JP2981364B2 - コーヒー香気成分の製造法 - Google Patents

コーヒー香気成分の製造法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、焙煎、粉砕した直後の
コーヒー豆の有する好ましい香気を完全にかつ効率的に
捕集する方法に関し、更に詳細には、コーヒー、コーヒ
ー飲料、その他食品及び嗜好品等に添加することによ
り、これらの香味の質を高め、強化し、更に耐熱性及び
持続性を付与し、その商品価値を向上させることのでき
る水溶性のコーヒー香気成分の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、インスタントコーヒーや缶コーヒ
ーのようなコーヒー飲料が数多く市場に出回っている
が、これらの製品には、焙煎コーヒー豆の香りを与える
ためにコーヒー香料が添加されている。
【0003】コーヒー飲料業界において、コーヒー香料
とは、食品衛生法の制約を受ける食品添加物群の一つ
で、食品の製造または加工の工程でコーヒーの香気を付
与または増強するために添加されるものであり、コーヒ
ー豆の蒸留物や抽出物のような天然香料、または化学的
に合成された合成香料、あるいはこれらの混合物及びそ
の製剤であると定義されている(食品添加物表示懇談会
編著、「新訂版 食品添加物表示の実務」(1990)参照)
が、コーヒーを飲むときの香りは、焙煎し、粉砕した直
後のコーヒー豆の有する強く深い香りが最も好ましいと
されており、この好ましい香気成分を天然のままの組成
で分離し、これをコーヒー香料として各種コーヒー製品
に添加することが、その香気の改良、強化に最も効果的
であると望まれている。
【0004】従来より、このような目的のために、焙煎
コーヒー豆の揮発性香気成分を捕集する試みが種々行わ
れてきており、これらの方法としては、以下のようなも
のが挙げられる。
【0005】(1) コーヒー生豆の焙煎時に発生する
香気成分を捕集する方法:この方法としては、例えば、
米国特許第2087602号明細書及び米国特許第21
56212号明細書では、空気などの気体量を制限した
焙煎方法により水分を含むコーヒー香気成分を発生させ
ているが、この方法によれば、好ましくない香気も含ま
れるのでこれを除去するために煩雑な手段を経なければ
ならない。更に、この香気成分は、凝縮、回収が困難な
ので、直ちに適当な製品に吸収させる必要があり、用途
が制限される。
【0006】また、焙煎により得た含水香気成分を、後
述する超臨界状態の流体を用いて抽出する方法や、活性
炭、合成ゼオライト、シリカゲルのような吸着剤に吸着
させる方法もあるが、このような煩雑な操作が加わるこ
とによって、コストの上昇が避けられない。
【0007】更に、特開昭61−70944号公報に
は、不活性ガス気流下でコーヒー生豆を間接加熱により
焙煎し、発生した香味成分を凝縮、捕集する方法が開示
されているが、焙煎粉砕後の香気までは利用されていな
い。
【0008】(2) 焙煎コーヒー豆の粉砕時に発生す
る香気成分を捕集する方法:この方法は香気が大気中へ
散失しやすく、捕集が困難であるという欠点を持つ。
【0009】(3) 粉砕焙煎コーヒー豆を加熱しなが
ら機械的に圧搾処理し、豆中に多量に存在するグリセリ
ドと香気成分が合体した「コーヒーオイル」として得る
方法:この方法では製造過程における過剰な加熱が避け
られず、このために香気が大気中へ散失してしまう。
【0010】(4) 粉砕焙煎コーヒー豆を有機溶剤に
より抽出して「コーヒーオイル」として得る方法:この
方法では、用いた有機溶剤を減圧下で回収する際に香気
が散失しやすく、残留溶剤について食品衛生上厳しい制
限がある。
【0011】(5) 上記(3)または(4)の方法で
得られるコーヒーオイルを蒸留して香気成分を捕集する
方法:例えば、特開昭52−87248号公報に、減圧
蒸留による方法が開示されているが、この方法では、香
気成分の凝縮、捕集のための特別な装置と−196℃と
いう非常に低温の冷媒を必要し、更に大気圧に戻す時の
香気の散失が避けられない。この他同様の方法として、
特開平3−217500号公報には、コーヒーオイルに
エタノールを添加して、この混合溶液を減圧蒸留する方
法が開示されているが、この方法では減圧蒸留のための
特別な装置を必要とする。
【0012】(6) 粉砕焙煎コーヒー豆を、液化炭酸
ガス、液体窒素等を用いた超臨界状態の流体を用いて抽
出する方法:例えば、特開昭47−19067号公報に
は、超臨界状態の二酸化炭素により加圧及び加温下で抽
出する方法が開示されており、また、特開昭61−88
853号公報では含水エタノールの存在下で超臨界状態
の流体を用いた抽出を行っているが、これらの方法で
