JP2976410B1 - 感熱記録システム - Google Patents

感熱記録システム

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JP2976410B1
JP2976410B1 JP10247977A JP24797798A JP2976410B1 JP 2976410 B1 JP2976410 B1 JP 2976410B1 JP 10247977 A JP10247977 A JP 10247977A JP 24797798 A JP24797798 A JP 24797798A JP 2976410 B1 JP2976410 B1 JP 2976410B1
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Abstract

【要約】 【課題】高温かつ高押圧力での感熱記録を行う場合であ
っても、保護膜を形成するカーボンの酸化による消失が
極めて少なく、長期間にわたってサーマルヘッドが高い
信頼性を発揮することができ、長期間にわたって高画質
の感熱記録を安定して行うことが可能な感熱記録システ
ムを提供すること。 【解決手段】発熱抵抗体を保護する保護膜として、セラ
ミックスを主成分とする少なくとも1層の下層保護膜、
および該下層保護膜の上に形成される炭素を主成分とす
る上層保護膜を有するサーマルヘッドと、酸素遮断作用
と前記サーマルヘッドの冷却作用を有する感熱記録材料
とを用いることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、各種のプリンタ、
プロッタ、ファックス、レコーダ等に用いられる、サー
マルヘッドを用いた感熱記録システムに関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、超音波診断画像の記録に、フィ
ルム等を支持体として感熱記録層を形成してなる感熱記
録材料を用いた感熱記録が利用されている。また、感熱
記録は湿式の現像処理が不要であり、取り扱いが簡単で
ある等の利点を有することから、近年では、超音波診断
画像のような小型画像の記録のみならず、CT診断、M
RI診断、X線診断等の大型かつ高画質な画像が要求さ
れる用途において、医療診断のための画像記録への利用
も検討されている。
【0003】周知のように、感熱記録は、感熱記録材料
の感熱記録層を加熱して画像を記録するための、発熱抵
抗体(以下、発熱体という)と電極とを有する発熱素子
が一方向(主走査方向)に配列されたグレーズが形成さ
れたサーマルヘッドを用い、グレーズを感熱記録材料の
感熱記録層(以下、単に感熱記録層という)に若干押圧
した状態で、両者を前記主走査方向と直交する副走査方
向に相対的に移動しつつ、MRI等の画像データ供給源
から供給された記録画像の画像データに応じて、グレー
ズの各画素の発熱体にエネルギーを印加して発熱させる
ことにより、感熱記録層を加熱して画像記録を行う。
【0004】このサーマルヘッドのグレーズには、感熱
記録材料を加熱する発熱体、あるいはさらに電極等を保
護するため、その表面に保護膜が形成されている。従っ
て、感熱記録時に感熱記録材料と接触するのはこの保護
膜で、発熱体は、この保護膜を介して感熱記録材料を加
熱し、これにより感熱記録が行われる。上述の保護膜の
材料には、通常、耐摩耗性を有するセラミック等が用い
られているが、保護膜の表面は、感熱記録時には加熱さ
れた状態で感熱記録材料と摺接するため、記録を重ねる
にしたがって摩耗し、劣化する。
【0005】この摩耗が進行すると、感熱画像に濃度ム
ラが生じたり、保護膜としての強度が保てなくなるた
め、発熱体等を保護する機能が損なわれ、最終的には、
画像記録ができなくなる状態(ヘッド切れ)に陥る。特
に、前述の医療用途のように、高品質で、かつ高画質な
多階調画像が要求される用途においては、高品質化およ
び高画質化を図るために、ポリエステルフィルム等の高
剛性の支持体を使用する感熱フィルムを用い、さらに、
記録温度(印加エネルギー)や、感熱記録材料へのサー
マルヘッドの押圧力を高く設定する方向にある。そのた
め、従来の感熱記録に比して、サーマルヘッドの保護膜
にかかる力(力学的なストレス)や熱が大きく、摩耗や
腐食(腐食による摩耗)が進行し易くなっている。しか
も、支持体としてポリエステルフィルム等を用いる感熱
フィルムでは、感熱記録層に含有される水分等の保護膜
腐食の原因となる物質が、支持体に染み込まず、サーマ
ルヘッドの表面すなわち保護層に付着してしまうため、
保護層表面の腐食物質濃度が高くなり易く、より腐食が
進行する結果となる。
【0006】このようなサーマルヘッドの保護膜の摩耗
を防止し、耐久性を向上する方法として、保護膜の改
良、感熱記録材料の改良、記録条件の改良等の各種の方
法が提案、実用化されている。この中で、感熱記録材料
の改良は、摩耗や腐食の原因となる成分の減量を図るも
のが主であるが、ヘッドの汚れ、スティッキング等の副
作用を伴う場合があり、十分な摩耗防止効果を得られな
いことがある。他方、記録条件の改良とは、感熱記録の
最高温度や記録圧力の低減を図るものであるが、この方
法は、記録画像の画質に影響を与える場合があり、特
に、高画質を要求される用途では、十分な効果が得られ
ないことがある。一方、サーマルヘッドの保護膜の摩耗
防止のために、保護膜の性能を向上する技術も数多く検
討されてきた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】サーマルヘッドの保護
