JP3365589B2 - 核磁気共鳴を用いた検査装置 - Google Patents

核磁気共鳴を用いた検査装置

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JP3365589B2
JP3365589B2 JP09291795A JP9291795A JP3365589B2 JP 3365589 B2 JP3365589 B2 JP 3365589B2 JP 09291795 A JP09291795 A JP 09291795A JP 9291795 A JP9291795 A JP 9291795A JP 3365589 B2 JP3365589 B2 JP 3365589B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は核磁気共鳴を用いた検
置に係り、特に、生体のケミカルシフトに関する情報
を得ることのできる核磁気共鳴を用いた検査装置に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】核磁気共鳴現象では、同じ種類の原子を
含む物質であっても分子構造が異なれば共鳴周波数がわ
ずかに変化する。いわゆるケミカルシフトと称される現
象である。この現象を利用することによって物質ごとの
共鳴信号を分離することができるようになる。
【0003】磁気共鳴スペクトロスコピックイメージン
グ( Magnetic Resonance Spectroscopic Imaging : MRS
I )法は、このようにして分離された共鳴信号に対応す
る物質ごとに、その空間分布を画像化する手法である。
【0004】一般には、ケミカルシフト情報は時系列信
号から抽出し、空間情報の付与は各空間座標軸方向の傾
斜磁場印加量を段階的に変化させて信号計測を繰り返す
操作(位相エンコード)により行われる。
【0005】このため、例えばマトリクス数m×mの2
次元画像を計測する場合、2次元の位相エンコードが必
要となり、m×m回の信号計測を繰り返さなけばなら
ず、かなり長い計測時間を必要とする。
【0006】この計測時間を短縮する方法として、たと
えば、共鳴信号検出時に、読み出し用傾斜磁場の勾配極
性を周期的に反転させることによって、連続的に発生す
るエコー信号(以下、エコートレイン信号と呼ぶ)を検
出するものがある。この1回の励起・計測で得られるエ
コートレイン信号には、ケミカルシフト情報と1次元の
空間情報が含まれているため、マトリクス数m×mの2
次元画像を計測する場合、1次元の位相エンコードで済
み信号計測の繰り返し回数がm回となる(特公平5−8
5172号公報参照)。
【0007】図6は、このような方法を行う従来のパル
スシーケンスを示した説明図である。同図は、生体のケ
ミカルシフトに関する情報の体内分布を高速に測定する
高速MRSI法の1つのパルスシーケンス例であり、ス
ピンエコーを用いた2次元画像測定用の多重エンコード
法を示している。
【0008】同図において、まず、傾斜磁場Gzにスラ
イス選択用の傾斜磁場Gs1を印加するとともにSIN
C波形等で変調した励起用高周波パルスRF1を照射す
る。これにより、観測対象の前記傾斜磁場Gs1によっ
て特定されるスライス面内の核スピンを90°倒し励起
状態にする。
【0009】前記Gs1の印加時に分散した核スピンの
位相を揃えるために、傾斜磁場Gzに位相戻し用の傾斜
磁場Gs1’を印加する。
【0010】次に、傾斜磁場Gyに位相エンコード用の
傾斜磁場Geを印加する。これにより、励起により生じ
た核磁気共鳴信号にY軸方向の空間情報の付与がなされ
る。
【0011】さらに、RF1の照射から時間TE/2後
に、傾斜磁場Gzにスライス選択用の傾斜磁場Gs2
印加するとともにSINC波形等で変調した180°高
周波パルスRF2を照射する。これにより、励起状態に
ある核スピンを180°反転させる。
【0012】そして、核磁気共鳴信号(Sig)を計測す
