JP2969433B2 - スライサーの切削単板厚補正方法 - Google Patents

スライサーの切削単板厚補正方法

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JP2969433B2
JP2969433B2 JP25922095A JP25922095A JP2969433B2 JP 2969433 B2 JP2969433 B2 JP 2969433B2 JP 25922095 A JP25922095 A JP 25922095A JP 25922095 A JP25922095 A JP 25922095A JP 2969433 B2 JP2969433 B2 JP 2969433B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、木工用縦突きスラ
イサーの切削単板厚補正方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】切削刃を装着した後テーブルと、前記切
削刃に対応する刃口を装着した刃口テーブルと、フリッ
チを往復走行させる往復送材装置とを備え、前記刃口テ
ーブルを支持台上に乗載して、刃口を刃先に対して昇降
制御可能とした木工用縦突きスライサーは種々提案され
ている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上述の従来構成にあっ
ては、機械停止を行なうために能率が悪く、刃口調整時
期は作業者の判断によるため、調整が遅れて、品質を損
なう等の問題点があった。また、フリッチはその幅方向
で、固さ、木目等により材質が偏り、さらには、切削刃
の切れ味等により切削条件も幅方向でバラツキが生じる
ため、切削された単板の厚さは、刃口と刃先の高さを左
右で正確に一致させても、幅方向でのバラツキを避ける
ことができず、このような左右のバラツキに対しては、
従来の手段では、臨機応変に補正することができなかっ
た。本発明は、かかる従来欠点を除去することを目的と
するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、刃口の高さを
調整制御する高さ調整手段と、送材通路のフリッチの反
転停止位置に配設した位置測定装置からのフリッチ上面
の位置情報に基づいてフリッチの板厚を検出する自動板
厚検知装置とを備えると共に、該フリッチの一往復ごと
に、自動板厚検知装置によりフリッチの板厚を測定し、
その板厚差から切削単板厚を算出し、前記高さ調整手段
を選択的に駆動して、その切削単板厚とあらかじめ設定
された所要単板厚とがほぼ等しくなるように、刃先に対
する刃口の高さを調整制御するようにしたことを特徴と
する木工用縦突きスライサーの切削単板厚補正方法であ
る。この方法にあっては、フリッチの往復ごとに刃口の
調整が自動的に行なわれるから、機械停止がないため能
率が良く、かつ調整時期の遅れがなく、単板の板厚を整
一に保つことができる。
【0005】また、刃口の左右の高さを夫々調整制御す
る左右高さ調整手段と、送材通路のフリッチの反転停止
位置に配設した位置測定装置からのフリッチ上面の位置
情報に基づいてフリッチの左右両側の板厚を検出する自
動板厚検知装置とを備えると共に、該フリッチの一往復
ごとに、自動板厚検知装置によりフリッチの左右両側の
板厚を夫々測定し、その板厚差から左右の切削単板厚を
夫々算出し、前記左右高さ調整手段を選択的に駆動し
て、左右の切削単板厚とあらかじめ設定された所要単板
厚とがほぼ等しくなるように、刃先に対する左右の刃口
の高さを調整制御するようにした構成も提案される。こ
の構成にあっては、刃口の左右の高さを夫々調整制御さ
れるものであるため、単板の幅方向での厚み偏りを有効
に是正できる。
【0006】累積された切削単板厚と切削回数との関係
から平均切削単板厚を算出し、前記左右高さ調整手段を
選択的に駆動して、その左右の平均切削単板厚とあらか
じめ設定された所要単板厚とがほぼ等しくなるように、
刃先に対する左右の刃口の高さを調整制御するようにし
ても良い。この手段にあっては、平均切削単板厚を、所
要単板厚と対比しており、従って、当該回の板厚に所要
