JPH068913B2 - 原子力プラントの放射能低減方法 - Google Patents

原子力プラントの放射能低減方法

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JPH068913B2
JPH068913B2 JP60162125A JP16212585A JPH068913B2 JP H068913 B2 JPH068913 B2 JP H068913B2 JP 60162125 A JP60162125 A JP 60162125A JP 16212585 A JP16212585 A JP 16212585A JP H068913 B2 JPH068913 B2 JP H068913B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の利用分野〕 本発明は原子力プラントに係わり、特に、一次冷却系配
管のように、放射性物質が溶解している液と接して使用
される構造材に対する放射性物質の付着抑制方法に関す
る。
〔従来技術〕
BWRプラントの一次冷却系に使用されている配管、ポ
ンプ、弁等はステンレス鋼及びステライト等(以下、構
成部と略称する)から構成されている。これらの金属は
長時間使用されると腐食損傷をうけ、構成金属元素が原
子炉冷却水(以下冷却水と略称する)中に溶出し、原子
炉内に持ち込まれる。溶出金属元素は大半は酸化物とな
って燃料棒に付着し、中性子照射を受ける。その結果、
60Co、58Co、51Cr、54Mn 等の放射性核種が生成する。
これらの放射性核種は再溶出してイオンあるいは不溶性
固体成分(以下クラツドと称する)として浮遊する。そ
の一部は、炉水浄化用の脱塩器等で除去されるが、残り
は一次冷却水系を循環しているうちに構成部材表面に付
着する。このため、構成部材表面における線量率が高く
なり、保守、点検を実施する際の作業員の放射線被爆が
問題となってくる。
従って、放射性物質の付着量を低減させるため、その源
である前記金属元素の溶出を抑制する方法が提案されて
いる。例えば、耐腐食性のよい材料の使用あるいは酸素
を給水系内に注入して構成部材の腐食を抑制する方法等
がある。しかし、いずれの方法を用いても給水系をはじ
めとし、一次冷却水系の構成部材の腐食を十分に抑制す
ることはできず、一次冷却水中の放射性物質を十分に低
減することはできないため、構成部材への放射性物質の
付着による表面線量率が増加する。
また、構成部材に付着した放射性物質を除去する方法が
検討され、実施されている。除去方法には(1)機械的洗
浄、(2)電気分解による洗浄のほか、(3)化学的洗浄があ
る。しかし、(1)、(2)の方法は構成部材表面に強く密着
した放射性物質の除去が困難であり、また広い範囲を系
統的に除染することができない。(3)の方法は酸溶液等
の薬剤を用いて化学反応により鋼表面の酸化皮膜を溶解
し、同皮膜中に存在する放射性物質を除去するものであ
る。この方法は一時的に線量率を低減しても、構成部材
を再び高い濃度の放射性物質を溶解する液にさらした場
合に急速に再汚染される。
構成部材表面にあからじめ酸化皮膜を形成し、放射性物
質の付着を制御する方法が、特開昭55−121197号公報及
び特開昭59−37490 号公報等で知られている。しかし、
あらかじめ形成しておく酸化皮膜の性状により放射性物
質の付着挙動は著しく異なってくる。たとえば、放射性
イオンの挙動はあらかじめ形成しておいた酸化皮膜の荷
電状態により異なるし、また、放射性物質が溶解する液
に浸漬したのちに構成部材表面に新たに形成される酸化
皮膜の成長速度も既存の皮膜の性状により変わるので、
必ずしも十分な皮膜が形成されるとは限らない。
〔発明の目的〕
本発明の目的は放射性物質を含む高温高圧純水と接する
原子力プラントの放射能を低減する方法を提供すること
にある。
〔発明の概要〕
本発明は、放射性物質を含む高温高圧原子炉炉水と接触
する金属からなる構成部材が前記炉水にさらされる前に
予め前記構成部材表面に酸化皮膜を形成し放射能を低減
する方法において、前記構成部材を高温雰囲気中で加熱
する第1の酸化処理を施した後、次いで前記第1の酸化
