JP2001004122A - 燃焼溶融炉 - Google Patents

燃焼溶融炉

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JP2001004122A
JP2001004122A JP11171911A JP17191199A JP2001004122A JP 2001004122 A JP2001004122 A JP 2001004122A JP 11171911 A JP11171911 A JP 11171911A JP 17191199 A JP17191199 A JP 17191199A JP 2001004122 A JP2001004122 A JP 2001004122A
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JP
Japan
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furnace
slag
discharge port
slag discharge
flow
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Application number
JP11171911A
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English (en)
Inventor
Masayoshi Kubota
昌良 久保田
Teruyuki Okazaki
輝幸 岡崎
Tsutomu Shibata
強 柴田
Toshiaki Arato
利昭 荒戸
Yoshinobu Kobayashi
啓信 小林
Hideaki Utsuno
英明 宇津野
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Publication date
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  • Gasification And Melting Of Waste (AREA)
  • Incineration Of Waste (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】スラグ排出口を損傷することなく、溶融スラグ
を良好に排出させる。 【解決手段】スラグ排出口を横長の孔にし、孔の長辺に
あたる部分から溶融スラグが流下しないように該長辺部
に突起を設ける。溶融スラグは、横長の孔の両端から安
定して排出される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、都市ゴミを熱分解
して得られた熱分解残さ等の可燃物を燃焼し、燃焼灰を
溶融スラグ化して回収する燃焼溶融炉に関する。
【0002】
【従来の技術】都市ごみ等の廃棄物の増加に伴い、ごみ
焼却炉から排出される焼却灰の埋め立て処分場の容量不
足が逼迫している。そのため、次世代型ごみ処理技術と
して廃棄物を熱分解して熱分解ガスと可燃性の熱分解残
留物(以下、チャーと呼称)を生成させ、得られたチャ
ーを溶融炉において高温で燃焼させることによりチャー
の燃焼灰を溶融スラグにして減容化する廃棄物ガス化溶
融処理システムが注目されている。このなかで、微粉炭
燃焼炉や石炭ガス化炉の技術を応用した溶融炉は、燃焼
灰を安定して溶融スラグにするため溶融炉内温度の制御
が重要である。例えば、特開平1−49816号公報に示され
る方法(従来例1)では、溶融炉の後段に配置したボイ
ラの排ガスの一部を分岐させて溶融炉に戻すことで溶融
炉温度を安定化している。特開平9−137927 号公報(従
来例2)は、溶融炉の後段にボイラを配置し、発生蒸気
を蒸気タービンに導入して発電する方法で、発電出力を
検出して熱分解炉への廃棄物投入量を調整する方式等が
提案されている。
【0003】これらは、いずれも溶融炉内温度を制御す
ることにより、安定して燃焼灰を溶融スラグにする方法
であるが、溶融スラグは溶融炉から排出しなければなら
ない。通常、溶融スラグは溶融炉のスラグ排出口から流
下させる。特開平5−296434号公報(従来例3)及び特
開平6−26636号公報(従来例4)では、炉中心に円筒形
