた後に、その外表面
に酸化物層を形成することも可能である。このため、Z
rライナー管外表面への金属酸化物層の形成は、Zrラ
イナー管のオートクレーブ処理による酸化膜の形成に比
べて容易に行うことができる。
【0026】原子炉内において、不純物として燃料被覆
管外表面に蓄積するものの殆どは鉄酸化物である。そこ
で、原子炉の中性子経済に影響を与えないためと、原子
炉の定期検査時の被曝低減の観点から、燃料被覆管外表
面に形成される金属酸化物層の金属元素に要求される条
件としては、放射化断面積が鉄と同程度以下であるこ
と、および生成される放射能の半減期が短くて、放射能
としての蓄積が鉄の場合と同等以下であることが挙げら
れる。
【0027】また、形成する金属酸化物が水と反応しな
いことも重要な条件である。この条件を満たすものとし
ては、Be,Al,Ti,Fe,Y,Zr,Nb,Mo
の酸化物が挙げられるが、これらの中でも放射化断面積
の非常に小さいBeや、放射能として蓄積しにくいA
l,Tiが特に材料として有望である。
【0028】また、本発明の燃料被覆管において、金属
酸化物層の形成を炉外で行うことができ、このようにす
れば金属酸化物層の検査を容易にできるほか、層厚,空
隙率を容易に調整することができる。
【0029】
【実施例】以下、本発明の一実施例について図面参照し
て説明するが、その前に、被覆管表面に予め金属酸化物
層を形成しなかった場合の対策について説明する。
【0030】その対策としては、 (1)BWRプラントにおける燃料交換後の新しい燃料
装荷後のサイクルにおいて、前記燃料へのクラッドの付
着量が当該サイクル内で一定の目標値に達するように、
前記燃料へのクラッドの付着を促進させる操作をし、ク
ラッドの付着量が当該目標値に達した後に、当該操作を
停止する。
【0031】(2)上記(1)において、前記燃料への
クラッドの付着の目標値を、新しく装荷した燃料に対し
て、平均した値を0.03mg/cm2 以上に設定す
る。
【0032】(3)上記(1)(2)において、燃料へ
のクラッドの付着を促進させる操作として、高濃度鉄ク
ラッド注入,低溶解度金属元素注入,アルカリ側運転の
うちの一つ以上の操作を用いる。
【0033】(4)BWRプラントにおける新しい燃料
装荷後のサイクルにおいて、当該サイクル内の初期に注
入する鉄と低溶解度金属元素の合計が3×10-5g/c
2 に全新装荷核燃料の表面積の和を乗じて得られる
値以上の一定値になるまで注入し、その後注入を停止す
る。
【0034】(5)上記(3)(4)において、前記低
溶解度金属元素がBe,Zr,Al,Nb,Y,Tiの
うちから選ばれた一つ以上の元素とする。
【0035】(6)BWRプラントにおける新しい燃料
装荷後のサイクルにおいて、当該サイクル内の初期に炉
水のpHを7以上9以下の範囲にコントロールし、一定
期間後の同一サイクル内においてpHを7以下に下げ
る。
【0036】(7)上記(1)〜(6)のいずれかにお
いて、新しく装荷される燃料を、Zrライナー管とす
る。
【0037】(8)BWRプラントの起動運転時に、
装荷燃料集合体表面に酸化物層を加速的に形成する装置
を設置する。
【0038】(9)BWRプラントの起動運転時に、給
水中に含まれる金属元素濃度を通常運転時より高め、燃
料集合体表面に金属酸化物付着層を加速的に形成可能に
構成する。
【0039】(10)上記(9)において、前記給水中
に含まれる金属元素を高めるために、給水ヒータの上流
側から付着金属元素を注入する。
【0040】(11)上記(10)において、前記付着
金属として遷移金属元素を注入する。 (12)上記の(8)〜(11)のいずれかにおいて、
給水系からの注入積算量を、燃料集合体の全表面積で割
った値である注入金属酸化物付着密度が100μg/c
2 以上になるように設定する。
【0041】(13)上記の(12)において、起動運
転期間中または定格運転期間中に注入金属酸化物付着密
度が100〜400μg/cm2 を超えた時点で、冷却
水中に含まれる注入金属元素濃度を低下させる。
【0042】(14)上記の(13)において、前記注
入金属元素濃度の低減時の濃度が、給水中のNi濃度に
対してモル濃度比で2を下回らない値に制御する。
【0043】(15)上記の(8)において、前記
荷燃料集合体表面に酸化物層を加速的に形成する装置と
して、給水中の金属元素濃度富化装置と、金属元素の富
化量の制御装置とを備える。
【0044】BWRにおける燃料棒への金属イオンやク
ラッドの付着は、燃料表面における沸騰現象に伴って生
じるものと考えられており、配管等の沸騰のない所での
付着とは現象が異なる。この沸騰による付着の評価に
は、次の数1のような付着速度係数を用いてその付着効
率を評価している。
【0045】