処理によって得られる酸化皮膜より緻密な酸化皮膜を形
成するように前記第1の酸化処理における雰囲気より特
定の金属イオン濃度の高い雰囲気中で加熱する第2の酸
化処理を施すことを特徴とする放射線低減方法にある。
即ち、本発明は放射性物質を含む原子炉冷却水と接する
構成部材への放射性物質の付着を抑制するに当たり、該
部材にまず、第1次処理により比較的多孔性ではあるが
十分な膜厚を有する酸化皮膜を形成させ、次いで、第2
次処理により薄いが緻密な皮膜を形成させようとするも
のである。
第1次処理で厚い多孔性の皮膜を形成させるには、酸化
性の低い加熱水や蒸気で酸化処理し、第2次処理で薄い
が緻密な皮膜を形成させるには、金属イオン濃度を高め
た加熱水や蒸気で酸化処理することで達成される。ここ
で金属イオンとは、Feよりも原子番号、標準電極電位、
電気陰性度の全てが低い金属のうち、2価以上の正電荷
をもちうる金属のイオン即ちBe、Mg、Al、Ca、V、Cr、
Mnのイオンを意味する。
本発明は、高温高圧水に含まれる放射性物質は構成部材
が高温高圧水により腐食されて酸化皮膜が形成される際
に取り込まれるため、構成部材の腐食速度を低下させて
やれば放射性物質の付着を制御できるという論理に立脚
している。
即ち、酸化性の低い加熱水中での第1次処理だけでは皮
膜は厚く成長するが、この皮膜は原子炉冷却水の環境下
では腐食抑制効果が不十分なため、放射性物質の付着の
抑制効果が十分ではない。
一方、金属イオン濃度が高い加熱水での第二次処理だけ
では非常に薄い緻密な皮膜が形成されるが、傷つき易
く、変質し易いので、これも原子炉冷却水の環境下では
皮膜が薄いため皮膜破壊が容易に起こり、腐食抑制効
果、ひいては放射性物質の付着抑制効果を十分に発揮で
きない。
しかし、酸化性の低い加熱水中で処理して厚い皮膜を形
成させた後金属イオン濃度の高い加熱水中で処理する
と、その後の腐食抑制効果が非常に顕著であることを見
出した。
酸化性が低いと膜が厚くなるのは、その酸化皮膜を形成
する鉄酸化物が原子炉冷却水の環境下ではやや溶解し易
いため皮膜が多孔質になり易く、この細孔を通して酸化
が進行し酸化皮膜が成長するからである。
一方、Feよりも原子番号、標準電極電位、電気陰性度の
全てが低い金属の、イオン濃度が高い加熱水中で、薄く
緻密な皮膜が生成するのは、形成された上記金属を含む
酸化物が、鉄酸化物に比べ高温水中で溶解しにくいため
で、結晶粒径の小さい酸化物が薄く緻密な層を形成しそ
の後の皮膜成長が抑制される。このような緻密な皮膜は
腐食抑制効果が高いが、破壊し易いため原子炉冷却水の
環境下では十分な効果が得られない。したがって、厚く
かつ緻密な皮膜を形成しておくことが原子炉冷却水環境
での腐食抑制ひいては放射性物質の付着抑制効果が大き
い。
そこで、まず多孔質ではあるが厚い皮膜を酸化性の低い
環境下で形成しておき、ついで金属イオン濃度の高い環
境で処理すれば、酸化皮膜中の細孔が緻密な酸化物で埋
められて、原子炉環境に接した後の腐食抑制効果、即
ち、放射性物質の付着抑制効果が大きい。第1図は2段
処理工程における酸化皮膜成長のモデル図である。金属
からなる構成部材17の表面に第1酸化処理工程により
第1酸化皮膜15が形成され、次いで第2酸化処理工程
により第2酸化皮膜16が金属面に形成される。処理方
によっては第1酸化皮膜15の下地に第2酸化皮膜と同
様の緻密な皮膜が形成される可能性もある。
これらの酸化処理は、加熱水、水蒸気、純度の高い非酸
化性加熱ガス、金属塩を溶解した加熱水によって行うこ
とができる。
例えば、沸騰水型原子炉の冷却水には通常200PPb の溶
存酸素が含まれており、その酸化力はこの溶存酸素濃度
に依存している。従って、最も簡単には、200 ℃以上の
純水で第1処理工程は溶存酸素濃度を200PPbより低く、
特に、40〜100PPbとするのが好ましい。溶存酸素濃度が
200PPb以上では皮膜の保護性が強く、そのため腐食が抑
制されて所定厚さの皮膜が形成されない。第2処理工程
は金属イオン濃度を炉水中の金属イオン濃度よりも高く
5〜1000PPb 、特に100 〜400PPbとするのが好ましい。
この金属イオンを含む溶液の温度は200 〜300 ℃であり
