JP2972482B2 - 光学素子の成形方法 - Google Patents

光学素子の成形方法

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JP2972482B2
JP2972482B2 JP5098152A JP9815293A JP2972482B2 JP 2972482 B2 JP2972482 B2 JP 2972482B2 JP 5098152 A JP5098152 A JP 5098152A JP 9815293 A JP9815293 A JP 9815293A JP 2972482 B2 JP2972482 B2 JP 2972482B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば非球面レンズな
どの複雑な面形状を有する光学素子を高精度にプレス成
形するための光学素子の成形方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、光学機器の小型化、軽量化にとも
ない、光学系に使用されるガラスレンズの枚数を減らす
ことが望まれている。これを実現する一つの手段とし
て、、レンズの枚数を少なくしても収差の補正が可能な
非球面形状のレンズを使用することが挙げられる。この
ような非球面形状を有するレンズの製造方法としては、
所定の表面精度を有する成形用型部材の間にガラス材料
を挟み、プレス成形する方法が知られている。
【0003】このようにプレス成形により光学素子を成
形する方法の従来例としては、特公昭61−32263
号公報に開示されている様な方法が挙げられる。この方
法は、光学素子の完成形状の理想形に正確に対応する面
形状に仕上げられた成形面を有する一対の型部材の間
に、ガラス素材を挟み込み、このガラス素材の粘度が1
8 〜5×1010ポアズとなる様な温度範囲において、
プレス成形を行うものである。その後、ガラス素材と型
部材の温度差が少なくとも20°C以上にならない様に
冷却を行い、ガラス素材の粘度が1012ポアズよりも小
さくなる温度域において、成形された光学素子を型部材
から取り出す。このような方法により高精度な光学素子
を加工しようとするものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
従来例においては、例えば表面の曲率半径の大きい凹レ
ンズや、メニスカスレンズ等の様に、面精度をだしにく
い形状の光学素子を加工しようとした場合には、種々の
成形条件を最適なものに設定したとしても、要求される
面精度(例えばニュートンリング1本以下といった高精
度な値)を満足することができない場合がある。
【0005】また、完成した光学素子の面精度を少しで
も向上させるためには、例えば成形後の冷却時における
プレス圧を厳密に管理する必要があり、このようにプレ
ス圧を厳密に制御することは困難を極めるものである。
また、その他の成形条件に関しても、微妙な変化が面精
度を低下させることにつながる。更には、光学素子の面
精度を向上させるために補助的な装置を必要とする場合
があり、加工装置のコストを上昇させ、それに伴って光
学素子自体の高コスト化を招くという問題点もある。
【0006】したがって、本発明は上述した課題に鑑み
てなされたものであり、その目的とするところは、成形
条件を厳密に制御したり、補助的な装置を用意したりし
なくとも高精度な面精度を有する光学素子を加工するこ
とができる様な光学素子の成形方法を提供することにあ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】上述の課題を解決し、目
的を達成するために、本発明の光学素子の成形方法は、
加熱されることにより軟化状態となっているガラス素材
を、一対の成形用型部材を用いてプレスし、該型部材の
成形面の表面形状が転写された光学機能面を前記ガラス
素材の表面に形成する様にした光学素子の成形方法にお
いて、複数個の前記光学素子を成形するにあたり、各光
学素子の光学機能面に一定のクセが安定して形成される
様に成形条件を設定する第1の工程と、前記成形面の表
面形状が前記一定のクセをキャンセルする様な形状に加
工された成形用型部材を用いて光学素子の成形を行う第
