JP2993269B2 - 高耐食性表面改質TiまたはTi基合金部材、およびその製造方法 - Google Patents
高耐食性表面改質TiまたはTi基合金部材、およびその製造方法Info
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐食性の改善されたT
iまたはTi基合金部材およびその製造方法に関し、特
に非酸化性酸溶液や高温高濃度塩化物溶液を使用する化
学プラントや原子力プラントの構成部材として利用でき
る様にしたTiまたはTi基合金部材およびその製造方
法に関するものである。尚以下の説明ではTiを代表的
にとりあげるが、本発明で対象とする部材はTiに限ら
ず、例えばTi−6Al−4V,Ti−15Mo−5Z
r,Ti−15Mo−5Zr−3Al等の種々のTi基
合金に対して同様に適用することができる。
iまたはTi基合金部材およびその製造方法に関し、特
に非酸化性酸溶液や高温高濃度塩化物溶液を使用する化
学プラントや原子力プラントの構成部材として利用でき
る様にしたTiまたはTi基合金部材およびその製造方
法に関するものである。尚以下の説明ではTiを代表的
にとりあげるが、本発明で対象とする部材はTiに限ら
ず、例えばTi−6Al−4V,Ti−15Mo−5Z
r,Ti−15Mo−5Zr−3Al等の種々のTi基
合金に対して同様に適用することができる。
【0002】
【従来の技術】Tiは、高融点,軽量,高強度等の特長
を有すると共に耐腐食性にも優れており、一部の化学プ
ラントや原子力プラント等の分野において使用されてい
る。しかしながらTiの耐食性にも限界があり、腐食事
故例がこれまで数多く報告されている。その多くは、高
温高濃度塩化物中における隙間腐食事故である。またT
iは硝酸のような酸化性の環境においては卓越した耐食
性を示すと言われていたが、この様な環境下においても
応力腐食割れや粒界腐食による部材の損傷が報告されて
いる。更にTiの耐食性は不動態化皮膜の保護作用によ
って達成されるものであるから、塩酸や硫酸の様な非酸
化性環境においては活性腐食を起こし耐食性が著しく劣
化する。こうしたことから、Tiは極く限られた工業分
野においてしか適用されていないのが実情である。
を有すると共に耐腐食性にも優れており、一部の化学プ
ラントや原子力プラント等の分野において使用されてい
る。しかしながらTiの耐食性にも限界があり、腐食事
故例がこれまで数多く報告されている。その多くは、高
温高濃度塩化物中における隙間腐食事故である。またT
iは硝酸のような酸化性の環境においては卓越した耐食
性を示すと言われていたが、この様な環境下においても
応力腐食割れや粒界腐食による部材の損傷が報告されて
いる。更にTiの耐食性は不動態化皮膜の保護作用によ
って達成されるものであるから、塩酸や硫酸の様な非酸
化性環境においては活性腐食を起こし耐食性が著しく劣
化する。こうしたことから、Tiは極く限られた工業分
野においてしか適用されていないのが実情である。
【0003】そこでTiの耐食性を改善するという観点
から、Tiの合金化法や表面処理法が検討されてきた
が、いずれも十分なものとは言えなかった。まず合金化
法では、これまでにPdやNi等の元素を添加して耐食
性改善を図ってきたが、これらの合金の耐食性は純Ti
よりも改善されるとはいうものの、次の様な実用上の問
題を有している。 (1) コスト高であること。 (2) 高温での機械的強度が保たれる反面、機械加工性が
悪い。 (3) 上記(1),(2) の問題点を回避するためには、合金化
元素濃度の上限が制約され、十分な耐食性を発揮するに
は至らない。
から、Tiの合金化法や表面処理法が検討されてきた
が、いずれも十分なものとは言えなかった。まず合金化
法では、これまでにPdやNi等の元素を添加して耐食
性改善を図ってきたが、これらの合金の耐食性は純Ti
よりも改善されるとはいうものの、次の様な実用上の問
題を有している。 (1) コスト高であること。 (2) 高温での機械的強度が保たれる反面、機械加工性が
悪い。 (3) 上記(1),(2) の問題点を回避するためには、合金化
元素濃度の上限が制約され、十分な耐食性を発揮するに
は至らない。
【0004】一方表面処理法による耐食性改善として
は、パラジウム酸化皮膜の付与等が挙げられ、一部実用
化されているが、耐食性能の改善には限界があり、ごく
限られた範囲内でしか適用されていない。これは次に挙
げる様な事項に起因していると考えられる。 (1) 基本的に耐食性皮膜の密着性が悪く、密着性を少し
