JP2985405B2 - エンジンの出力制御装置 - Google Patents

エンジンの出力制御装置

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JP2985405B2
JP2985405B2 JP21738791A JP21738791A JP2985405B2 JP 2985405 B2 JP2985405 B2 JP 2985405B2 JP 21738791 A JP21738791 A JP 21738791A JP 21738791 A JP21738791 A JP 21738791A JP 2985405 B2 JP2985405 B2 JP 2985405B2
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  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)
  • Valve Device For Special Equipments (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は運転条件によって吸排
気弁の作動熊様を切換える可変動弁機構を備えるエンジ
ンの出力制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】エンジンの吸排気弁を駆動する動弁装置
は、エンジンの要求する出力特性に合わせて、最適なバ
ルブタイミングが得られるように設定されている。
【0003】ところが、この要求バルブタイミングはエ
ンジンの運転条件によってそれぞれ異なり、たとえば低
負荷域ではバルブリフト、開弁期間はともに小さく、こ
れに対して高負荷域では大きなバルブリフトと開弁期間
が要求される。自動車用エンジンのように運転条件が広
範囲にわたるものは、バルブタイミングをどの運転領域
を対象とするかがなかなか難しく、いずれにしても、す
べての運転条件で最適なマッチングとすることはできな
い。
【0004】そこで、特開昭63−167016号公報
にあるように、カム特性(カムプロフィル)の異なる複
数のカムを備えておき、運転条件によってカムの切換を
行うことにより、それぞれにおいて最適なバルブタイミ
ングで運転することを可能とした、可変動弁装置が提案
されている。
【0005】これは低回転域で高いトルクをもつ低速型
のカムと、高回転域で高いトルク特性の高速型カムと
を、運転条件により切換えるもので、低速域から高速域
まで高出力を発揮させようとするものである。また、こ
れに加えて部分負荷域での燃費特性に優れた燃費カムを
備え、部分負荷域での燃費向上をはかることも提案され
ている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記したカ
ムの切換は、切換の前後でエンジン出力が不連続に変化
することのないように、同一のスロットル開度において
出力が一致する回転数を選んで行われるのであるが、選
択されるカムとして、低回転域と高回転域とで出力(ト
ルク)を重視した特性の2つのカムと、部分負荷域で燃
費を重視した燃費カムとの、3つのカムを備えている場
合、燃費カムから出力カムへの切換(あるいはこの逆へ
の切換)は、燃費カムでの発生トルクが相対的に低いこ
とから、切換の前後で同一のスロットル開度を維持しよ
うとするとトルク段差が非常に大きくなってしまう。
【0007】つまり、低速型の出力カムから高速型の出
力カムへの移行は、上記したように同一の出力となる回
転数を境に切換えればよいが、燃費カムの場合はスロッ
トル開度が同一で出力トルクが一致することがないた
め、切換時に大きなトルク段差が発生するのである。
【0008】そして燃費カムから出力カムへの切換は、
低回転域では低速型出力カム、高回転域では高速型出力
カムへと行われるが、当然のことながら低回転域では低
速型出力カムのほうが高速型出力カムよりも発生トルク
は大きく、高回転域では同じく逆になり、したがってい
ずれの回転域で切換を行うにしても、大きなトルク段差
が生じる。
【0009】なお、カムの切換は運転者の意志、つまり
アクセルペダルの開度変化等に応じて行われ、たとえば
燃費カムでの運転中にアクセルペダルがさらに踏み込ま
れて燃費カムでの領域を越えた出力トルクを要求してい
るときは、そのときの回転域から低速型か高速型の出力
カムのいずれかが選択され、切換えられることになる。
【0010】そこでこのような切換の前後で発生する大
