JP2971331B2 - ソフトキャンディー - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ソフトキャンディーに
関するものであり、詳しくは歯、義歯などへの付着を著
しく抑えた、かつ食味的にも異味を生じないソフトキャ
ンディーに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】ソフトキャンディーには様々な種類があ
り、それぞれにフレーバー、食感等の違いはあるが、そ
しゃく時に歯に付着しやすいという共通の欠点をもって
いる。この欠点を改善するために、従来から、ソフトキ
ャンディー中に植物性油脂を添加配合するという製法が
用いられている。

【０００３】一般にソフトキャンディーに添加配合され
ている植物性油脂としては、融点が３０℃〜３７℃のも
のが使われているのが現状である。しかしながら、この
程度の融点の植物性油脂を添加配合するだけでは歯への
付着防止効果は得ることができず、十分な効果を得るた
めにその添加量を増加させることが検討されてきた（特
開平4-84858号）。また、欧州において熱帯地域向け輸
出用の特殊なソフトキャンディー製品に、融点が３５〜
４５℃の高融点植物性油脂が使用されている例がある
が、これは保型性を上げる目的で用いられており、歯へ
の付着防止効果を目的とするものではない（R.Lee, E.
B.Jackson, Sugar Confectionery and Chocolate Manuf
acture,p191,196-197, 1990）。

【発明が解決しようとする課題】ところが、歯への付着
防止効果を上げるために植物性油脂の添加量を増加させ
ると、ソフトキャンディーの保型性が非常に悪くなった
り、油がソフトキャンディーの表面に滲み出してしまう
という欠点が生じ、植物性油脂の添加量を増やすことに
は限界がみられる。また特開平5-7459号には、ポリグリ
セリン脂肪酸エステルと歯への付着防止効果との関係に
ついての検討がなされているが、ポリグリセリン脂肪酸
エステルは風味に悪影響を及ぼし、使用に耐えるもので
はない。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明者らは上記のよう
な課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、植物性
油脂の融点、および３５℃での固形脂含量が、歯への付
着防止効果に与える影響についての知見を見いだした。

【０００５】通常、植物性油脂を使用する場合、融点の
みを指標とし、その融点も３０℃〜３７℃のものが使わ
れているが、歯への付着防止を目的とする場合には、融
点は３８℃以上のものに効果がみられる。融点の上限と
しては、ソフトキャンディーとしての柔らかさを保持す
るために４５℃以下が現実的であり、これより高くなる
と製品が硬いものとなる。さらに固形脂含量に着目する
と、３８〜４５℃の範囲内に融点をもつ植物性油脂で、
口中温度である３５℃での固形脂含量が２５重量％以上
であるものが、著しい歯への付着防止効果を持つことを
見いだした。

【０００６】このような植物性油脂としては、ナタネ
油、コーン油、ダイズ油、ヤシ油、パーム核油、オリー
ブ油、綿実油、落花生油、ヒマシ油、それらの分画油、
硬化油、エステル交換油、およびそれらから選ばれる２
種類以上の混合物などをあげることができるが、同様の
性質を持つ植物性油脂であればこれらに限るものではな
い。植物性油脂の配合量としては６重量％以上３０重量
％以下が望ましく、配合量が６重量％未満では歯への付
着防止効果が不十分であり、３０重量％を超えると保存
中に油滲みが生じてしまう。

【０００７】

【実施例】以下、本発明についてさらに詳細に説明す
る。尚、これらの実施例は本発明の範囲を限定するもの
ではない。製造例１ 表１に示すＡ〜Ｆ６種類の植物性油脂を用いてソフトキ
ャンディーを試作した。表２に示した４種類の配合につ
いて、それらをオープンパンに仕込み、均一に混合後、
加熱、水分揮発を行い、１１８℃に達したところで加熱
をやめ、これをシグマ型ミキシングニーダーに移し、十
分に均一化したのち冷却、切断し製品を得た。

