JP2992932B2 - 発光素子、画像表示装置及び発光素子の製造方法 - Google Patents

発光素子、画像表示装置及び発光素子の製造方法

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JP2992932B2 JP9072862A JP7286297A JP2992932B2 JP 2992932 B2 JP2992932 B2 JP 2992932B2 JP 9072862 A JP9072862 A JP 9072862A JP 7286297 A JP7286297 A JP 7286297A JP 2992932 B2 JP2992932 B2 JP 2992932B2
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  • Formation Of Various Coating Films On Cathode Ray Tubes And Lamps (AREA)
  • Vessels, Lead-In Wires, Accessory Apparatuses For Cathode-Ray Tubes (AREA)
  • Cathode-Ray Tubes And Fluorescent Screens For Display (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子放出素子から
放出される電子線を用いて蛍光体を発光させる発光素
これを用いた画像表示装置及び発光素子の製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、簡単な構造で電子の放出が得られ
る素子として、例えば、エム アイエリンソン(M.
I.Elinson)等によって発表された冷陰極素子
が知られている[ラジオ エンジニアリング エレクト
ロン フィジックス](Radio Eng.Elec
tron.Phys.)第10巻、1290〜1296
頁、1965年]。
【0003】これは、基板上に形成された小面積の薄膜
に、膜面に平行に電流を流すことにより、電子放出が生
ずる現象を利用するもので、一般には表面伝導形電子放
出素子と呼ばれている。
【0004】この表面伝導形電子放出素子としては、前
記エリンソン等により開発されたSnO2 (Sb)薄膜
を用いたもの、Au薄膜によるもの[ジー・ディトマー
“スイン ソリド フィルムス”(G.Dittme
r:“Thin SolidFilms”),9巻,3
17頁,(1972年)]、ITO薄膜によるもの[エ
ム ハートウェル アンド シージーフォンスタッド
“アイイーイーイートランス”イーディーコンファレン
(M.Hartwell and C.G.Fonst
ad:“IEEE Trans.ED Conf.”)
519頁,(1975年)]カーボン薄膜によるもの
[荒木久他:“真空”,第26巻、第1号,22頁,
(1983年)]などが報告されている。
【0005】これらの表面伝導形電子放出素子の典型的
な素子構成を図10及び図11に示す。尚、図10は素
子の平面図、図11は図10中のA−A’面における断
面図である。これらの図において、201及び202は
電気的接続を得るための電極、203は電子放出材料で
形成される薄膜、204は基板、205は電子放出部で
ある。
【0006】従来、これらの表面伝導形電子放出素子に
おいては、電子放出を行う前に予めフォーミングと呼ば
れる通電加熱処理によって電子放出部を形成する。即
ち、前記電極201と電極202の間に電圧を印加する
事により、薄膜203に通電しこれにより発生するジュ
ール熱で薄膜203を局所的に破壊、変形もしくは変質
せしめ、電気的に高抵抗な状態にした電子放出部205
を形成することにより電子放出機能を得ている。
【0007】また、本発明者等は、電極間に微粒子から
なる電子放出体を配置し、これに通電処理を施すことに
より電子放出部を設ける表面伝導形電子放出素子を技術
開示した(特開平1−279542号公報,特開平1−
320725号公報等)。図12は、この表面伝導形電
子放出素子の素子断面を示す図であり、221は基板、
222は基板上に配置された電極で、相互に近接して電
極間隔224を形成している。225は電子放出材であ
り、少なくとも電極間隔224内に配置されている。具
体的には、例えば、電極222として厚み約1000Å
のNi薄膜、電子放出材225としてはSnO2 又はP
d微粒子膜、基板221としてはガラス、電極間隔22
4は幅2μm,長さ300μmとしている。
【0008】この電子放出素子に電圧を印加する際、初
回の電圧印加時に電子放出材225であるSnO2 又は
Pd微粒子膜が通電処理されて、微粒子が島となって不
連続状態膜化され、電子放出部が形成される。この後、
電極間隔224に約14Vの電圧を印加すると電子が放
出されるものである。
【0009】また、従来、電子線による蛍光体発光を用
いた発光素子及び平面型表示装置として、極微細突起表
面からの電界放出電子を蛍光体へ加速照射し発光するも
のが研究開発されてきている。
【0010】かかる手段としては、従来Informa
tion Display 1/89 P17〜P19
“Advanced technology flat
cold−cathode CRTs”に記載されて
いるように、基板上に金属から成る極微細突起とそこへ
高電界を与えるためのゲート電極を1μm以下の寸法に
近接して配置する構造となっている。
【0011】かかる構成は、図13に示すように、基板
241上に厚さ約3/4μmの絶縁層242、その上に
約1μm径の開口を有したゲート電極243を設け、更
に、金属から成る極微細突起244をゲート電極243
の開口径中心に配置し、ゲート電極243に印加した電
圧により高電界を生じさせ、極微細突起244より電子
流を生じさせるものである。
【0012】また、かかる構成の素子に対し、図14に
示すように基板241上方に、基板上あるいは対向板2
