JP2991974B2 - 吸引ドライアイスブラストノズルを用いた除染方法及び除染装置 - Google Patents

吸引ドライアイスブラストノズルを用いた除染方法及び除染装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、大型放射性廃棄物
のドライアイスブラストを使用した除染作業、原子力施
設及び核燃料施設におけるセル内壁等のドライアイスブ
ラストを使用した除染作業、航空機及び車両、一般産業
部門における大型設備機器等のドライアイスブラストを
使用した塗装剥離、食料産業部門で使用するオーブン等
の内面焦げつきの除去等に使用可能な吸引ドライアイス
ブラストノズルを用いた除染技術に関する。
【0002】
【従来の技術】原子力施設及び核燃料施設の設備機器の
更新及びデコミッショニング(原子力施設等の解体撤去
措置)で発生する大型放射性廃棄物の除染、またはセル
内壁等の除染に適用する技術としてドライアイスブラス
トがある。図6はドライアイスブラストシステムを説明
する概念図である。図6において、セル内には被除染体
である大型放射性廃棄物8が置かれ、遮蔽壁9で隔離さ
れた操作室側には、ペレタイザー3、ブラスト装置4な
どが設置されている。空気圧縮機1からの圧縮空気がド
ライヤー2を通してペレタイザー3へ圧送される。ペレ
タイザー3は、CO2 タンク5から供給される液化炭酸
ガスを圧縮し、固形化させながら細孔(約3mmφ)か
ら押し出し、ドライアイスの細い円柱を作り、それを5
mm程度の長さにカットしてペレットとするものであ
る。このドライアイス粒(約3mmφ×5mm)を圧縮
空気に混入させてブラスト装置4へ搬送し、MSマニプ
レータ(Master Slave Manipula
ter)7で操作される先端のブラストノズル6から大
型放射性廃棄物8の表面に噴射し、機械的に汚染物質を
はぎ取って除去する。
【0003】MSマニプレータ7は、図7に示すよう
に、マニプレータ操作者が、遮蔽壁9に設けられた監視
窓10を通して監視しながらマスターハンド7aを操作
し、マスターハンド7aの操作に応じてセル内のスレー
ブアーム7bを動かし、実験器具11上の放射性物質1
2などを操作するものであり、このスレーブアーム7b
でブラストノズル6を把持して汚染物質の除去に使用す
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ドライアイスブラスト
システムは、と材(通常、アルミナ粉、ガラスビーズ、
鋳鉄グリット、細線ワイヤ等からなる研磨材)としてド
ライアイスを用い、これが昇華することにより二次廃棄
物の少ない除染手法として知られている。
【0005】しかし、圧縮空気を使用していることから
剥離した汚染物質を周辺に飛散させ、汚染の拡大の原因
になることや、セル内等で使用する場合、排気フィルタ
に剥離汚染物が吸着し、フィルタの差圧や表面線量当量
率が上昇する原因となっていた。
【0006】本発明は上記課題を解決するためのもの
で、剥離汚染物質の周辺への飛散を大幅に低減し、二次
廃棄物の発生量を減らし、セル内で使用した場合のセル
内排気フィルタの差圧及び表面線量率の上昇を防止する
ことができる吸引ドライアイスブラストノズルを用いた
除染方法及び除染装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】そのために本発明は、ブ
ラストノズルよりドライアイス粒子を噴射して除染すべ
き対象物に吹きつけて汚染物を除去する方法において、
ブラストノズルとして飛散防止カバーにドライアイスブ
ラストノズルと吸引ノズルが設けられた吸引ドライアイ
スブラストノズルを使用し、ドライアイスブラストノズ
ル先端よりドライアイス粒子を噴射し、吸引ノズルによ
り飛散防止カバー内の剥離汚染物を含むガスを吸引して
濾過し、剥離汚染物が飛散するのを防止するようにした
ことを特徴としたものであり、吸引ドライアイスブラス
トノズルにダストコレクタを接続し、吸引したガスを固
体、液体、気体に分離し、さらに気体を濾過して排気す
るようにしたことを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て説明する。図1は本発明の吸引ドライアイスブラスト
システムの概念図である。吸引ドライアイスブラストシ
ステムは、空気圧縮機1、ドライヤー2、ペレタイザー
3、ブラスト装置4、CO2 タンク5、吸引ドライアイ
スブラストノズル20、ダストコレクタ30、排気ブロ
アー40から構成される。ドライアイス粒は、CO2