は、高価な装置が必要である。
【0013】(7) 粉砕焙煎コーヒー豆を水蒸気蒸留
して得られる留分から水を分離するか、または、該留分
から適当な溶剤を用いて香気成分のみを抽出する方法:
この方法では好ましい香気成分の一部が水に移行してし
まう恐れがあり、焙煎コーヒー豆の香気組成に近い香気
成分を得ることは難しい。 更に、処理後のコーヒー豆
はかなりの水分を含み、廃棄する際にかなりのコストが
かかると思われる。
【0014】例えば特公昭50−29027号公報に
は、含水焙焼コーヒーを容器に入れ高温、高圧の飽和蒸
気を通し、この蒸気を通気ラインを通して放出し、安定
してからこのラインを閉じ、蒸気を凝縮、捕集する方法
が開示されているが、この方法では、コーヒー豆の香気
組成をそのまま取り出すことができるかどうか判然とし
ないことに加え、容量の大きい耐圧容器を必要する点に
おいても不利である。
【0015】また、井村直人ら(日本食品工業学会誌、
第39巻、第11号、1030−1037頁(1992
年11月))によれば、インスタントコーヒーの嗜好性
を改善する目的で添加する焙煎コーヒーの水蒸気蒸留物
において、ロブスタ種コーヒー豆から回収された蒸留物
の香りは消費者に好まれないため、アラビカ種コーヒー
豆のみから回収する方法を提案しているが、ロブスタ種
コーヒー豆に比べアラビカ種コーヒー豆の方がはるかに
高価格であるため、コストが上昇し最良の方法であると
は言い難い。
【0016】更に、特開昭59−109133号公報に
は、粉砕焙煎コーヒー豆に、水蒸気及び/又は不活性ガ
スを通じて放出させた揮発性コーヒーフレーバー成分含
有気相を、凝縮させずに、pH5以下の糖アミノ反応生
成物及び/又はカラメルの溶液中に導入捕捉する方法が
開示されている。この方法では、糖アミノ反応生成物及
び/又はカラメルが呈味成分となり、得られたコーヒー
フレーバーの用途が著しく制限される。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、焙煎コ
ーヒー豆の天然の香気を捕集する方法は、従来より種々
の試みがなされているにもかかわらず、未だ満足のいく
方法は確立されていないのが現状である。
【0018】更に、近年のコーヒー飲料業界において
は、各種製品の多様化に伴い、コーヒー香料として、ミ
ルクの風味に負けない香気成分、レトルト製品への加工
工程における安定性及び長期保存に対する安定性に優れ
た香気成分の開発が要請されてきている。
【0019】本発明は、このような業界の要請に応え、
更に従来法では解決できなかった欠点を克服するコーヒ
ー香気成分の製造法、即ち、粉砕焙煎コーヒー豆の香気
成分を完全に、かつ、容易に安価に捕集する方法を確立
することを課題とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、この課題
を解決するため、粉砕焙煎コーヒー豆を出発原料とし
て、その中に含まれる揮発性香気成分の分離、捕集の方
法について鋭意検討した結果、あらかじめ該コーヒー豆
を特定の温度範囲で加熱し、香気成分の発生しやすい状
態を保ちながら、これに特定割合のエタノール蒸気・水
蒸気・不活性ガスの三成分から成る蒸気を常にバランス
のとれた状態で接触させれば、該コーヒー豆から発生す
る揮発性成分との混合蒸気を得ることができ、これを凝
縮、捕集することにより、粉砕焙煎コーヒー豆の香気を
完全に、かつ、容易にしかも経済的に捕集することがで
きることを見いだした。
【0021】更に、この方法により得られる香気成分
は、各種コーヒー製品に添加した際、これらの香味の質
を高め、強化するばかりではなく、この香気成分は耐熱
性、持続性にも優れることを見いだし本発明を完成し
た。
【0022】すなわち本発明は、80〜120℃で加熱
されている粉砕焙煎コーヒー豆に、10〜80重量%の
エタノールを含む水溶液及び不活性ガスの混合物を送
給、接触せしめ、該コーヒー豆から発生する揮発性香気
成分を凝縮、捕集することを特徴とするコーヒー香気成
分の製造法を提供するものである。
【0023】本発明を実施するには、粉砕された焙煎コ
ーヒー豆を、加熱および撹拌できる容器中にいれ、80
〜120℃の加温下、これに10〜80重量%のエタノ
ールを含む水溶液及び不活性ガスの混合物(以下、「捕
集組成物」ということがある)を導入し、十分に上記焙
煎コーヒー豆と接触させ、該コーヒー豆から発生する揮
発性香気成分を捕集組成物の蒸気と共に容器外へ取り出
し、この蒸気を凝縮器等により凝縮させ、この中から揮
発性香気成分を捕集すれば良い。
【0024】本発明方法で使用される粉砕焙煎コーヒー
豆の品種及び産地、並びに、焙煎及び粉砕の程度は特に
制限されるものではなく、用途に応じて適宜選択するこ
とができる。
