JP2993452B2 - 流動化用空気ノズル - Google Patents

流動化用空気ノズル

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JP2993452B2
JP2993452B2 JP9017481A JP1748197A JP2993452B2 JP 2993452 B2 JP2993452 B2 JP 2993452B2 JP 9017481 A JP9017481 A JP 9017481A JP 1748197 A JP1748197 A JP 1748197A JP 2993452 B2 JP2993452 B2 JP 2993452B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は都市ごみなどの廃棄
物処理設備の主流となりつつある流動床焼却炉の技術開
発に係る。
【0002】
【従来の技術】日常生活の多様化と共に家庭や事業所か
ら排出されるごみの量も増加の一途を辿り、その内容も
きわめて複雑で多岐に亘るのが今日の傾向であり、ごみ
処理技術の優劣は地方自治体の経済を大きく左右する要
素として注目を集めるに至っている。現在のところ、ご
み処理は流動床焼却炉とストーカ式に大別され、それぞ
れその特徴を発揮しているが、本発明が対象とする流動
床焼却炉の基本的な構造は図6で説明するように、焼却
炉本体の下部に設けた空気室5へ一次空気を供給し、こ
の空気室と仕切り板7によって隔てられた燃焼室6へ仕
切り板を貫通する多数の流動化用空気ノズル10を経由
して所定量の空気を噴射し、燃焼室内へ装入された流動
媒体8、主として珪砂などを流動させる。
【0003】一方、炉本体の側壁に設けたごみなどの廃
棄物の供給管61からは廃棄物が炉内へ供給され高温に
加熱された流動媒体8の激しい流動と共に攪拌と高熱を
受けて乾燥、着火、燃焼が秒単位で進行し、その燃焼ガ
スは燃焼室上部から供給される二次空気によって完全燃
焼されて排ガス口62から排出し、不燃物は流動用の流
動媒体8と共に燃焼室6の中央底部に設けた不燃物排出
管63から排出される。
【0004】流動化用空気ノズルは従来から流動床焼却
炉の燃焼効率に大きな影響を与える要素であり、また、
メンテナンス上の要諦でもあるので、種々の型式が開発
され実施されてきた。図7(A)は従来技術の典型的な
流動化用空気ノズル110を示し、仕切り板111には
仕切り板自体とその上部の耐火物112とを貫通する空
気導入管113が多数配列して固定されており、その空
気導入管113の頂部にキャップ114が取り付けられ
ている。キャップ114には水平方向に貫通する複数の
空気噴出口115を穿孔され、この空気噴出口115か
ら空気を燃焼室内へ噴出して流動媒体を流動化させる。
また、一次空気の供給を停止したときに流動媒体が空気
噴出口115内へ流入しないように、流動媒体の安息角
を考慮して空気噴出口113の穿孔長さを設定してい
る。
【0005】別の従来技術として図7(B)に示す特開
昭59−26137号公報などが認められるが、この発
明における流動化用空気ノズル210は、外筒211と
内筒212とを溶接によって一体化して炉床面と同水準
に埋設している。外筒211の下部には複数の入気孔2
13が穿孔され、上部の外筒と内筒との間にスリット2
14が形成され、下方の両筒間に形成された中空孔21
5と連通し前記入気孔を介して空気室まで通じている。
【0006】入気孔213を通過して進入した空気は中
空孔215を経由してスリット214から炉内に噴出し
て図示しない流動媒体を流動させ燃焼作用を継続する。
流動床焼却炉を停止したときには、流動媒体(珪砂な
ど)は微粉以外はスリット214内へ侵入することがで
きないし、釘などの固形異物もスリットの幅(約1m
m)が狭隘であるから侵入することができない。微粉の
一部が中空孔内へ侵入することは避けられないにして
も、流動床焼却炉の運転を再開すれば中空孔などに滞留
していた微粉は一挙に風圧で吹き上げられ炉内に戻るか