膜の性能を向上するために、保護膜の改良が試みられ、
各種の提案が行われている。例えば、サーマルヘッドの
保護膜として好適に用いられる材料として、サイアロン
(Si-Al-O-N)が知られているが、特開平5−19317
1号公報には、サイアロン(Si-Al x -Oy -Nz ) の組成
比をx=0.1〜4.0、y=0.2〜6.0、z=
1.2〜3.0とすることにより保護膜の耐摩耗性を向
上する方法が開示されている。また、特開昭63−21
6762号公報には、サイアロンに金属を添加すること
により、保護膜の層間剥離を防止する方法が、特開平6
−8501号公報には、サイアロンに窒化チタン(TiN)
を添加することにより硬度および電気抵抗を適正にする
発明が、さらに、同6−31961号公報には、サイア
ロンにホウ化チタン(TiB)を添加することにより熱膨張
率を調整する方法が、それぞれ開示されている。
【0008】また、保護膜としては、酸化クロム(CrO)
等の金属酸化物の薄膜も利用され、例えば、特開平5−
305720号公報には、酸化クロムに、酸化珪素、酸
化チタン、酸化アルミニウム、酸化セリウム、酸化イッ
トリウムから選択される酸化物の1以上を添加、あるい
は酸化クロムに高融点金属(Cr,Ti)の窒化物を添加する
ことにより、保護膜の耐摩耗性を向上する方法が開示さ
れている。
【0009】これらの方法によれば、保護膜の特性を向
上して、耐摩耗性が良好な保護膜を有するサーマルヘッ
ドを実現することができるが、前述のような、高画質画
像の記録を目的とした高温・高圧の記録条件下では、や
はり十分な耐摩耗性が得られず、保護膜の信頼性が不十
分なことがあり、保護膜の摩耗による前述のヘッド切れ
(発熱体の断線)や記録画像の濃度ムラ等が発生する。
【0010】他方、保護膜の耐摩耗性を向上する方法と
して、特開昭62−227763号公報には、保護膜と
してダイヤモンド薄膜を用いる方法が、同63−725
59号公報には、保護膜として、2.5[W/(cm・deg)]
以上の熱伝導率を有する、炭素または炭素を主成分とす
る薄膜を用いる方法が、それぞれ開示されている。これ
らの方法によれば、非常に固く耐摩耗性に優れた保護膜
が形成できる反面、保護膜の電気絶縁性が低く、感熱材
料と保護膜との摺接によって発生する静電気による発熱
体や電極の破壊が発生し易いという問題点がある。
【0011】さらに、複数層の保護膜を設けることによ
り、保護膜の耐摩耗性を向上して、優れた耐久性を有す
るサーマルヘッドを実現することも提案されている。例
えば、特開昭61−189958号公報には、体積抵抗
率が103 〜1013Ω・cmである耐熱材からなる第1
層と、その上層に形成される、高硬度炭素からなる第2
層とから構成される保護膜を有することにより、保護膜
の耐摩耗性および耐環境性に加え、熱効率にも優れるサ
ーマルヘッドが開示されている。また、特開平7−13
2628号公報には、下層のシリコン系化合物層と、そ
の上層のダイアモンドライクカーボン層(DLC膜)と
の2層構造の保護膜を有することにより、保護膜の摩耗
および破壊を大幅に低減し、高画質記録が長期間にわた
って可能なサーマルヘッドが開示されている。しかしな
がら、これらのカーボンを主成分とする保護膜にも解決
すべき問題がある。それは、カーボンを主成分とする保
護膜は、機械的なストレスに対しては良好な耐摩耗性を
有するものの、感熱記録時の加熱により、保護膜を形成
しているカーボンが、空気中の酸素と結合して酸化し、
CO2 となって昇華、消失するという問題である。
【0012】本発明の目的は、前記従来技術の問題点を
解決することにあり、高画質化のために高エネルギー
(高温)かつ高押圧力での感熱記録を行う場合であって
も、保護膜を形成するカーボンの酸化による消失が極め
て少なく、長期間にわたってサーマルヘッドが高い信頼
性を発揮することができ、これにより、長期間にわたっ
て高画質の感熱記録を安定して行うことができる感熱記
録システムを提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明に係る感熱記録システムは、発熱抵抗体を保
護する保護膜として、セラミックスを主成分とする少な
くとも1層の下層保護膜、および該下層保護膜の上に形
成される炭素を主成分とする上層保護膜を有するサーマ
ルヘッドと、酸素遮断作用と前記サーマルヘッドの冷却
作用を有する感熱記録材料とを用いることを特徴とす
る。
【0014】また、上記酸素遮断作用とサーマルヘッド
の冷却作用を有する感熱記録材料とは、記録時に上記発
熱抵抗体上のサーマルヘッド表面を溶融成分で覆うこと
が可能な溶融成分を有するものであることを特徴とす
る。さらに、上記溶融成分の含有率は、0.01g/m
2 以上、好ましくは0.1g/m2 、より好ましくは
0.2g/m2 以上であることが望ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る感熱記録シス
テムについて、添付の図面に示される好適実施例を基に
詳細に説明する。
【0016】図1は、本発明の一実施の形態に係る感熱
記録システムを利用する感熱記録装置の要部を示す概略
図、図2は、感熱記録に用いるサーマルヘッドの詳細な
構造を示す断面図である。図1に示される装置は、例え
ば、B4サイズ等の所定のサイズのカットシートである
感熱記録材料(以下、感熱材料Aという)に感熱記録を
行うものであり、記録部10に配置されたサーマルヘッ
ド(この詳細については、後述する)20を感熱材料A
