JP2987120B2 - 核磁気共鳴を用いた検査装置 - Google Patents

核磁気共鳴を用いた検査装置

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JP2987120B2
JP2987120B2 JP9045229A JP4522997A JP2987120B2 JP 2987120 B2 JP2987120 B2 JP 2987120B2 JP 9045229 A JP9045229 A JP 9045229A JP 4522997 A JP4522997 A JP 4522997A JP 2987120 B2 JP2987120 B2 JP 2987120B2
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哲彦 高橋
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GIJUTSU KENKYU KUMIAI IRYO FUKUSHI KIKI KENKYUSHO
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GIJUTSU KENKYU KUMIAI IRYO FUKUSHI KIKI KENKYUSHO
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は核磁気共鳴を用いた
画像の計測を行なう装置に係わり,特に励起RFパルス
として複数のサブパルスから構成されるRFバーストを
印加する装置に係わる。
【0002】
【従来の技術】磁気共鳴イメージング装置は,核磁気共
鳴を利用して被写体の断層像を計測する装置である。磁
気共鳴イメージング装置では被写体内の原子核を励起す
るために,静磁場強度に比例した周波数のRFパルスを
被写体に印加する。この励起RFパルスとしては振幅を
変調したRFバーストを印加する方法が知られている
(特願平7−117015号)。ここで,RFバースト
とは複数のサブパルスから構成される一連のRFパルス
をいう。図1に示すようなsinc関数で振幅変調した
時間軸上のRFバーストをフーリエ変換すると,周波数
軸上では特定の幅を持った方形周期波となる。ここで,
時間軸上のRFバーストを構成するサブパルスの間隔を
u(sec)とすると,周波数軸上の方形周期波の周期
は1/u(Hz)である。また,時間軸上のRFバース
トを振幅変調したsinc関数の周期をT(sec)と
すると,周波数軸上の方形周期波の幅は,1/T(H
z)となる。周波数軸上での波形は原子核の励起プロフ
ァイル,即ち横磁化の絶対値を表す。特にT=2uとし
て振幅変調したRFバーストを励起RFパルスとして用
いた場合,励起されている領域と励起されていない領域
が同じ体積で交互に現れる。このT=2uとした振幅変
調RFバーストの搬送周波数を1/(2u)(Hz)だ
けシフトしたRFバーストをフーリエ変換すると,図2
に示すように,励起されている領域と励起されていない
領域がちょうど入れ替わる。図2に示したような搬送周
波数を1/(2u)(Hz)だけシフトした2つの振幅
変調RFバーストを被写体に印加することにより,被写
体の撮影断面内の原子核ほぼ全てを励起して撮影でき
る。
【0003】その具体例として,上記2つの振幅変調R
Fバーストのうちの第1の振幅変調RFバーストを被写
体に印加して撮影した直後,第2の振幅変調RFバース
トを被写体に印加して撮影し,それぞれを2次元逆フー
リエ変換した後,合成する方法がある。この方法の詳細
については,特願平8−74960号に述べられている
が,以下の具体例をもとに簡単に説明する。例えば,第
1の振幅変調RFバーストを被写体に印加した時の励起
プロファイルの方形周期波の幅が0.5mm,撮影画像
のリードアウト傾斜磁場印加方向のピクセルサイズが1
mmとなる条件で,図3に示した撮影シーケンスにより
撮影し,得られた複数個のエコーを2次元逆フーリエ変
換する。図3の横軸は時間を,縦軸はRFパルスや傾斜
磁場等の強度を表す。図3において,1は励起RFパル
ス,2はリードアウト傾斜磁場,3はエンコード傾斜磁
場,4はスライス傾斜磁場,6はエコー(磁気共鳴信
号),31は180度パルスである。励起RFパルス1
は,5個のサブパルス1−a,1−b,1−c,1−
d,1−eから構成されている。リードアウト傾斜磁場
2と同時に励起RFパルス1を印加し,被写体内部の原
子核を励起する。
【0004】次に,スライス傾斜磁場4と180度パル