る際に、傾斜磁場Gxに勾配極性を周期的に反転させた
読み出し用の傾斜磁場Grを印加し、X軸方向の空間情
報とケミカルシフト情報の双方を含んだエコー信号を連
続的に発生させる(以下、この信号をエコートレイン信
号と呼ぶ)。なお、傾斜磁場Gxに印加するGrqの面
積を、前記Grの1/4周期分の面積(斜線部)と等価
に設定することにより、前記エコー信号の発生間隔を等
間隔に設定することができる。
【0013】以上説明した操作を、前記Geの印加強度
を段階的に変化させ、Y軸方向のピクセル数に相当する
回数分、繰り返し時間TRの間隔で繰り返す。
【0014】このようにして得られた一連のエコートレ
イン信号は、奇数番目のエコーと偶数番目のエコーとに
グループ分けされた後、3次元実空間(ケミカルシフト
(δ)軸、X軸、Y軸)とフーリエ変換で結ばれる3次元
k空間(kδ軸、kx軸、ky軸)を走査する3次元デー
タ配列に再配列される。
【0015】そして、この3次元データ配列に3次元逆
フーリエ変換を施すことにより、ケミカルシフト画像を
得ることができる。
【0016】奇数番目および偶数番目のエコーグループ
から作成される2枚のケミカルシフト画像は、位相補正
後、足し合わされる。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うに構成された核磁気共鳴を用いた検査方法は、高速化
にともなう信号帯域の拡大によってケミカルシフト画像
のS/Nが低下してしまうという問題点が指摘されるに
至った。
【0018】また、空間分解能を高くするためマトリク
ス数の多い2次元画像を計測する場合、あるいは3次元
画像の計測を行う場合に計測時間が長くなってしまうと
いう問題点が指摘されるに至った。
【0019】本発明は、このような事情に基づいてなさ
れたものであり、その目的は、S/Nを向上させたケミ
カルシフト画像を得ることのできる核磁気共鳴を用いた
査装置を提供することにある。
【0020】また、他の目的は、計測時間を高速にして
ケミカルシフト画像を得ることのできる核磁気共鳴を用
いた検査装置を提供することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】本願において開示される
発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば以
下のとおりである。
【0022】(1)励起用高周波磁場パルスをスライス
用傾斜磁場とともに印加した後に、180°パルスを
スライス用傾斜磁場とともに複数回印加し、前記各
80°パルスの印加後に勾配極性を周期的に反転させ
リードアウト傾斜磁場を印加して発生するエコートレイ
ン信号を検出する工程を、前記工程毎に位相エンコード
傾斜磁場を変化させて印加するパルスシーケンスを制御
するシーケンス制御装置と、前記各工程で検出されるそ
れぞれ対応する前記各エコートレイン信号に基づいて複
数のケミカルシフト画像を作成し、前記各ケミカルシフ
ト画像の対応する画素どうしを加算する手段とを有する
ことを特徴とする核磁気共鳴を用いた検査装置である。
【0023】(2)励起用高周波磁場パルスをスライス
用傾斜磁場とともに印加した後に、180°パルスを前
記スライス用傾斜磁場とともに複数回印加し、前記各1
80°パルスの印加後に位相エンコード傾斜磁場を印加
した後に、勾配極性を周期的に反転させたリードアウト
傾斜磁場を印加して発生するエコートレイン信号を検出
し、前記エコートレイン信号を検出した後に前記位相エ
ンコード傾斜磁場の極性を反転させた位相戻し傾斜磁場
を印加する工程を、前記各180゜パルスの印加毎に、
前記位相エンコード傾斜磁場と前記位相戻し傾斜磁場と
を変化させて印加するパルスシーケンスを制御するシー
ケンス制御装置を有することを特徴とする核磁気共鳴を
用いた検査装置である。
【0024】
【作用】手段1に示した構成によれば、磁化回復の待ち
時間を利用して、同一の位相エンコード傾斜磁場で第
