JP2978605B2 - 変速機のクラッチトルク検出装置 - Google Patents

変速機のクラッチトルク検出装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、油圧を用いてクラッチ
を切換えることにより変速操作を行う変速機のクラッチ
トルク検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】建設機械、産業車両等に搭載され、遊星
歯車式あるいは多軸多板クラッチ式など、油圧を用いて
クラッチを切換えることによって前後進の切換えや速度
段の切換えを行う変速機において、クラッチ発熱量の最
適制御方法の開発や変速ショック軽減対策のため、クラ
ッチトルクの検出が必要な場合には、下記の方法が用い
られている。 (1)歪ゲージによってクラッチトルクを実測する方
法。 (2)非接触式トルクセンサを用いてクラッチトルクを
実測する方法。 (3)クラッチ油圧PC を検出し、下記算式によってク
ラッチトルクを演算する方法。 TC =a×μ×
PC ただし、TC :クラッチトルク、a:定数、μ:クラッ
チディスクの摩擦係数
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記方法にはそれぞれ
下記の問題点があるため、量産車両に装着して実用化す
るのは困難である。 (1)歪ゲージは耐久性が低く、テスト用にしか適用で
きない。 (2)非接触式(磁歪式)トルクセンサは信頼性が低
く、またセンサの価格が高い。 (3)クラッチ油圧によってクラッチトルクを演算する
方法は、クラッチデイスクの摩擦係数や油温のばらつき
等により検出精度が低い。また、油圧センサを追設する
必要があるため、コストアップになる。
【0004】本発明は上記従来の問題点に着目し、検出
精度および信頼性、耐久性に優れ、かつコストアップに
ならない変速機のクラッチトルク検出装置を提供するこ
とを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明に係る変速機のクラッチトルク検出装置は、油
圧を用いてクラッチを切換えることにより変速操作を行
う変速機において、アクセル開度α、エンジン回転速度
ωE、トルクコンバータ出力回転速度ω1 をそれぞれ検
出する各手段と、前記検出手段によって検出したアクセ
ル開度α、エンジン回転速度ωE をアクセル開度別エン
ジントルクカーブパネルに当てはめて、エンジン出力ト
ルクTEを求め、このTE をトルクコンバータのロック
アップレンジにおけるトルクコンバータ出力トルクT1
とする手段と、前記検出手段によって検出したエンジン
回転速度ωE、 トルクコンバータ出力回転速度ω1に基
づいてトルクコンバータ速度比eを演算する手段と、前
記速度比eを用いてトルクコンバータ性能カーブパネル
からトルクコンバータ入力軸トルク係数tp およびトル
ク比tを求める手段と、前記ωE,tp,tを用いてトル
クコンバータレンジにおけるトルクコンバータ出力トル
クT1 を算出する演算手段と、トルクコンバータ出力回
転速度ω1 を用いてトルクコンバータ出力回転速度変化
率dω1/dt を算出する微分演算処理手段と、ロック
アップレンジ時、トルクコンバータレンジ時のそれぞれ
に対応するトルクコンバータ出力トルクT1 を選択する
手段と、選択したトルクコンバータ出力トルクT1、 前
記トルクコンバータ出力回転速度変化率 dω1/dt、
および変速機のクラッチ入力側減速比ρ1、 変速機入力
部回転慣性モーメントI1 を用いてクラッチトルクTC
を算出する演算手段とを備える構成とした。
【0006】
【作用】図3はパワートレインモデルの一例を示す模型
図である。エンジン1の出力トルクはトルクコンバータ
4を経て変速機5に入り、変速機5の出力トルクは終減
速装置に伝えられる。いま、エンジン1の出力軸回転速
度をωE 、トルクコンバータ4の出力軸回転速度をω
1、出力トルクをT1、変速機5内の一つのクラッチ5b
のトルクをTC 、前記クラッチ5b前後の減速比をそれ
ぞれρ1 、ρ2 、変速機5の出力軸回転速度をω2 、出
力トルクをT2 、入力部回転慣性モーメントをI1 、出
力部回転慣性モーメントをI2 、トルクコンバータ4の
出力回転速度の変化率すなわち変速機5の入力回転速度
