JP2985421B2 - 放射性廃液の処理方法 - Google Patents
放射性廃液の処理方法Info
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、原子力施設より排出す
る放射性廃液、特に放射性核種を金属錯塩の形態で含有
する放射性廃液の処理方法に関する。
る放射性廃液、特に放射性核種を金属錯塩の形態で含有
する放射性廃液の処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】原子力施設より排出する放射性廃液は、
その処理対象物や処理方法によって放射性核種が金属錯
塩の形態で含まれるものがある。例えば、原子力プラン
トの系統除染処理後の廃液中には、除染時に使用する除
染剤成分が放射性核種とともに共存する。ここで、除染
剤の主成分は、除染方式にもよるが総じてEDTA(エ
チレンジアミン四酢酸)に代表されるキレート化剤,ク
エン酸,シュウ酸などを中心とする有機酸,無機酸など
の酸化剤,還元剤,その他腐食防止剤などであり、放射
性廃液中では、処理の対象であるコバルト,マンガン,
鉄などの放射性核種(金属成分M)が前記キレート化剤
(Yn-)と錯体化して金属錯塩(例えばM−Y2-)を形
成して存在している。
その処理対象物や処理方法によって放射性核種が金属錯
塩の形態で含まれるものがある。例えば、原子力プラン
トの系統除染処理後の廃液中には、除染時に使用する除
染剤成分が放射性核種とともに共存する。ここで、除染
剤の主成分は、除染方式にもよるが総じてEDTA(エ
チレンジアミン四酢酸)に代表されるキレート化剤,ク
エン酸,シュウ酸などを中心とする有機酸,無機酸など
の酸化剤,還元剤,その他腐食防止剤などであり、放射
性廃液中では、処理の対象であるコバルト,マンガン,
鉄などの放射性核種(金属成分M)が前記キレート化剤
(Yn-)と錯体化して金属錯塩(例えばM−Y2-)を形
成して存在している。
【0003】ところで、従来ではかかる放射性廃液に対
する有効,かつ合理的な処理方法の技術が未だ十分に確
立されてなく、通常の廃液処理に広く採用されている共
沈処理法,あるいは凝集処理法などを適用して放射性廃
液の処理を行っているのが現状である。
する有効,かつ合理的な処理方法の技術が未だ十分に確
立されてなく、通常の廃液処理に広く採用されている共
沈処理法,あるいは凝集処理法などを適用して放射性廃
液の処理を行っているのが現状である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかして、通常の廃液
処理法としてよく知られていいる前記の共沈処理法,凝
集処理法をそのまま適用して放射性廃液を処理する場合
には次に述べるような解決すべき問題点がある。すなわ
ち、共沈処理法,凝集処理法はキレート化剤が共存しな
い廃液系では有効な処理方法であるが、キレート化剤が
共存する廃液系では放射性核種がキレート化剤と強固な
金属錯体を形成し、これが共沈作用,凝集作用を阻害す
る。このために、共沈処理法,凝集処理法を有効に機能
させるためには、放射性廃液の処理過程で放射性核種と
キレート化剤の結合を解くことが必要となる。
処理法としてよく知られていいる前記の共沈処理法,凝
集処理法をそのまま適用して放射性廃液を処理する場合
には次に述べるような解決すべき問題点がある。すなわ
ち、共沈処理法,凝集処理法はキレート化剤が共存しな
い廃液系では有効な処理方法であるが、キレート化剤が
共存する廃液系では放射性核種がキレート化剤と強固な
金属錯体を形成し、これが共沈作用,凝集作用を阻害す
る。このために、共沈処理法,凝集処理法を有効に機能
させるためには、放射性廃液の処理過程で放射性核種と
キレート化剤の結合を解くことが必要となる。
【0005】一方、金属錯塩を含む廃液の処理方法とし
て、イオン交換樹脂を使用して核種イオンとキレート化
剤の結合を解き、イオン交換樹脂(陽イオン交換樹脂)
に核種イオン(Co,Mn,Fe等)を吸着させて分離
する方法も知られているが、この方法では次のような解
決すべき問題点がある。すなわち、 (1)除染剤の成分によっては処理が極めて困難であ
る。 (2)イオン交換樹脂には処理能力の限界があり、処理
対象物の濃度が高く処理負荷がイオン交換樹脂の吸着限
界を超えると処理不能となることから、イオン交換樹脂
の交換時期を見極める監視システムが必要となり、設備
が大形化する。
て、イオン交換樹脂を使用して核種イオンとキレート化
剤の結合を解き、イオン交換樹脂(陽イオン交換樹脂)
に核種イオン(Co,Mn,Fe等)を吸着させて分離
する方法も知られているが、この方法では次のような解
決すべき問題点がある。すなわち、 (1)除染剤の成分によっては処理が極めて困難であ
る。 (2)イオン交換樹脂には処理能力の限界があり、処理
対象物の濃度が高く処理負荷がイオン交換樹脂の吸着限
界を超えると処理不能となることから、イオン交換樹脂
の交換時期を見極める監視システムが必要となり、設備
が大形化する。
【0006】また、金属錯塩を含む廃液の処理方法とし
て、放射性核種を金属錯塩の形態のまま、蒸発濃縮法,
あるいは逆浸透膜フィルタ法などを採用して濃縮処理す
