JP3146687B2 - 高耐食性表面改質TiまたはTi基合金部材 - Google Patents
高耐食性表面改質TiまたはTi基合金部材Info
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Description
iまたはTi基合金部材に関し、特に非酸化性酸溶液や
高温高濃度塩化物溶液を使用する化学プラントや原子力
プラントの構成部材として利用できる様にしたTiまた
はTi基合金部材に関するものである。尚以下の説明で
は金属Tiを代表的にとりあげて説明するが、本発明で
対象とする部材はTiに限らず、例えばTi−6Al−
4V,Ti−15Mo−5Zr,Ti−15Mo−5Z
r−3Al等の種々のTi基合金に対して同様に適用す
ることができる。
を有すると共に耐腐食性にも優れており、一部の化学プ
ラントや原子力プラント等の分野において使用されてい
る。しかしながらTiの耐食性にも限界があり、腐食事
故例がこれまで数多く報告されている。その多くは、高
温高濃度塩化物中における隙間腐食事故である。またT
iは硝酸のような酸化性の環境においては卓越した耐食
性を示すと言われていたが、この様な環境下においても
応力腐食割れや粒界腐食による部材の損傷が報告されて
いる。更にTiの耐食性は不動態化皮膜の保護作用によ
って達成されるものであるから、塩酸や硫酸の様な非酸
化性環境においては活性腐食を起こし耐食性が著しく劣
化する。こうしたことから、Tiは極く限られた工業分
野においてしか適用されていないのが実情である。
から、Tiの合金化法や表面処理法が検討されてきた
が、いずれも十分なものとは言えなかった。まず合金化
法では、これまでにPdやNi等の元素を添加して耐食
性改善を図ってきたが、これらの合金の耐食性は純Ti
よりも改善されるとはいうものの、次の様な実用上の問
題を有している。
悪い。 (3) 上記(1),(2) の問題点を回避するためには、合金化
元素濃度の上限が制約され、十分な耐食性を発揮するに
は至らない。
は、パラジウム酸化皮膜の付与等が挙げられ、一部実用
化されているが、耐食性能の改善には限界があり、ごく
限られた範囲内でしか適用されていない。これは次に挙
げる様な事項に起因していると考えられる。
密着性を少しでも改善する為には前処理工程として酸洗
や脱脂等を行なう必要があり、且つ汚れ防止のために十
分留意する必要がある。これによって工程が煩雑になる
が、それでも尚皮膜の剥離が起こりやすい。 (2) 形成された皮膜の均一性が悪く且つピンホール等の
欠陥が発生すること等によって、十分な耐食性能が得ら
れない。
に着目してなされたものであって、その目的は、機械加
工性を損なうことなく、しかもTi素地との密着性の問
題を本質的に含まない表面処理層を形成することによっ
て、高耐食性のTiまたはTi基合金部材を提供しよう
とするものである。
明のTi部材は、Ti(またはTi基合金)部材の表面
に、Taおよび白金族元素をイオン注入し、Tiまたは
Ti基合金の表層部にTaおよび白金族元素の濃度富化
層を形成したものである点に要旨を有するものである。
された高エネルギーのイオンを目的深さまで打ち込んで
Ti部材の表面を改質するものであり、半導体分野にお
ける不純物ドーピング手段として利用されている他、鋼
を中心とする金属材料の表面改質にもその適用が進めら
れているが、半導体分野を除けばこれまでのところ実用
化はあまり進んでいない。
ン注入の手法をTi部材の表面改質に利用したものであ
り、Ti部材表層部にはイオン注入によって非熱平衡物
質層が形成される。即ちこれまで行なわれてきた熱プロ
セスによる合金化や表面処理では、熱的平衡状態にある
合金層あるいは表面皮膜が形成され、該合金層は熱平衡
物質層であるが故にその物性改造にも自ずから限度があ
った。これに対し本発明では非熱平衡物質層を形成する
ことにより、従来からは予測できない特性を得ることが
できる。換言すればイオン注入される元素と同じ元素を
添加したTi合金を形成しても本発明のTi部材のよう
な耐摩耗性の発揮は期待することができないのである。
ってはTi部材にイオン注入を行ないさえすれば良いと
言うものではなく、改善しようとする特性に合せて特定
の元素イオンを選び、且つその注入量および注入エネル
ギーを適当に設定する必要がある。本発明においては、
種々の元素イオンについてイオン注入実験を重ねた結
果、Ti部材の耐食性を著しく改善する為には、Taと
白金族元素を複合的に注入する必要があることを知っ
た。即ちTaイオン若しくは白金族元素イオンのいずれ
かの単独注入では、Tiの耐食性はある程度改善される
が、これらのいずれかを単独にイオン注入するよりも複
合的にイオン注入することによってその耐食性改善は飛
躍的に達成されたのである。
Ti部材の表層部に強制的に添加するが、表面層に別物
質層が形成される訳ではないので、注入層と基材層はマ
トリックス構造が同じである。従ってめっき等の表面処
理のように基材と異なる材質の皮膜を密着させる場合と
異なり、イオン注入表層部の基材層との一体性は極めて
良好であり、剥離の問題は生じない。
するものであるが、これらの効果を得るにはTaイオン
と白金族元素イオンの夫々を1×1015イオン/cm2 以上
注入することが望まれる。一方過剰に注入すると注入エ
ネルギーに応じてスパッタ現象による表面切削現象が顕
著になるので、注入エネルギーおよび注入量は慎重に決
