JP2991623B2 - レーザ加工装置及びダムバー加工方法 - Google Patents

レーザ加工装置及びダムバー加工方法

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JP2991623B2
JP2991623B2 JP6244112A JP24411294A JP2991623B2 JP 2991623 B2 JP2991623 B2 JP 2991623B2 JP 6244112 A JP6244112 A JP 6244112A JP 24411294 A JP24411294 A JP 24411294A JP 2991623 B2 JP2991623 B2 JP 2991623B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、所望の加工位置を高速
で加工するレーザ加工装置、及びそのレーザ加工装置を
用いたダムバー加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】パルス状のレーザ光を利用した加工とし
ては、切断、穴あけ、溶接等の加工方法が機械、電子、
半導体装置などの多方面の分野の製造過程で利用されて
いる。従来のレーザ加工装置の構成を図11及び図12
を参照しながら説明する。
【0003】従来のレーザ加工装置は、図11にその一
例を示すように、レーザヘッド31とレーザ電源33と
から構成されるレーザ発振器30、加工光学系32、被
加工物であるワーク40を搭載し水平面内(XY平面
内)に移動可能なXYテーブル41、レーザヘッド31
及び加工光学系32を上下方向(Z軸方向)に移動させ
るZテーブル42、XYテーブル41の水平面内の移動
動作とZテーブル42の上下方向の移動動作とレーザ発
振器30の発振動作とを自動または手動で制御するメイ
ンコントローラ43を備える。
【0004】また、レーザ電源33は、図示しないレー
ザコントローラ、安定化電源、コンデンサ部及びスイッ
チ部から構成される。レーザコントローラから指令され
た電圧値に従って、供給された交流電流が安定化電源に
より直流に変えられ、コンデンサ部に供給され、コンデ
ンサ部に蓄積された電荷がスイッチ部の所定の開閉タイ
ミングに基づきレーザヘッド部の図示しない励起ランプ
に放電される。このスイッチ部の開閉はレーザコントロ
ーラからパルス幅及びパルス周波数を指令するトリガ信
号に従って行われる。以上のようにして、レーザヘッド
31よりパルス状のレーザ光が発振する。
【0005】また、レーザヘッド31には図示しないビ
ームシャッタが内蔵されており、このビームシャッタが
開閉することによってパルス状のレーザ光をON/OF
Fし、ワーク40へのレーザ光の照射を制御する。即ち
ワーク40を加工する場合には上記ビームシャッタを開
き、加工しない場合には上記ビームシャッタを閉じる。
このビームシャッタの開閉動作時間は100〜300ms
ec程度であり、その制御は前述のレーザコントローラか
ら行うが、メインコントローラ43からレーザコントロ
ーラを介して行うことも可能である。
【0006】上記のようなレーザ加工装置を用いて、例
えばICパッケージのダムバーの除去(切断)を行う場
合を説明する。図12(a)はICパッケージの平面
図、図12(b)は図12(a)のB部の拡大図であ
る。図12(a)及び(b)に示すように、ダムバー2
は、ICパッケージに使用されるリードフレームのピン
(リード)を連結しており、ICパッケージのモールド
時にレジンを堰止める役割と、リードフレームのピンを
補強する役割を持ち、製造過程の最後に除去される部分
である。このダムバー2をパルス状のレーザ光で除去す
る加工手順を、図12(b)のK点の除去(切断)が終
了し、続いてL点の除去を行う場合を例にとって説明す
ると、次のようになる。
【0007】(1)XYテーブル41により、ワーク4
0上へのレーザ光照射位置を図12(b)中K点からL
点の方向(X軸の正方向)に移動させる。但し、X軸及
びY軸を図12(b)のように定める。 (2)L点で位置決めし、XYテーブル41を停止す
る。 (3)ビームシャッタを開く。 (4)レーザ光を照射してL点のダムバー2を除去す
る。 (5)ビームシャッタを閉じる。
【0008】以上(1)から(5)の加工手順を繰り返
すことにより、図12(a)に示すICパッケージの4
辺にあるダムバー2を順次除去していく。このとき、X
Yテーブルの移動及び停止、ビームシャッタの開閉は、
メインコントローラ43に予め入力したプログラムに従
って実行される。また、この間レーザ光は常時パルス状
に発振するか、またはビームシャッタが開いたのと同期
して発振し、これらの制御は前述のレーザコントローラ
で行われる。
【0009】なお、上記のようなダムバーの除去に用い
て好適なレーザ加工装置または方法に関する従来技術と
して、例えば特開昭56−9090号公報や特開平4−
41092号公報に記載されたものがある。前者の特開
昭56−9090号公報に記載の方法は、加工速度(X
Yテーブルの移動速度)の変化にレーザ光の発振を対応
させ均一にレーザ光を照射させるものであり、後者の特
開平4−41092号公報に記載の装置は、予め記憶し
ておいた複数の加工位置情報とXYテーブルの移動量と
の比較結果に応じてレーザ光のON/OFFや照射タイ
ミングを制御するものである。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】通常のICパッケージ
のダムバーの寸法は幅0.1〜0.3mm程度、厚さは
0.15mm程度であるので、ダムバーを除去する場合
にはレーザ光の1パルスで十分除去可能である。従っ
て、実際の加工に要する時間はレーザ光のパルス幅の時
間に相当し、0.1〜1msec程度である。ところが、前
述の(1)〜(5)の加工方法においてはビームシャッ
タの開閉動作時間である200〜600msecとテーブル
の移動時間により、1つのダムバーを除去するために1
sec程度の時間を費やし、ダムバーの個数やICパッケ
ージの製造個数を考慮すると加工時間がかかり過ぎるこ
とになる。
【0011】また、一般的にリードフレームのピンのピ
ッチは等ピッチであることが多いが、リードフレームの
製造誤差や、レジンでモールドする時の温度履歴による
歪や、ハンドリングによる外力などで変形し、ダムバー
の除去時には必ずしも等ピッチになっていない場合があ