単板厚との誤差があっても、全体の平均値を大きく変化
させるものでないかぎり、刃口の調整がなされず、この
ため、左右高さ調整手段の作動頻度が低下して、切削効
率が向上する。
【0007】左右高さ調整手段としては、前記刃口テー
ブルの左右に夫々設けられて、刃口の左右端部を夫々別
途に昇降し得る一対の部分昇降制御装置により構成した
ものや、刃口テーブルの左右のいずれに設けて、刃口の
左右端部のいずれかを昇降し得る部分昇降制御装置と、
刃口テーブル全体を昇降する全体昇降制御装置とにより
構成したものが提案され得る。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の一実施例を添付図面につ
いて説明する。図1〜4は縦突きスライサーの一例を示
し、図1は概念図を示すものである。ここで1は基台で
あって該基台の右側方に設けた縦フレーム2に、案内支
柱3,3及び昇降螺子4,4が挿通し、その上端で送材
フレーム5を支持するとともに該送材フレームを前記昇
降螺子4,4の回動制御により任意高さに調整できるよ
うにしている。前記送材フレーム5の前部には前後の駆
動ロール6,従動ロール7に無端送材ベルト8を掛渡し
てなるフリッチwを往復走行させる往復送材装置9が支
持され、送材フレーム5上の可逆駆動モータM4 によっ
て前記駆動ロール6が回転して送材ベルト8が走行す
る。
【0009】また前記基台1の左側後部には、前縁がフ
リッチwの走行方向に対して傾斜している後テーブル1
2が設けられ、その前縁に切削刃13が固定されてい
る。
【0010】図3に示すように前記基台1の前部上には
その上面が後方へ下方傾斜している移動台15が乗載さ
れ、前記基台1の移動案内に規制されて前後方向のみ移
動可能となっている。また前記移動台15の上面には、
該上面に倣って下面を傾斜させた支持台16が乗載し、
さらにその送材方向と平行な上面に刃口テーブル17が
前後移動可能に載置されている。この刃口テーブル17
の後端には、前記切削刃13に沿って脱着可能に刃口2
4が設けられている。
【0011】移動台15の前面には、基台1側に保持さ
れた移動螺子18が螺挿され、基台1の前部で左右方向
に支持されたハンドル19の回転、または可逆昇降モー
タM3 の駆動に伴なって移動螺子18を回転し、その回
転により移動台15を基台1に対して前後移動し、移動
台15と、支持台16間の傾斜面の案内作用により刃口
テーブル17を昇降するようにしている。而して、可逆
昇降モータM3 を駆動源とする移動台15等により、刃
口テーブル17の全体を昇降して、刃口24の高さを調
整制御する全体昇降制御装置Yが構成される。尚、ここ
ではこの全体昇降制御装置Yは、本発明における刃口の
高さ補正に直接関与するものではなく、基準調整又は初
期調整において寄与する。(ただし、後述する第三の補
正制御手段にあって寄与する。)
【0012】さらには刃口テーブル17の前部の下面に
は、ハンドル21が回転可能に支持され、前記ハンドル
21を手動回転することにより刃口テーブル17の下面
に回転可能に支持された螺子杆22を回転し、支持台1
6を螺子杆22に対して進退し、刃口テーブル17が支
持台16に対して前後移動するようにしている。
【0013】一方、図5,6に示すように、前記刃口テ
ーブル17の後端の左右両側には、刃口24の高さ調整
を、左右で別途行なう部分昇降制御装置PL ,PR が設
けられている。この部分昇降制御装置PL ,PR の構成
を同図に従って説明する。
【0014】31は前記刃口テーブル17の側面に固定
された雌螺子筒であって、その上下方向の螺子孔32
に、上端に傘歯車34を有する調整螺子33が螺装して
いる。また前記支持台16の側部には前記調整螺子33
の直下位置で保持板38が固定され、その略水平な当接
面39を前記調整螺子33の下端に当接し、前記刃口テ
ーブル17の後部を支持している。前記傘歯車34は、
可逆刃口モータM ,M の駆動軸と連係された傘歯
車35が噛み合っており、該可逆刃口モータM ,M
の駆動制御により、前記調整螺子33を昇降調整し
得るようにしている。その他、前記雌螺子筒31の上面
に角度目盛を形成し、大筒部36に隆部37を突成し