溶存酸素濃度は400PPb以下である。各処理工程の処理時
間は100 〜500hrsが好ましい。
なお、これらの処理は必ずしも第1処理工程と第2処理
工程を区別して実施する必要はなく、例えば、金属イオ
ン濃度を0PPb付近から1000PPb付近まで連続して変化さ
せながら処理してもよく、また必ずしも2段階でなく、
数段階に段階的に酸化条件を変えて実施することも可能
である。
このような本発明が見出された経緯を更に詳細に述べ
る。
炉水に溶存する放射性物質はステンレス鋼の腐食によっ
て表面に形成される酸化皮膜内にその形成過程で取り込
まれるのである。高温水中では酸化皮膜は主に該皮膜と
母材金属との界面において内方向(母材金属側)へ成長
し、放射性物質は皮膜内を内方向へ拡散移動したのち同
じ界面で酸化皮膜中に取り込まれる。放射性物質のフラ
ックス(Jo)は(1)式で表すことが出来る。
ここに、d:酸化皮膜厚さ k:比例定数 D:拡散係数 C:炉水中の放射性物質濃度 C:皮膜/金属界面の放射性物質濃度 また、酸化皮膜の厚さ(d)は比例定数(k)及び酸
化皮膜量(m)を用いて、 d=km …………(2) と表されるので、Jはあらためて(3)式で表すことが
できる。
一方、放射性物質が皮膜中に取り込まれる速度(J1
は酸化皮膜の成長速度 を用いて、(4)で表される。
ここに、k:比例定数 ここに、放射性物質の蓄積速度(J)はJ=J=J
であるから、(3)、(4)式よりCを消去すると である。
ところで、放射性物質の蓄積が拡散過程で律速される場
合には、次の(6)式で表される。
(6)式は放射性物質の蓄積速度(J)は拡散係数(D)
及び炉水中の放射性物質(C)に比例し、皮膜量即ち
皮膜厚さに反比例することをしめしている。したがっ
て、緻密で厚い酸化皮膜を形成させてやればよい。もう
一つは炉水中の放射性濃度を低下させる、即ち炉心で放
射化されるコバルトやニッケル及びこれら金属の放射化
を助長する鉄などのイオンや金属酸化物が構成部材の腐
食によって炉水中に放出されるのを抑制してやれば良
い。この構成部材の腐食も緻密で厚い酸化皮膜を形成さ
せれば抑制できる。
以上より、放射性物質の蓄積を抑制するには原子力プラ
ントで核加熱が始まる前に予め緻密で厚い酸化皮膜を炉
水に接する構成部材に形成させておけば、良いことがわ
かる。
ところで、構成部材としてステンレス鋼に例をとると本
発明者らの研究によると、放射性物質の付着速度は皮膜
成長速度と相関性を示すので、皮膜成長を抑制すること
は付着低減につながるであろうと推定された。
即ち、放射性物質の付着速度が皮膜の成長速度と相関性
を示すのは、放射性物質が皮膜の成長点で取り込まれる
からである。したがって、皮膜の成長を抑制するとそれ
だけ放射性物質が取り込まれる頻度が減少する。即ち取
り込みが抑制されるのである。冷却水環境下でのステン
レス鋼の皮膜量(m)の増加は(7)式に示すように時間
(t)の対数則によって表される。
m=alog(bt+1) ……… (7) ここで、a及びbは定数 すなわち、皮膜の成長は初期に速く、皮膜の成長ととも
にその成長速度は小さくなる。したがって、あらかじめ
適当な非放射性の酸化皮膜を形成しておくことは放射性
物質の取り込み抑制と金属イオンの溶出に特に効果があ
るのである。即ち、放射性物質が溶存している液へ浸漬
したのちの新たな皮膜形成を抑制することができ、ひい
ては皮膜形成時に多くみられる放射性物質の付着を抑制
できる。
本発明者らは、放射性物質を溶存した原子炉冷却水と接
して使用される金属構成部材にあらかじめ適当な非放射
性の酸化皮膜を形成することによって放射性物質の付着
を抑制できる点、特に、放射性物質の付着速度はあらか
じめ形成された酸化皮膜の厚さと緻密さに依存すること
に着目し、皮膜の生成条件を調べた結果弱酸性の条件で
酸化処理した後、特定の金属イオン濃度が5PPb以上の
条件で更に酸化処理すると著しく小さくなることを見出
したのである。
なお、金属イオンを注入する場合は、次のような金属塩
の水溶液を注入する方法が好ましい。
Be:Be(NO3)2,BeSO4 Mg:Mg(CH3COO)2,MgSO4,Mg(C6H5O7)2, Mg(OH)2,Mg(NO3)2,MgHPO4 Al:Al(OH),Al(SO,Al(N
