JP2982538B2 - 変速段判断装置 - Google Patents

変速段判断装置

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JP2982538B2 JP2202893A JP2202893A JP2982538B2 JP 2982538 B2 JP2982538 B2 JP 2982538B2 JP 2202893 A JP2202893 A JP 2202893A JP 2202893 A JP2202893 A JP 2202893A JP 2982538 B2 JP2982538 B2 JP 2982538B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、車両の変速機におけ
る変速段の判断を行うための変速段判断装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車等の変速機を有する車両に
おいて、変速機の変速段(シフト位置)の判断を行う変
速段判断装置が使用されている。このような変速段判断
装置の具体例としては、例えば、特開昭59−2934
号公報に記載された最適シフト位置表示装置の発明があ
る。この公報に記載された技術においては、車両の走行
速度やエンジンの回転数等の各種のデータを測定するセ
ンサ類が備えられており、またこれらのセンサ類による
測定データを解析して現在の車両の運転状態における最
適のシフト位置を算出する手段が設けられている。さら
に、変速機の実際のシフト位置を検出する手段と、算出
された最適シフト位置と検出された実際のシフト位置と
を比較する手段が備えられている。そして、算出された
最適シフト位置と実際のシフト位置とが一致しない場合
には、所定の表示を行うことによって、運転者に最適シ
フト位置へのシフトチェンジを示唆する機能を有してい
る。これによって、運転者は常に現在の運転状態におけ
る最適シフト位置を知ることができ、またこのように示
唆された最適シフト位置へのシフトチェンジを実行する
ことによって、最適な運転状態で車両を走行させること
ができる。
【0003】さて、かかる構成を有する最適シフト位置
表示装置における実際のシフト位置を検出する手段(変
速段判断装置)は、以下の如き構成を有している。すな
わち、この変速段判断装置は、変速機の入力軸の回転数
を検出する手段と、変速機の出力軸の回転数を検出する
手段と、これらの検出値から入力軸と出力軸の回転数比
を算出する手段と、この回転数比に基づいてデータマッ
プを参照して変速機の変速段を判断する手段とを備えて
いる。このデータマップには、各変速段ごとのギア比に
対応する入力軸と出力軸の回転数比の値が記憶されてい
る。そして、上記で算出された回転数比の値がこのデー
タマップに記憶された回転数比と比較されることによっ
て、変速段の判断が行われる。このようにして、車両の
変速機における実際の変速段を検出することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、車両が
加速状態から減速状態にあるいは減速状態から加速状態
に切り替わるとき(以下、「加減速変移時」とい
う。)、あるいはトルクが急激に変化するときには、変
速機のギアにバックラッシュが発生したり、入力軸から
出力軸までの駆動力伝達系内にねじりを生ずることがあ
る。かかる変速機のギアのバックラッシュや駆動力伝達
系のねじりは、測定される入力軸あるいは出力軸の回転
数の遅れを生じ、算出される回転数比が実際の変速段の
ギア比に対応する値からずれる。従って、このような誤
差を含んだ回転数比に基づいて変速段が判断される結
果、誤った判断が行われる可能性がある。このように、
従来の変速段判断装置においては、車両の加減速変移時
あるいはトルクが急激に変化したときに正しい変速段の
判断が保証されないという問題点があった。そこで本発
明においては、車両の加減速変移時やトルクが急激に変
化したときにも誤判断が行われることなく、常に正しい
変速段の判断を行うことができる変速段判断装置を提供
することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明に係る変速段判断装置は、次のように構成さ
れている。すなわち、この変速段判断装置は、その構成
が図1に模式的に示されるように、車両の変速機M6の
