JPH09157828A - 原子力プラント用炭素鋼部材の表面処理方法 - Google Patents

原子力プラント用炭素鋼部材の表面処理方法

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JPH09157828A
JPH09157828A JP7319956A JP31995695A JPH09157828A JP H09157828 A JPH09157828 A JP H09157828A JP 7319956 A JP7319956 A JP 7319956A JP 31995695 A JP31995695 A JP 31995695A JP H09157828 A JPH09157828 A JP H09157828A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】放射性物質が溶存している液と接して使用され
る炭素鋼部材における放射性物質の付着を抑制できる原
子力プラントの製造法を提供することを目的とする。 【解決手段】原子力プラント用炭素鋼部材の表面粗さが
6s以下となるよう機械的な研磨を施し、その後300
℃〜650℃の酸素を含む気体あるいは150℃〜30
0℃のオゾンを含む気体中に一定時間暴露し、該表面に
あらかじめ酸化皮膜を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は原子力プラントの一
次冷却水系配管のように、放射性物質が溶存している液
と接して使用される炭素鋼部材の表面処理方法に係り、
特に配管表面への放射性物質の付着抑制処理方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】原子力プラントの一次冷却水系に使用さ
れている配管,ポンプ,弁などはステンレス鋼及びステ
ライト等(以下、構成部材と略称する)から構成されて
いる。これらの金属は長期間使用されると腐食損傷を受
け、構成金属元素が原子炉冷却水(以下、冷却水と略称
する)中に溶出し、原子炉内に持ち込まれる。溶出金属
元素は大半が酸化物となって燃料棒に付着し、中性子照
射をうける。その結果、60−Co,58−Co,51
−Cr,54−Mn等の放射性核種が生成する。これら
の放射性核種は一次冷却水中に再溶出してイオンあるい
は不溶性固体成分(以下、クラッドと称する)として浮
遊する。その一部は炉水浄化用の脱塩器などで除去され
るが、残りは一次冷却系を循環しているうちに炭素鋼及
びステンレス鋼などの構成部材表面に蓄積される。この
ため、構成部材表面における線量率が高くなり、保守・
点検を実施する際の作業員の放射線被曝が問題となって
いる。近年、一部の原子力プラントではSUS304鋼
の応力腐食割れ対策から原子炉浄化系配管や残留熱除去
系配管に炭素鋼が用いられているが、その放射能上昇は
特に著しい。
【0003】ところで一般的に構造材の表面線量率上昇
を防止する方法として、構造材に付着した放射性物質を
除去する方法が検討され、実施されている。除去法には
現在3つの方法がある。
【0004】(1)機械的洗浄方法 (2)科学的洗浄方法 (3)電気分解による洗浄方法 (1)の方法は主に部品に適用され、たとえば高圧ジェッ
ト水により表面を洗浄するものである。しかし、この方
法では密着性の強い放射性物質の除去が困難であり、ま
た広い範囲を系統的に除染する事は出来ない。事実、こ
の方法により一時的に線量率を低減しても、その後の長
期的な使用により再び線量率が上昇する傾向にある。
【0005】(2)の方法は酸溶液などの薬剤を用いて化
学反応により構成部材表面の酸化皮膜を溶解し、同皮膜
中に存在する放射性物質を除去するものである。この方
法の問題は薬剤による構造材の腐食損傷にある。すなわ
ち、皮膜を溶解する際に構造材も腐食損傷を受け、また
除染後に残留した微量の薬剤が構造材の応力腐食割れを
引き起こす恐れがある。
【0006】(3)の方法も(1)と同様の問題点を持って
いる。
【0007】また、放射性物質の付着量を低減させるた
め、その源である金属元素の溶出を抑制する方法も実施
されている。たとえば耐食性の良い材料の使用あるいは
酸素を給水系内に注入して構成部材の腐食を抑制する方
法等がある。
【0008】しかし、いずれの方法を用いても給水系を
はじめとし、一次冷却水系の構成部材の腐食を十分に低
減することはできず、一次冷却水中の放射性物質を十分
に低減することはできないため、構成部材への放射性物
質の蓄積による表面線量率の増加がやはり問題として残
っており、特に炭素鋼部材における放射性物質の付着を