ら、運転の再開については何の障害にも当らないと謳っ
ている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】図7(A)(B)の二
方式を比べてみると、図(A)の方式は垂直上方に供給
された高圧空気を直角に進路を屈折して水平方向に噴出
する方式を採り、図(B)の後者の方式は上部燃焼室内
へ垂直方向に噴出する方式を採っている。空気の噴出エ
ネルギーを極力損うことなく有効に利用する点では後者
が優れ、また、流動化用空気ノズルの頂面が耐火物表面
と同一レベルに揃えることは、流動媒体などによる摩耗
作用に対して有利であるという課題の認識は正しいと評
価できる。しかし、この両者を含め、都市ごみ焼却設備
として実用に供されている流動化用空気ノズルには、ほ
とんど例外なくきわめて困惑すべき別の課題に直面して
いることも見逃せない。
【0008】今日の都市ごみなどを主体とする廃棄物に
ついては、アルミニウム製の飲料缶が混入することは避
けることが困難である。如何に自治体が分別収集を呼び
かけても世界一の自動販売機の普及率が災いしてごみの
中にアルミニウム製の缶などが紛れ込むことを看視し取
り除く選別作業にも限界がある。アルミニウムは溶融点
が約660℃であるから、流動床焼却炉内の流動媒体温
度が700℃にも達する燃焼室内では溶融して液状とな
り、他の不燃物や流動媒体と共に燃焼室中央の不燃物排
出管63から排出されるから、流動床焼却炉の運転中に
おいてはさほどの問題となるわけではない。
【0009】しかしながら流動床焼却炉の運転を停止す
るときには燃焼室の底面は不燃物の排出が円滑に進むよ
うに耐火物によって一般にスリバチ状の傾斜面で形成す
ることが多いから、溶融したアルミニウムが底面中央目
指して流動して集合する傾向が強く、たとえば図7
(A)で示した典型的な流動化用空気ノズルであれば、
燃焼室底面中央付近に当る流動化用空気ノズルについて
は、図8(A)で示唆するように液状のアルミニウムが
空気噴出口115から空気導入管113内へ流入し、そ
の一部がそのまま凝固して凝固片Mの先端が空気導入管
内に係止し、空気噴出口115自体も閉塞してしまう現
象に遭遇する可能性が高い。一旦、このような状態に陥
ると、運転を再開して空気導入管113に高圧の空気を
供給しても、内部に係止したアルミニウムを燃焼室へ押
し戻すことが困難となり、空気噴出口115も一部が閉
塞したままであるから流動媒体の流動が炉内で不均一な
状態となり、不安定な操炉条件とならざるを得ず、流動
床焼却炉の機能を著しく低下させる原因となる。このよ
うなトラブルは都市ごみなどアルミニウム缶類の混入す
る廃棄物を焼却処理する限りは避け難い課題である。
【0010】図7(B)に示した従来技術についてもそ
のまま都市ごみなどの廃棄物焼却用に適用すれば、図8
(B)で示唆するように溶融アルミニウムは何の抵抗も
受けることなくスリット214から中空孔215を通過
して侵入し、その溶融量によっては流動化用空気ノズル
の連通孔全部に充満して完全に閉塞するから、そのまま
凝固すればアルミニウムが各孔の段差に追従してすべて
係止し、最早手の施しようがない惨状となるから、その
点から言えば図7(A)の従来技術よりも一層深刻な状
況となる虞れが多分にあり、利点を帳消しにする重大な
欠陥となる可能性もあり得る。これは流動化用空気ノズ
ルの頂面が耐火物表面と同水準としたことと、噴出口の
方向を無防備のままで垂直に開口したことが災いしてい
るが、一旦、この状態に陥れば、仕切り板から数百個の
流動化用空気ノズルを掘り起こして更新するか清掃する
他なく、その被害の大きさは想像を絶する。
【0011】この清掃作業がきわめて煩雑で非能率であ
ることは常に指摘される通りである。流動床焼却炉は高
温で操業されているから、運転を停止しても清掃のため
作業員が炉内へ入れるまで温度が低下するには相当な時
間、待機しなければならない。さらに入った後、たとえ
ば図8(A)の状態であれば空気導入管113の頭部か
らキャップ114を取り外してアルミニウムの引っ掛か