る方法も考えられるが、放射性廃液が高放射能レベルで
ある場合を想定すると次のような問題点が残る。すなわ
ち、 (3)一般に、蒸発濃縮法,逆浸透膜フィルタ法では、
pH調整による中和処理が前処理として必要であること
から、濃縮廃液中には中和処理によって発生する硫酸ナ
トリウム,硝酸ナトリウムなどが多量に含まれることに
なり、これが最終的には廃棄固化体の大きな割合を占め
るようになるため、高放射能レベルの廃棄固化体が多量
に発生する。このことは、高放射能レベル廃棄物の処
分,貯蔵保管の面から好ましくない。 (4)濃縮処理後の濃縮液を最終的に例えばセメント,
アスファルト,プラスチックなどで固化したとしても、
固化体中には処分の安全性に影響を及ぼすキレート成分
が含まれることになる。(注−アメリカでは放射性廃棄
物処分場(低放射能レベル)の受け入れ条件として放射
性廃棄物中に含まれるキレート化剤の量の上限を規定し
ているところがある。我が国では未だこのような規定は
ないが、今後は規定されることが想定される。) (5)一方、キレート成分が最終的な放射能廃棄物であ
る固化体に含まれないようにするためには、固化体を形
成する前段でキレート成分を分解除去する処理が必要で
あり、かつこの方法として燃焼法,高温分解法などの適
用が考えられる。しかして濃縮液の放射能レベルが高い
場合には、燃焼,あるいは分解排ガス中に含まれる放射
能がキレート成分に同伴して排出するために、排ガス処
理装置には大きな放射能除去処理能力が必要となり、結
果として処理設備が複雑,大形化する。 (6)また、前項(3)で述べた中和処理,濃縮処理後
の処理物を固化する方法としてセメント固化法などによ
り直接固化した場合は、中和処理によって発生する硫酸
ナトリウム,硝酸ナトリウムなどがそのまま固化体中に
混入するほか、さらに燃焼,熱分解後はキレート化剤な
どの有機成分の残渣として、さらに硝酸ナトリウムNaNO
3 が酸化分解後にNa2 O のような形態で固化体中に残存
する。このために、期待するほど高レベル放射性廃棄物
の減容化が得られない。
て、放射性核種を金属錯塩の形態のまま、蒸発濃縮法,
あるいは逆浸透膜フィルタ法などを採用して濃縮処理す
る方法も考えられるが、放射性廃液が高放射能レベルで
ある場合を想定すると次のような問題点が残る。すなわ
ち、 (3)一般に、蒸発濃縮法,逆浸透膜フィルタ法では、
pH調整による中和処理が前処理として必要であること
から、濃縮廃液中には中和処理によって発生する硫酸ナ
トリウム,硝酸ナトリウムなどが多量に含まれることに
なり、これが最終的には廃棄固化体の大きな割合を占め
るようになるため、高放射能レベルの廃棄固化体が多量
に発生する。このことは、高放射能レベル廃棄物の処
分,貯蔵保管の面から好ましくない。 (4)濃縮処理後の濃縮液を最終的に例えばセメント,
アスファルト,プラスチックなどで固化したとしても、
固化体中には処分の安全性に影響を及ぼすキレート成分
が含まれることになる。(注−アメリカでは放射性廃棄
物処分場(低放射能レベル)の受け入れ条件として放射
性廃棄物中に含まれるキレート化剤の量の上限を規定し
ているところがある。我が国では未だこのような規定は
ないが、今後は規定されることが想定される。) (5)一方、キレート成分が最終的な放射能廃棄物であ
る固化体に含まれないようにするためには、固化体を形
成する前段でキレート成分を分解除去する処理が必要で
あり、かつこの方法として燃焼法,高温分解法などの適
用が考えられる。しかして濃縮液の放射能レベルが高い
場合には、燃焼,あるいは分解排ガス中に含まれる放射
能がキレート成分に同伴して排出するために、排ガス処
理装置には大きな放射能除去処理能力が必要となり、結
果として処理設備が複雑,大形化する。 (6)また、前項(3)で述べた中和処理,濃縮処理後
の処理物を固化する方法としてセメント固化法などによ
り直接固化した場合は、中和処理によって発生する硫酸
ナトリウム,硝酸ナトリウムなどがそのまま固化体中に
混入するほか、さらに燃焼,熱分解後はキレート化剤な
どの有機成分の残渣として、さらに硝酸ナトリウムNaNO
3 が酸化分解後にNa2 O のような形態で固化体中に残存
する。このために、期待するほど高レベル放射性廃棄物
の減容化が得られない。
【0007】本発明は上記の点にかんがみなされたもの
であり、その目的は除染剤成分を含有する放射性廃液、
特にキレート化剤などの成分により放射性核種が金属錯
塩を形成している高放射性レベルの廃液を対象に、最終
的な廃棄物固化体中にキレー成分などの有機物成分が含
まれるのを極力抑えて高レベル放射能廃棄物物の発生量
を大幅に減量化し、併せて設備, 運転維持の費用が少な
くて済む有効, かつ合理的な放射性廃液の処理方法を提
供することにある。
であり、その目的は除染剤成分を含有する放射性廃液、
特にキレート化剤などの成分により放射性核種が金属錯
塩を形成している高放射性レベルの廃液を対象に、最終
的な廃棄物固化体中にキレー成分などの有機物成分が含
まれるのを極力抑えて高レベル放射能廃棄物物の発生量
を大幅に減量化し、併せて設備, 運転維持の費用が少な
くて済む有効, かつ合理的な放射性廃液の処理方法を提