【０００８】 表１ 植物性油脂 融点（℃） ３５℃での固形脂含量（重量％） Ａ ３７ ２５ Ｂ ３８ ２０ Ｃ ３８ ２５ Ｄ ３８ ４０ Ｅ ４５ ２５ Ｆ ４６ ２５

【０００９】 表２ 原料 配合例 配合例 配合例 配合例 Ｉ II III IV 砂 糖 ３６．４ ３５．４ ２３．４ ２２．３ 水 飴 ３８．５ ３８．５ ２６．０ ２５．０ 脱脂練乳 ２０．０ ２０．０ ２０．０ ２０．０ 植物性油脂 ５．０ ６．０ ３０．０ ３２．０ レシチン ０．１ ０．１ ０．６ ０．７ 合 計 １００．０ １００．０ １００．０ １００．０ （注）表中の数値は重量％をしめす

【００１０】実施例１ 上記植物性油脂Ａ〜Ｆの各々に関して、配合Ｉ〜IVに基
づいて調製した２４種類のソフトキャンディーについ
て、歯への付着性に関する官能評価を行った。以下の官
能評価基準に基づいて、専門パネルにより実施した結果
を表３に示す。 官能評価基準 ◎ 歯への付着が全くない ○ 歯への付着が少ない △ 歯への付着がかなりある − 保存中に油滲みがみられたため、評価に至らなかった ＊ ソフトキャンディーとしては硬くて歯が入り難く、評価に至らな かった

【００１１】 表３ 配合例 配合例 配合例 配合例 Ｉ II III IV 植物性油脂 [５] [６] [３０] [３２] Ａ (37,25) △ △ △〜○ − Ｂ (38,20) △ ○ ○ − Ｃ (38,25) △ ◎ ◎ − Ｄ (38,40) △ ◎ ◎ − Ｅ (45,25) △ ◎ ◎ − Ｆ (46,25) ＊ ＊ ＊ − （注）［ ］内の数値は、植物性油脂の配合重量％をしめす （ ）内の数値は、左側が油脂の融点、右側が３５℃での固形脂含量をし めす

【００１２】配合例Ｉおよび配合例IVの結果から、歯へ
の付着防止効果を有し、かつ油滲みしない製品を得るた
めには、植物性油脂の配合量は６重量％以上３０重量％
以下でなければならないことがわかる。また植物性油脂
ＡおよびＦを配合した結果から、油脂の融点は３８℃以
上４５℃以下でなければならない。さらに、植物性油脂
Ｂ，Ｃ，Ｄを配合した結果から、３５℃での固形脂含量
は２５重量％以上であることが望ましい。以上、表３の
結果をまとめると、融点が３８℃以上４５℃以下の高融
点で、好ましくは３５℃での固形脂含量が２５重量％以
上の植物性油脂を、６重量％以上３０重量％以下配合す
ることにより、これまでソフトキャンディーの欠点とさ
れてきた歯、義歯などへの付着を著しく抑えた製品を得
ることができる。

【００１３】

【発明の効果】本発明は、砂糖と水飴と油脂を主要成分
とするソフトキャンディーにおいて、融点が３８℃以上
４５℃以下の高融点植物性油脂を、６重量％以上３０重
量％以下配合することを特徴とするソフトキャンディー
に関するものである。この方法によれば、歯、義歯など
への付着が著しく少なく、かつ製品に油滲みのみられな
いソフトキャンディーを得ることができる。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) A23G 1/00 - 9/30

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 砂糖と水飴と油脂を主要成分とするソフ
   トキャンディーにおいて、融点が３８℃以上４５℃以下
   の高融点植物性油脂を、６重量％以上３０重量％以下配
   合することを特徴とする、歯への付着防止効果を有する
   ソフトキャンディー。
2. 【請求項２】 高融点植物性油脂の固形脂含量が、３５
   ℃において２５重量％以上である、請求項１に記載のソ
   フトキャンディー。