に押圧しつつ、グレーズの延在方向すなわち主走査方向
(図1および図2において紙面と垂直な方向)と直交す
る副走査方向(図1中の矢印b方向)に感熱材料Aを搬
送して、記録画像(画像データ)に応じて各発熱体を発
熱させることにより、感熱材料Aに感熱記録を行うもの
である。
【0017】感熱材料Aは、透明なポリエチレンテレフ
タレート(PET)フィルムなどの樹脂フィルムや紙等
を支持体として、その一面に感熱記録層を形成してなる
ものであり、本発明においては、このような感熱記録材
料として、感熱記録層(サーマルヘッド20が接触する
側の、支持体を除く塗布層)中に溶融成分を有すると共
に、上記塗布層が所定の熱容量および熱伝導率を有する
ものを用いる。本発明に係る感熱記録システムに用いら
れる感熱材料Aには、この感熱記録層の溶融成分含有
率、熱容量および熱伝導率の値以外には限定はなく、こ
れ以外は、感熱発色層を有する、例えば、常温において
互いに隔離されている発色剤と顕色剤とを加熱によって
互いに接触させて発色する(感熱)発色層を有する感熱
記録層が形成された、公知の感熱記録材料と同様の構成
を有する。
【0018】具体的には、本発明で使用する感熱材料A
に用いられる支持体としては、PETやポリブチレンテ
レフタレート等のポリエステル、三酢酸セルロース、ポ
リプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィン、ポリ
塩化ビニリデン等からなる樹脂フィルムや、紙等の公知
の感熱記録材料に用いられるものが全て利用可能であ
る。また、本発明の感熱記録システムによれば、高剛性
フィルムを支持体とする感熱材料を用いても、サーマル
ヘッド20の保護膜の摩耗を極めて少なくすることがで
きる。また、支持体の厚さにも特に限定はないが、一般
的に、25μm〜200μm程度である。なお、本発明
は転写型感熱記録にも好適に利用可能であるが、この場
合には、転写型感熱記録材料のトナーシートは、一般的
に、0.5μm以上のものを用いる。
【0019】また、本発明で用いる感熱材料Aは、必要
に応じて、感熱記録層の裏面側に光反射防止層を有して
もよい。光反射防止層には特に限定はなく、メチルセル
ロース、ポリビニルアルコール、アクリル系樹脂、デン
プン類等のバインダと、穀類から得られる微粒子、ポリ
スチレンやポリウレタン等の樹脂微粒子等の微粒子状物
質とからなる公知の光反射防止層でよい。
【0020】感熱記録によって発色する発色層の発色剤
および顕色剤は、発色前は共に実質的に無色であるが、
加熱により互いに接触して発色反応を起こす成分であ
る。本発明で用いる感熱材料Aの発色剤および顕色剤に
は特に限定はなく、公知の組み合わせのものが各種利用
可能であるが、一例として、以下に示す(ア)〜(シ)
の組み合わせが例示される。
【0021】(ア)電子供与性染料前駆体と、電子受容
性化合物との組み合わせ (イ)光分解性ジアゾ化合物と、カプラーとの組み合わ
せ (ウ)ベヘン酸銀やステアリン酸銀等の有機金属塩と、
プロトカテキン酸やスピロインダン等の還元剤との組み
合わせ (エ)ステアリン酸第二鉄やミリスチン酸第二鉄等の長
鎖脂肪酸塩と、没食子酸やサリチル酸アンモニウム等の
フェノール類との組み合わせ (オ)酢酸ニッケルやステアリン酸銅等の有機酸重金属
塩と、硫化カリウムや硫化ストロンチウム等のアルカリ
土類金属硫化物もしくはs−ジフェニルカルバジドやジ
フェニルカルバゾン等の有機キレート剤との組み合わせ (カ)硫化銀や硫化鉛等の(重)金属硫化物と、Na−
テトラチオネートやチオ硫酸ソーダ等の硫黄化合物との
組み合わせ (キ)ステアリン酸第二鉄やペラルゴン酸第二鉄等の脂
肪族第二鉄塩と、3,4−ジヒドロキシテトラフェニル
メタン等の芳香族ポリヒドロキシ化合物もしくはチオセ
チルカルバミドやイソチオセチルカルバミド等のカルバ
ミドとの組み合わせ (ク)シュウ酸銀等の有機貴金属塩と、グリセリンやグ
リコール等の有機ポリヒドロキシ化合物との組み合わせ (ケ)カプロン酸鉛やペラルゴン酸鉛等の有機酸鉛塩
と、エチレンチオ尿素やN−ドデシルチオ尿素等のチオ
尿素誘導体との組み合わせ (コ)ステアリン酸第二鉄やステアリン酸銅等の高級脂
肪酸(重)金属塩と、ジアルキルジチオカルバミン酸亜
鉛との組み合わせ (サ)レゾルシンとニトロソ化合物との組み合わせのよ
うな、オキサジン染料を形成する組み合わせ (シ)ホルマザン化合物と、還元剤および/または金属
塩との組み合わせ
【0022】中でも特に、(ア)の電子供与性染料前駆
体と電子受容性化合物との組み合わせ、(イ)の光分解
性ジアゾ化合物とカプラーとの組み合わせ、および
(ウ)の有機金属塩と還元剤の組み合わせが好ましく、
特に、(ア)および(イ)の組み合わせはより好まし
く、中でも特に、画像の鮮明性の観点から(ア)の組み
合わせが好ましい。
【0023】上記(ア)の組み合わせにおける電子供与
性染料前駆体(発色剤)とは、エレクトロンを供与し
て、あるいは酸などのようにプロトンを受容して発色す
る性質を有するものであり、このような性質を有し、実
質的に無色のものであれば、感熱材料に用いられる公知
のものが各種利用可能である。具体的には、トリフェニ
ルメタンフタリド誘導体やインドリルフタリド誘導体等
のフタリド誘導体(米国特許第3491111号明細書
等参照)、フルオラン誘導体(米国特許第362410
7号明細書等参照)、フェノチアジン誘導体、ロイコオ
ーラミン誘導体、ローダミンラクタム誘導体、トリフェ
ニルメタン誘導体、トリアゼン類、スピロピラン類、フ