入力軸M4の回転数を検出する手段M2と、変速機M6
の出力軸M8の回転数を検出する手段M10と、これら
の検出値から入力軸M4と出力軸M8の回転数の比を算
出する手段M12と、算出された回転数比を各変速段に
対応する基準値と比較することによって変速機M6の変
速段を判断する手段M14とを有する変速段判断装置に
おいて、車両の加速度を検出する手段M18と、加速度
の変化率を算出する手段M20と、算出された加速度変
化率に応じて算出された回転数比あるいは基準値を補正
する手段M22とを備えたことを特徴とする。
【0006】
【作用】さて、本発明に係る変速段判断装置は、車両の
変速機M6の入力軸M4,出力軸M8の回転数を検出す
る手段M2,M10と、これらの検出値から入力軸M4
と出力軸M8の回転数比を算出する手段M12と、算出
された回転数比を各変速段に対応する基準値と比較して
変速機M6の変速段を判断する手段M14とを有する変
速段判断装置に、車両の加速度を検出する手段M18,
加速度の変化率を算出する手段M20および算出された
加速度変化率に応じて算出された回転数比あるいは基準
値を補正する手段M22を付加した構成を有している。
ここで、入力軸M4あるいは出力軸M8の回転に遅れを
生じさせるギアのバックラッシュや駆動力伝達系のねじ
りは、車両の加減速変移時あるいはトルクが急激に変化
したときに起こる。従って、これらの場合には、車両の
加速度が顕著に変化しているはずである。
【0007】そこで、加速度の変化率が加速度検出手段
M18と加速度変化率算出手段M20によって算出さ
れ、この加速度変化率の値に応じて補正手段M22によ
って算出された回転数比、あるいは基準値の補正が行わ
れる。この結果、変速段判断手段M14において比較さ
れる回転数比と基準値との関係が、ギアのバックラッシ
ュや駆動力伝達系のねじりの大きさに対応して適切に補
正され、この補正された状態において変速段判断手段M
14における変速段の判断が実行される。これによっ
て、車両の加減速変移時における変速機M6のギアのバ
ックラッシュやトルクの急変によるねじりの発生等があ
っても、正確な変速段の判断結果M16が得られる。こ
のようにして、車両の加減速変移時やトルクが急激に変
化したときにも誤判断が行われることなく、常に正しい
変速段の判断を行うことができる変速段判断装置とな
る。
【0008】
【実施例】次に、本発明を具現化した一実施例につい
て、図2〜図6を参照して説明する。図2は、本発明に
係る変速段判断装置の一実施例を示す全体構成図であ
る。図2に示されるように、本実施例の変速段判断装置
1が設けられた車両においては、エンジン(E/G)2
のクランク軸4と変速機10の入力軸8とがクラッチ6
によって連結されている。また、変速機10の出力軸1
2はディファレンシャルギア14に連結されており、こ
のディファレンシャルギア14に駆動輪16の車軸15
が連結されている。さらに、エンジン2にはエンジン回
転数NE を測定するエンジン回転数センサ17が取り付
けられており、車両の中心部には車両の加速度ΔVを測
定する加速度センサ18が設置されている。さらに、変
速機10の出力側には、出力軸12の回転数を測定する
ことによって車両の走行速度Vを検出する車速センサ1
9が設けられている。ここで、エンジン回転数センサ1
7は変速機の入力軸の回転数を検出する手段として、車
速センサ19は出力軸の回転数を検出する手段として機
能する。また加速度センサ18は、車両の加速度を検出
する手段を構成している。
【0009】さらに図2に示されるように、変速段判断
装置1においては、変速段の判断等を行うための制御コ
ンピュータ20が設けられている。この制御コンピュー
タ20は、CPU(中央処理装置)24,記憶装置とし
てのRAM23,ROM26,および入出力インターフ
ェイス22を有している。そして、これらの入出力イン
ターフェイス22,RAM23,CPU24,ROM2
6の間は、データバス25によって、相互にデータ転送
可能に接続されている。入出力インターフェイス22に
は、前記エンジン回転数センサ17,加速度センサ1
8,車速センサ19の各出力信号ケーブル17a,18
a,19aが接続されている。そして、ROM26に
は、変速段の判断を行うための基準データとなる対応表
27が格納されている。
【0010】このように構成された制御コンピュータ2
0によって、エンジン回転数センサ17および車速セン