きなトルク段差を吸収するため、スロットルバルブをア
クセルペダルとは切り離して独立して開度を制御できる
構成にしておき、切換時のスロットル開度や回転数等か
ら判定したトルク段差を吸収するのに必要なだけ、自動
的にスロットル開度や点火時期等を補正することによ
り、出力を一致させるようにしている。たとえば燃費カ
ムから出力カムへと移行するときは、そのままのスロッ
トル開度では出力トルクが急増するので、スロットルバ
ルブの開度を減じ、また点火時期を一時的にリタードす
るのである。
【0011】ところで、カムの切換は油圧を利用して各
カムに応動するロッカーアームを選択的に結合すること
により行うため、カムの切換信号を油圧切換用の電磁弁
などに出力してから実際にカムが切換わるまでに応答遅
れがある。
【0012】この応答遅れは、作動油の油温と油圧に大
きく影響されるので、これらに応じて応答遅れ時間を設
定しておくと、カムの切換に合わせて上記の出力補正を
行わせることができる。
【0013】しかしながら、作動油の劣化などにより油
圧系に作動不良が起こり、応答遅れが大きくなってしま
ったときにまで、カムの切換に合わせた出力補正を実行
させるのでは、アクセルペダルを一気に踏み込んでも出
力の増加が追いついていかなため、望みの加速感が得ら
れなくなる。
【0014】たとえば、劣化の生じていない作動油であ
れば、油圧がカム切換の可能な油圧にすぐに上昇し、切
換信号出力直後のカムのベースサークル域でカムが切換
えられるのに、作動油の劣化により油圧が上昇せず、カ
ム切換の可能な油圧に達するのが遅れるようになると、
正常なときと相違して切換信号出力直後のカムのベース
サークル域になってもカムが切換わらず、さらに次のあ
るいは次の次のベースサークル域まで待たないと切換わ
らなかったりして応答遅れが一層大きくなる。こうした
作動不良により燃費カムからなかなか出力カムに切換わ
らないので、急加速を行っても、出力がなかなか増加し
ないのである。
【0015】また、作動不良はスロットルバルブを駆動
するアクチュエータにも生じることがあり、作動不良に
よってスロットル開度の補正開始から補正終了までの応
答遅れが異常に大きくなったときは、カム切換時のトル
ク段差を吸収しきれない。
【0016】そこでこの発明は、こうしたバルブ作動態
切換時の応答速度やスロットル開度補正時の応答速度
を実際に計測し、この値があらかめ定めた最低速度を下
回るときは燃費バルブ作動態様への切換を禁止すること
により、油圧系の作動不食にもかかわらず加速不足が生
じないようにすることやスロットルアクチュエータの作
動不良にもかかわらずトルク段差が生じないようにする
ことを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】第1の発明は、図1で示
すように、高出力を発生する特性に設定した出力バルブ
作動態様71、燃費が良好となる特性に設定した燃費バ
ルブ作動態様72と、これらのバルブ作動態様を油圧切
換弁の作動によって選択的に切換える切換機構73と、
運転条件を検出するセンサ74と、この運転条件に応じ
バルブ作動態様を切換えるかどうかを判定する手段7
5と、この判定結果よりバルブ作動態様の切換えが判定
されたときは切換信号を前記切換機構73の油圧切換弁
に出力する手段76と、前記切換時に切換前後の発生ト
ルクが同一となるようにエンジン出力を補正する手段7
7とを備えたエンジンにおいて、前記切換信号の出力か
バルブ作動態様切換までの応答速度を測定する手段7
8と、この応答速度をあらかじめ定めた最低速度と比較
する手段79と、この比較結果と前記判定結果より応答
速度が最低速度を下回るときは出力バルブ態様から燃費
バルブ態様への切換を禁止する手段80とを設けた。
【0018】第2の発明は、図2で示したように、 高
出力を発生する特性に設定した出力バルブ作動態様71
と、燃費が良好となる特性に設定した燃費バルブ作動態
72と、これらのバルブ作動態様を選択的に切換え
換機構91と、運転条件を検出するセンサ74と、こ
の運転条件に応じてバルブ作動態様を切換えるかどうか
を判定する手段75と、この判定結果よりバルブ作動態
様の切換えが判定されたときは切換信号を前記切換機構
91に出力する手段と、アクセルペダルとは独立してス
ロットルバルブを開閉駆動するアクチュエータ92と、
要求アクセル開度に応じた出力トルクが生じるようにス
ロットル開度を制御する手段93と、前記切換時に切換
前後の発生トルクが同一となるようにスロットル開度を
補正する手段94とを備えたエンジンにおいて、前記ス
