JP3620128B2 - 原子力プラント用炭素鋼部材の表面処理方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は原子力プラントの一次冷却水系配管のように、放射性物質が溶存している液と接して使用される炭素鋼部材の表面処理方法に係り、特に配管表面への放射性物質の付着抑制処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
原子力プラントの一次冷却水系に使用されている配管,ポンプ,弁などはステンレス鋼及びステライト等(以下、構成部材と略称する)から構成されている。これらの金属は長期間使用されると腐食損傷を受け、構成金属元素が原子炉冷却水(以下、冷却水と略称する)中に溶出し、原子炉内に持ち込まれる。溶出金属元素は大半が酸化物となって燃料棒に付着し、中性子照射をうける。その結果、60−Co,58−Co,51−Cr,54−Mn等の放射性核種が生成する。これらの放射性核種は一次冷却水中に再溶出してイオンあるいは不溶性固体成分(以下、クラッドと称する)として浮遊する。その一部は炉水浄化用の脱塩器などで除去されるが、残りは一次冷却系を循環しているうちに炭素鋼及びステンレス鋼などの構成部材表面に蓄積される。このため、構成部材表面における線量率が高くなり、保守・点検を実施する際の作業員の放射線被曝が問題となっている。近年、一部の原子力プラントではSUS304鋼の応力腐食割れ対策から原子炉浄化系配管や残留熱除去系配管に炭素鋼が用いられているが、その放射能上昇は特に著しい。
【0003】
ところで一般的に構造材の表面線量率上昇を防止する方法として、構造材に付着した放射性物質を除去する方法が検討され、実施されている。除去法には現在3つの方法がある。
【0004】
(1)機械的洗浄方法
(2)科学的洗浄方法
(3)電気分解による洗浄方法
(1)の方法は主に部品に適用され、たとえば高圧ジェット水により表面を洗浄するものである。しかし、この方法では密着性の強い放射性物質の除去が困難であり、また広い範囲を系統的に除染する事は出来ない。事実、この方法により一時的に線量率を低減しても、その後の長期的な使用により再び線量率が上昇する傾向にある。
【0005】
(2)の方法は酸溶液などの薬剤を用いて化学反応により構成部材表面の酸化皮膜を溶解し、同皮膜中に存在する放射性物質を除去するものである。この方法の問題は薬剤による構造材の腐食損傷にある。すなわち、皮膜を溶解する際に構造材も腐食損傷を受け、また除染後に残留した微量の薬剤が構造材の応力腐食割れを引き起こす恐れがある。
【0006】
(3)の方法も(1)と同様の問題点を持っている。
【0007】
また、放射性物質の付着量を低減させるため、その源である金属元素の溶出を抑制する方法も実施されている。たとえば耐食性の良い材料の使用あるいは酸素を給水系内に注入して構成部材の腐食を抑制する方法等がある。
【0008】
しかし、いずれの方法を用いても給水系をはじめとし、一次冷却水系の構成部材の腐食を十分に低減することはできず、一次冷却水中の放射性物質を十分に低減することはできないため、構成部材への放射性物質の蓄積による表面線量率の増加がやはり問題として残っており、特に炭素鋼部材における放射性物質の付着を抑制することは急務である。
【0009】
放射性物質の付着低減に関する技術としては、例えば、特開平3−74358号公報及び特開昭60−262955号公報記載の原子力プラントの放射能低減法が提案されている。特開平3−74358号公報記載のものは、炭素鋼表面の接液面の表面粗さの最大高さの平均値を1.5μm 以下とすることにより炭素鋼表面への放射性物質の蓄積を防止する技術である。表面粗さが大きいとは表面積が大きい、すなわち放射性物質が付着する面が大きい。表面を研摩することにより表面積を小さくし、放射線の蓄積を少なくするものである。
【0010】