2の工程とを具備することを特徴としている。
【0008】また、この発明に係わる光学素子の成形方
法において、前記成形条件とは、少なくとも、前記一対
の成形用型部材の温度差と、冷却速度と、冷却時におい
て前記ガラス素材に印加される圧力と、離型させる温度
とにより規定されることを特徴としている。
【0009】また、本発明の光学素子の成形方法は、加
熱されることにより軟化状態となっているガラス素材
を、一対の成形用型部材を用いてプレスし、該型部材の
成形面の表面形状が転写された光学機能面を前記ガラス
素材の表面に形成する様にした光学素子の成形方法にお
いて、所定の形状の光学素子の表面形状に対応した成形
面形状を有する第1次の型部材を用いて、ガラス素材
を、所定の加熱温度、型部材温度、加圧圧力、加圧時
間、冷却速度等の成形条件に基づいて成形する第1の成
形工程と、該第1の成形工程において成形した光学素子
の表面形状を測定する測定工程と、該測定工程において
得られた測定データと、光学素子の最終希望形状のデー
タとの誤差を算出する算出工程と、前記算出工程におい
て得られた結果に基づいて前記第1次の型部材の成形面
を補正加工して第2次の型部材を加工する補正加工工程
と、前記第2次の型部材を用いて、ガラス素材を前記第
1の成形工程と同じ成形条件でプレス成形する第2の成
形工程とを具備することを特徴としている。
【0010】また、この発明に係わる光学素子の成形方
法において、前記測定工程において得られた測定データ
と、前記最終希望形状のデータとの差は、少なくともニ
ュートンリング4本以下であることを特徴としている。
【0011】また、この発明に係わる光学素子の成形方
法において、前記成形条件のうち、前記一対の型部材間
の温度差が、0±2.5°C、冷却速度が20±5°C
/min、冷却時圧力が5±1.5kNに設定されてい
ることを特徴としている。
【0012】また、この発明に係わる光学素子の成形方
法において、前記光学素子は、非球面形状のレンズであ
ることを特徴としている。
【0013】
【作用】以上の様に、この発明に係わる光学素子の成形
方法は、構成されているので、完成した光学素子に現れ
るクセが常に一定になる様に成形条件を設定し、その一
定のクセをキャンセルする様な形状に型部材の成形面を
加工しておくことにより、高精度な面精度を有する光学
素子を加工することが可能となる。クセの現れ方が常に
一定になる様な成形条件は、光学素子を、常に高精度な
面精度に仕上げるために必要とされる成形条件程には厳
密に制御されている必要がないので、容易に高精度な光
学素子を製造することができる。
【0014】
【実施例】以下、本発明の好適な一実施例について、添
付図面を参照して詳細に説明する。
【0015】図1は、一実施例の光学素子の成形方法を
適用する成形用型12の構成を示した図である。また、
図1は、凹レンズを成形加工するための成形用型12の
構成を示しており、上型部材16と下型部材18による
ガラス素材40のプレス動作が終了し、ガラスレンズの
成形が略完了した状態を示している。
【0016】図1において、成形用型12の外殻部を構
成する胴型14は、支持基板20を介して光学素子の成
形装置本体10上に載置されている。胴型14は、上面
視略正方形の角柱状に形成されており、その中心軸上に
は、この胴型14を上下に貫通した状態で、貫通穴14
a,14bが形成されている。これらの貫通穴のうち上
側の貫通穴14aには、円柱状に形成された上型部材1
6が、嵌合した状態で上下方向に沿って摺動可能に挿入
されている。上型部材16の上端部には、円板状のフラ
ンジ部16aが形成されており、このフランジ部16a
の下面が胴型14の上面14cに上方から当接すること
により、上型部材16は、それ以上下方に移動すること
を阻止されており、これによって、上型部材16の下方
へのプレスストロークが規定されている。また、上型部
材16の下面には、ガラス素材40を押圧して、その表
面に所望の形状を転写して光学機能面を形成するための
成形面16bが形成されている。
【0017】なお、上型部材16の上方には、ガラス素
材40に印加するプレス圧を発生させるためのエアシリ
ンダ22が、不図示の支持部材により支持された状態で
配置されている。エアシリンダ22の下方には、上下方
