JP2977511B2 - コンクリート型枠の再生方法及びその再生コンクリート型枠 - Google Patents

コンクリート型枠の再生方法及びその再生コンクリート型枠

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JP2977511B2 JP9162608A JP16260897A JP2977511B2 JP 2977511 B2 JP2977511 B2 JP 2977511B2 JP 9162608 A JP9162608 A JP 9162608A JP 16260897 A JP16260897 A JP 16260897A JP 2977511 B2 JP2977511 B2 JP 2977511B2
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    • E04G9/02Forming boards or similar elements
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この出願に係る発明は、土木、建
築工事等に於いてコンクリート建造物を構築するために
用いるコンクリート型枠の再生方法及びこの方法によっ
て再生されたコンクリート型枠に関する。
【0002】
【従来技術とその課題】従来より、土木、建築工事等に
於いては、コンクリート製建造物を構築するために、木
製のコンクリート型枠が使用されているが、転用回数が
少ない等の理由で、最近この木製のコンクリート型枠に
代わる新しいコンクリート型枠として図1に示す実開平
6−8601号公報に記載のガラス繊維で強化された熱
可塑性樹脂で一体成形されたコンクリート型枠(以下、
「FRP製型枠」又は単に「型枠」ともいう)が注目さ
れている。
【0003】このFRP製型枠01を多数使用して、例
えば図13のようなコンクリート建築物の壁21や柱2
2を構築している。図14,図15に示す如く、中間に
コンクリート23の打設空間24を形成すべく、複数縦
横に相対向した状態で型枠01を締結金具25やバタ角
26、セパレータ27等により組み立てている。この場
合コンクリート23に接する面となる型枠01の面板2
には、型枠01を取り外した後に「のろ」と呼ばれるセ
メントの薄板状固化物が付着することが多い。また、隣
り合う型枠同士の間(境界)28にもコンクリートの打
設圧力で「のろ」が入り込んで、型枠01を取り外した
時に「のろ」が型枠の縁材3に付着する現象がよく見ら
れる。
【0004】かかる型枠は、一つの現場においても数回
繰り返して使用(転用)されるのが通常であるが、この
繰り返し使用により(たとえ面板を叩いて「のろ」をで
きる限り除去したとしても)、「のろ」が徐々に堆積成
長し、ついには、図13のように組み立てた状態で寸法
誤差を生じに至ることがある。これは、ガラス繊維等で
強化された型枠の宿命的なものとも推定される。このよ
うな型枠はもはや使用に供しえない。
【0005】一方、FRP製型枠は、数回転用する間
に、型枠外表面や角部に傷がつくことも多い。傷がつく
とその部分のガラス繊維等が表面に現れ、この部分に特
にコンクリートが付着して残りやすくなり、もはや転用
に適しない型枠となる。
【0006】そこで、このような型枠を新品と同様の或
いはそれ以上の性能(機械的性質等)を有する型枠とし
て生まれ変わるような再生方法が強く要求されている。
このようなリサイクルは資源保護等の観点から社会的要
請になっているところでもある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、この出願に係る発明は、表面が傷ついた或いは
「「のろ」が付着した使い古しのガラス繊維で強化され
た熱可塑性樹脂で一体成形されたコンクリート型枠(原
型枠)の少なくとも面板外表面を一定厚さだけ切削し、
この上から補強材入りの外装材を展伸してコンクリート
型枠を再生する方法であり、また、この再生方法により
再生された型枠である。この場合、面板にあるセパレー
タ取着孔や、縁材にある締結孔にも外装材を充填してこ
れをアンカー機能を持たせて外装材の固着力を高めてい
る。
【0008】かかる再生方法で再生された型枠は、少な
くとも面板は母材層と外装材の層の2層からなるコンク
リート型枠である。これにより、元のコンクリート型枠
(原型枠)と同等又はそれ以上の性能をもつ、例えば、
「のろ」がより付着し難い、或いはより剛性の大きい型