【数1】 である。
【0046】炉水中には、腐食生成物を起源とする金属
イオン、クラッド等の不純物が含まれており、その一部
は炉内で中性子により放射化される。特に問題となるの
は、半減期が比較的長く、放射能が強い58Coおよび60
Coであり、これらの放射性イオンの一部は沸騰に伴っ
て燃料棒に付着する。燃料棒に付着した放射性イオン
は、同じように沸騰に伴って燃料棒に付着する鉄クラッ
ドと反応し、溶解度の低い安定なフェライト等の鉄系酸
化物として燃料棒に固定され、炉水から除去される。
【0047】このようにして、炉水放射能を低減するこ
とが可能となる。この方法は、鉄クラッドおよび金属イ
オン(放射性イオンを含む)の燃料棒への付着効率が高
いことを前提としており、従来のオートクレーブ酸化に
より酸化膜を付与した被覆管では、この前提は実現され
ていた。
【0048】図1を見て分かるように、金属の種類によ
って差異は認められないので、付着させるのは何であっ
ても付着速度係数の増大には同様な効果がある。これ
は、クラッド付着によりZrライナー管の地肌が覆わ
れ、堆積したクラッド上に次のクラッドが付着するよう
になり、その場合には付着効率が高くなるためと考えら
れる。このZrライナー管の地肌の殆どが実効的に覆わ
れるようになるのが0.03mg/cm2 以上に対応し
ていると推定できる。勿論、この値は原子量等に依存す
るが、図1に示した金属元素は原子量の値が近いため差
が出ていない。原子量の大きな金属では、必要な値がも
っと大きくなることが予想される。
【0049】以上のように、Zrライナー管における新
しい燃料棒の装荷時には燃料棒へのクラッドの付着を促
進する操作を運転初期において講じてやれば良い。具体
的な方法としては、次の三つの方法が考えられる。
【0050】(A)鉄濃度を他の金属成分との比でコン
トロールせずに、燃料棒への付着を促進できるように高
濃度で給水から供給する。
【0051】(B)鉄以外の低溶解度で付着速度係数の
大きい金属イオンを、給水から供給して燃料棒に付着さ
せる。
【0052】(C)炉水のpHを高めに制御して金属イ
オンの付着を促進する。
【0053】これらの方法は、併用することも単独で用
いることも可能であるが、同時にいずれも弊害を生じる
可能性があるので、必要な付着量に達したら、そのサイ
クル内は実施をやめた方が良く、新しくZrライナー管
燃料が装荷されたら、新しい燃料棒に十分なクラッドが
付着するまで、その都度実施すべきである。
【0054】鉄クラッドの注入は、他成分との濃度比を
一定にコントロールするために実施されており、電解鉄
注入装置またはコンデミバイパスのいずれかの方法が用
いられている。これらの方法を用いて前記(A)を達成
することが可能である。ただし、注入する鉄クラッドの
濃度を高くする必要があり、また1サイクルの途中でこ
れらの運転を中止できることが必要である。
【0055】運転中に燃料棒への付着量を直接測定する
ことはできないが、給水中の鉄クラッド濃度は測定でき
るので、この値を用いて計算コードにより付着量を計算
できる。この推定付着量を用いてコントロールしても良
いが、3×10-5g/cm2に全新装荷核燃料の表面
積の和を乗じて得られる値が0.03mg/cm2 の付
着量を得るのに必要な値であり、この値を総注入量の目
標として、注入装置その他のプロセスに支障のない範囲
の高濃度で鉄クラッドを注入すれば、それらの鉄クラッ
ドの殆どがいずれ燃料棒に付着する。一部の注入鉄のロ
スがある場合には、その分を考慮した、より大きい値を
目標値として注入すれば良い。
【0056】目標値まで鉄が入れば、放射性イオンの固
定化にも十分であるため、その後は注入する必要がな
い。前記(B)の方法を用いる場合にも、コントロール
の目標値は前記(A)の場合と同様にすれば良く、前記
(A)と(B)を併用する場合には、両方のトータルの
付着量または注入量が前述の基準に達すれば良い。
【0057】鉄以外の難溶性金属イオンを注入した場
合、注入時にはイオンであっても炉心ではかなりの部分
が固体になると考えられるので、直接固体微粒子として
注入しても良い。注入する金属イオンは、燃料表面に
付着するので、中性子経済の点から中性子吸収断面積が
小さい方が良く、また一部が放射化されて炉水中に出る
ので、溶解度はできるだけ低く、生成放射能は低いか,
半減期が短い方が良い。次の表1には、中性子吸収断面
積が小さいものから難溶性の金属イオンを生成放射能と
ともに列挙している。この表1からBe,Zr,Al,
Nb,Y,Tiが優れていることが分かる。
【0058】
【表1】
【0059】炉水のpHをアルカリ側で運転すると金属
イオンの付着速度係数は大きくなり、燃料棒に付着しや
すくなる。これは、金属イオンの付着が燃料表面での水