51上に設けた柱状のスペーサー252を介して、対向
板251に蛍光体面253を配置することで発光素子と
することができる。ここでアノード電極254に電圧を
印加し、極微細突起244より放出された電子を蛍光体
面253へ加速照射し、蛍光体面を発光させることがで
きる。尚、図中蛍光体は便宜上、楕円で示している。
【0013】更には、図13の構成を有する素子を、図
15に示すように複数個設けて、一つの画面を形成する
電子源とすることができる。図中、261は極微細突起
244の裏面に接続している水平走査電極、262は図
13のゲート電極243に相当する垂直信号電極であ
る。今、水平走査電極261と垂直信号電極262に適
当な電圧を印加すると、極微細突起244より電子が任
意,選択的に放出される。この放出電子を、真空容器と
した対向板の蛍光体面253へ電圧印加により加速照射
し、画像表示を行うことができる。また、真空容器は、
蛍光体面253と極微細突起244との空間をスペーサ
ー252によって形成し、耐大気圧構造としている。
【0014】スペーサー252の寸法は50μm×50
μm×高さ100μmであり、蛍光体面253への印加
電圧が1kVまでならば、スペーサー252での沿面耐
圧は保たれ、異常放電することはない。
【0015】また、カラー画像表示をする場合は、図1
5における蛍光体面252をR(赤),G(緑),B
(青)の3原色のカラー蛍光体に塗り分けている。
【0016】この時、カラー蛍光体の発光効率が各々異
なるため、各色均一輝度のカラー画像を得るために、各
々蛍光体へ衝突する電子線の量を水平走査電極261と
垂直信号電極262の電圧駆動を複雑に調節制御してい
る。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図14
及び図15に示したような発光素子及び画像表示装置で
は、真空容器内に電圧印加に対し沿面耐圧のあるスペー
サー252を配置して空間を形成し、耐大気圧構造とす
る必要があるため、次のような欠点があった。 1)沿面耐圧のあるスペーサーは高アスペクト比の柱状
形が必要であり、製作工数が多く、極微細突起等の電子
放出素子あるいは蛍光体の劣化を防止しながら、これら
の基板上にスペーサーを形成することが難しい。 2)カラー画像表示装置において、赤、緑、青の3原色
に塗り分けたカラー蛍光体対向板を、各々対応する基板
上の極微細突起等の電子放出素子領域上方に精密な位置
合わせを行ない封着固定しなければならず、高精細画素
では、封着時にズレが発生し易く色ズレが発生する。 3)カラー画像表示において、赤、緑、青の3原色のカ
ラー蛍光体の発光効率が異なるため、均一なカラー画像
を得るためには、複雑な電圧駆動制御が必要である。 4)電子放出素子と蛍光体間の空間が大きく、放出電子
の飛翔広がりが発生するため、発光蛍光体の輝点スポッ
トを極めて小さくすることが難しい。
【0018】従来の発光素子あるいは画像表示装置では
上記のような欠点を有するため、製作工程が煩雑であ
り、高精細化、大画面化することが困難であった。
【0019】本発明の目的は、製造が容易で、且つ高精
細・大面積の画像表示が可能な発光素子これを用いた
画像表示装置及び発光素子の製造方法を提供することに
ある。
【0020】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成すべく成
された本発明の構成は、以下の通りである。
【0021】すなわち、本発明第1は、基板上に配置さ
れた電子放出素子と、該電子放出素子より放出される電
子の照射を受ける蛍光体と、フェースプレートとを有す
る発光素子において、前記蛍光体が、前記電子放出素子
の電子放出部を覆って前記基板上に支持されており、し
かも該電子放出素子の電子放出部と蛍光体との間に真空
領域が存在することを特徴とする発光素子、並びに、基
板上に配置された電子放出素子と、該電子放出素子より
放出される電子の照射を受ける蛍光体と、フェースプレ
ートとを有する発光素子において、前記電子放出素子は
凹部に電子放出部を有しており、該凹部の幅より粒径の
大きな蛍光体が該電子放出素子の電子放出部を覆って前
記基板上に支持されていることを特徴とする発光素子
ある。
【0022】本発明第1の発光素子は、さらにその特徴
として「前記基板とフェースプレートは真空容器を形
成しており、且つ、前記蛍光体層の厚みと同等の寸法を
有するビーズ或いはフィラー状のスペーサーを真空容器
内に分散配置している」こと、「前記基板とフェースプ
レートは真空容器を形成しており、且つ、前記電子放出
素子の構成部材の一部が基板とフェースプレートとのス
ペーサーとなる凸部を形成している」こと、「電子放出
部上に開口を有するアノード電極を具備する複数の電子
放出素子を有し、複数種類の蛍光体が各電子放出素子の
アノード電極上に選別配置されており、同種類の蛍光体
が配置されているアノード電極は電気的に接続されてお
り、且つ、異種類の蛍光体が配置されているアノード電
極とは絶縁されている」こと、「前記基板とフェースプ
レートは加熱接着により真空容器を形成しており、前記
蛍光体と電気的接続を有する電極の少なくとも表面層
に、該電極の主材料と合金を構成する金属を有し、該金
属の酸化物の電気伝導率が該電極の主材料の酸化物の電
気伝導率より大きい」こと、「前記電極の主材料がNi
であり、前記金属がAgである」こと、「前記電極の主
材料がCrであり、前記金属がTiである」ことをも含
むものである。
【0023】また、本発明第2は、本発明第1の発光素
子を用いて画像表示を行う画像表示装置、本発明第3
は、本発明第1の発光素子の製造方法において、電子放
出素子の電気的駆動を行い、蛍光体を電気泳動法により
配置する発光素子の製造方法にある。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、図面を用いて本発明を詳細
に説明する。
【0025】図1は本発明の発光素子の特徴を最も良く
表わす素子断面図である。