っている部分を取り外さなければならない。炉内の流動
化用空気ノズルは数百セットに及び、各流動化用空気ノ
ズルには3〜4箇所の空気噴出口115が穿孔している
から、すべての流動化用空気ノズルを点検しアルミニウ
ムによって閉塞している空気噴出口から係止している金
属片を取り除く作業は多くの貴重な時間と労力を必要と
する。図8(B)の状態に至ってはほとんど清掃による
機能回復は絶望的であり、新品との更新が最も迅速な処
理方法となるが、それにしても材料費と人件費の高騰は
耐え難い負担を強いる危惧が予想される。
【0012】しかも、除去作業終了、流動床焼却炉の運
転を再開するにしても、あらかじめ廃棄物を焼却するた
めの燃焼条件に達するまでには数時間を必要とし、前後
の停止時間の合計を考え、また、増大する一方の廃棄物
処理の緊急性から考えても、この現象は看過し難い重要
な課題となって担当部門へ解決を迫っている。本発明は
以上の課題を解決するために都市ごみなどに混入が避け
られないアルミニウム類などの低溶融温度の金属液化に
よる流動床焼却炉の機能の喪失を防止する新規な流動化
用空気ノズルの提供を目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明に係る流動化用空
気ノズル10は、空気室5との仕切り板7を貫通する空
気導入管4を被冠するキャップ1と、該キャップ1内を
垂直に貫通する貫通孔11内を摺動自在に昇降する浮沈
体2と、該浮沈体2が沈降時に着座する有孔板3とより
なり、前記貫通孔11は浮沈体2の中空円筒部21の外
周面が嵌合する小径孔12と、浮沈体2の拡径した受圧
面22が内嵌する大径孔13によって段差面14を形成
し、有孔板3は浮沈体2の沈降時に中空円筒部21の内
周面内へ嵌合する円柱状の栓柱31と、前記受圧面22
の直下に穿孔した連通孔32によって形成したことを構
成上の特徴とする。
【0014】流動床焼却炉の運転に際しては、下方に接
続する空気室から空気導入管4を介して流動化用空気ノ
ズル10に進入する空気圧は、たとえば、2000〜2
300mmAqの高圧に達し、有孔板3の連通孔32を
通じて浮沈体2の受圧面22を押し上げ、この風圧によ
って浮沈体3はその外周面をキャップ1の小径孔12の
内周面に、またその内周面を栓柱31の外周面にそれぞ
れ案内されて垂直に浮上を始め、遂に受圧面22が栓柱
31の上端を越える高さに達すると、空気は連通孔32
−大径孔13−小径孔12を通じてキャップの頂面15
から一斉に噴出を開始し、空気の押し上げ力によって受
圧面22が大径孔と小径孔の境界となる段差面14に押
し付けられ停止するまで浮上して全開する。噴出する高
圧空気が燃焼室内の流動媒体を流動させて流動床焼却炉
の機能を発揮し始めることは言うまでもない。
【0015】流動床焼却炉の運転を停止するときには、
空気室からの空気の供給が停止するから浮沈体2を浮上
させていた押し上げ力が消滅し、浮沈体2は自重で中空
円筒部21の外周面が小径孔12の内周面と摺動しつつ
降下し、途中で中空円筒部の内周面に栓柱31が嵌合し
て内外のガイドに挟まれて正しい垂直方向を維持して有
孔板3の上面上に着座する。
【0016】このとき廃棄物内に混入していた液状のア
ルミニウムも一部は排出されず、流動化用空気ノズルの
位置によってはキャップの貫通孔11内へ侵入するが、
図8(A)(B)で例示した従来技術とは異なり本発明
の場合には、運転停止と共に着座した浮沈体2の内周面
内に栓柱31が内嵌しているから、液状と謂えども栓柱
の上端で堰止められてそれ以上の侵入は不可能となり、
したがって図8に例示したように空気噴出口のみならず
中空部内まで引っ掛かったり、スリットと中空孔に繋が
って係止状態となることはあり得ない。温度の低下と共
に小径孔内に侵入したアルミニウムは凝固するが、引っ
掛かりもなく単に流れ込んだままで収縮して平滑な小径
孔内周面や浮沈体の中空円筒部内周面に接しているだけ
であるから、再び空気導入管4が浮沈体2を浮上させる
と簡単に縁が切れて離脱する作用が起こる。また、凝固