の上端部が開いたラッパ状排出口を設け、上端部から炉
底面の位置まで切り開かれたスラグ排出溝が形成されて
いる。特開平5−287283 号公報(従来例5)では、炉底
のスラグ排出口に至る堤又は段差を旋回流に対向するよ
うに設けてある。しかし、溶融スラグの溶融温度は廃棄
物の性状により変動し、安定して流下しない場合があ
り、スラグ排出口が閉塞する。上記従来例1や2は溶融
炉内の温度上昇を防止するように調整することにある
が、温度低下に対して考慮されていない。特に、溶融炉
はスラグ排出口から下方の炉外壁を水没させて水封し、
溶融スラグを水中に流下させて回収する方法が一般的で
あるが、スラグ排出口下方の裏側が水面の幅射や熱伝導
等により熱損失が生じるため温度が低下し、流下中の溶
融スラグが固化してスラグ排出口を閉塞する。また、従
来例3及び4は円筒形スラグ排出口のため、スラグ排出
口を通るガス流れは下降流,上昇流が混在し、流下する
溶融スラグが上昇流により吹き上げられて炉内に飛散す
る。従来例5は円周方向に段差があるため、旋回流によ
り炉底に保持した粒子が乱され、未溶融のままスラグ排
出口から落下する恐れがある。
【0004】その対策として、例えば特開平9−137927
号公報(従来例6)や特開平8− 219433号公報(従来
例7)のように排出口に付着したスラグを除去するため
の突き上げあるいは掻き落とし部材を設置して除去する
方法、或いは特開平9−217920号公報(従来例8)のよ
うにスラグ排出口周辺を適正に冷却し、溶融スラグの剥
離性を高める方法等が提案されている。また、溶融スラ
グをスラグ排出口から排出させる方法として特開平9−2
17921 号公報(従来例9)ではスラグ排出口の一ヶ所に
垂直断面形状がV字型の溝を形成し、それ以外の周囲に
堰を設けた構造が提案されている。しかし、溶融炉内壁
及びスラグ排出口は耐火材を用い、耐火材はシリカ(S
iO2 )やアルミナ(Al23),セラミック等が使用
されているため、同様の成分である溶融スラグが付着す
ることは、耐火材と溶融スラグが融着する。従来例6及
び7のように、付着したスラグを除去する場合、耐火材
が剥離されるなどスラグ排出口が著しく損傷する。従来
例8は溶融スラグの固着を促進する恐れがあり、従来例
9は溶融スラグが滞留し、V字溝に流れない場合が予想
される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
従来技術の問題点を解決し、溶融スラグをスラグ排出口
から効率的に排出させる溶融炉を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の第一の実施態様
は、可燃物と空気による旋回流を炉内周に沿って形成
し、可燃物が燃焼することによって生じた溶融スラグを
炉下部のスラグ排出口から排出するようにした燃焼溶融
炉において、前記スラグ排出口を横長の孔とし、該横長
の孔の長辺に当たる部分に溶融スラグの落下を阻止する
突起を設け、溶融スラグが横長の孔の両端から落下する
ようにしたことにある。
【0007】本発明の第二の実施態様は、可燃物を燃焼
するための炉本体と、該炉本体の内周に沿って可燃物の
旋回流が形成されるように炉壁に取り付けられた可燃物
気流搬送ノズルと、該炉本体の炉内周に沿って空気の旋
回流が形成されるように炉壁に取り付けられた空気ノズ
ルと、該炉本体の下部に設けられたスラグ排出口とを有
する燃焼溶融炉において、前記スラグ排出口の孔の形状
を横長にし、該孔の長辺に当たる部分に溶融スラグの落
下を阻止する突起を設けて溶融スラグが横長の孔の両端
から下方へ落下するようにしたことにある。
【0008】第一及び第二の実施態様によれば、スラグ
排出口を通るガスの流れは、横長の孔の両端部では下降
流になり、中心部付近では上昇流になる。横長の孔の長
辺に当たる部分には、突起が設けてあるため、溶融スラ
グは、突起の周囲を通って横長の孔の両端へと周り、そ
こから下方へ落下する。このため、安定にスラグを排出
することができる。
【0009】本発明において、スラグ排出口である横長
の孔は、長辺/短辺の比を1.5〜4 にすることが望ま
しい。また、スラグ排出口が設けられている炉底面部
は、炉内壁から炉中央に向かって下降する傾斜面にする
ことが望ましい。また、スラグ排出口の下方に、スラグ
排出口を加熱するバーナを設けることが望ましい。