ス31を同時に被写体を印加すると,スライス傾斜磁場
印加方向に垂直な特定の幅を持った断面内(撮影断面)
にある原子核の磁気モーメントは反転し,断面外にある
原子核の磁気モーメントは位相がバラバラになる。次
に,リードアウト傾斜磁場2を印加することによりエコ
ー6が発生する。エコー6−1−e,6−1−d,6−
1−c,6−1−b,6−1−aは,それぞれサブパル
ス1−e,1−d,1−c,1−b,1−aの180度
パルスによるスピンエコーである。エコー6−1−e,
6−1−d,6−1−c,6−1−b,6−1−aを観
察した後,リードアウト傾斜磁場2の極性を反転する
と,フィールドエコー6−2−a,6−2−b,6−2
−c,6−2−d,6−2−eが発生する。エコー6−
2−a,6−2−b,6−2−c,6−2−d,6−2
−eは,それぞれエコー6−1−a,6−1−b,6−
1−c,6−1−d,6−1−eの傾斜磁場反転による
フィールドエコーであるから,エコー6−2−a,6−
2−b,6−2−c,6−2−d,6−2−eは,それ
ぞれサブパルス1−a,1−b,1−c,1−d,1−
eに対応している。このように5個のサブパルス1−
a,1−b,1−c,1−d,1−eに対応する5個の
エコーを1つのセットとして,リードアウト傾斜磁場反
転を繰り返しによりnセットのエコー群を発生し,画像
再構成に必要な数のエコーを計測する。
【0005】この画像の1ピクセルと励起プロファイル
の位置関係を図4に示す。無限個のサブパルスから構成
される振幅変調RFバーストを励起RFパルスとして用
いれば,励起プロファイルは完全方形周期波となるが,
図3の撮影シーケンスでは5個のサブパルスを用いてい
るため,励起プロファイルは完全な方形周期波とはなら
ない。しかし,ここではこの励起プロファイルをほぼ方
形周期波と見なせるものとして説明する。この画像の1
ピクセルには,実際には励起されている0.5mmの領
域のみの情報を持っている。搬送周波数を1/(2u)
(Hz)だけシフトした第2の振幅変調RFバーストを
被写体に印加して撮影し,2次元逆フーリエ変換するす
ると,今度の画像の1ピクセルには先程励起されていな
かった0.5mmの領域のみの情報を持っている。2つ
の画像を1ピクセルおきに交互に配列し合成すれば,リ
ードアウト傾斜磁場印加方向の空間分解能0.5mmの
画像ができる。即ち,撮影画像のリードアウト傾斜磁場
印加方向のピクセルサイズを1mmから0.5mmに改
めることができる。第1の振幅変調RFバーストと第2
の振幅変調RFバーストの印加において,それぞれ励起
する領域が異なるため,2つの撮影の間には磁化の回復
を待つための時間は必要ない。
【0006】上述したように,5個のサブパルスを用い
た場合,励起プロファイルは完全方形周期波とはならな
いため,隣のピクセルに若干の漏れ込みが生じるが,実
用上問題のない程度である。ただし,励起プロファイル
が完全な方形周期波に近づくほど,搬送周波数を1/
(2u)(Hz)だけシフトした振幅変調RFバースト
を併用した時に,被写体の撮影断面内の原子核の中で励
起されるものの割合が100パーセントに近づく。以上
示したように,第1の振幅変調RFバーストと第2の振
幅変調RFバーストを励起RFパルスとして用いて連続
して撮影し,2つの画像を合成することによって,被写
体の撮影断面内の原子核ほぼ全てを励起して撮影きる。
【0007】図3に示した撮影シーケンスにより得られ
たエコーの1個1個について,そのエコー取得時の1ピ
クセル内の磁化の励起状態を詳しく見る。図5の
(a),(b),(c),(d),(e)の中の矢印5
1−a,51−b,51−c,51−d,51−eは,
それぞれ励起RFバーストを構成するサブパルス1−
a,1−b,1−c,1−d,1−eに対応するスピン
エコーあるいはフィールドエコー取得時の1ピクセル内
の励起されている領域における横磁化の向きを示してい
る。サブパルス1−b,1−c,1−dに対応するエコ
ー取得時の励起領域における横磁化の向き51−b,5
1−c,51−dがほぼそろっているのに対して,サブ
パルス1−a,1−eに対応するエコー取得時の励起領
域における横磁化の向き51−a,51−eは部分的に
反転していることが分かる。このように励起されている
領域の横磁化の位相がそろっていないため,サブパルス
1−a,1−eに対応するスピンエコーあるいはフィー
ルドエコーの大きさは他のエコーと較べて小さい。この
ためサブパルス1−a,1−eに対応するスピンエコー