る。前述のダムバー除去方法では、ダムバーを除去する
箇所をプログラムとして予めメインコントローラ43に
登録しておくが、この方法では上記ピンが等ピッチにな
っていないことには対応できず、さらに製造誤差や変形
が累積して誤差が増大するような最悪の場合には、残し
ておくべきリードフレームのピンの部分にダメージを与
える可能性もある。
【0012】また、特開昭56−9090号公報に記載
された従来技術をダムバーの除去に応用する場合、均一
にレーザ光を照射させるため、ピンが等ピッチでなく不
規則な配列になってしまった時には対応できず、上記と
同様の問題が生じる。さらに、特開平4−41092号
公報に記載された従来技術を応用する場合、予め記憶
(想定)した所定の形状に従う制御しかできないため、
やはりピンが不規則な配列になってしまった時には対応
できず、同様の問題が生じる。
【0013】このような問題点に対し、本件出願人は、
加工位置近傍における被加工物の材料の有無を検出して
対応する検出信号を発生する検出手段と、その検出信号
に基づいて矩形波信号を発生する矩形波信号発生手段
と、その矩形波信号に基づいたタイミングでパルスレー
ザ光が照射されるようパルスレーザ光の発振を制御する
制御手段とを備えたパルスレーザ加工機及びパルスレー
ザ加工方法を発明し、出願している(特願平4−293
114、出願日平成4年10月30日)。この先願発明
によれば、加工位置が等間隔である場合のみならず等間
隔でない場合にも所望の加工位置を高速で加工すること
ができる。
【0014】しかしながら、この先願発明には、検出手
段において被加工物の材料の有無を検出する際の精度
や、加工位置に対する検出位置の設定及び変更の点でさ
らに改善の余地があることがわかった。以下、このこと
について説明する。
【0015】上記先願発明では、照明光発生手段より照
明光を被加工物に当て、被加工物面からの照明光の反射
光または通過光を光検出手段で検出することにより被加
工物の材料の有無を検出することが望ましいとされてい
る。照明光はある一定の範囲を照らすものであるが、そ
の明るさは照らされる範囲内において必ずしも一定でな
く、しかもその明るさは絶えず変動しており、さらにノ
イズも多く、正確な検出をすることが難しい場合があ
る。また、上記先願発明では、ターゲット上に結ばせた
照明光の像の所定位置の光をフォトセンサで検出し、被
加工物の材料の有無を検出しているが、フォトセンサで
検出するためターゲットにあけられた窓は小さくするに
も限界があり、ある程度の大きさが必要である。従っ
て、ある程度の大きさの範囲で被加工物の状態を検出す
ることになり、被加工物の材料の有無を検出する際の検
出信号の立ち上がりが緩慢になって、高い分解能で検出
することが難しい。さらに加工位置近傍の材料の有無に
応じてフォトセンサで検出される反射光の明暗の差が小
さく、その反射光に基づく検出信号が検出光の明るさの
変動や回路の電気的なノイズ等に埋もれてしまい、高精
度な検出を行うことができなくなる。
【0016】また、材料の有無を検出すべき検出用レー
ザ光の検出位置(即ち、ターゲット上の窓の位置に相当
する)の、加工位置に対する相対的な位置は、任意に変
更することができないため、被加工物の寸法や形状が変
わる毎に一々設定しなければならず、そのために煩雑な
作業を必要とする。
【0017】本発明の目的は、加工位置が等間隔である
場合のみならず等間隔でない場合にも被加工物が存在す
る所望の加工位置を高速で加工することができると共
に、精度良く被加工物の材料の有無を検出することがで
き、さらに検出位置の加工位置に対する相対的な位置を
被加工物の寸法や形状に応じて任意に変更することがで
きるレーザ加工装置、及びそのレーザ加工装置を用いた
ダムバー加工方法を提供することである。
【0018】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明によれば、パルス状の加工用レーザ光を発振
するレーザ発振器と、前記加工用レーザ光を被加工物の
加工位置まで誘導する加工光学系と、前記被加工物を移
動させその加工位置を決定する搬送手段とを備えるレー
ザ加工装置において、検出用レーザ光を発生する検出光
発生手段と、前記検出用レーザ光を前記加工位置近傍の
検出位置に誘導する検出光学系と、加工用レーザ光の照
射位置に対する検出用レーザ光の検出位置の相対位置を
被加工物上で変更する検出位置切り換え手段と、前記検
出位置からの検出用レーザ光の反射光または通過光を基
に前記加工位置に対応する検出信号を発生する検出手段
と、その検出手段からの検出信号に基づき被加工物の所
定の加工位置に加工用レーザ光が照射されるようその加
工用レーザ光の発振を制御する制御手段とを備えること
を特徴とするレーザ加工装置が提供される。
【0019】上記レーザ加工装置において、前記検出位
置切り換え手段は、前記検出光学系に備えられ検出用レ
ーザ光の検出位置への入射角度を変更可能な反射鏡であ
ることが好ましい。
【0020】または、前記検出位置切り換え手段は、前
記検出光学系に備えられ、前記検出用レーザ光を元の光
軸に対して一定の角度傾斜させると共にその元の光軸ま
わりに任意の角度回転させる回転式ウェッジ基板である
ことが好ましい。
【0021】または、前記検出位置切り換え手段は、前
記検出光学系に備えられ、前記検出用レーザ光を元の光
軸に対して任意の角度傾斜させると共にその元の光軸ま
わりに任意の角度回転させる像回転プリズムであること
が好ましい。
【0022】また、上記目的を達成するため、本発明に
よれば、リードフレームに半導体チップを搭載し樹脂モ
ールドで一体に封止したICパッケージのダムバーを切
断するダムバー加工方法において、上記のようなレーザ
加工装置を用い、検出用レーザ光を加工位置近傍に照射
し、その検出用レーザ光の反射光または通過光を基に前
記加工位置に対応する検出信号を発生させ、その検出信
号に基づき前記ダムバーに前記加工用レーザ光が照射さ
れるようその加工用レーザ光の発振を制御することを特
徴とするダムバー加工方法が提供される。
【0023】
【作用】上記のように構成した本発明においては、加工
位置近傍の検出位置における被加工物の有無を検出する
ための検出光として、スポット径を極めて小さく絞るこ
とができるレーザ光を用いるため、被加工物の有無を検
出する際に、信号の立ち上がり(応答)が速くなり、高