でも改善する為には前処理工程として酸洗や脱脂等を行
なう必要があり、且つ汚れ防止のために十分留意する必
要がある。これによって工程が煩雑になるが、それでも
尚皮膜の剥離が起こりやすい。 (2) 形成された皮膜の均一性が悪く且つピンホール等の
欠陥が発生すること等によって、十分な耐食性能が得ら
れない。
は、パラジウム酸化皮膜の付与等が挙げられ、一部実用
化されているが、耐食性能の改善には限界があり、ごく
限られた範囲内でしか適用されていない。これは次に挙
げる様な事項に起因していると考えられる。 (1) 基本的に耐食性皮膜の密着性が悪く、密着性を少し
でも改善する為には前処理工程として酸洗や脱脂等を行
なう必要があり、且つ汚れ防止のために十分留意する必
要がある。これによって工程が煩雑になるが、それでも
尚皮膜の剥離が起こりやすい。 (2) 形成された皮膜の均一性が悪く且つピンホール等の
欠陥が発生すること等によって、十分な耐食性能が得ら
れない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこうした事情
に着目してなされたものであって、機械加工性を損なう
ことなく、しかもTi素地との密着性の問題を本質的に
含まない表面処理層を簡素な工程で形成することができ
るような技術、および殊にそのような表面処理層を形成
することによって得られる高耐食性のTiまたはTi基
合金部材を提供することを目的とするものである。
に着目してなされたものであって、機械加工性を損なう
ことなく、しかもTi素地との密着性の問題を本質的に
含まない表面処理層を簡素な工程で形成することができ
るような技術、および殊にそのような表面処理層を形成
することによって得られる高耐食性のTiまたはTi基
合金部材を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】しかして上記目的を達成
した本発明のTi部材は、Ti(またはTi基合金)部
材の表面に、TaおよびNiをイオン注入し、Tiまた
はTi基合金の表層部にTaおよびNiの濃度富化層を
形成したものである点に要旨を有するものである。また
上記の様なTi(またはTi基合金)部材を製造するに
当たっては、まずTaイオンを注入し、引き続きNiを
イオン注入するのが良い。
した本発明のTi部材は、Ti(またはTi基合金)部
材の表面に、TaおよびNiをイオン注入し、Tiまた
はTi基合金の表層部にTaおよびNiの濃度富化層を
形成したものである点に要旨を有するものである。また
上記の様なTi(またはTi基合金)部材を製造するに
当たっては、まずTaイオンを注入し、引き続きNiを
イオン注入するのが良い。
【0007】
【作用】本発明で利用されるイオン注入の手法は、加速
された高エネルギーのイオンを目的深さまで打ち込んで
Ti部材の表面を改質するものであり、半導体分野にお
ける不純物ドーピング手段として利用されている他、鋼
を中心とする金属材料の表面改質にもその適用が進めら
れているが、半導体分野を除けばこれまでのところ実用
化はあまり進んでいない。
された高エネルギーのイオンを目的深さまで打ち込んで
Ti部材の表面を改質するものであり、半導体分野にお
ける不純物ドーピング手段として利用されている他、鋼
を中心とする金属材料の表面改質にもその適用が進めら
れているが、半導体分野を除けばこれまでのところ実用
化はあまり進んでいない。
【0008】本発明に係るTi部材は、このようなイオ
ン注入の手法をTi部材の表面改質に利用したものであ
り、Ti部材表層部にはイオン注入によって非熱平衡物
質層が形成される。即ちこれまで行なわれてきた熱プロ
セスによる合金化や表面処理では、熱的平衡状態にある
合金層あるいは表面皮膜が形成され、該合金層は熱平衡
物質層であるが故にその物性改造にも自ずから限度があ
った。これに対し本発明では非熱平衡物質層を形成する
ことにより、従来からは予測できない特性を得ることが
できる。換言すればイオン注入される元素と同じ元素を
添加したTi合金を形成しても本発明のTi部材のよう
な耐摩耗性の発揮は期待することができないのである。
ン注入の手法をTi部材の表面改質に利用したものであ
り、Ti部材表層部にはイオン注入によって非熱平衡物
質層が形成される。即ちこれまで行なわれてきた熱プロ
セスによる合金化や表面処理では、熱的平衡状態にある
合金層あるいは表面皮膜が形成され、該合金層は熱平衡
物質層であるが故にその物性改造にも自ずから限度があ