あるいはフィールドエコーを像再構成データとして用い
ると,画像全体のS/N比が低下する。図6に示したよ
うな3つのサブパルスからなる振幅変調RFバーストを
励起RFパルスとして用いれば,励起されている領域の
横磁化の位相が全てのエコーにおいてほぼそろうが,励
起プロファイルがsin関数形状となってしまうため隣
のピクセルへの漏れ込みが大きく,搬送周波数を1/
(2u)(Hz)だけシフトした振幅変調RFバースト
を併用しても,被写体の撮影断面内の原子核ほぼ全てを
励起して撮影できない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】sinc関数で振幅変
調したRFバーストの180度パルスによるスピンエコ
ーまたは傾斜磁場反転によるフィールドエコー全てを像
再構成に用いると,上述したように画像全体のS/N比
が低下するという欠点がある。また,sinc関数の中
心サブパルスと隣り合わせた3つのサブパルスからなる
振幅変調RFバーストを励起RFパルスとして用いれ
ば,励起プロファイルはsin関数形状となってしまう
ため,搬送周波数を1/(2u)(Hz)だけシフトし
た振幅変調RFバーストを併用しても被写体の撮影断面
内の原子核ほぼ全てを励起して撮影できないという欠点
がある。本発明はこの問題を解消し,被写体の撮影断面
内の原子核ほぼ全てを励起し,かつ画像全体のS/N比
を向上させる核磁気共鳴を用いた検査装置を提供する。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の特徴は,励起R
Fパルスとして5個以上のサブパルスから構成されるs
inc関数で振幅変調したRFバーストを用い,リード
アウト傾斜磁場反転によるフィールドエコー取得時にお
いて,sinc関数の中心サブパルスと隣り合わせた3
つのサブパルスに対応するフィールドエコーのみが発生
するようにリードアウト傾斜磁場の印加量を決める点に
ある。
【0010】即ち、所定の磁場空間に配置された被写体
に印加する,sinc関数で振幅変調したRFバースト
からなる励起用RFパルスを発生する手段と,被写体内
に生じる核磁気共鳴にともなう信号を180度パルスに
より発生するスピンエコー群あるいはリードアウト傾斜
磁場の極性反転により発生するフィールドエコー群とし
て計測する手段とを有し,被写体の断層像を作成する核
磁気共鳴を用いた検査装置において,sinc関数で振
幅変調したRFバーストを構成するサブパルスの個数が
5個以上であり,リードアウト傾斜磁場の極性反転によ
るフィールドエコーの計測時に,sinc関数の中心に
位置するサブパルスと隣り合わせた3つのサブパルスに
対応するフィールドエコーが発生するようにリードアウ
ト傾斜磁場の印加量を定め、180度パルスにより発生
するスピンエコー群のうち2番目に発生するエコーから
計測する。さらに、上記サブパルスの個数を7個とし
て,180度パルスにより発生するスピンエコー群のう
ち3番目に発生するエコーから計測する。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の第一の実施例の撮影シー
ケンスを図7に示す。図7の横軸は時間を,縦軸はRF
パルスや傾斜磁場等の強度を表す。図7において,1は
励起RFパルス,2はリードアウト傾斜磁場,3はエン
コード傾斜磁場,4はスライス傾斜磁場,6はエコー,
31は180度パルスである。傾斜磁場2と同時に励起
RFパルス1を印加し,被写体内部の原子核を励起す
る。この時,リードアウト傾斜磁場印加方向の励起プロ
ファイルは図4に示したような方形周期波になり,搬送
周波数を1/(2u)(Hz)だけシフトした振幅変調
RFバーストを併用することにより,被写体の撮影断面
内の原子核ほぼ全てを励起して撮影できる。次に,スラ
イス傾斜磁場4と180度パルス31を同時に被写体を
印加すると,スライス傾斜磁場印加方向に垂直な特定の
幅を持った断面内にある原子核の磁気モーメントは反転
し,断面外にある原子核の磁気モーメントは位相がバラ
バラになる。
【0012】次に,リードアウト傾斜磁場2を印加する
ことによりエコー6が発生する。ここで,従来の撮影シ
ーケンスを示した図3においては,この1セット目のエ
コー群6−1発生において,5個のエコーを発生した
が,本実施例では4個のエコーが発生するようにリード
アウト傾斜磁場の印加量を決める。続いて,リードアウ
ト傾斜磁場反転による2セット目のエコー群6−2発生
において,3個のエコーを発生するようにリードアウト
傾斜磁場の印加量を決める。以下,リードアウト傾斜磁