【0025】例えば、特に好ましい香気成分を得るため
には、焙煎の程度と香気成分の関係を予め実験的に定め
ることが好ましい。焙煎の程度は、コーヒー生豆の品
種、産地等によって経験的に決められるべきであり、本
発明者らの試験によれば、焙煎の程度を色差値(L値)
で示すとき、例えばアラビカ種ブラジル産の場合はL値
=15〜20の範囲が好ましい香気成分を得るのに適し
ており、同様にコロンビア産やガテマラ産の場合はL値
=20〜25の範囲が好ましく、エチオピア産やインド
ネシア産の場合はL値=25〜30の範囲が好ましいこ
とが判明している。よって、本発明においては、L値が
これらの範囲に該当する豆を用いることがより好まし
い。
【0026】このようなL値のコーヒー豆を得るため
に、少量の生産では、電気式のサンプルロースター(プ
ロバット社製)を用い、L値がこれらの範囲となるまで
焙煎すればよいが、工業化レベルの実施においてはこれ
に留まらず、ガス加熱式の小型生産機種(プロバット社
製)のような装置を用いて所定のL値まで焙煎してもよ
い。 尚、コーヒー豆のL値は、一般に15〜30の範
囲で示され、値の小さいほど焙煎の程度が強く、大きい
ほど焙煎が浅い。
【0027】また、使用する焙煎コーヒー豆の粉砕の程
度、すなわち粒度と香気成分の量との関係についても予
め実験的に最適の範囲をきめることが好ましい。本発明
者らは、アラビカ種ガテマラ産の焙煎後2日経過したL
値=22のコーヒー豆を、種々の粒度となるように粉砕
し、それぞれの粒度の豆について、50重量%のエタノ
ールを含む水溶液と窒素ガスから成る捕集組成物を用い
て、2時間、105℃(80℃から徐々に上昇させた最
終温度)の加熱条件で本発明を試験的に実施した。
【0028】すなわち、(A)4つ割りした豆、(B)
4つ割りより細かく、径が2.36mmより大きいもの
(新JISで規定されている7.5メッシュのふるいを
通過しないもの)、(C)径が2.36mm以下0.35
5mm以上のもの(新JISで規定されている7.5メ
ッシュのふるいは通過するが、42メッシュのふるいは
通過しないもの)、(D)径が0.355mmより小さ
いもの(新JISで規定されている42メッシュのふる
いを通過するもの)の4種類の粒度のコーヒー豆を原料
として香気成分を採取し、粒度と香気成分の量との関係
を調べた。 そして、得られた香気のバランスや処理後
のコーヒー豆の残存香気の強さから、(C)の径が2.
36mm以下0.355mm以上のものが、良い香気成
分を得るのに最も優れていることが分かった。よって、
本発明においては、この近辺の粒度の豆を用いることが
好ましい。
【0029】以上のように焙煎、粉砕されたコーヒー豆
は、後記捕集組成物の導入口と混合蒸気の排出口を有す
る容器内に入れられ、約80〜120℃に加熱される。
【0030】この粉砕焙煎コーヒー豆を加熱する加熱方
法としては、間接加熱が好ましく、例えば、種々の加熱
装置を用い、シリコーンオイルのような加熱媒体を加熱
し、これによりコーヒー豆を入れた容器を間接加熱すれ
ば良い。
【0031】本発明方法においては、この加熱された粉
砕焙煎コーヒー豆を、蒸気の状態となるまで加熱された
エタノ−ル水溶液と接触させる必要がある。 そして、
採用するエタノールと水の組成割合によって、エタノー
ルが蒸気となる温度は異なるが、エタノールの大気圧下
での沸点が78℃であることから、エタノール水溶液の
飽和蒸気発生には最低でも80℃程度が必要であり、更
に、コーヒー豆を入れた容器内から飽和蒸気が押し出さ
れるのに必要かつ充分な温度、及び、コーヒー香気成分
の完全な分離に必要かつ充分な温度を考慮すれば、上記
温度範囲、すなわち80〜120℃に加熱することが必
要である。
【0032】なお、加熱温度は、使用するコーヒー豆の
種類等によっても異なるが、一般的には、エタノールの
組成割合が多い程比較的低温で加熱しても良く、また、
必要に応じ、操作の途中で温度を上昇させていくことも
できる。
【0033】加熱されたコーヒー豆と、蒸気となった捕
集組成物の接触は、好ましくは捕集組成物を連続的に送
給されることにより行われる。 この捕集組成物は、エ
タノール蒸気、水蒸気および不活性ガスの飽和蒸気の形
であることが好ましく、これをコーヒー豆と接触させる
ことにより、コーヒー香気成分を含む飽和蒸気(以下、
「混合飽和蒸気」ということがある)を得ることができ
る。エタノール蒸気および水蒸気は飽和でない形で用い
ることもできるが、その場合には、香気のバランスが崩
れることもある。
【0034】捕集組成物において使用するエタノールと
水の組成割合は、使用するコーヒー豆の種類等により、
最適範囲が異なることがあるので、これも予め実験的に
定めることが望ましいが、本発明者らの試験によれば、