枠として再生できる。
【0009】
【発明の実施の形態】この出願発明に係る再生方法は、
ガラス繊維で強化された熱可塑性樹脂で一体成形され、
面板にセパレータ取着孔を有するコンクリート型枠の再
生方法であって、使い古しの型枠の少なくとも面板の外
表面を一定厚さだけ切削し、この切削した後の型枠を所
定温度に加熱して下型に載置し、該面板外表面に補強フ
ィラーを含有したマトリックス(通常は熱可塑性樹脂、
以下同じ)からなる(熱可塑性樹脂を樹脂成分とする一
種の複合材料も含む、以下同じ)外装材を載せた後、上
型で加圧して外装材を該面板外表面全体に展伸すると共
に前記セパレータ取着孔にも充填して再生型枠を得るよ
うにしたものである。
【0010】これにより再生品では面板に新しい物性を
付加することもできる。即ち、必ずしも原型枠と形状、
寸法、物性(機械的性質)等が同一なものに再生される
とは限らない。例えば、再生品では剛性を強化する目的
で面板の厚さを原型枠より厚くすることもある。また、
コンクリートの「のろ」が付着しにくい表面とすること
も可能である。そのうえ、セパレータ取着孔にも外装材
が充填されるから、これがアンカーの働きをし外装材の
面板に強固に固定される。
【0011】また、ガラス繊維で強化された熱可塑性樹
脂で一体成形され、縁材に締結孔を有するコンクリート
型枠の再生方法であって、使い古しの型枠の少なくとも
面板の外表面と四周の縁材外表面とを一定厚さだけ切削
し、この切削した後の型枠を所定温度に加熱して下型に
載置し、該面板外表面に補強フィラーを含有したマトリ
ックスからなる外装材を載せた後、上型で加圧して外装
材を、該面板及び縁材の外表面全体に展伸すると共に前
記締結孔にも充填して、再生型枠を得るようにしたもの
である。
【0012】これにより、縁材部分にも「のろ」が付着
し難くなると共に、外装材が面板とこれに連なる縁材側
面全体に被着される形になるから外装材の剥離防止が向
上し、しかも、外装材が締結孔にも充填されるから、こ
れがアンカーの働きをして外装材が強固に固定される。
【0013】更にまた、ガラス繊維で強化された熱可塑
性樹脂で一体成形され、面板にセパレータ取着孔、縁材
に締結孔を有するコンクリート型枠の再生方法であっ
て、使い古しの型枠の面板外表面と四周の縁材外表面を
切削すると共に該縁材外表面に連なる端面角部を一定範
囲だけ面取りし、この切削した後の型枠を所定温度に加
熱して下型に載置し、該面板外表面に補強フィラーを含
有したマトリックスからなる外装材を載せた後、上型で
加圧して外装材を、面板、縁材の外表面全体及び前記面
取り部分に展伸すると共に前記セパレータ取着孔及び締
結孔にも充填して、再生型枠を得るようにしたものであ
る。
【0014】この再生方法では、面取りした四周端面角
部に外装材が充填されるから、あたかも外装材が母材に
キャップの如く被着(冠着)された形になり、外装材の
剥離がより効果的に防止できる。
【0015】上記の場合、切削によりガラス繊維が表出
したままの型枠を再生に用いるとよい。切削後の面板の
表面が粗いために、却って外装材との結合力が高められ
る。
【0016】また、ガラス繊維で強化された熱可塑性樹
脂及び補強フィラーを含有した熱可塑性樹脂を、ともに
ポリプロピレン、つまり、母材のマトリックスと外装材
のマトリックスとを同一にすれば、接合面の結合力が高
まるうえ、成形後の収縮率が同じになるように調整して
成形後の型枠変形を極力抑えることが可能となる。
【0017】また、補強フィラーとしてはタルク、マイ
カ、炭酸カルシウム等を使用すればよい。タルク等の含
有量や粒度を適切に選ぶことにより、型枠の表面硬度や
平滑度の改質並びに収縮率等の調整が可能である。繊維
層が表面に出ないうえ平滑度を向上させ得るので、「の
ろ」の付着が妨げらる。他方、「のろ」の付着をできる
だけ防止しつつ、モルタル(コンクリートの粗面に密着
するもの)との結合性をも良好にさせうるような平面粗
度の設定・調整も可能である。マトリックスがポリプロ
ピレンである場合には界面活性物質で表面処理した補強
フィラーを用いると、ポリプロピレンとの親和性が高ま
り、補強材としての物性を向上させるのに有利である。
【0018】また、外装材が充填されたセパレータ取着
孔や締結孔において、その当初の孔径より小さい径、又
は使用により拡径された孔径より小さい径(この時は当
初孔径と同一の径でもよい)の同心孔を穿設するための
孔明け工程を有するのがよい。通常の場合、再生型枠に