供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明の処理方法においては、第1処理工程として
廃液をアルカリ側に調整するpH調整工程と、第2処理
工程として廃液中にオゾンを吹き込み、オゾンとの接触
反応により錯体を分解し、金属錯塩を水酸化物に変えて
析出させるオゾン処理工程と、第3処理工程として前工
程で析出した水酸化物,および金属錯塩の残渣物を濃縮
する固液分離処理工程と、第4処理工程として前工程で
発生した固液分離後の濃縮液を熱分解して溶融固化する
処理工程とを経て処理するものとする。
に、本発明の処理方法においては、第1処理工程として
廃液をアルカリ側に調整するpH調整工程と、第2処理
工程として廃液中にオゾンを吹き込み、オゾンとの接触
反応により錯体を分解し、金属錯塩を水酸化物に変えて
析出させるオゾン処理工程と、第3処理工程として前工
程で析出した水酸化物,および金属錯塩の残渣物を濃縮
する固液分離処理工程と、第4処理工程として前工程で
発生した固液分離後の濃縮液を熱分解して溶融固化する
処理工程とを経て処理するものとする。
【0009】また、前記の処理方法において、放射性廃
液中に金属錯塩の形態で存在する放射性核種を水酸化物
として効率よく析出させるには、第1処理工程で廃液の
pHを10〜13.5の範囲に調整するのが有効であ
り、さらに第2処理工程でオゾンを吹き込んだ廃液に酸
化剤を添加したり、紫外線(波長帯域210〜374nm
程度) ,ないしは超音波の照射を併用するのが効果的で
ある。
液中に金属錯塩の形態で存在する放射性核種を水酸化物
として効率よく析出させるには、第1処理工程で廃液の
pHを10〜13.5の範囲に調整するのが有効であ
り、さらに第2処理工程でオゾンを吹き込んだ廃液に酸
化剤を添加したり、紫外線(波長帯域210〜374nm
程度) ,ないしは超音波の照射を併用するのが効果的で
ある。
【0010】一方、オゾン処理で析出した水酸化物など
を濃縮して固液分離する方法としては、第3処理工程で
廃液に凝集剤を添加し、析出物を凝集濃縮して上澄液と
固液分離する方法が採用できる。また、前記の固液分離
により生じた上澄液の処理法として、上澄液を限外ろ過
膜製の中空糸膜フィルタで膜処理する方法、膜処理後に
上澄液をさらに陽イオン交換樹脂,ないしはキレート化
剤により処理して放射性核種の分離除去性能を高める実
施態様がある。さらに、オゾン処理工程で廃液中に析出
した水酸化物,金属錯塩の残渣物の濃度が低い場合に
は、これらを第3処理工程で廃液とともに一括して膜処
理して固液分離させる方法もある。
を濃縮して固液分離する方法としては、第3処理工程で
廃液に凝集剤を添加し、析出物を凝集濃縮して上澄液と
固液分離する方法が採用できる。また、前記の固液分離
により生じた上澄液の処理法として、上澄液を限外ろ過
膜製の中空糸膜フィルタで膜処理する方法、膜処理後に
上澄液をさらに陽イオン交換樹脂,ないしはキレート化
剤により処理して放射性核種の分離除去性能を高める実
施態様がある。さらに、オゾン処理工程で廃液中に析出
した水酸化物,金属錯塩の残渣物の濃度が低い場合に
は、これらを第3処理工程で廃液とともに一括して膜処
理して固液分離させる方法もある。
【0011】また、前記工程で固液分離した濃縮液を最
終的に固化させる熱分解−溶融固化方法として、第4処
理工程でマイクロ波加熱により濃縮液を熱分解し、固化
材として例えばガラスなどを添加して溶融固化処理する
方法が、高レベル放射性廃棄物の減量化,並びに排ガス
処理系への放射能移行を抑制する上で有効である。
終的に固化させる熱分解−溶融固化方法として、第4処
理工程でマイクロ波加熱により濃縮液を熱分解し、固化
材として例えばガラスなどを添加して溶融固化処理する
方法が、高レベル放射性廃棄物の減量化,並びに排ガス
処理系への放射能移行を抑制する上で有効である。
【0012】
【作用】上記の処理方法において、第1処理工程で廃液
をアルカリ側にpH調整することにより、廃液は第2処
理工程でオゾンとの接触反応で金属錯塩が分解され、こ
こで解離したCo,Mn,Feなどの金属イオン(核種
イオン)はオゾンによる酸化をを経て水中の水酸基との
反応により難溶性の金属水酸化物として析出される。こ
のオゾン処理工程で廃液中にオゾンを吹き込み,接触反
応させる際に、同時に紫外線,ないし超音波を照射する
ことにより、オゾンをOHラジカルに分解してオゾンの
酸化作用を強める働きがある。これにより放射性核種の
金属イオンはこのOH基と効率よく反応し、水酸化物に
変質して液中に析出する。また、廃液中に酸化剤を添加
し、この酸化剤の共存の下でオゾン処理を行うことでキ
レート化剤,有機酸などの有機化合物の酸化分解反応が
効率よく行われるようになる。この酸化剤の役割はラジ
カルの発生源であり、ここで発生したラジカルはラジカ
ルの連鎖反応を引き起こして有機物と反応し、最終的に
炭酸ガス,水などに分解する。
をアルカリ側にpH調整することにより、廃液は第2処
理工程でオゾンとの接触反応で金属錯塩が分解され、こ
こで解離したCo,Mn,Feなどの金属イオン(核種