1、第2、第3、…第nのエコートレイン信号を得るこ
とができる。
【0025】そして、位相エンコード傾斜磁場の変化に
応じて同様に第1、第2、第3、…第nのエコートレイ
ン信号を得ることができる。
【0026】これにより、各第1のエコートレイン信号
に基づくケミカルシフト画像、各第2のエコートレイン
信号に基づくミカルシフト画像、各第3のエコートレイ
ン信号に基づくケミカルシフト画像、…、各第nのエコ
ートレイン信号に基づくケミカルシフト画像を作成して
いる。
【0027】その後、各ケミカルシフト画像の対応する
各画素を加算するようにしている。このため、位相が揃
っている本来の画像情報は加算数に応じて大きくなるの
に対して、ランダムに位相が揃っていないノイズはその
ようには大きくなることはない。
【0028】したがって、S/Nを向上させたケミカル
シフト画像を得ることができるようになる。
【0029】手段2に示した構成によれば、磁化回復の
待ち時間を利用して、第1、第2、第3、…第nのエコ
ートレイン信号を異なる位相エンコード傾斜磁場で得る
ことができる。
【0030】このため、それぞれのエコートレイン信号
に、従来より広いk空間の異なる領域を割り当てること
によって、従来と同じ計測時間で空間分解能の高いケミ
カルシフト画像を得ることができるようになる。
【0031】また、それぞれのエコートレイン信号に、
従来と同じ広さのk空間の異なる領域を割り当てること
によって、従来と同じ空間分解能のケミカルシフト画像
を得ることができるにも拘らず、計測時間の高速化が図
れるようになる。
【0032】
【実施例】実施例1. 図2は、本発明による磁気共鳴イメージング
装置の一実施例を示す概略構成図である。
【0033】同図において、被検体1が配置される計測
空間内に静磁場および傾斜磁場を発生させるための静磁
場発生マグネット2および傾斜磁場発生コイル3とが配
置されている。
【0034】傾斜磁場コイル3は、該被検体1の断層像
を得ようとするスライス面を特定させるためのスライス
選択用傾斜磁場コイルGz、該スライス面におけるy方
向の位置情報を付与させるための位相エンコード用傾斜
磁場Gy、およびx方向の位置情報を付与させるための
リードアウト用傾斜磁場Gxとから構成されている。
【0035】この傾斜磁場コイル3における前記各コイ
ルは、駆動用電源部7を介して磁場を発生できるように
なっているとともに、この磁場の発生はシーケンス制御
装置10に内蔵されているパルスシーケンスに基づくタ
イミングでなされるようになっている。
【0036】また、被検体1が配置される計測空間内に
はプローブ4が配置されており、このプローブ4からは
発振器8を介して励起用の高周波パルスが該被検体1に
照射されるようになっているとともに、この高周波パル
スの発生はシーケンス制御装置10に内蔵されている前
記パルスシーケンスに基づくタイミングでなされるよう
になっている。
【0037】そして、このプローブ4は受信器9を介し
て前記被検体1から磁気共鳴情報(エコー信号)が得ら
れるようになっており、このエコー信号は計算機5によ
って画像再構成がなされてその画像がディスプレィ6に
表示されるようになっている。この場合においても、受
信器9によるエコー信号の受信はシーケンス制御装置1
0に内蔵されている前記パルスシーケンスに基づくタイ
ミングでなされるようになっている。
【0038】図1は、シーケンス制御装置10に内蔵さ
れているパルスシーケンスの一実施例を示す説明図であ
る。
【0039】このパルスシーケンスは、生体のケミカル
シフトに関する情報の体内分布を測定するいわゆる高速
MRSI法に基づくものである。
【0040】以下、同図を用いて時間経過に応じた説明
を順次行う。
【0041】(1)傾斜磁場Gzにスライス選択用の傾
斜磁場Gs1を印加するとともにSINC波形等で変調
した励起用高周波パルスRF1を照射する。これによ
り、被検体1における所望のスライス面が特定されると