の変化率を dω1/dtとすると、クラッチトルクTC
は次の算式で表すことができる。 TC =ρ1(T1 −I1×dω1/dt) 上記算式において、ρ1 とI1 とは一定であるから、T
1 およびdω1/dtが得られればクラッチトルクTC
を求めることができる。トルクコンバータ出力トルクT
1 は、トルクコンバータレンジ時にはトルクコンバータ
速度比からトルクコンバータ性能曲線に基づいて求める
ことができ、ロックアップクラッチ作動時(ロックアッ
プレンジ時)にはT1=TE(TEはエンジン出力トル
ク)となるため、アクセル開度α、エンジン回転速度ω
E からエンジントルクカーブに基づいて求めることがで
きる。また、変速機入力回転速度の変化率dω1/dt
は、トルクコンバータ出力回転速度ω1 を微分処理する
ことにより算出可能である。
【0007】本発明は、アクセル開度センサ、エンジン
回転数センサ、トルクコンバータ出力回転数センサの各
検出信号を、コントローラ内のアクセル開度別エンジン
トルクカーブパネルとトルクコンバータ性能カーブパネ
ルとに入力し、演算処理によってトルクコンバータ出力
トルクT1 と変速機入力回転速度変化率 dω1/dtと
を算出することにしたので、これらの算出値を用いるこ
とによりクラッチトルクTC を容易に算出することがで
きる。
【0008】
【実施例】以下に本発明に係る変速機のクラッチトルク
検出装置の実施例について、図面を参照して説明する。
図1は、エンジンから遊星歯車式変速機までの動力伝達
経路に装着する各センサの配置説明図である。エンジン
1の燃料噴射ポンプにアクセル開度センサ2、エンジン
1の出力軸1aにエンジン回転数センサ3がそれぞれ装
着され、トルクコンバータ4の出力軸または遊星歯車式
変速機(以下変速機という)5の入力軸にトルクコンバ
ータ出力回転数センサ6が装着されている。これらの各
センサの出力配線はコントローラ7に接続され、トルク
コンバータ4のロックアップクラッチ制御弁4aと変速
機5のクラッチ圧制御弁5aには、それぞれコントロー
ラ7の制御指令を伝達する出力配線が接続されている。
なお、変速機のクラッチ断続によるトルク切れや変速シ
ョックを防止する目的で、クラッチ圧電子制御機構を備
えた変速機においては、検出手段の一つとして上記の各
センサが既設されている。
【0009】図2は本実施例によるクラッチトルク検出
機構のブロック図である。同図において、アクセル開度
センサ2、エンジン回転数センサ3の各検出信号は、コ
ントローラ7内のエンジントルク検出手段11に入力さ
れる。エンジントルク検出手段11はアクセル開度別エ
ンジントルクカーブから該当するアクセル開度αと、エ
ンジン出力軸回転速度ωE とに基づいてエンジン出力ト
ルクTE を検出し、これをトルクコンバータ出力トルク
演算手段12に入力する。前記演算手段12は演算式T
1 =TE に基づいてトルクコンバータ出力トルクT1 を
算出する。
【0010】また、エンジン回転数センサ3およびトル
クコンバータ出力回転数センサ6の各検出信号は、コン
トローラ7内のトルクコンバータ速度比演算手段13に
入力され、演算式e=ω1 /ωE によってトルクコンバ
ータ速度比eが算出される。前記速度比eは、入力軸ト
ルク係数・トルク比検出手段14に入力される。入力軸
トルク係数・トルク比検出手段14では、トルクコンバ
ータ性能カーブから該当する速度比eに基づいて入力軸
トルク係数tpとトルク比tとを検出し、トルクコンバ
ータ出力トルク演算手段15に入力する。前記演算手段
15は下記演算式からトルクコンバータ出力トルクT1
を算出する。 T1 =tp×ωE2×t
【0011】トルクコンバータ出力回転数センサ6の検
出信号は、変速機入力回転変化率演算手段16にも入力
され、演算式 dω1i/dt=(ω1i−ω1i-1)/△t
によって回転変化率dω1i/dtが算出される。ただし
△tはω1 検出のサンプリングタイムである。
【0012】上記手順によって算出された各値に対し
て、そのときのトルクコンバータの稼動状態がロックア
ップレンジであれば、選択手段17により、トルクコン
バータ出力トルク演算手段12の算出値が選択される。
また、そのときのトルクコンバータの稼動状態がトルク
コンバータレンジであれば、選択手段17により、トル
クコンバータ出力トルク演算手段15の算出値が選択さ