おいてもセパレータ取着孔や締結孔は当初と同じ位置に
穿孔されることが多いので、当初孔径等より小さい孔径
を穿設するようにすれば、該孔の周面に充填された外装
材が残存するから、これがアンカー機能を発揮するから
である。再度明けられた孔の大きさも使用する締結金具
が嵌入できるものに設定されていることはいうまでもな
い。
【0019】また、原型枠のマトリックス樹脂と外装材
のマトリックス樹脂とを、ともに光が透過できるものに
するとよい。コンクリート型枠が四方(壁面用)、上方
(天井又は上階の床面用)に組み立てられて閉囲された
空間を形成した場合にも、この作業空間を明るく作業環
境の良いものにする。
【0020】上記いずれかの再生方法によって得られた
再生コンクリート型枠は、たとえば、原型枠よりも「の
ろ」の付着の少ない、機械的性質等が改善された、従っ
て、転用回数の増大が期待できるコンクリート型枠とし
て生まれ変わったものになる。
【0021】
【実施例】この出願に係る発明を図面に基づいてより詳
細に説明する。図1は再生対象たるコンクリート型枠
(これを「原型枠」という)の表面側(コンクリート打
設側)の斜視図、図2は同裏面側の斜視図である。図示
の型枠構造はあくまで一例であり、この構造に限定され
ない。
【0022】再生対象となるべき原型枠は、通常はFR
P、即ちガラス繊維マットで強化された熱可塑性樹脂
(通常ポリプロピレン)を用いて一体成型されたもので
ある。
【0023】図1,2に示すように、原型枠01は、面
板2を有し、面板外表面2aは、打設されたコンクリー
トに接する面となる。面板2の裏面の四周には縁材3が
立設されている。縁材3の側面には、型枠の組み立てに
使用する締結金具25(図14)を取り付けるための締
結孔4が該縁材2を貫通して設けられている。また、型
枠の強度を上げるために、縁材3で囲まれた内側に中間
補強材5が設けられている。更に、縁材3と中間補強材
5とに囲まれた平面区画には縁材3より背の低い平面視
十字形状の平板状リブ6が補強のために設けられてい
る。そして、平板状リブ6の中央部にはセパレータ取着
孔7が開設されている。セパレータ取着孔7は、型枠組
立時にコンクリート打設空間を形成している型枠間に杆
状のセパレータを介在させてこれを固定するために利用
されるが、土木の基礎用としては不要な孔である。縁材
3と中間補強材5と平板状リブ6とによって、補強リブ
材が構成されている。なお、中間補強材5は背の低いブ
ラケット又は三角状のブラケットでもよい場合もある。
【0024】このような原型枠01は、図3に模式的に
示す方法によって製造される。図3(a)に示す原型枠
成形用金型10は、上型11と下型12とによって構成
されており、上型11及び下型12の間に形成される間
隙13に原型枠01が成型される。この金型10では、
上型11の下面の成形面11aによって面板外表面2a
が成形され、間隙13a、並びに下型12のリブ溝12
b及び12cによって、それぞれ縁材3、中間補強材5
及び平板状リブ6が成形される。
【0025】図3に示す金型10を用いた原型枠01の
成形は、以下のようにして行われる。まず、所定重量の
2種類の(例えば繊維長が異なる)FRP原料マットが
溶融状態となるまで加熱される。原料マットが溶融状態
となると、図3(b)に示すように、FRP原料マット
14aを下型12上に載置する。なお、溶融した原料マ
ットはガラス繊維の存在により流動性は低く、手で取り
扱うことができる。下型12上に直接置かれる原料マッ
ト14aは、比較的深いリブ溝12b及び12cの両側
と間隙13aの側縁部とにその端部14a’が位置する
ように載置され、このように原料マット14aの端部1
4a’を配置することにより、原料マット14aを深い
リブ溝12b及び12c並びに間隙13aの内部に十分
行き渡らせることができる。次に、FRP原料マット1
4bを溶融状態で原料マット14a上に積層載置する。
この原料マット14bは、原料マット14aよりも多く
使用されるため、2層に重ねて積層される。次に、図3
(c)に示すように上型11を下降させて約1000ト
ンの圧力を加える。これにより、FRP原料マット14
a,14bはコンクリート型枠の形状となり、上下型1
1,12内に設けられた配管(図示せず)に冷却水を流
してFRPを固化させることにより、コンクリート型枠
(原型枠)01が得られる。なお、締結孔4やセパレー
タ取着孔7は、最後の孔明け工程で穿設される。
【0026】上述のような製造方法で成形された原型枠