【0010】本発明の他の実施態様を以下に示す。
【0011】(イ)気流搬送による可燃物と空気を複数
のノズルから旋回流を形成するように吹き込んで燃焼さ
せ、燃焼ガスを炉上部の排出口から排出し、可燃物中の
燃焼灰を溶融させて溶融スラグを溶融炉底面から外部に
排出するようにした溶融炉において、前記溶融炉の底部
は、炉壁から炉中心に向かって傾斜した炉底部を有する
とともにガスが旋回する円周方向に突起等の構造物がな
く、炉中心軸には旋回流を妨げない円柱形の突起を設
け、前記円柱形の突起を分断するように長方形のスラグ
排出口を形成して前記溶融スラグが円柱形の突起の外周
に沿ってスラグ排出口長径方向の両端部に流れるように
形成した燃焼溶融炉。
【0012】(ロ)スラグ排出口を炉中心軸から対称と
し、短径は中心軸の短径を外径とした仮想円筒における
ガス上昇流速が15m/sec 以下にすることから求め、
長径/短径の比が1.5〜4.0の細長い長方形状になる
ようにすることにより、長径端部にはガスの下降流が存
在して短径の中心部に上昇流が形成されるようにした燃
焼溶融炉。
【0013】(ハ)スラグ排出口を長方形状の菱形に
し、長径部の相対する頂点は溶融スラグの処理量が流下
できる適宜の半径を有する形状にした燃焼溶融炉。
【0014】(ニ)突起を円錐台の形状とし、炉底部に
接する外径がスラグ排出口の長径と同じまたは大であ
り、長径方向の円錐台両端は炉底部まで任意幅に切断し
て、炉底部とスラグ排出口の長径部を接続して、溶融ス
ラグが円錐台の外周に沿ってスラグ排出口長径方向の両
端部に流れるようにした燃焼溶融炉。
【0015】(ホ)前記(イ)から(ニ)において、ス
ラグ排出口の下方から、溶融スラグ排出部をスラグ溶融
温度に加熱することにより溶融スラグが固化しないよう
に流下させ、スラグ排出口の閉塞を防止する。
【0016】(イ)の手段では、気流搬送による可燃物
と空気を溶融炉内の接線方向から吹き込みガス旋回流を
形成するようにして燃焼させ、温度1200〜1400
℃にする。これにより、燃焼灰は旋回流による遠心力に
より炉壁に押し付けられながら溶融して流動性の溶融ス
ラグとなり、炉壁を流下あるいはガス旋回流により流動
しつつ流下して炉底に達する。しかし、溶融スラグの粘
度は1000センチポイズ以上といわれ、流動性はよく
ない。このため、炉底には前記ガスが旋回する円周方向
に突起等の構造物がなく、炉壁から炉中心に向かって傾
斜した炉底部にすることで溶融スラグの自重で炉中心部
に流動させる。また、炉中心軸には旋回流を妨げない円
柱形の突起を設け、これにより溶融スラグが円柱形の突
起の円周方向に沿ってスラグ排出口長径方向の両端部に
流れるようにする。
【0017】(ハ)の手段は、溶融スラグの流下を極め
て安定する作用がある。
【0018】(ニ)の手段においては、円柱形の突起を
円錐台の形状とし、炉底部の外径がスラグ排出口の長径
と同じまたは大きくなるようにした構成は、炉底のガス
旋回流強さがスラグ排出口長径部から降下する旋回流強
さを緩和する作用がある。また、長径方向の円錐台両端
が炉底部まで任意幅に切断され、炉底部とスラグ排出口
の長径部が接続された構成は、溶融スラグが円錐台の外
周に沿ってスラグ排出口長径方向の両端部に流れるよう
に作用させるとともに、中心部の円錐台はガス旋回流に
より溶融スラグが中心軸に流動する壁となり、スラグ排
出口の上昇ガス流に溶融スラグが吹き上げられることが
防止する作用がある。
【0019】(ホ)の手段は、スラグ排出口のスラグ流
下部は高温の燃焼ガス下降流及び流下する溶融スラグで
加熱されるが、溶融炉はスラグ排出口から下方の炉外壁
を水没させて水封してあるため、スラグ排出口下面が水
面の幅射や熱伝導等により熱損失が生じ、高温の燃焼ガ
ス下降流や流下する溶融スラグだけでは温度が低下し、
流下中の溶融スラグが固化してスラグ排出口が閉塞す
る。このため、スラグ排出口の下方から、補助バーナに
よりスラグ排出口長径方向の両端部をスラグ溶融温度に
加熱することにより溶融スラグが固化しないように流下
させ、スラグ排出口の閉塞を防止することにある。
【0020】
【発明の実施の形態】図1は本発明の一実施例である燃
焼溶融炉の構成を示す。(イ)は縦断面図、(ロ)はA
−A′断面図である。溶融炉1は耐火材である内壁1
1,スラグ排出口12,断熱材の外壁13から構成さ
れ、上部に燃焼ガス出口14が設置される。溶融炉下部