場反転による3セット目以降のエコー群6−3発生にお
いても,3個のエコーを発生するようにリードアウト傾
斜磁場の印加量を決める。即ち,リードアウト傾斜磁場
反転によるフィールドエコー取得時において,励起RF
バーストを振幅変調したsinc関数の中心に位置する
サブパルスと隣り合わせた3つのサブパルスに対応する
フィールドエコーのみが発生するようにリードアウト傾
斜磁場の印加量を決める。リードアウト傾斜磁場反転の
繰り返しにより,画像再構成に必要な数のエコーを発生
し,それらを計測する。
【0013】ここで,1セット目の4個のエコーの中
で,1番目のエコー6−1−eは計測せず,残りの3個
のエコーを計測する。2セット目以降の3個のエコーは
全て計測する。即ち,励起RFバーストを振幅変調した
sinc関数の中心に位置するサブパルスと隣り合わせ
た3つのサブパルスに対応するエコーのみを計測し,画
像再構成を行なう。エコー取得時の励起されている領域
の横磁化の向きがほぼそろっているエコーのみを像再構
成に用いるため,画像全体のS/N比を従来例に較べて
向上するという効果がある。
【0014】本発明の第二の実施例の撮影シーケンスを
図8に示す。図8において,1は励起RFパルス,2は
リードアウト傾斜磁場,3はエンコード傾斜磁場,4は
スライス傾斜磁場,6はエコー,31は180度パルス
である。傾斜磁場2と同時に励起RFパルス1を印加
し,被写体内部の原子核を励起する。この時,リードア
ウト傾斜磁場印加方向の励起プロファイルは図9に示す
ような方形周期波になる。励起RFパルスとして5個の
サブパルスからなる振幅変調RFバーストを用いた第一
の実施例(図7)の場合の励起プロファイル(図4)と
比較して,励起RFパルスとして7個のサブパルスから
なる振幅変調RFバーストを用いた本実施例の方が,励
起プロファイルがより完全な方形周期波に近づく。励起
プロファイルが完全な方形周期波に近づくほど,搬送周
波数を1/(2u)(Hz)だけシフトした振幅変調R
Fバーストを併用した時に,被写体の撮影断面内の原子
核の中で励起される割合が100パーセントに近づく。
【0015】次に,スライス傾斜磁場4と180度パル
ス31を同時に被写体を印加すると,スライス傾斜磁場
印加方向に垂直な特定の幅を持った断面内にある原子核
の磁気モーメントは反転し,断面外にある原子核の磁気
モーメントは位相がバラバラになる。次に,リードアウ
ト傾斜磁場2を印加することによりエコー6が発生す
る。本実施例では1セット目のエコー群6−1の発生に
おいて,5個のエコーが発生するようにリードアウト傾
斜磁場の印加量を決める。続いて,リードアウト傾斜磁
場反転による2セット目のエコー群6−2発生におい
て,3個のエコーを発生するようにリードアウト傾斜磁
場の印加量を決める。以下,リードアウト傾斜磁場反転
による3セット目以降のエコー群発生においても,3個
のエコーを発生するようにリードアウト傾斜磁場の印加
量を決める。即ち,リードアウト傾斜磁場反転によるフ
ィールドエコー取得時において,励起RFバーストを振
幅変調したsinc関数の中心に位置するサブパルスと
隣り合わせた3つのサブパルスに対応するフィールドエ
コーのみが発生するようにリードアウト傾斜磁場の印加
量を決める。リードアウト傾斜磁場反転の繰り返しによ
り,画像再構成に必要な数のエコーを発生し,それらを
計測する。
【0016】ここで,1セット目の5個のエコーの中
で,1番目と2番目のエコー6−1−fと6−1−eは
計測せず,残りの3個のエコーを計測する。2セット目
以降の3個のエコーは全て計測する。即ち,励起RFバ
ーストを振幅変調した sinc関数の中心に位置する
サブパルスと隣り合わせた3つのサブパルスに対応する
エコーのみを計測し,画像再構成を行なう。エコー取得
時の励起されている領域の横磁化の向きがほぼそろって
いるエコーのみを像再構成に用いるため,画像全体のS
/N比を従来例に較べて向上するという効果がある。ま
た,励起RFバーストのサブパルスの個数を増やすほ
ど,励起プロファイルは完全な方形周期波に近づく。こ
のため励起RFバーストのサブパルスの個数を増やすほ
ど,撮影時間は増加するが,搬送周波数を1/(2u)
(Hz)だけシフトした振幅変調RFバーストを併用し
た時に,被写体の撮影断面内の原子核の中で励起される
ものの割合が100パーセントに近づくという効果があ
る。この場合も,励起RFバーストを振幅変調したsi
nc関数の中心に位置するサブパルスと隣り合わせた3