L値=15〜20のアラビカ種ブラジル産の粉砕焙煎コ
ーヒー豆を用いた場合は、エタノ−ルの割合を10〜6
0重量%の範囲で実施したとき得られた香気成分の評価
が特に良く、同様にL値=20〜25のアラビカ種ガテ
マラ産のコーヒー豆の場合は20〜70重量%の範囲が
特に良く、L値=25〜30のアラビカ種エチオピア産
のコーヒー豆の場合は30〜80重量%の範囲が特に良
いことが判明した。従って、使用するコーヒー豆の種類
や焙煎の程度等に応じて10〜80重量%の範囲内で水
溶液中のエタノールの濃度を設定すれば良い。一般に使
用するコーヒー豆のL値が高い程、エタノールの濃度を
高く設定すると良い。
【0035】また、捕集組成物として不活性ガスを使用
する理由は、コーヒー豆の過剰な熱分解や酸素による酸
化反応を防ぎ、コーヒー香気成分の分離、捕集を有利に
するためである。 この不活性ガスは、ヘリウムガスの
ような周期表0族の元素に限らず、窒素ガスのように化
学的に反応性に乏しい気体であれば任意のものを用いる
ことができるが、特に、安価で容易に入手できる窒素ガ
スを用いることが経済的である。
【0036】捕集組成物とコーヒー豆の接触工程は、よ
り具体的には、以下の如くしておこなわれる。すなわ
ち、濃度を調整したエタノール水溶液を適当な容器にと
り、これをコーヒー豆の加熱温度との温度差が好ましく
は30℃以下となるように調節、加温する。 予め加温
しておく理由は、捕集組成物が飽和蒸気に達する時間を
早めるためであるが、あまり高温で加温すると蒸発する
恐れもあるので、50〜70℃程度に調節すると良い。
【0037】次いで、このエタノール水溶液中に、例え
ば導入管を通じて一定量の不活性ガスを通気して捕集組
成物を得、この捕集組成物を導出管を通じ、飽和蒸気の
形でコーヒー豆に接触するように送給する。
【0038】この場合、送給される捕集組成物が、短時
間に、かつ、常に新しい飽和蒸気としてコーヒー豆と接
触できるように、特に不都合の無い限り、捕集組成物の
導入管は容器内コーヒー豆の内部中心部あたりに開口さ
せることが望ましい。
【0039】不活性ガスやエタノール水溶液の送給流量
は、凝縮、捕集される香気成分の量により調節すれば良
い。 なお、香気成分捕集量は、使用するコーヒー豆の
種類や焙煎の程度により異なるが、粉砕焙煎コーヒー豆
1kg当たり約0.15〜1.9リットル/時間程度の範
囲である。
【0040】捕集組成物のうち不活性ガスの流量は、粉
砕焙煎コーヒー豆1kg当たり0.006〜6リットル
/時間、より好ましくは0.06〜0.12リットル/時
間と設定すると良い。 不活性ガスの流量が0.006リ
ットル/時間より少ない場合は、コーヒー香気成分の容
器内での滞留時間が長くなるため香気が変質する恐れが
あり、6リットル/時間を越える場合は、香気成分が充
分に凝縮しないで大気中に逸散する恐れがあるので好ま
しくない。
【0041】また、捕集組成物のうちエタノール水溶液
の流量は、不活性ガスの流量に左右されるが、粉砕焙煎
コーヒー豆1kg当たり、気体を含む液体の状態で0.
2〜2リットル/時間、より好ましくは0.5〜2リッ
トル/時間とすると良い。
【0042】この捕集組成物の送給流量のうち、実際に
コーヒー香気成分の発生と捕集に利用される割合は、8
5〜95%の範囲で送給流量にほぼ比例して高くなる。
なお、この割合は、捕集された飽和蒸気の量から、コ
ーヒー豆の生じた揮発性香気成分の量を除いた量より換
算し、アルコール水溶液の量のみで、すなわち不活性ガ
スの流量を考慮しないで計算した値である。
【0043】この捕集組成物の送給には、必要に応じて
適当なポンプ、例えば、実験室レベルの実施では脈流ポ
ンプのようなものを、工業化レベルの実施においては小
型のプランジャーポンプのようなものを用いることがで
きる。 また、不活性ガス及びエタノール水溶液は、送
給流量をそれぞれ調節しながら別々にコーヒー豆を入れ
た容器に送給しても良い。
【0044】また、エタノール水溶液を入れる容器に
は、エタノール及び水を適宜補うための適当な注入口を
設けておくと良い。 更に、捕集組成物の飽和蒸気をコ
ーヒー豆と効率良く接触させるためには、適当な撹拌手
段でコーヒー豆を攪拌しておくことが好ましい。
【0045】次に、得られた混合飽和蒸気から目的とす
るコーヒー香気成分を得るには、凝縮器等を用いて混合
飽和蒸気を凝縮し、適当な受器に捕集すれば良い。
【0046】混合飽和蒸気の凝縮温度は、冷媒を用いて
できるだけ低く調節することが好ましく、特に好ましい
バランスのとれた香気成分を捕集するためには5℃以下
とするのが良い。 凝縮温度が5℃を越える高い温度で
は、香気成分が充分に捕集されないことがあり、好まし
くない。 また、捕集される香気成分は水分を含有する