ロットル開度の補正開始から補正終了までの応答速度を
測定する手段95と、この応答速度をあらかじめ定めた
最低速度と比較する手段79と、この比較結果と前記判
定結果より応答速度が最低速度を下回るときは出力バル
ブ態様から燃費バルブ熊様への切換を禁止する手段80
とを設けた。
【0019】
【作用】バルブ作動態様切換時のトルク段差を吸収する
には、実際のバルブ作動態様の切換に合わせて出力補正
を実行する必要がある。
【0020】油圧切換弁の作動によっでバルブ作動態様
を切換えるとき、この切換弁に切換信号を出力してから
バルブ作動態様が実際に切換わるまでの応答遅れ時間は
油圧切換弁に供給される作動油の油温と油圧に応じて定
まるので、これによって、実際のバルブ作動態様の切換
に合わせた出力補正を実行することができる。
【0021】しかしながら、作動油の劣化などに起因し
て油圧がバルブ作動態様の切換が可能な油圧にまで上昇
するのが遅れて、例えばカムのベースサークル域になっ
てもカムが切換わりにくくなるなど、予定している最低
速度を下回るほど実際の応答速度が異常に小さくなる
と、アクセルペダルを急激に踏み込んでも、これに対応
して出力が大きくならないため、望みの加速感が得られ
ない。
【0022】これに対して第1の発明で、実際の応答速
度が最低速度を下回ったとき燃費バルブ作動態様への
換が禁止されると、加速要求に対して高出力を発生する
出力バルブ作動態様で対応することになり、これにより
加速不足を感じさせないですむ。
【0023】一方、バルブ作動態様切換時の出力補正
を、アクセルペダルとは独立して駆動されるアクチュエ
ータによりスロットル開度を増減して行うものでは、そ
のスロットルアクチュエータの作動不良によって、スロ
ットル開度の補正開始から補正終了までの応答速度が予
定している最低速度を下回るほど小さくなったとき、実
際のバルブ作動態様の切換に合わせてスロットル開度を
応答よく補正することができない。
【0024】これに対して、第2の発明で実際の応答速
度が測定され、この実応答速度が最低速度を下回ったと
燃費バルブ作動態様への切換が禁止されると、バルブ
作動態様の切換時にスロットル開度を補正しなくともす
むのであり、出力バルブ作動態様だけを用いるのであれ
ば、トルク段差が生じることもない。
【0025】
【実施例】まず、図3,図4に実施例の可変動弁装置の
具体的な構成を示すが、これ自体は本出願人により、特
願平2−117261号として、既に提案されている。
【0026】21は燃費重視型のカムプロフィルに設定
され、カムリフトおよびリフト区間のともに小さい第1
カム(燃費カム)、22は低回転域で高トルクを発生す
るカムプロフィルに設定され、前記第1カム21よりも
カムリフトが相対的に大きい第2カム(低速型出力カ
ム)、23は高回転域で高トルクを発生するカムプロフ
ィルに設定され、第2カム22よりもカムリフト、リフ
ト区間の大きい第3カム(高速型出力カム)で、これら
は同一のカムシャフトに並列的に設けられる。
【0027】24は吸・排気弁(吸気弁または排気
弁)、25はローラ26を介して前記第1カム21と常
時接触するメインロッカーアームで、ロッカーシャフト
27を支点に揺動して、吸・排気弁24を開閉する。
【0028】メインロッカーアーム25にはシャフト3
0を支点にして揺動する2つのサブロッカーアーム2
8,29が前記ローラ26と並列的に支持され、一方の
サブロッカーアーム28は前記第2カム22と、他方の
サブロッカーアーム29は前記第3カム23と接触す
る。
【0029】これらサブロッカーアーム28,29はメ
インロッカーアーム25と係合していないときは、ロス
トモーションスプリング31により常時第2,第3カム
22,23に接触するように付勢され、メインロッカー
アーム25からは独立して運動(揺動)する。
【0030】これらサブロッカーアーム28,29をメ
インロッカーアーム25に対して選択的に係合するた
め、まず一方のサブロッカーアーム28の揺動部位には
円柱形のピン32が、またメインロッカーアーム25に
もこのピン32と同軸上にピン34が、それぞれカムシ
ャフト方向に摺動自在に配設され、かつこれらピン3
2,34は常時はリターンスプリング36に付勢されて
図3の状態に保持され、メインロッカーアーム25との
係合を解かれているが、ピン34の収装された油圧室3
8に通路40を介して圧油が導かれると、ピン32と3
4が所定量だけ押し出されて、サブロッカーアーム28
がメインロッカーアーム25と係合するようになってい