ルオレン誘導体(特願昭61−240989号明細書等
参照)、ピリジン誘導体およびピラジン誘導体(米国特
許第3775424号明細書等参照)等が例示される。
これらの電子供与性染料前駆体の中でも、特に、『2−
アリールアミノ−3−R−6−置換アミノフルオラン
(Rは、水素、ハロゲン、アルキル基およびアルコキシ
基を示す)』で示される化合物が好適に用いられ、具体
的には、2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミ
ノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−シ
クロヘキシル−N−メチルアミノフルオラン、2−p−
クロロアニリノ−3−メチル−6−ジブチルアミノフル
オラン等が例示される。
【0024】以上のような電子供与性染料前駆体と組み
合わされる電子受容性化合物(顕色剤)としては、フェ
ノール類、有機酸もしくはその金属塩、オキシ安息香酸
エステル類の酸性物質が例示される。具体的には、p−
フェニルフェノール、クミルフェノール等のフェノール
類;2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ペンタ
ン、1,1−ビス−(4’−ヒドロキシフェニル)シク
ロヘキサン等のビスフェノール類; 3,5−ジ−α−
メチルベンジルサリチル酸、3,5−tert−ブチルサリ
チル酸等のサリチル酸誘導体もしくはその多価金属(特
に、亜鉛、アルミニウム)塩; p−ヒドロキシ安息香
酸ベンジルエステル、p−ヒドロキシ安息香酸−2−エ
チルヘキシルエステル等のオキシ安息香酸エステル類;
が例示され、特に、発色性向上等の点でビスフェノー
ル類が好適に用いられる。また、このような顕色剤は、
特開昭61−291183号公報等にも開示されてい
る。なお、このような電子受容性化合物は、前述の電子
供与性染料前駆体の50〜800重量%、特に、100
〜500重量%用いられるのが好ましい。
【0025】また、上記(イ)の光分解性ジアゾ化合物
とカプラーとの組み合わせにおいて、光分解性ジアゾ化
合物(発色剤)とは、カプラー(顕色剤)と反応して所
望の色に発色するものであり、例えば、芳香族ジアゾニ
ウム塩、ジアゾスルフォネート化合物、ジアゾアミノ化
合物である。芳香族ジアゾニウム塩は、次の一般式『A
rN2 + - (Arは置換基を有してもよい芳香族環
を、N2 + はジアゾニウム基を、X- は酸アニオンを、
それぞれ示す)』で示される化合物である。ジアゾスル
フォネート化合物は、各種のジアゾニウム塩を亜硫酸塩
で処理することによって得られる。ジアゾアミノ化合物
は、ジアゾ基をジシアンジアミド、サルコシン、メチル
タウリン等をカップリングさせて得られる化合物であ
る。なお、これらの光分解性ジアゾ化合物については、
特開平2−136286号公報に開示される。
【0026】このような光分解性ジアゾ化合物と組み合
わされるカプラーとしては、2−ヒドロキシ−3−ナフ
トエ酸アニリド、レゾルシン、さらには、特開昭62−
146678号公報に開示されている化合物が例示され
る。なお、発色剤および顕色剤として、(イ)の組み合
わせの光分解性ジアゾ化合物とカプラーとを用いる感熱
材料Aにおいては、必要に応じて、カップリング反応を
促進するために、有機アンモニウム塩、有機アミン類、
チアゾール類等の塩基性物質が添加されていてもよい。
【0027】本発明で用いる感熱材料Aにおいて、この
ような発色剤および顕色剤は、発色層中に公知の方法で
固体分散されていればよいが、発色層の透明性の向上、
常温での両者の接触によるカブリの防止(保存性向
上)、発色感度の制御等の点で、マイクロカプセル化し
て発色層に分散されるのが好ましい。このようなマイク
ロカプセルの製造は、界面重合法、内部重合法、外部重
合法等の公知の方法が各種利用可能である。特に、発色
剤および顕色剤を含有する芯物質を、ゼラチンやポリビ
ニルアルコール等の水溶性物質を溶解した水溶液中で乳
化した後、その油滴の周囲に高分子物質の壁を形成する
界面重合法が好適に利用される。なお、壁を形成する高
分子物質としては、ポリウレタン、ポリウレア、ポリア
ミド等が例示される。また、発色のエネルギーをコント
ロールするために、ガラス転移温度の異なるカプセル壁
を有するマイクロカプセルを複数混合して用いてもよ
い。
【0028】本発明に用いる感熱材料Aにおいては、特
に、発色層の透明性を向上するために、発色剤をマイク
ロカプセル化し、顕色剤を乳化分散物として用いるのが
好ましい。すなわち、顕色剤を、水に難溶性もしくは不
溶性の有機溶剤に溶解した後、この溶液を、界面活性剤
を含有する水溶性高分子を保護コロイドとして有する水
相と混合し、乳化分散した分散物として用いるのが好ま
しい。
【0029】本発明に用いられる感熱材料Aの発色層
は、このような発色剤および顕色剤を水や有機溶剤等に
溶解もしくは分散してなる塗料を調整し、塗布して乾燥
することによって形成される。この塗料には、塗料の均
一な塗布および塗膜(発色層)の強度を確保するため
に、メチルセルロース等のセルロース類、ポリビニルア
ルコールおよびその変性樹脂、(メタ)アクリル系樹脂
等を添加してもよい。さらに必要に応じて、顔料、ワッ
クス、硬膜剤等を添加してもよい。このような塗料の塗
布量には特に限定はないが、発色層中における発色剤お
よび顕色剤の全量が0.1g/m2〜10g/m2、発色層の層
厚が1μm〜20μmとなるように塗布するのが好まし
い。
【0030】本発明に用いられる感熱材料Aは、このよ