定する必要がある。こうした観点からすれば、注入エネ
ルギーは5KeV以上とし、且つ注入量は夫々1×1018
イオン/cm2 以下に抑えることが望ましい。またTaと
白金族元素の注入層の深さや広がりが完全にずれている
と、単一イオンを注入した場合と同様の効果しか得られ
ないので、Taおよび白金族元素の注入層が重なってマ
トリックス中に適度に分散する必要があり、その為にも
注入角度,注入エネルギーおよび注入量を適切に選定す
る必要がある。
明するが、下記実施例は本発明を限定する性質のもので
はなく、前・後記の趣旨に徴して設計変更することはい
ずれも本発明の技術的範囲に含まれるものである。例え
ば、下記実施例では白金元素としてPd,PtおよびR
uを示したが、本発明で使用する白金族元素はこれらに
限らず、Rh,OsおよびIr等の白金族元素を用いて
も同様の効果が得られるのは言うまでもない。
て、耐隙間腐食試験を行なったところ、表1および表2
に併記する結果が得られた。尚耐隙間腐食試験は、マル
チクレブス法を用いた230℃の20%塩化ナトリウム
水溶液中(pH3;塩酸にて調整)に、100時間浸漬
した場合の隙間腐食発生確率によって評価し、この値が
小さいほど良好な耐食性を有していることを示してい
る。
よび白金族元素を複合的にイオン注入したTi部材が隙
間腐食発生確率が最も小さく、著しい耐隙間腐食性改善
効果を示していることがわかる。またTaイオン若しく
は白金族元素イオンの単独注入によってもある程度の耐
食性改善効果は認められるが、複合イオン注入の腐食性
改善効果には遥かに及ばない。
て、沸騰10%塩酸中における腐食試験を行ない、均一
腐食速度を比較したところ、表3および表4に併記する
結果が得られた。尚相対的均一腐食速度は、非注入材の
値を1とした場合の相対量で示した。
よび白金族元素を複合的にイオン注入したTi部材が最
も均一腐食速度が小さく、著しい耐食性改善効果を示し
ていることがわかる。またTaイオン若しくは白金族元
素イオンの単独注入によってもある程度の耐食性改善効
果は認められるが、複合イオン注入の腐食性改善効果に
は遥かに及ばない。
機械加工性を損なうことなく、しかもTi素地との密着
性の問題を本質的に含まない表面処理層を簡単な工程で
形成することができ、この表面処理層の形成によって優
れた耐食性を示すTi(またはTi基合金)部材を得る
ことができた。かくして従来では使用が困難であった腐
食性環境下においても、好適に使用することができ、T
iおよびTi基合金部材の適用範囲が大きく拡がること
が期待される。
Claims (1)
- 【請求項1】 TiまたはTi基合金部材の表面に、T
aおよび白金族元素をイオン注入し、TiまたはTi基
合金の表層部にTaおよび白金族元素の濃度富化層を形
成したものであることを特徴とする高耐食性表面改質T
iまたはTi基合金部材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP28170092A JP3146687B2 (ja) | 1992-10-20 | 1992-10-20 | 高耐食性表面改質TiまたはTi基合金部材 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP28170092A JP3146687B2 (ja) | 1992-10-20 | 1992-10-20 | 高耐食性表面改質TiまたはTi基合金部材 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06128724A JPH06128724A (ja) | 1994-05-10 |
JP3146687B2 true JP3146687B2 (ja) | 2001-03-19 |
Family
ID=17642766
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP28170092A Expired - Fee Related JP3146687B2 (ja) | 1992-10-20 | 1992-10-20 | 高耐食性表面改質TiまたはTi基合金部材 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3146687B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP2830335A3 (en) | 2013-07-22 | 2015-02-25 | Fraunhofer-Gesellschaft zur Förderung der angewandten Forschung e.V. | Apparatus, method, and computer program for mapping first and second input channels to at least one output channel |
-
1992
- 1992-10-20 JP JP28170092A patent/JP3146687B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPH06128724A (ja) | 1994-05-10 |
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