る。
【0031】サブロッカーアーム28がメインロッカー
アーム25と一体になるのは、第1カム21および第2
カム22がベースサークルにあるときで、一体後は第1
カム21よりもリフトの大きい第2カム22にしたがっ
たバルブタイミングに切換わる。
【0032】つまり、第1カム21による燃費重視の特
性から、第2カム22による低回転域での出力重視特性
に切換えられるのである。
【0033】他方のサブロッカーアーム29について
も、これと同様に構成され、油圧室39に通路41を介
して圧油が導かれると、ピン35と33がリターンスプ
リング37に抗して押し出され、サブロッカーアーム2
9がメインロッカーアーム25に係合することにより、
バルブタイミングは前記と同じく第1カム21よりもリ
フト、リフト区間のともに大きい第3カム23に依存す
るように切換えられ、高回転域での出力重視の特性が得
られるのである。
【0034】なお、図5に第1カム21から第3カム2
3までのバルブリフト特性を示す。そして、各カムを用
いたときの全開出力特性は、図6のようになり、第1カ
ムによれば、発生トルクは低いものの燃費がよく、第2
カムでは低回転域での最大トルクが最も高く、第3カム
23は低回転域での発生トルクは第2カム22よりも小
さいものの、高回転域での最大トルクは最も大きくな
る。
【0035】ところで、第1カム21から第2、第3カ
ム22,23への切換や、その反対に第2、第3カム2
2,23から第1カム21への切換を制御するために図
7に示すようなコントロールユニット51が備えられ、
運転状態によって最適なカムが選択されるのである。
【0036】コントロールユニット51におけるこのカ
ムの選択は図6の特性に基づいて、要求するトルクと回
転数がたとえば燃費カムである第1カム21の領域にあ
るときはこの燃費カムを使い、この状態からアクセル開
度が増加して要求トルクが燃費カムの領域を外れてたと
えば低速型出力カムである第2カム22の領域に移行す
ると、燃費カムから低速型出力カムに切換えられ、ま
た、回転数が低回転域から高回転域に上昇してくると、
高速型出力カムである第3カム23に切換えられるので
ある。
【0037】このため、コントロールユニット51には
エンジン回転数N、クランク角度位置を検出するクラン
ク角度センサ52、アクセルペダルの操作量(踏み込み
量)を検出するアクセル操作量センサ53、実際に選択
されたカム位置を検出するカムポジションセンサ58か
らの信号が入力し、これらに基づいて上記のようにカム
の切換が判定されたら、前記2つの油圧室38,39へ
の油圧の切換を行う電磁弁45と46の作動を制御する
のである。
【0038】つまり、一方の電磁弁45が開かれると第
2カム22を働かせるために油圧室38にオイルポンプ
からの圧油が導かれ、他方の電磁弁46を開くことによ
り今度は第3カム23を働かせるため油圧室39に圧油
が導かれるのである。
【0039】ところで、コントロールユニット51は、
このようなカムの切換時に大きなトルク段差を生じ、不
連続な出力変動により運転性を悪化させたり、車体振動
を誘発したりする現象を回避するために、切換に対応し
て吸気通路に設けたスロットルバルブ57の開度と、点
火装置59の点火時期を補正する。
【0040】スロットルバルブ57はコントロールユニ
ット51からの指令信号を受けるサーボ駆動回路55、
およびこの駆動信号に基づいて作動するサーボモータ5
6を介して、図示しないアクセルペダルとは独立して開
度が増減され、同時にスロットルバルブ57の実際の開
度はスロットル開度センサ54を介してコントロールユ
ニット51にフィードバックされる。
【0041】コントロールユニット51は基本的にはア
クセル操作量センサ53の信号から要求トルクを判断
し、カムポジションセンサ58の出力から求めたそのと
きのカム位置で、要求トルクを発生するのに必要なスロ
ットル開度位置を演算し、サーボモータ56を介してス
ロットルバルブ57の開度を決定する。そして、カム切
換が判断されたときは、第1カムから第2または第3カ
ムへの切換時には、サーボ駆動回路55、サーボモータ
56を介してスロットルバルブ57の開度を、その切換
時のトルク段差に応じて減少するように補正し、トルク
増大分を吸収する。また、第2または第3カムから第1
カムに切換わるときは、逆にスロットルバルブ57の開
度を増大させてトルク段差を吸収する方向に出力の補正
を行う。
【0042】また、コントロールユニット51は同時に
点火装置59に対する点火時期信号をカム切換時に一定