また、特開昭60−262955号公報は、ステンレス鋼配管表面への放射性物質の蓄積を防止するために、該配管表面を不動態化する技術である。すなわち、放射性物質の蓄積は主に、配管表面の酸化物皮膜の生成に伴い、皮膜内部に放射性物質が取り込まれることによって起こるので、酸化物皮膜の生成を抑制するため、表面を不動態化するものである。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術のうち特開平3−74358号公報記載のものは、プラント運転初期の炭素鋼表面に安定な防食皮膜が形成される過程において、皮膜の成長とともに放射性物質が皮膜内に蓄積してしまうという問題がある。また、特開昭60−262955号公報は、表面の不動態化が容易なステンレス鋼については言及されているが、不動態化の難しい炭素鋼に対する放射性物質の蓄積を抑制する方法については一切開示がない。
【0012】
本発明の目的は放射性物質が溶存している液と接して使用される炭素鋼部材への放射性物質の付着を抑制する方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的は本発明の、炭素鋼部材の放射性物質を含む原子炉冷却水と接する面の少なくとも一部を300℃〜650℃の温度で酸素を含む気体に一定時間接触させ、酸化皮膜を生成する原子力プラント用炭素鋼部材の表面処理方法により達成される。放射性物質を含む原子炉冷却水とは主に原子炉の一次冷却水を意味する。それと接する面を有する炭素鋼部材は、主に配管の内面である。300℃〜650℃の温度で酸化皮膜を生成する方法としては、配管に電熱線を巻きつけるなどして、配管内面の温度が設定値になった後、酸素を含む気体を配管内に流して処理する方法,加熱した気体を配管内に直接流す方法,設定した温度に保った気体を満たした処理炉の中に配管を入れて処理する方法があり、処理する部材の大きさなどに合わせて適宜選択する。
【0014】
酸化処理用の気体としてオゾンを含む気体を使用する場合、処理温度は150℃〜300℃とすることが好ましい。
【0015】
上記酸素を含む気体は空気であることが好ましい。
【0016】
上記酸化皮膜の生成は大気圧下で行うことが好ましい。
【0017】
上記酸素を含む気体あるいはオゾンを含む気体は水蒸気を含むことが好ましい。
【0018】
上記酸化皮膜の生成工程において、前記原子炉冷却水と接する面の少なくとも一部を前記酸化皮膜生成前に表面粗さが6s以下になるようあらかじめ研磨することが最も好ましい。
【0019】
また、原子炉圧力容器に取り付けられ、すでに放射性物質が付着している炭素鋼部材の原子炉冷却水と接する面から汚染物質を除去した後、上記酸化皮膜の生成工程を適用することもできる。
【0020】
線量上昇に寄与する放射性核種としては、半減期が5.26 年と長く、またγ線の崩壊エネルギーが高い60−Coが代表的である。この放射性核種はγ線の崩壊エネルギー強度が1.17および1.33MeVと高く、また半減期が5.26年と長いために、一旦構造材に付着すると長期にわたり表面線量率を高める原因となる。従って、線量率を低減するためには、この60−Coの付着をいかに抑制するかが重要になる。
【0021】
炉水に溶存する放射性核種は炭素鋼の腐食によって表面に形成される酸化皮膜内にその形成過程で取り込まれる。従って表面線量率を低減するには放射性核種が溶存する炉水中での炭素鋼の腐食を抑制することが有効であると言える。
【0022】
一般に通常腐食速度は、初期には大きいが、時間とともに減少する。これは時間とともに材料表面に酸化皮膜が生成し、これが防食皮膜として作用するためである。すなわち表面に防食皮膜が生成すると、腐食に影響を及ぼす水,酸素イオンや鉄イオンなどの拡散が防食皮膜によって抑制される。よって、前酸化処理によってあらかじめ構成部材表面に防食皮膜を形成しておけば腐食を抑制し、初期の腐食速度の大きい皮膜成長時期の放射性核種の付着取り込みを低減することが可能となる。原子炉の配管用部材として最も用いられてきたステンレス鋼においてこのような配管の内面に酸化処理を施す場合、まず高温水を用いて膜厚の厚い酸化皮膜を形成する方法が用いられてきた。