【0026】同図に於いて、111は基板であり、11
2a,bは基板111上に形成され、対向した間隔を有
する電極であり、113は対向した電極の片側の電極1
12b上に形成された絶縁層、114は微粒子から成る
電子放出材である。115はガラスビーズから成り基板
111上に分散配置されたスペーサーであり、116は
真空容器を形成するためのフェースプレートであり、基
板111とフェースプレート116の空間は、スペーサ
ー115により一定に保たれている。117は蛍光体で
あり、基板111上に支持され、電子放出材114の電
子放出部を覆う様にフェースプレート116との空間に
配置されている。蛍光体117は便宜上、楕円で示して
いる。
【0027】基板111上の電極112a,b及び電子
放出材114から構成されている部分は、図12に示し
たような表面伝導形電子放出素子を構成している。本素
子に於いて、電極112a,bの間に電圧を印加する
と、電極間に電流が流れる。この電圧を10数Vにする
と電極間に位置した電子放出部114より電子放出が行
なわれる。ここで、電子の放出角度は様々な成分があ
り、蛍光体117へ電子が照射、衝突し、蛍光体117
の発光が生じる。
【0028】蛍光体117に衝突した電子は、電極11
2aを通じて流れ、蛍光体がチャージアップすることは
無い。
【0029】絶縁層113は電極間に印加された電圧に
よって流れる電流の電極間に配置された蛍光体117に
よって生ずるリーク成分を無くするために形成されてい
る。
【0030】本発明の発光素子に用いられる電子放出素
子は、上記で示した表面伝導形電子放出素子(図12参
照)に限定されるものではなく、図13に示したような
極微細突起表面からの電界放出によって電子を放出する
スピント型電子放出素子及び、絶縁層を金属層で挟んだ
MIM型電子放出素子等を用いることができる。
【0031】また、本発明の発光素子の電子放出素子に
上記の表面伝導形電子放出素子やスピント型電子放出素
子の様に、電極間隔やゲート電極開口の様な凹部に電子
放出素子を形成している素子を用いる場合には、上記開
口寸法よりも大きな粒径を有する蛍光体を用い、電子放
出部と蛍光体との間に微小間隔を有する事が好ましい。
これにより、蛍光体が上記開口部内に堆積することが無
く、電極間に印加された電圧によって流れる電流の蛍光
体によって生ずるリーク成分を確実になくすることが可
能である。
【0032】本発明に於いて、電子放出素子と蛍光体の
位置関係が重要である。以下、この点について説明す
る。
【0033】例えば、表面伝導形電子放出素子の電子放
出は、電極間電圧が14Vである場合、放出された電子
線も最高で14eV程度のエネルギーを持つと考えられ
る。更に、放出された電子線の放出角度は、従来より電
子放出素子から或る距離にあるアノード電極を有する蛍
光板の輝点形状の観察により、様々な方向に放出されて
いると考えられている。従って、電子放出材から成る電
子放出部から放出された電子は、14eV近くのエネル
ギーを有して様々な角度に渡って放出され、電子放出部
を覆って電極間隔上に配置された蛍光体へ照射衝突す
る。ここで、蛍光体の発光閾値電圧が10eV程度以下
であれば、充分に発光することが可能である。これに相
当する蛍光体としては、蛍光表示管用のZnO:Znに
代表される低速電子線励起蛍光体がある。蛍光体は電子
放出素子を覆って近傍に配置されるが、この間隔は、電
極の厚みと蛍光体の粒径によって調整することが可能で
ある。
【0034】次に、スピント型電子放出素子では、電子
放出の駆動は、例えば極微細突起の電位を−20V、ゲ
ート電極の電位を+20Vとしている。従って、放出さ
れた電子線は最高で40eV程度のエネルギーを持つと
考えられる。今、図14に示したような従来例の発光素
子のアノード電極254が無い場合、放出電子の電子軌
道は電界に沿って進行してゲート電極243へ照射衝突
する。しかしながら、図1に示したような本発明の発光
素子にスピント型電子放出素子を用いた場合でも、蛍光
体がゲート電極上に電子放出部である極微細突起を覆う
ように配置されれば、アノード電極へ照射される電子線
のいくつかの軌道が蛍光体位置と交差し、電子線が蛍光
体に40eV程度以下のエネルギーを有して照射衝突し
発光する。
【0035】また、先に述べた、低速電子線励起蛍光体
は、従来、蛍光体の電気抵抗によるアノード電圧の電圧
降下を抑えるため、30μm程度の膜厚の蛍光体層の抵
抗値を500Ω/cm2 までに低くしている。従って、
蛍光体が、ゲート電極と電気的に接続していれば低抵抗
である蛍光体表面の電位がゲート電極電位+20Vにま
で近くなり、放出電子が蛍光体に照射衝突する確率は大
幅に高まり、より効率良く発光することができる。
【0036】また、図1に示したような本発明の発光素
子にMIM型電子放出素子を用いる場合は、上層の金属
層上に蛍光体を配置すれば良い。下層金属層と上層金属
層間の高電界によって、絶縁層,上層金属層を突き抜け
てきた電子は、低加速励起蛍光体を発光させるに充分な
エネルギーを有して、蛍光体に衝突し、発光させること
ができる。
【0037】本発明の発光素子では、蛍光体発光による
輝点寸法は、電子放出部と発光蛍光体が接近しているた
めに、電子放出部の長さに相当した配列された蛍光体の
寸法とほぼ同じになる。従って、従来の様に電子放出部
と発光蛍光体までの空間が大きい場合に生じていた電子
光学的な電子の飛翔広がりを極端に小さくおさえること
ができる。
【0038】ここで、電子の放出点(電子放出部)と蛍
光体が接触している場合でも、電子が蛍光体へ注入され
発光すれば良いことが理解される。特に、電子放出に係
わる2端子電極構成では、電子の放出点と蛍光体が接触
していても発光することが可能である。また、電子放出
の変調や、ON/OFFを行なう電極を追加した3端子
以上の電極構成であれば、電子の蛍光体への注入に異常
が生じない様な、電気的な絶縁を部分的に形成すれば良
い。
【0039】従って、図1に示したような本発明の発光