て該隆部37の位置により、調整螺子33の回動量を確
認可能としている。
【0015】ここで、前記刃口24の左側を昇降させる
には、可逆刃口モータM1 を駆動し、調整螺子33を回
動する。このとき前記調整螺子33下端は支持台16に
固定されている保持板38の当接面39と接触している
から、前記昇降量に比例して他方の部分昇降制御装置P
R の調整螺子33と当接面39との当接点を支点として
図6矢線のように部分昇降制御装置PL の位置する側部
が少し上昇し、而て刃口テーブル17の後端部に傾動が
生じ、刃口24の左側の高さ調整がなされる。刃口24
の右側を調整するには、同様に、可逆昇降制御モータM
2 を駆動させれば良い。そしてこの可逆刃口モータM
1 ,M2 により、刃口24の左右高さが調整され、フリ
ッチwの厚がその前面においてほぼ等しく、かつ所要範
囲内の厚に設定され得ることとなる。
【0016】さらに刃口テーブル17の加工材供給側に
は、図7,8で示す、前記自動板厚検知装置40の位置
測定装置45L,45Rが配設される。この位置測定装
置45L,45Rは、前記刃口テーブル17の上面と連
続して、送材通路の一部を構成する送材ロール41上に
配置され、加工材の左右上面の高さをを夫々検知するた
めに左右二列で複数個配設される。送材ロール41及び
位置測定装置45L,45Rは、支柱43により支持さ
れている支持フレーム44に取付けられている。尚、こ
の位置測定装置45L,45Rは、加工材排出側に設け
ても良い。
【0017】この位置測定装置45は、フリッチ上面の
位置情報を出力するもので、その構成を図8について説
明すると、前記支持フレーム58には、上下方向にエア
ーシリンダー46が固定され、該シリンダー46のロッ
ド47の先端には、取付け部材48が固定されている。
前記取付け部材48の下部には発条49を介して検出端
50が外嵌し、該検出端50は、スプリングピン51に
より取付け部材48に連結されている。この取付け部材
48には近接スイッチ52が支持され、検出端50に
は、近接スイッチ52の検知部と対向する位置に遮蔽板
53が突設している。また取付け部材48は、支持フレ
ーム44の外方に支持した検出筒55のロッド56とも
連結されている。各位置測定装置45のエアーシリンダ
ー46の駆動は、エアー源57により一律的に制御され
る。
【0018】かかる構成にあって、エアーシリンダー4
6の駆動により、ロッド47が伸張し、その検出端50
がフリッチwに当接し、さらに発条49が伸縮して、遮
蔽板53が近接スイッチ52側に近接すると、該近接ス
イッチ52がオン作動する。而て、検出筒55のロッド
56の、その収縮位置から停止位置への移動距離によ
り、フリッチwの高さ位置が検出される。そして、かか
る位置測定装置45による高さ検知により、図9の中央
制御装置CPUにより、フリッチwの板厚が算出され
る。従って、自動板厚検知装置40は、各位置測定装置
45と、中央制御装置CPUの一部機能により構成され
ることとなる。
【0019】ここで、図9は、制御機構のブロック図を
示す。この図にあって、各モータM1 ,M2 ,M3 の駆
動軸には、スリット板sが固着され、その外周には検出
子K1 ,K2 ,K3 が配置されている。この検出子K
1 ,K2 ,K3 は、スリット板sのスリットの通過毎
に、中央制御装置CPUに接続されたカウンターC1
2 ,C3 に信号を送る機能を有する。すなわち、中央
制御装置CPUは、後述するフリッチwの厚み制御等に
基づき、カウンターC1 ,C2 ,C3 にカウント値を設
定し、モータM1 ,M2 ,M3 を駆動させた後、検出子
1 ,K2 ,K3 からの信号によりカウント消化し、そ
のカウントアップにより、モータM1 ,M2,M3 を駆
動停止させる。これにより、可逆刃口モータM1 ,M2
により部分昇降制御装置PL ,PR の調整螺子33を昇
降させ、モータM3 により移動台15を前後移動させる
ことにより、刃口テーブル17の左右及びその全体を所
定量昇降させるようにしている。
【0020】また中央制御装置CPUには、操作板59
からの各種キースイッチからの指令信号が入力される。
この操作板59からは、所要単板厚U等があらかじめ入