ため、あまり凝縮温度を低くすると凝縮器の伝熱面等に
氷が生成し、凝縮能力を低下させ、混合飽和蒸気の通路
を閉塞する恐れがあるため、好ましくない。従って、実
用上は−10〜5℃の範囲に調節すると良い。
【0047】以上の香気成分の分離、捕集に要する時間
は、得られる香気成分及び処理後のコーヒー豆に残存す
る香気から終点を判断することによって決定され、使用
するコーヒー豆の種類や焙煎の程度並びに得られる香気
成分の用途等によって選択されるが、一般的には30〜
300分とすると良く、より好ましくは40〜180分
とするのが良い。 この時間は、主に捕集組成物の送給
量によって調節され、一般的には、処理時間を短くした
方が香気の変質を防ぐためには好ましい。
【0048】こうして捕集されるコーヒー香気成分の全
量は、コーヒー豆の種類、焙煎の程度等により異なる
が、使用した粉砕焙煎コーヒー豆に対し、約20〜20
0重量%である。この量は、コーヒー豆の発生した揮発
性香気成分とともに凝縮されたエタノール及び水の量を
含むもの(溜出分)である。
【0049】このようにして得られたコーヒー香気成分
は、常温で透明の無色乃至帯黄色(コーヒー豆の焙煎の
程度によって異なる)の微酸性の液体で、焙煎、粉砕し
た直後のコーヒー豆の有する好ましい香気を有する。
この香気の強さは、水で1000〜2000倍に希釈し
ても、その香気を十分に感知することができる程度であ
る。
【0050】かくして得られるコーヒー香気成分は、こ
のままコーヒー製品に添加することもできるが、目的に
応じて適当な溶媒で希釈したり、適当な担体に保持させ
たり、または濃縮して用いることもできる。例えば缶入
りコーヒー飲料に添加する場合は、得られた香気成分を
そのままの形で0.03〜0.1重量%の割合で添加する
とよい。
【0051】このように、本発明のコーヒー香気成分を
コーヒー製品に添加すれば、コーヒー本来の香味の質を
高め、強化することによって嗜好性を増し、更に耐熱性
及び持続性も有し、加工や長期の保存においても香味の
変化が少ないので、商品価値の向上が大いに期待でき
る。尚、本発明のコーヒー香気成分は、コーヒー飲料に
限らず、コーヒー風味を望む広範囲の各種食品に利用で
きる。
【0052】
【実施例】次に、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれらに制限されるものではない。
【0053】なお、以下の実施例で用いた装置の概略を
図1に示す。 この装置は、コーヒー豆 を入れる容
、これを加熱するための投げ込み型ヒーター
、加熱媒体 、温度計及び温度調節器 、コーヒー
豆を攪拌する装置 、エタノール水溶液及び不活性ガ
スから成る捕集組成物のための容器 、これを加温す
るためのヒーター 、水浴 、エタノール及び水の注
入口 10、 不活性ガス11の導入系 12 、捕集組成
物の導入系 13、混合飽和蒸気を凝縮するための凝縮
器(コンデンサー) 14、凝縮物の受器 15、その他
各種計測器等からなる。
【0054】これらの装置のうち、粉砕焙煎コーヒー
豆、送給される捕集組成物及び得られるコーヒー香気成
分等に直接接触する部分は、本実施例及び比較例では、
ガラス、ステンレスまたは耐熱性プラスチックのような
材質からなるものを使用したが、工業化レベルの実施に
おいては、目的とするコーヒー製品への影響を更に配慮
したものが要求される。このような配慮によって、本発
明は、経済的に安価に、商業的規模にまで拡大し実施す
ることができる。
【0055】実 施 例 1 エタノール水溶液及び不活性ガス(窒素ガスを使用)か
ら成る捕集組成物の導入口、凝縮器の取り付け口、温度
計及び温度調節器 、 並びに強力な攪拌機 を備え
つけた5リットル容量のガラス製セパラブルフラスコ
(上下に分離できるフラスコ、以下「本体フラスコ」と
称す) に、−15〜20℃の温度範囲で調節可能な
凝縮器 14 を5℃に固定して大気中に開放するように
取り付け、凝縮器の出口には1リットル容量の三角フラ
スコ(以下「捕集フラスコ」と称す) 15 を設置し
た。
【0056】この本体フラスコ にアラビカ種ブラジ
ル産の粉砕焙煎コ−ヒ−豆(L値=15.5;粒度=径
が2.36mmより大きいもの=8±3%、2.36mm
以下0.355mm以上のもの=85%前後、0.355
mmより小さいもの=5%以下の組成からなる)600
gを仕込み、予め200v、 1kwの電気ヒーター
を熱源として135〜140℃に調整したシリコーンオ
イル(信越化学株式会社製品番号KF−96−30C
S) を入れた油浴を脇に用意した。
【0057】一方、エタノール及び水の注入口、窒素ガ
ス導入口並びに、本体フラスコへの送給口を設けた三口
フラスコ(以下「送給フラスコ」と称す) に、40