の外壁は水槽2に水没させ炉内を水封する。溶融炉1に
は原料チャーを気流搬送により吹き込む1次ノズル2
1、その上段側に空気用の2次ノズル22及び3次ノズ
ル23を配置し、点火装置を具備した複数の加熱バーナ
26(図示では1本)を適宜配置する。溶融炉下部には
スラグ排出口12の下方を加熱する補助バーナ24、そ
の下段に高温排ガスを導入してエアーカーテンを形成さ
せるガスノズル25が設置され、スラグ排出口12の下
方には水槽2,コンベアー3及び回収ピット4が設置さ
れている。溶融炉1の始動は、プロパンあるいは灯油を
補助燃料とする加熱バーナ26を点火して予熱し、順次
2次及び3次空気を増加して、所定の燃焼条件に達する
と補助燃料から1次空気のチャー気流搬送に切り換え、
燃焼ガス化溶融が開始される。気流搬送されたチャーは
空気の旋回流に同伴し、溶融炉1内が予熱されていれ
ば、まず揮発分が放出されて燃焼する。その燃焼灰は旋
回流の遠心力により炉壁面付近を旋回しながら降下し、
また燃焼熱により溶融して炉壁をつたい炉底面に滞留す
る。炉底面に滞留した溶融スラグ1aはスラグ排出口1
2から水槽2の水中に落下して急冷され、コンベアー3
により搬送されて回収ピット4に回収される。
【0021】本発明の動作を図2を用いて詳細に説明す
る。
【0022】図2(イ)は溶融炉底面のスラグ排出口の
鳥瞰図で、ガス流れ及び溶融スラグ流動の模式を示す。
(ロ)はA−A′断面図、(ハ)はB−B′断面図であ
る。ガス旋回流20aは炉壁に沿って下降し、底面から
反転して炉中心部の上昇流20bとなる。ガス旋回流2
0aの一部はスラグ排出口長径方向の両端部から下降流
となり、スラグ排出口下方に廻るが、水封されているた
めスラグ排出口中心部から上昇流20bに合流する。気
流搬送により吹き込まれたチャーは燃焼し、1200〜
1500℃の高温になる。その燃焼灰はガス流れの旋回
力により炉壁付近を旋回しながら下降し、燃焼熱により
溶融する。溶融した溶融スラグ1aは(ロ)に矢印で示
すごとく炉壁に沿って下降して炉底面に達し、ガス旋回
流によって流動しながらスラグ排出口長径方向の両端部
から上記ガス下降流とともに流下して排出される。しか
し、溶融スラグは粘度1000〜2000センチポイズ
程度といわれ、また燃焼した高温ガスの密度は常温空気
の1/5程度になるため、燃焼ガスの旋回流により溶融
スラグが流動させる駆動力は小さい。このため、炉底は
炉壁から中心部に傾斜させ、溶融スラグの自重で流下し
やすい構造とする。炉壁に沿って下降して炉底面に達し
た溶融スラグ1aは、(ハ)に示すように中心部の隆起
した円錐台状の突起12aにより炉底面の流路に滞留
し、ガス旋回流により円周方向に流動して前記スラグ排
出口長径方向の両端部から流下する。図3は本発明に用
いたスラグ排出口の形状を示す。(イ)は平面図、
(ロ)はA−A′断面図、(ハ)はB−B′断面図であ
る。円錐台状をした突起12aは菱形スラグ排出口12
cの長径方向の両端部で分割され、炉底に接する外径が
スラグ排出口の長径と同じまたは大きい。また、中心部
のスラグ排出口は長方形状の菱形で、長径端部は溶融ス
ラグの処理量が流下するに必要な適宜の断面積を有する
半径とする。長径方向の円錐台両端は炉底部まで任意幅
に切断し、炉底部とスラグ排出口の長径部が接続されて
いる。菱形の長径/短径の比は1.5〜4.0の範囲であ
れば長径側の両端部にガス下降流が生じる。実験では長
径/短径の比2.0〜2.5が好適で、その面積は短径を
外径とした仮想円筒におけるガス上昇流速が15m/se
c 以下になるように短径を求める。下降ガス量とスラグ
排出口下方の補助バーナからのガス量がスラグ排出口中
心部からの上昇ガス流量となる。また、スラグ排出口長
径が円錐台状をした突起12aの外径より大きいと、ガ
ス旋回流がスラグ排出口から下降するが炉内旋回流強さ
が残る旋回下降流となり、流下する溶融スラグを旋回方
向に飛散させる。このため、円錐台状をした突起12a
は菱形スラグ排出口の長径より大きくし、炉内旋回流強
さが直接スラグ排出口両端から下降しないようにした。
したがって、ガス下降流は溶融スラグが流下する適度の
下降速度でよく、スラグ排出口の長径/短径の比を変化
させることが調整できる。
【0023】図4は本発明の菱形スラグ排出口12cの
軸方向流れ速度の解析結果を示す。ただし、円錐台の突