うな発色層や光反射防止層が、支持体表面に直接形成さ
れ、発色層のみから感熱記録層が形成されたものであっ
てもよく、あるいは、発色層や光反射防止層の剥離防止
を目的として、支持体上に下塗り層を形成し、その上に
発色層や光反射防止層が形成されたものであってもよ
い。下塗り層としては、各種の透明な樹脂が利用され、
例えば、アクリル酸エステル共重合体、ポリ塩化ビニリ
デン、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、水性ポリ
エステル等が例示される。このような下塗り層は、これ
らを形成する塗料を塗布、乾燥することによって形成さ
れる。下塗り層の膜厚には特に限定はないが、0.1μ
m〜0.5μm程度が好ましい。また、下塗り層上に発
色層等を形成する際に、その塗料に含まれる水分で下塗
り層が膨潤して、画質に悪影響を与えることもあるの
で、下塗り層(その塗料)には、グルタルアルデヒド、
2,3−ジヒドロキシ−1,4−ジオキサン、硼酸等の
硬膜剤を、0.2〜3重量%程度添加するのが好まし
い。
【0031】また、本発明に用いられる感熱材料Aは、
発色層の上に、感熱記録層表面での光散乱によって見掛
け上の透明性が低下することを防止するための保護層を
有するものであってもよい。すなわち、本発明に用いら
れる感熱材料Aの感熱記録層は、発色層のみから形成さ
れてもよく、発色層に加え、下塗り層および/または保
護層が形成された、2層もしくは3層構成であってもよ
い。また、これらの各層のみならず、必要に応じて、艶
消し、耐水性の向上、強度の向上、画質の向上等を目的
とした、各種の層を有する感熱記録層が形成された感熱
材料Aも利用可能である。あるいは、発色層が形成され
た面と逆側にサーマルヘッドが当接する感熱記録材料で
あってもよい。
【0032】保護層としては、感熱材料Aに用いられる
公知のものがすべて利用可能であり、特に、透明性等の
点で、完全鹸化ポリビニルアルコール、カルボキシ変性
ポリビニルアルコール、シリカ変性ポリビニルアルコー
ル等が例示される。また、透明性に加えて耐水性も向上
できる点で、シリコーン樹脂を主成分とする保護層も好
ましく利用される。さらに、『紙パルプ技術タイムス
(1985年9月号)』の第2ページ〜第4ページや、
特開昭63−318546号公報等に開示されるものが
利用可能である。また、保護層は、硬膜剤、ワックス
類、顔料等の公知の添加剤を含有するものであってもよ
い。
【0033】このような発色層、下塗り層、保護層、光
反射防止層等は、これらの各層を形成する塗料をそれぞ
れ調製して、塗布して、乾燥することによって形成する
ことができる。塗布方法には特に限定はなく、ブレード
塗布、エアナイフ塗布、グラビア塗布、ロールコーティ
ング、浸漬塗布、バー塗布等、公知の塗布方法がすべて
利用可能である。また、乾燥方法にも特に限定はなく、
風乾、加熱乾燥、温風(熱風)を用いた乾燥、あるいは
これらの組み合わせ等、公知の方法がすべて利用可能で
ある。
【0034】ここで、本発明の感熱記録システムにおい
ては、前述のように、感熱材料Aとして、感熱記録層
(すなわち、サーマルヘッドが当接する側の塗布層であ
る発色層、下塗り層、保護層等の合計)の溶融成分の含
有率が0.01g/m2 以上、好ましくは0.1g/m
2 以上、より好ましくは0.2g/m2 以上のものを用
いる。
【0035】上記溶融成分源としては、ワックス類、高
級脂肪酸とその誘導体、高級脂肪酸金属塩その他を好適
に例示することができる。具体的素材としては、ワック
ス類として、パラフィンワックス、マイクロクリスタリ
ンワックス等の石油ワックス、ポリエチレンワックス等
の合成ワックス、キャンデリラワックス、カルナバワッ
クス、ライスワックス等の植物系ワックス、ラノリン等
の動物系ワックス、モンタンワックス等の鉱物系ワック
スを好適に例示することができる。また、高級脂肪酸と
その誘導体としては、ステアリン酸、ステアリン酸アミ
ド、メチロールステアリン酸アミド、パルミチン酸ステ
アリン酸アミド、ラウリル酸ステアリン酸アミド等の高
級脂肪酸とその誘導体を好適に例示することができる。
さらに、高級脂肪酸金属塩としては、ステアリン酸N
a、ステアリン酸Ca、ステアリン酸Zn、ステアリン
酸Al等の高級脂肪酸金属塩を好適に例示することがで
きる。なお、その他としては、ポリオキシエチレンおよ
びその誘導体、ポリオルガノシロキサンおよびその誘導
体を好適に例示することができる。
【0036】以下、本実施例に係る感熱記録システムに
おける、感熱材料Aの記録動作の概要を説明する。感熱
材料Aは、図示されていない貯蔵部から、一枚ずつ記録
部10に送り出される。感熱材料Aの先端が記録部10
の入口の規制ローラ対11に到達した時点で、サーマル
ヘッド20の温度が確認され、サーマルヘッド20の温
度が所定温度であれば、規制ローラ対11による感熱材
料Aの搬送が開始され、感熱材料Aは、記録部10に搬
送される。記録部10は、サーマルヘッド20、サーマ
ルヘッド20を冷却するヒートシンク22、プラテンロ
ーラ16、クリーニングローラ対12、ガイド14およ
びガイド24を有する。
【0037】サーマルヘッド20は、例えば、最大B4
サイズまでの画像記録が可能な、約300dpiの記録
(画素)密度の感熱記録を行うものであって、保護膜に
特徴を有する以外は、感熱材料Aへの感熱記録を行う発
熱素子が一方向(主走査方向)に配列されるグレーズが
形成された公知の構成を有するものである。このサーマ