イオン)はオゾンによる酸化をを経て水中の水酸基との
反応により難溶性の金属水酸化物として析出される。こ
のオゾン処理工程で廃液中にオゾンを吹き込み,接触反
応させる際に、同時に紫外線,ないし超音波を照射する
ことにより、オゾンをOHラジカルに分解してオゾンの
酸化作用を強める働きがある。これにより放射性核種の
金属イオンはこのOH基と効率よく反応し、水酸化物に
変質して液中に析出する。また、廃液中に酸化剤を添加
し、この酸化剤の共存の下でオゾン処理を行うことでキ
レート化剤,有機酸などの有機化合物の酸化分解反応が
効率よく行われるようになる。この酸化剤の役割はラジ
カルの発生源であり、ここで発生したラジカルはラジカ
ルの連鎖反応を引き起こして有機物と反応し、最終的に
炭酸ガス,水などに分解する。
【0013】そして、第2処理工程で廃液中に析出した
金属水酸化物などの生成物は、次の第3処理工程(固液
分離工程)で凝集濃縮して廃液中から分離回収された
後、第4処理工程に移行して熱分解−溶融固化処理さ
れ、最終的に高レベル放射性廃棄物として処分される。
一方、固液分離工程で生じた上澄液には凝集沈降に至ら
なかった放射性核種,有機成分などの分解残渣の一部を
含むが、これら成分は中空糸膜フィルタにより膜処理さ
れ、膜処理後の濃縮液(逆洗液)が金属水酸化物などの
生成物とともに前記の第4処理工程で熱分解−溶融固化
処理される。なお、この膜処理の前処理として上澄液に
共沈処理剤,凝集処理剤を添加することにより、核種の
膜処理による分離性能,処理運転効率がより一層向上す
る。
金属水酸化物などの生成物は、次の第3処理工程(固液
分離工程)で凝集濃縮して廃液中から分離回収された
後、第4処理工程に移行して熱分解−溶融固化処理さ
れ、最終的に高レベル放射性廃棄物として処分される。
一方、固液分離工程で生じた上澄液には凝集沈降に至ら
なかった放射性核種,有機成分などの分解残渣の一部を
含むが、これら成分は中空糸膜フィルタにより膜処理さ
れ、膜処理後の濃縮液(逆洗液)が金属水酸化物などの
生成物とともに前記の第4処理工程で熱分解−溶融固化
処理される。なお、この膜処理の前処理として上澄液に
共沈処理剤,凝集処理剤を添加することにより、核種の
膜処理による分離性能,処理運転効率がより一層向上す
る。
【0014】ところで、前記した第3処理工程における
膜処理により、上澄液中の金属水酸化物,コロイド状物
は分離除去されるが、先のpH調整工程で発生して廃液
中に共存している硫酸,苛性ソーダ,硫酸ナトリウムな
どは上澄液とともに中空糸膜フィルタを透過する。した
がって、これら成分の大半は第4処理工程(熱分解−溶
融固化処理工程)に移行しないので高放射能レベルの固
化体成分とはならず、低放射能レベルの廃棄物として処
理することが可能である。なお、上澄液の処理方法とし
て、中空糸膜処理の後にイオン交換処理,キレート化処
理を施し、上澄液中の放射性核種をイオン交換樹脂,キ
レート化剤に吸着させて分離除去することにより、さら
に高い放射能の分離除去性能が得られる。なお、この場
合に廃液中の放射性核種,金属錯塩の分解残渣は大半が
凝集沈降処理,膜処理で分離除去されているので、イオ
ン交換樹脂,キレート化剤の消費量は少なくて済み、運
転維持の費用も経済的である。
膜処理により、上澄液中の金属水酸化物,コロイド状物
は分離除去されるが、先のpH調整工程で発生して廃液
中に共存している硫酸,苛性ソーダ,硫酸ナトリウムな
どは上澄液とともに中空糸膜フィルタを透過する。した
がって、これら成分の大半は第4処理工程(熱分解−溶
融固化処理工程)に移行しないので高放射能レベルの固
化体成分とはならず、低放射能レベルの廃棄物として処
理することが可能である。なお、上澄液の処理方法とし
て、中空糸膜処理の後にイオン交換処理,キレート化処
理を施し、上澄液中の放射性核種をイオン交換樹脂,キ
レート化剤に吸着させて分離除去することにより、さら
に高い放射能の分離除去性能が得られる。なお、この場
合に廃液中の放射性核種,金属錯塩の分解残渣は大半が
凝集沈降処理,膜処理で分離除去されているので、イオ
ン交換樹脂,キレート化剤の消費量は少なくて済み、運
転維持の費用も経済的である。
【0015】一方、第4処理工程(熱分解−溶融固化処
理)では、前段の固液分離工程で分離した金属水酸化物
(放射性核種の水酸化物),金属錯塩の分解残渣成分、
キレート化剤などの有機,無機成分、およびpH調整な
どで添加した各種成分などを対象物として、熱分解によ
りこれら成分を減容させ、さらに固化材(例えばガラス
材)を添加して溶融固化させる。この場合にマイクロ波
加熱を採用することで、焼却法などと比べて加熱効率が
高く、かつ排ガス処理系への放射能移行量を低減できて
効果的である。
理)では、前段の固液分離工程で分離した金属水酸化物
(放射性核種の水酸化物),金属錯塩の分解残渣成分、
キレート化剤などの有機,無機成分、およびpH調整な
どで添加した各種成分などを対象物として、熱分解によ
りこれら成分を減容させ、さらに固化材(例えばガラス
材)を添加して溶融固化させる。この場合にマイクロ波
加熱を採用することで、焼却法などと比べて加熱効率が
高く、かつ排ガス処理系への放射能移行量を低減できて