蒸気生成に伴う水の濃縮により、金属イオンが溶解度を
超えて析出し、さらに水が排除されることにより、燃料
表面と析出固体の距離が短くなり、付着力を生じるため
と考えられる。このため、溶解度が低くなると金属イオ
ンは付着しやすくなり、アルカリ側にすることによって
目的を達成することができる。
【0060】これは、炉水中に存在する腐食生成物を起
源とする金属イオンにもあてはまるので、アルカリ側に
するだけで燃料棒へのクラッドの付着は増加するが、前
記(A)および(B)と併用すると、より一層効果的と
なる。しかし、燃料被覆管の腐食はアルカリで極端に加
速されるので、これが生じるpH9以上にすることは好
ましくない。また、沸騰濃縮の影響を考えると、これ以
下でも腐食が加速される可能性があるので、付着量が目
標に達したら、pHを7以下に制御する方が良い。
【0061】BWRプラントに、その起動運転時に
荷燃料集合体表面に酸化物層を加速的に形成する装置を
設置した場合の効果について説明する。
【0062】前述のごとく、また図1からも分かるよう
に、燃料棒に付着させる金属元素の如何を問わず、初期
に一定以上のクラッドを付着させれば付着速度係数が増
大する。従って、BWRプラントの起動運転時に、燃料
集合体の表面に酸化物層を加速的に形成することによ
り、堆積したクラッドの上に次のクラッドを付着させる
ことができ、クラッドの付着効率を高めることができ
る。
【0063】また、BWRプラントに燃料集合体を新た
装荷した後の起動運転時に、給水中に含まれる金属元
素濃度を通常運転時より高めることにより、さらには給
水ヒータの上流側から付着金属元素を注入することによ
り、装荷燃料集合体の表面に酸化物層を加速的に形成
することができる。
【0064】さらに、付着金属元素としてFeのほか、
Zn,Al等の遷移金属元素を注入することにより、ま
た注入金属酸化物付着密度が100μg/cm2 以上に
なるように設定することにより、さらには注入金属酸化
物付着密度が100〜400μg/cm2 を超えた時点
で、冷却水中に含まれる注入金属酸化物付着密度を低下
させることにより、そして注入金属酸化物付着密度の低
減時の濃度が給水中のNi濃度に対し、モル濃度比で2
を下回らない値に制御することにより、それぞれ効率良
装荷燃料集合体の表面に酸化物層を形成することが
できる。
【0065】このように、装荷燃料集合体として、燃
料製造時に燃料被覆管表面に酸化皮膜形成処理を施して
いない燃料集合体を用いる場合、給水中の金属元素濃度
を富化する装置と、金属元素の富化量の制御装置とを設
ける。そして、金属元素の富化量の制御装置は、給水中
の金属元素濃度、Ni濃度に基づいて算出した燃料集合
体表面での金属元素では付着密度およびNi付着密度を
指標として金属元素の富化量を制御する。これにより、
装荷燃料集合体に酸化皮膜形成処理を施していないも
のを使用した場合であっても、その表面に酸化物層を的
確に形成することができる。
【0066】以下、具体的に説明する。図2は、上述し
たように炉水中の金属濃度を高めることで被覆管表面に
金属酸化物層を形成する場合のプラント系統図であり、
図3は給水鉄濃度とpHの制御の一例を示す図である。
【0067】図2に示す例では、Zrライナー燃料
(燃料集合体)を新たに装荷して運転開始されるBWR
プラントを示すもので、タービン1を出た蒸気は復水器
2で水に戻され、ここを出た復水は復水ポンプ3により
復水フィルタ4を通り、復水脱塩器5により不純物を除
去される。浄化された水は、給水ポンプ6、低圧給水加
熱器7、昇圧ポンプ8、高圧給水加熱器9を通って原子
炉圧力容器10に導かれる。
【0068】このため、炉水中には主として高圧給水加
熱器9および原子炉圧力容器10で生成された腐食生成
物である鉄クラッド,ニッケルおよびコバルト等の金属
イオンが含まれている。これらの一部は、原子炉再循環
ポンプ11の上流から分岐した配管に接続されている原
子炉浄化系12で除去されるが、その割合は少なく、殆
どが炉水および燃料表面に存在することになる。
【0069】原子炉圧力容器10内には、運転開始前に
新しいZrライナー燃料13が装荷されている。運転
開始とともに原子炉の出力が上昇し、Zrライナー管
料表面で沸騰が生じるようになる。これに伴って、電解
鉄注入装置14を運転して鉄クラッドを生成させ、注入
バルブ15を通して鉄クラッドを給水中に注入する。注
入濃度は、約2ppbに一定になるようにコントロール
し、注入した鉄の総量が5×10-5g/cm2 ×全新装
荷核燃料の表面積の和(cm2 )に達したら注入を中
止する。
【0070】また、複数塔存在する復水脱塩器5内の陽
イオン交換樹脂の一部をNa型にしておき、これに復水
を通すことによりpHを上昇させ、給水のpHを約7.