ステンレス鋼は材料中にNi,Crが含まれており、高温水中でのステンレス鋼の酸化皮膜は図6に示すような湿式過程で成長し、内層がCrリッチな酸化物、外層がFe,Niのスピネル型酸化物の2層構造をとる。これに対し高温の酸素を含む気体でステンレス鋼を酸化処理した場合、皮膜の成長は酸素の内向拡散によって進行し、酸化皮膜はこのような2層構造とはならず、薄い1層構造の皮膜となる。このような処理をしたステンレス鋼配管を酸化処理後に原子力プラントに適用した場合、皮膜は変質,成長するため放射性物質が酸化皮膜中に取り込まれることを防止する効果は充分に得られなかったからである。これに対し、最近の原子力プラントの配管の一部には、炭素鋼が用いられるようになってきた。これは、ステンレス鋼の応力腐食割れによる破断を避けるため、応力腐食割れの比較的起こりやすい部位に炭素鋼を用いるものである。発明者らはこのような炭素鋼部材を用いた原子炉プラントの配管等に対しては、ステンレス鋼では充分な効果を得ることのできなかった酸素を含む高温の気体による酸化皮膜の生成が最も有効であることを見い出した。
【0023】
すなわち、炭素鋼は材料中にCr,Niを含まないため酸化皮膜はFeの酸化物のみで構成されるが、高温水中での炭素鋼の酸化皮膜は皮膜内で酸素分圧に勾配ができるため図7に示すような外層がヘマタイト、内層がマグネタイトの2層構造をとる。発明者らは高温の気体による酸化処理においても条件を限定することによってこのような2層構造の酸化皮膜が得られることを見い出した。
【0024】
更に、高温水中での皮膜成長は、図8に示すように金属がイオンとなり一旦水中に溶けだした後、皮膜表面で析出,沈積する湿食によって進行するため、酸化物の粒径が大きくポーラスで防食性,密着性に劣るのに対し、酸素を含む高温の気体で酸化処理した場合には酸素が金属の内方向に拡散し、これが金属と結合する乾食によって進行するため緻密で母材との密着性の良い皮膜が形成されることを見い出した。
【0025】
このような処理を施した配管を原子力プラントに適用した場合、変質の心配も無く緻密な酸化皮膜が酸素の侵入やFeの溶出を防止し、その後の酸化皮膜の成長を抑制することができる。処理温度の下限は空気,酸素および水蒸気雰囲気では300℃、オゾン雰囲気では150℃で、比較的低温での処理が可能である。また、炭素鋼は720℃に変態点があり高温で酸化処理を行った場合変形する恐れがあることから、処理温度の上限は650℃にする必要がある。なお、オゾン雰囲気で酸化処理を行う場合にはオゾンが300℃以上で自己分解する特性があるので処理温度は300℃以下にする必要がある。酸化処理は圧力および酸素分圧等のコントロールも特に必要なく、酸素を含む気体あるいはオゾンを含む気体中で行うことができる。したがってその実行は設備的にも容易であり、安価で簡単に実施することが可能である。
【0026】
さらに、これらの方法で作成した酸化皮膜は外層がヘマタイト、内層がマグネタイトの2層構造をなしており、厚さは数百〜数千オングストローム程度と薄く、しかも母材との密着性もよく緻密性も高いために高い耐食性の防食皮膜として作用する。
【0027】
事前の防食皮膜処理により炭素鋼部材の腐食を抑制し、腐食に伴う放射性物質の付着を大幅に低減することが可能となる。
【0028】
また、上記酸化皮膜の形成に先立って炭素鋼部材内面をその表面粗さが6s以下になるよう機械的な研磨することによって、表面を平滑化することにより接水実効表面積を減少でき、また次行程で作成する防食皮膜をより均一で緻密にすることが可能となる。
【0029】
【発明の実施の形態】
(実施例1)
炭素鋼配管の片端にガス導入管,加熱器及びガス発生装置を設け、配管内に高温のガスを導入する。この際配管外面には保温材を取り付けておく方が望ましい。ガスとしては空気などの酸素を含む気体、あるいはオゾンを含む気体が適している。ガスに空気,酸素あるいは水蒸気を使用した場合の処理温度は300〜650℃、オゾンを使用した場合の処理温度は150℃〜300℃で処理時間はどの場合も最低数十分間で良いが、できれば1時間以上とすることが望ましい。特にガスを空気とする場合にはブロワーを用いて配管内に空気を導入すればよい。また、オゾン雰囲気で酸化処理を行う場合にはガスの出口側にオゾン分解装置を設ける必要がある。