い分解能で正確に精度よく被加工物の材料の有無を検出
することが可能となる。この検出光として使用されるレ
ーザ光、即ち検出用レーザ光は、レーザ加工を行うため
の加工用レーザ光とは異なるものであることはいうまで
もない。
【0024】また、検出位置切り換え手段を用いて、加
工用レーザ光の照射位置に対する上記検出用レーザ光の
検出位置の相対位置を被加工物上で変更することによ
り、煩雑な作業を要せず被加工材の寸法や形状に応じて
任意にその検出位置を変更し、最適な検出位置を設定す
ることが可能となる。
【0025】さらに、上記の後、検出手段において、検
出位置からの上記検出光の反射光または通過光を基にそ
の検出位置における被加工物の有無を検出し、対応する
検出信号を発生する。そして、この検出信号に基づいて
制御手段において加工用レーザ光の発振を制御する。こ
れにより、被加工物の表面の情報に応じて所望の加工位
置に確実に加工用レーザ光が照射されて加工が行われ
る。また、被加工物の有無の情報を検出した位置より一
定の距離だけ離れた位置に加工用レーザ光が照射される
ため、加工位置が等間隔である場合のみならず等間隔で
ない場合にでも、被加工物の有無の情報に応じて切断す
べき所望の位置が確実かつ高速に加工される。
【0026】また、上記検出位置切り換え手段として反
射鏡を検出光学系に設け、この反射鏡を反射面内の直交
する二軸のまわりに傾斜角度を変化させることにより、
検出用レーザ光の検出位置への入射角度が変更され、加
工用レーザ光の照射位置に対する検出用レーザ光の検出
位置の相対位置が被加工物上で任意に変更される。この
場合、上記反射鏡による検出用レーザ光の検出位置への
入射角度の変更は、二軸制御となる。
【0027】また、上記検出位置切り換え手段として回
転式ウェッジ基板手段を検出光学系に設けることによ
り、この回転式ウェッジ基板手段を通過した検出用レー
ザ光は元の光軸に対して一定の角度傾斜して進むことに
なる。この一定の角度は回転式ウェッジ基板手段の表面
の傾斜角度に依存する。そして、この回転式ウェッジ基
板手段を元の光軸まわり回転させることにより、被加工
物上の検出用レーザ光の検出位置を加工位置近傍のある
一定の径の円周上で任意の角度回転させることができ
る。このようにして、加工用レーザ光の照射位置に対す
る検出用レーザ光の検出位置の相対位置が被加工物上で
変更される。この場合、上記回転式ウェッジ基板手段に
よる検出用レーザ光の検出位置への入射角度の変更は、
一軸(上記円の軌跡の周方向)制御となる。
【0028】また、検出位置切り換え手段として像回転
プリズム手段を検出光学系に設け、その像回転プリズム
を検出用レーザ光の元の光軸に対して適宜の角度傾斜さ
せることにより、この像回転プリズム手段を通過した検
出用レーザ光は元の光軸に対してある角度傾斜して進む
ことになる。この角度は像回転プリズムの元の光軸に対
する傾斜角度に依存する。そして、像回転プリズム手段
の傾斜角度を設定した後にその傾斜角度を保ちながら像
回転プリズム手段を元の光軸まわりに回転させることに
より、被加工物上の検出用レーザ光の検出位置を加工位
置近傍のある一定の径の円周上で任意の角度回転させる
ことができる。さらに、像回転プリズム手段の傾斜角度
を変更することにより、それを通過した検出用レーザ光
の光路の傾斜角度が変更され、被加工物上の検出用レー
ザ光の検出位置が通る円の径を被加工物の形状に応じて
変更することができる。このようにして、加工用レーザ
光の照射位置に対する検出用レーザ光の検出位置の相対
位置が被加工物上で変更される。この場合、上記像回転
プリズム手段による検出用レーザ光の検出位置への入射
角度の変更は、一軸(上記円の軌跡の径方向)固定の上
での他の一軸(上記円の軌跡の周方向)制御となる。
【0029】また、上記のような本発明のレーザ加工装
置によれば、リードフレームに半導体チップを搭載し樹
脂モールドで一体に封止したICパッケージのダムバー
を切断する本発明のダムバー加工方法を実施することが
できる。
【0030】
【実施例】本発明によるレーザ加工装置及びダムバー加
工方法の一実施例について、図1〜図8により説明す
る。但し、以下では、おもに等間隔のピンを有するIC
パッケージのダムバーを除去する場合について説明す
る。
【0031】図1に示すように、本実施例のレーザ加工
装置には、レーザヘッド11とレーザ電源13とから構
成されるレーザ発振器10、加工ヘッド12、被加工物
であるワーク1、即ちICパッケージを搭載し水平面内
(XY平面内)に移動させる搬送手段としてのXYテー
ブル21、レーザヘッド11及び加工ヘッド12を上下
方向(Z軸方向)に移動させるZテーブル22、メイン
コントローラ23とトリガユニット24を有するコント
ロールユニット25が備えられている。メインコントロ
ーラ23は、XYテーブル21の水平面内の移動動作と
Zテーブル22の上下方向の移動動作とレーザ発振器1
0の発振動作を自動的に制御する。
【0032】レーザ電源13は、安定化電源部130、
コンデンサ部131、スイッチ部132、交流電源13
3、及びレーザコントローラ26を有する。このレーザ
電源13では、まず、交流電源133より供給された交
流電流が安定化電源部130に供給され、レーザコント
ローラ26から指令された電圧値に従って直流に変えら
れ、コンデンサ部131に供給される。コンデンサ部1
31に上記電圧値で供給された電荷は、レーザコントロ
ーラ26からのトリガ信号TP2(後述する)に従うス
イッチ部132の開閉動作により、レーザヘッド11に
備えられた励起ランプ110に供給される。このパルス
状の電荷により上記励起ランプが発光し、これによりレ
ーザ媒体が励起されパルス状の加工用レーザ光100
(図2参照)が射出される。
【0033】また、図1に示すレーザヘッド11には図
示しないビームシャッターが内臓されている。このビー
ムシャッターは、開閉することによってレーザ発振器1
0より放出されるパルス状の加工用レーザ光をON/O
FFし、ワーク1への加工用レーザ光の照射を制御す
る。即ちワーク1を加工する場合には上記ビームシャッ
ターを開き、加工しない場合には上記ビームシャッタを
閉じる。このビームシャッターの動作時間は100〜3
00msec程度である。また、ビームシャッタのON
/OFFの制御は、レーザコントローラ26から行う
が、メインコントローラ23からレーザコントローラ2
6を介して行うことも可能である。尚、このビームシャ