したアルミニウム量がかなり大量で小径孔内に充満しキ
ャップの頂面に滞留するアルミニウム塊と連続したまま
凝固したとしても、キャップ外のアルミニウムは流動媒
体の激しい流動運動に遭って直ぐに引き千切られたり、
四散して貫通孔内の残留アルミニウムと分断されるか
ら、小径孔内に残るアルミニウムは高圧空気の噴出を受
けてキャップ外へ噴き出され完全な連通状態に復帰する
ことは物理的に容易に想像できる。
【0017】前記の基本構成の要件を満たす限り、本発
明の思想が活かされて課題解決に直結するが、より具体
的な形状を提示するならば、浮沈体の受圧面22がフラ
ンジ状に拡径した水平面よりなり、段差面14が水平に
形成している形態が一般的であり製作も容易である。し
かし、これに代って浮沈体の受圧面22Aが円錐状に拡
径した傾斜面よりなり、段差面14Aが同一角度の傾斜
面で形成している形態であってもよい。
【0018】また、キャップの頂面15は流動床焼却炉
の仕切り板7を被覆する耐火物71の表面と同一レベル
で埋設している形態も当然選択し得るわけであり、前記
の図7(B)で示した従来技術が利点として主張する垂
直上方へ空気を噴出することによってエネルギーの効率
的な利用を可能とする他、流動化用空気ノズルの激しい
摩耗作用からの防衛に対しても有利であることは言うま
でもない。さらに流動床焼却炉内へは長尺物と呼ばれる
ワイヤ、帯体などの混入も避け難いが、炉床面に多数の
流動化用空気ノズルが突起していなければその移動も円
滑に進み、結果的に炉の燃焼効率の向上として現われる
機能も無視し難い。なお、この場合であって耐火物71
の表面が傾斜面からなり、該頂面15から浮沈体2の上
端23までの距離が常に一定に維持するスペーサ33を
有孔板3上に介装する構成を採れば、浮沈体2の上昇距
離が等しくコントロールされ、傾斜面に開口するどの貫
通孔からも噴出する空気の圧力は一定値を維持し、炉床
全面に亘って均等な流動運動が持続する作用が得られ
る。
【0019】その他、記述の各形態に共通する構成とし
て、キャップ1は貫通孔11を含む円柱体16と、該円
柱体16を着脱自在に内嵌する嵌入孔17を配設した本
体18とで形成することもできるし、浮沈体2が有孔板
3上に着座したとき、栓柱31を外嵌する範囲に限って
中空円筒部21を貫通して空気抜き孔24を穿孔するこ
とによって、なお一層、目的の達成に好適である。すな
わち、浮沈体3が少しでも浮上して空気導入管の空気が
小径孔から燃焼室内へ流れ出すと、大径孔と段差面間に
存在していた空気が空気抜き孔24を通って小径孔内面
側へ移動して共に燃焼室側へ向い、浮沈体はスムースに
浮上させるのに有効な作用を誘発する。
【0020】
【発明の実施の形態】図1は本発明の好ましい実施形態
の縦断正面図を示すが、流動化用空気ノズル10以外の
一般的な流動床焼却炉の名称と符号については図6に準
拠して説明する。図の例では仕切り板7の上面に耐火物
71を厚く被覆して上部の燃焼室6と下部の空気室5と
を仕切り、この仕切りを貫通して空気導入管4が配置さ
れている。空気導入管4の上端を被冠するキャップ1に
は1本または数本の貫通孔11を垂直に設け、孔の上部
は小径孔12、下部が大径孔13と直径を変え、両者を
結ぶ境界が段差面14となる。この図では段差面は水平
に形成されている。一方、大径孔13の底部には有孔板
3がキャップ2に固着され、有孔板3にはさらに栓柱3
1が垂直に突出して一体的に固定されている。浮沈体2
は小径孔12の内周面に摺動して昇降する中空円筒部2
1と、大径孔13の内周面に摺動して昇降する受圧面2
2とからなり、中空円筒部21の内周面には栓柱31が
嵌合してガイドの役割を果す。浮沈体2が有孔板3の上
に着座したときに受圧面22の直下の位置に連通孔32
が開口して空気導入管4からの空気圧を受圧面に伝えて
浮上させるのが基本的な構成と作用である。一般にキャ
ップ1は燃焼室内で流動する流動媒体の直撃を絶えず受
ける位置に置かれるから摩耗も激しく、取り替えが容易
に行なえるように空気導入管4の上部内周面へ捩じ込ん