力される。
【0021】さらには、中央制御装置CPUには、フリ
ッチwの往復走行制御を可能とするために、フリッチw
の前後端を検出する検出子LS1 ,LS2 、可逆駆動モ
ータM4 及び、上述と同様に駆動モータM4 の駆動量を
制御するカウンターC4 等が接続されて、往復作動制御
がなされる。例えば、フリッチwの往工程にあって、検
出子LS2 による後端検知によって、可逆駆動モータM
4 を逆駆動させ、復行程において検出子LS1 でフリッ
チw前端を検出して、カウンターC4 を設定し、かかる
カウンターC4 の計数消化により、フリッチwの前端部
が往復送材装置9の直下位置に残って送材力がフリッチ
wに作用する状態で、送材ロール41上に位置する状態
に停止させる。そして、カウンターC4 の計数消化と同
期して、エアーシリンダー46を駆動し、フリッチwの
高さを位置測定装置45により検出する。また自動板厚
検知装置40により、後述する昇降判定がなされると、
刃口テーブル17の昇降不要の場合には、該可逆駆動モ
ータM4 が正方向に再駆動する。また、刃口テーブル1
7の昇降調整を要する場合には、前記カウンターC1
2 のいずれもが計数満了した時点で、可逆駆動モータ
4 を正方向に再駆動させる。かかる構成は、フリッチ
wの往復移動におけるタイミング制御の一例であり、そ
の他、種々のタイミング制御手段が提案され得る。
【0022】次に、本実施例の作動を説明する。上述の
構成にあって、フリッチwは、送材装置9により往行程
でその下面を切削され、その切削された単板は刃口24
と切削刃13間を下方へ通過して採取される。また復行
程の終了位置(反転位置)で、フリッチwはその前端部
を前記往復送材装置9の直下位置に残して、送材力が作
用する状態で、送材ロール41上に位置する。そして、
その上面を位置測定装置45L,45Rの検出端50が
接触し、そのフリッチ上面の位置情報に基づく自動板厚
検知装置40による板厚検知に基づき、図9の中央制御
装置CPUの制御により、モータM2 ,M3 が駆動制御
され、前記刃口24を切削刃13の刃先に対して、昇降
調整される。その後さらに往工程に移行して、その下面
を切削される。
【0023】かかる単板の厚み調整にあって、前記単板
の基準厚は、基台1の前部で左右方向に支持されたハン
ドル19の回転、または可逆昇降モータM3 の駆動によ
り移動螺子18を回転し、前記移動台15を基台1に対
して前後移動し、移動台15と、支持台16間の傾斜面
の案内作用により刃口テーブル17を昇降させることに
より決定される。
【0024】次に、本発明の要部である刃口24の高さ
補正につき説明する。上述のように得られた単板の厚
は。切削過程における条件変化やフリッチwの材質によ
り、単板の厚は必ずしも一定ではなく、バラツキを生じ
る。そこで、本発明にあっては、自動板厚検知装置40
による板厚検知に基づき、可逆刃口モータM1 ,M2
駆動制御して、単板の左右の厚みを夫々最適な状態とな
るように、前記刃口24を切削刃13の刃先に対して、
昇降調整するようにしている。
【0025】かかる補正制御手段の第一例を図10の作
動フローチャートに従って説明する。尚、このフローチ
ャートは、フリッチwの左側又は右側で夫々別途に実行
され、かつ夫々の判定により部分昇降制御装置PL また
は部分昇降制御装置PR を別途に制御する構成に係り、
ここでは、一側だけの作動制御を示している。このフロ
ーチャートにあって、まず前記位置測定装置45L列又
は位置測定装置45R列による計測ごとに、切削前のフ
リッチwの測定厚Aと、切削後のフリッチwの測定厚B
との差により、切削単板の板厚tを算出する(ステップ
)。この測定厚A,Bは、各位置測定装置45L列又
は位置測定装置45R列の平均により決定される。
【0026】次に板厚tと、中央制御装置CPUにあら
かじめ設定された所要単板厚U(例えば 2mm)との誤差
Sを算出し、誤差Sの絶対値をあらかじめ設定された許
容誤差xと比較する(ステップ)。この許容誤差x
は、中央制御装置CPUにあらかじめ設定しても良い
が、例えば所要単板厚Uの±0.5%(例えば±0.01m
m)とする等、自動的に設定するようにしても良い。