向に沿ってピストンロッド22aが配置されており、こ
のピストンロッド22aの下端部は、上型16の上端面
に接続されている。したがって、エアシリンダ22が動
作されてピストンロッド22aが下方に向けて押し出し
動作されることにより、ガラス素材40にプレス圧P1
が印加される。
【0018】一方、下側の貫通穴14bには、上型部材
16と同様に円柱状に形成された下型部材18が、嵌合
した状態で上下方向に沿って摺動可能に挿入されてい
る。下型部材18の下部には円板状のフランジ部18a
が形成されており、このフランジ部18aの下面18c
は、胴型14が載置されている支持基板20の上面に当
接している。そして、この支持基板20により上型部材
16からガラス素材40を介して下型部材18に加えら
れる下方へのプレス圧P1 を受ける様に構成されてい
る。下型部材18の上端面には、ガラス素材40の下面
に所望の形状を転写して光学機能面を形成するための成
形面18bが形成されている。
【0019】したがって、ガラス素材40には、その上
面に、上型部材16の成形面16bの表面形状が転写さ
れた光学機能面40aが形成され、下面には、下型部材
18の成形面18bの表面形状が転写された光学機能面
40bが形成されることとなる。
【0020】また、成形された凹レンズ(ガラス素材4
0)の厚みは、上述した様に、上型部材16のフランジ
部16aの下面が、胴型14の上面14cに当接するこ
とにより規定され、加工する毎に凹レンズ(40)の厚
みが変化しない様になされている。
【0021】なお、成形装置本体10の下面には、エア
シリンダ24が固定されており、このエアシリンダ24
のピストンロッド24aは、成形装置本体10に形成さ
れた貫通穴10aと、支持基板20に形成された貫通穴
20aを順次介して下型部材18の下面18cに接続さ
れている。このエアシリンダ24は、凹レンズ(ガラス
素材40)の成形動作が終了した後の冷却過程におい
て、凹レンズ(40)の形が崩れることを防止するため
に、下型部材18を上方に押し上げて、凹レンズ(4
0)に圧力P2 を作用させるためのものである。
【0022】一方、胴型14の側面には、開口穴14d
が形成されており、この開口穴14dを介して、成形用
型12の内部にガラス素材40が供給されると共に、成
形の完了した凹レンズ(40)が成形用型12の内部か
ら取り出される。
【0023】なお、胴型14内には、その四隅に位置し
た状態で、この胴型14,上型部材16,下型部材18
を加熱すると共に、これら胴型14,上型部材16,下
型部材18を介してガラス素材40を加熱するためのヒ
ータ26が配置されている。
【0024】次に、上記の様に構成された成形用型12
により凹レンズを成形する手順について説明する。
【0025】まず、図2に示したように、エアシリンダ
22のピストンロッド22aを引き込み動作させて、上
型部材16を胴型14に対して上方にスライドさせ、下
型部材18から逃がしておく。この状態において、胴型
14の開口穴14dを介して、オートハンド等により、
所定の高温に加熱されたガラス素材40を下型部材18
の成形面18b上に供給する。このとき供給されるガラ
ス素材40は、凹レンズを成形する場合には、円板状に
形成されているか、あるいは、凹レンズの完成形状に近
い形状に形成されている。また、胴型14及び上型部材
16及び下型部材18は、所定の成形条件に対応した温
度に加熱されている。
【0026】ガラス素材40が、下型部材18の成形面
18b上に供給された後、エアシリンダ22のピストン
ロッド22aを押し出し動作させて、ガラス素材40の
上面に上型部材16の成形面16bを当接させ、ガラス
素材40にプレス圧P1 を印加させる。このプレス圧P
1 が印加されて、上型部材16が徐々に下方に移動する
と、ガラス素材40は、しだいに水平方向に押しつぶさ
れて、最終的には、図1に示した様な状態となる。この
状態においては、ガラス素材40の上下には、上型部材
16の成形面16bと下型部材18の成形面18bの形
状が転写された光学機能面40a,40bが形成されて
おり、また、ガラス素材40の厚みは、所望の厚みに成
形されている。
【0027】この後、成形された凹レンズ(ガラス素材
40)は徐々に冷却される。この冷却過程においては、