で単独更新を簡単に実施できる設定が望ましい。
【0021】流動床焼却炉の運転を停止すれば空気の噴
出口である貫通孔11が垂直に開口している以上、当
然、その場所やキャップ1の頂面15の高さに応じて溶
融アルミニウムが流入することは避け難い。その点に関
しては従来技術と変るところはないが、運転停止と共に
自重で沈降して有孔板3上に着座した浮沈体2の小径孔
の内面は栓柱31で完全に閉塞されているから、溶融ア
ルミニウムも栓柱上面までしか流入できず、凝固した後
も上部ほど拡径した凝固体となるから、特に内面に係止
する引っ掛かりも生じないまま容易に剥離し、再び燃焼
室内へ吹き上げられる点が全く異なる作用である。
【0022】この点に関して付け加えるならば、キャッ
プ1および浮沈体2は耐熱性ステンレス鋼を材質に選ぶ
と課題解決に一層有利な条件となることである。すなわ
ち、ステンレス鋼の線膨張係数はアルミニウムのそれの
ほぼ半分程度と小さいから、仮に小径孔12の内部が溶
融したアルミニウムで充満したままで凝固したとして
も、線膨張係数の差によってステンレス鋼の小径孔内周
面と内部まで流入して凝固したアルミニウムとの間に温
度降下と共に隙間が発生し、アルミニウムと小径孔内面
間の縁が断ち切られて両者間の付着力はほとんどなくな
り、少しの衝撃や圧力によって容易に剥離したり、離脱
するので好都合である。このことは有孔板に固定した栓
柱31についても同様に言えることであり、浮上と沈降
を容易にするために浮沈体の軽量化を図ることは当然だ
が、仮に浮沈体内面の一部に溶融アルミニウムが付着し
たとしても、凝固後には両者の接触面間に隙間が生じて
簡単に剥離するので材質としては最も好ましい。
【0023】キャップや栓柱の材質としてはその耐熱性
を考慮すれば鋳鉄材などの鉄系やセラミックス材などの
非鉄類も選択肢に挙げられるが、鉄系の場合には酸化ス
ケールが生じて溶融アルミニウム材との付着がより強く
なる可能性があり、セラミックス材の場合も軽量と耐熱
性では理想的であるが、表面の微細な凹凸(ザラツキ)
がアルミニウムとの付着係合の原因となり勝ちであるか
ら、耐熱性ステンレス鋼が現状では最も推奨に価する。
しかし、凝固アルミニウムとの非付着性という条件さえ
満足するのであれば特に材質を限定するわけではない。
【0024】図2は本発明の別の実施形態を示す縦断正
面図であり、キャップ1A、浮沈体2A,有孔板3Aの
基本的な形状と組合わせは図1の形態と同様であるが、
キャップ1の頂面15Aを傾斜面で形成して耐火物71
Aと同一の水準の床面を構成した点が異なる。従来技術
[図7(B)]とは異なり、空気の垂直上方への噴出や
摩耗からの保護という機能は保持したままで、停止後の
凝固アルミニュウムを容易に排除できるという課題は解
決する形態となる。なお、この方式においては往々にし
て都市ごみに混入するワイヤなどの不燃性長尺物の移動
が円滑に行なわれ炉床中央に開口する排出管(図6の6
3)からの排出を容易にする一因となることも看過でき
ない利点である。
【0025】図3は図1、図2の形態とは異なる実施形
態であり、キャップ1B、浮沈体2B、有孔板3Bの形
状と組合わせが傾斜面からなる浮沈体の受圧面22B
と、それに対応する傾斜面で形成する段差面14Bを主
体とする点が特徴である。かつ、この場合、キャップの
頂面15Bを傾斜面として耐火物71Bで形成する床面
と同一水準に統一したから、前記図2の利点をそのまま
享受する上、受圧面22Bの下端を持ち上げるスペーサ
33Bを有孔板3Bの対応する位置に固定したから、キ
ャップの頂面15Bが傾斜しているにも拘わらず、運転
停止時に着座した浮沈体2Bの上端23Bから頂面15
Bまでの距離が一定に保たれ、運転開始と共に均一な空
気噴出作用が各小径孔から一斉に始まるので、炉床面全
体に均等な流動運動が保証される構成となっている。
【0026】また、図3は本発明の別の実施形態の特徴
を具現化したものでもある。すなわち、耐火物71と同
一レベルにキャップの頂面15を合致させることは種々
の技術的メリットは認められるにしても、一つの課題と