【0027】そして、誤差Sが許容誤差x内であれば、
可逆駆動モータM4 を正方向に再駆動させ、次の切削加
工をスタートさせる。許容誤差xを越えていた場合にあ
って、誤差S>0のときには、可逆刃口モータM1 又は
可逆刃口モータM2 を正転させ(ステップ)、前記刃
口24を切削刃13の刃先に対して上昇させて、切削単
板厚が薄くなるように補正する。そうでない場合(S<
0)には可逆刃口モータM1 または可逆刃口モータM2
を逆転させて(ステップ)、前記刃口24を切削刃1
3の刃先に対して下降させる。この昇降量は、前記誤差
Sに相当する分だけなされるように、前記カウンターC
1 ,C2 の計数値が設定され得る。
【0028】このように、許容誤差xと比較したのは、
頻繁な刃口テーブル17の昇降による切削効率の低下を
抑制するためである。
【0029】さらに補正制御手段の第二例を、図11の
作動フローチャートに従って説明する。この構成にあっ
ては、当該回(n)の板厚An と、前回(n−1)に計
測したフリッチwの板厚An-1 との差から当該回の板厚
n を算出し、その平均切削単板厚M(=(t1 +t2
…+tn )/n)を求める(ステップ)。そして、こ
れを所要単板厚Uと比較し、その誤差Sの絶対値が、許
容誤差xの範囲内かどうかを判定し(ステップ)、誤
差Sが許容誤差内であれば、次の切削加工をスタートさ
せる。許容誤差xを越えていた場合にあって、誤差S>
0の場合には、可逆刃口モータM1 又は可逆刃口モータ
2 を正転させて(ステップ)、前記刃口24を切削
刃13の刃先に対して上昇させて、切削単板厚が薄くな
るように補正する。そうでない場合(S<0)には可逆
刃口モータM1 またはM2 を逆転させて(ステップ
)、前記刃口24を切削刃13の刃先に対して下降さ
せる。この昇降量は、誤差Sに相当する分だけなされる
ように、前記カウンターC1 ,C2 の計数値が設定され
得る。この許容誤差x及び所要単板厚Uの意義は上述と
同じである。
【0030】この手段も位置測定装置45L,45Rに
よりフリッチwの両側の厚が夫々制御され、かかる厚み
制御により、その全体がほぼ等しい厚に調整され得るこ
ととなる。ここで、この手段にあっては、平均切削単板
厚Mを、所要単板厚Uと対比しており、従って、当該回
nの板厚tn が所要単板厚Uと対比して、許容誤差xを
越えたものであっても、その平均値を大きく変化させる
ものでないかぎり、刃口テーブル17の昇降がなされ
ず、このため、該刃口テーブル17の作動頻度が低下し
て、切削効率がさらに向上する。
【0031】次に前記刃口テーブル17の昇降制御手段
の他の例を図12,13に従って説明する。この手段に
あっては、刃口テーブル17をその左右で夫々別途に部
分昇降制御装置を設けて、昇降作動させるものではな
く、全体昇降制御装置Yによる刃口テーブル17の全体
の昇降と、一側にだけ設けた部分昇降制御装置Pによる
刃口テーブル17の一端部側での昇降とによって、その
刃口テーブル17の左右の移動を制御しようとするもの
である。
【0032】ここで、図12,13のように、刃口テー
ブル17の左端部には部分昇降制御装置Pが備えられて
いる。かかる構成につき説明する。移動台15の左上縁
には、介装片63が乗載されており、該移動台15との
接触面に、図12で示すように、左方向へ斜降する一対
の傾斜案内面65,66が形成されている。この介装片
63には、刃口テーブル17に支持された、連係杆72
により同期駆動する前後の螺子杆70,70が螺挿され
ており、一方の螺子杆70に固着した傘歯車71を可逆
部分昇降モータM5 の駆動軸に連係された傘歯車73に
噛み合わせている。これにより可逆部分昇降モータM5
を駆動すると、螺子杆70,70が同期して回動し、前
記介装片63を幅方向に移動する。そして、この介装片
63が移動すると、傾斜案内面65,66の作用により
刃口テーブル17が昇降することとなる。而して、部分
昇降制御装置Pが構成される。
【0033】一方、前記刃口テーブル17と、移動台1
5とは、図1,3と同様に前後方向の傾斜面により面接
触している。従って、左側で刃口テーブル17と、移動
台15との間に介挿された介装片63は、図13で示す