ともに、そのスライス面における核スピンを90°倒し
励起状態にさせることができる。
【0042】(2)傾斜磁場Gzに位相戻し用の傾斜磁
場Gs1’を印加する。前記Gs1の印加時に分散した核
スピンの位相を揃えるためである。
【0043】(3)RF1の照射から時間TE/2後
に、傾斜磁場Gzにスライス選択用の傾斜磁場Gs2
印加するとともにSINC波形等で変調した180°高
周波パルスRF2を照射する。これにより、前記スライ
ス面内において励起状態にある核スピンを180°反転
させることができる。
【0044】(4)傾斜磁場Gyに位相エンコード用の
傾斜磁場Geを印加する。これにより、前記RF2の照
射により生じるスピンエコー信号に該傾斜磁場Geの磁
場量に応じたY軸方向の空間情報の付与がなされる。
【0045】(5)前記スピンエコー信号を計測する時
点に一致させて、傾斜磁場Gxにリードアウト用傾斜磁
場Grを印加する。この場合、このリードアウト用傾斜
磁場Grによる磁場印加は、その勾配特性を周期的に反
転させたものとなっている。これにより、X軸方向の空
間情報とケミカルシフト情報の双方を含んだエコートレ
イン信号(Sig1)を発生させることができるようにな
る。
【0046】なお、傾斜磁場Gxに予め印加しておくG
rqの面積を、前記Grの1/4周期分の面積(斜線
部)と等価に設定することにより、前記エコー信号の発
生間隔を等間隔に調整することができるようになる。
【0047】(6)前記Sig1の検出後、傾斜磁場Gy
に前記Geの極性を反転させた位相戻し用の傾斜磁場G
rpを印加する。
【0048】(7)前記RF2の照射から時間TE後
に、傾斜磁場Gzにスライス選択用の傾斜磁場Gs3
印加するとともにSINC波形等で変調した180°高
周波パルスRF3を照射する。これにより、前記核スピ
ンを再度180°反転させることができる。
【0049】(8)傾斜磁場Gyに前記Geを印加する
ことにより、前記RF3の照射により生じるスピンエコ
ー信号にY軸方向の空間情報の付与を行う。
【0050】(9)前記スピンエコー信号を計測する時
点に一致させて、傾斜磁場Gxに、前述と同様、勾配特
性が周期的に反転される前記Grを印加する。これによ
り、エコートレイン信号(Sig2)を得ることができ
る。このエコートレイン信号(Sig2)は、いわゆる緩
和現象による若干の減衰を除いて前述エコートレイン信
号(Sig1)と同様の情報を含んでいるものとなってい
る。
【0051】(10)前記Sig2の検出後、傾斜磁場G
yに前記Geの極性を反転させた位相戻し用の傾斜磁場
Grpを印加する。
【0052】(11)前記(7)から(10)の手順と
同様の操作を複数回繰返し、第3のエコートレイン信号
(Sig3)、・・・、第nのエコートレイン信号(Sig
n)を検出する。なお、前記Sig2、Sig3、・・・、
Signの取得は、磁化回復の待ち時間を利用して行われ
る。すなわち、エコートレイン信号の強度には緩和時間
T2に従った減衰が生じるため、検出可能なエコートレ
イン信号の数は前記T2によって制限されることにな
る。
【0053】(12)前記(1)から(11)の一連の
計測手順を前記Geの印加強度を順次段階的に変化させ
ることによって行い、この変化に基づく一連の計測は、
k空間上で必要な全てのデータを取得するまで繰り返し
時間TRの間隔で繰り返えされる。
【0054】以上のようにして得られる前記Sig1から
なる一連のデータ、前記Sig2からなる一連のデータ、
・・・、前記Signからなる一連のデータの各々に対し
てデータ処理を行う。
【0055】すなわち、各一連のエコートレイン信号
は、それぞれ奇数番目のエコーと偶数番目のエコーにグ
ループ分けされた後、3次元実空間(ケミカルシフト
(δ)軸、X軸、Y軸)とフーリエ変換で結ばれる3次
元k空間(kδ軸、kx軸、ky軸)を走査する3次元
データ配列に再配列される。
【0056】これにより、前記Sig1から生成されるケ
ミカルシフト画像、前記Sig2から生成されるケミカル
