JP2990678B2 - 織機の機掛け方法 - Google Patents

織機の機掛け方法

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、フルワープビームから経通し部材を経て伸
びる複数の経糸を織機に仕掛ける機掛け方法に関する。
(従来の技術) 機掛け時、フルワープビームから、ドロッパボック
ス、綜絖枠および筬等の経通し部材を経て伸びる経糸
は、一般に、織機に残存する織布の後端部(本発明にお
いては、織布を巻き取るクロクローラの側を前方とい
い、ワープビームの側を後方という。)に接続される。
従来、製織前の経糸と織機に残存する織布との接続
は、織布の後端部をその幅方向へ間隔をおいた複数箇所
に前後方向へ伸びる切込みを形成することにより複数の
織布片に分割し、経糸の先端部を織布片と同数の経糸群
に分けて該経糸群と織布片とを相互に結び合わせること
により行われている。しかし、この従来方法では、経糸
群と織布片との結び目に起因する巻きじわが新たに製織
された織布に形成される。
特公昭51−36828号公報には、経糸群と織布片とを結
ぶ従来方法の問題を解決する機掛け方法が記載されてい
る。この従来方法は、経糸をシート状に揃えつつおよび
経糸に張力を与えつつ、経糸の先端部を係止板の上に設
けられた針布に押え付け、その状態で経糸と織布とを接
着する。
経糸群と織布片とを結ぶ従来方法の問題を解決する他
の一つの機掛け方法が特開昭62−184151号公報に記載さ
れている。この従来方法は、引通しの終了した経糸の先
端部に予め布片を接着しておき、機掛け時、布片と織機
の側の織布とを接合する。
(解決しようとする課題) しかし、前記公報に記載されたいずれの方法も、経糸
と織布または布片と織布とを織機の側で接続するから、
織機上での接続作業に時間を要し、機掛けの作業性が悪
く、織機の稼動率が低下する。
本発明は、織機上での作業時間が短縮する、織機の機
掛け方法を提供することを目的とする。
(課題を解決する手段、発明の作用、効果) 本発明の機掛け方法は、フルワープビームから経通し
部材を経て伸びる複数の経糸の先端部に布片を接着、縫
着または製織処理により設け、前記フルワープビームお
よび前記経通し部材を織機に装着し、前記布片を前記織
機のサーフェスローラとプレスローラとの間に挟んでサ
ーフェスローラを回転させることにより前記布片を前記
織機のサーフェスローラに巻き付けることを含む。
経糸の先端部に予め設けられた布片をサーフェスロー
ラに挾み込んだ後、織機を作動させると、布片は、サー
フェスローラにより経糸とともにクロスローラの側へ移
動され、最終的にクロスローラに巻き付けられる。これ
により、機掛け作業は終了する。
本発明によれば、製織前の経糸を織機に残存する織布
に接続する必要がないし、経糸の先端に設けられた布片
を織機に残存する織布に接続する必要がないから、織機
上での作業が単純化し、織機上での作業時間が短縮す
る。
(実施例) 第1図を参照するに、製織前の一群の経糸10が巻き付
けられたフルワープビーム12と、ドロッパボックス14、
複数の綜絖枠16および筬18からなる製織前の経通し部材
とは、機掛け準備室に保管されている。経糸10は、製織
前の経通し部材14,16,18に引き通されている。経糸10の
先端部は一対の布片20に挾まれて布片20に接着されてお
り、これにより経糸10はシート状に整列されている。
第1図に示す例では、フルワープビーム12および製織
前の経通し部材14,16,18は、複数のロープ22により結束
されている。経糸10の先端部に一対の布片20を設ける代
りに、一つの布片を設けてもよい。
第2図に示すように、製織作業中の織機には、複数の
経糸24が巻かれたワープビーム26と、ドロッパボックス
28、複数の綜絖枠30および筬32からなる経通し部材とが
装着されている。経糸24は、ワープビーム26から、テン
ションローラ34、ドロッパボックス28、綜絖枠30および
筬32を経て筬32の前方へ伸びており、また、筬32の前方
で製織される。織布36は、サーフェスローラ38を経てク
ロスローラ40に巻き取られる。サーフェスローラ38は、
図示の例では、プレスロール42,44およびフリクション
ロール46からなる。
織機の経糸24が消費されると、先ず、織布36が筬32と
プレスロール42との間の部位48において切断され、製織
後のワープビーム26および製織後の経通し部材28,30,32
が、織機から外された後、適宜な手段により製織室から
機掛け準備室へ運搬される。織機に残存する織布36は、
製織後のワープビーム26および経通し部材28,30,32の取
り外しおよび運搬と平行してまたはその後に、織機から
除去される。
次いで、第3図に示すように、機掛け準備室に保管さ
れているフルワープビーム12および製織前の経通し部材
14,16,18が、織機からの織布36の除去作業と平行してま
たはその後に、織機に装着される。経糸10は、フルワー
プビーム12から、テンションローラ34、ドロッパボック
ス14、綜絖枠16および筬18を経て筬18の前方へ伸ばされ
る。
次いで、布片20がサーフェスローラ38に巻き付けられ
る。この作業は、布片20の先端をロール42,46間に挾
み、織機の空運転(緯入れおよび筬打ちを除く駆動)を
所定時間行うことにより行うことができる。これによ
り、布片20が経糸10とともにサーフェスローラ38を経て