重量%のエタノールを含む水溶液の適当量を入れ、水浴
で50〜55℃に維持した。
【0058】本実験に先立ち、好ましい香気を有する凝
縮物の捕集量、すなわち目的とするコーヒー香気成分の
捕集量を決定するための予備実験を行った。すなわち、
本体フラスコを油浴中に設置し、本体フラスコ内の凝縮
器の取り付け口付近の温度が80℃になったら、送給フ
ラスコの送給口を本体フラスコの導入口と接続し、粉砕
焙煎コ−ヒ−豆の仕込み重量に対し得られる香気成分の
量が1%/分となるように窒素ガスの流量を調整(具体
的には、窒素ガスの流量=コーヒー豆1kg当たり1リ
ットル/時間、エタノール水溶液及び窒素ガスから成る
捕集組成物の流量=コーヒー豆1kg当たり0.6リッ
トル/時間に設定)して香気成分の捕集を開始し、10
分ごとに200分間捕集し続けた。
【0059】この結果、100分後に累積香気成分量が
100%となるまでは好ましい香気が得られたが、10
0%を越えると急速にコ−ヒ−らしさがなくなることが
わかったので、この量を最終捕集量と決めた。
【0060】更に、この累積香気成分量が100%とな
る時間を短くするための予備実験として、同様に本体フ
ラスコ内温度が80℃になったところで送給フラスコの
送給口を本体フラスコの導入口と接続して、窒素ガスの
流量を調整し、香気成分の捕集開始から20分後、30
分後、40分後、50分後、60分後、70分後、80
分後、90分後及び100分後にそれぞれ累積香気成分
量が100%となるように設定し、香気成分の捕集を行
った。
【0061】この結果、いずれも捕集終了時の本体フラ
スコ内温度(最終温度)は106℃であり、処理後のコ
ーヒー豆の重量は620〜625gであった。また、処
理直後の熱いコーヒー豆の香りの程度を評価したとこ
ろ、40分以上に設定した豆はいずれも好ましいコーヒ
ー香気が完全に分離されており残存していなかったの
で、これらの設定時間のうち最も短時間である40分を
本実験の捕集時間と決定した。
【0062】これらの予備実験をもとに、粉砕焙煎コ−
ヒ−豆の仕込み重量に対する香気成分量を100%、捕
集時間を40分、本体フラスコ内温度が80〜106℃
になるように設定して、本実験を3回繰り返し行なっ
た。 得られたコーヒー香気成分は、pH4.9の帯黄色
液体であり、その香気について3人の専門パネラーによ
り3点法(2種の試料を識別するのに、どちらか一方を
2個、他方を1個とし、この合計3個を1組としてパネ
ラーに示し、どれが異なる1個であるか、またはどの2
個が同じであるかを当てさせ、数回の繰り返しで得られ
た正解数から2種の試料間に差があるかどうかを判定す
る方法;日科技連官能検査委員会編、「新版 官能検査
ハンドブック」(1973)252〜253頁)による
官能試験を行ったところ、3点間の差異は認められず、
いずれも好ましいコーヒー香気を有するものであった。
【0063】 実 施 例 2〜6 及び 比 較 例 1〜2 実施例1において、40重量%のエタノールを含む水溶
液の代わりに表1に示す各濃度のエタノールを含む水溶
液を用い、捕集終了時の本体フラスコ内温度(最終温
度)を、同じく表1に示す各温度に設定した以外は、実
施例1と全く同じ条件でコーヒー香気成分の捕集を行っ
た。 また、比較例として、表1に示すように、エタノ
ールを全く含まない水及び5重量%のエタノールを含む
水溶液を用い、最終温度をいずれも120℃に設定し
て、それ以外は実施例1と全く同じ条件でコーヒー香気
成分の捕集を行った。
【0064】得られた香気成分は、いずれもpH5.1
の帯黄色液体であり、これらの香気について、それぞれ
イオン交換水を用いて2000倍に希釈して官能試験を
行い実施例1の結果と比較したところ、10〜40重量
%のエタノール水溶液を用いた場合(実施例1〜4)に
得られたコーヒー香気成分は、その香気の強さがエタノ
ールの含量に比例して増し、50重量%及び60重量%
のエタノール水溶液を用いた場合(実施例5及び6)に
得られたコーヒー香気成分では、40重量%のものと香
気の強さは同程度であり、いずれも好ましい香気を有し
ていた。
【0065】一方、比較例のエタノールを全く含まない
水及び5重量%のエタノール水溶液を用いた場合(比較
例1及び2)に得られたコーヒー香気成分は、500倍
希釈した場合に、40重量%のものを2000倍希釈し
たものと同程度の香気の強さを有するが、香気のバラン
スが悪く、アラビカ種ブラジル産のコーヒー豆の有する
特徴を失っていた。以上の結果を、実施例1の結果と合
わせて表1に示す。
【0066】
【0067】実 施 例 7 アラビカ種ガテマラ産の粉砕焙煎コ−ヒ−豆(L値=2
2;粒度は実施例1と同様)600gずつ、及び60重