抑制することは急務である。
【0009】放射性物質の付着低減に関する技術として
は、例えば、特開平3−74358号公報及び特開昭60−2629
55号公報記載の原子力プラントの放射能低減法が提案さ
れている。特開平3−74358号公報記載のものは、炭素鋼
表面の接液面の表面粗さの最大高さの平均値を1.5μ
m 以下とすることにより炭素鋼表面への放射性物質の
蓄積を防止する技術である。表面粗さが大きいとは表面
積が大きい、すなわち放射性物質が付着する面が大き
い。表面を研摩することにより表面積を小さくし、放射
線の蓄積を少なくするものである。
【0010】また、特開昭60−262955号公報は、ステン
レス鋼配管表面への放射性物質の蓄積を防止するため
に、該配管表面を不動態化する技術である。すなわち、
放射性物質の蓄積は主に、配管表面の酸化物皮膜の生成
に伴い、皮膜内部に放射性物質が取り込まれることによ
って起こるので、酸化物皮膜の生成を抑制するため、表
面を不動態化するものである。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術のうち特
開平3−74358号公報記載のものは、プラント運転初期の
炭素鋼表面に安定な防食皮膜が形成される過程におい
て、皮膜の成長とともに放射性物質が皮膜内に蓄積して
しまうという問題がある。また、特開昭60−262955号公
報は、表面の不動態化が容易なステンレス鋼については
言及されているが、不動態化の難しい炭素鋼に対する放
射性物質の蓄積を抑制する方法については一切開示がな
い。
【0012】本発明の目的は放射性物質が溶存している
液と接して使用される炭素鋼部材への放射性物質の付着
を抑制する方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的は本発明の、炭
素鋼部材の放射性物質を含む原子炉冷却水と接する面の
少なくとも一部を300℃〜650℃の温度で酸素を含
む気体に一定時間接触させ、酸化皮膜を生成する原子力
プラント用炭素鋼部材の表面処理方法により達成され
る。放射性物質を含む原子炉冷却水とは主に原子炉の一
次冷却水を意味する。それと接する面を有する炭素鋼部
材は、主に配管の内面である。300℃〜650℃の温
度で酸化皮膜を生成する方法としては、配管に電熱線を
巻きつけるなどして、配管内面の温度が設定値になった
後、酸素を含む気体を配管内に流して処理する方法,加
熱した気体を配管内に直接流す方法,設定した温度に保
った気体を満たした処理炉の中に配管を入れて処理する
方法があり、処理する部材の大きさなどに合わせて適宜
選択する。
【0014】酸化処理用の気体としてオゾンを含む気体
を使用する場合、処理温度は150℃〜300℃とする
ことが好ましい。
【0015】上記酸素を含む気体は空気であることが好
ましい。
【0016】上記酸化皮膜の生成は大気圧下で行うこと
が好ましい。
【0017】上記酸素を含む気体あるいはオゾンを含む
気体は水蒸気を含むことが好ましい。
【0018】上記酸化皮膜の生成工程において、前記原
子炉冷却水と接する面の少なくとも一部を前記酸化皮膜
生成前に表面粗さが6s以下になるようあらかじめ研磨
することが最も好ましい。
【0019】また、原子炉圧力容器に取り付けられ、す
でに放射性物質が付着している炭素鋼部材の原子炉冷却
水と接する面から汚染物質を除去した後、上記酸化皮膜
の生成工程を適用することもできる。
【0020】線量上昇に寄与する放射性核種としては、
半減期が5.26 年と長く、またγ線の崩壊エネルギー
が高い60−Coが代表的である。この放射性核種はγ
線の崩壊エネルギー強度が1.17および1.33MeV
と高く、また半減期が5.26年と長いために、一旦構造材
に付着すると長期にわたり表面線量率を高める原因とな
る。従って、線量率を低減するためには、この60−C
oの付着をいかに抑制するかが重要になる。
【0021】炉水に溶存する放射性核種は炭素鋼の腐食
によって表面に形成される酸化皮膜内にその形成過程で
取り込まれる。従って表面線量率を低減するには放射性
核種が溶存する炉水中での炭素鋼の腐食を抑制すること
が有効であると言える。
【0022】一般に通常腐食速度は、初期には大きい
が、時間とともに減少する。これは時間とともに材料表
面に酸化皮膜が生成し、これが防食皮膜として作用する
ためである。すなわち表面に防食皮膜が生成すると、腐
食に影響を及ぼす水,酸素イオンや鉄イオンなどの拡散
が防食皮膜によって抑制される。よって、前酸化処理に
よってあらかじめ構成部材表面に防食皮膜を形成してお