5とする。鉄クラッド注入中止後もしばらくpH7.5
で運転した後、Na型にした陽イオン交換樹脂の入った
樹脂塔への通水を止め、他の樹脂塔に切り替えることに
よりpHを下げ、給水のpHを6.8として1サイクル
終了まで運転する。これを図3に模式的に示す。
【0071】以上のように、この例ではBWRプラント
における新しいZrライナー燃料13の装荷後の運転
開始時に、Zrライナー燃料13へのクラッドの付着
量が運転初期の段階で一定の目標値に達するように、Z
rライナー管燃料13へのクラッドの付着を促進させる
操作をする。その後、クラッドの付着量が当該目標値に
達したら、クラッドの付着を促進させるための操作を停
止する。
【0072】前述のごとく、Zrライナー燃料13で
はオートクレーブ酸化処理が省かれており、クラッドや
金属イオンの付着速度係数(K)が小さい。図1からも
分かるように、Zrライナー燃料13では特に運転
初期において金属イオンの付着速度係数(K)が小さ
く、従来の燃料被覆管の1/10以下である。このた
め、放射性イオンの燃料上での固定化が十分ではなく、
炉水放射能が高くなりやすい。ところが、Zrライナー
燃料13でも、クラッドの付着が進むに従って付着速
度係数(K)が大きくなる。
【0073】そこで、この例では新しいZrライナー
燃料13の装荷後、起動運転の初期の段階でクラッドの
付着を促進させる操作を行うようにしている。したがっ
て、Zrライナー燃料13へのクラッドや金属イオン
の付着速度係数(K)を大きくし、付着効率を高めるこ
とができる。その結果、炉水中の放射能を低減すること
が可能となる。
【0074】また、この例では前記Zrライナー燃料
13へのクラッドの付着の目標値を、新しく装荷された
Zrライナー管燃料に対して、平均した値を0.03m
g/cm2 以上に設定している。
【0075】前記Zrライナー燃料13へのクラッド
の付着速度係数(K)の増大は、起動運転の初期におい
て急激で、しかも0.03mg/cm2 以上では増加が
ゆるやかになり、従来の燃料被覆管との差がなくなる。
【0076】そこで、この例では新しく装荷したZrラ
イナー燃料13へのクラッドの付着の目標値を、平均
した値を0.03mg/cm2 以上に設定している。従
って、Zrライナー燃料13に0.03mg/cm2
以上に付着した後は、従来の燃料被覆管と同様に、Zr
ライナー燃料13への放射性イオンの固定化が進もの
と考えられる。
【0077】さらに、この例において、Zrライナー
燃料13へのクラッドの付着を促進させる操作は、高濃
度鉄クラッド注入,低溶解度金属元素注入,アルカリ側
運転を単独で行っても良く、可能ならば併用しても良
い。
【0078】しかも、前記低溶解度金属元素注入を実施
する場合において、その低溶解度金属元素として、B
e,Zr,Al,Nb,Y,Tiの一つまたは複数を用
いても良い。
【0079】図4は別の例を示す系統図である。
【0080】この例は、燃料の1/3を新たなZrラ
イナー燃料に交換した場合に適用した例を示すもの
で、BWRプラントそのものは図2に示す例と同様であ
る。
【0081】図4の例では、燃料のうち1/3がZr
ライナー燃料に交換され、定検後運転が再開される。
運転開始され、燃料表面で沸騰が生じるようになった
後、Zrイオン注入装置16によりZrイオンを注入バ
ルブ17を通じて給水に注入する。そして、給水中のZ
r濃度を約50ppbになるように注入量を制御する。
【0082】注入されたZrイオンは、ZrO22 とし
て効率良くZrライナー管燃料13に付着し、燃料
の放射性イオンの付着を促進する。付着した放射性イオ
ンは、腐食生成物の鉄クラッド等と反応して安定な形態
に固定化される。炉水中のZr濃度は、サンプリング配
管18を通じてサンプリングされ、金属イオン濃度測定
装置19で濃度が測定される。計測された濃度データ
は、計算機20に送られ、計算コードにより新装荷の燃
上へのZr付着量が計算される。その計算された値
が0.05mg/cm2 となった時点で、注入バルブ1
7を閉め、Zrイオンの注入を停止する。
【0083】その結果、燃料の1/3をZrライナー
燃料に交換したBWRプラントにおいても、起動運転
の初期の段階で燃料へのクラッドや金属イオンの付着
を促進し、放射性イオンの固定化を図り、炉水中の放射
能を低減することができる。図5は更に別の例を示す系
統図、図6はこの例の運転特性図である。
【0084】図5に示す例は、低炉水放射能濃度BWR
プラントの一例を示すもので、装荷燃料集合体表面に
酸化物層を加速的に形成する装置として、電解鉄注入装
置21を設置している。
【0085】前記電解鉄注入装置21は、電解電源22
と、これに電気的に接続された電解槽23と、この電解
槽23と給水ポンプ6の上流側とを結ぶ配管24と、こ