成形された凹レンズ(40)の形状が崩れない様に、エ
アシリンダ24が作動されて下型部材18が押し上げら
れ、凹レンズ(40)に圧力P2 が印加される。そし
て、所定の温度まで温度が低下した時に、再びエアシリ
ンダ22が引き込み動作されて上型部材16が上方に移
動し、この凹レンズはオートハンド等により、胴型14
の開口穴14dを介して外部に取り出される。
【0028】上記の様な一連の動作により、凹レンズ
(40)が成形加工されるわけであるが、この成形加工
の途中において、凹レンズ(40)の光学機能面40
a,40bの面精度に大きく影響を与えると考えられる
成形条件としては、冷却過程におけるプレス圧P2 、
冷却中の上下の型部材16,18の温度差、冷却速
度が上げられる。
【0029】ここで、この実施例で示したレンズ形状に
おいて、ガラス素材40に重クラウンガラス(SK1
2)を使用し、冷却時のプレス圧P2 を0N〜10kN
まで変化させて成形を行った際の凹レンズ(40)の光
学機能面の形状精度をフィゾー干渉計によって調べた結
果を図3に示す。
【0030】図3に示した結果によれば、冷却時のプレ
ス圧P2 が2.0kNである点を境として、それ以下の
プレス圧では、離型不良を起こしていることが分かる。
一方、プレス圧P2 が増加するに従い凹レンズの面精度
が悪化していることも分かる。したがって、離型不良の
発生を極力防止することができ、且つ、凹レンズの形状
精度が悪化しない様な最適なプレス圧P2 は2.0kN
であるということができるが、プレス圧P2 を2.0k
Nに正確に制御することは非常に困難である。また、プ
レス圧P2 を2.0kNに正確に制御したとしても、離
型不良が全く起きないとは言えないし、また形状精度が
最も良くなるとも言えない。したがって、冷却時のプレ
ス圧P2 を2.0kNに設定すれば、全ての不都合が解
決するというわけではない。
【0031】なお、冷却中の上下の型部材16,18の
温度差の影響に関しては、±5°C程度の温度差では、
光学機能面の面精度はさほど低下せず、冷却速度に関し
ても、1°C/min〜20°C/min程度の差で
は、面精度にほとんど影響を与えないことが分かってい
る。
【0032】以上のことから、この実施例においては、
離型性の良さと面精度の良さのバランスをとるための最
良点を捜すのではなく、面精度はやや低下しても、確実
に離型不良を防止できる様なプレス圧P2 を選択する様
にした。ただし、面精度はある程度低下してもよいが、
複数個のレンズを成形した時に、光学機能面が再現性良
く、必ず同じクセ(光軸を中心とする軸対称な形状誤
差)を持った形状に仕上がることが重要である。このよ
うに、成形する毎に同じクセを持った形状にレンズが加
工されるのであれば、このクセをキャンセルする様に、
型部材16,18の成形面の形状を決めれば、この型部
材で、同じ条件の成形加工を行ったとき、理論的には全
くクセのないレンズができ上がるはずである。
【0033】そのため、この実施例においては、成形さ
れるレンズのクセが、成形のたび毎に一定となる様にす
るために、冷却時における上下の型部材の温度差を0±
2.5°C、冷却速度を20±5°C/minと大まか
に制御し、冷却時のプレス圧P2 を5±1.5kNと高
い値に設定した。冷却プレス圧をこの程度の高い値に設
定すると、光学機能面の面精度は若干低下するものの、
離型不良を確実に防止することができ、且つ、光学機能
面の形状の再現性も良い。
【0034】上記の成形条件によって、凹レンズを成形
した際の上下の型部材の成形面形状、及び成形された凹
レンズの光学機能面の形状をフィゾー干渉計によって調
べた結果を示したものが図4である。この場合、型部材
の成形面の形状は、クセをキャンセルする形状にはして
いない。そのため、上記光学素子の光学機能面の形状は
中高のクセがニュートンリング2〜3本程度生じてい
る。
【0035】図4の結果から、凹レンズの光学機能面の
クセを読み取り、このクセをキャンセルする様な形状に
成形面を加工した型部材をフィゾー干渉計によって調べ
た結果が、図5の左側の図である。また、この型を用い
て、上記の成形条件で成形加工を行った場合の凹レンズ
の光学機能面の形状を示したものが図5の右側の図であ
る。図5の結果から明らかな様に、この実施例の方法に