った。これに対し本発明では非熱平衡物質層を形成する
ことにより、従来からは予測できない特性を得ることが
できる。換言すればイオン注入される元素と同じ元素を
添加したTi合金を形成しても本発明のTi部材のよう
な耐摩耗性の発揮は期待することができないのである。
【0009】ところでTi部材の特性を改善するに当た
ってはTi部材にイオン注入を行ないさえすれば良いと
言うものではなく、改善しようとする特性に合せて特定
の元素イオンを選び、且つその注入量および注入エネル
ギーを適当に設定する必要がある。本発明においては、
種々の元素イオンについてイオン注入実験を重ねた結
果、Ti部材の耐食性を著しく改善する為には、Taと
Niを複合的に注入する必要があることを知った。即ち
Taイオン若しくはNiイオンのいずれかの単独注入で
は、Tiの耐食性はある程度改善されるが、これらのい
ずれかを単独にイオン注入するよりも複合的にイオン注
入することによってその耐食性改善は飛躍的に達成され
たのである。
ってはTi部材にイオン注入を行ないさえすれば良いと
言うものではなく、改善しようとする特性に合せて特定
の元素イオンを選び、且つその注入量および注入エネル
ギーを適当に設定する必要がある。本発明においては、
種々の元素イオンについてイオン注入実験を重ねた結
果、Ti部材の耐食性を著しく改善する為には、Taと
Niを複合的に注入する必要があることを知った。即ち
Taイオン若しくはNiイオンのいずれかの単独注入で
は、Tiの耐食性はある程度改善されるが、これらのい
ずれかを単独にイオン注入するよりも複合的にイオン注
入することによってその耐食性改善は飛躍的に達成され
たのである。
【0010】またイオン注入では高エネルギーイオンを
Ti部材の表層部に強制的に添加するが、表面層に別物
質層が形成される訳ではないので、注入層と基材層はマ
トリックス構造が同じである。従ってめっき等の表面処
理のように基材と異なる材質の皮膜を密着させる場合と
異なり、イオン注入表層部の基材層との一体性は極めて
良好であり、剥離の問題は生じない。
Ti部材の表層部に強制的に添加するが、表面層に別物
質層が形成される訳ではないので、注入層と基材層はマ
トリックス構造が同じである。従ってめっき等の表面処
理のように基材と異なる材質の皮膜を密着させる場合と
異なり、イオン注入表層部の基材層との一体性は極めて
良好であり、剥離の問題は生じない。
【0011】本発明に係るTi部材は上記作用効果を奏
するものであるが、これらの効果を得るにはTaイオン
とNiイオンの夫々を5×1015イオン/cm2 以上注入す
ることが望まれる。一方過剰に注入すると注入エネルギ
ーに応じてスパッタ現象による表面切削現象が顕著にな
るので、注入エネルギーおよび注入量は慎重に決定する
必要がある。こうした観点からすれば、注入エネルギー
は5KeV以上とし、且つ注入量は夫々1×1018イオン
/cm2 以下に抑えることが望ましい。またTaとNiで
は同一エネルギーにおいてスパッタ効果が異なるので、
スパッタ効果の大きいTaを先に注入し、その後Niを
注入するのが望ましい。更に、TaとNiの注入層の深
さや広がりが完全にずれていると、単一イオンを注入し
た場合と同様の効果しか得られないので、TaおよびN
iの注入層が重なってマトリックス中に適度に分散する
必要があり、その為にも注入角度,注入エネルギーおよ
び注入量を適切に選定する必要がある。
するものであるが、これらの効果を得るにはTaイオン
とNiイオンの夫々を5×1015イオン/cm2 以上注入す
ることが望まれる。一方過剰に注入すると注入エネルギ
ーに応じてスパッタ現象による表面切削現象が顕著にな
るので、注入エネルギーおよび注入量は慎重に決定する
必要がある。こうした観点からすれば、注入エネルギー
は5KeV以上とし、且つ注入量は夫々1×1018イオン
/cm2 以下に抑えることが望ましい。またTaとNiで
は同一エネルギーにおいてスパッタ効果が異なるので、
スパッタ効果の大きいTaを先に注入し、その後Niを
注入するのが望ましい。更に、TaとNiの注入層の深
さや広がりが完全にずれていると、単一イオンを注入し
た場合と同様の効果しか得られないので、TaおよびN
iの注入層が重なってマトリックス中に適度に分散する
必要があり、その為にも注入角度,注入エネルギーおよ
び注入量を適切に選定する必要がある。
【0012】
実験1 表1に示す各種イオン注入Ti部材について、耐隙間腐
食試験を行なったところ、表1に併記する結果が得られ