の配管24に設けられた注入バルブ25とを備えて構成
されている。
【0086】そして、電解鉄注入装置21は原子炉圧力
容器10内にZrライナー燃料等の燃料集合体13の初
装荷後、BWRプラントの起動運転とともに運転され、
電解槽23により鉄イオンを生成し、その鉄イオンを配
管24および注入バルブ25を通じて給水ポンプ6の上
流側から冷却水中に注入する。
【0087】而して、BWRプラントの起動後、しばら
くの期間、例えば約2000時間は図6に示すように、
鉄イオンの濃度を1.5ppbの一定値に設定して注入
し、燃料集合体13の表面に鉄イオンを急速に付着さ
せ、注入金属酸化物付着密度である給水系からの注入積
算量を燃料集合体の全表面積で割った値が100μg/
cm2 以上になるように、鉄イオンの酸化物層を加速的
に形成する。
【0088】その後、注入金属酸化物付着密度が100
〜400μg/cm2 を超えた時点で、鉄イオンの注入
濃度を0.5ppbに下げ、炉水中に含まれる注入金属
酸化物濃度を低下させる。ただし、前記冷却水中に含ま
れる注入金属元素濃度を低下させる際、低減時の濃度が
給水中のNi濃度に対して、モル濃度で2を下回らない
値に制御するものとする。
【0089】以上により、BWRプラントの起動運転時
に、初装荷の燃料集合体13の表面に鉄イオンの酸化物
層を加速的に形成することができる。その結果、BWR
プラントの運転中の炉水放射能を有効に低減することが
できる。
【0090】尚、この例においては、電解鉄注入装置2
1で生成した鉄イオンを、そのまま冷却水中に注入した
が、注入前に空気等で鉄イオンを酸化処理し、不溶解性
の酸化鉄または水酸化鉄粒子(鉄クラッド)としても、
同様の効果を発揮させることが可能である。
【0091】図7は更に別の例を示す系統図、図8はこ
の例の運転特性図である。
【0092】図7に示す例では、装荷燃料集合体表面
に酸化物層を加速的に形成する装置として、復水系と給
水系間に、復水浄化装置である復水フィルタ4のバイパ
ス26が設けられており、このバイパス26にバイパス
弁27が設置されている。
【0093】そして、この例では、原子炉圧力容器10
内にZrライナー管燃料13を新た 装荷後の起動運転
時に、復水系でプラント構成材の腐食に伴って発生した
鉄イオンまたは酸化鉄あるいは水酸化鉄粒子を、復水フ
ィルタ4をバイパスさせて給水中に添加し、給水中に含
まれる鉄イオン等の金属元素濃度を、起動運転時に通常
運転時より高める。前記鉄イオン等の添加量の調整は、
バイパス弁27の開度を制御することによって行う。
【0094】これにより、冷却水中に外部より鉄イオン
等を注入することなく、復水中に含まれている鉄イオン
等を利用して、図8から分かるように、Zrライナー管
燃料13の表面に酸化物層を加速的に形成することがで
きる。
【0095】尚、BWRプラントの給水系に設置されて
いる給水ヒータである例えば低圧給水加熱器の上流側か
ら鉄イオン等の金属元素を注入し、給水中に含まれる金
属元素を高めるようにしても良い。
【0096】図9は注入金属酸化物付着密度と炉水中の
Co濃度との関係を示す説明図である。
【0097】給水や冷却水中に注入するクラッドや金属
イオンは、Fe以外の金属元素であっても良い。その金
属元素としては、燃料集合体表面に付着するNi,Co
と化合して、Ni,Co酸化物よりも溶解度の小さい化
合物を形成できるものが望ましい。特に、Zr,Cr,
Al等の遷移金属は図9からも分かるように、Ni,C
oと化合し、離溶解性スピネル酸化物を形成することが
可能である。
【0098】図10に示す例では、復水系と給水系間に
接続された抽水配管28と、これに設けられた抽水弁2
9および金属元素濃度富化装置30と、この金属元素濃
度富化装置30に接続された制御装置31と、原子炉浄
化系12の上流側にサンプリング配管32を通じて設け
られかつ制御装置31に接続された金属イオン濃度測定
装置33とを備えて構成されている。前記金属元素濃度
富化装置30には、例えば金属元素に酸素を吹き込んだ
り、または金属元素を加熱処理する等により、給水中の
金属元素濃度を富化する装置が用いられている。
【0099】前記制御装置31は、炉水中の金属元素の
測定値と、給水中の金属元素濃度、Ni濃度に基づいて
算出した燃料集合体表面での金属元素ではその付着密度
およびNi付着密度等を指標にして金属元素の富化量を
計算し、その計算値に基づいて金属元素濃度富化装置3
0を制御するようになっている。前記金属イオン濃度測
定装置33は、現在の炉水中の金属イオンの濃度を測定
し、その測定値を制御装置31に入力するようになって
いる。
【0100】燃料製造時に被覆管表面に酸化皮膜形成処
理を施していないZrライナー管燃料13を原子炉圧力
容器10内に装荷後、BWRプラントの起動運転時に、