起物がない状態で計算を行った。(イ)の長径/短径比
が2.5 の菱形スラグ排出口12cは、長径両端部の斜
線で示す領域12′aが下降流領域で、他の領域は上昇
流領域である。中心軸の濃く塗りつぶした領域12′b
が強い上昇流領域を表わす。(ロ)のように長径/短径
比が3.75 と大きくなると12′aの下降流速度は大
となり下降流領域は広がるが、12′bの強い上昇流領
域も大となる。逆に、長径/短径比が1すなわち円形に
近くなれば上昇流が支配的となり、流下スラグが吹き上
げられる。また、下降旋回流が強いと、流下するスラグ
がスラグ排出口下部で飛散してスラグ排出口下部の壁に
付着するため、適宜の長径/短径比を選定する必要があ
る。
【0024】本発明は上記燃焼実験炉と同規模の図13
に示すコールド試験装置を作り、常温での溶融スラグ模
擬液による流動実験を行ってなされたものである。
【0025】図5に各種突起物の形状を示す。(a)は
スラグを分配するため円周方向中心に山形の突起物をつ
けた場合、(b)は軸中心に円錐状の突起物をつけた場
合、(c)は円錐台状の突起物をつけた場合である。
【0026】図6は図5の(a)すなわち溶融スラグを
両端部に分流するために山形の突起を設けた形状すなわ
ち円周方向に段差がある場合のスラグ排出口の鳥瞰図
(イ)と常温での流動実験におけるガス流れ及び目視観
察による模擬スラグ液流動の模式(ロ)(ハ)を示し
た。ここで、実験の燃焼場と常温空気で実験を行う相似
則を検討した。流体の微小要素に作用する力を考え、代
表長さL,代表速度νとする。溶融液相に働く重力と気
流による抗力の比は、溶融液相の重力:ρwL3g÷気
流の抗力:ρgL2ν2で、ρwLg/ρgν2 となる。
ここで、液相密度ρw、気相密度ρg、重力の加速度g
である。Lとgは同じとし、常温の実験条件に*を付
け、ρw=2000,*ρw=1000,ρg=0.24
(1200℃換算),*ρg=1.18(kg/m3)を代
入すると、*ν=0.32νとなり、実験では燃焼場に
おける32%の空気流速にすればよいことになる。しか
し、実験の都合から50%とした。模擬スラグ液は水溶
性セルロース試薬を調製し、粘度1000センチポイズにし
たものを用いた。したがって、上記より模擬スラグは実
際のスラグより拡張された現象を示す。図2と同様に、
ガス旋回流20aは炉壁に沿って下降し、底面から反転
して炉中心部の上昇流20bとなり、その一部はスラグ
排出口長径側の両端から下降流となってスラグ排出口下
方から反転して上昇流20bに合流する。模擬スラグは
(ロ)のA−A′断面のごとく炉壁に沿って下降して炉
底面に達し、ガス旋回流によって流動しながらスラグ排
出口から流下して排出されるが、図5の(a)に示すよ
うに模擬スラグはガス旋回流により炉壁から流動しなが
ら山形突起物の斜面を上りスラグ排出口の中心部に集合
する。特に、(ハ)のB−B′断面に示すように、模擬
スラグがスラグ排出口の中心部から流下するとき、ガス
上昇流20bに同伴して吹き上げられスラグ飛散1bと
なる。一方、図5の突起物形状(b)の円錐状頂点高さ
を20mmとした場合は、前記(a)と同様に溶融スラグ
がガス旋回流により中心部に流動して緩やかな円錐傾斜
を上りつつ、中心部寄りのスラグ排出口から流下し、ガ
ス上昇流20bにより吹き上げられる。(c)の円錐台
は(b)の結果を発展させたもので、傾斜が約60°、
高さ20mmの円錐台の壁がガイドとなり、模擬スラグを
円周方向に流動させスラグ排出口長径両端の下降流部に
導き流下させ、上昇流によるスラグ飛散が起らない。
【0027】図7は図5の(a)と(c)の形状(短径
80mm,角20mmR)で長径を240,200,156m
mと変化させたスラグ排出口において、チャーを気流搬
送するための1次空気量を一定とし、2次及び3次空気
比を変化させ、長径端部からの下降流速を測定した結果
を示す。スラグ排出口下面に糸を付け、流れになびく方
向の流速を計測した。流速はTr式風速計によりスラグ
排出口下面の最大流速値を測定した。炉内の旋回下降流
速は3次空気流速の影響をうけ、図8(1)に示すよう
に、3次流速を増加させるとスラグ排出口からの下降流
速も増加する。長径240mmの長方形状は3次流速の増
加に比例し下降流速も増加するが、菱形長径200,1
56mmは3次流速49m/sec 以上では下降流速の差は