シフト画像、・・・、前記Signから生成されるケミカ
ルシフト画像を得ることができる。
【0057】そして、これら各ケミカルシフト画像にお
いて、それぞれ対応する座標同士の情報を加算して、新
たなケミカルシフト画像を作成する。この新たなケミカ
ルシフト画像は、位相が揃っている本来の画像情報は加
算数に応じて大きくなるのに対して、ランダムに位相が
揃っていないノイズはそのようには大きくなることはな
いことからS/Nを向上させたものとして得ることがで
きるようになる。
【0058】なお、このように前記ケミカルシフト画像
を加算する際、いわゆる重み付け処理を行うことによっ
て、さらにS/Nを向上させたケミカルシフト画像を得
ることができるようになる。
【0059】たとえば、S/Nがr1のケミカルシフト画
像(I1)にk1を乗じたものと、S/Nがr2のケミカルシ
フト画像(I2)にk2を乗じたものとを加算した場合、両
画像のノイズに相関が無ければ、得られる画像のS/N
は(k1r1+k2r2)/√(k1 2+k2 2)となる。ここで、K=k2/k1
おくと、前式は、(r1+Kr2)/√(1+K2)となり、この式はK
=r2/r1の時、最大値をとる。この時、k1:k2=r1:r2とな
る。
【0060】すなわち、前記I1にr1を乗じたものに、
前記I2にr2を乗じたものを加算した場合に、得られる
画像のS/Nが最大となる。3組以上のケミカルシフト
画像を加算する場合にも、同様にして、各ケミカルシフ
ト画像に各画像のS/Nに比例した重み付けを行った後
に加算することによってS/Nを向上させることができ
るようになる。
【0061】また、前記Sig1から生成されるケミカル
シフト画像、前記Sig2から生成されるケミカルシフト
画像、・・・、前記Signから生成されるケミカルシフ
ト画像には、励起時から信号取得時までの各時間に依存
した、横緩和による信号減衰が生じることは知られてい
る。それ故、前記図1のパルスシーケンスにおいて、高
周波パルスの照射間隔等を図3のように変更することに
より、前記加算により得られるケミカルシフト画像のS
/Nを高めることができる。
【0062】このシーケンスでは、前記Sig2の信号減
衰を減少させるため、RF2とRF3の照射間隔をTE1
より狭め(TE1>TE1/2+TE2/2)、Sig1の
前半部とSig2の後半部を検出する。
【0063】このように信号の半分だけをサンプリング
した場合、画像再構成のための演算法を通常のフーリエ
法からハーフフーリエ法に変更する必要がある。
【0064】ここで、ハーフフーリエ法とは、たとえば
ラジオロジー(Radiology)第161巻、第527−5
31頁(1986年)等に記載されているように、画像
データが実数の場合、k空間上の計測データが相互に複
素共役の関係にあることを利用して、実際の計測はk空
間の半分の領域だけで行い、残りのデータは計算によっ
て得る方法である。このような手法を採用することによ
り、分解能(この場合は、スペクトル分解能)を低下さ
せることなくデータサンプリング数(時間)を半減する
ことができる。
【0065】なお、この場合、実際には、画像データは
誤差成分を含む複素数となり、完全な複素共役の関係が
成り立たないことから、単純な計算のみでは画質が劣化
してしまう。これに対しては、例えば特開平1−131
649に記載されているように、k空間における中心領
域の計測データを用いて画像の位相分布を推定し、位相
補正を行うことにより画質の劣化を低減する方法が知ら
れている。そして、この場合のデータ計測では、k空間
において厳密には半分ではなく、中心領域を含んだ非対
称な領域をサンプリングすることになる。Sig3以降
の検出に関しても、同様の方法で、奇数番目のエコート
レインと偶数番目のエコートレインの取得間隔を狭める
ことにより、前記加算により得られるケミカルシフト画
像のS/Nを向上させることができるようになる。
【0066】また、前記横緩和による信号減衰は、指数