ように、移動台15の上面の傾斜に倣って前後方向にも
傾斜していることとなり、前記傾斜受面61は、左方向
及び後方へ斜降する面となっている。また前記介装片6
3の上面と、刃口テーブル17の下面間にはキー68が
介装されており、刃口テーブル17と介装片63との相
対的前後方向移動を不能としている。そして、図3で示
したと同様に、可逆昇降モータM3 によって移動台15
を前後方向へ移動させると、その前後の傾斜面により刃
口テーブル全体が昇降することとなる。而して全体昇降
制御装置Yが構成される。
【0034】そして、上記の全体昇降制御装置Yと、部
分昇降制御装置Pとにより、刃口テーブル17の左右及
び全体を随意に昇降調整し得るようにしている。すなわ
ち、可逆昇降モータM3 の駆動により刃口テーブル17
の全体が昇降すると共に、可逆部分昇降モータM5 によ
って前記介装片63を図12の右方向に移動すると、刃
口テーブル17は、移動台15の右端上部を支点として
上方傾動する。また介装片63を左方向へ移動すると同
じく刃口テーブル17の左側が下降する。そして、これ
により、刃口テーブル27の刃口28の平行度及び昇降
量が調整される。
【0035】次に係る昇降制御手段を用いた、厚さ制御
手段の例を図14の作動フローチャートに従って説明す
る。
【0036】まず、位置測定装置45R列により、フリ
ッチwの右側の厚みが測定され、切削前のフリッチwの
測定厚Aと、切削後のフリッチwの測定厚Bとの差によ
り、切削単板の板厚tを算出(ステップ)する。この
測定厚Aは、位置測定装置45R列の平均により決定さ
れる。次に板厚tと、中央制御装置CPUにあらかじめ
設定された所要単板厚を意味する所要単板厚U(例えば
2mm)との誤差Sを検出し、誤差Sの絶対値をあらかじ
め設定された許容誤差xと比較し(ステップ)、誤差
Sが許容誤差xを越えていた場合には、板厚tと所要単
板厚Uとを比較し、板厚tが大きければ、可逆昇降モー
タM3 を正転させて(ステップ)、移動台15を前進
させ、刃口24の全体を切削刃13の刃先に対して上昇
させる(ステップ)。板厚tが小さければ、可逆昇降
モータM3 を逆転させて、前記移動台15を後退させ
て、刃口24の全体を切削刃13の刃先に対して下降さ
せる。
【0037】一方、位置測定装置45L列により、フリ
ッチwの左側の厚みが測定され、切削前のフリッチwの
測定厚A’と、切削後のフリッチwの測定厚B’との差
により、切削単板の板厚t’を算出(ステップ)す
る。この測定厚A’は、位置測定装置45L列の平均に
より決定される。次に板厚tと、中央制御装置CPUに
あらかじめ設定された所要単板厚を意味する所要単板厚
U(例えば2mm )との誤差S’を検出し、誤差S’と前
記右側の誤差Sとの差Xを算出する(ステップ)。そ
してX=0であれば、次の切削工程に移行し、X>0の
場合には、可逆部分昇降モータM5 を正方向へ駆動して
(ステップ)、介装片63を前進させ、刃口テーブル
17の左側を上昇させる。またX<0の場合には、可逆
部分昇降モータM5 を逆方向へ駆動して(ステップ
)、介装片63を後退させ、刃口テーブル17の下降
させる。そして、この刃口テーブル17の左側の昇降制
御を行なった後に、次の切削工程へ移行する。
【0038】この制御を図15イ〜ニに対応して具体的
な数値で示すと、例えば、所要単板厚U=2.00mmとする
と、図15イでは、右側において、測定厚A,Bにより
演算された切削単板厚t=1.98mm、同じく左側の切削単
板厚t’=1.98mmであるとすると、まずS=1.98−2.00
=−0.02となり、その絶対値が許容誤差x=0.01を越え
るから、可逆昇降モータM3 の駆動により、刃口テーブ
ル17が0.02mm下降する。そして、この下降により、左
側にあっても、0.02mmの下方修正がなされ、可逆部分昇
降モータM5 は駆動不要となる。
【0039】そしてこれは、 S’=1.98−2.00=−0.02 X=S’−S=−0.02−(−0.02)=0 となって修正不要とする判断と一致することとなる。
【0040】図15ロにあっては、 S=1.98−2.00=−0.02 となって、可逆昇降モータM3 の駆動により、刃口テー