小さい。図8(2)に(1)の結果をスラグ排出口面積
と下降流速の関係で表わした。スラグを流下させるには
下降流速を大、すなわち面積が大きい長径240mmの長
方形の方がよいが、流下するスラグをスラグ排出口下部
の炉壁に飛散させ、反転して中心部からのガス上昇流速
が大きくなり、炉内にスラグを同伴させる。
【0028】図8(1)はスラグ排出口下部の炉壁への
スラグ飛散と下降流速の関係、(2)は中心部からのスラ
グ飛散高さと上昇流速の関係を示す。(1)は下降流速
が7.5m/sec(実機では15m/sec)でほぼ45°の
角度で炉壁に飛散し、下降流速の増加に伴い角度は大き
くなりスラグ排出口下部の壁に飛散する。(2)は模擬
スラグが吹き上げられる飛散高さを示す。スラグ飛散高
さは模擬スラグを着色(赤色の水溶性絵の具)し、実験
後炉底のスラグ排出口面から飛散した高さを計測した。
長径240mmの長方形状は模擬スラグが中心軸に流動し
て集合するため上昇流に吹き上げられる。この時の上昇
流速は実測2点であるが、スラグ排出口面から500〜
700mmの高さまで飛散した。炉内上部への飛散もスラ
グ排出口下部と同様15m/sec 以上の上昇流速で起る
と考えられる。しかし、本発明の円錐台状の突起を有す
る菱形の孔は模擬スラグが長径両端の下降流部から流下
するため炉内上部への飛散はない。上記の結果を基に、
吹き込み空気量比から下降流量及び後述の補助バーナの
ガス量を加え、中心部の上昇ガス流量を推定し、スラグ
排出口の短径を外径とした仮想円筒で上昇流速を概算
し、上昇流速15m/sec 以下になる寸法を求め、前述
の長径/短径比からスラグ排出口の大きさが決まる。
【0029】図9にスラグ飛散状態の模式図を示す。実
験炉による燃焼実験では、溶融炉内の燃焼温度は温度勾
配があり、チャーが吹き込まれて燃焼する領域は120
0〜1500℃になるが、燃焼ガス出口14の近辺では
1100℃である。このため、図左断面のようにスラグ
飛散の距離が溶融炉上部まで達する場合、溶融スラグが
冷却されて固化し炉壁に付着する。付着スラグが積層し
て成長すると、炉が閉塞して運転不能となる。しかし、
右断面のようにスラグ飛散の距離が、1200〜140
0℃のスラグ溶融領域であれば、再び溶融するため問題
ない。実際の燃焼実験では、スラグ排出口下面をつたい
中心部に移動するスラグが極微量観察され、本発明によ
る円錐台突起の菱形スラグ排出口においても、炉内上部
への飛散が皆無とは云えず、上昇流速は低く抑えるほう
がよい。
【0030】一方、スラグ排出口下方は炉内の燃焼ガス
の一部が下降して加熱されるが、水封のため水面への温
度損失があり、炉内の溶融温度より低下する。このた
め、図1に示すようにスラグ排出口下方を補助バーナ2
4でスラグ溶融温度と同等に加熱し、溶融スラグを流下
させる。したがって、補助バーナ24による加熱は溶融
スラグの流下するスラグ排出口両端部の局所加熱で効果
がある。
【0031】ごみ処理量3トン/日の燃焼実験炉(内径
400mm)に用いた本発明の菱形スラグ排出口は長径
(200mm)/短径(80mm)比が2.5 で、長径端部
は半径20mmとした。この場合、流れ計算の解析から吹
き込みガス量に対するスラグ排出口から下降するガス量
の比、ガス循環率が5%程度となり、スラグ排出口下か
らの補助バーナによるガス量を加え、スラグ排出口中心
部の上昇流速を概算すると約10.0m/secとなる。炉
中心部の円錐台の突起は、炉底に接する外径を200m
m、角度60°の円錐台とし、高さ20mmとした。円錐
台高さはスラグ溶融量から炉底に滞留するスラグ厚みを
推定し、適宜の高さにする。
【0032】さらに、図10は本発明に用いた図3と図
5(c)のスラグ排出口形状における模擬スラグ流下の
状態を比較検討した結果を示す。(a)は図3のスラグ
排出口の場合、(b)は図5(c)のスラグ排出口の場
合である。スラグ排出口がスリット状の長方形では、両
端の模擬スラグが流下する面積が大きく、スラグ流下量
厚みが薄くなるため一部下降旋回流に乗り排出口壁面を
伝い、中心寄りに流動して細い糸状スラグで落下する。
このため下降旋回流の旋回力により糸状のスラグが振ら
れて排出口下部の壁面に飛散あるいは上昇流20bに吹
き上げられる現象が観察された。図3の菱形は前記の結
果を踏まえ、流下面積を絞り、スラグ流下量厚みを大き
くして下降流の旋回力に影響されないように考慮したも