復水フィルタ4の上流側で抽水配管28および抽水弁2
9を通じて復水を抽出し、その抽水を金属元素濃度富化
装置30に送り込む。前記金属元素濃度富化装置30で
は、前記抽水中に含まれている金属元素を取り込み、制
御装置31からの指令に従って金属元素濃度を富化した
うえで、復水フィルタ4と復水脱塩器5間に挿入する。
これにより、BWRプラントの起動運転時に、装荷燃
料集合体の表面に酸化物層を加速的に形成することがで
き、これに伴って炉水中の放射能を低減することが可能
となる。
【0101】図11は、本発明の一実施例に係るBWR
燃料被覆管の断面図である。
【0102】この燃料被覆管40は燃料被覆管本体41
と、これの内表面のライナー層42と、燃料被覆管本体
41の外表面の金属酸化物の層43とを有して構成され
ている。
【0103】燃料被覆管本体41は、この実施例ではジ
ルカロイ−2により製作されている。ライナー層42
は、純ジルコニウムにより形成され、燃料被覆管本体4
1に内張りされており、ライナー層42と燃料被覆管本
体41とで、いわゆるZrライナー管が形成されてい
る。
【0104】金属酸化物の層43は、水に対する安定性
が鉄酸化物と同程度以上の金属酸化物材料を用いて形成
されていて、この実施例では酸化ベリリウム(BeO)
により形成されている。また、金属酸化物の層43は燃
料被覆管本体41の外表面全体に層厚35μmに、しか
も空隙率5%以上に形成されている。
【0105】前述のごとく、また図1から分かるよう
に、Zrライナー燃料では各種金属酸化物の付着密度
が約0.1mg/cm2 以上でオートクレーブ処理した
従来の燃料被覆管と同等の付着速度係数になる。そし
て、各種金属酸化物の密度が2〜10g/cm2 である
から層厚に換算すると、最低でも10μmということに
なる。
【0106】また、Zrライナー燃料であっても、B
WRプラントの運転初期に一定以上のクラッドを付着さ
せれば堆積したクラッド上に次のクラッドが付着するよ
うになり、付着速度係数が増大し、付着効率が高くなる
ものと考えられている。したがって、燃料被覆管本体4
1の外表面の少なくとも一部に、金属酸化物を層厚10
μm以上、好ましくは35μm以上形成する。
【0107】さらに、金属酸化物の層43は、炉水中の
金属イオン,クラッドが析出付着する場を提供すること
であり、そのためには多孔質状とすることにより、水
金属酸化物層内部へ浸透しやすくし、水を介して熱の伝
達を良くして沸騰を促した方が良いこと、また析出物を
付着しやすくし、表面積を大きくした方が良いことか
ら、空隙率5%以上とした方が良い。
【0108】以上により、この実施例ではZrライナー
燃料である純ジルコニウムのライナー層42を有する
燃料被覆管本体41の外表面に、金属酸化物である酸化
ベリリウムの層43を、層厚35μm,空隙率5%以上
に形成しているため、Zrライナー燃料にオートクレ
ーブ処理を施していなくても、オートクレーブ処理を施
した従来の燃料被覆管と同程度に金属イオン等の炉水中
の不純物を析出させ、付着させることができる。したが
って、新たに装荷したZrライナー管燃料に対して金属
イオン等を付着させるための格別な装置を用いることな
く、Zrライナー管燃料表面に金属イオン等を良好に付
着させ、炉水中の放射能を低減することができる。
【0109】なお、酸化ベリリウムは熱伝導率が良いた
め、燃料被覆管本体41の外表面に層厚35μm程度の
層43を形成しても、燃料被覆管内の温度上昇には殆ど
影響しない。また、酸化ベリリウム中のベリリウムは、
熱中性子に対する反応断面積が鉄の1/300と極めて
小さいため、原子炉の中性子経済に殆ど影響を与えな
い。
【0110】尚、燃料被覆管本体41の外表面に、金属
酸化物の層43として前記第9の実施例の酸化ベリリウ
ム層に代えて、酸化チタン(TiO2 )の層を形成する
こともできる。この酸化チタン層は、層厚25μm,空
隙率5%とされ、燃料被覆管本体41の全外表面に施さ
れる。
【0111】この酸化チタンを用いることの特徴は、チ
タンの熱中性子に対する反応断面積が鉄と比較して約2
倍と少し大きいが、生成される放射性元素の半減期が非
常に短いため、放射能として蓄積されず、定期検査時の
放射線被曝に殆ど関与しないということが挙げられる。
【0112】また、酸化チタンは酸化ベリリウムに比較
して熱伝導率が小さいため、被覆管内の温度上昇に影響
を与えることも考えられるが、計算によるとこのときの
温度上昇は3℃程度であるため、特に問題はない。
【0113】図12は、燃料被覆管本体に、金属酸化物
の層を形成する装置の一例を示す図であり、図13はこ
の装置を用いて実施する燃料棒の製造工程の説明図であ
る。図12に示す装置では、燃料被覆管本体44が上下
方向に設置され、その両端部に上部固定器具45と下部