効果的である。
【0016】
【実施例】以下本発明の実施例を図1に示した放射性廃
液の処理方法の工程フロー図を基に説明する。まず、第
1のpH調整工程で廃液のpHを10〜13.5の範囲
に調整した後、第2のオゾン処理工程にて廃液中に金属
錯塩の形態で存在している放射性核種をオゾンとの接触
反応により分解し、放射性核種を水酸化物に変質して廃
液中に析出させる。このオゾン処理工程で金属錯塩の破
壊,水酸化物の析出を効率よく行うために、廃液中に含
まれている金属錯塩の種類,清浄,濃度などの状況に応
じて酸化材の添加、紫外線,超音波の照射を行うように
している。
液の処理方法の工程フロー図を基に説明する。まず、第
1のpH調整工程で廃液のpHを10〜13.5の範囲
に調整した後、第2のオゾン処理工程にて廃液中に金属
錯塩の形態で存在している放射性核種をオゾンとの接触
反応により分解し、放射性核種を水酸化物に変質して廃
液中に析出させる。このオゾン処理工程で金属錯塩の破
壊,水酸化物の析出を効率よく行うために、廃液中に含
まれている金属錯塩の種類,清浄,濃度などの状況に応
じて酸化材の添加、紫外線,超音波の照射を行うように
している。
【0017】続く第3の固液分離工程では、廃液中に析
出した核種の水酸化物を凝集剤,共沈処理剤などを添加
して凝集沈降させ、上澄液と固液分離する。ここで核種
を含む凝集沈降物は、さらに必要により脱水濃縮した
後、第4の熱分解−溶融固化工程に移す。一方、上澄液
は限外ろ過膜製の中空糸膜フィルタにより膜処理され
る。そして、このフィルタで捕集された放射性核種およ
び金属錯塩の分解残渣分は逆洗により濃縮液(逆洗液)
として第4の熱分解−溶融固化工程に移す。さらにフィ
ルタを透過した処理液は、次にキレート化処理,あるい
はイオン交換処理して液中に微量残存する放射性核種な
どを分離除去した後、原子力施設内の低放射能廃液処理
系に移して処分される。一方、キレート化剤,イオン交
換樹脂で捕捉された放射性核種は再生処理して再生液中
に取り込み、必要により濃縮操作を行った後に第4の熱
分解−溶融固化工程に移して処理される。なお、第3の
固液分離工程で、凝集沈降物の濃度が低く、下流側の膜
処理に対する負荷も比較的小さい場合には、凝集沈降物
を脱水濃縮処理に移すことなく、そのまま上澄液ととも
に膜処理して固液分離させることも可能である。
出した核種の水酸化物を凝集剤,共沈処理剤などを添加
して凝集沈降させ、上澄液と固液分離する。ここで核種
を含む凝集沈降物は、さらに必要により脱水濃縮した
後、第4の熱分解−溶融固化工程に移す。一方、上澄液
は限外ろ過膜製の中空糸膜フィルタにより膜処理され
る。そして、このフィルタで捕集された放射性核種およ
び金属錯塩の分解残渣分は逆洗により濃縮液(逆洗液)
として第4の熱分解−溶融固化工程に移す。さらにフィ
ルタを透過した処理液は、次にキレート化処理,あるい
はイオン交換処理して液中に微量残存する放射性核種な
どを分離除去した後、原子力施設内の低放射能廃液処理
系に移して処分される。一方、キレート化剤,イオン交
換樹脂で捕捉された放射性核種は再生処理して再生液中
に取り込み、必要により濃縮操作を行った後に第4の熱
分解−溶融固化工程に移して処理される。なお、第3の
固液分離工程で、凝集沈降物の濃度が低く、下流側の膜
処理に対する負荷も比較的小さい場合には、凝集沈降物
を脱水濃縮処理に移すことなく、そのまま上澄液ととも
に膜処理して固液分離させることも可能である。
【0018】一方、第4の熱分解−溶融固化処理工程で
は、前段の固液分離工程で生じた脱水濃縮処理液,膜処
理後の濃縮液(逆洗液),キレート処理による再生液な
どをマイクロ波加熱法により加熱し、ここに含まれてい
る硫酸ナトリウム,硝酸ナトリウムなどの成分を熱分解
して減容した上で、固化材(例えばガラス材)を添加し
て溶融固化し、安定した強度の高い固化体に変える。そ
して、固化体は高放射能廃棄物として処分される。
は、前段の固液分離工程で生じた脱水濃縮処理液,膜処
理後の濃縮液(逆洗液),キレート処理による再生液な
どをマイクロ波加熱法により加熱し、ここに含まれてい
る硫酸ナトリウム,硝酸ナトリウムなどの成分を熱分解
して減容した上で、固化材(例えばガラス材)を添加し
て溶融固化し、安定した強度の高い固化体に変える。そ
して、固化体は高放射能廃棄物として処分される。
【0019】次に、原子力施設で発生する放射性廃液成
分を模擬して調製した試料を基に、発明者等が行った本
発明の処理方法の評価試験について記す。まず、模擬廃
液は、有機系キレート成分としてEDTA(エチレンジ
アミン四酢酸,二ナトリウム),有機酸(クエン酸な
ど)の濃度を250mg/l、放射性核種成分としてCo
2+イオン,Mn2+イオン,Fe2+イオンの濃度を30mg
/lとし、さらに放射性廃液が酸性であると想定して前
記の模擬廃液に硫酸を加えて硫酸濃度が約20mg/l
(0.4規定程度)となるように調製した。
分を模擬して調製した試料を基に、発明者等が行った本
発明の処理方法の評価試験について記す。まず、模擬廃
液は、有機系キレート成分としてEDTA(エチレンジ
アミン四酢酸,二ナトリウム),有機酸(クエン酸な