【0030】
図1は、加熱器により400℃(±20℃の温度範囲になるよう制御)に調整した乾燥空気を炭素鋼配管内に導入し1時間酸化処理を実施した配管と酸化処理を実施しない配管内に、温度288℃溶存酸素濃度(DO)200ppb でCoイオンを5ppb 含む高温水を通水した場合のCoの付着量の経時変化を示したものである。なお、配管は酸化処理前にフラッパー研磨により内面を6sにしたものと未研磨の配管を用いた。図1に示すように配管の酸化処理によりCoの付着量は約1/2に低減した。さらに酸化処理前にフラッパー研磨により内面を平滑にした場合、未処理の場合と比較して1/3に低減した。
【0031】
(実施例2)
本実施例では、まず炭素鋼配管を加熱器内に設置する。その後加熱器の温度を300℃/hの速度で400℃まで上げ、そこから加熱器内の温度が400℃±20℃の範囲内に維持されていることを確かめながら2時間酸化処理した。なお、酸化処理中は加熱器内の酸化雰囲気を一定にするため乾燥した空気を連続で注入した。酸化処理終了後、加熱器内の温度を100℃/hの速度で大気温度まで下げ配管を取り出し、脱イオン水で洗浄後乾燥した。
【0032】
(実施例3)
本実施例は本発明を原子炉冷却水浄化系に適用した例である。図5において、21は原子炉冷却水再循環ポンプ、22は原子炉冷却水再循環配管、23は原子炉圧力容器、26は原子炉冷却水浄化装置、27は原子炉冷却水浄化系ポンプである。本発明の適用手順としては原子炉冷却水浄化系配管24内の水を排水した後、配管加熱器を内蔵した配管保温材25を配管に取り付け300℃の温度に加熱し、温度が300±20℃の範囲内に維持されていることを確認しながら5時間酸化処理し、配管内面に酸化皮膜を形成する。本実施例はすでに汚染された配管に付着している放射性物質を機械的あるいは化学的方法などで取り除いた後の酸化処理法として特に有効である。
【0033】
(実施例4)
本実施例では、炭素鋼試験片を加熱器内で200,300,400,600℃(それぞれ±20℃の温度範囲になるよう制御)の温度領域の空気雰囲気中でそれぞれ1時間酸化処理を施した。なお、試験片は表面粗さが6sになるよう研磨したものを使用した。また、酸化時間はそれぞれ所定の温度になった時点を起点とし、そこから1時間とした。酸化処理後の表面の色は200℃でくすんだ金属色、300℃で青色の干渉色、400℃で青紫の干渉色、600℃で青みがかった黒色であった。これらの炭素鋼材および未処理の炭素鋼材を288℃、DO:200ppb で、Coイオンを5ppb 含む高温水中に1,000 時間浸漬した。その際のCo付着量を図2に示す。200℃の場合のCo付着量は未処理のものとあまり変わらないが、300℃以上の場合はCoの付着量は約1/2〜1/3に低減した。この効果はガスに酸素を用いた場合も同様である。
【0034】
ところで酸化処理を施した炭素鋼材料の酸化皮膜厚さをオージェ電子分光分析を用いて測定したところ、くすんだ金属色では10nm、青の干渉色で50nm、紫の干渉色で200nm、灰色で600nm、黒色で1200nm以上であった。図に示した結果から酸化処理によって生成する防食皮膜の膜厚は50nm以上とするのが望ましい。つまり酸化処理に際しては、生成する防食皮膜の膜厚が最低50nmになるよう温度と時間を選択すればよい。例えば、酸化雰囲気を空気とした場合、酸化温度が300℃昇温速度が300℃/h、酸化速度が0時間(300℃になった時点で冷却を開始)の場合、皮膜の生成量は200℃、1時間の場合と同様でありCoの付着抑制効果はあまり認められない。酸化時間を1時間にすると前述したようにCoの付着量は半減する。酸化温度が400℃以上の場合には酸化時間が0時間でもCoの付着量は1/2に低減する。
【0035】
(実施例5)