けば腐食を抑制し、初期の腐食速度の大きい皮膜成長時
期の放射性核種の付着取り込みを低減することが可能と
なる。原子炉の配管用部材として最も用いられてきたス
テンレス鋼においてこのような配管の内面に酸化処理を
施す場合、まず高温水を用いて膜厚の厚い酸化皮膜を形
成する方法が用いられてきた。ステンレス鋼は材料中に
Ni,Crが含まれており、高温水中でのステンレス鋼
の酸化皮膜は図6に示すような湿式過程で成長し、内層
がCrリッチな酸化物、外層がFe,Niのスピネル型
酸化物の2層構造をとる。これに対し高温の酸素を含む
気体でステンレス鋼を酸化処理した場合、皮膜の成長は
酸素の内向拡散によって進行し、酸化皮膜はこのような
2層構造とはならず、薄い1層構造の皮膜となる。この
ような処理をしたステンレス鋼配管を酸化処理後に原子
力プラントに適用した場合、皮膜は変質,成長するため
放射性物質が酸化皮膜中に取り込まれることを防止する
効果は充分に得られなかったからである。これに対し、
最近の原子力プラントの配管の一部には、炭素鋼が用い
られるようになってきた。これは、ステンレス鋼の応力
腐食割れによる破断を避けるため、応力腐食割れの比較
的起こりやすい部位に炭素鋼を用いるものである。発明
者らはこのような炭素鋼部材を用いた原子炉プラントの
配管等に対しては、ステンレス鋼では充分な効果を得る
ことのできなかった酸素を含む高温の気体による酸化皮
膜の生成が最も有効であることを見い出した。
【0023】すなわち、炭素鋼は材料中にCr,Niを
含まないため酸化皮膜はFeの酸化物のみで構成される
が、高温水中での炭素鋼の酸化皮膜は皮膜内で酸素分圧
に勾配ができるため図7に示すような外層がヘマタイ
ト、内層がマグネタイトの2層構造をとる。発明者らは
高温の気体による酸化処理においても条件を限定するこ
とによってこのような2層構造の酸化皮膜が得られるこ
とを見い出した。
【0024】更に、高温水中での皮膜成長は、図8に示
すように金属がイオンとなり一旦水中に溶けだした後、
皮膜表面で析出,沈積する湿食によって進行するため、
酸化物の粒径が大きくポーラスで防食性,密着性に劣る
のに対し、酸素を含む高温の気体で酸化処理した場合に
は酸素が金属の内方向に拡散し、これが金属と結合する
乾食によって進行するため緻密で母材との密着性の良い
皮膜が形成されることを見い出した。
【0025】このような処理を施した配管を原子力プラ
ントに適用した場合、変質の心配も無く緻密な酸化皮膜
が酸素の侵入やFeの溶出を防止し、その後の酸化皮膜
の成長を抑制することができる。処理温度の下限は空
気,酸素および水蒸気雰囲気では300℃、オゾン雰囲
気では150℃で、比較的低温での処理が可能である。
また、炭素鋼は720℃に変態点があり高温で酸化処理
を行った場合変形する恐れがあることから、処理温度の
上限は650℃にする必要がある。なお、オゾン雰囲気
で酸化処理を行う場合にはオゾンが300℃以上で自己
分解する特性があるので処理温度は300℃以下にする
必要がある。酸化処理は圧力および酸素分圧等のコント
ロールも特に必要なく、酸素を含む気体あるいはオゾン
を含む気体中で行うことができる。したがってその実行
は設備的にも容易であり、安価で簡単に実施することが
可能である。
【0026】さらに、これらの方法で作成した酸化皮膜
は外層がヘマタイト、内層がマグネタイトの2層構造を
なしており、厚さは数百〜数千オングストローム程度と
薄く、しかも母材との密着性もよく緻密性も高いために
高い耐食性の防食皮膜として作用する。
【0027】事前の防食皮膜処理により炭素鋼部材の腐
食を抑制し、腐食に伴う放射性物質の付着を大幅に低減
することが可能となる。
【0028】また、上記酸化皮膜の形成に先立って炭素
鋼部材内面をその表面粗さが6s以下になるよう機械的
な研磨することによって、表面を平滑化することにより
接水実効表面積を減少でき、また次行程で作成する防食
皮膜をより均一で緻密にすることが可能となる。
【0029】
【発明の実施の形態】
(実施例1)炭素鋼配管の片端にガス導入管,加熱器及
びガス発生装置を設け、配管内に高温のガスを導入す
る。この際配管外面には保温材を取り付けておく方が望
ましい。ガスとしては空気などの酸素を含む気体、ある
いはオゾンを含む気体が適している。ガスに空気,酸素
あるいは水蒸気を使用した場合の処理温度は300〜6
50℃、オゾンを使用した場合の処理温度は150℃〜
300℃で処理時間はどの場合も最低数十分間で良い
が、できれば1時間以上とすることが望ましい。特にガ
スを空気とする場合にはブロワーを用いて配管内に空気