れる。選択されたトルクコンバータ出力トルクT1 と、
変速機入力回転変化率 dω1/dtとがクラッチトルク
演算手段18に入力されると、クラッチトルク演算手段
18は下記演算式により変速機のクラッチトルクTC を
算出する。 TC =ρ1(T1−I1×dω1/dt)
【0013】算出されたクラッチトルクTC の値は、ク
ラッチトルク判定手段19に入力され、必要に応じて変
速機のクラッチ圧制御弁5aまたはトルクコンバータの
ロックアップクラッチ制御弁4aに指令信号が出力され
る。
【0014】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、ク
ラッチ圧電子制御機構を備えた変速機に従来から装着さ
れていて、検出精度、信頼性、耐久性が保証されている
アクセル開度センサと回転数センサとを利用して変速機
のクラッチトルクを算出する方式としたので、量産車両
に対しても問題なく適用することができる。また、油圧
センサ、トルクセンサ等新規検出手段を追設する必要が
ないので、コストアップにつながることはない。
【図面の簡単な説明】
【図1】変速機のクラッチトルク検出に必要な各センサ
の配置説明図である。
【図2】変速機のクラッチトルク検出機構のブロック図
である。
【図3】パワートレインモデルの一例を示す模型図であ
る。
【符号の説明】
2 アクセル開度センサ 3 エンジン回転数センサ 5 遊星歯車式変速機 6 トルクコンバータ出力回転数センサ 11 エンジン出力トルク検出手段 12,15 トルクコンバータ出力トルク検出手段 13 トルクコンバータ速度比演算手段 14 トルクコンバータ入力軸トルク係数、トルク比検
出手段 16 変速機入力回転速度変化率演算手段 17 選択手段 18 クラッチトルク演算手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) F16H 59/00 - 61/12 F16H 61/16 - 61/24 F16H 63/40 - 63/48

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 油圧を用いてクラッチを切換えることに
    より変速操作を行う変速機において、アクセル開度α、
    エンジン回転速度ωE、 トルクコンバータ出力回転速度
    ω1 をそれぞれ検出する各手段と、 前記検出手段によって検出したアクセル開度α、エンジ
    ン回転速度ωE をアクセル開度別エンジントルクカーブ
    パネルに当てはめて、エンジン出力トルクTEを求め、
    このTE をトルクコンバータのロックアップレンジにお
    けるトルクコンバータ出力トルクT1 とする手段と、 前記検出手段によって検出したエンジン回転速度ωE、
    トルクコンバータ出力回転速度ω1 に基づいてトルクコ
    ンバータ速度比eを演算する手段と、 前記速度比eを用いてトルクコンバータ性能カーブパネ
    ルからトルクコンバータ入力軸トルク係数tp およびト
    ルク比tを求める手段と、 前記ωE,tp,tを用いてトルクコンバータレンジにお
    けるトルクコンバータ出力トルクT1 を算出する演算手
    段と、 トルクコンバータ出力回転速度ω1 を用いてトルクコン
    バータ出力回転速度変化率dω1/dt を算出する微分
    演算処理手段と、 ロックアップレンジ時、トルクコンバータレンジ時のそ
    れぞれに対応するトルクコンバータ出力トルクT1 を選
    択する手段と、 選択したトルクコンバータ出力トルクT1、 前記トルク
    コンバータ出力回転速度変化率 dω1/dt、および変
    速機のクラッチ入力側減速比ρ1、 変速機入力部回転慣
    性モーメントI1 を用いてクラッチトルクTC を算出す
    る演算手段とを備えたことを特徴とする変速機のクラッ
    チトルク検出装置。
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CN116773185B (zh) * 2023-08-17 2023-12-05 盛瑞传动股份有限公司 液力变矩器耐久实验方法、装置、设备及可读存储介质

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