ンク5から供給される液化炭酸ガスからペレタイザー3
で製造され、ブラスト装置4に供給される。ブラスト装
置4では、空気圧縮機1を通じドライヤ2で除湿された
圧縮空気にドライアイス粒が混合され、耐圧ホースを通
じて吸引ドライアイスブラストノズル20から大型放射
性廃棄物8の汚染部位に噴射される。吸引ドライアイス
ブラストノズル20は、MSマニプレータ7で取扱われ
て、汚染部位に密着・固定される。吸引ドライアイスブ
ラストノズル20から噴射された後のドライアイス粒及
び汚染物は、吸引ドライアイスブラストノズル20の吸
引ノズルから排出され、排気ブロアー40との途中に設
けたダストコレクタ30により回収される。
【0009】図2は吸引ドライアイスブラストノズルの
詳細図である。吸引ドライアイスブラストノズル20
は、飛散防止カバー23でドライアイスブラストノズル
21が覆われており、飛散防止カバー23を通して吸引
ノズル22が外部へ延びている。飛散防止カバー先端部
には移動用ベアリング24及びワイヤブラシ25が設け
てあり、移動用ベアリング24は除染対象物表面26の
上をスムーズに移送する役目をし、ワイヤブラシ25
は、飛散防止カバー23の内外で極端な圧力差が生じな
いよう外部の空気を流入する役目をしている。除染に際
しては、ドライアイスブラストノズル21からドライア
イス粒を噴射して除染対象物表面26に吹きつけると、
除染対象物表面26に付着する汚染物が剥離される。剥
離された汚染物及び噴射後のドライアイス粒は、飛散防
止カバー23から漏れ出ることなく吸引ノズル22から
回収される。
【0010】図3はダストコレクタの詳細図である。図
示するように、ダストコレクタ30は、円筒型の上部ケ
ース32の中に固体及び液体と気体を分離する機構と、
排気に含まれるミストと剥離汚染物を濾過浄化する機能
を有している。吸引ドライアイスブラストノズル20か
ら排出された残ドライアイス粒及び剥離汚染物、結露に
より発生したミストを含む排気は、ダストコレクタの排
気入口31から入り、セパレートコーン35で固体及び
液体と気体に分離される。セパレートコーンは、図4に
示すように、円錐状の筒からなっており、セパレートコ
ーン側部(排気入口31)から流入した固体及び液体を
含む排気は、セパレートコーンの円錐状筒で渦流とな
り、この渦流による遠心力と重力で排気中の固体及び液
体は分離され、下方のペール缶34に落下する構造にな
っている。分離された固体及び液体は、下部ケース33
の中に収納したペール缶34内に収納される。一方、気
体(排気)は、含有ミストをデミスタ(排気中の水分を
除湿するために使用する気液分離のフィルターで、ろ材
として金属繊維を使用)36により除去し、除湿した排
気はHEPAフィルタ(High Efficienc
y Particulate Air Filter)
37を通過させることにより微細な汚染物をも濾過浄化
し排気口38から排出される。
【0011】図2に示す吸引ブラストノズルからのドラ
イアイス粒及び剥離汚染物の漏れ量を測定した試験結果
を図5に示す。図5の横軸には吸引ノズル21からの吸
引風量(ドライアイスブラストノズル20からの噴射風
量0.74m3 /minに対する倍数で表示)を、縦軸
には飛散防止カバーから飛散したドライアイス粒及び剥
離汚染物の重量割合を示している。図の結果は噴射圧力
7kg/cm2 の場合であり、■はフィードレート20
%、●はフィードレート35%、▲はフィードレート5
0%の場合の試験結果である。ここで、フィードレート
は圧縮空気中に含まれるドライアイス粒の重量割合であ
り、 フィードレート=ドライアイス粒の重量/(圧縮空気の
重量+ドライアイス粒の重量) で定義される。
【0012】図5から分かるように、噴射圧力7kg/
cm2 の場合、フィードレートが20〜50%の範囲で
は、噴射風量の3〜4倍の風量で吸引ノズル21から吸
引すれば、従来のシステムではドライアイス粒及び剥離
汚染物を全て飛散させていたものが、その飛散割合を1
0%以下に低減できることが分かる。
【0013】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、以下のよ
うな効果が達成される。 ドライアイスブラストを用いた大型放射性廃棄物の除
染及びセル内壁等の除染において、本発明を用いること
により剥離汚染物を周辺に飛散させる割合を従来の10
%以下に低減できる。 剥離汚染物は、主にダストコレクタ内のペール缶及び
デミスタ、HEPAフィルタに回収することができ、二