固定器具46とが取り付けられており、これら上,下部
固定器具45,46を介して、矢印a方向の回転と、b
方向への移動とを行い得るようになっている。また、燃
料被覆管本体44内には、アルゴンガスが流れるように
なっていて、ライナー層を保護するようになっている。
前記燃料被覆管本体44の移動行程の途中には、ノズル
47が設置されている。このノズル47からは、この実
施例では燃料被覆管本体44の外表面に酸化アルミニウ
ムの溶射を行うようになっている。
【0114】燃料棒を製造するには、図13に示すよう
に、まず初めに燃料被覆管本体44の内,外表面の洗浄
を行う。次に、燃料被覆管本体44の外表面に図12に
示す装置を用いて酸化アルミニウムの溶射を行い、例え
ば燃料被覆管本体44の上端部の約50cmのところか
ら下端部の約50cmのところまで、酸化アルミニウム
の層を層厚25μm,空隙率5%となるように吹き付け
る。前記ノズル47からは、加熱されて溶けた酸化アル
ミニウムが空気と一緒に、燃料被覆管本体44の外表面
に吹き付けられる。その間、燃料被覆管本体44を図1
2の矢印a方向に回転させ、かつ矢印b方向に移動さ
せ、金属酸化物の層としての酸化アルミニウムの層を形
成する。
【0115】燃料被覆管本体44の外表面に酸化アルミ
ニウムの層を、例えば層厚25μm,空隙率5%で形成
した後、燃料被覆管の下部端栓を溶かし、ついで燃料ペ
レットおよびプレナムスプリングを装填し、最後に上部
端栓を溶接して燃料棒を完成させる。
【0116】図14は、燃料棒製造の他の実施例を示す
工程説明図である。
【0117】この実施例では、常法によりまず燃料棒を
製造する。次に、でき上がった燃料棒に酸化ジルコニウ
ム粒子を懸濁させた溶液を塗布し、乾燥焼き付けを行
い、燃料棒の外表面に酸化ジルコニウムの層を形成す
る。そして、酸化ジルコニウムの層が20μmに達する
まで繰り返して行う。
【0118】この実施例によれば、従来の燃料棒の製造
工程の最後に、酸化ジルコニウム懸濁溶液を塗布し、乾
燥焼き付けを行う工程を追加するだけで実施することが
できる。
【0119】本発明は上記実施例に限定されるものでは
なく、燃料被覆管を金属酸化物の懸濁液に浸漬後、加熱
乾燥させることにより、燃料被覆管の外表面に金属酸化
物の層を形成しても良く、また金属イオン含有液を塗布
した後、乾燥することにより、燃料被覆管の外表面に金
属酸化物の層を形成しても良い。さらに、Zrライナー
管の外表面に金属酸化物の層を形成する技術としては、
物理蒸着法や化学蒸着法を用いることができる。更に
は、金属酸化物の金属元素として、Be,Ti,Alの
ほかにFe,Y,Zr,Nb,Mo等を用いることもで
きる。
【0120】
【発明の効果】本発明のBWR用燃料被覆管によれば、
燃料被覆管の外表面の少なくとも一部に、金属酸化物の
層を形成しているので、燃料被覆管の外表面に形成され
た金属酸化物の層の上に炉水中の放射性物質が析出付着
し、固定化されるため、本発明においては新たに装荷
燃料集合体に金属イオン等を効率良く付着させ、炉水
中の放射能を低減し得る効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】燃料被覆管への金属イオンの付着速度係数の測
定結果を示す図である。
【図2】燃料棒表面に金属酸化物層を形成するプラント
の第1の例を示す系統図である。
【図3】図2に示す第1の例における給水濃度とpHの
制御を示す図である。
【図4】第2の例を示す系統図である。
【図5】第3の例を示す系統図である。
【図6】図5に示す第3の例の運転特性図である。
【図7】第5の例を示す系統図である。
【図8】図7に示す第5の例の運転特性図である。
【図9】第7の例を示す説明図である。
【図10】第8の例を示す系統図である。
【図11】本発明の一実施例に係るBWR用燃料被覆管
の断面図である。
【図12】燃料被覆管本体の外表面に金属酸化物の層を
形成する装置の一例を示す図である。
【図13】燃料棒の製造工程の説明図である。
【図14】別の製造工程説明図である。
【符号の説明】
1…タービン、2…復水器、3…復水ポンプ、4…復水
フィルタ、5…復水脱塩器、6…給水ポンプ、7…低圧
給水加熱器、8…昇圧ポンプ、9…高圧給水加熱器、1
0…原子炉圧力容器、11…原子炉再循環ポンプ、12
…原子炉浄化系、13…Zrライナー燃料(燃料集合
体)、14…電解鉄注入装置、15…注入バルブ、16
…Zrイオン注入装置、17…注入バルブ、18…サン
プリング配管、19…金属イオン濃度測定装置、20…
Zrイオン注入量の計算機、21…電解鉄注入装置、2
2…電解電源、23…電解槽、24…鉄イオン注入用の
配管、25…注入バルブ、26…復水のバイパス、27
…バイパス弁、28…復水抽出用の配管、29…抽水
弁、30…金属濃度富化装置、31…制御装置、32…