よって成形された凹レンズは、アス(光軸を中心とする
軸対称でない形状誤差)、クセ共にニュートンリング1
本以内に納まっており、極めて良好な面精度が得られて
いることが分かる。また、上記のクセをキャンセルした
形状の型部材を用いて連続的に凹レンズを成形した結
果、全てのレンズが、アス、クセ共にニュートンリング
1本以下に納まっていた。
【0036】なお、上記の様にレンズの光学機能面のク
セをニュートンリングの本数から読み取り、このクセを
キャンセルする様な形状に型部材16,18の成形面を
加工することは、人手によって行うことが可能である。
しかしながら、この様な型の加工作業を人手によって行
うことは非常に手間のかかることであるため、実際には
以下の様にNC工作機械を使用して自動加工により型の
加工を行っている。
【0037】図6は、凹レンズの光学機能面のクセをキ
ャンセルする様な形状に型部材を補正加工する手順を示
したフローチャートである。
【0038】まず、ステツプS2において、成形される
レンズのクセが、成形のたび毎に一定となる様な成形条
件を設定する。本実施例では、前述した様に、ガラス素
材40に重クラウンガラス(SK12)を使用し、冷却
時の上下の型部材16,18の温度差を0±2.5°
C、冷却速度を20±5°C/min、冷却時のプレス
圧P2 を5±1.5kNに設定している。
【0039】次にステツプS4において、上記の成形条
件で、従来と同様の方法でレンズの成形加工を行う。こ
の際、成形条件を上記の条件に設定することにより凹レ
ンズ(40)の光軸を中心とする軸対称でない形状誤差
は完全に防止されている。
【0040】ステツプS6では既に良く知られている触
診式形状測定器(タリサーフ)の触針28を、図7に示
す様にステツプS4において成形した凹レンズ(40)
の光学機能面40a,40bに当て、光軸を通る直線に
沿って光学機能面40a,40bの形状を測定する。凹
レンズ(40)の光学機能面の形状は軸対称な形状に成
形されているため、このタリサーフによる測定は1線に
沿う測定のみで十分である。
【0041】ステツプS8ではステツプS6において測
定した測定値と凹レンズ(40)の光学機能面40a,
40bの設計値とのズレ量を算出する。測定値は上述し
た様に光軸を中心として全周に渡って対称な形状に形成
されているので、図8に示す様に光軸からX方向のある
位置での、Y方向のズレ量を算出すれば、この値が凹レ
ンズ(40)の全周に渡って当てはまることとなる。
【0042】ステツプS10では 図9に示す様にステ
ツプS8で算出したズレ量を、(X=光軸からの距離,
Y=設計値からのズレ量)の形で市販のNC研削加工機
30に入力し、上下の型部材16,18の成形面16
b,18bを追い込み加工する。このように、型部材1
6,18の成形面16b,18bを追い込み加工するこ
とにより、成形面16b,18bは凹レンズの形状誤差
をキャンセルする様な形状に加工されることとなる。
【0043】次にステツプS12では、NC研削加工機
によって削られた成形面16b,18bの仕上げ加工を
行う。ここでは、図10に示す様に、既に算出したX,
Yの加工データを円筒座標系、すなわち光軸からの角度
θとその角度における光学機能面の設計値からのずれ量
rに座標変換し、特開昭63−232956号に開示さ
れている装置及び方法によって仕上げ研磨を行う。
【0044】ステツプS14では、上記のステツプS2
〜ステツプS12の工程によって作成された補正入りの
型部材を用いて、ステツプS2で設定した成形条件で凹
レンズの成形加工を行う。
【0045】上記の手順に沿って凹レンズの成形を行っ
た結果、光学機能面の設計値からのズレ量が0.33μ
m以下の精度で凹レンズを成形することができた。 (他の実施例)図11は、他の実施例を示しており、メ
ニスカス状のレンズを成形する場合を示している。この
他の実施例においては、ガラス素材40′としてフリン
トガラス(F8)を使用している。
【0046】この他の実施例では、成形するレンズの形
状が一実施例と異なるため、冷却時のプレス圧P2 の値
よりも、冷却中の上下の型部材間の温度差の方が、レン
ズの光学機能面の面精度に大きく影響する。そのため、
成形条件は、冷却時のプレス荷重P2 を3.0±1.5