つのサブパルスに対応するエコーのみを計測して画像再
構成を行なうことにより,画像全体のS/N比を従来例
に較べて向上できる。
【0017】以上,本発明を特定の撮影シーケンスにつ
いて説明したが,上記以外の撮影シーケンスについても
同様に,励起RFバーストを振幅変調したsinc関数
の中心に位置するサブパルスと隣り合わせた3つのサブ
パルスに対応するエコーのみを計測して画像再構成を行
なうことにより,画像全体のS/N比を従来例に較べて
向上できる。例えば,1セット目のエコーは,180度
パルスにより発生するスピンエコーである必要はなく,
リードアウト傾斜磁場の反転により発生するフィールド
エコーであっても良い。同様に2セット目以降のエコー
は,リードアウト傾斜磁場の反転により発生するフィー
ルドエコーである必要はなく,180度パルスにより発
生するスピンエコーであっても良い。
【0018】図10に核磁気共鳴を用いた検査装置(以
下,単に検査装置という)の構成の一例を示す。図1に
於いて,101は静磁場を発生するマグネット,102
は傾斜磁場を発生するコイル,103は被検体(検査対
象である被写体)であり,これはマグネット101及び
コイル102内に設置される。また,シーケンサ104
は傾斜磁場電源105と高周波磁場発生器106に命令
を送り,傾斜磁場をコイル102より,高周波磁場をプ
ローブ107より,それぞれ発生する。高周波磁場はプ
ローブ107を通じて被検体103に印加される。被検
体103から発生した信号はプローブ107により受波
され,受信器108で検波が行われる。検波の基準とす
る磁気共鳴周波数は,シーケンサ104によりセットさ
れる。検波された信号は計算機109に送られ,ここで
画像再構成等の信号処理が行われる。結果はディスプレ
イ110に表示される。必要に応じて,記憶媒体111
に信号や測定条件を記憶させることもできる。静磁場均
一度を調整する必要がある時は,シムコイル112を使
う。シムコイル112は複数のチャネルからなり,シム
電源113により電流が供給される。静磁場均一度調整
時には,各コイルに流れる電流をシーケンサ104によ
り制御する。シーケンサ104はシム電源113に命令
を送り,静磁場不均一を補正するような付加的な磁場を
コイル112より発生させる。なお,シーケンサ104
は通常,予めプログラムされたタイミング,強度で各装
置が動作するように制御を行う。このプログラムのう
ち,特に高周波磁場,傾斜磁場,信号受信のタイミング
や強度を記述したものは,撮影のパルスシーケンスと呼
ばれている。
【0019】
【発明の効果】被写体の撮影断面内の原子核ほぼ全てを
励起し,かつ画像全体のS/N比を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】sinc関数で振幅変調したRFバーストを示
す図。
【図2】搬送周波数を1/(2u)(Hz)シフトした
振幅変調RFバーストを示す図。
【図3】従来の撮影シーケンスを示す図。
【図4】5個のサブパルスから構成される振幅変調RF
バーストを用いた時の1ピクセル内の励起プロファイル
を示す図。
【図5】励起されている領域の横磁化の向きを示す図。
【図6】3個のサブパルスから構成されるRFバースト
を示す図。
【図7】本発明第一の実施例の撮影シーケンスを示す
図。
【図8】本発明第二の実施例の撮影シーケンスを示す
図。
【図9】7個のサブパルスから構成される振幅変調RF
バーストを用いた時の1ピクセル内の励起プロファイル
を示す図。
【図10】核磁気共鳴を用いた検査装置の構成の一例を
示す図。
【符号の説明】
1…励起RFパルス,2…リードアウト傾斜磁場,3…
エンコード傾斜磁場,4…スライス傾斜磁場,6…エコ
ー,31…180度パルス,1−a,1−b,1−c,
1−d,1−e…サブパルス,51…励起領域における
横磁化の向き,101…静磁場を発生するマグネット,
102…傾斜磁場を発生するコイル,103…被検体
(検査対象である被写体),104…シーケンサ,10
5…傾斜磁場電源,106…高周波磁場発生器,107
…プローブ,108…受信器,109…計算機,110
…ディスプレイ,111…記憶媒体,112…シムコイ
ル,113…シム電源。
フロントページの続き (72)発明者 高橋 哲彦 東京都千代田区内神田一丁目1番14号 株式会社日立メディコ内 (56)参考文献 特開 平8−308809(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A61B 5/055