関数的に生じることが分かっていることから、いわゆる
カーブフィッティング等の演算を用いて、減衰の時定数
であるT2(スピンースピン緩和時間)を算出すること
ができるようになる。このことから、各ケミカルシフト
画像の各空間座標点毎に前記演算を行うことにより、各
ケミカルシフトの横緩和時間T2の空間分布を得て、こ
れにより診断に効あらしめるようにしてもよいことはも
ちろんである。
【0067】また、前記図1のパルスシーケンスにおい
て、奇数番目のエコートレイン信号と偶数番目のエコー
トレイン信号を検出する際の読み出し用傾斜磁場の極性
を、交互に反転させた(位相を180°ずらせた)シー
ケンスを用いた場合にも、前記の場合と同様の効果が得
られる。
【0068】さらに、特開昭61−234342に記載
されているのと同様に、各エコートレイン信号の検出の
際に印加するリードアウト用傾斜磁場の位相を順次ずら
せて計測を行うようにしてもよい。このようにすること
によって、スペクトル帯域の拡大を図ることができる。
位相をずらす前とずらした後とで得られる情報を併用で
きるからである。
【0069】実施例2.図4は、シーケンス制御装置1
0に内蔵されているパルスシーケンスの他の実施例を示
す説明図である。
【0070】(1)傾斜磁場Gzにスライス選択用の傾
斜磁場Gs1を印加すると同時にSINC波形等で変調
した励起用高周波パルスRF1を照射する。これによ
り、観測対象の前記傾斜磁場Gs1によって特定される
スライス面内の核スピンを90°倒して励起状態にする
ことができる。
【0071】(2)前記Gs1の印加時に分散した核ス
ピンの位相を揃えるため、傾斜磁場Gzに位相戻し用の
傾斜磁場Gs1’を印加する。
【0072】(3)RF1の照射から時間TE/2後
に、傾斜磁場Gzにスライス選択用の傾斜磁場Gs
2(傾斜磁場Gs1と同値)を印加するとともにSINC
波形等で変調した180°高周波パルスRF2を照射す
る。これにより、励起状態にある核スピンを180°反
転させることができる。
【0073】(4)傾斜磁場Gyに位相エンコード用の
傾斜磁場Ge1を印加する。これにより、前記RF2の照
射によって生じるスピンエコー信号にY軸方向の空間情
報の付与がされる。
【0074】(5)前記スピンエコー信号を計測する際
に、傾斜磁場Gxに勾配極性を周期的に反転させた読み
出し用の傾斜磁場Grを印加し、X軸方向の空間情報と
ケミカルシフト情報の双方を含んだエコートレイン信号
(Sig1)を発生させる。
【0075】なお、この場合、傾斜磁場Gxに予め印加
しておくGrqの面積(磁場量)を、前記Grの1/4
周期分の面積(斜線部)と等価に設定することによっ
て、前記エコー信号の発生間隔を等間隔に調整すること
ができる効果を奏する。
【0076】(6)前記Sig1の検出後、傾斜磁場Gy
に前記Ge1の極性を反転させた位相戻し用の傾斜磁場
Grp1を印加する。
【0077】(7)前記RF2の照射から時間TE後
に、傾斜磁場Gzにスライス選択用の傾斜磁場Gs
3(傾斜磁場Gs1と同値)を印加するとともにSINC
波形等で変調した180°高周波パルスRF3を照射す
る。これにより、前記核スピンを再度180°反転させ
る。
【0078】(8)傾斜磁場Gyに傾斜磁場Ge2を印
加する。この傾斜磁場Ge2は前記Ge1に対して印加強
度を段階的に変化させた位相エンコード用の傾斜磁場と
なっている。これにより、前記RF3の照射により発生
するスピンエコー信号にY軸方向の空間情報の付与がな
される。
【0079】(9)前記スピンエコー信号を計測する際
に、傾斜磁場Gxに前記Grと同様の傾斜磁場、すなわ
ち、勾配極性を周期的に反転させた読み出し用の傾斜磁
場Grを印加することによって、エコートレイン信号
(Sig2)を発生させる。
【0080】(10)前記Sig2の検出後、傾斜磁場G
yに前記Ge2の極性を反転させた位相戻し用の傾斜磁
場Grp2を印加する。
【0081】(11)前記7)から10)の手順と同様