kN、冷却速度を20±5°C/minと大まかに制御
し、光学機能面の面精度を成形のたび毎に安定させるた
めに、上型部材16の温度を、下型部材18の温度より
も7.5±2.5°Cだけ高く制御した。
【0047】上記の成形条件によってメニスカスレンズ
を成形した際の上下の型部材の成形面の形状、及び成形
された光学素子の光学機能面の形状をフィゾー干渉計に
よって調べた結果を図12に示す。この場合、上記光学
素子の光学機能面の上下で生じているクセ量が大きくち
がっており、上側面(凹面)でニュートンリング2〜3
本程度、下側面(凸面)でニュートンリング1〜2本程
度のクセが生じている。
【0048】図12の結果から、メニスカスレンズの光
学機能面のクセを読み取り、このクセをキャンセルする
様な形状に成形面を加工した型部材をフィゾー干渉計に
よって調べた結果が、図13の左側の図である。また、
この型を用いて、上記の成形条件で成形加工を行った場
合のメニスカスレンズの光学機能面の形状を示したもの
が図13の右側の図である。図13の結果から明らかな
様に、この実施例の方法によって成形されたメニスカス
レンズは、アス、クセ共にニュートンリング1本以内に
納まっており、極めて良好な面精度が得られていること
が分かる。また、上記のクセをキャンセルした形状の型
部材を用いて連続的にメニスカスレンズを成形した結
果、全てのレンズが、アス、クセ共にニュートンリング
1本以下に納まっていた。
【0049】なお、この他の実施例においても、型部材
の補正加工は、図6に示したフローチャートに沿って、
一実施例の場合と全く同様に行われるものである。
【0050】以上説明した様に、上記実施例に示した光
学素子の成形方法によれば、従来と同様の極めて基本的
な装置によって、高精度な成形条件の制御も必要とせず
に、従来成形が困難であった形状の光学素子を高精度に
成形することが可能となる。
【0051】なお、本発明は、その主旨を逸脱しない範
囲で上記実施例を修正または変形したものに適用可能で
ある。
【0052】例えば、上記実施例では、凹レンズとメニ
スカスレンズを成形する場合について説明したが、本発
明は、その他の形状の光学素子、例えば、凸レンズや平
板状の光学素子の成形にも適用可能である。
【0053】
【発明の効果】以上説明した様に、本発明の光学素子の
成形方法によれば、完成した光学素子に現れるクセが常
に一定になる様に成形条件を設定し、その一定のクセを
キャンセルする様な形状に型部材の成形面を加工してお
くことにより、高精度な面精度を有する光学素子を加工
することが可能となる。クセの現れ方が常に一定になる
様な成形条件は、光学素子を、常に高精度な面精度に仕
上げるために必要とされる成形条件程には厳密に制御さ
れる必要がないので、容易に高精度な光学素子を製造す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施例の光学素子の成形方法を適用する成形
用型の構成を示した図である。
【図2】上型部材が上方に逃げた状態を示した図であ
る。
【図3】冷却時のプレス圧を変化させた場合の光学機能
面の変化の様子を示した図である。
【図4】凹レンズを成形した際の上下の型部材の成形面
形状、及び成形された凹レンズの光学機能面の形状をフ
ィゾー干渉計によって調べた結果を示した図である。
【図5】クセをキャンセルした型の成形面形状、及びそ
の型により成形された凹レンズの光学機能面の形状をフ
ィゾー干渉計によって調べた結果を示した図である。
【図6】凹レンズの光学機能面のクセをキャンセルする
様な形状に型部材を補正加工する手順を示したフローチ
ャートである。
【図7】レンズの光学機能面の形状をタリサーフにより
測定する様子を示した図である。
【図8】レンズの形状誤差を光軸からの距離Xと、設計
値からのずれ量Yで表した状態を示した図である。
【図9】型部材の成形面を補正加工する様子を示した図
である。
【図10】型部材の成形面の形状をr,θ座標で表現し
た状態を示した図である。
【図11】他の実施例の光学素子の成形方法を適用する
成形用型の構成を示した図である。
【図12】メニスカスレンズを成形した際の上下の型部
材の成形面形状、及び成形された凹レンズの光学機能面
の形状をフィゾー干渉計によって調べた結果を示した図