01は、コンクリート建造物の現場で図13〜15に示
すような態様で使用される。一つの現場で数回転用され
るうちに「のろ」が原型枠01の、特に、面板外表面2
aに付着堆積する。隣合う型枠との境界面28にもコン
クリート打設圧力により、「のろ」が侵入して縁材外表
面3a(図1)に付着することもある。「のろ」が付着
した型枠は寸法誤差等の原因になるから使用に供しえな
い。一方、何回かの転用の際に型枠外表面に傷が付く場
合もある。そこで、これらの原型枠は再生工場に送られ
る。
【0027】以下、図4〜図10により、再生工場に送
られてきた使い古しの原型枠の再生方法について説明す
る。
【0028】図4:原型枠の切削工程である。
【0029】まず、使い古しの原型枠01を、図示しな
い切削機により、一定厚さ(通常、2〜3mm)だけ、
少なくとも面板外表面2aを切削する。この切削工程に
より付着していたコンクリートの「のろ」は除去され
る。
【0030】好ましくは四周の縁材3の外表面3aも一
定厚さ切削する。更に好ましく、図5に示すように、こ
の縁材外表面3aに連なる端面角部8の四周を一定範囲
面取りする。即ち、(a)は、一定範囲の不削部分(原型
枠の端面)8aを残して三角状に面取りしたものであ
る。(b)は、内側の角部8bまで三角状に面を取ったも
の、(c)は一定深さ端面8cに平行に面を取ったもので
ある。図中の仮想線が切削ラインを示す。図5のような
縁材3端面角部8を面取りした場合には、下記外装材9
の原型枠01に対する引っかかりができ、更に外装材9
の剥離防止効果が高められる。
【0031】なお、切削厚さは、主に再生型枠の剛性強
度をいかに設定するか、つまり、原型枠と同一に又はそ
れ以上のものにするかによって決定される。つまり、機
械的性質等の改善度合いによって最適な切削厚さが決め
られる。
【0032】図6:切削した原型枠01の下型への載置
工程である。
【0033】この切削した後の原型枠01を所定温度ま
で加熱して下型12に載置する。この場合、切削機で切
削したままのものであれば、その表面にガラス繊維等の
繊維層が露出して粗くなり、この粗さがかえって下記外
装材9の母材に対する結合力を高めるのに役立つ。原型
枠01を所定温度に加熱するのは、第一に、原型枠01
には上述したように補強リブ材が沢山あり、これを加熱
することにより軟らかくして下型12にセットしやす
く、またリブ溝12b、12cに挿入しやすくするため
であり、第二に、後工程である下記の補強フィラーを含
有した熱可塑性樹脂と原型枠の母材との結合力を高める
ためである。通常は原型枠01を30°〜60°の範囲
で選択して加熱する。この場合、切削によりガラス繊維
が表出したままの型枠を再生に用いるとよい。切削後の
面板の表面が粗いために、却って下記の外装材9との結
合性が高められるからである。
【0034】図7:外装材9を載せる工程である。
【0035】面板外表面2aに補強フィラーを含有した
マトリックス(通常は熱可塑性樹脂、例えばポリプロピ
レンであるがこれに限定されない)からなる流動性のあ
る外装材9を載せる。一般には、外装材9は加熱されて
流動性が付与されているが、人手で持ち運べる程度に流
動性が低いものである。原型枠01上への供給は人手に
よるか、又は供給装置により供給してもよい。流動性を
得るのに加熱が必要な外装材の場合、外装材9の加熱温
度は、補強フィラーの種類やマトリックスの種類によっ
て異なるが、いずれにしても原型枠の母材との密着結合
性が促進されるような好適な温度に設定される。
【0036】補強フィラーとしては、タルク、マイカ、
炭酸カルシウム等が挙げられる。この場合、界面活性物
質で表面処理した補強フィラーを用いるのがマトリック
スとの結合性がよい。タルク等の補強フィラーの粒度を
変えることにより、収縮率や強度、剛性等も調整でき
る。マトリックスに対する補強フィラーの含有量は、目
標とする機械的性質や型枠表面の粗度などによって決定
され、再生工場内で適宜調整される。なお、改善目的に
よってはガラス繊維や炭素繊維等の短繊維が考えられ
る。
【0037】原型枠のマトリックス樹脂と外装材のマト
リックス樹脂とを、ともに光が透過できるものにすると
よい。コンクリート型枠が四方(壁面用)、上方(天井
又は上階の床面用)に組み立てられて閉囲された作業空
間を形成した場合にも、この空間を明るく作業環境の良
いものにし、作業の能率、安全性を向上させるのに役立
つ。この点、従来広く使用されてきた合板製型枠では光
が通過しないから閉囲された作業空間が暗くなり、日中