ッターの開閉は本実施例には直接関係ないので、以下の
説明においては省略する。
【0034】また、図2に示すように、加工ヘッド12
内部には、加工用レーザ光の波長に対し高い反射率特性
を持つベンディングミラー120、集光レンズ121が
備えられており、これは従来のレーザ加工装置の構成と
同様である。
【0035】本実施例では上記構成に検出光としての検
出用レーザ光200を発生する検出光源122、コリメ
ータレンズ123、ハーフミラー124、結像レンズ1
25、光検出器126を備えた検出光学系127が追加
されている。但し、集光レンズ121は検出光学系12
7をも兼ねている。上記検出光源122としてはレーザ
ダイオード(半導体レーザ)等のレーザ光源が用いられ
ており、この検出光学系127は基本的にはCDプレー
ヤのディスク信号を読みとる光ピックアップ部の光学系
の構成に類似している。勿論、検出光として使用される
検出用レーザ光は、レーザ加工を行うための加工用レー
ザ光とは異なるものであることはいうまでもない。
【0036】また、ハーフミラー124は、検出位置切
り換え手段であって、図3に示すようにその反射面内の
直交する二軸、即ちX1軸及びY1軸のまわりに傾斜角度
の変更が可能であり、この傾斜角度の変更によって検出
用レーザ光200のワーク1上における照射位置、即ち
検出位置への入射角度が任意に変更される。このハーフ
ミラー124の傾斜角度の変更は、メインコントローラ
23からの指示により、反射面内の互いに直交するX1
軸及びY1軸のまわりの回転、即ち二軸制御により行わ
れる。
【0037】光検出器126からの検出信号はトリガユ
ニット24に入力され、トリガユニット24はメインコ
ントローラ23からの指令により所定のトリガ信号TP
1をレーザ電源13内のレーザコントローラ26に出力
する。即ち、図4に示すように、トリガユニット24に
は、コンパレータ241、トリガ信号発生回路242、
ディレイ回路243が備えられており、光検出器126
からの検出信号がコンパレータ241においてあるしき
い値VTH(図8参照)で二値化されて矩形波信号TPが
生成され、トリガ信号発生回路242においてこの矩形
波信号TPの立ち下がりに同期したトリガ信号TP0
出力される。さらにトリガ信号TP0は、ディレイ回路
243においてメインコントローラ23から指令された
遅延時間TDが与えられTP1としてレーザコントローラ
26に出力される。
【0038】また、図5に示すように、レーザコントロ
ーラ26には、入出力部260、中央演算部261、ト
リガ回路262が備えられている。トリガ回路262
は、トリガユニット24からのトリガ信号TP1の立ち
上がりに同期してメインコントローラ23から中央演算
部261に指示されたパルス幅のトリガ信号TP2を生
成しこのトリガ信号TP2がスイッチ部132に入力さ
れる。また、コンデンサ部131に供給される電荷の電
圧値は、入出力部260より中央演算部261に入力さ
れ、中央演算部261から安定電源部130に指示され
る。これ以後は、前述したような過程に従ってパルス状
の加工用レーザ光が発振する。
【0039】図2に戻り、加工ヘッド12及び検出光学
系127の機能を説明する。まずレーザヘッド11から
発振した加工用レーザ光100は、ベンディングミラー
120で方向が変えられ、集光レンズ121で集光され
てワーク1上に照射される。
【0040】また、検出光源122から射出された検出
光200は、コリメータレンズ123で平行光にされ、
ハーフミラー124で反射され、ベンディングミラー1
20を通り、集光レンズ121によりワーク1上に微小
なスポットで結像する。但し、検出光学系127のハー
フミラー124の傾斜角度を前述のようにして調整する
ことにより、上記スポットはレーザヘッド11から発振
する加工用レーザ光100の集光位置から距離δdだけ
離れた位置に結像する。
【0041】例えば、図3のようにワーク1上のX軸と
ハーフミラー124上のX1軸とを平行とした場合にお
いて、ハーフミラー124をX1軸まわりに微小な角度
θX1だけ回転させるとワーク1上の検出位置はY軸方向
にδYだけ変化(移動)する。このδYは集光レンズ12
1の焦点距離をFとすると、 δY=F・tan(−2・θX1) … (1) と表される。また、ハーフミラー124をY1軸まわり
に微小な角度θY1だけ回転させた場合も、同様にしてワ
ーク1上の検出位置はX軸方向にδXだけ変化(移動)
する。このように角度θX1及びθY1の調整によりワーク
1上のδdを設定することができる。
【0042】さらに、ワーク1表面で反射した検出光2
00は、集光レンズ121、ベンディングミラー12
0、ハーフミラー124を通り、結像レンズ125によ
り光検出器126に集められ、ワーク1表面の情報が電
気信号として検出される。
【0043】本実施例においては、検出光源122とし
てレーザ光源を用いるため、その検出用レーザ光をコリ
メータレンズ123及び集光レンズ121により極めて
小さく絞ることができ、ワーク1表面の情報(材料の有
無)を検出する際に、信号の立ち上がり(応答)が速く
なり、高い分解能で検出することができる。
【0044】また、集光レンズ121と結像レンズ12
5の組み合わせにより、ワーク1表面上の検出光200
のスポット像が光検出器126の位置で結像するように
しておく。但し、結像レンズ125としては、複数枚の
レンズで構成すると共に、それら複数枚のレンズの相対
位置を調整することによりフォーカスを調整する機能を
有しているものを用いることが望ましい。
【0045】さらに、ハーフミラー124の傾斜角度を
変更することにより、加工用レーザ光100の照射位置
に対する検出用レーザ光200の照射位置(検出位置)
の相対位置がワーク1上で変更される。即ち、図6に示
すように、ダムバー2よりも少し外側の部分に検出光2
00のスポットが当たるよう、レーザヘッド11からの
加工用レーザ光100の照射位置との相対的な距離δd
(図2参照)が決められる。ここで、ダムバー2の幅を
DBとすると、加工用レーザ光100がダムバー2のほ
ぼ中央に照射されるためには、δd>WDB/2を満たす
必要がある。
【0046】上記ハーフミラー124の調整は、前述の
ようにメインコントローラ23からの指示でその傾斜角
度を調整することにより行うが、これによって光検出器
126は検出位置におけるピンの有無、つまりピンの存