ブル17は0.02mm下降する。また S’=2.02−2.00=0.02 X=S’−S=0.02−(−0.02)=0.04 となり、可逆部分昇降モータM5 の駆動により、刃口テ
ーブル17の左側が0.04mm上昇する。
【0041】図15ハにあっては、 S=2.02−2.00=0.02 となって、可逆昇降モータM3 の駆動により、刃口テー
ブル17は0.02mm上昇する。また S’=2.03−2.00=0.03 X=S’−S=0.03−0.02=0.01 となり、可逆部分昇降モータM5 の駆動により、刃口テ
ーブル17の左側が0.01mm上昇する。
【0042】図15ニにあっては、 S=1.98−2.00=−0.02 となって、可逆昇降モータM3 の駆動により、刃口テー
ブル17は0.02mm下降する。 S’=1.96−2.00=−0.04 X=S’−S=−0.04−(−0.02)=−0.02 となり、可逆部分昇降モータM5 の駆動により、刃口テ
ーブル17の左側が0.02mm下降する。
【0043】このように、かかる制御により、左右の切
削量に対応して補正制御され、可及的にほぼ全面にわた
って、所要単板厚Uと等しい厚の単板を切削することが
可能となる。
【0044】上述の各実施例にあっては、左右の位置測
定装置45L,45Rにより該フリッチwの左右の状態
を検知して、フリッチwの一切削回ごとに、自動的に刃
口テーブル17の左右の高さを調整し得るようにしたも
のであるが、例えば、位置測定装置45L,45Rまた
は/及び中央部に配設した位置測定装置によりフリッチ
wの厚みを検出して、全体昇降制御装置Yの可逆昇降モ
ータM3 のみを駆動し、刃口テーブル17の刃口24の
全体高さを調整するようにしても良い。
【0045】尚、上述したように各位置測定装置45L
(位置測定装置45R)の平均値によりフリッチwの左
右一側の厚みを検出し、その補正を刃口テーブル17の
左右で行なうようにした構成にあっては、フリッチwの
幅方向での厚みの偏りを補正することができ、該幅方向
における切削条件の相違、フリッチwの幅方向の材質の
偏り等に対応してこれを補正し得る優れた利点がある。
【0046】
【発明の効果】本発明は上述したように、該フリッチの
一往復ごとに、自動板厚検知装置によりフリッチの板厚
を測定し、その板厚差から切削単板厚を算出し、前記高
さ調整手段を選択的に駆動して、その切削単板厚とあら
かじめ設定された所要単板厚とがほぼ等しくなるよう
に、刃先に対する刃口の高さを調整制御するようにした
ものであるから、フリッチの往復ごとに刃口の調整が自
動的に行なわれ、機械停止がないため能率が良く、かつ
調整時期の遅れがなく、単板の板厚を整一に保つことが
できる。
【0047】また、刃口の左右の高さを夫々調整制御す
る左右高さ調整手段と、送材通路のフリッチの反転停止
位置に配設した位置測定装置からのフリッチ上面の位置
情報に基づいてフリッチの左右両側の板厚を検出する自
動板厚検知装置とを備え、該フリッチの一往復ごとに、
刃先に対する左右の刃口の高さを調整制御するようにし
た構成にあっては、刃口の左右の高さを夫々調整制御さ
れるものであるため、単板の幅方向での厚み偏りを有効
に是正できる。
【0048】この場合に、累積された切削単板厚と切削
回数との関係から平均切削単板厚を算出し、前記左右高
さ調整手段を選択的に駆動して、その左右の平均切削単
板厚とあらかじめ設定された所要単板厚とがほぼ等しく
なるように、刃先に対する左右の刃口の高さを調整制御
するようにすると、平均切削単板厚を、所要単板厚と対
比しており、当該回の板厚に所要単板厚との誤差があっ
ても、全体の平均値を大きく変化させるものでないかぎ
り、刃口の調整がなされず、このため、左右高さ調整手
段の作動頻度が低下して、切削効率が向上する、等の優
れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用するスライサ−の概要斜視図であ
る。
【図2】本発明にかかる縦突きスライサーの正面図であ
る。
【図3】縦突きスライサーの側面図である。
【図4】図3のA−A線断面図、
【図5】部分昇降制御装置PL ,PR の拡大平面図、
【図6】部分昇降制御装置PL ,PR の縦断側面図であ