, AlPO4 Ca:Ca(CH3COO)2,CaSO4,Ca(C6H5O7)2, Ca(OH)2,CaHPO4,CaCo3 V:VOC2O4,VOSO4 Cr:Cr(NO3)3,Cr2(SO4)3 Mn:Mn(HCOO)2,Mn(NO3)2,Mn(H2PO4)2, MnSO4,Mn(CH3COO)2,MnCO3 原子力プラントは数種類あるが、本発明はそれらのいず
れにも適用することができる。沸騰水型原子力プラント
では原子炉圧力容器、再循環系配管および一次冷却材浄
化系配管等が放射性物質を含む炉水と接しており、また
加圧水型原子力プラントでは原子炉圧力容器、炉内構造
材および蒸気発生器等が同様な炉水と接している。した
がって、これら放射性物質を含む液と接するステンレス
鋼、インコネル、炭素鋼およびステライトからなる構造
材の全部あるいは一部に本発明の酸化処理を施した構造
材を適用することによって放射性物質の付着を抑制で
き、ひいては従業者被爆を小さくできる。
一方、沸騰水型原子力プラントにおいて、給水系や復水
系の構成部材に接する一次冷却水中の放射性物質の濃度
は比較的低いため放射性物質の付着は少なく、線量上昇
はあまり問題とはならない。しかし、これらの系統の構
成部材の腐食により放出される金属イオンや金属酸化物
が原子炉圧力容器に給水と共に運び込まれ、原子炉冷却
水中の放射性物質濃度を高める原因となっている。従っ
てこれらの系統の構成部材の腐食抑制も重要な問題であ
る。本発明の方法は基本的には構成部材の腐食抑制にあ
り、上記の系統、即ち給水系や復水系に原子力プラント
の起動に先立って、酸化性の弱い第1次処理と酸化性の
より強い第2次処理を施すことにより、構成部材の表面
に腐食に対して保護性の高い酸化皮膜を形成してやるこ
とにより、一次冷却水中への金属イオンや金属酸化物の
放出を低減し、ひいては、再循環系や炉水浄化系での放
射性物質の付着量を低減することが可能となる。
〔実施例1〕 第1表の化学組成(重量%)を有するJIS SUS304 ステ
ンレス鋼を250 ℃の純水(液体)及びAl(NO3)3を含ん
だ水溶液で種々な酸化処理を施した後、10PPbのコバル
トイオンを含む288℃の加熱水中に500 時間浸漬させ、
腐食速度並び、コバルトの付着量を測定した。結果を第
2表に示す。
本発明による2段階処理は、腐食速度が低く、かつ、コ
バルトの付着量が抑制されていることがわかる。
〔実施例2〕 沸騰水型原子力発電プラントの各系統内のポンプの運転
による発熱を熱源とし、核加熱を使用せず、起動運転時
又は除染終了時に原子炉一次冷却水の純水中の溶存酸素
量を調整してプラントに本発明の2段酸化処理を実施す
る。
第2図は沸騰水型原子力発電プラントの系統図である。
原子炉1内の冷却水は、再循環ポンプ3によって循環さ
れる。循環される冷却水の一部は原子炉浄化系4に入
り、炉水浄化器5で浄化された後、原子炉1に戻され
る。また、原子炉によって得られる水蒸気は、主蒸気隔
離弁25を介して主蒸気系11に入り、タービン6を回転さ
せた後、復水器7、復水浄化装置8、給水加熱器9、弁
12’を経て原子炉1に戻される。本発明の酸化処理を冷
却炉水を原子炉1−再循環系2−炉水浄化系5の系路に
循環させながら行うことができる。まず、系内を純水で
満たし、主蒸気隔離弁25を閉じて再循環ポンプを運転す
る。これにより系内の水の温度は3℃/hの速度で上昇
する。第1処理工程としては溶存酸素濃度を40〜100ppb
とし、温度を260〜280 ℃で100 〜500 時間加熱水を循
環する。なお、溶存酸素濃度を40〜100ppbに低下させる
には系内の水の昇温水に100 ℃以上となったところで主
蒸気隔離弁25を開き、蒸気を主蒸気系11にブローさせる
が、原子炉1の上部の気相部に窒素ガスを流すことで達
成できる。また、温度の調製は原子炉浄化系4に流す加
熱水量を調整することで達成できる。所定時間第1次処
理した後、Be、Mg、Al、Ca、V、Cr、Mn、から選ばれ
た金属イオン濃度を上昇させて第2次処理を施す。溶存
酸素濃度は実施例1と同様に200ppb、金属イオン