ど)の濃度を250mg/l、放射性核種成分としてCo
2+イオン,Mn2+イオン,Fe2+イオンの濃度を30mg
/lとし、さらに放射性廃液が酸性であると想定して前
記の模擬廃液に硫酸を加えて硫酸濃度が約20mg/l
(0.4規定程度)となるように調製した。
【0020】また、pH調整工程では模擬廃液のpHを
10〜11の範囲に調整し、オゾン処理工程では紫外
線,超音波の照射の下でオゾン処理を行い、さらに固液
分離処理後の上澄液を中空糸膜フィルタ(限外ろ過膜
製、分画分子量15万)に通して処理し、これら一連の
処理で排出した凝集沈降物,中空糸膜フィルタの濃縮
液,キレート処理後の再生液を濃縮操作した後、マイク
ロ波加熱を加えて熱分解−溶融固化処理して固化体にし
た。
10〜11の範囲に調整し、オゾン処理工程では紫外
線,超音波の照射の下でオゾン処理を行い、さらに固液
分離処理後の上澄液を中空糸膜フィルタ(限外ろ過膜
製、分画分子量15万)に通して処理し、これら一連の
処理で排出した凝集沈降物,中空糸膜フィルタの濃縮
液,キレート処理後の再生液を濃縮操作した後、マイク
ロ波加熱を加えて熱分解−溶融固化処理して固化体にし
た。
【0021】図2は上記条件で模擬廃液を処理した試験
結果のデータを基に、Co2+濃度とオゾン処理時間との
関係を表したものである。この試験結果から、模擬廃液
のCo2+濃度は処理前では30mg/lであったものが、
約1時間のオゾン処理で0.2mg/lにまで低下した。
また、図示してないがMn2+,Fe2+濃度も同じオゾン
処理時間で0.1mg/lまで低下し、それ以降はほぼ飽
和することが明らかになった。また、固液分離工程で、
廃液に凝集剤として硫酸第一鉄を添加して処理したとこ
ろ、液中に析出した金属水酸化物などの凝集沈降が早ま
るとともに、処理液中のCo2+,Mn2+,Fe2+濃度が
凝集剤を添加しない場合と比べて1/2〜1/10程度
に低まることが認められた。ここで、除去率(DF)を
処理前の核種(金属)濃度と処理後の核種濃度の比で表
すと、凝集剤を添加することによりCoの除去率は約3
00程度となる。
結果のデータを基に、Co2+濃度とオゾン処理時間との
関係を表したものである。この試験結果から、模擬廃液
のCo2+濃度は処理前では30mg/lであったものが、
約1時間のオゾン処理で0.2mg/lにまで低下した。
また、図示してないがMn2+,Fe2+濃度も同じオゾン
処理時間で0.1mg/lまで低下し、それ以降はほぼ飽
和することが明らかになった。また、固液分離工程で、
廃液に凝集剤として硫酸第一鉄を添加して処理したとこ
ろ、液中に析出した金属水酸化物などの凝集沈降が早ま
るとともに、処理液中のCo2+,Mn2+,Fe2+濃度が
凝集剤を添加しない場合と比べて1/2〜1/10程度
に低まることが認められた。ここで、除去率(DF)を
処理前の核種(金属)濃度と処理後の核種濃度の比で表
すと、凝集剤を添加することによりCoの除去率は約3
00程度となる。
【0022】また、前記試験で中空糸膜フィルタの処理
後にキレート処理(キレート樹脂を使用)を併用したと
ころ、Co2+,Mn2+,Fe2+濃度はいずれも0.00
5mg/l以下となる結果が得られた。したがって、図1
の処理フローでは、トータル的な除去率がおよそDF=
6000程度になる。次に、模擬廃液量を100m3 と
して、マイクロ波加熱により熱分解−溶融固化処理した
後の固化体の量を求め、これとは別に模擬廃液を中和処
理した後にオゾン処理を行わないでそのまま蒸発濃縮処
理し、さらにマイクロ波加熱で熱分解−溶融固化して得
た固化体の量を求めて両者を比較したところ、前者と後
者では固化体量の比が約5:500(リットル)程度で
あった。つまり、廃液中の金属錯塩をオゾン処理により
難溶性の水酸化物に変えることで、オゾン処理を行わな
い処理法と比べて固化体、つまり固体廃棄物の発生量を
約1/100に減容できることが確認された。なお、マ
イクロ波加熱を加えないで処理した場合には、前記した
固化体の発生量がそれぞれ約11リットル,1100リ
ットルに増量した。このことからマイクロ波加熱による
減容化促進の効果が確認できた。
後にキレート処理(キレート樹脂を使用)を併用したと
ころ、Co2+,Mn2+,Fe2+濃度はいずれも0.00
5mg/l以下となる結果が得られた。したがって、図1
の処理フローでは、トータル的な除去率がおよそDF=
6000程度になる。次に、模擬廃液量を100m3 と
して、マイクロ波加熱により熱分解−溶融固化処理した
後の固化体の量を求め、これとは別に模擬廃液を中和処
理した後にオゾン処理を行わないでそのまま蒸発濃縮処
理し、さらにマイクロ波加熱で熱分解−溶融固化して得
た固化体の量を求めて両者を比較したところ、前者と後
者では固化体量の比が約5:500(リットル)程度で
あった。つまり、廃液中の金属錯塩をオゾン処理により
難溶性の水酸化物に変えることで、オゾン処理を行わな
い処理法と比べて固化体、つまり固体廃棄物の発生量を
約1/100に減容できることが確認された。なお、マ
イクロ波加熱を加えないで処理した場合には、前記した
固化体の発生量がそれぞれ約11リットル,1100リ