素子において、電子放出材114が、蛍光体117に接
触している場合でも、電子の蛍光体への注入、発光が可
能である。
【0040】また、本発明によれば、蛍光体が、基板と
フェースプレートの間に挟まれて保持されているため
に、従来、空間を有して対向板に蛍光体が配置されてい
た場合に発生していた蛍光体の脱落による発光欠陥は発
生しない。
【0041】以上述べたように、蛍光体は素子基板上に
支持されて配置されるため、従来、柱状のスペーサーに
より形成していた対向板までの大きな真空空間が不用と
なり、必要な蛍光体層の厚み分だけの小さな真空空間を
形成すれば良いことになる。従って、従来、電子線蛍光
発光型平面画像表示装置では画素欠陥発生のため、あま
り積極的に使用されてこなかったビーズやフィラー状の
ばらまきスペーサーの分散配置を大きな画素欠陥無く、
用いることができる。
【0042】すなわち、蛍光体層の厚みを仮に20μm
とすると、直径20μmのガラスビーズスペーサーを用
いれば良い。また、電子放出素子の電極部開口寸法の例
として表面伝導形電子放出素子では、電子放出材を挟む
電極間隔が幅2μm長さ300μmで画像表示装置の1
画素を形成している場合、直径20μmのガラスビーズ
スペーサーが電子放出部である電極開口部に分散配置さ
れたとしても、電子放出長の約7%が未放出部となるだ
けで済む。また、スピント型電子放出素子の場合は、ゲ
ート電極開口が直径1μmとし画像表示装置の1画素を
タテ300μm,ヨコ150μmとして面状に電子放出
素子を複数配列して形成した場合、直径20μmのガラ
スビーズスペーサーが画素内の電子放出素子の電子放出
を妨げても、画素面積の1%以下が未放出部となるだけ
で済む。もし、従来例のように100μmの空間を形成
するために直径100μmのガラスビーズスペーサーを
用いれば、表面伝導形電子放出素子で約33%、スピン
ト型電子放出素子で約18%の画素中に未放出部が発生
し、画素欠陥となってしまう。
【0043】更には、ガラスビーズやフィラー状のスペ
ーサーの他に例えば蛍光体層の厚み20μmに対し同等
厚みで基板上に薄膜でスペーサーを形成することも充分
可能となる。
【0044】また、大画面表示装置では、素子の駆動電
圧が配線抵抗の電圧降下によって低下することを防ぐた
めに、膜厚の厚い電極配線が用いられる。ここで、電極
配線の膜厚を20μmとして低抵抗配線とし、この凸状
の配線部をそのままフェースプレートとのスペーサーと
して用いることも可能である。ここで電極配線の形成方
法は薄膜に限られるものではなく、メッキ法、印刷法等
が用いられる。
【0045】図7は本発明の発光素子の別の態様を示す
素子断面図である。
【0046】図1に示した本発明の発光素子には図14
の従来例で示したような対向板251に設けられたアノ
ード電極254は用いていないが、図7に示した発光素
子では、電子放出部114上に開口を有するゲート電極
142及びアノード電極172を素子電極112上に各
々層間絶縁層141,171を介して形成している。
【0047】またフェースプレート116と基板111
から成る真空容器の内部空間は、アノード配線173の
厚み方向によって形成されており、アノード配線173
がスペーサーとして利用されている。また174は絶縁
層である。上記の様な本発明第3の発光素子を用いて、
カラー画像表示を行う場合、複数種類の蛍光体を各電子
放出素子のアノード電極上に選別配置し、各々の蛍光体
の輝度を均一化するために、各々の蛍光体に合ったアノ
ード電位に制御することが必要となる。本発明では、同
種類の蛍光体が配置されているアノード電極を電気的に
接続し、異種類の蛍光体が配置されているアノード電極
とは絶縁することによって任意のアノード電極を任意の
電位に制御することも可能にしている。
【0048】本発明の発光素子において、電子放出素子
を構成する電極の材料は特に限定されるものではない
が、蛍光体と電気的接続を有する電極の少なくとも表面
層には、電極の主材料と合金を構成する金属であってそ
の酸化物の電気伝導率が電極の主材料の酸化物の電気伝
導率より大きい金属材料を用いるのが好ましい。
【0049】すなわち、電極の表面層が酸化物となった
場合に電極材単体よりも低抵抗となる合金材料を用いる
ことにより、真空容器の封着加熱工程を経た電極の表面
が酸化し高抵抗となり、接触している蛍光体との導通が
不良となることを防止するためである。もし蛍光体と電
極の電気的導通が不良となると、電子放出素子より注入
された電子により蛍光体がチャージアップしてしまい、
一時的に過電流が流れ、素子の破壊が生じる場合があ
る。
【0050】例えば、電極の主材料がNiである場合
に、電極の表面層にはAgを10mol%添加したNi
合金を用いると、真空容器封着時の加熱接着工程によ
り、電極の表面層が酸化してAg添加されたNiOとな
っても、その比抵抗は1Ω・cm程度である。これに比
べ、Niの理想的な定比性の酸化膜の比抵抗は1013Ω
・cm以上の絶縁性を示し、NiとOの定比性からのず
れが最大に近いNi0.995Oでも103 Ω・cmとな
り、一般的には105 Ω・cm以上の高抵抗を示す。
【0051】この様に、電極材単体の場合、封着熱工程
によって電極表面が酸化され高抵抗化する。この酸化膜
の電気伝導が、例えばP型半導体、N型半導体、金属型
のいずれかを示した場合、適当な添加物を加えることに
よって、ホール濃度、伝導電子濃度、酸素イオン濃度を
各々増加させ、電気伝導度を増し、比抵抗を小さくでき
る。
【0052】上記電極及び電極の表面層の材料として
は、電極の主材料がNiの場合には、5〜20mol%
のAg又はLiを添加して、NiO表面層のP型半導体
にホール濃度を増加させるもの。また、電極の主材料が
Znの場合には、1〜4mol%のAlを添加してZn
O表面層のN型半導体に伝導電子濃度を増加させるもの
や、5〜20mol%のCa又はGd等を添加してZn
2 表面層の金属型伝導層に酸素イオン濃度を増加させ
るもの。更には、電極の主材料がCrの場合には、0.