サ19の検出値から入力軸と出力軸の回転数の比を算出
する手段、算出された回転数比を各変速段に対応する基
準値と比較することによって変速機の変速段を判断する
手段、加速度の変化率を算出する手段、および算出され
た加速度変化率に応じて算出された回転数比あるいは基
準値を補正する手段が構成されている。また、ROM2
6に格納された対応表27は、各変速段に対応する基準
値として、算出された回転数比と比較される。
【0011】さて、本実施例の変速段判断装置における
変速段の判断は、車両に搭載された制御コンピュータに
おいて、図3のフローチャートに示される手順に従って
行われる。図3は、本実施例の変速段判断装置1におけ
る変速段の判断の手順を示すフローチャートである。な
お、このフローチャートに示される処理は、所定の非常
に短い時間間隔で、繰り返し実行される。まず、ステッ
プ30において、前記エンジン回転数センサ17からエ
ンジン回転数NE の値が読み込まれる。続いて、ステッ
プ32において前記車速センサ19から車速Vの値が読
み込まれ、さらにステップ34において前記加速度セン
サ18から車両の加速度ΔVの値が読み込まれる。
【0012】次に、ステップ36において、ステップ3
0で読み込まれたエンジン回転数NE の値とステップ3
2で読み込まれた車速Vの値とから、NE とVの比NV
Rが演算される。すなわち、回転数比NVRは、次式
(1)で与えられる。 NVR=NE /V …(1) 続いて、ステップ38において、ステップ34で読み込
まれた車両の加速度ΔVの値を用いて、前回の加速度の
値ΔVi-1 を今回の加速度の値ΔVi から減じることに
より、加速度の変化率ΔΔVが求められる。すなわち、
加速度変化率ΔΔVは、次式(2)で与えられる。 ΔΔV=ΔVi −ΔVi-1 …(2) このようにして求められた加速度の変化率の値ΔΔVに
よって、ステップ40において、ステップ36で演算さ
れたNVRの値が補正される。
【0013】次に、図3のステップ40におけるNVR
の補正の方法について、図4を参照しつつ説明する。図
4は、本実施例の変速段判断装置において、正確な変速
段の判断を行うために算出された回転数比NVRを補正
する際に用いられる関数を示す図である。図4に示され
る補正関数f(ΔΔV)は、ギアのバックラッシュや駆
動力伝達系のねじりを考慮した場合の、加速度変化率Δ
ΔVに対するNVRの値のばらつき特性を示す関数であ
る。この補正関数f(ΔΔV)の値を用いて、次式
(3)に従って、補正されたNVRの値NVRが求めら
れる。NVR =NVR+f(ΔΔV) …(3)
【0014】ここで、車両に対して急激に加速する力が
働いた場合には、ギアのバックラッシュや駆動力伝達系
のねじりにより変速機の出力軸の回転に遅れを生じる。
このため、出力軸の実際の回転数は、その変速段のギア
比から理論的に予測される値よりも小さくなる。さらに
式(1)に示されるように、NVRの算出においては、
出力軸の回転数を示す車速Vの値が分母となっている。
この結果、算出されるNVRの値は実際の変速段のギア
比に対応する値より大きくなる。従って、式(1)によ
って算出されたNVRの値を実際の変速段に対応する値
に補正するためには、式(3)における補正関数f(Δ
ΔV)を負の値にする必要がある。このため、図4に示
されるように、加速度変化率ΔΔVが正の値をとるとき
は対応する補正関数f(ΔΔV)は負の値をとる。そし
て、加速度変化率ΔΔVが大きくなるにつれて、補正関
数f(ΔΔV)の絶対値は急速に増加する。
【0015】一方、車両に対して急激に減速する力が働
いた場合には、変速機の入力軸の回転数がその変速段の
ギア比に対応する値よりも小さくなるため、式(1)で
算出されるNVRの値は実際の変速段のギア比に対応す
る値より小さくなる。従って、NVRの値を実際の変速
段に対応する値に補正するためには、式(3)における
補正関数f(ΔΔV)を正の値にする必要がある。この
ため、図4に示されるように、加速度変化率ΔΔVが負
の値をとるときは対応する補正関数f(ΔΔV)は正の
値をとる。そして、加速度変化率ΔΔVの減少に伴っ
て、補正関数f(ΔΔV)の絶対値は急速に増加する。
【0016】さて、このようにして補正されたNVRの
NVRを用いて、図3のステップ42において現シフ
ト位置の判断が実行される。現シフト位置の判断は、図