クロスローラ40へ送り出される。布片20の先端部が第3
図において点線で示すようにクロスローラ40に達する
と、布片20がクロスローラ40に巻き付けられる。
布片20の長さは、布片20の先端部をサーフェスローラ
38に巻き付けることができる値であればよいが、サーフ
ェスローラ38を経てクロスローラ40に巻き付けることが
できる値であると好適である。
係止10は布片20の送り出しにともなって徐々に引き伸
ばされ、その結果、経糸10に作用する張力は徐々に大き
くなる。係止10の張力が所定の値に達すると、緯入れが
複数回行われた後、織機本来の製織作業が開始される。
上記の機掛け方法によれば、経糸をシート状に整列さ
せる作業、および、経糸を織機に残存する織布に接続す
る作業を織機上において行う必要がなく、織機の側で行
う作業時間が短縮し、織機の稼動効率が向上する。
機掛け準備室へ運搬された製織後のワープビームおよ
び経通し部材は、該経通し部材への新たな経糸の引き通
し作業および新たな経糸の先端部への布片の装着作業を
行うべく、機掛け準備用の作業台に装着される。これら
の作業は、次のように行うことができる。
先ず、第4図に示すように、製織後の経糸24がワープ
ビーム26からローラ50、ドロッパボックス28、綜絖枠30
および筬32を経て巻取りローラ52へ伸びるように、ワー
プビーム26および経通し部材28,30,32を作業台に装着す
る。
次いで、経糸24の先端部の織布片54を巻取りローラ52
に巻き付け、経糸24を巻取りローラ52に所定量巻き取っ
た後、経糸24をローラ50とドロッパボックス28との間の
部位で切断する。
次いで、第5図に示すように、空ワープビーム26の代
りに新たなフルワープビーム54を作業台に装着し、フル
ワープビーム54の経糸56の先端部と巻取りローラ52から
伸びる経糸24の端部とをタイイングマシン等により符号
58で示すように相互に結ぶ。
次いで、第6図に示すように、経糸の結び目58が経通
し部材28,30,32を通って巻取りローラ52の近くに達する
まで、経糸を巻取りローラ52に巻き取る。
次いで、第7図に示すように、一群の経糸56の上下に
熱可塑性合成樹脂フィルム60を介して一対の布片62を配
置し、経糸56に所定の張力を与えた状態で、経糸56、熱
可塑性合成樹脂フィルム60および布片62をそれらの下側
に配置された作業台64に押圧しつつ加熱する。この押圧
および加熱作業は、アイロンにより行うことができる。
経糸56の上方に配置された布片62の長さ寸法は、下方に
配置された布片62のそれより大である。
熱可塑性合成樹脂フィルム60が溶融すると、押圧およ
び加熱作業を中止する。これにより、経糸56と布片62と
は、熱可塑性合成樹脂フィルムの溶融液が固化すること
により相互に接合される。
その後、経糸56を布片62と巻取りロール52との間で切
断することにより、経通し部材28,30,32への新たな経糸
56の引き通し作業および新たな経糸56の先端部への布片
62の装着作業を終了する。
新たな経糸56の引き通し作業および新たな経糸56への
布片62の装着作業を終了したフルワープビーム54および
経通し部材28,30,32は、以後の機掛けのためのフルワー
プビームおよび経通し部材として用いるべく、第1図に
示すように複数のロープにより結束された後、所定の箇
所に保管される。
布片は、経糸の先端部に布を縫着すること、前記経糸
の先端部に製織処理をすることによって設けてもよい。
また、機掛け作業に用いるフルワープビームおよび経通
し部材は、織機または作業台に装着されたときとほぼ同
じ配置状態に保管してもよく、また、織機または作業台
に装着されたときとほぼ同じ配置状態で搬送してもよ
い。
【図面の簡単な説明】
第1図は機掛けに用いるフルワープビームおよび経通し
部材を示す斜視図、第2図は製織中の織機を示す側面
図、第3図は機掛け途中の織機を示す側面図、第4図〜
第7図は機掛け準備室における経糸の引き通し作業およ
び布片の装着作業を説明するための図である。 10:経糸、12:フルワープビーム、 14:ドロッパボックス、16:綜絖枠、 18:筬、20:布片、 36:織布、38:サーフェスローラ、 40:クロスローラ。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】フルワープビームから経通し部材を経て伸
    びる複数の経糸の先端部に布を接着または縫着すること
    により前記先端部に布片を設け、前記フルワープビーム
    および前記経通し部材を織機に装着し、前記布片を前記
    織機のサーフェスローラとプレスローラとの間に挟んで
    サーフェスローラを回転させることにより前記布片を前
    記織機のサーフェスローラに巻き付けることを含む、織
    機の機掛け方法。
  2. 【請求項2】フルワープビームから経通し部材を経て伸
    びる複数の経糸の先端部に製織処理をすることにより布
    片を前記先端部に設け、前記フルワープビームおよび前
    記経通し部材を織機に装着し、前記布片を前記織機のサ
    ーフェスローラとプレスローラとの間に挟んでサーフェ
    スローラを回転させることにより前記布片を前記織機の
    サーフェスローラに巻き付けることを含む、織機の機掛
    け方法。
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