た。尚耐隙間腐食試験は、マルチクレブス法を用いた2
00℃の20%塩化ナトリウム水溶液中に100時間浸
漬した場合の隙間腐食発生確率によって評価し、この値
が小さいほど良好な耐食性を有していることを示してい
る。表1から明らかな様に、TaおよびNiを複合的に
イオン注入したTi部材が隙間腐食発生確率が最も小さ
く、著しい耐隙間腐食性改善効果を示していることがわ
かる。またNiイオン若しくはTaイオンの単独注入に
よってもある程度の耐食性改善効果は認められるが、複
合イオン注入の腐食性改善効果には遥かに及ばない。
食試験を行なったところ、表1に併記する結果が得られ
た。尚耐隙間腐食試験は、マルチクレブス法を用いた2
00℃の20%塩化ナトリウム水溶液中に100時間浸
漬した場合の隙間腐食発生確率によって評価し、この値
が小さいほど良好な耐食性を有していることを示してい
る。表1から明らかな様に、TaおよびNiを複合的に
イオン注入したTi部材が隙間腐食発生確率が最も小さ
く、著しい耐隙間腐食性改善効果を示していることがわ
かる。またNiイオン若しくはTaイオンの単独注入に
よってもある程度の耐食性改善効果は認められるが、複
合イオン注入の腐食性改善効果には遥かに及ばない。
【0013】
【表1】
【0014】実験2 表2に示す各種イオン注入Ti部材について、沸騰10
%塩酸中における腐食試験を行ない、均一腐食速度を比
較したところ、表2に併記する結果が得られた。尚相対
的均一腐食速度は、非注入材の値を1とした場合の相対
量で示した。表2から明らかな様に、TaおよびNiを
複合的にイオン注入したTi部材が最も均一腐食速度が
小さく、著しい耐食性改善効果を示していることがわか
る。またNiイオン若しくはTaイオンの単独注入によ
ってもある程度の耐食性改善効果は認められるが、複合
イオン注入の腐食性改善効果には遥かに及ばない。
%塩酸中における腐食試験を行ない、均一腐食速度を比
較したところ、表2に併記する結果が得られた。尚相対
的均一腐食速度は、非注入材の値を1とした場合の相対
量で示した。表2から明らかな様に、TaおよびNiを
複合的にイオン注入したTi部材が最も均一腐食速度が
小さく、著しい耐食性改善効果を示していることがわか
る。またNiイオン若しくはTaイオンの単独注入によ
ってもある程度の耐食性改善効果は認められるが、複合
イオン注入の腐食性改善効果には遥かに及ばない。
【0015】
【表2】
【0016】実験3 表3に示す各種イオン注入Ti部材について、沸騰10
%硫酸中における腐食試験を行ない、均一腐食速度を比
較したところ、表3に併記する結果が得られた。尚相対
的均一腐食速度は、非注入材の値を1とした場合の相対
量で示した。表3から明らかな様に、TaおよびNiを
複合的にイオン注入したTi部材が最も均一腐食速度が
小さく、著しい耐食性改善効果を示していることがわか
る。またNiイオン若しくはTaイオンの単独注入によ
ってもある程度の耐食性改善効果は認められるが、複合
イオン注入の腐食性改善効果には遥かに及ばない。
%硫酸中における腐食試験を行ない、均一腐食速度を比
較したところ、表3に併記する結果が得られた。尚相対
的均一腐食速度は、非注入材の値を1とした場合の相対
量で示した。表3から明らかな様に、TaおよびNiを
複合的にイオン注入したTi部材が最も均一腐食速度が
小さく、著しい耐食性改善効果を示していることがわか
る。またNiイオン若しくはTaイオンの単独注入によ
ってもある程度の耐食性改善効果は認められるが、複合
イオン注入の腐食性改善効果には遥かに及ばない。
【0017】
【表3】
【0018】実験4 TaまたはNiの単独イオン注入、およびTaとNiの
複合イオン注入における、イオン注入量を変化させた場
合に、イオン注入量と相対的均一腐食速度(条件は実験
3と同じ)の関係を求めたところ、図1に示す結果が得
られた。尚図1において、複合イオン注入の場合のイオ
ン注入量は、両者のイオン注入量を合計した値である。
図1に示されるように、TaやNiの単独イオン注入で
は比較的高注入量で耐食性改善効果が認められる様にな
るが、複合イオン注入では、低イオン注入量でも耐食性
改善効果が認められており、その改善効果も単一イオン
注入の場合に比べて著しいことがわかる。
複合イオン注入における、イオン注入量を変化させた場
合に、イオン注入量と相対的均一腐食速度(条件は実験
3と同じ)の関係を求めたところ、図1に示す結果が得
られた。尚図1において、複合イオン注入の場合のイオ