ットルに増量した。このことからマイクロ波加熱による
減容化促進の効果が確認できた。
【0023】なお、前記の模擬廃液を試料として、pH
調整工程でpH値を様々に変えて処理試験した結果を基
に、pH値と廃液処理に必要なオゾン処理時間との関係
を調べたところ、図3で示すようにpH値は10〜1
3.5の範囲が有効であり、かつ前記した除去率(D
F)はpH値が11以上で安定した除去率の得られるこ
とが判った。また、固液分離工程で凝集剤(硫酸第一
鉄)を添加することにより、より一層高い除去率の得ら
れることが確認された。さらに、オゾン処理工程で酸化
剤(過酸化水素を使用)の添加、および紫外線照射,超
音波照射を併用した試験と、これらの方法を併用しない
で行った比較試験の結果から、前記手段を併用すること
により、先記した核種イオン濃度の低減が飽和に至るま
でのオゾン処理時間は、紫外線の照射で約30%、超音
波の照射で約10〜20%、酸化剤の添加では添加濃度
にもよるが約30〜50%短縮できることが判明した。
とりわけ、酸化剤の添加は有機系成分濃度が高い廃液に
は極めて有効であり、先記した模擬廃液を試料とした場
合には、廃液中に含む有機系成分の量に対して酸化剤を
約4倍以上の濃度となるよう添加すると有機系成分の分
解が有効に促進され、6倍以上の添加では有機系成分の
分解促進に加えてさらに高い除去率の得られることが確
認されている。
調整工程でpH値を様々に変えて処理試験した結果を基
に、pH値と廃液処理に必要なオゾン処理時間との関係
を調べたところ、図3で示すようにpH値は10〜1
3.5の範囲が有効であり、かつ前記した除去率(D
F)はpH値が11以上で安定した除去率の得られるこ
とが判った。また、固液分離工程で凝集剤(硫酸第一
鉄)を添加することにより、より一層高い除去率の得ら
れることが確認された。さらに、オゾン処理工程で酸化
剤(過酸化水素を使用)の添加、および紫外線照射,超
音波照射を併用した試験と、これらの方法を併用しない
で行った比較試験の結果から、前記手段を併用すること
により、先記した核種イオン濃度の低減が飽和に至るま
でのオゾン処理時間は、紫外線の照射で約30%、超音
波の照射で約10〜20%、酸化剤の添加では添加濃度
にもよるが約30〜50%短縮できることが判明した。
とりわけ、酸化剤の添加は有機系成分濃度が高い廃液に
は極めて有効であり、先記した模擬廃液を試料とした場
合には、廃液中に含む有機系成分の量に対して酸化剤を
約4倍以上の濃度となるよう添加すると有機系成分の分
解が有効に促進され、6倍以上の添加では有機系成分の
分解促進に加えてさらに高い除去率の得られることが確
認されている。
【0024】
【発明の効果】以上述べたように本発明の処理方法によ
れば、従来の処理方法では分離が困難であった廃液中に
金属錯塩の形態で存在している放射性核種に対し、オゾ
ン処理により金属錯塩を分解し、核種としての金属イオ
ンを難溶性の水酸化物に変えて析出した後に次段の固液
分離工程で廃液から分離除去することができる。また、
オゾン処理に加えて、後段の固液分離工程では凝集濃縮
処理と組合わせて廃液に膜処理,イオン交換処理,キレ
ート処理などを施し、かつこの一連の処理で排出された
凝集沈降物,濃縮液などをマイクロ波加熱法で熱分解,
溶融固化処理することにより、放射性核種に対する高い
除去率(DF),高放射能レベル廃棄物(固化体)の大
幅な減容化が達成できるなど、処理設備,運転コスト面
を含めて有効,かつ合理的な放射性廃液の処理方法が提
供できる。
れば、従来の処理方法では分離が困難であった廃液中に
金属錯塩の形態で存在している放射性核種に対し、オゾ
ン処理により金属錯塩を分解し、核種としての金属イオ
ンを難溶性の水酸化物に変えて析出した後に次段の固液
分離工程で廃液から分離除去することができる。また、
オゾン処理に加えて、後段の固液分離工程では凝集濃縮
処理と組合わせて廃液に膜処理,イオン交換処理,キレ
ート処理などを施し、かつこの一連の処理で排出された
凝集沈降物,濃縮液などをマイクロ波加熱法で熱分解,
溶融固化処理することにより、放射性核種に対する高い
除去率(DF),高放射能レベル廃棄物(固化体)の大
幅な減容化が達成できるなど、処理設備,運転コスト面
を含めて有効,かつ合理的な放射性廃液の処理方法が提
供できる。
【図1】本発明の実施例による処理方法の工程フロー図
【図2】Coの錯塩を含む廃液を試料として行った本発
明の処理方法によるオゾン処理時間と処理液中のCo濃
度との関係を表す図
明の処理方法によるオゾン処理時間と処理液中のCo濃
度との関係を表す図
【図3】図1におけるpH調整工程での廃液のpH値と
オゾン処理時間との関係を表す図
オゾン処理時間との関係を表す図
フロントページの続き (72)発明者 高橋 武男 神奈川県川崎市川崎区田辺新田1番1号 富士電機株式会社内 (56)参考文献 特開 平3−87699(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G21F 9/06 G21F 9/10
Claims (9)
- 【請求項1】放射性核種が金属錯塩の形態で含有されて
いる放射性廃液の処理方法であって、第1処理工程とし