本実施例では炭素鋼の表面を硝フッ酸で酸洗いしたものおよびフラッパー研磨により6種類の表面粗さが異なる試験片を作成した。表面粗さの範囲は1.0s〜20sである。これらの試験片を288℃、DO:200ppb で、Coイオンを5ppb 含む高温水中に1,000 時間浸漬した。その際のCo付着量を図4に示す。なお、Coの付着量は酸洗い材の付着量を基準とした相対値である。これから表面粗さを6s以下に研磨した材料でCoの付着量が最小となった。
【0036】
研磨方法としてはフラッパー研磨以外のヤスリ仕上げ、グラインダー研磨ペーパ仕上げ,ブラシ研磨などの各種の機械研磨によっても同様の効果が得られた。
(実施例6)
本実施例では酸化処理に使用するガスとして1%のオゾンを含むガスを使用した。使用した炭素鋼材は実施例4で使用したものと同様であり、処理温度は100℃,150℃,200℃,300℃(それぞれ±20℃の温度範囲になるよう制御)で、処理時間はそれぞれ1時間とした。なお、昇温速度はいずれも300℃/hとした。これらの炭素鋼材および未処理の炭素鋼材を288℃、DO:200 ppb でCoを5ppb 含む高温水中に1,000 時間浸漬した。その際のCo付着量を図3に示す。100℃では効果はあまりないが、150℃の処理でCo付着量は未処理のものの1/2に、200℃以上の場合Coの付着量は約1/3に低減した。
【0037】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、簡便な手段によって放射性物質の炭素鋼部材への付着を抑制でき、原子力プラントの炭素鋼部材の線量率の上昇を抑えることができるので従事者の被爆を低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】酸化処理材および未処理材の高温水中への浸漬時間とCo付着量の関係を示す図。
【図2】空気雰囲気中で酸化処理を施した材料の高温水中への浸漬時間とCo付着量の関係を示す図。
【図3】表面粗さとCoの付着量の関係を示す図。
【図4】オゾン雰囲気中で酸化処理を施した材料の高温水中への浸漬時間とCo付着量の関係を示す図。
【図5】本発明の配管表面の処理工程の一例を示す図。
【図6】ステンレス鋼表面の酸化物生成の模式図。
【図7】炭素鋼表面の酸化物生成の模式図。
【図8】本発明の配管表面の2層構造の酸化物層を示す図。
【符号の説明】
21…原子炉冷却水再循環ポンプ、22…原子炉冷却水再循環配管、23…原子炉圧力容器、24…原子炉冷却水浄化系配管、25…配管加熱器を内蔵した配管保温材、26…原子炉冷却水浄化装置、27…原子炉冷却水浄化系ポンプ。
Claims (6)
- 炭素鋼部材の放射性物質を含む原子炉冷却水と接する面の少なくとも一部を300℃〜650℃の温度で空気に一定時間接触させ、
外層がヘマタイトおよび内層がマグネタイトの2層構造の酸化皮膜を生成することを特徴とする原子力プラント用炭素鋼部材の表面処理方法。 - 炭素鋼部材の放射性物質を含む原子炉冷却水と接する面の少なくとも一部を150℃〜300℃のオゾンを含む気体に一定時間接触させ、酸化皮膜を生成することを特徴とする原子力プラント用炭素鋼部材の表面処理方法。
- 請求項1または2において、前記酸化皮膜の生成を大気圧下で行うことを特徴とする原子力プラント用炭素鋼部材の表面処理方法。
- 請求項1または2において、前記空気あるいはオゾンを含む気体に水蒸気を含むことを特徴とする原子力プラント用炭素鋼部材の表面処理方法。
- 請求項1〜4のいずれかにおいて、前記原子炉冷却水と接する面の少なくとも一部を前記酸化皮膜生成前に表面粗さが6s以下になるようあらかじめ研磨することを特徴とする原子力プラント用炭素鋼部材の表面処理方法。
- 原子炉圧力容器に取り付けられ、すでに放射性物質が付着している炭素鋼部材の原子炉冷却水と接する面から汚染物質を除去した後、請求項1〜5のいずれかの方法を適用することを特徴とする原子力プラント用炭素鋼部材の表面処理方法。
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