在する部分(以下、ウエブ部という)4とスリット部3
とを検出することができ、従って次に述べるように光検
出器126からの検出信号を基にして、切断すべきダム
バー2を切断することができる。
【0047】以上の構成を有するレーザ加工装置の動作
を説明する。ここでは、図7に示したように、QFP型
のICパッケージの四つの各辺にあるダムバーを例えば
図中矢印で示した軌跡5a〜5dに従って順次切断、除
去する場合について考える。但し、X軸及びY軸を図7
のように定める。
【0048】まず、δdをハーフミラー124によって
調整し、ICパッケージであるワーク1をXYテーブル
21(図1参照)で移動させ、その加工位置をX軸の正
方向(図7参照)に一定速度で移動させると、微小スポ
ットに絞られた検出光200はワーク1上を図6及び図
7に示す軌跡5a上を移動する。ここで、加工用レーザ
光100の照射位置に対する検出用レーザ光200の照
射位置の相対的なずれをδrk=(X軸方向のずれ,Y軸
方向のずれ)の形で表せば、各辺の軌跡5a〜5dに対
して、 δr1=(0,−δd) … (2) δr2=(δd,0) … (3) δr3=(0,δd) … (4) δr4=(−δd,0) … (5) となり、これらのデータを基にハーフミラー124の調
整を行う。ここでkは加工する辺の順番(5a〜5d)
に対応しており、k=1〜4である。また、δdは前述
のようにダムバー2の幅WDBを考慮して、δd>WDB
2を満たすように設定される値である。
【0049】ワーク1上で反射した検出光200は光検
出器126で検出され、その検出信号の変化は図6に示
すようにウエブ部4で高い出力となり、スリット部3で
低い出力となる。また図6に示すように、ワーク1のウ
エブ部4とスリット部3が等ピッチで並んでいれば、X
Yテーブルが一定速度で移動するので検出信号は一定周
期の波形として検出される。一方、ワーク1のウエブ部
4とスリット部3が等ピッチで並んでいない場合には、
検出信号はピッチの変化に比例した時間変化を持つ波形
として検出される。
【0050】次に、この検出信号はトリガユニット24
に入力され、図8のタイムチャートに示すような処理で
二値化される。但し、図8では、ワーク1を一定速度で
動かした時のウエブ部4とスリット部3を時間変化とし
て模式的に付記した。光検出器126からトリガユニッ
ト24のコンパレータ241に入力された検出信号は、
図中破線で示す所定のしきい値VTHをもとに二値化され
て矩形波信号TPとなり、トリガ信号発生回路242に
入力される。トリガ信号発生回路242では矩形波信号
TPの立ち下がりをもとにトリガ信号TP0を出力し、
このトリガ信号TP0がディレイ回路243に入力され
る。ディレイ回路243では、トリガ信号TP0にメイ
ンコントローラ23から指令された遅延時間TDが与え
られトリガ信号TP1としてレーザコントーラ26に入
力される。尚、光検出器126からの検出信号をトリガ
ユニット24に入力する前にアンプで増幅しておいても
よい。
【0051】次に、レーザコントローラ26ではトリガ
信号TP1がトリガ回路262に入力され、このトリガ
回路262からは、トリガ信号TP1の立ち上がりに同
期したトリガ信号TP2が出力される。トリガ信号TP2
のパルス幅は、前述のようにメインコントローラ23か
ら中央演算部261を介して指示される。さらにトリガ
信号TP2はスイッチ部132に入力され、トリガ信号
TP2の立ち上がりに同期してスイッチ部132がOF
Fになり、励起ランプ110にコンデンサ部131から
の電荷が供給され、さらにトリガ信号TP2の立ち下が
りに同期してスイッチ部132がONになり、励起ラン
プ110への電荷の供給は停止する。以上のようにして
トリガ信号TP2に同期したパルス状の加工用レーザ光
100が発振する。なお、図中のトリガ信号TP2及び
加工用レーザ光100は実際にはある幅を持ったパルス
波形を有するが、他の信号に比べ非常にそのパルス幅が
短いために、図では線状に示してある。
【0052】ここでディレイ回路243で与える遅延時
間TDについて説明する。トリガ回路262での遅れ、
スイッチ部132での遅れ、及びレーザ発振までの遅れ
を総合した遅延時間をδtとし、さらにワーク1の移動
速度をv、ワーク1のスリット部3の幅をWsとする
と、加工位置がスリット部3の端部から中央まで移動す
る時間T1は、 T1=s/2v … (6) となる。また、加工位置がスリット部3に入ってから加
工用レーザ光100がワークに照射されるまでの時間T
2は、ディレイ回路243で与えられる遅延時間TDを用
いて、 T2=δt+TD … (7) と表される。
【0053】加工用レーザ光100がダムバー2の中央
に照射されるべき条件は、 T1=T2 … (8) であるから、式(6)〜(8)より遅延時間TDは、 TD=Ws/2v−δt … (9) に設定されることになる。尚、遅延時間δt、ワーク1
の移動速度v、及びリードフレーム1のスリット部3の
幅Wsは予めメインコントローラ23に入力される。
【0054】上記のような動作に当たっては、まず、ダ
ムバー2を通る軌跡、検出光200のスポットの結像位
置(ダムバー2の端部からの距離δdの設定値)、XY
テーブル21の移動速度v、ワーク1のスリット3の幅
s、遅延時間δt及びトリガ信号TP2のパルス幅をメ
インコントローラ23に入力しておく。その設定後に、
XYテーブル21を一定速度vで移動させると、スリッ
ト部3のピッチとテーブル21の移動速度vとで決まる
周期で加工用レーザ光100が発振し、スリット部3の
中央で加工用レーザ光100の照射が行われ、ダムバー
2の切断が実行される。従って、加工用レーザ光100
の発振周期程度の短時間でダムバー2を切断することが
でき、確実かつ高速な加工ができる。
【0055】以上のような本実施例によれば、検出光源
122としてレーザ光源を用いるので、その検出用レー
ザ光200をコリメータレンズ123及び集光レンズ1
21により極めて小さく絞ることができる。従って、光
検出器126により、ワーク1表面の情報(材料の有
無)を高い分解能で、正確に精度よく検出することがで
きる。また、光検出器126で検出した検出信号をもと
に、その後のトリガユニット24及びレーザコントロー
ラ26における信号処理により加工用レーザ光100を
発振させるため、ワーク1の表面の情報に応じて所望の
加工位置(ピンが等間隔の場合におけるスリット部3の