て廃液をアルカリ側に調整するpH調整工程と、第2処
理工程として廃液中にオゾンを吹き込み、オゾンとの接
触反応により錯体を分解し、金属錯塩を水酸化物に変え
て析出させるオゾン処理工程と、第3処理工程として前
工程で析出した水酸化物,および金属錯塩の残渣物を濃
縮する固液分離処理工程と、第4処理工程として前工程
で発生した固液分離後の濃縮液を熱分解して溶融固化す
る処理工程とからなることを特徴とする放射性廃液の処
理方法。 - 【請求項2】請求項1記載の処理方法において、第1処
理工程で廃液のpHを10〜13.5の範囲に調整する
ことを特徴とする放射性廃液の処理方法。 - 【請求項3】請求項1記載の処理方法において、第2処
理工程でオゾンを吹き込んだ廃液に酸化剤を添加するこ
とを特徴とする放射性廃液の処理方法。 - 【請求項4】請求項1記載の処理方法において、第2処
理工程で廃液に紫外線,ないしは超音波を照射すること
を特徴とする放射性廃液の処理方法。 - 【請求項5】請求項1記載の処理方法において、第3処
理工程で廃液に凝集剤を添加し、析出物を凝集濃縮して
上澄液と固液分離することを特徴とする放射性廃液の処
理方法。 - 【請求項6】請求項5記載の処理方法において、固液分
離後の上澄液を中空糸膜フィルタで膜処理することを特
徴とする放射性廃液の処理方法。 - 【請求項7】請求項5記載の処理方法において、固液分
離後の上澄液をイオン交換樹脂,ないしキレート化剤に
より処理することを特徴とする放射性廃液の処理方法。 - 【請求項8】請求項1記載の処理方法において、第2処
理工程で廃液中に析出した水酸化物,金属錯塩の残渣物
を、第3処理工程で廃液とともに一括して膜処理するこ
とを特徴とする放射性廃液の処理方法。 - 【請求項9】請求項1記載の処理方法において、第4処
理工程でマイクロ波加熱により濃縮液を熱分解,溶融固
化処理することを特徴とする放射性廃液の処理方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3249935A JP2985421B2 (ja) | 1991-09-30 | 1991-09-30 | 放射性廃液の処理方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3249935A JP2985421B2 (ja) | 1991-09-30 | 1991-09-30 | 放射性廃液の処理方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0587982A JPH0587982A (ja) | 1993-04-09 |
JP2985421B2 true JP2985421B2 (ja) | 1999-11-29 |
Family
ID=17200365
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3249935A Expired - Lifetime JP2985421B2 (ja) | 1991-09-30 | 1991-09-30 | 放射性廃液の処理方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2985421B2 (ja) |
Families Citing this family (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2620839B2 (ja) * | 1993-11-15 | 1997-06-18 | 森川産業株式会社 | 放射性汚染物質を有するキレート剤液の処理方法 |
JP5071527B2 (ja) | 2010-06-17 | 2012-11-14 | 株式会社デンソー | 光源点灯装置、および、それを用いた灯具 |
JP5666501B2 (ja) * | 2012-03-14 | 2015-02-12 | 株式会社キクテック | 除染処理方法とその方法に使用可能な表面処理装置 |
KR101398546B1 (ko) * | 2012-06-26 | 2014-05-27 | 한국수력원자력 주식회사 | 방사성 금속폐기물 제염 폐액의 처리 방법 |
JP6400505B2 (ja) | 2015-02-24 | 2018-10-03 | 株式会社東芝 | 使用済みイオン交換樹脂の処理方法及び処理装置 |
JP7155031B2 (ja) * | 2019-02-05 | 2022-10-18 | 三菱重工業株式会社 | 高レベル放射性廃棄物の処分負荷の低減方法 |
CN118430865B (zh) * | 2024-07-02 | 2024-09-24 | 中核兰州铀浓缩有限公司 | 一种铀浓缩厂含铀废水的处理方法 |
-
1991
- 1991-09-30 JP JP3249935A patent/JP2985421B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0587982A (ja) | 1993-04-09 |
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