して炉床を構成する耐火物層内に数百個に及ぶ流動化用
空気ノズルを埋設している点であり、修理、手入れ、取
り替えなどの何れの作業に対しても、一々、耐火物から
掘り起こして取り出すというきわめて煩瑣に失する悪条
件が挙げられる。これに応えた要件が本形態であり、図
3においてはキャップ1Bを空気導入管4Bの上部外周
面に螺合する本体18Bと、該本体に穿孔した円孔17
Bに嵌合した円柱体16Bに分離したことを特徴とす
る。キャップの中で補修や手入れ、または取り替えの必
要性が起こるのは高圧空気の噴出作用を果す貫通孔やそ
の開閉作用を受け持つ浮沈体、有孔板に限られるからこ
れらの部材を含めた要部とそれ以外の外郭を形成する部
分に分割し、耐火物内に埋設してもその悪影響を最小限
に留めたものである。
【0027】図4は別の浮沈体、キャップの形状に同じ
発想を適用した場合を示し、基本的には図1に示した形
態と同様であるが、同図(B)に例示したように1セッ
トのキャップ1Cは3個の円柱体16Cとそれを内嵌す
る本体18Cとからなり、本体18Cに均等に配分して
穿孔した3個の円孔17Cへそれぞれ円柱体16Cを嵌
合する。この嵌合を固定するために円柱体16Cの底面
に凹溝を周設し、円孔17Cの底面にもこれに嵌合する
突条を周設して両者の嵌合によって嵌合部19Cを設定
している。このような本体と円柱体との分離は、主たる
消耗部材である円柱体を量産体制下に置き、在庫管理や
取り替え施工を容易にするなどの利点が目覚しく、現場
的な設備管理に著しい便益をもたらす。
【0028】図5は浮沈体の中空円筒部21が着座時
(流動床焼却炉の運転停止時)栓柱31によって閉塞さ
れる範囲の中で内部まで貫通する空気抜き孔24を設け
た実施形態を示したものであり、浮沈体が下方からの風
圧を受けて少しでも浮上し空気導入管からの高圧空気が
小径孔12まで流れ出すと、大径孔13と段差面14間
に存在する空気もこの空気抜き孔24を通過してから共
に浮上排出されるため、浮沈体2の浮上抵抗が減少しス
ムースな移動を促進する作用が現われる。
【0029】
【発明の効果】本発明は以上に述べた通り都市ごみなど
の廃棄物に必ず混入しているアルミニウムなど低融点の
金属が流動床焼却炉の燃焼室内で溶融し、一部が排出さ
れないままで空気室と連通する流動化用空気ノズルの内
部へ係合して炉の停止と共に凝固するために、運転再開
時に円滑な送風を阻害して流動層の形成に致命的な悪影
響を与えていた悪循環を断ち切り、凝固したアルミニウ
ムなどが容易に剥離して空気の供給に支障を来さない構
造に置換したから、各都市のごみ焼却用に設けられた流
動床焼却炉を計画通りの能力を100%発揮させて都市
の抱える重要なテーマに解決の光明を投げかける大きな
効果が認められる。
【0030】流動床焼却炉の主要な構造自体には何の変
更を加える必要もなく、単に空気室と燃焼室との仕切り
板を貫通する空気導入管に連結するキャップを本発明の
実施形態の何れかに取り替えるだけで、常に煩わされて
いた燃焼条件の劣化やその状態から脱するための清掃作
業に要する貴重な時間と労力、その間の炉の停止による
処理能力の低下という何れも都市部の抱えるアキレス腱
を実質的にはきわめて低額の改修費用によって一挙に克
服できるのであるから、実施の容易さや汎用性など評価
すべき副次的効果はきわめて顕著である。
【0031】また、本発明では従来、多くの流動床焼却
炉が運転停止後の流動媒体の侵入を懸念して空気噴出方
向を水平に転向していたものを垂直に改め、本来の高圧
空気のエネルギーを最大効率で利用すると共に、そのた
めに派生していたアルミニウムなどの流入係止、炉況の
悪化、煩瑣なメンテナンスの負担を改善して利点のみを
採り出し、弱点は捨てる構成にしたから、現場に対する
貢献度は極めて高い。しかも、キャップの分割によって
補修や更新などメンテナンス作業の著しい軽減、突起物
のない平坦な炉床に起因する長尺類の円滑な移動排出な
ど各実施形態毎に説明した通り個別に得られる特有の効