のである。
【0033】次に、灰(石炭火力で排出されるフライア
ッシュ)を用い、図13のコールド試験装置により空気
吹き込み旋回流による粒子保持のサイクロン効果につい
て調べた。結果を図11に示す。スラグ排出口の形状は
(1)が図3の本発明の実施例、(2)は図5(a)の
2種類である。灰は定量フィーダ100よりベビコン1
01の圧縮空気により1次ノズル21から投入量1.2k
g/h で吹き込む。1次/2次/3次の空気量配分比は
72/328/230m3/h で、上記灰供給量から
1.9mg/L-空気の濃度となる。まず、サイクロン効果
としてスラグ排出口面上の壁近傍から灰粒子を粒子捕集
器103,ガスメータ104を介して吸引ポンプ105
で吸引して採取し、吸引空気量当たりの粒子濃度を求
め、粒子保持性能をみた。図11に示すように、粒子は
旋回流の遠心力により壁面に押し付けられ下降し、スラ
グ排出口面上の壁側に保持される。その濃度は(1)が
1.6g/L-空気に対して(2)は1.2g/L-空気で
あり、両者とも投入濃度の約1000倍に濃縮されてい
る。(2)は炉底の旋回流が円周方向の突起により乱さ
れるあるいは図5のように中心軸向きの旋回流により中
心部に集合して上昇流により飛灰として飛散する。高濃
度のためデータのバラツキが大きいが粒子保持性能の傾
向は見られる。また、スラグ排出口面上に保持された粒
子は一定の濃度になると、スラグ排出口の下降流に同伴
して順次スラグ排出口下部の炉底部に落下する。その落
下灰を回収し、投入量から回収率を求めた。(1)は回
収率82%であるが(2)は65%であり、粒子保持濃
度結果の傾向と合致する。このことは(1)の形状が粒
子をよく保持することを示す。特に、ごみを熱分解した
チャー粒子は、熱分解により揮発分が減少しているため
粒子の燃え切り時間が長いことから、燃焼灰から溶融す
るまでの保持時間が短いと未溶融スラグとしてスラグ排
出口から落下する。
【0034】ごみ処理量3トン/日の実験炉による燃焼
実験を行った。実験開始時は山形突起の長方形スラグ排
出口を設置した。排出口の一端をモニターで観察する
と、溶融スラグの流下が不安定で、未溶融粒子が多数落
下してした。その後、上記の常温での流動実験の結果を
基に、円錐台突起の菱形スラグ排出口に交換した結果、
燃焼温度が安定し、溶融スラグの流下が安定した。燃焼
時間20時間/回程度の実験を数回行い、その都度スラ
グ排出口面を観察した結果、円錐台突起に沿って溶融ス
ラグがスラグ排出口両端に流動した軌跡が認められた。
なお、実験ではスラグ排出口からの下降するガス量すな
わちガス自己循環ではスラグ排出口をスラグ溶融温度に
保持することは困難で、度々スラグ排出口が閉塞した。
そのため、スラグ排出口下方からスラグ流下部を補助バ
ーナで加熱することにした。
【0035】図12はスラグ排出口の形状を十字形にし
た他の実施例を示す。図2と同様に、炉底面に達した溶
融スラグは中心部の隆起した円柱形の壁により炉底面の
流路に滞留し、ガス旋回流により円周方向に流動する
が、前記図3の1/2の移動距離でスラグ排出口から流
下し、炉底面での滞留時間を短くすることができる。
【0036】
【発明の効果】本発明によれば以下の効果がある。
【0037】1)溶融炉底面の炉中心に設けた横長の孔
と該横型の孔の長辺に当たる部分突起に設けた溶融スラ
グ流下防止用突起により、溶融スラグを突起外周に沿っ
てスラグ排出口長径方向のガス下降流が存在する両端部
に導くため安定して流下する。
【0038】2)細長い菱形状のスラグ排出口にし、溶
融スラグをガス下降流が存在するスラグ排出口長径方向
の両端部に導き、スラグ流下厚みを大きくしたため、飛
散がない。
【0039】3)炉底の円周方向に突起物がなく、炉中
心部にガス旋回流を妨げない円錐台突起物を設けたこと
により、ガス旋回の遠心力による粒子保持性能が高く、
溶融が促進される。
【0040】4)スラグ排出口の下方から、溶融スラグ
排出部を加熱することにより溶融スラグが固化しないよ
うに流下させ、スラグ排出口の閉塞を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す燃焼溶融炉の構成図で
ある。
【図2】本発明の溶融炉底面のスラグ排出口の鳥瞰図及
びガス流れの模式図を示す。
【図3】本発明に用いたスラグ排出口の形状を示す。