量%のエタノールを含む水溶液を用い、それ以外は実施
例1と同様の装置及び方法で予備実験及び本実験を行っ
た。
【0068】香気成分の捕集量を決定するための予備実
験では、粉砕焙煎コ−ヒ−豆の仕込み重量に対し得られ
る香気成分の量が1%/分となるように窒素ガスの流量
を調整し、10分ごとに250分間香気成分の捕集を行
った。 この結果、150分後に累積香気成分量が15
0%となるまでは好ましい香気が得られたが、150%
を越えると急速にアラビカ種ガテマラ産のコーヒー豆の
有する特有の香気がなくなることがわかり、この量を最
終捕集量と決めた。
【0069】更に、捕集時間を決定するための予備実験
では、本体フラスコ内温度が80℃になったところで送
給フラスコの送給口を本体フラスコの導入口と接続し
て、窒素ガスの流量を調整し、香気成分の捕集開始から
40分後、60分後、90分後、120分後、150分
後、180分後、210分後、240分後及び270分
後にそれぞれ累積香気成分量が150%となるように設
定し、香気成分の捕集を行った。 この結果、いずれも
捕集終了時の本体フラスコ内温度は103℃であり、処
理後のコーヒー豆の重量は620〜630gであった。
【0070】また、処理直後の熱いコーヒー豆の香りの
程度を評価したところ、120分以上に設定した豆はい
ずれも好ましいコーヒー香気が完全に分離されており残
存していなかったので、これらの設定時間のうち最も短
時間である120分を本実験の捕集時間と決定した。
【0071】これらの予備実験をもとに、粉砕焙煎コ−
ヒ−豆の仕込み重量に対する香気成分量を150%、捕
集時間を120分、本体フラスコ内温度が80〜103
℃になるように設定して、本実験を3回繰り返し行なっ
た。 得られたコーヒー香気成分は、いずれもpH4.8
の帯黄色液体であり、これらの香気について、3人の専
門パネラーにより3点法による官能試験を行ったとこ
ろ、3点間の差異は認められず、いずれも好ましい香気
を有していた。
【0072】実 施 例 8 〜 14 実施例7において、60重量%のエタノールを含む水溶
液の代わりに表2に示す各濃度のエタノールを含む水溶
液を用い、最終温度を同じく表2に示す各温度に設定し
た以外は、実施例7と全く同じ条件でコーヒー香気成分
の捕集を行った。
【0073】得られた香気成分は、いずれもpH4.8
5の帯黄色液体であり、これらの香気について、それぞ
れイオン交換水を用いて1500倍に希釈して官能試験
を行い、実施例7の結果と比較した。この結果、10〜
60重量%のエタノール水溶液を用いた場合(実施例
〜12)に得られたコーヒー香気成分は、その香気の強
さがエタノールの含量に比例して増し、70重量%及び
80重量%のエタノール水溶液を用いた場合(実施例1
3及び14)に得られたコーヒー香気成分では、60重
量%のものと香気の強さは同程度であり、いずれも好ま
しい香気を有していた。以上の結果を、実施例7の結果
と合わせて表2に示す。
【0074】 (香気の強さは「+ 」の数が多い程強いことを示し、実
施例7で得られた香気成分の香気の強さを「++++++」と
表した時の相対的な強さで表した)
【0075】実施例15 アラビカ種エチオピア産の粉砕焙煎コ−ヒ−豆(L値=
29;粒度は実施例1と同様)600gずつ、及び80
重量%のエタノールを含む水溶液を用い、それ以外は実
施例1と同様の装置及び方法で予備実験及び本実験を行
った。
【0076】香気成分の捕集量を決定するための予備実
験では、粉砕焙煎コ−ヒ−豆の仕込み重量に対し得られ
る香気成分の量が1%/分となるように窒素ガスの流量
を調整し、10分ごとに300分間香気成分の捕集を行
った。 この結果、180分後に累積香気成分量が18
0%となるまでは好ましい香気が得られたが、180%
を越えると急速にアラビカ種エチオピア産のコーヒー豆
の有する特有の香気がなくなることがわかり、この量を
最終捕集量と決めた。
【0077】更に、捕集時間を決定するための予備実験
では、本体フラスコ内温度が80℃になったところで送
給フラスコの送給口を本体フラスコの導入口と接続し
て、窒素ガスの流量を調整し、香気成分の捕集開始から
60分後、90分後、120分後、150分後、180
分後、210分後、240分後、270分後及び300
分後にそれぞれ累積香気成分量が180%となるように
設定し、香気成分の捕集を行った。 この結果、いずれ
も捕集終了時の本体フラスコ内温度は100℃であり、
処理後のコーヒー豆の重量は610〜615gであっ
た。
【0078】また、処理直後の加熱コーヒー豆の香りの
程度を評価したところ、180分以上に設定した豆はい
ずれも好ましいコーヒー香気が完全に分離されており残
存していなかったので、これらの設定時間のうち最も短