を導入すればよい。また、オゾン雰囲気で酸化処理を行
う場合にはガスの出口側にオゾン分解装置を設ける必要
がある。
【0030】図1は、加熱器により400℃(±20℃
の温度範囲になるよう制御)に調整した乾燥空気を炭素
鋼配管内に導入し1時間酸化処理を実施した配管と酸化
処理を実施しない配管内に、温度288℃溶存酸素濃度
(DO)200ppb でCoイオンを5ppb 含む高温水を
通水した場合のCoの付着量の経時変化を示したもので
ある。なお、配管は酸化処理前にフラッパー研磨により
内面を6sにしたものと未研磨の配管を用いた。図1に
示すように配管の酸化処理によりCoの付着量は約1/
2に低減した。さらに酸化処理前にフラッパー研磨によ
り内面を平滑にした場合、未処理の場合と比較して1/
3に低減した。
【0031】(実施例2)本実施例では、まず炭素鋼配
管を加熱器内に設置する。その後加熱器の温度を300
℃/hの速度で400℃まで上げ、そこから加熱器内の
温度が400℃±20℃の範囲内に維持されていること
を確かめながら2時間酸化処理した。なお、酸化処理中
は加熱器内の酸化雰囲気を一定にするため乾燥した空気
を連続で注入した。酸化処理終了後、加熱器内の温度を
100℃/hの速度で大気温度まで下げ配管を取り出
し、脱イオン水で洗浄後乾燥した。
【0032】(実施例3)本実施例は本発明を原子炉冷
却水浄化系に適用した例である。図5において、21は
原子炉冷却水再循環ポンプ、22は原子炉冷却水再循環
配管、23は原子炉圧力容器、26は原子炉冷却水浄化
装置、27は原子炉冷却水浄化系ポンプである。本発明
の適用手順としては原子炉冷却水浄化系配管24内の水
を排水した後、配管加熱器を内蔵した配管保温材25を
配管に取り付け300℃の温度に加熱し、温度が300
±20℃の範囲内に維持されていることを確認しながら
5時間酸化処理し、配管内面に酸化皮膜を形成する。本
実施例はすでに汚染された配管に付着している放射性物
質を機械的あるいは化学的方法などで取り除いた後の酸
化処理法として特に有効である。
【0033】(実施例4)本実施例では、炭素鋼試験片
を加熱器内で200,300,400,600℃(それ
ぞれ±20℃の温度範囲になるよう制御)の温度領域の
空気雰囲気中でそれぞれ1時間酸化処理を施した。な
お、試験片は表面粗さが6sになるよう研磨したものを
使用した。また、酸化時間はそれぞれ所定の温度になっ
た時点を起点とし、そこから1時間とした。酸化処理後
の表面の色は200℃でくすんだ金属色、300℃で青
色の干渉色、400℃で青紫の干渉色、600℃で青み
がかった黒色であった。これらの炭素鋼材および未処理
の炭素鋼材を288℃、DO:200ppb で、Coイオ
ンを5ppb 含む高温水中に1,000 時間浸漬した。そ
の際のCo付着量を図2に示す。200℃の場合のCo
付着量は未処理のものとあまり変わらないが、300℃
以上の場合はCoの付着量は約1/2〜1/3に低減し
た。この効果はガスに酸素を用いた場合も同様である。
【0034】ところで酸化処理を施した炭素鋼材料の酸
化皮膜厚さをオージェ電子分光分析を用いて測定したと
ころ、くすんだ金属色では10nm、青の干渉色で50
nm、紫の干渉色で200nm、灰色で600nm、黒
色で1200nm以上であった。図に示した結果から酸
化処理によって生成する防食皮膜の膜厚は50nm以上
とするのが望ましい。つまり酸化処理に際しては、生成
する防食皮膜の膜厚が最低50nmになるよう温度と時
間を選択すればよい。例えば、酸化雰囲気を空気とした
場合、酸化温度が300℃昇温速度が300℃/h、酸
化速度が0時間(300℃になった時点で冷却を開始)
の場合、皮膜の生成量は200℃、1時間の場合と同様
でありCoの付着抑制効果はあまり認められない。酸化
時間を1時間にすると前述したようにCoの付着量は半
減する。酸化温度が400℃以上の場合には酸化時間が
0時間でもCoの付着量は1/2に低減する。
【0035】(実施例5)本実施例では炭素鋼の表面を
硝フッ酸で酸洗いしたものおよびフラッパー研磨により
6種類の表面粗さが異なる試験片を作成した。表面粗さ
の範囲は1.0s〜20sである。これらの試験片を2
88℃、DO:200ppb で、Coイオンを5ppb 含む
高温水中に1,000 時間浸漬した。その際のCo付着
量を図4に示す。なお、Coの付着量は酸洗い材の付着
量を基準とした相対値である。これから表面粗さを6s
以下に研磨した材料でCoの付着量が最小となった。
【0036】研磨方法としてはフラッパー研磨以外のヤ
スリ仕上げ、グラインダー研磨ペーパ仕上げ,ブラシ研