35〜1.4mol%のTiか又は、1.25〜5mo
l%のNiを添加してCrO2 表面層の金属型伝導層に
酸素イオン濃度を増加させ、電気伝導度を増し、比抵抗
を小さくできるもの等がある。
【0053】尚、上記合金材料として添加する金属の濃
度が上記範囲未満の場合は、蛍光体と接触する電極の表
面層が高抵抗となり、蛍光体との導通が不良が発生し易
くなり前述の目的を十分達成することができず、また、
上記範囲内では添加量と共にその合金の酸化物の電気伝
導率は上昇するが上記範囲を超えると低下する傾向にあ
る。
【0054】上記電極の表面層の形成方法としては、電
極の主材料を真空堆積法により必要な厚みまで堆積した
後、続けてかかる材料に加えて合金金属材を同時蒸着す
ることによって必要な表面層の厚みまで堆積する方法を
用いることができる。これ以外に電極を真空堆積し、そ
の上層に電極材を除いた合金金属材を数10Åの極薄膜
で堆積し、封着加熱工程時の温度により合金化して表面
層を形成することも材料の合金開始温度により可能であ
る。更には、電極材全てを合金としても良いことは言う
までもない。
【0055】本発明に於いて、蛍光体の配置方法として
は、蛍光体が電子放出素子上に配置されることを利用し
て、電子放出素子の電極を電気的に駆動し、電気泳動法
により電子放出素子上へ蛍光体を配置する方法を用いる
ことができる。これにより蛍光体の塗り分けが可能とな
りカラー蛍光体の配置が可能となる。また、低抵抗蛍光
体を用いる場合では、隣接した電子放出素子間の蛍光体
が互いに接触することがなくなり、蛍光体を介しての電
子放出素子の電流リークを防止することができる。
【0056】また、蛍光体が照射された電子を、接続し
ている近傍の電極に電流として流し、蛍光体自身がチャ
ージアップしない程度の抵抗値を有する高抵抗蛍光体の
場合、隣接した電子放出素子間の蛍光体により電流リー
クを非常に小さくすることができるため、基板上の全面
に蛍光体を配置しても良い。この場合、蛍光体の配置は
蛍光体の分散溶液中へ基板を静置する沈降法を用いて、
容易に行なうことができる。
【0057】蛍光体の配置方法としては、上記方法以外
にスラリー法や印刷法等の一般的な配置方法を用いるこ
ともできる。
【0058】以上説明したように本発明の発光素子で
は、蛍光体が電子放出素子上に積層されるために、フェ
ースプレートと基板上の電子放出部との精密な位置合わ
せが不要となった。また、発光蛍光体の輝点スポット寸
法を極微小にすることが可能となり、更にはガラスビー
ズの分散配置や電子放出素子の凸部をスペーサーとして
利用するという簡易な方法で真空容器を形成することが
できるため、発光素子及び画像表示装置をより簡易な方
法で作製することができ、高精細化、大面積化が可能と
なる。
【0059】尚、蛍光体の発光効率は一般に粒径が大き
いほど高い。しかし蛍光体の塗布配置面の質を考慮して
実際に市販実用されているものはφ5〜7μmである。
この寸法は本発明の発光素子で充分使用できる範囲であ
り、更に粒径を大きくして発光効率を上げることも可能
である。
【0060】
【実施例】以下、本発明を実施例を用いて詳述する。
【0061】(実施例1)本実施例では、図1に示した
ような本発明の発光素子及びこれを用いて図2に示され
るような画像表示装置を作製した。
【0062】以下、本実施例の発光素子及び画像表示装
置の製造方法について説明する。
【0063】先ず、良く洗浄、脱脂した厚さ1.1mm
のガラス材から成る基板111上にリフトオフ法により
真空蒸着によって厚み50ÅのTiを下引き層として成
膜した。
【0064】次に、電極112a,112bとなる厚み
1000ÅのNiと絶縁層113としての厚み1000
ÅのSiO2 を電極形状に形成した。
【0065】次に、対向した片側の電極112a上面及
び電極間隔部の絶縁層をフォトリソエッチング法により
取り除いた。
【0066】次に、電極112a,112b間の幅2μ
mの間隔部に、リフトオフ法により、有機Pd溶液(奥
野製薬工業社製キャタペーストCCP)をスピンコート
し、300℃,12分焼成して得たPd微粒子膜を形成
した。
【0067】次に、蛍光体の電気泳動電着液としてIP
A(イソプロピルアルコール)40リットルに対し、1
gの硝酸アルミニウム電解質を溶解し、粒径約5μmの
ZnO:Zn蛍光体100gを分散させた。
【0068】この電着液中に上記基板111と電着用対
向電極を浸漬して、基板111上の電極と、電着用対向
電極間に15Vの電圧を5分間印加して電気泳動法によ
り蛍光体117を絶縁層113の無い電極112a上,
電極間隔部及びこれらの近傍に電着配置した。
【0069】次に、粒径約φ20μmのガラスビーズを
IPAに分散した分散液を電着液より取り出した基板1
11上に噴霧し、ガラスビーズ115を分散配置した。
【0070】次に、フェースプレート116を基板11
1上に乗せ、図2に示されるように周辺部をフリットガ
ラス121により封着して容器を形成し、この容器内を
10-6Torr程度の真空に排気して封止し真空容器と
した。
【0071】以上の工程により、図1及び図2の発光素
子及び画像表示装置を得ることができた。
【0072】以上説明したように本実施例では、フェー
スプレート116と基板111との間に柱状の高アスペ
クト比スペーサーを形成配置する必要はなく、より簡易
に発光素子及び画像表示装置を作製することができた。
【0073】本実施例の発光素子の電極112a,11
2b間に、電圧14Vを印加すると、微粒子から成る電
子放出材114より電子が放出され蛍光体117が発光
する。
【0074】更に、図2の画像表示装置において、複数
個配列された電極112a,112b間のうち任意の電
極間に電圧を印加して選択的に任意の電極間隔上の蛍光
体を発光させることができ、平面型画像表示装置とする
ことができた。
【0075】(実施例2)本実施例では、図3に示され
るような本発明の発光素子を作製した。
【0076】本図において基板111、電極112a,
112b、電子放出材114、フェースプレート11
6、蛍光体117は実施例1と同様である。131は電
極112b上にメッキ法で形成したCu材から成る厚み
約20μmの電極配線であり、113は電極112b及
び電極配線131上に液体コーティング材の塗布、焼成
によって形成したSiO2 材から成る厚み約5000Å
の絶縁層である。
【0077】本実施例ではフェースプレート116と基
板111から成る真空容器の内部空間は電極配線131