時間である180分を本実験の捕集時間と決定した。
【0079】これらの予備実験をもとに、粉砕焙煎コ−
ヒ−豆の仕込み重量に対する香気成分量を180%、捕
集時間を180分、本体フラスコ内温度が80〜100
℃になるように設定して、本実験を3回繰り返し行なっ
た。 得られたコーヒー香気成分は、いずれもpH5.2
の無色透明の液体であり、これらの香気について、3回
繰り返し行ない、得られたコーヒー香気成分について、
3人の専門パネラーにより3点法による官能試験を行っ
たところ、3点間の差異は認められず、いずれも好まし
い香気を有していた。
【0080】実施例16〜19及び比較例3 実施例15において、80重量%のエタノールを含む水
溶液の代わりに表3に示す各濃度のエタノールを含む水
溶液を用い、最終温度を同じく表3に示す各温度に設定
した以外は、実施例15と全く同じ条件でコーヒー香気
成分の捕集を行った。 また、比較例として、表3に示
すように、90重量%のエタノールを含む水溶液を用
い、最終温度を100℃に設定し、それ以外は実施例1
と全く同じ条件でコーヒー香気成分の捕集を行った。
【0081】得られた香気成分は、いずれもpH5.2
の無色透明の液体であり、これらの香気について、それ
ぞれイオン交換水を用いて1000倍に希釈して官能試
験を行い、実施例15の結果と比較したところ、10〜
80重量%のエタノール水溶液を用いた場合(実施例1
5〜19)に得られたコーヒー香気成分は、その香気の
強さがエタノールの含量に比例して増し、いずれも好ま
しい香気を有するものであったが、90重量のエタノー
ル水溶液を用いた場合に得られたコーヒー香気成分で
は、80重量%のものと香気の強さは同程度であるが、
アラビカ種エチオピア産のコーヒー豆の有する特徴をや
や失っていた。以上の結果を、実施例15の結果と合わ
せて表3に示す。
【0082】 (香気の強さは「+ 」の数が多い程強いことを示し、実
施例15で得られた香気成分の香気の強さを「+++++ 」
と表した時の相対的な強さで表した)
【0083】
【発明の効果】本発明によれば、焙煎、粉砕した直後の
コーヒー豆の有する好ましい香気を完全に捕集すること
ができ、しかも、本発明方法は複雑な装置や特殊な条件
を必要としないため、容易にかつ安価に実施でき、工業
的にも有利な方法である。また、本発明方法によって得
られたコーヒー香気成分は、加工や長期の保存において
も香味の変化が少ないので、コーヒー、コーヒー飲料、
その他食品及び嗜好品等に添加することにより、これら
の香味の質を高め、強化することができ、商品価値の向
上が大いに期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例で用いた装置の概略図である。
【符号の説明】 1 コーヒー豆 2 コーヒー豆を入れる容器 3 コーヒー豆を加熱するための投げ込み型ヒーター 4 加熱媒体 5 温度計及び温度調節器 6 コーヒー豆を攪拌する装置 7 エタノール水溶液及び不活性ガスから成る捕集組成
物のための容器 8 捕集組成物を加温するためのヒーター 9 水浴 10 エタノール及び水の注入口 11 不活性ガス 12 不活性ガスの導入系 13 捕集組成物の導入系 14 混合飽和蒸気を凝縮するためのコンデンサー 15 凝縮物の受器 以 上

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 80〜120℃に加熱されている粉砕焙
    煎コーヒー豆に、10〜80重量%のエタノールを含む
    水溶液及び不活性ガスを送給、接触せしめ、該コーヒー
    豆から発生する揮発性香気成分を凝縮、捕集することを
    特徴とするコーヒー香気成分の製造法。
  2. 【請求項2】 10〜80重量%のエタノールを含む水
    溶液及び不活性ガスが混合物として送給、接触される請
    求項1記載のコーヒー香気成分の製造法。
  3. 【請求項3】 10〜80重量%のエタノールを含む水
    溶液及び不活性ガスが予め加温されたものである請求項
    第1項または第2項記載のコーヒー香気成分の製造法。
  4. 【請求項4】 エタノールを含む水溶液及び不活性ガス
    を連続的に送給し、飽和蒸気の形で粉砕焙煎コーヒー豆
    に接触させる請求項第1項ないし第3項のいずれかの項
    記載のコーヒー香気成分の製造法。
  5. 【請求項5】 揮発性香気成分を、エタノール、水及び
    不活性ガスを含む飽和蒸気とし、これを大気中に開放さ
    れた凝縮器を通して凝縮させる請求項第1項ないし第4
    項のいずれかの項記載のコーヒー香気成分の製造法。
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