2の制御コンピュータ20において、図2のROM26
に格納されている対応表27を用いて実行される。この
現シフト位置の判断の具体的内容について、図5を参照
して説明する。図5は、変速段判断装置1における変速
段の判断に用いられる対応表27の一例を示す図であ
る。現シフト位置の判断は、図3のステップ40で得ら
れたNVRの値を、図5に示される対応表のNVRの範
囲と照らし合わせて行われる。例えば、得られたNVR
の値が100であれば図5の対応表よりシフト位置(変
速段)は1速となり、80であればシフト位置は2速と
なる。
【0017】ここで、図5の対応表に示されるNVR
範囲には、各シフト位置の間において空白部分が存在す
る。すなわち、NVRの値として、シフト位置1〜5の
いずれにも属さない範囲がある。得られたNVRがこの
範囲に属する値、例えば86.5となった場合には、前
回の判断結果がそのまま維持される。すなわち、前回の
判断においてNVRが87であってシフト位置が1速と
判断された場合には、今回のNVRが86.5であって
も1速と判断されるわけである。なお、本実施例におい
てはこのように取り扱っているが、求められたNVR
値が各シフト位置間のNVRの範囲に属する場合にはニ
ュートラル位置と判断する方式をとることもできる。
【0018】ここで、図2に示されるように、変速段判
断装置1においては、入力軸4の回転数の検出をエンジ
ン回転数センサ17によって行っている。従って、加減
速変移時やトルク急変時の駆動力伝達系のねじりには、
変速機10のみでなくクラッチ6によるものが含まれ
る。このクラッチ6におけるねじりの影響により、エン
ジン回転数センサ17によるクランク軸4の回転数の測
定値と、実際の入力軸8の回転数との間にずれが生じ
る。しかしながら、本実施例の変速段判断装置1におい
ては、上述したNVRの値の補正においてクラッチ6に
おけるねじりの影響も加味しているため、正確な変速段
の判断を行うことができる。このようにして、本実施例
においては、入力軸8の回転数を直接測定する新たなセ
ンサを設ける必要がなく、既存のエンジン回転数センサ
17を入力軸回転数検出手段として用いることができる
のである。
【0019】さて、以上のような構成を有する本実施例
の変速段判断装置を、車両用の変速指示装置に応用した
場合について、図6を参照して説明する。図6は、本実
施例の変速段判断装置を応用した、前進5段の手動変速
機を搭載した車両の変速指示装置における制御の手順を
示すフローチャートである。この変速指示装置は、車両
の運転状態を検出するセンサ類と、検出された運転状態
における最適の変速段を算出する手段と、変速機の実際
の変速段を検出する手段と、最適変速段と実際の変速段
とを比較して所定の場合に変速指示灯(アップシフトラ
イト)を点灯する手段とを備えている。具体的には、最
適変速段を示すシフト線図が現在の運転状態に基づいて
補正され、このシフト線図と実際の変速段とが比較され
て、シフトアップすべきと判断されれば高速段への変速
を指示するアップシフトライトの点灯が行われる。ここ
で、アップシフトライトが点灯してから実際に運転者が
高速段への変速を実行するまでに必然的な時間遅れがあ
ることを考慮して、より効果的な変速指示が行われるよ
うに、アップシフトライトの点灯時期をずらす等の工夫
がされている。かかる構成を有する変速指示装置におい
て、変速機の実際の変速段を検出する手段として、本実
施例の変速段判断装置が応用されている。
【0020】この変速指示装置の制御は、車両に搭載さ
れた制御コンピュータにおいて、図6のフローチャート
に示される手順に従って実行される。まず、ステップ5
0においてエンジンがスタートした後に、ステップ52
において初期設定が行われる。すなわち、変速指示信
号,シフトアップ信号,タイマ等がゼロリセットされ
る。続いて、ステップ54においてシフト線図の補正が
行われる。このシフト線図は、車速,エンジン回転数,
エンジン負荷をパラメータとして各変速段の領域を定め
たもので、最適の変速段を判断する基準となる。シフト
線図は運転状態に応じて補正されるが、詳しい説明は省
略する。次に、ステップ56において点灯時間の制限に
ついての判断が行われる。この点灯時間制限は、アップ
シフトライトが一定時間以上点灯している場合には運転
者に変速の意思がないと見做しうることから、かかる場
合にアップシフトライトの不必要な点灯を避けるための