中央部)に加工用レーザ光100を照射させて加工を行
うことができる。
【0056】また、検出位置切り換え手段であるハーフ
ミラー124の傾斜角度を変更することにより、加工用
レーザ光100の照射位置に対する検出用レーザ光20
0の照射位置(検出位置)の相対位置をワーク1上で任
意に変更することができる。従って、例えば、ICパッ
ケージの四つの各辺にあるダムバー2を切断、除去する
場合に、その各辺毎にハーフミラー124によって上記
相対位置を調整することにより、その寸法や形状に応じ
光検出器126で検出位置におけるピンの有無、つまり
ピンの存在する部分(以下、ウエブ部という)4とスリ
ット部3とを検出することができ、その検出信号を基に
して、切断すべきダムバー2を切断することができる。
【0057】また、スリット部3のピッチとXYテーブ
ル21の移動速度vとで決まる加工用レーザ光100の
発振周期程度の短時間でダムバー2を切断することがで
き、確実かつ高速な加工が可能となる。さらに、ウエブ
部4端部より一定の距離だけ離れた位置に加工用レーザ
光100が照射されるため、ピンが等間隔である場合の
みならず等間隔でない場合にでも、ワーク1の形状に応
じて切断すべき所望の位置を確実かつ高速に加工するこ
とができる。
【0058】次に、本発明によるレーザ加工装置及びダ
ムバー加工方法の他の実施例について、図9を参照しな
がら説明する。本実施例においては、検出位置切り換え
手段として前述の実施例のハーフミラー124に代え、
図9に概略構成図で示すような回転式ウェッジ基板装置
を用いる。これ以外の構成は、図1〜図8の実施例と同
様である。
【0059】図9において、回転式ウェッジ基板装置3
00は、一枚のウェッジ基板301、ウェッジ基板30
1を支持する枠体302、枠体302の外周に取り付け
られたピニオン303、ピニオン303に噛み合うピニ
オン304、ピニオン304を回転駆動するモータ30
5を備える。
【0060】枠体302、従ってウェッジ基板301
は、モータ305の回転がピニオン304及びピニオン
303を介して伝達されることにより、検出用レーザ光
200の元の光軸Rのまわりに回転し、任意の回転角を
設定することができる。また、ウェッジ基板301に入
射した検出用レーザ光200は、その元の光軸に対して
一定の角度φ1だけ傾斜して進む。この角度φ1は、ウェ
ッジ基板301の斜面の傾斜角度θ1に依存する。
【0061】本実施例では、ウェッジ基板301の斜面
の傾斜角度がθ1で一定であるので、ウェッジ基板30
1から出射する検出用レーザ光200は元の光軸Rに対
して一定の角度φ1だけ傾斜して進み、加工用レーザ光
100の照射位置から一定の距離δd離れた場所の検出
を行うことができる。このδdとθ1との関係は、集光レ
ンズ121の焦点距離をF、ウェッジ基板301の検出
用レーザ光200に対する屈折率をnとすると、 δd=F・(n−1)・θ1 … (10) と表される。
【0062】このような回転式ウェッジ基板装置300
を有する本実施例のレーザ加工装置を用いて、図7のよ
うにICパッケージの四つの各辺にあるダムバー2を切
断、除去する場合、四つの各辺における加工用レーザ光
100の照射位置に対する検出用レーザ光200の照射
位置の相対的なずれδrk(k=1〜4)は、前述の実施
例と同様になり、それらのデータを基にウェッジ基板3
01の回転角の調整を行う。これにより、四つの方向の
検出用レーザ光200による検出位置の切り換えを行う
ことができる。
【0063】即ち、まず、XYテーブル21により加工
位置をY軸の正方向に一定速度vで移動させ、検出光2
00の反射光に基づく検出信号をもとにして前述の実施
例と同様の方法により加工用レーザ光100によるダム
バー2の除去を行う。次に、その辺のダムバーの切断が
完了すると、モータ305によってウェッジ基板301
を90°ステップで軸Rを中心に(前述の実施例と同様
に図7に従ってダムバー切断を行う場合は時計まわり
に)回転させる。以下同様にして、各辺に対応して、ウ
ェッジ基板301を90°ずつ時計まわりに回転させ上
記検出信号に同期したダムバー2の切断除去を行う。但
し、ウエッジ式プリズム301の回転制御を行うモータ
305の制御はメインコントローラ23の指令に基づ
き、軌跡に応じたXYテーブル21の動き等に同期して
自動的に行われる。この場合、ウェッジ基板装置300
による検出用レーザ光200の検出位置への入射角度の
変更は、一軸(ウェッジ基板301の回転方向)制御と
なる。
【0064】本実施例の場合、ウェッジ基板301の斜
面の傾斜角度θ1が一定である限り、加工用レーザ光1
00の照射位置に対する検出用レーザ光200の照射位
置の相対的な距離δdは変わらず一定であるが、一つの
ICパッケージのダムバーを切断、除去する場合には、
四つの各辺にあるダムバーの形状はほぼ同様であると考
えられるため、δdが一定であっても、各辺に対応して
ウェッジ基板301を90°ずつ時計まわりに回転させ
るだけで十分対応できる。また、同じ形状の別のICパ
ッケージのダムバーを切断、除去する場合には同じウェ
ッジ基板301を用いて同様の方法を用いることができ
る。さらに、ICパッケージの形状が異なる場合には、
それに応じてウェッジ基板を傾斜角度θ1の異なる斜面
を有するものに変更すればよい。
【0065】以上のような本実施例によっても、図1〜
図8の実施例と同様の効果が得られ、またウェッジ基板
装置300の制御が一軸制御となるので、その制御が簡
単になる。
【0066】次に、本発明によるレーザ加工装置及びダ
ムバー加工方法の他の実施例について、図10を参照し
ながら説明する。本実施例においては、検出位置切り換
え手段として前述の実施例のハーフミラー124に代
え、図10に示すような像回転プリズム351を用い
る。これ以外の構成は、図1〜図8の実施例と同様であ
る。
【0067】像回転プリズム351は、例えば特開昭6
4−78720号公報に記載のイメージローテータと同
様のもので、図10(a)に示すような三角プリズムの
頂角部分を面取りした形状をしており、光軸回りにある
角度回転させるとそれを通過した光がその2倍の角度回
転する光学部材である。この像回転プリズム351は、
図10(b)に示すように検出用レーザ光200の元の
光軸に直交する軸X2を中心に傾斜(図中θX2方向)が
可能で、また検出用レーザ光200の元の光軸に一致す
る軸Y2のまわり(図中θY2方向)に回転可能であり、