ン注入量は、両者のイオン注入量を合計した値である。
図1に示されるように、TaやNiの単独イオン注入で
は比較的高注入量で耐食性改善効果が認められる様にな
るが、複合イオン注入では、低イオン注入量でも耐食性
改善効果が認められており、その改善効果も単一イオン
注入の場合に比べて著しいことがわかる。
【0019】
【発明の効果】本発明は以上のように構成されており、
機械加工性を損なうことなく、しかもTi素地との密着
性の問題を本質的に含まない表面処理層を簡単な工程で
形成することができ、この表面処理層の形成によって優
れた耐食性を示すTi(またはTi基合金)部材を得る
ことができた。かくして従来では使用が困難であった腐
食性環境下においても、好適に使用することができ、T
iおよびTi基合金部材の適用範囲が大きく拡がること
が期待される。
機械加工性を損なうことなく、しかもTi素地との密着
性の問題を本質的に含まない表面処理層を簡単な工程で
形成することができ、この表面処理層の形成によって優
れた耐食性を示すTi(またはTi基合金)部材を得る
ことができた。かくして従来では使用が困難であった腐
食性環境下においても、好適に使用することができ、T
iおよびTi基合金部材の適用範囲が大きく拡がること
が期待される。
【図1】各種イオンのイオン注入量と相対的均一腐食速
度の関係を示すグラフである。
度の関係を示すグラフである。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−77570(JP,A) 特開 昭62−174377(JP,A) 特開 平3−111557(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C23C 14/00 - 14/58
Claims (2)
- 【請求項1】 TiまたはTi基合金部材の表面に、T
aおよびNiをイオン注入し、TiまたはTi基合金の
表層部にTaおよびNiの濃度富化層を形成したもので
あることを特徴とする高耐食性表面改質TiまたはTi
基合金部材。 - 【請求項2】 請求項1に記載の表面改質TiまたはT
i基合金部材を製造するに当たり、TiまたはTi基合
金部材の表面に、Taをイオン注入し、引き続きNiイ
オン注入することを特徴とする高耐食性表面改質Tiま
たはTi基合金部材の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4096959A JP2993269B2 (ja) | 1991-08-01 | 1992-03-23 | 高耐食性表面改質TiまたはTi基合金部材、およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3-216317 | 1991-08-01 | ||
JP21631791 | 1991-08-01 | ||
JP4096959A JP2993269B2 (ja) | 1991-08-01 | 1992-03-23 | 高耐食性表面改質TiまたはTi基合金部材、およびその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05112862A JPH05112862A (ja) | 1993-05-07 |
JP2993269B2 true JP2993269B2 (ja) | 1999-12-20 |
Family
ID=26438100
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4096959A Expired - Fee Related JP2993269B2 (ja) | 1991-08-01 | 1992-03-23 | 高耐食性表面改質TiまたはTi基合金部材、およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2993269B2 (ja) |
-
1992
- 1992-03-23 JP JP4096959A patent/JP2993269B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPH05112862A (ja) | 1993-05-07 |
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---|---|---|---|
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