の厚み方向によって形成されており、電極配線131が
スペーサーとして利用されている。
【0078】真空容器とした後、電極112a,112
b間に電圧14Vを印加したところ、蛍光体117を発
光させることができた。
【0079】本実施例の発光素子の構造を元にして、3
00mm角の基板上に電子放出素子及び蛍光体を配置
し、フェースプレートと封着した画像表示装置を作製し
た。この時、画面内全域に渡り均一な発光を得ることが
できた。
【0080】(実施例3)本実施例では、図4に示され
るような本発明の発光素子及びこれを用いて図5及び図
6に示されるような画像表示装置を作製した。尚、図4
は発光素子の断面図であり、図5及び図6は画像表示装
置の縦横断面図である。
【0081】基板111、電極112、電子放出材11
4、フェースプレート116、フリットガラス121は
実施例1と同様である。141はSiO2 材から成る厚
み約5μmの層間絶縁層であり、電極112の上に真空
堆積法、フォトリソエッチング法により形成されてお
り、電極112の間隔上に3μm幅の開口を有してい
る。142はNi材から成る厚み約5000Åのゲート
電極であり、層間絶縁層141の上に真空堆積法、フォ
トリソエッチング法により形成されている。143はゲ
ート電極142上にメッキ法で形成したCu材から成る
厚み約20μmのゲート配線であり、144はゲート配
線143上に真空堆積法によって形成されたSiO2
ら成る厚み約2000Åの絶縁層であり、115R,1
15G,115Bは、粒径約7μmの3種類の低速電子
線励起カラー蛍光体であり、電気泳動法によりゲート電
極上に選択的に電着配置した。
【0082】本実施例ではフェースプレート116と基
板111から成る真空容器の内部空間はゲート配線14
3の厚み方向によって形成されており、ゲート配線14
3がスペーサーとして利用されている。
【0083】また、図5及び図6において、電極112
とゲート電極142は、各々複数の電子放出素子部を一
列に接続し、これが各々複数本平行して配列している
が、電極112とゲート電極142の各平行配列は相互
に直交した配置となっている。
【0084】すなわち、図5では、電極112は紙面横
方向の左右に直線的に配置され、電子放出材114が3
ケ所に配置されており、且つ3ケ所の電子放出素子部1
14が一列に接続している。これに対し、ゲート電極は
紙面垂直方向の奥と手前に直線的に電子放出素子上に配
置され、紙面横方向に隣接したゲート電極同志は接続さ
れていない。
【0085】図6は、図5と直交する面における断面図
であり、ゲート電極114が紙面横方向の左右に、電極
112は紙面垂直方向の奥と手前に配置されている。
【0086】また、図5から判るように、カラー蛍光体
151R(赤),151G(緑),151B(青)が各
々独立して配置されている。これは蛍光体を電気泳動法
で電着する際、任意の単色カラー蛍光体の分散液内で、
任意のゲート電極ラインのみに電圧を印加して、各々単
色のカラー蛍光体を配置することによって得ている。
【0087】本発光素子の電極112の任意のラインに
電圧14Vを印加すると、この選択されたラインに接続
する電子放出素子部から電子が放出される。ここで、こ
のラインに直交しているゲート電極142の任意のライ
ンに−30Vを印加すると、このライン同志の交点の電
子放出素子部上の蛍光体へは放出電子が到達できず、発
光は生じない。逆にゲート電極142の任意のラインに
+30Vを印加すると、このライン同志の交点の電子放
出素子部上の蛍光体へ放出電子が到達し発光が生じる。
このように電極112とゲート電極142の各直交した
任意のラインへ電圧印加を行なうことにより、任意の交
点及び発光色を選択して表示することができ、カラー画
像表示装置として使用することができる。
【0088】本実施例では低速電子線励起カラー蛍光体
材料として151R(赤)として(Zn0.2 ,Cd
0.8 )S:Ag,Cl+In23 蛍光体、151G
(緑)としてZnO:Zn蛍光体、151B(青)とし
てZnS:[Zn]+In23 蛍光体を用いた。
【0089】以上説明したように、本実施例では任意の
カラー蛍光体を基板上に配置できるため、フェースプレ
ートと基板封着時の精密なアライメントが不用である。
【0090】また、本実施例の発光素子の構造を元にし
て、電子放出素子の配列ピッチをタテ,ヨコ各50μm
として、25mm角内に配置した画像表示装置を作製し
た。この時、カラー蛍光体の発光に対し色ズレは生じな
かった。
【0091】(実施例4)本実施例では、図7の断面図
に示されるような本発明の発光素子を作製した。
【0092】本図において基板111、電極112、電
子放出材114、フェースプレート116、層間絶縁層
141、ゲート電極142、カラー蛍光体117は実施
例3と同様である。171はSiO2 材から成る厚み約
5μmの層間絶縁層であり、ゲート電極142上に真空
堆積法、フォトリソエッチング法により形成されてお
り、電極112の間隔上に4μm幅の開口を有してい
る。172はNi材から成る厚み5000Åのアノード
電極であり、層間絶縁層171上に真空堆積法、フォト
リソエッチング法により形成されている。173はアノ
ード電極172上にメッキ法で形成したCu材から成る
厚み約20μmのアノード配線であり、174はアノー
ド配線173上に真空堆積法によって形成されたSiO
2 から成る厚み約2000Åの絶縁層である。本実施例
において、複数の電子放出素子を配列した場合も含めア
ノード電極172は、全素子に対して+50Vの共通電
位とした。
【0093】本素子の電極112間に実施例3と同様に
して0V又は+14V、ゲート電極142に−30V又
は+30Vを印加することにより蛍光体の発光を制御
し、発光素子及び画像表示装置とすることができた。
【0094】本実施例では、蛍光体117に接続したア
ノード電極172の電位が+50Vであるため、実質、
蛍光体117に衝突する電子のエネルギーが50eV近
く以下であると考えられる。このアノード電位は常に共
通電位のまま、印加状態にあれば良く、画像表示にとも
なうON/OFF制御は必要ない。従って複雑な駆動を
必要とせず、より発光開始電圧の高い蛍光体を利用でき
るようになった。更には、発光開始電圧の低い蛍光体で
あれば、より高い輝度を得ることもできた。
【0095】本実施例では、複数の電子放出素子に対す
るアノード電極の電位を共通としたが、これに限られる
ものではない。