その傾斜角度及び回転角度は任意の角度に設定可能であ
る。ここに、軸X2のまわりの傾斜角度θ2は像回転プリ
ズム351の元の光軸に対する傾斜角度となっている。
但し、像回転プリズム351の軸X2まわりの傾斜及び
軸Y2のまわりの回転を制御する装置の構成は複雑にな
るため図示を省略した。
【0068】上記像回転プリズム351に入射した検出
用レーザ光200は、その元の光軸に対して一定の角度
φ2だけ傾斜して進む。この角度φ2は、像回転プリズム
351の元の光軸に対する傾斜角度、即ち軸X2まわり
の傾斜角度θ2と同一である。そして、傾斜角度θ2を設
定した後にその傾斜角度θ2を保ちながら像回転プリズ
ム351を軸Y2即ち元の光軸まわりに回転させること
により、ワーク1上の検出用レーザ光200の検出位置
を加工位置近傍のある一定の径の円周上で任意の角度回
転させることができる。上記円の径が前述のδdに相当
する。さらに、傾斜角度θ2を変更することにより、通
過した検出用レーザ光200の光路の傾斜角度φ2が変
更され、ワーク1上の検出位置が通る円の径、即ちδd
の大きさを変更することができる。
【0069】このような像回転プリズム351を有する
本実施例のレーザ加工装置を用いて、ICパッケージの
四つの各辺にあるダムバーを切断、除去する場合には、
図9の実施例と同様に、四つの各辺における加工用レー
ザ光100の照射位置に対する検出用レーザ光200の
照射位置の相対的なずれ(δrk)を基に像回転プリズム
351の元の光軸(軸Y2)まわりの回転角の調整を行
う。これにより、四つの方向の検出用レーザ光200に
よる検出位置の切り換えを行うことができる。
【0070】即ち、まず、像回転プリズム351の傾斜
角度θ2をある角度に設定した上で設定XYテーブル2
1により加工位置をY軸の正方向に一定速度vで移動さ
せ、検出光200の反射光に基づく検出信号をもとにし
て加工用レーザ光100によるダムバー2の除去を行
う。次に、その辺のダムバーの切断が完了すると、像回
転プリズム351を90°ステップで軸Y2を中心に
(前述の実施例と同様に図7に従ってダムバー切断を行
う場合は時計まわりに)回転させる。但し、この時、原
則として像回転プリズム351の傾斜角度θ2は最初に
設定したまま一定とする。以下同様にして、各辺に対応
して、像回転プリズム351を軸Y2を中心に90°ず
つ時計まわりに回転させ上記検出信号に同期したダムバ
ー2の切断除去を行う。
【0071】また、図9の実施例と同様に、像回転プリ
ズム351の回転制御はメインコントローラ23の指令
に基づき、軌跡に応じたXYテーブル21の動き等に同
期して自動的に行われる。この場合、像回転プリズム装
置351による検出用レーザ光200の検出位置への入
射角度の変更は、一軸(像回転プリズム351の元の光
軸に対する傾斜方向θX2)固定の状態での他の一軸(像
回転プリズム351の回転方向θY2)制御となる。
【0072】本実施例の場合、像回転プリズム351の
傾斜角度θ2を変更することにより、δdの大きさの変更
が可能であるため、一つのICパッケージのダムバー切
断が完了した後、異なる形状のICパッケージのダムバ
ーを切断、除去する場合には、それに応じて像回転プリ
ズム351の傾斜角度θ2を変更するだけで加工用レー
ザ光100の照射位置と検出用レーザ光200の照射位
置との相対的な距離δdを変更することができる。ま
た、一つのICパッケージにおいて、何らかの原因でダ
ムバーの形状が不規則に変化している場合にも、それに
応じて像回転プリズム351の傾斜角度θ2を変更する
だけで加工用レーザ光100の照射位置と検出用レーザ
光200との照射位置の相対的な距離δdを変更するこ
とができる。
【0073】以上のような本実施例によっても、図1〜
図8の実施例と同様の効果が得られ、また像回転プリズ
ム装置351の制御が一軸固定の上での他の一軸制御と
なるので、その制御が簡単になる。さらに、被加工物の
形状に応じて、像回転プリズム351の傾斜角度θ2
変更するだけで、加工用レーザ光100の照射位置と検
出用レーザ光200の照射位置との相対的な距離δd
変更することができる。
【0074】尚、以上の実施例では、ワークからの検出
光の反射光を利用したが、スリット部を通過した通過光
を利用してもよい。また、ワーク表面の凹凸に対する検
出用レーザ光の反射光の応答や、ワークにおける検出用
レーザ光の透過率に対するその透過光の応答を利用し
て、リードフレームのダムバーの切断以外に応用するこ
ともできる。
【0075】
【発明の効果】本発明によれば、検出光として極めて小
さく絞ることが可能な検出用レーザ光を用いるので、高
い分解能が得られ、正確に精度よく被加工物の材料の有
無等の表面状態を検出することができる。また、検出位
置切り換え手段によって加工用レーザ光の照射位置に対
する検出用レーザ光の検出位置の相対位置を被加工物上
で変更するので、煩雑な作業を要せず被加工材の寸法や
形状に応じて任意にその検出位置を変更し、最適な検出
位置を設定することが可能となる。そして、上記検出光
の反射光または通過光を基に加工用レーザ光の発振を制
御することにより、被加工物の表面の情報に応じて所望
の加工位置に確実にレーザ加工を施すことができる。さ
らに、加工位置が等間隔である場合のみならず等間隔で
ない場合にでも、所定の加工位置を確実かつ高速に加工
することができる。
【0076】また、検出位置切り換え手段として反射面
内の直交する二軸のまわりに傾斜可能な反射鏡を用いる
ので、加工用レーザ光の照射位置に対する検出用レーザ
光の検出位置の相対位置を被加工物上で任意に変更する
ことができる。
【0077】また、検出位置切り換え手段として回転式
ウェッジ基板手段を設けるので、簡単な一軸制御によっ
て加工用レーザ光の照射位置に対する検出用レーザ光の
検出位置の相対位置を被加工物上で変更することができ
る。
【0078】また、検出位置切り換え手段として像回転
プリズム手段を設けるので、簡単な一軸固定の上での他
の一軸制御によって、加工用レーザ光の照射位置に対す
る検出用レーザ光の検出位置の相対位置を被加工物の形
状に応じて変更することができる。
【0079】従って本発明は、例えば、リードフレーム
に半導体チップを搭載し樹脂モールドで一体に封止した
ICパッケージのダムバーを切断するのに好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例によるレーザ加工装置の構成