ルヘッド20は、支点18aを中心として矢印a方向お
よびこれと逆方向に回動自在な支持部材18に支持され
ている。なお、本発明に係る感熱記録システムに用いら
れるサーマルヘッド20の幅(主走査方向)、解像度
(記録密度)、記録階調等には特に限定は無いが、好ま
しくは、幅は5cm〜50cm、解像度は6dot/mm(約15
0dpi)以上、記録階調は256階調以上であること
が好ましい。
【0038】プラテンローラ16は、感熱材料Aを所定
位置に保持しつつ、所定の画像記録速度で回転し、主走
査方向と直交する副走査方向に感熱材料Aを搬送する。
クリーニングローラ対12は、弾性体である粘着ゴムロ
ーラと通常のローラとからなるローラ対であり、粘着ゴ
ムローラが感熱材料Aの感熱記録層に付着したゴミ等を
除去して、グレーズへのゴミの付着や、ゴミが画像記録
に悪影響を与えることを防止する。
【0039】図1に示す装置において、感熱材料Aが搬
入される前は、上述の支持部材18は矢印aと逆の方向
に回動して、サーマルヘッド20とプラテンローラ16
とが接触する直前の待機位置となっている。前述の、規
制ローラ対11による搬送が開始されると、感熱材料A
は、次いで、クリーニングローラ対12に挟持され、さ
らに、ガイド14によって案内されつつ搬送される。感
熱材料Aの先端が記録開始位置に搬送されると、支持部
材18が支点18aを中心として矢印a方向に回動し
て、感熱材料Aがサーマルヘッド20とプラテンローラ
16とで挟持されて、感熱材料Aの記録層にサーマルヘ
ッド20が押圧された状態になり、感熱材料Aはプラテ
ンローラ16によって所定位置に保持されつつ、プラテ
ンローラ16(および規制ローラ対11と搬送ローラ対
26)によって、矢印b方向に搬送される。この搬送に
伴い、グレーズの各画素の発熱体を記録画像に応じて加
熱することにより、感熱材料Aに感熱記録が行われる。
感熱記録が終了した感熱材料Aは、ガイド24に案内さ
れつつ、プラテンローラ16および搬送ローラ対26に
より搬送されて、記録部10外に排出される。
【0040】図2は、サーマルヘッド20のグレーズに
形成される発熱素子の概略断面図である。図示例におい
て、発熱素子は、基板80の上(図示例のサーマルヘッ
ド20は、上から感熱材料Aに押圧されるので、図2中
では下となる)にグレーズ層82が形成され、その上に
発熱(抵抗)体84が形成され、その上に電極86が形
成され、その上には、発熱体84あるいはさらに電極8
6等を保護するための保護層が形成されて、構成され
る。ここで、本発明の感熱記録システムに用いられるサ
ーマルヘッド20は、保護膜が、セラミックを主成分と
する下層保護膜88と、下層保護膜88の上の炭素を主
成分とする上層保護膜90の、少なくとも2層を有して
構成される。
【0041】本発明に用いられるサーマルヘッド20に
は、この保護層の層構成以外は、公知のサーマルヘッド
20と同様の構成を有するものである。従って、それ以
外の層構成やグレーズ層82等の材料には特に限定はな
く、公知のものが各種利用可能である。具体的には、基
板80としては耐熱ガラスやアルミナ、シリカ、マグネ
シアなどのセラミックス等の電気絶縁性材料が、グレー
ズ層82としては耐熱ガラス等が、発熱体84としては
ニクロム(Ni-Cr)、タンタル、窒化タンタル等の発熱抵
抗体が、電極86としてはアルミニウム、銅等の導電性
材料が、各種利用可能である。また、発熱素子には、真
空蒸着、CVD(Chemical Vapor Deposition) 、スパッ
タリング等のいわゆる薄膜形成技術およびフォトエッチ
ング法を用いて形成される薄膜型発熱素子と、スクリー
ン印刷などの印刷ならびに焼成によるいわゆる厚膜形成
技術およびエッチングを用いて形成される厚膜型発熱素
子とが知られているが、本発明に用いられるサーマルヘ
ッド20は、いずれの方法で形成されたものであっても
よい。
【0042】本発明に用いられるサーマルヘッド20に
形成される下層保護膜88の材料としては、サーマルヘ
ッドの保護膜として十分な耐熱性、耐蝕性を有するもの
であれば、公知のセラミックス材料が特に限定されずに
使用可能である。具体的には、窒化珪素、炭化珪素、窒
化珪素酸化タンタル、酸化アルミニウム、サイアロン、
ラシオン、酸化珪素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、
酸化セレン、窒化チタン、炭化チタン、炭窒化チタン、
窒化クロムおよびこれらの混合物等が例示される。中で
も特に、成膜の容易性や製造コスト等の製造適性、機械
的摩耗と化学的摩耗による摩耗のバランス等の点で、窒
化珪素、炭化、サイアロン等は、好適に利用される。な
お、物性調整のため、上記材料中に、金属等の微量の添
加物が含まれてもよい。
【0043】下層保護膜88の形成方法には特に限定は
なく、前述の厚膜形成技術や薄膜形成技術等を用いて、
公知のセラミックス膜(層)の形成方法で形成される。
また、必要に応じて、異なるあるいは同じ材料から形成
される複数の下層保護膜88を有してもよい。なお、下
層保護膜88の厚さには特に限定はないが、好ましくは
2μm〜20μm程度、より好ましくは4μm〜10μ
m程度である。下層保護膜88の厚さを上記範囲とする
ことにより、耐摩耗性と熱伝導性(記録感度)とのバラ
ンスを好適に取ることができる等の点で、好ましい結果
が得られる。本発明に用いられるサーマルヘッド20
は、このような下層保護膜88の上に炭素を主成分とす
る上層保護膜90を有する。
【0044】本発明の感熱記録システムは、このような