【0096】例えば、3種類のカラー蛍光体を用いた場
合、各々の蛍光体の輝度を均一化するために、各々の蛍
光体に合わせたアノード電位を制御することも可能であ
った。
【0097】すなわち、アノード電極及びアノード配線
を複数の電子放出素子上に一列のライン状に形成し、こ
れを複数ライン平行して配列する。電気泳動法によって
各々のカラー蛍光体を電着し塗り分けた。こうして駆動
時に、各アノード電極ライン上のカラー蛍光体に合わせ
たアノード電圧を印加することができた。
【0098】この場合、放出電子は各蛍光体画素ごとに
層間絶縁層141,171、ゲート電極142、アノー
ド電極172によって囲まれた空間を進行するため、隣
接したアノード電極の電位が異なっていても電子光学的
な補正は必要なかった。
【0099】以上説明したように本実施例では、複雑な
電圧駆動や電子光学的な補正をせずに、各々の蛍光体に
合わせて蛍光体発光を行なうことができた。
【0100】また、モノクロ表示の場合、蛍光体の配置
に沈降法を用いれば絶縁層上にも形成できる。従って、
図7におけるアノード電極172をフェースプレート1
16の真空容器内面側にITOの様な透明電極として設
ければ、同様に蛍光体電位を上げられ、より輝度を上げ
ることができる。
【0101】(実施例5)本実施例では、図7の断面図
に示されるような本発明の発光素子において、アノード
電極172をNiに10mol%のAgを添加した厚み
5000ÅのNi合金とした以外は実施例4と同様にし
て素子を作製した。
【0102】本実施例の発光素子は、実施例4と同様に
駆動することができ、また、真空容器となるために、4
50℃,1時間の熱処理を行ないフリットガラスによる
封着を行なった。この熱処理により合金Ni電極の表面
層の比抵抗は、約1Ω・cm程度となり、蛍光体との電
気的導通は充分にとることができた。
【0103】また、アノード電極172を+50Vの電
位としても、蛍光体がチャージアップして一時的に過電
流が流れることは無く、これによる素子の破壊も発生し
なかった。
【0104】更に、アノード電極172の材料として、
Crに2.5mol%のNiを添加したCr合金を用い
た場合も、同様に一時的に過電流が流れるようなことは
無かった。
【0105】更にはまた、Ni合金において、Agの添
加量が5mol%から20mol%の範囲内では、一時
的な過電流が生じることはなく、Liを上記範囲内で添
加した場合も同様であった。
【0106】また、Cr合金において、Niの添加量が
1.25mol%から5mol%の範囲内及びTiの添
加量が0.35mol%から1.4mol%の範囲内で
も、一時的な過電流が生じることは無かった。
【0107】(実施例6)本実施例では、図8の断面図
に示されるようなスピント型電子放出素子を用いた本発
明の発光素子を作製した。
【0108】本図中、111はガラスから成る基板、1
81はストライプ状のCr堆積膜から成る水平走査電
極、182はSiO2 堆積膜から成る絶縁層、183は
Cr堆積膜から成る垂直信号電極である。垂直信号電極
183はホトリソエッチング法により直径約1μmの開
口を有しており、絶縁層182も同様に開口を有してい
る。184は真空堆積によって得られたMoから成る極
微細突起である。上記構成において、水平走査電極18
1に−20V、垂直信号電極183に+20Vの電圧を
印加することにより、極微細突起184より電子が放出
される。
【0109】117は粒径5〜7μmのZnO:Znを
主成分とする低速電子線励起蛍光体であり、沈降法によ
り垂直信号電極183及びその開口上に配置してある。
116はガラスから成るフェースプレートであり、基板
111と共に真空容器を形成している。
【0110】本実施例の発光素子に於て、電子放出素子
より電子を放出させると、蛍光体117に放出電子が注
入されて発光し、フェースプレート116側から観察す
ることができた。
【0111】(実施例7)本実施例では、図9の断面図
に示されるようなMIM型電子放出素子を用いた本発明
の発光素子を作製した。
【0112】本図中、111はガラスから成る基板、1
91は抵抗加熱真空蒸着法によって堆積されたAlから
成る下層メタル、192はAlを0.1%H3 BO4
解液中で低成長速度で陽極酸化した高密度Al23
ら成る絶縁層である。絶縁層192の酸化前に、中央の
電子放出領域193はエッチングにより凹部が形成さ
れ、更に、酸化時にレジストで保護した工程を加えた2
度の陽極酸化を行うことにより、他領域よりも絶縁層厚
みを薄くした。194は抵抗加熱真空蒸着法によって堆
積されたAuから成る上層メタルである。各メタル19
1,194は、リボン状に形成され互いに直交した構造
とした。上記構成において、絶縁層192の厚み100
Å、上層メタル194の厚み100Å、放出領域193
の径φ100μmとして、印加電圧7.0Vにより電子
放出量0.36μAを得た。
【0113】117はZnO:Zn蛍光体であり沈降法
により上層メタル194の上に配置してある。116は
ガラスから成るフェースプレートであり、基板111と
共に真空容器を形成している。
【0114】本実施例の発光素子に於て、電子放出素子
より電子を放出させると、蛍光体117に放出電子が注
入されて発光し、フェースプレート116側から観察す
ることができた。
【0115】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の発光素子
及び画像表示装置によれば、以下の効果を奏する。 真空容器のフェースプレートと、電子放出素子基板と
の精密な位置合わせが不要となった。 放出された電子が蛍光体へ衝突するまでの距離、すな
わち電子光学的空間が非常に小さくなるため、放出電子
の空間広がりを非常に小さくして蛍光体の輝点スポット
寸法を極微小にすることが可能となり、高解像の画像表
示装置を作製可能である。 電子光学的空間が非常に小さく、放出電子の飛翔空間
が蛍光体膜と基板上の電子放出点で形成される空間であ
り、従来のような、フェースプレートと電子放出素子基
板との空間が不要であるため、スペーサーは蛍光体を含
めた構造体を大気圧から保護する機能を有するのみで良
いことになり、従来に比べスペーサー高さが蛍光体厚み
程度と非常に小さく、パネルの構造が簡易であり、製造
が容易となった。 電極の少なくとも表面層が、酸化物となった場合に、
電極材単体の酸化物よりもより低抵抗となる合金材料と
することによって、真空容器の封着加熱工程を経ても、
電極表面の高抵抗化を防ぎ、蛍光体と電極間での電気的