磨などの各種の機械研磨によっても同様の効果が得られ
た。 (実施例6)本実施例では酸化処理に使用するガスとし
て1%のオゾンを含むガスを使用した。使用した炭素鋼
材は実施例4で使用したものと同様であり、処理温度は
100℃,150℃,200℃,300℃(それぞれ±
20℃の温度範囲になるよう制御)で、処理時間はそれ
ぞれ1時間とした。なお、昇温速度はいずれも300℃
/hとした。これらの炭素鋼材および未処理の炭素鋼材
を288℃、DO:200ppb でCoを5ppb 含む
高温水中に1,000 時間浸漬した。その際のCo付着
量を図3に示す。100℃では効果はあまりないが、1
50℃の処理でCo付着量は未処理のものの1/2に、
200℃以上の場合Coの付着量は約1/3に低減し
た。
【0037】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、簡便な手
段によって放射性物質の炭素鋼部材への付着を抑制で
き、原子力プラントの炭素鋼部材の線量率の上昇を抑え
ることができるので従事者の被爆を低減することが可能
となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】酸化処理材および未処理材の高温水中への浸漬
時間とCo付着量の関係を示す図。
【図2】空気雰囲気中で酸化処理を施した材料の高温水
中への浸漬時間とCo付着量の関係を示す図。
【図3】表面粗さとCoの付着量の関係を示す図。
【図4】オゾン雰囲気中で酸化処理を施した材料の高温
水中への浸漬時間とCo付着量の関係を示す図。
【図5】本発明の配管表面の処理工程の一例を示す図。
【図6】ステンレス鋼表面の酸化物生成の模式図。
【図7】炭素鋼表面の酸化物生成の模式図。
【図8】本発明の配管表面の2層構造の酸化物層を示す
図。
【符号の説明】
21…原子炉冷却水再循環ポンプ、22…原子炉冷却水
再循環配管、23…原子炉圧力容器、24…原子炉冷却
水浄化系配管、25…配管加熱器を内蔵した配管保温
材、26…原子炉冷却水浄化装置、27…原子炉冷却水
浄化系ポンプ。
フロントページの続き (72)発明者 馬渕 勝美 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内 (72)発明者 三木 實 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式会 社日立製作所日立工場内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】炭素鋼部材の放射性物質を含む原子炉冷却
    水と接する面の少なくとも一部を300℃〜650℃の
    温度で酸素を含む気体に一定時間接触させ、 酸化皮膜を生成することを特徴とする原子力プラント用
    炭素鋼部材の表面処理方法。
  2. 【請求項2】炭素鋼部材の放射性物質を含む原子炉冷却
    水と接する面の少なくとも一部を150℃〜300℃の
    オゾンを含む気体に一定時間接触させ、酸化皮膜を生成
    することを特徴とする原子力プラント用炭素鋼部材の表
    面処理方法。
  3. 【請求項3】請求項2において前記酸素を含む気体が空
    気であることを特徴とする原子力プラント用炭素鋼部材
    の表面処理方法。
  4. 【請求項4】請求項1または2において、前記酸化皮膜
    の生成を大気圧下で行うことを特徴とする原子力プラン
    ト用炭素鋼部材の表面処理方法。
  5. 【請求項5】請求項1または2において前記酸素を含む
    気体あるいはオゾンを含む気体が水蒸気を含むことを特
    徴とする原子力プラント用炭素鋼部材の表面処理方法。
  6. 【請求項6】請求項1〜5のいずれかにおいて、前記原
    子炉冷却水と接する面の少なくとも一部を前記酸化皮膜
    生成前に表面粗さが6s以下になるようあらかじめ研磨
    することを特徴とする原子力プラント用炭素鋼部材の表
    面処理方法。
  7. 【請求項7】原子炉圧力容器に取り付けられ、すでに放
    射性物質が付着している炭素鋼部材の原子炉冷却水と接
    する面から汚染物質を除去した後、請求項1〜6のいず
    れかの方法を適用することを特徴とする原子力プラント
    用炭素鋼部材の表面処理方法。
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Cited By (6)

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