濃度は10〜1000ppb で、温度は第1処理と同じく260 〜
280 ℃に設定し、100 〜500 時間加熱水を循環させる。
金属イオン濃度を10〜1000ppb に上昇させるには再循環
系のサンプリングライン12″から金属塩の水溶液を注入
する。このような2段階の酸化処理を実施することによ
り放射性物質の付着を低減した原子力プラントとするこ
とができる。
〔実施例3〕 実施例2と同様な系統に対し、再循環ポンプ3を運転し
て、第1次処理においてヒドラジンを再循環系のサンプ
リングライン12″から注入してその濃度を100 〜1000pp
b に調製して200〜280 ℃の加熱水を100 〜500 時間循
環し、次いで第2処理においてAl3+をAl(NO3)3水溶液
として10〜1000ppb となるように注入して200〜280 ℃
の加熱水を100 〜500 時間循環させるという2段階の酸
化処理を実施することにより、放射性物質の構造材への
付着を抑制した原子力プラントとすることができる。
本実施例における溶存酸素濃度は、前記実施例と同様で
あり、第1次処理では40〜100ppb、第2次処理
では200ppbである。
〔実施例4〕 沸騰水型原子力発電プラントの建設時に給水加熱器9を
設置した後、プラントにつなぎ込む前に給水加熱器9に
仮設の循環ラインを取り付け、所内ボイラあるいは仮設
のボイラを熱源として、溶存酸素を調整した加熱水を循
環させて本発明の2段処理を行う。これは、給水加熱器
9からの金属イオンや金属酸化物の放出を抑制するため
であるが、第2図の系統図からもわかるように原子炉1
への給水は給水加熱器9のヒータチューブ26の内面のみ
と接するので酸化処理はヒータチューブ26の内面のみに
形成させれば良い。
酸化処理に際しては第3図に示すようにヒータチューブ
26の出入口にタンク19を含む仮設の循環ライン24を取り
つける。循環ライン24は循環ポンプ18とボイラからの加
熱用蒸気の吹込ライン20、蒸気をブローするライン21及
び酸素注入ライン22を設ける。まず対象系内を純水に満
たして循環させながら加熱用の蒸気を吹込む。第1次処
理としては溶存酸素40〜100ppb、温度200 〜250 ℃の加
熱水を100 〜500 時間循環する。なお、溶存酸素濃度の
調製は温度が100 ℃以上となったところでブローライン
21の弁を開き、一部の蒸気をブローさせる。次いで、第
2次処理として、溶存酸素濃度200ppb、Al3+濃度10〜1
000ppb、温度200〜300℃の加熱水を100〜500時間循環す
る。このときのAl3+濃度の調製は、注入ライン22から
少量のAl(NO3)3水溶液を注入する。なお、このような2段
の酸化処理はヒ-タチュ-ブ26の内面のみ処理すれば良いが、
ヒータチューブ26の内側のみに加熱水を循環させるとチ
ューブ内と外の圧力差が著しく大きくなってチューブの
変形などの不具合を生ずるので、循環水の一部をバイパ
スライン23によってチューブ外にもバイパスさせてや
り、圧力差を小さくしてやる必要がある。
以上のような2段階の酸化処理により、給水加熱器ヒー
タチューブの腐食による金属イオンあるいは金属酸化物
の放出が少なくでき、これにより炉水中の放射能濃度を
低減できるので、放射性物質の付着が少ない原子力プラ
ントとすることができる。
〔発明の効果〕
本発明によれば、放射性物質の金属からなる構造材への
付着を抑制でき、特に原子力プラントに使用されるステ
ンレス鋼をはじめとする構造材の線量率の上昇を抑える
きわめて顕著な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の2段処理による酸化皮膜の生成過程を
示す断面の構成図及び第2図は本発明の一実施例である
沸騰水型原子力発電プラントの系統図、及び第3図は給
水加熱器の仮設循環ラインの系統図である。 1…原子炉、2…再循環系、3…再循環ポンプ、4…原
子炉浄化系、5…炉水浄化器、6…タービン、7…復水
器、8…復水浄化装置、9…給水加熱器、10…給水系、
11…蒸気系、12,12″…酸素注入バルブ、13…真空ポン
プ、14…排気塔、15…第1酸化皮膜、16…第2酸化皮