接続を充分に行なうことができ、蛍光体のチャージアッ
プが生じない。 高精細、大面積の画像表示装置が実現される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の発光素子の一実施例を示す素子断面図
である。
【図2】図1の素子を真空容器内に形成したときの断面
図である。
【図3】本発明の発光素子の他の実施例を示す素子断面
図である。
【図4】本発明の発光素子の他の実施例を示す素子断面
図である。
【図5】図4の素子を真空容器内に形成したときの一断
面図である。
【図6】図4の素子を真空容器内に形成したときの一断
面図である。
【図7】本発明の発光素子の他の実施例を示す素子断面
図である。
【図8】本発明の発光素子の他の実施例を示す素子断面
図である。
【図9】本発明の発光素子の他の実施例を示す素子断面
図である。
【図10】従来例の電子放出素子の構成図である。
【図11】図10のA−A’断面図である。
【図12】従来例の電子放出素子の断面図である。
【図13】従来例の電子放出素子の断面図である。
【図14】従来例の発光素子の断面図である。
【図15】従来例の発光素子を用いた画像表示装置の構
成図である。
【符号の説明】
111 基板 112,112a,112b 電極 113 絶縁層 114 電子放出材 115 スペーサー 116 フェースプレート 117 蛍光体 121 フリットガラス 131 電極配線 141 層間絶縁層 142 ゲート電極 143 ゲート配線 144 絶縁層 151R 蛍光体(赤) 151G 蛍光体(緑) 151B 蛍光体(青) 171 層間絶縁層 172 アノード電極 173 アノード配線 174 絶縁層 181 水平走査電極 182 絶縁層 183 垂直信号電極 184 極微細突起 191 下層メタル 192 絶縁層 193 電子放出領域 194 上層メタル 201,202 電極 203 薄膜 204 基板 205 電子放出部 221 基板 222 電極 224 電極間隔 225 電子放出材 241 基板 242 絶縁層 243 ゲート電極 244 極微細突起 251 対向板 252 スペーサー 253 蛍光体 254 アノード電極 261 水平走査電極 262 垂直信号電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中村 尚人 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (72)発明者 岩井 久美 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (72)発明者 武田 俊彦 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (56)参考文献 特開 昭61−221783(JP,A) 特開 平4−129142(JP,A) 特開 平4−206101(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01J 31/12 H01J 9/227

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に配置された電子放出素子と、該
    電子放出素子より放出される電子の照射を受ける蛍光体
    と、フェースプレートとを有する発光素子において、 前記蛍光体が、前記電子放出素子の電子放出部を覆って
    前記基板上に支持されており、しかも該電子放出素子の
    電子放出部と蛍光体との間に真空領域が存在することを
    特徴とする発光素子。
  2. 【請求項2】 基板上に配置された電子放出素子と、該
    電子放出素子より放出される電子の照射を受ける蛍光体
    と、フェースプレートとを有する発光素子において、 前記電子放出素子は凹部に電子放出部を有しており、該
    凹部の幅より粒径の大きな蛍光体が該電子放出素子の電
    子放出部を覆って前記基板上に支持されていることを特
    徴とする発光素子。
  3. 【請求項3】 前記基板とフェースプレートは真空容器
    を形成しており、且つ、前記蛍光体層の厚みと同等の寸
    法を有するビーズ或いはフィラー状のスペーサーを真空
    容器内に分散配置していることを特徴とする請求項1又
    は2に記載の発光素子。
  4. 【請求項4】 前記基板とフェースプレートは真空容器
    を形成しており、且つ、前記電子放出素子の構成部材の
    一部が基板とフェースプレートとのスペーサーとなる凸
    部を形成していることを特徴とする請求項1又は2に記
    載の発光素子。
  5. 【請求項5】 複数の電子放出素子を有する請求項1又
    は2に記載の発光素子において、該電子放出素子は電子
    放出部上に開口を有するアノード電極を具備し、複数種
    類の蛍光体が各電子放出素子のアノード電極上に選別配
    置されており、同種類の蛍光体が配置されているアノー
    ド電極は電気的に接続されており、且つ、異種類の蛍光
    体が配置されているアノード電極とは絶縁されているこ
    とを特徴とする発光素子。
  6. 【請求項6】 請求項1又は2に記載の発光素子におい
    て、前記基板とフェースプレートは加熱接着により真空
    容器を形成しており、前記蛍光体と電気的接続を有する
    電極の少なくとも表面層に、該電極の主材料と合金を構
    成する金属を有し、該金属の酸化物の電気伝導率が該電
    極の主材料の酸化物の電気伝導率より大きいことを特徴
    とする発光素子。
  7. 【請求項7】 請求項に記載の発光素子において、前
    記電極の主材料がNiであり、前記金属がAgであるこ
    とを特徴とする発光素子。
  8. 【請求項8】 請求項に記載の発光素子において、前
    記電極の主材料がCrであり、前記金属がTiであるこ
    とを特徴とする発光素子。
  9. 【請求項9】 請求項1〜いずれかに記載の発光素子
    を用いて画像表示を行う画像表示装置。
  10. 【請求項10】 請求項1〜8いずれかに記載の発光素
    子の製造方法において、電子放出素子の電気的駆動を行
    い、蛍光体を電気泳動法により配置することを特徴とす
    る発光素子の製造方法。
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