の操作を複数回繰返し、第3のエコートレイン信号(S
ig3)、・・・、第nのエコートレイン信号(Sign)
を順次検出する。なお、前記Sig2、Sig3、・・・、
Signの取得は、磁化回復の待ち時間を利用して行われ
るが、この際、エコートレイン信号の強度には緩和時間
T2に従った減衰が生じるため、検出可能なエコートレ
イン信号の数は前記T2により、制限される。
【0082】(12)前記(1)から(11)の一連の
計測手順を、位相エンコード用の傾斜磁場Ge1、G
2、・・・、Genの印加強度を段階的に変化させるこ
とによって行い、k空間上で必要な全てのデータを取得
するまで、繰り返し時間TRの間隔で繰り返す。
【0083】以上のようにして得られる前記Sig1から
なる一連のデータ、前記Sig2からなる一連のデータ、
・・・、前記Signからなる一連のデータの各々に対し
て、従来より広いk空間の異なる領域を割り当てた場
合、このようにして取得されたk空間上の全データにつ
いて「従来の技術」で述べたデータ処理を行うことによ
り、従来例と同じ計測時間で従来例より空間分解能の高
いケミカルシフト画像を得ることが可能となる。また、
前記Sig1からなる一連のデータ、前記Sig2からなる
一連のデータ、・・・、前記Signからなる一連のデー
タの各々に対して、従来と同じ広さのk空間の異なる領
域を割り当てた場合、このようにして取得されたk空間
上のデータについて上述したと同様のデータ処理を行う
ことにより、従来と同じ空間分解能のケミカルシフト画
像を、従来より短い計測時間で得ることができるように
なる。
【0084】なお、前記実施例1でも述べたように、前
記Sig1からなる一連のデータ、前記Sig2からなる一
連のデータ、・・・、前記Signからなる一連のデータ
の各々には、励起時から信号取得時までの各時間に依存
した、横緩和による信号減衰が生じる。このため、これ
ら横緩和の影響の異なるデータを、同じk空間の異なる
領域に割り当てた場合、再構成されるケミカルシフト画
像の画質に劣化が生じる。劣化の度合いは、データの割
り当て方に依存し、S/Nの高い順、すなわちエコート
レイン番号の若い順に、k空間の中心領域から周辺領域
に向かって順次割り当てていくことにより、前記画質の
劣化を減ずることができる。
【0085】また、前記図4のパルスシーケンスにおい
て、高周波パルスの照射間隔等を図5のように変更して
非対称サンプリングし、前記実施例1で述べたのと同様
にハーフフーリエ法を用いて画像再構成を行うことによ
り、前記画質の劣化を減ずることができる。
【0086】前記実施例1および実施例2では、2次元
空間を計測する場合について述べたが、Z軸方向の位相
エンコードを行うことにより、計測空間を3次元まで拡
張する場合にも、同様の効果を得ることができることは
いうまでもない。
【0087】また、高速MRSI法として、マグネティ
ック レゾナンス イン メディスン(Magnetic Reson
ance in Medicine)第1巻、第370−386頁(19
84年)等に記載されたマンスフィールド(Mansfiel
d)による提案のEPSM法およびPREP法を用いた
場合も、前記実施例に記載した方法を適用して、一回の
励起で複数のエコートレインを取得する場合にも同様の
効果を得ることができることはいうまでもない。
【0088】
【発明の効果】以上説明したことから明らかなように、
本発明による核磁気共鳴を用いた検査方法およびその装
置によれば、S/Nを向上させたケミカルシフト画像を
得ることができるようになる。
【0089】また、計測時間を高速にしてケミカルシフ
ト画像を得ることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による核磁気共鳴を用いた検査方法に用
いられるパルスシーケンスの一実施例を示す図である。
【図2】本発明による核磁気共鳴装置の一実施例を示す
概略構成図である。