制御である。すなわち、ステップ56においてアップシ
フトライトの点灯時間が所定時間を越えているか否かの
判断が行われ、越えている場合には”NO”と判断され
てステップ76に進む。そして、ステップ76において
アップシフトライトを消灯する制御が実行された後に、
ステップ54に戻る。一方、点灯時間が所定時間を越え
ていない場合には”YES”と判断されて、ステップ5
8に進む。
【0021】次に、ステップ58において消灯時間の制
限についての判断が行われる。この消灯時間制限は、ア
ップシフトライトの頻繁な点滅を防止するために、アッ
プシフトライトを消灯した後は一定時間点灯を禁止する
制御である。すなわち、ステップ58においてアップシ
フトライトの消灯後の経過時間が所定時間以上になった
か否かの判断が行われる。そして、アップシフトライト
の消灯後に所定時間が経過していない場合には”NO”
と判断されて、ステップ54に戻る。一方、消灯後に所
定時間が経過している場合には、ステップ58におい
て”YES”と判断されて、ステップ60に進む。続い
て、ステップ60においてOFF制御についての判断が
行われる。これは、半クラッチ状態でないことや車速が
所定速度以上であること等の、アップシフトライト点灯
の前提条件を確認するものである。この前提条件が整っ
ている場合には、ステップ60において”YES”と判
断されて、ステップ62に進む。
【0022】このステップ62において、本実施例の変
速段判断装置による変速機の実際の変速段(シフト位
置)の判断が行われる。すなわち、図4の補正関数およ
び図5の対応表に基づいて、図3のフローチャートに示
される手順に従って、ステップ30からステップ42ま
での処理が実行される。これによって、実際のシフト位
置が常に正確に判断される。次に、図6のステップ64
に進み、ステップ62における判断の結果得られた変速
段が、1速〜4速のいずれかであるか否かが判定され
る。変速段が1速〜4速以外の状態(5速やリバース
等)であれば、シフトアップができないからである。そ
して、変速段が1速〜4速のいずれかであれば、ステッ
プ64において”YES”と判断されて、ステップ66
に進む。
【0023】続いて、ステップ66において、変速が実
行された直後か否かが判定される。そして、変速が実行
された直後であれば”YES”と判断されて、ステップ
76に進んでアップシフトライトの消灯が実行される。
一方、変速が実行された直後でなければステップ66
で”NO”と判断されて、ステップ68に進む。ステッ
プ68においては、現在の運転状態がシフトアップ領域
にあるか否かが判定される。この判定は、現在の運転状
態に基づいて補正されたシフト線図と実際の変速段とを
比較することによって行われ、シフトアップすべき運転
状態であればステップ68において”YES”と判断さ
れて、ステップ70に進む。
【0024】次に、ステップ70においては、点灯ディ
レイ制御についての判断が行われる。点灯ディレイ制御
とは、アップシフトライトの頻繁な点滅を避けるために
点灯を一定時間遅らせる制御である。すなわち、運転状
態がシフトアップ領域にある継続時間が所定時間以上で
あればステップ70において”YES”と判断されて、
ステップ72に進んでアップシフトライトの点灯が実行
される。その後、ステップ54に戻って、制御が繰り返
される。一方、運転状態がシフトアップ領域にある継続
時間が所定時間に達していなければ、ステップ70にお
いて”NO”と判断されて、アップシフトライトの点灯
を実行することなくステップ54に戻る。
【0025】さて、ステップ60において、アップシフ
トライト点灯のための前提条件が整っていない場合(半
クラッチ等の場合)には”NO”と判断されて、ステッ
プ74に進む。また、ステップ64において変速段が1
速〜4速以外で”NO”と判定された場合、ステップ6
8において運転状態がシフトアップ領域でなく”NO”
と判定された場合にも、ステップ74に進む。ステップ
74においては、消灯ディレイ制御についての判断が行
われる。消灯ディレイ制御もアップシフトライトの頻繁
な点滅を避けるための制御であり、消灯すべき状態が所
定時間以上継続した場合にステップ74において”YE
S”と判断されて、ステップ76に進んで消灯が実行さ
れる。その後、ステップ54に戻って、制御が繰り返さ
れる。一方、消灯すべき状態が所定時間継続していなけ
れば、ステップ74において”NO”と判断されて、消