時間だけリタードさせることにより、トルク段差を吸収
する方向に出力を補正する。
【0043】これらの出力補正の様子を具体的に示した
のが図8の(a),(b)で、前者は燃費カムから出力
(低速型)カムに切換えた場合、後者は出力カムから燃
費カムに切換えた場合である。
【0044】図8(a)に示すように、燃費カムから出
力カムに切換えたときに、スロットル開度(TVO)を
実線のように切換前後で変化させないと、トルクは大き
く増加し、またブースト(吸入負圧)も切換に伴い強ま
る。
【0045】これに対して、切換時にスロットル開度を
点線で示すように所定量だけ減少させ、かつ点火時期を
一時的にリタードさせると、二点鎖線で示すように、ト
ルクは切換前と同一値をとり、トルク変動が吸収される
のである。
【0046】なお、スロットル開度を減少させても、切
換直後のトルクが定常時よりも過渡的に増加するのは、
ブーストが小さい状態で燃費カムから出力カムに切換わ
り、切換直後にシリンダ内に蓄えられる吸入空気量(燃
料量)が一時的に増えるためで、この分を点火時期をリ
タードして出力を低下させることにより補正するのであ
る。
【0047】低速型出力カムから燃費カムに切換えたと
きは、図8(b)に示すように、スロットル開度が同一
のままではトルクが大きく減少するが、スロットル開度
を点線で示すように所定量だけ開く(増加する)こと
で、トルクの落ち込みを防ぐことができ、しかも切換直
前の強いブーストで出力カムから燃費カムに切換えるこ
とにより、さらにトルクが急減少するのを、切換の直前
であらかじめスロットルを開き、また、そのままだとト
ルクが大きくなりすぎるので、点火時期を同時にリター
ドさせることにより、切換の前後におけるトルク変動を
防止することができる。
【0048】このようにして、カムの切換に同期して出
力補正を行うことで、トルク変動を吸収することができ
るのだが、この出力補正は正しくカムの切換に同期させ
る必要があり、しかも、出力カムから燃費カムへの切換
時には、実際の切換よりもわずかに出力補正を先行させ
る必要もある。
【0049】ところで、前述したようにカムの切換は油
圧を利用して行うため、カムの切換信号を出力してから
カムが切換わるまでに油圧系の応答遅れがある。
【0050】この応答遅れ時間は、作動油の油温と油圧
に依存するので、これらの油温と油圧に応じて応答遅れ
時間をあらかじめ設定しておくと、カムの切換に合わせ
たタイミングで出力補正を行うことができる。
【0051】しかしながら、長期の使用によって作動油
が劣化したりすると、油圧がカム切換の可能な油圧にま
で上昇するのが遅れ、カムのベースサークル域になって
もカムが切換わりにくく、実際の応答遅れ時間が設定値
を越えて異常に大きくなる。つまり出力カムへとなかな
か切換わらないのであるから、アクセルペダルを急激に
踏み込んでも、これに対応して出力が大きくならず、望
みの加速感が得られない。
【0052】したがって、実際の応答遅れ時間をみて出
力補正のタイミングを調整することも必要であるが、作
動不良によって、加速感を損なうほど実際の応答遅れ時
間が長引いたときには、かえってカムを切換えることな
く出力カムだけを用いたほうが加速不足を感じさせない
ですむのであり、これにより運転性をよくすることがで
きる。
【0053】そこで、コントロールユニット51はカム
切換信号の出力からカムの切換までの応答速度を実際に
測定し、これとあらかじめ定めている最低速度との比較
結果に応じ、最低速度を下回るときは燃費カムへのカム
切換を禁止するようになっており、具体的には図9に示
すフローチャートにしたがって説明する。なお、このフ
ローチャートはカムの切換が判断されるたびに実行す
る。
【0054】まず、メモリに入っている前回処理時まで
のn−1個の応答速度v1〜vn-1を読み出しておく(ス
テップ1)。
【0055】そのあとカム切換信号を出力するととも
に、その出力のタイミングからカムが切換わるまでの実
際の応答時間を測定し、この値から応答速度vnを求め
る(ステップ2,3)。
【0056】実応答遅れ時間は、電磁弁45,46の下
流側の油圧を検出するセンサ61を設けておくと、その
油圧変化から容易に求めることができる。電磁弁下流側
の油圧は、カム切換のために電磁弁が切換わってから所
定値まで上昇するが、その後ピンの移動により油圧が一
時的に低下してから所定値で安定するという特性をもつ
ので、この一時的低下を、電磁弁下流側に発生する油圧
の微分波形から判断するのである。
【0057】この応答遅れ時間の逆数を求めると、速度