少なくとも2層からなる保護膜を有するサーマルヘッド
20と、前述のような、溶融成分と熱容量、熱伝導率を
有する感熱記録層を備えた感熱材料Aとを組み合わせて
用いることにより、サーマルヘッド20の保護膜のカー
ボンの消失を大幅に低減して、サーマルヘッド20の耐
久性および記録安定性を大幅に向上することができ、長
期間にわたって高い信頼性を確保して好適な感熱記録を
実施することができる。
【0045】上層保護膜90の形成方法には特に限定は
無く、公知の厚膜形成技術や薄膜形成技術で形成される
が、好ましくは、焼結カーボン材やグラッシーカーボン
材等のカーボン材をターゲット材とするスパッタリング
によって硬質カーボン膜(スパッタカーボン膜)を形成
する方法、および炭化水素ガスを反応ガスとして用いる
プラズマCVDによって硬質カーボン膜(ダイヤモンド
ライクカーボン膜=DLC膜)を形成する方法が例示さ
れる。
【0046】本発明に用いるサーマルヘッド20を作製
する際には、スパッタカーボン膜と下層保護膜88との
密着性を向上するために、スパッタカーボン膜の形成に
先立ち、下層保護膜88の表面をプラズマでエッチング
するのが好ましい。また、エッチングの強さは、基板に
印加されるバイアス電圧を目安にすればよく、通常、負
の100V〜500Vの範囲で、適宜最適化を図ればよ
い。
【0047】DLC膜を生成するためのプラズマ発生用
のガスとしては、例えば、ヘリウム、ネオン、アルゴ
ン、クリプトン、キセノン等の不活性ガスが用いられる
が、中でも特に、価格および入手の容易性の点で、アル
ゴンガスが好適に用いられる。他方、DLC膜を生成す
るための反応ガスとしては、メタン、エタン、プロパ
ン、エチレン、アセチレン、ベンゼン等の炭化水素化合
物のガスが例示される。
【0048】DLC膜(上層保護膜90)を形成するプ
ラズマCVDにおいて、プラズマ発生手段としては、直
流放電、高周波放電、直流アーク放電、マイクロECR
波放電等が利用可能であり、特に、直流アーク放電およ
びマイクロECR波放電はプラズマ密度が高く、高速成
膜に有利である。
【0049】直流放電は、基板−電極間に負の直流電圧
を印加することによりプラズマを発生させる。直流放電
に用いる直流電源は、1〜10kW程度のもので、DL
C膜の生成に必要にして十分な出力を有するものを適宜
選択すればよい。また、アーク防止等の点で、2kHz
〜20kHzにパルス変調した直流電源も好適に利用可
能である。高周波放電は、マッチングボックスを介して
電極に高周波電圧を印加することにより、プラズマを発
生させる。その際には、マッチングボックスによってイ
ンピーダンス整合を行い、高周波電圧の反射波が入射波
に対して25%以下となるように調整する。高周波放電
を行う高周波電源としては、工業用の13.56MHz
で、1kW〜10kW程度の範囲で、DLC膜の生成に
必要にして十分な出力を有するものを適宜選択すればよ
い。また、パルス変調した高周波電源も使用可能であ
る。
【0050】直流アーク放電は、熱陰極を使用してプラ
ズマを発生させる。熱陰極としては、タングステン、硼
化ランタン(LaB6)等が利用可能である。また、ホロー
カソードを用いた直流アーク放電も利用可能である。直
流アーク放電に用いる直流電源としては、1kW〜10
kW程度、10〜150A程度の範囲で、DLC膜の生
成に必要にして十分な出力を有するものを適宜選択すれ
ばよい。上層保護膜90としてDLC膜を用いる際にお
いても、DLC膜と下層保護膜88との密着性を向上す
るために、DLC膜の成膜に先立ち、下層保護膜88の
表面をプラズマでエッチングするのが好ましい。エッチ
ングの方法は、スパッタリングの方法と同様であり、マ
ッチングボックスを介して基板に高周波電圧を印加す
る。高周波電源としては、工業用の13.56MHz
で、1kW〜5kW程度のものから適宜選択すればよ
い。また、エッチングの強さは、基板に印加されるバイ
アス電圧を目安にすればよく、通常、負の100V〜5
00Vの範囲で、適宜最適化を計ればよい。
【0051】なお、このように形成される上層保護膜9
0の厚さには特に限定はないが、好ましくは0.1μm
〜5μm程度、より好ましくは1μm〜3μm程度であ
る。上層保護膜90の厚さを上記範囲とすることによ
り、耐摩耗性と熱伝導性とのバランスを好適に取ること
ができる等の点で好ましい結果が得られる。また、必要
に応じて、異なるあるいは同じ材料からなる複数の上層
保護膜90を形成してもよい。
【0052】上層保護膜90の硬度には特に限定はな
く、サーマルヘッドの保護膜として十分な硬度を有すれ
ばよい。例えば、ビッカース硬度で3000〜5000
kg/mm2 が好適に示される。また、この硬度は、カ
ーボン保護膜(上層保護膜)90の厚さ方向に対して、
一定としても、あるいは変化させてもよく、硬度をカー
ボン保護膜90の厚さ方向に対して変化させる場合に、
この硬度の変化は連続的であっても段階的であってもよ
い。
【0053】以上、本発明の感熱記録システムに付いて
詳細に説明したが、本発明は上述の例に限定されず、各
種の改良や変更を行ってもよいのはもちろんである。
【0054】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例を挙げ、本発明
をより詳細に説明する。
【0055】[実施例1] <サーマルヘッドの作製>前述のようなスパッタリング
方法を用いて、以下に示すようにしてサーマルヘッドの
グレーズの表面に、上層保護膜としてスパッタカーボン