【図4】本発明に用いたスラグ排出口の流れ速度の解析
結果を示す。
【図5】実験で検討したスラグ排出口の各種突起物形状
を示す。
【図6】実験で検討したスラグ排出口の鳥瞰図及びガス
流れの模式図を示す。
【図7】コールド試験による下降流速の測定結果を示
す。
【図8】模擬スラグ液による飛散特性の結果を示す。
【図9】スラグ飛散状態を示す模式図である。
【図10】模擬スラグ液による流下状態を示す模式図で
ある。
【図11】コールド試験による粒子保持性能の実験結果
を示す。
【図12】他の実施例であるスラグ排出口を示す。
【図13】実験に用いたコールド試験装置の構成図であ
る。
【符号の説明】
1…溶融炉、1a…溶融スラグ、12…スラグ排出口、
12a…突起、14…燃焼排ガス出口、20a…ガス旋
回流、21…1次ノズル、22…2次ノズル、23…3
次ノズル、24…補助バーナ、25…ガスノズル、26
…加熱バーナ。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F23G 5/027 ZAB B09B 3/00 ZAB 5/32 ZAB 303J (72)発明者 柴田 強 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内 (72)発明者 荒戸 利昭 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内 (72)発明者 小林 啓信 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内 (72)発明者 宇津野 英明 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式会 社日立製作所日立工場内 Fターム(参考) 3K061 AA16 AB02 AB03 AC01 BA05 CA01 DA12 DB01 DB09 DB11 DB16 LA03 LA06 LA07 LA08 LA14 NB03 NB09 NB21 NB27 4D004 AA46 AC04 CA28 CA29 CB34 DA03 DA20

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】可燃物と空気による旋回流を炉内周に沿っ
    て形成し、可燃物が燃焼することによって生じた溶融ス
    ラグを炉下部のスラグ排出口から排出するようにした燃
    焼溶融炉において、前記スラグ排出口を横長の孔とし、
    該横長の孔の長辺に当たる部分に溶融スラグの落下を阻
    止する突起を設け、溶融スラグが横長の孔の両端から落
    下するようにしたことを特徴とする燃焼溶融炉。
  2. 【請求項2】可燃物を燃焼するための炉本体と、該炉本
    体の内周に沿って可燃物の旋回流が形成されるように炉
    壁に取り付けられた可燃物気流搬送ノズルと、該炉本体
    の炉内周に沿って空気の旋回流が形成されるように炉壁
    に取り付けられた空気ノズルと、該炉本体の下部に設け
    られたスラグ排出口とを有する燃焼溶融炉において、前
    記スラグ排出口の孔の形状を横長にし、該孔の長辺に当
    たる部分に溶融スラグの落下を阻止する突起を設けて溶
    融スラグが横長の孔の両端から下方へ落下するようにし
    たことを特徴とする燃焼溶融炉。
  3. 【請求項3】請求項1において、前記横長の孔の長辺/
    短辺の比が1.5−4 であることを特徴とする燃焼溶融
    炉。
  4. 【請求項4】請求項1において、前記スラグ排出口を備
    える炉底面部が炉内壁から炉中央に向かって下降する傾
    斜面になっていることを特徴とする燃焼溶融炉。
  5. 【請求項5】請求項1において、前記スラグ排出口の下
    方に、該スラグ排出口を加熱するバーナを有することを
    特徴とする燃焼溶融炉。
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WO2009107253A1 (ja) * 2008-02-29 2009-09-03 三菱重工業株式会社 スラグ排出状況監視装置およびスラグ排出状況の監視方法
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