の単位に変換される、つまり応答速度相当となる。
【0058】こうして求めた今回処理時の値であるvn
と前回処理までの各値であるv1〜vn-1とから応答速度
についての加重平均値vを計算する(ステップ4)。加
重平均値を採用するのは制御の安定性のためである。
【0059】その一方で、切換後のカムがいずれのカム
にあるのかをカムポジションセンサ58により検出し、
その識別結果をメモリのNに入れるとともに、このNの
値をみて燃費カムにあるかどうかを確かめる(ステップ
5,6)。なお、カム識別のため、燃費カムであればN
に“1”を、低速カムであればNに“2”をまた高速カ
ムであればNに“3”を入れている。
【0060】N≠1より出力カムに切換わっているとき
は、応答速度の加重平均値vと最低速度V0とを比較
し、v<V0であれば最低速度を下回っていると判断し
て、フラグFを“1”とする(ステップ8)。このフラ
グFの値を、出力カムから燃費カムへの切換が判定され
た後に確かめて、F=1のときは切換信号が出力されな
いようにする。このフラグFは出力カムから燃費カムへ
の切換を禁止するかどうかを決めるフラグである。
【0061】加速不足は特に低中回転域での加速におい
て大きく感じるものであるが、図6でも示したように、
これらの回転域は低速型出力カム(第2カム)だけでカ
バーできるのであるから、応答速度があらかじめ定めた
最低速度V0よりも遅くなったとき、燃費カムへの切換
を禁止してこの低速型出力カムだけで運転者の加速要求
に対応させることで、加速感をそこなわないようにする
のである。
【0062】また、作動不良によって加速感をそこなう
ほど実際の応答遅れ時間が長引く事態からは、油圧系に
作動油の劣化などの異常があるともいえるので、その結
果を知らせるため、運転席に設けた警告ランプをつけて
いる(ステップ9)。異常ある事態を放置しておくのは
望ましいことでなく、正常な事態に早く復帰させるよう
にうながすのである。
【0063】一方、出力カムに切換わっていても、v≧
V0のときは異常ないとして、また燃費カムに切換わっ
ているときもそれぞれ応答速度v2〜vnの値をメモリに
セーブする(ステップ7,10、ステップ6,10)。
【0064】ところで、サーボモータ56やサーボ駆動
回路55に作動不良を生じ、スロットルバルブがゆっく
りとしか開閉しなくなったときは、このサーボモータな
どの大きな応答遅れにより実際のカム切換に合わせてス
ロットル開度を応答よく補正することができず、トルク
段差が残ることになる。
【0065】このときは、スロットル開度の補正開始か
ら補正終了までの応答時間を計測し、この応答時間でス
ロットル操作量をわるとスロットルの応答速度が求ま
る。この速度があらかじめ定めた最低速度を下回ると、
出力カムから燃費カムへのカム切換を禁止する。
【0066】サーボ駆動回路55に駆動信号を出力した
タイミングをスロットル開度の補正開始とし、補正終了
はスロットル開度センサ54により検出する。
【0067】この例では、燃費カムへのカム切換を禁止
することで、カム切換時にスロットル開度を補正しなく
ともすむのであり、出力カムだけを用いるのであれば、
トルク段差が生じることもないのである。
【0068】実施例では出力カムを低速型と高速型の2
つに分けているが、1つの出力カムに対しても同様に適
用することができる。
【0069】なお、フローチャートと図1との関係は次
の通りである。図9のステップ2が切換信号出力手段7
6、ステップ3,4が応答速度測定手段78、ステップ
7が比較手段79、ステップ8が切換禁止手段80の各
機能を果たしている。
【0070】
【発明の効果】第1の発明は、出力バルブ作動態様と燃
費バルブ作動態様の2つのバルブ作動態様を油圧切換弁
の作動によって選択的に切換える切換機構を備えるもの
において、切換信号の出力からバルブ作動態様の切換ま
での応答速度を測定し、この応答速度があらかじめ定め
た最低速度を下回るときは、燃費バルブ作動態様への切
換を禁止するため、出力バルブ作動態様だけで対応する
ことになり、これにより望みの加速感が得られる。
【0071】第2の発明は、出力バルブ作動態様と燃費
バルブ作動態様の2つのバルブ作動態様を切換える切換
機構を備え、かつバルブ作動態様の切換時に切換前後の
発生トルクが同一となるようにする出力補正を、アクセ
ルペダルと独立して設けたアクチュエータによりスロッ
トル開度を増減することによって行うようにしたものに
おいて、スロットル開度の補正開始から補正終了までの