でも照明が必要である。
【0038】図8:上型11を原型枠01上に載るよう
下降させる工程である。
【0039】図9:上型による加圧工程である。
【0040】上型により数百トンの圧力で加圧して面板
外表面2a全体と、該当する場合には縁材外表面3a全
体、上記面取り部分にも外装材9を展伸し行き渡らせ
る。同時にセパレータ取着孔7や締結孔4にも外装材9
を充填する。この時、図5(a)((b)のような面取りがし
てあれば、縁材端面8aが下型12に圧接されているか
ら外装材9が原型枠01の内側に流れ込んでいくのを遮
断する。これは、外装材9の秤量は精度良くなされてい
るから、板厚の精度確保に有利に働く。上下型11,1
2内に設けられた配管(図示せず)に冷却水を流して全
体を固化させることにより、図10に示す再生コンクリ
ート型枠(再生型枠)1を得る。
【0041】図12(a)は、上記のようにして再生され
た再生型枠1を締結孔4’等の孔明け施工(再生後の用
途によってはセパレータ取着孔7’は不要な場合もあ
る)した後の再生型枠表側の斜視図で、(b)はその部分
断面図である。通常、図11(a)に示すようにセパレー
タ取着孔7や締結孔4に充填された外装材9は孔の内側
面に多少表出(表出部分9a)するから、これが引っか
かりを形成して外装材9の剥離を防止するのに役立つ。
再生型枠においても、図11(a)に示すように改めてセ
パレータ取着孔や締結孔を当初と同位置に穿孔すること
が多いが、この場合、図11(b)の如く当初の孔径Dよ
り小さい径dの同心孔(セパレータ取着孔7’又は締結
孔4’)を明けるのがよい。そうすればアンカー機能を
発揮させることができる。小さい径dも使用する締結金
具が嵌入できるものに設定されている。もっとも、実際
には、当初の孔径Dは、型枠を何回か使用するうちに段
々拡大しすることが多いので、再度の孔径dも当初の孔
径Dと同じにしても差し支えない。
【0042】図10、図12に示すように、再生型枠1
では、再生の面板外表面2a’ないし縁材外表面3a’
全体が外装材9で覆われた構造となる。つまり、再生後
の面板2’、縁材3’は、繊維で強化された熱可塑性樹
脂の母材層Aと、補強フィラーを含有した樹脂層Bとの
2層によって形成されることになる。これら2層の樹脂
として、ともにポリプロピレンとすれば両者接合面の相
互の結合性が良好となり外装材9が剥離しにくいものと
なる。
【0043】
【発明の効果】この出願発明に係る再生方法による場
合、FRP製コンクリート型枠のリサイクルを容易に達
成できる。即ち、「のろ」が付着したり、傷が付いた原
型枠を復元して再びコンクリート型枠として利用できる
再生方法の実用化を達成できる。即ち、本願再生方法で
は、原型枠の原形を維持しているものをそのまま使用し
てリサイクル工程にのせるので、他の一般のリサイクル
方法(たとえば、廃プラスチックを粉砕・溶融して再生
原料を得る場合)におけるような大がかりな設備が必要
な場合に比べ、実用化しやすい。
【0044】しかも、本願再生方法によるときは、要求
に応じて、再生品に新しい物性を付加したり、表面改質
を行うことも容易である。つまり、原型枠の面板板厚、
物性(機械的性質)等を、要求に合致するように再生す
ることが容易である。例えば、原型枠より板厚を厚くし
たり、また、補強フィラーの量や粒度等を調整すること
により剛性を強化でき、或いは、同時にコンクリートの
「のろ」が付着をしにくい表面として改良することも容
易である。
【0045】特に、本願では、原型枠にもともと存在す
る締結孔もしくはセパレータ取着孔がアンカー孔として
利用することもあることから、外装材の原型枠に対する
固着力をより一層高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この出願発明に係る再生方法の対象となる原型
枠の表面側の斜視図である。
【図2】同裏面側の斜視図である。
【図3】(a)〜(c)は原型枠の成型用金型を用いた
原型枠の成形工程を示す模式図である。
【図4】原型枠の切削工程である。
【図5】(a)〜(c)は原型枠の角部の面取り工程である。
【図6】切削後の原型枠の下型への載置工程である。
【図7】外装材を載せる工程である。
【図8】上型を下降させる工程である。
【図9】上型による加圧工程である。
【図10】下型から離型した後の再生型枠である。
【図11】(a)はセパレータ取着孔又は締結孔に外装材
が充填された状態の要部拡大断面図、(b)は改めてセパ