膜を形成し、サーマルヘッドを作製した。なお、この基
となるサーマルヘッドには、グレーズの表面に保護膜と
して厚さ11μmの窒化珪素膜(Si3N4)が形成されてい
る。従って、本実施例では、この窒化珪素膜が下層保護
膜であり、上層保護膜となるスパッタカーボン膜は、こ
の窒化珪素膜の上層に成膜される。
【0056】<感熱記録材料の作製>感熱材料Aの作製
時に、パラフィンワックスを、最上層における含有率が
0.05g/m2 となるように、塗布液中に添加し、塗
布、乾燥した。
【0057】<性能評価>上述のようなサーマルヘッド
と感熱材料Aとを用いて、500m相当の感熱記録を行
い、性能評価を行った。その結果、サーマルヘッドの保
護膜を形成しているカーボンの酸化による消失を極めて
少なくすることができ、また、安定した感熱記録を行う
ことが可能であった。
【0058】[実施例2]実施例1と同じサーマルヘッ
ドを用い、また、実施例1と同様の作製方法で、パラフ
ィンワックスを、最上層における含有率が0.15g/
2 となるように、塗布液中に添加した感熱材料Aを用
意した。
【0059】<性能評価>上述のようなサーマルヘッド
と感熱材料Aとを用いて、実施例1と同様の性能評価を
行った。その結果、サーマルヘッドの保護膜を形成して
いるカーボンの酸化による消失を極めて少なくすること
ができ、また、安定した感熱記録を行うことが可能であ
った。
【0060】[実施例3]実施例1と同じサーマルヘッ
ドを用い、また、パラフィンワックスを、最上層におけ
る含有率が0.15g/m2 となるように、塗布後の感
熱材料Aの最上層に再塗布(追加塗布)した感熱材料A
を用意した。 <性能評価>上述のようなサーマルヘッドと感熱材料A
とを用いて、実施例1と同様の性能評価を行った。その
結果、サーマルヘッドの保護膜を形成しているカーボン
の酸化による消失を極めて少なくすることができ、ま
た、安定した感熱記録を行うことが可能であった。
【0061】[比較例1] <サーマルヘッド>実施例1と同様のものを用いた。 <感熱記録材料>実施例1と同様のものを用いた。ただ
し、パラフィンワックスは含有されていない。 <性能評価>上述のようなサーマルヘッドと感熱材料A
とを用いて、実施例1と同様の性能評価を行った。その
結果、サーマルヘッドの保護膜を形成しているカーボン
の酸化による消失が認められ、また、感熱記録の安定性
にも若干の問題があった。
【0062】[比較例2] <サーマルヘッドの作製>実施例1と同様のものを用い
た。 <感熱記録材料>実施例1と同様のものを用いた。ただ
し、パラフィンワックス量は、0.005g/m2 とし
た。 <性能評価>上述のようなサーマルヘッドと感熱材料A
とを用いて、実施例1と同様の性能評価を行った。その
結果、サーマルヘッドの保護膜を形成しているカーボン
の酸化による消失が認められ、また、感熱記録の安定性
にも若干の問題があった。以上の結果より、本発明の効
果は明らかである。
【0063】なお、上記実施例においては、ワックスを
用いる例のみを示したが、先に例示した各種の溶融成分
が好適に用い得る。また、各種の溶融成分の感熱記録層
への添加は、前述の、最上層の塗布液中への添加、塗布
後の感熱記録層への再塗布(追加塗布)以外の方法によ
ってもかまわない。さらに、感熱記録層が複数の層で構
成されている場合には、最上層を含む複数の層に添加し
てもよい。
【0064】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明の
感熱記録システムによれば、サーマルヘッドの保護膜を
形成するカーボンの酸化による消失を好適に防止するこ
とができ、長期間にわたって高い信頼性を確保すること
ができる。そのため、本発明によれば、サーマルヘッド
の劣化を大幅に低下させて、長期間にわたって高い信頼
性を維持できる感熱記録システムを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の感熱記録システムを利用する感熱記
録装置の要部を示す図である。
【図2】 本発明の感熱記録システムに用いられるサー
マルヘッドの発熱素子の構造を示す図である。
【符号の説明】
10 記録部 11 規制ローラ対 12 クリーニングローラ対 14 ガイド 16 プラテンローラ 18 支持部材 20 サーマルヘッド 22 ヒートシンク 24 ガイド 26 搬送ローラ対 80 基板 82 グレーズ層 84 発熱体 86 電極 88 下層保護膜 90 上層保護膜 A 感熱材料

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】発熱抵抗体を保護する保護膜として、セラ
    ミックスを主成分とする少なくとも1層の下層保護膜、
    および該下層保護膜の上に形成される炭素を主成分とす
    る上層保護膜を有するサーマルヘッドと、酸素遮断作用
    と前記サーマルヘッドの冷却作用を有する感熱記録材料
    とを用いることを特徴とする感熱記録システム。
  2. 【請求項2】前記酸素遮断作用とサーマルヘッドの冷却
    作用を有する感熱記録材料とは、記録時に前記発熱抵抗
    体上のサーマルヘッド表面を溶融成分で覆うことが可能
    な溶融成分を有するものである請求項1に記載の感熱記
    録システム。
  3. 【請求項3】前記溶融成分の含有率が0.01g/m2
    以上である請求項2に記載の感熱記録システム。
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