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】所定の磁場空間に配置された被写体に印加
    する,sinc関数で振幅変調したRFバーストからな
    る励起用RFパルスを発生する手段と,前記被写体内に
    生じる核磁気共鳴にともなう信号を180度パルスによ
    り発生するスピンエコー群あるいはリードアウト傾斜磁
    場の極性反転毎に発生するフィールドエコー群として計
    測する手段とを有し,前記被写体の断層像を作成する核
    磁気共鳴を用いた検査装置において,前記sinc関数
    で振幅変調したRFバーストを構成するサブパルスの個
    数が5個以上であり,前記リードアウト傾斜磁場の極性
    反転毎の前記フィールドエコー群の発生に於いて,前記
    sinc関数の中心に位置する前記サブパルスと,前記
    中心に位置する前記サブパルスに隣り合わせた2つのサ
    ブパルスとからなる3つのサブパルスに対応する3つの
    フィールドエコーのみが発生するように前記リードアウ
    ト傾斜磁場の印加量を定め,前記3つのサブパルスに対
    応する3つの前記フィールドエコーのみを計測すること
    を特徴とする核磁気共鳴を用いた検査装置。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の核磁気共鳴を用いた検査
    装置において,前記RFバーストを構成する前記サブパ
    ルスの個数が5個であり,前記180度パルスにより発
    生するスピンエコー群のうち2番目に発生するエコーか
    ら計測することを特徴とする核磁気共鳴を用いた検査装
    置。
  3. 【請求項3】請求項1に記載の核磁気共鳴を用いた検査
    装置において,前記RFバーストを構成する前記サブパ
    ルスの個数が7個であり,前記180度パルスにより発
    生するスピンエコー群のうち3番目に発生するエコーか
    ら計測することを特徴とする核磁気共鳴を用いた検査装
    置。
  4. 【請求項4】 所定の磁場空間に配置された被写体に印加
    する,sinc関数で振幅変調したRFバーストからな
    る励起用RFパルスを発生する手段と,前記被写体内に
    生じる核磁気共鳴にともなう信号を180度パルスによ
    り発生するスピンエコー群あ るいはリードアウト傾斜磁
    場の極性反転毎に発生するフィールドエコー群として計
    測する手段とを有し,前記被写体の断層像を作成する核
    磁気共鳴を用いた検査装置に於いて,前記sinc関数
    で振幅変調したRFバーストを構成するサブパルスの個
    数が5個以上であり,前記リードアウト傾斜磁場の極性
    反転毎の前記フィールドエコー群の発生に於いて,前記
    sinc関数の中心に位置する前記サブパルスと,前記
    中心に位置する前記サブパルスに隣り合わせたサブパル
    スとからなる3つのサブパルスに対応する3つのフィー
    ルドエコーのみが発生するように前記リードアウト傾斜
    磁場の印加量を定め,前記3つのサブパルスに対応する
    3つの前記フィールドエコーのみを計測し,前記フィー
    ルドエコーの取得時に励起されている領域の横磁化の向
    きがほぼ揃っているエコーのみを画像再構成に用いるこ
    とを特徴とする核磁気共鳴を用いた検査装置。
  5. 【請求項5】 所定の磁場空間に配置された被写体に印加
    する,sinc関数で振幅変調したRFバーストからな
    る励起用RFパルスを発生する手段と,前記被写体内に
    生じる核磁気共鳴にともなう信号を180度パルスによ
    り発生するスピンエコー群あるいはリードアウト傾斜磁
    場の極性反転毎に発生するフィールドエコー群として計
    測する手段とを有し,前記被写体の断層像を作成する核
    磁気共鳴を用いた検査装置に於いて,前記sinc関数
    で振幅変調したRFバーストを構成するサブパルスの個
    数が5個以上であり,前記sinc関数の中心に位置す
    る前記サブパルスと,前記中心に位置する前記サブパル
    スに隣り合わせたサブパルスとからなる3つのサブパル
    スに対応する3つのエコーのみを計測して画像再構成を
    行なうことを特徴とする核磁気共鳴を用いた検査装置。
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