サンプリング配管、33…金属イオン濃度測定装置、4
0…燃料被覆管、41…燃料被覆管本体、42…ライナ
ー層、43…金属酸化物の層、44…燃料被覆管本体、
45,46…上,下部固定器具、47…ノズル。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 長瀬 誠 茨城県日立市大みか町七丁目2番1号 株式会社 日立製作所 エネルギー研究 所内 (72)発明者 細川 秀幸 茨城県日立市大みか町七丁目2番1号 株式会社 日立製作所 エネルギー研究 所内 (72)発明者 原 照雄 茨城県日立市大みか町七丁目2番1号 株式会社 日立製作所 エネルギー研究 所内 (72)発明者 朝倉 大和 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式 会社 日立製作所 日立工場内 (72)発明者 大角 克己 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式 会社 日立製作所 日立工場内 (72)発明者 赤嶺 和彦 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式 会社 日立製作所 日立工場内 (72)発明者 山根 康一 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式 会社 日立製作所 日立工場内 (56)参考文献 特開 昭59−137883(JP,A) 特開 昭63−90796(JP,A) 特開 昭61−175595(JP,A) 特開 昭61−79194(JP,A) 特開 昭63−179286(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G21C 3/06 G21C 3/20

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ジルコニウムの内張りを備えた沸騰水型
    原子炉用燃料被覆管において、前記被覆管の外表面の少
    なくとも一部に、空隙率が5%以上の金属酸化物の層を
    形成されていることを特徴とする沸騰水型原子炉用燃料
    被覆管。
  2. 【請求項2】 請求項1において、前記金属酸化物の層
    厚が10μm以上であることを特徴とする沸騰水型原子
    炉用燃料被覆管。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2の何れかにおいて、前記
    金属酸化物を構成する金属元素が、Be,Al,Ti,
    Fe,Y,Zr,Nb,Moから選ばれた一つ以上の元
    素であることを特徴とする沸騰水型原子炉用燃料被覆
    管。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3の何れかの燃料被覆管
    と、該燃料被覆管内に装填される燃料ペレットと、前記
    燃料被覆管の上端及び下端を密封する上部端栓及び下部
    端栓とを備えたことを特徴とする燃料棒。
  5. 【請求項5】 ジルコニウムの内張りを備えた燃料被覆
    管の外表面に、溶射によって金属酸化物の層を形成する
    ステップと、前記燃料被覆管内に燃料ペレットを装填
    し、上部端栓及び下部端栓を取り付けるステップとを有
    することを特徴とする燃料棒の製造方法。
  6. 【請求項6】 ジルコニウムの内張りを備えた燃料被覆
    管の外表面を金属酸化物の懸濁溶液又は金属イオン含有
    溶液の何れかと接触させ、その後乾燥することにより、
    前記外表面に前記金属酸化物の層を形成するステップ
    と、前記燃料被覆管内に燃料ペレットを装填し、上部端
    栓及び下部端栓を取り付けるステップとを有することを
    特徴とする燃料棒の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項6において、前記接触は、前記何
    れかの溶液を前記燃料被覆管の外表面に塗布することに
    より行なわれることを特徴とする燃料棒の製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項5乃至7の何れかにおいて、前記
    金属酸化物の層の空隙率が5%以上であることを特徴と
    する燃料棒の製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項5乃至8の何れかにおいて、前記
    金属酸化物の層が10μm以上であることを特徴とする
    燃料棒の製造方法。
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