次廃棄物の発生量を減らすことができる。 吸引ドライアイスブレストノズルは、重量が4kg程
度でありMSマニプレータ等の遠隔機器でも十分に取り
扱うことができ、またダストコレクタもコンパクトな形
状であるため、核燃料施設の既存セルにも本システムを
容易に導入することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の吸引ドライアイスブラストシステム
の概念図である。
【図2】 吸引ドライアイスブラストノズルの詳細図で
ある。
【図3】 ダストコレクタの詳細図である。
【図4】 セパレートコーンの説明図である。
【図5】 吸引ブラストノズルからのドライアイス粒及
び剥離汚染物の漏れ量を測定した試験結果を示す図であ
る。
【図6】 従来のドライアイスブラストシステムの概念
図である。
【図7】 MSマニプレータを説明する図である。
【符号の説明】
1…空気圧縮機、2…ドライヤー、3…ペレタイザー、
4…ブラスト装置、5…CO2 タンク、6…ブラストノ
ズル、7…MSマニプレータ、8…大型放射性廃棄物、
9…遮蔽壁、10…監視窓、11…実験器具、12…放
射性物質、20…吸引ドライアイスブラストノズル、2
1…ドライアイスブラストノズル、22…吸引ノズル、
23…飛散防止カバー、24…移動用ベアリング、25
…ワイヤブラシ、26…除染対象物表面、30…ダスト
コレクタ、31…排気入口、32…上部ケース、33…
下部ケース、34…ペール缶、35…セパレートコー
ン、36…デミスタ、37…HEPAフィルタ、40…
排気ブロアー。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G21F 9/28

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ブラストノズルよりドライアイス粒子を
    噴射して除染すべき対象物に吹きつけて汚染物を除去す
    る方法において、ブラストノズルとして飛散防止カバー
    にドライアイスブラストノズルと吸引ノズルが設けられ
    た吸引ドライアイスブラストノズルを使用し、ドライア
    イスブラストノズル先端よりドライアイス粒子を噴射
    し、吸引ノズルにより飛散防止カバー内の剥離汚染物を
    含むガスを吸引して濾過し、剥離汚染物が飛散するのを
    防止するようにしたことを特徴とする吸引ドライアイス
    ブラストノズルを用いた除染方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の方法において、吸引ドラ
    イアイスブラストノズルにダストコレクタを接続し、吸
    引したガスを固体、液体、気体に分離し、さらに気体を
    濾過して排気するようにしたことを特徴とする吸引ドラ
    イアイスブラストノズルを用いた除染方法。
  3. 【請求項3】 ブラストノズルよりドライアイス粒子を
    噴射して除染すべき対象物に吹きつけ、汚染物を除去す
    る装置において、周囲が飛散防止カバーで包囲されると
    ともに、飛散防止カバーに吸引ノズルが設けられ、先端
    よりドライアイス粒子を噴射するブラストノズルと、吸
    引ノズルに接続されたダストコレクタとを有し、飛散防
    止カバー内の剥離汚染物を含むガスを吸引ノズルを通し
    てダストコレクタに吸引することを特徴とする吸引ドラ
    イアイスブラストノズルを用いた除染装置。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の装置において、飛散防止
    カバーは、その開口端周縁にワイヤブラシが設けられる
    とともに、複数の移動用ベアリングが取り付けられてい
    ることを特徴とする吸引ドライアイスブラストノズルを
    用いた除染装置。
  5. 【請求項5】 請求項3記載の装置において、ダストコ
    レクタは、吸引ノズルを通して吸引したガスを固体、液
    体、気体に分離するセパレートコーンを有することを特
    徴とする吸引ドライアイスブラストノズルを用いた除染
    装置。
  6. 【請求項6】 請求項5記載の装置において、さらにセ
    パレートコーンの下方にペール缶、上方にデミスタ、フ
    ィルタ、排気口が設けられていることを特徴とする吸引
    ドライアイスブラストノズルを用いた除染装置。
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