である。
【図13】クセをキャンセルした型の成形面形状、及び
その型により成形されたメニスカスレンズの光学機能面
の形状をフィゾー干渉計によって調べた結果を示した図
である。
【符号の説明】
10 成形装置本体 12 成形用型 14 胴型 16 上型部材 18 下型部材 20 支持基板 22,24 エアシリンダ 26 ヒータ 40 ガラス素材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山本 潔 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (72)発明者 野村 剛 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (56)参考文献 特開 平5−51224(JP,A) 特開 平5−24857(JP,A) 特開 平4−154632(JP,A) 特公 昭61−32263(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C03B 11/00 C03B 11/08 C03B 11/16

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 加熱されることにより軟化状態となって
    いるガラス素材を、一対の成形用型部材を用いてプレス
    し、該型部材の成形面の表面形状が転写された光学機能
    面を前記ガラス素材の表面に形成する様にした光学素子
    の成形方法において、 複数個の前記光学素子を成形するにあたり、各光学素子
    の光学機能面に一定のクセが安定して形成される様に成
    形条件を設定する第1の工程と、 前記成形面の表面形状が前記一定のクセをキャンセルす
    る様な形状に加工された成形用型部材を用いて光学素子
    の成形を行う第2の工程とを具備することを特徴とする
    光学素子の成形方法。
  2. 【請求項2】 前記成形条件とは、少なくとも、前記一
    対の成形用型部材の温度差と、冷却速度と、冷却時にお
    いて前記ガラス素材に印加される圧力と、離型させる温
    度とにより規定されることを特徴とする請求項1に記載
    の光学素子の成形方法。
  3. 【請求項3】 加熱されることにより軟化状態となって
    いるガラス素材を、一対の成形用型部材を用いてプレス
    し、該型部材の成形面の表面形状が転写された光学機能
    面を前記ガラス素材の表面に形成する様にした光学素子
    の成形方法において、 所定の形状の光学素子の表面形状に対応した成形面形状
    を有する第1次の型部材を用いて、ガラス素材を、所定
    の加熱温度、型部材温度、加圧圧力、加圧時間、冷却速
    度等の成形条件に基づいて成形する第1の成形工程と、 該第1の成形工程において成形した光学素子の表面形状
    を測定する測定工程と、 該測定工程において得られた測定データと、光学素子の
    最終希望形状のデータとの誤差を算出する算出工程と、 前記算出工程において得られた結果に基づいて前記第1
    次の型部材の成形面を補正加工して第2次の型部材を加
    工する補正加工工程と、 前記第2次の型部材を用いて、ガラス素材を前記第1の
    成形工程と同じ成形条件でプレス成形する第2の成形工
    程とを具備することを特徴とする光学素子の成形方法。
  4. 【請求項4】 前記測定工程において得られた測定デー
    タと、前記最終希望形状のデータとの差は、少なくとも
    ニュートンリング4本以下であることを特徴とする請求
    項3に記載の光学素子の成形方法。
  5. 【請求項5】 前記成形条件のうち、前記一対の型部材
    間の温度差が、0±2.5°C、冷却速度が20±5°
    C/min、冷却時圧力が5±1.5kNに設定されて
    いることを特徴とする請求項3に記載の光学素子の成形
    方法。
  6. 【請求項6】 前記光学素子は、非球面形状のレンズで
    あることを特徴とする請求項3に記載の光学素子の成形
    方法。
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