灯を実行することなくステップ54に戻る。
【0026】本実施例の変速指示装置においては、この
ような制御が実行されることによって、車両の運転状態
に対応して高速段への変速を指示するアップシフトライ
トの点灯が行われる。また、アップシフトライトの点灯
から変速の実行までの時間遅れを考慮した工夫がなされ
ているために、より効果的な変速指示が行われる。ここ
で、変速指示装置における変速機の実際のシフト位置を
検出する手段として、本実施例の変速段判断装置が応用
されているため、正しい変速段の情報を用いた正確な変
速指示が可能になっているのである。
【0027】本実施例の変速段判断装置においては、検
出された入力軸および出力軸の回転数から求められた回
転数比を、算出された加速度変化率に応じて補正して、
この補正された回転数比を基準値と比較して変速段の判
断を行う場合について説明したが、逆に回転数比はその
まま用いて比較される基準値(対応表)を補正する方式
をとることもできる。また、本実施例においては、変速
機の入力軸の回転数を検出する手段としてエンジン回転
数センサを、出力軸の回転数を検出する手段として車速
センサを用いているが、その他の検出手段を用いてもよ
い。例えば、入力軸回転数検出手段として、変速機の入
力軸に直結された回転数検出センサを用いる等である。
変速段判断装置のその他の部分の構成等についても、本
実施例に限定されるものではない。
【0028】さらに本実施例に固有の効果として、変速
機の入力軸の回転数を検出する手段としてエンジン回転
数センサを、出力軸の回転数を検出する手段として車速
センサを用いており、新たな回転数検出手段を設ける必
要がないため、低コスト化・省スペースを図ることがで
き、制御コンピュータへの入出力端子も最小限にできる
等の利点が得られる。
【0029】
【発明の効果】本発明においては、変速機の入力軸と出
力軸の回転数比を基準値と比較して変速段を判断する変
速段判断装置において、車両の加速度の変化率に応じて
回転数比あるいは基準値を補正する変速段判断装置を創
出したために、車両の加減速変移時やトルクが急激に変
化したときにも誤判断が行われることなく、常に正しい
変速段の判断を行うことができる。これによって、正し
い変速段の情報を用いて確実な最適シフト位置の表示等
を行うことができ、極めて実用的な変速段判断装置とな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る変速段判断装置の構成を模式的に
示す概念図である。
【図2】本発明に係る変速段判断装置の一実施例を示す
全体構成図である。
【図3】変速段判断装置の一実施例における変速段の判
断の手順を示すフローチャートである。
【図4】変速段判断装置の一実施例において、変速段の
判断の補正に用いられる加速度変化率の関数を示す図で
ある。
【図5】変速段判断装置の一実施例における変速段の判
断に用いられる対応表を示す図である。
【図6】変速段判断装置の一実施例を応用した変速指示
装置における制御の手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 変速段判断装置 M2,17 入力軸回転数検出手段 M4,4 入力軸 M6,10 車両の変速機 M8,12 出力軸 M10,19 出力軸回転数検出手段 M12,20 回転数比算出手段 M14,20 変速段判断手段 M18,18 加速度検出手段 M20,20 加速度変化率算出手段 M22,20 補正手段

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両の変速機の入力軸の回転数を検出す
    る手段と、前記変速機の出力軸の回転数を検出する手段
    と、これらの検出値から入力軸と出力軸の回転数の比を
    算出する手段と、該算出された回転数比を各変速段に対
    応する基準値と比較することによって前記変速機の変速
    段を判断する手段とを有する変速段判断装置において、 前記車両の加速度を検出する手段と、前記加速度の変化
    率を算出する手段と、該算出された加速度変化率に応じ
    て前記算出された回転数比あるいは前記基準値を補正す
    る手段とを備えたことを特徴とする変速段判断装置。
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