レータ取着孔又は締結孔を明けた状態の要部拡大断面図
である。
【図12】(a)は孔明けを完了した後の再生型枠全体の
斜視図、(b)は部分拡大断面図である。
【図13】コンクリート型枠を組み立てた状態の平断面
図である。
【図14】コンクリート型枠を組み立てた状態の部分断
面斜視図である。
【図15】より詳細な平断面図である。
【符号の説明】
01…原型枠 1…再生コンクリート型枠(再生型枠) 2…面板 2a…面板外表面 3…縁材 3a…縁材外表面 4…締結孔 5…中間補強材 6…平板状リブ 7…セパレータ取着孔 8…端面角部 9…外装材 10…金型 11…上型 12…下型

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ガラス繊維で強化された熱可塑性樹脂で
    一体成形され、面板にセパレータ取着孔を有するコンク
    リート型枠の再生方法であって、 使い古しの型枠の少なくとも面板の外表面を一定厚さだ
    け切削し、この切削した後の型枠を所定温度に加熱して
    下型に載置し、該面板外表面に補強フィラーを含有した
    マトリックスからなる外装材を載せた後、上型で加圧し
    て外装材を該面板外表面全体に展伸すると共に前記セパ
    レータ取着孔にも充填して再生型枠を得るようにしたこ
    とを特徴とするコンクリート型枠の再生方法。
  2. 【請求項2】 ガラス繊維で強化された熱可塑性樹脂で
    一体成形され、縁材に締結孔を有するコンクリート型枠
    の再生方法であって、 使い古しの型枠の少なくとも面板の外表面と四周の縁材
    外表面とを一定厚さだけ切削し、この切削した後の型枠
    を所定温度に加熱して下型に載置し、該面板外表面に補
    強フィラーを含有したマトリックスからなる外装材を載
    せた後、上型で加圧して外装材を、該面板及び縁材の外
    表面全体に展伸すると共に前記締結孔にも充填して再生
    型枠を得るようにしたことを特徴とするコンクリート型
    枠の再生方法。
  3. 【請求項3】 ガラス繊維で強化された熱可塑性樹脂で
    一体成形され、面板にセパレータ取着孔、縁材に締結孔
    を有するコンクリート型枠の再生方法であって、 使い古しの型枠の面板外表面と四周の縁材外表面を切削
    すると共に該縁材外表面に連なる端面角部を一定範囲だ
    け面取りし、この切削した後の型枠を所定温度に加熱し
    て下型に載置し、該面板外表面に補強フィラーを含有し
    たマトリックスからなる外装材を載せた後、上型で加圧
    して外装材を、面板、縁材の外表面全体及び前記面取り
    部分に展伸すると共に前記セパレータ取着孔及び締結孔
    にも充填して再生型枠を得るようにしたことを特徴とす
    るコンクリート型枠の再生方法。
  4. 【請求項4】 切削によりガラス繊維が表出したままの
    型枠を次の再生工程にのせるようにした請求項1〜3い
    ずれか1項に記載のコンクリート型枠の再生方法。
  5. 【請求項5】 補強フィラーを含有したマトリックスが
    熱可塑性樹脂である請求項1〜4いずれか1項に記載の
    コンクリート型枠の再生方法。
  6. 【請求項6】 ガラス繊維で強化された熱可塑性樹脂及
    び補強フィラーを含有したマトリックスが、ともにポリ
    プロピレンであることを特徴とする請求項1〜4いずれ
    か1項に記載のコンクリート型枠の再生方法。
  7. 【請求項7】 補強フィラーがタルク、マイカ、炭酸カ
    ルシウムのいずれかである請求項1〜6いずれか1項に
    記載のコンクリート型枠の再生方法。
  8. 【請求項8】 外装材が充填されたセパレータ取着孔及
    び/又は締結孔において、その当初の孔径又は使用によ
    り拡径された孔径より小さい孔径の同心孔を穿孔するた
    めの孔明け工程を有する請求項1〜7いずれか1項に記
    載のコンクリート型枠の再生方法。
  9. 【請求項9】 原型枠のマトリックス樹脂と外装材のマ
    トリックス樹脂とを、ともに光が透過しうるものにした
    請求項1〜8いずれか1項に記載のコンクリート型枠の
    再生方法。
  10. 【請求項10】 上記請求項1〜9いずれか1項に記載
    の再生方法によって得られた再生コンクリート型枠。
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