果もまた顕著なものがある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の縦断正面図である。
【図2】本発明の別の実施形態の縦断正面図である。
【図3】本発明のさらに別の実施形態の縦断正面図であ
る。
【図4】本発明のさらに別の実施形態の要部の縦断正面
図(A)とその平面図(B)である。
【図5】本発明のさらに別の実施形態の縦断正面図であ
る。
【図6】流動床焼却炉の一般構造を示す縦断正面図であ
る。
【図7】(A)(B)によって二種類の流動化用空気ノ
ズルの従来技術を縦断正面図で示す。
【図8】(A)(B)によって図7(A)(B)の従来
技術が具える課題をそれぞれの縦断正面図で示す。
【符号の説明】
1 キャップ 2 浮沈体 3 有孔板 4 空気導入管 5 空気室 6 燃焼室 7 仕切り板 8 流動媒体 11 貫通孔 12 小径孔 13 大径孔 14 段差面 15 頂面 16 円柱体 17 円孔 18 本体 21 中空円筒部 22 受圧面 23 上端 24 空気抜き孔 31 栓柱 32 連通孔 33 スペーサ 71 耐火物
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) F23G 5/30 B01J 8/24 311 F23C 11/02

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 流動床焼却炉の燃焼室内へ流動媒体を流
    動させる空気を噴出する流動化用空気ノズルにおいて、
    流動化用空気ノズル10は空気室5との仕切り板7を貫
    通する空気導入管4を被冠するキャップ1と、該キャッ
    プ1を垂直に貫通する貫通孔11内を摺動自在に昇降す
    る浮沈体2と、該浮沈体2が沈降時に着座する有孔板3
    とよりなり、前記貫通孔11は浮沈体2の中空円筒部2
    1の外周面が嵌入する小径孔12と、浮沈体2の拡径し
    た受圧面22が内嵌する大径孔13によって段差面14
    を形成し、有孔板3は浮沈体2の沈降時に中空円筒部2
    1の内周面内へ嵌入する円柱状の栓柱31と、前記受圧
    面22の直下に穿孔した連通孔32によって形成したこ
    とを特徴とする流動化用空気ノズル。
  2. 【請求項2】 請求項1において、浮沈体の受圧面22
    がフランジ状に拡径した水平の環状板よりなり、段差面
    14が水平に形成していることを特徴とする流動化用空
    気ノズル。
  3. 【請求項3】 請求項1において、浮沈体の受圧面22
    Aが円錐状に拡径した傾斜面よりなり、段差面14Aが
    同一角度の傾斜面で形成していることを特徴とする流動
    化用空気ノズル。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3の何れかにおいて、キャ
    ップの頂面15は流動床焼却炉の仕切り板7を被覆する
    耐火物71の表面と同一レベルに埋設していることを特
    徴とする流動化用空気ノズル。
  5. 【請求項5】 請求項4において、前記頂面15が傾斜
    面からなり、該頂面15から浮沈体2の上端23までの
    距離を常に一定に維持するスペーサ33を有孔板3上に
    介装したことを特徴とする流動化用空気ノズル。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至5の何れかにおいて、キャ
    ップ1は貫通孔11を含む円柱体16と、該円柱体16
    を着脱自在に内嵌する円孔17を配設した本体18とで
    形成することを特徴とする流動化用空気ノズル。
  7. 【請求項7】 請求項1乃至6の何れかにおいて、浮沈
    体2が有孔板3上に着座したとき、栓柱31を嵌合する
    中空円筒部21の高さの範囲に限り空気抜き孔24を貫
    通したことを特徴とする流動化用空気ノズル。
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