応答速度を計測し、この応答速度があらかじめ定めた最
低速度を下回るときは、出力バルブ作動態様から燃費バ
ルブ作動態様への切換を禁止するため、バルブ作動態様
切換に伴うトルク段差を生じなくてすむ。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の発明のクレーム対応図である。
【図2】第2の発明のクレーム対応図である。
【図3】一実施例の可変動弁装置の平面図である。
【図4】図3のX−X線断面図である。
【図5】前記装置のバルブリフトの特性図である。
【図6】前記装置の全開トルクの特性図である。
【図7】前記実施例の制御系統の構成図である。
【図8】カム切換時のトルク変動の様子を示す波形図で
ある。
【図9】前記実施例の制御動作を説明するための流れ図
である。
【符号の説明】
21 第1カム(燃費カム) 22 第2カム(低速型出力カム) 23 第3カム(高速型出力カム) 24 吸・排気弁 25 メインロッカーアーム 28,29 サブロッカーアーム 32〜35 ピン 38,39 油圧室 45,46 電磁弁(油圧切換弁) 51 コントロールユニット 52 クランク角度センサ(エンジン回転数センサ) 53 アクセル操作量センサ 54 スロットル開度センサ 56 サーボモータ 57 スロットルバルブ 58 カムポジションセンサ 61 油圧センサ 71 出力カム 72 燃費カム 73 カム切換機構 74 運転条件センサ 75 カム切換判定手段 76 切換信号出力手段 77 出力補正手段 78 応答速度測定手段 79 比較手段 80 切換禁止手段 91 カム切換機構 92 スロットルアクチュエータ 93 スロットル制御手段 94 スロットル補正手段 95 応答速度測定手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI F02D 41/02 301 F02D 41/02 301A 320 320 45/00 310 45/00 310A

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高出力を発生する特性に設定した出力バ
    ルブ作動態様と、燃費が良好となる特性に設定した燃費
    バルブ作動態様と、これらのバルブ作動態様を油圧切換
    弁の作動によって選択的に切換える切換機構と、運転条
    件を検出するセンサと、この運転条件に応じてバルブ作
    動態様を切換えるかどうかを判定する手段と、この判定
    結果よりバルブ作動態様の切換えが判定されたときは切
    換信号を前記切換機構の油圧切換弁に出力する手段と、
    記切換時に切換前後の発生トルクが同一となるように
    エンジン出力を補正する手段とを備えたエンジンにおい
    て、前記切換信号の出力からバルブ作動態様切換までの
    応答速度を測定する手段と、この応答速度をあらかじめ
    定めた最低速度と比較する手段と、この比較結果と前記
    判定結果より応答速度が最低速度を下回るときは出力バ
    ルブ態様から燃費バルブ態様への切換を禁止する手段と
    を設けたことを特徴とするエンジンの出力制御装置。
  2. 【請求項2】 高出力を発生する特性に設定した出力バ
    ルブ作動態様と、燃費が良好となる特性に設定した燃費
    バルブ作動態様と、これらのバルブ作動態様を選択的に
    切換える切換機構と、運転条件を検出するセンサと、こ
    の運転条件に応じてバルブ作動態様を切換えるかどうか
    を判定する手段と、この判定結果よりバルブ作動態様の
    切換えが判定されたときは切換信号を前記切換機構に出
    力する手段と、アクセルペダルとは独立してスロットル
    バルブを開閉駆動するアクチュエータと、要求アクセル
    開度に応じた出力トルクが生じるようにスロットル開度
    を制御する手段と、前記切換時に切換前後の発生トルク
    が同一となるようにスロットル開度を補正する手段とを
    備えたエンジンにおいて、前記スロットル開度の補正開
    始から補正終了までの応答速度を測定する手段と、この
    応答速度をあらかじめ定めた最低速度と比較する手段
    と、この比較結果と前記判定結果より応答速度が最低速
    度を下回るときは出力バルブ態様から燃費バルブ態様
    の切換を禁止する手段とを設けたことを特徴とするエン
    ジンの出力制御装置。
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