【図3】本発明による核磁気共鳴を用いた検査方法に用
いられるパルスシーケンスの他の実施例を示す図であ
る。
【図4】本発明による核磁気共鳴を用いた検査方法に用
いられるパルスシーケンスの他の実施例を示す図であ
る。
【図5】本発明による核磁気共鳴を用いた検査方法に用
いられるパルスシーケンスの他の実施例を示す図であ
る。
【図6】従来の核磁気共鳴を用いた検査方法に用いられ
るパルスシーケンスの一例を示す図である。
【符号の説明】
RF・・・高周波磁場、RF1・・・90°パルス、RF2・・・
180°パルス、Gz・・・Z軸方向の傾斜磁場、Gy・・・
Y軸方向の傾斜磁場、Gx・・・X軸方向の傾斜磁場、Gs
1・・・90°スライス選択用傾斜磁場、Gs1'・・・スライス
位相戻し用傾斜磁場、Gr・・・読み出し用傾斜磁場、Gs2
・・・180°スライス選択用傾斜磁場、Ge・・・位相エン
コード用傾斜磁場、Sig・・・磁気共鳴エコートレイン信
号、TE・・・エコー時間、TR・・・繰り返し時間、RF3
・・第2の180°パルス、RF4・・・第3の180°パル
ス、Gs3・・・第2の180°スライス選択用傾斜磁場、
Gs4・・・第3の180°スライス選択用傾斜磁場、Grp・
・・エンコード位相戻し用傾斜磁場、Sig1・・・第1の磁気
共鳴エコートレイン信号、Sig2・・・第2の磁気共鳴エコ
ートレイン信号、TE1・・・第1のエコー時間、TE2・・・
第2のエコー時間、Ge1・・・第1の位相エンコード用傾
斜磁場、Ge2・・・第2の位相エンコード用傾斜磁場、Ge
3・・・第3の位相エンコード用傾斜磁場、Grp1・・・第1の
エンコード位相戻し用傾斜磁場、Grp2・・・第2のエンコ
ード位相戻し用傾斜磁場。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−13143(JP,A) 特開 昭62−54147(JP,A) 特開 平2−131746(JP,A) 特開 平5−49611(JP,A) 特開 平6−142075(JP,A) 特開 平7−79949(JP,A) 特表 平7−502907(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61B 5/055 G01R 33/20

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 励起用高周波磁場パルスをスライス用傾
    斜磁場とともに印加した後に、180°パルスを前記ス
    ライス用傾斜磁場とともに複数回印加し、前記各180
    °パルスの印加後に勾配極性を周期的に反転させたリー
    ドアウト傾斜磁場を印加して発生するエコートレイン信
    号を検出する工程を、前記工程毎に位相エンコード傾斜
    磁場を変化させて印加するパルスシーケンスを制御する
    シーケンス制御装置と、前記各工程で検出されるそれぞ
    れ対応する前記各エコートレイン信号に基づいて複数の
    ケミカルシフト画像を作成し、前記各ケミカルシフト画
    像の対応する画素どうしを加算する手段とを有すること
    を特徴とする核磁気共鳴を用いた検査装置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の核磁気共鳴を用いた検
    査装置において、前記加算する手段は、前記ケミカルシ
    フト画像を加算する際、重み付け処理を行うことを特徴
    とする核磁気共鳴を用いた検査装置。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の核磁気共鳴を用いた検
    査装置において、前記加算する手段は、前記各ケミカル
    シフト画像に各画像のS/Nに比例した重み付けを行っ
    た後に加算することを特徴とする核磁気共鳴を用いた検
    査装置。
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