の概略図である。
【図2】図1の加工ヘッド及び検出光学系の構成の概略
図である。
【図3】図2のハーフミラーの傾斜角度と検出用レーザ
光の検出位置の関係を模式的に示す図である。
【図4】図1のトリガユニットの構成を示す図である。
【図5】図1のレーザコントローラの構成を示す図であ
る。
【図6】リードフレームのダムバーと光検出器からの検
出信号との対応関係を表す図である。
【図7】QFP型のICパッケージの四つの各辺にある
ダムバーを切断除去する軌跡を示す図である。
【図8】光検出器からの検出信号の出力から加工用レー
ザ光の発振までのタイムチャートである。
【図9】本発明の他の実施例を示す図であって、検出位
置切り換え手段を示す概略構成図である。
【図10】(a)は本発明のさらに他の実施例の検出位
置切り換え手段に用いられる像回転プリズムを示す図で
あり、(b)は像回転プリズムを通過する検出用レーザ
光の光路を示す図である。
【図11】従来のレーザ加工装置の構成の概略図であ
る。
【図12】(a)はダムバーを有するICパッケージを
示す図であり、(b)は(a)のB部拡大図である。
【符号の説明】
1 ワーク 2 ダムバー 3 スリット部 4 ウエブ部 5a〜5d 軌跡 10 レーザ発振器 11 レーザヘッド 12 加工ヘッド 13 レーザ電源 21 XYテーブル 22 Zテーブル 23 メインコントローラ 24 トリガユニット 25 コントロールユニット 26 レーザコントローラ 120 ベンディングミラー 121 集光レンズ 122 検出光源 123 コリメータレンズ 124 ハーフミラー 125 結像レンズ 126 光検出器 127 検出光学系 130 安定化電源部 131 コンデンサ部 132 スイッチ部 133 交流電源 241 コンパレータ 242 トリガ信号発生回路 243 ディレイ回路 261 中央演算部 262 トリガ回路 300 回転式ウェッジ基板装置 301 ウェッジ基板 305 モータ 351 像回転プリズム TP 矩形波信号 TP0 トリガ信号 TP1 トリガ信号 TP2 トリガ信号 VTH (コンパレータ241における)しきい値 δd 加工用レーザ光及び検出用レーザ光のそれぞれの
照射位置の相対的な距離 TD 遅延時間 WDB ダムバーの幅 Ws スリット部3の幅 θ1 ウェッジ基板の斜面の傾斜角度 φ1 ウェッジ基板から出射する検出用レーザ光の傾斜
角度 θ2 像回転プリズム351の元の光軸に対する傾斜角
度 φ2 像回転プリズムから出射する検出用レーザ光の傾
斜角度
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // B23K 101:40 (72)発明者 長野 義也 茨城県土浦市神立町650番地 日立建機 株式会社 土浦工場内 (72)発明者 奥村 信也 茨城県土浦市神立町650番地 日立建機 株式会社 土浦工場内 (72)発明者 桜井 茂行 茨城県土浦市神立町650番地 日立建機 株式会社 土浦工場内 (56)参考文献 特開 平2−20679(JP,A) 特開 平4−172192(JP,A) 特開 平7−116871(JP,A) 特開 平3−294077(JP,A) 特開 平2−155589(JP,A) 実開 平2−144282(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B23K 26/00 - 26/08 WPI(DIALOG)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 パルス状の加工用レーザ光を発振するレ
    ーザ発振器と、前記加工用レーザ光を被加工物の加工位
    置まで誘導する加工光学系と、前記被加工物を移動させ
    その加工位置を決定する搬送手段とを備えるレーザ加工
    装置において、 検出用レーザ光を発生する検出光発生
    手段と、前記検出用レーザ光を前記加工位置近傍の検出
    位置に誘導する検出光学系と、前記加工用レーザ光の照
    射位置に対する前記検出用レーザ光の検出位置の相対位
    置を前記被加工物上で変更する検出位置切り換え手段
    と、前記検出位置からの前記検出用レーザ光の反射光ま
    たは通過光を基に前記検出位置における被加工物の有無
    を検出して対応する検出信号を発生する検出手段と、前
    記検出手段からの検出信号に基づき前記被加工物の所定
    の加工位置に前記加工用レーザ光が照射されるようその
    加工用レーザ光の発振を制御する制御手段とを備えるこ
    と特徴とするレーザ加工装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のレーザ加工装置におい
    て、前記検出位置切り換え手段は、前記検出光学系に備
    えられ反射面内の直交する二軸のまわりに傾斜可能な反
    射鏡であることを特徴とするレーザ加工装置。
  3. 【請求項3】 請求項1記載のレーザ加工装置におい
    て、前記検出位置切り換え手段は、前記検出光学系に備
    えられ、前記検出用レーザ光の元の光軸に対し傾斜した
    表面を有すると共にその元の光軸まわりに回転可能な回
    転式ウェッジ基板手段であることを特徴とするレーザ加
    工装置。
  4. 【請求項4】 請求項1記載のレーザ加工装置におい
    て、前記検出位置切り換え手段は、前記検出光学系に備
    えられ、前記検出用レーザ光の元の光軸に対する傾斜角
    度を変更可能であると共にその元の光軸まわりに回転可
    能な像回転プリズム手段であることを特徴とするレーザ
    加工装置。
  5. 【請求項5】 リードフレームに半導体チップを搭載し
    樹脂モールドで一体に封止したICパッケージのダムバ
    ーを切断するダムバー加工方法において、 請求項1記載のレーザ加工装置を用い、検出用レーザ光
    を加工位置近傍に照射し、その検出用レーザ光の反射光
    または通過光を基に前記加工位置に対応する検出信号を
    発生させ、その検出信号に基づき前記ダムバーに前記加
    工用レーザ光が照射されるようその加工用レーザ光の発
    振を制御することを特徴とするダムバー加工方法。
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