膜、17…構成部材、18…ポンプ、19…タンク、20…蒸気
吹込ライン、21…蒸気ブローライン、22…酸素注入ライ
ン、23…バイパスライン、24…循環ライン、25…主蒸気
隔離弁、26…ヒータチューブ。
フロントページの続き (72)発明者 樫村 栄二 茨城県日立市久慈町4026番地 株式会社日 立製作所日立研究所内 (72)発明者 湊 昭 茨城県日立市久慈町4026番地 株式会社日 立製作所日立研究所内 (72)発明者 大角 克己 茨城県日立市幸町3丁目1番1号 株式会 社日立製作所日立工場内 (72)発明者 会沢 元浩 茨城県日立市幸町3丁目1番1号 日立エ ンジニアリング株式会社内 (56)参考文献 特開 昭61−290396(JP,A)

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】原子炉と、該原子炉内の冷却水を循環させ
    る再循環系と、前記冷却水を浄化する炉水浄化系とを少
    なくとも備え、前記再循環系は再循環ポンプを含む原子
    力プラントの放射能低減方法において、 脱気させて溶存酸素濃度を40ppb以上200ppb
    未満とし、前記再循環ポンプによって原子炉内及びその
    再循環系を循環させて200〜300℃に加熱した冷却
    水を所定時間循環させて該冷却水と接触する金属部材の
    表面に厚い多孔性の酸化皮膜を形成させる第1次処理を
    施した後、Be、Mg、Al、Ca、V、Cr、Mnか
    ら成る金属イオン群から選ばれた1種以上の金属イオン
    を濃度5〜1000ppbで含み、溶存酸素濃度が20
    0ppb以上400ppb以下である200〜300℃
    の冷却水を前記第1次処理と同様に再循環ポンプによっ
    て循環させて前記第1次処理による酸化皮膜より緻密な
    酸化皮膜を形成させる第2次処理を施すことを特徴とす
    る原子力プラントの放射能低減方法。
  2. 【請求項2】前記第1次処理及び第2次処理を第1次処
    理から第2次処理へ段階的に処理条件を移行させて行う
    ことを特徴とする特許請求の範囲第1項記載の原子力プ
    ラントの放射能低減方法。
  3. 【請求項3】前記第1次処理及び第2次処理を第1次処
    理から第2次処理へ連続的に処理条件を移行させて行う
    ことを特徴とする特許請求の範囲第1項記載の原子力プ
    ラントの放射能低減方法。
  4. 【請求項4】前記第2次処理の冷却水がHCO3、HP
    4、H2PO4、NO2、NO3、OH、HCOO、S
    4、CH3COOから成る陰イオン原子団から選ばれた
    1種以上を含むことを特徴とする特許請求の範囲第1
    項、第2項又は第3項記載の原子力プラントの放射能低
    減方法。
  5. 【請求項5】ヒータチューブを備えた給水加熱器を有す
    る原子力プラントの放射能低減方法において、 前記給水加熱器のヒータチューブに循環ポンプを含む循
    環ラインを接続すると共に前記給水加熱器のヒータチュ
    ーブ外にバイパスラインによって前記循環ライン中の圧
    力を伝達し、脱気させて溶存酸素濃度を40ppb以上
    200ppb未満とし、200〜300℃に加熱した加
    熱水を前記循環ポンプによって前記給水加熱器のヒータ
    チューブ及びそれに接続された循環ラインを所定時間循
    環させて該加熱水と接触する金属部材の表面に厚い多孔
    性の酸化皮膜を形成させる第1次処理を施した後、B
    e、Mg、Al、Ca、V、Cr、Mnから成る金属イ
    オン群から選ばれた1種以上の金属イオンを濃度5〜1
    000ppbで含み、溶存酸素濃度が200ppb以上
    400ppb以下である200〜300℃の加熱水を前
    記循環ポンプによって同様に循環させて前記第1次処理
    より緻密な酸化皮膜を形成させる第2次処理を施すこと
    を特徴とするヒータチューブを備えた給水加熱器を有す
    る原子力プラントの放射能低減方法。
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