る。
【図7】位置測定装置45L,45Rの側面図である。
【図8】位置測定装置45L,45Rの拡大縦断側面図
である。
【図9】中央制御装置CPUを示すブロック図である。
【図10】補正制御手段の第一例を示す作業フローチャ
ート図である。
【図11】補正制御手段の第二例を示す作業フローチャ
ート図である。
【図12】部分昇降制御装置Pを示す縦断正面図であ
る。
【図13】部分昇降制御装置Pを示す一部切欠側面図で
ある。
【図14】補正制御手段の第三例を示す作業フローチャ
ート図である。
【図15】第三例における刃口テーブル17の昇降制御
と、切削単板厚t,t’との関係を示す説明図である。
【符号の説明】
9 往復送材装置 13 切削刃 15 移動台 17 刃口テーブル 24 刃口 40 自動板厚検知装置 45L,45R 位置測定装置 63 介装片 PL ,PR ,P 部分昇降制御装置 Y 全体昇降制御装置 M1 ,M2 可逆刃口モータ M3 可逆昇降モータ M5 可逆部分昇降モータ U 所要単板厚

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】切削刃を装着した後テーブルと、前記切削
    刃に対応する刃口を装着した刃口テーブルと、フリッチ
    を往復走行させる往復送材装置とを備えた木工用縦突き
    スライサーにおいて、 刃口の高さを調整制御する高さ調整手段と、送材通路の
    フリッチの反転停止位置に配設した位置測定装置からの
    フリッチ上面の位置情報に基づいてフリッチの板厚を検
    出する自動板厚検知装置とを備えると共に、該フリッチ
    の一往復ごとに、自動板厚検知装置によりフリッチの板
    厚を測定し、その板厚差から切削単板厚を算出し、前記
    高さ調整手段を選択的に駆動して、その切削単板厚とあ
    らかじめ設定された所要単板厚とがほぼ等しくなるよう
    に、刃先に対する刃口の高さを調整制御するようにした
    ことを特徴とする木工用縦突きスライサーの切削単板厚
    補正方法。
  2. 【請求項2】切削刃を装着した後テーブルと、前記切削
    刃に対応する刃口を装着した刃口テーブルと、フリッチ
    を往復走行させる往復送材装置とを備えた木工用縦突き
    スライサーにおいて、 刃口の左右の高さを夫々調整制御する左右高さ調整手段
    と、送材通路のフリッチの反転停止位置に配設した位置
    測定装置からのフリッチ上面の位置情報に基づいてフリ
    ッチの左右両側の板厚を検出する自動板厚検知装置とを
    備えると共に、該フリッチの一往復ごとに、自動板厚検
    知装置によりフリッチの左右両側の板厚を夫々測定し、
    その板厚差から左右の切削単板厚を夫々算出し、前記左
    右高さ調整手段を選択的に駆動して、左右の切削単板厚
    とあらかじめ設定された所要単板厚とがほぼ等しくなる
    ように、刃先に対する左右の刃口の高さを調整制御する
    ようにしたことを特徴とする木工用縦突きスライサーの
    切削単板厚補正方法。
  3. 【請求項3】切削刃を装着した後テーブルと、前記切削
    刃に対応する刃口を装着した刃口テーブルと、フリッチ
    を往復走行させる往復送材装置とを備えた木工用縦突き
    スライサーにおいて、 刃口の左右の高さを夫々調整制御する左右高さ調整手段
    と、送材通路のフリッチの反転停止位置に配設した位置
    測定装置からのフリッチ上面の位置情報に基づいてフリ
    ッチの左右両側の板厚を検出する自動板厚検知装置とを
    備えると共に、該フリッチの一往復ごとに、自動板厚検
    知装置によりフリッチの左右両側の板厚を夫々測定し、
    その板厚差から左右の切削単板厚を夫々算出し、さらに
    累積された切削単板厚と切削回数との関係から平均切削
    単板厚を算出し、前記左右高さ調整手段を選択的に駆動
    して、その左右の平均切削単板厚とあらかじめ設定され
    た所要単板厚とがほぼ等しくなるように、刃先に対する
    左右の刃口の高さを調整制御するようにしたことを特徴
    とする木工用縦突きスライサーの切削単板厚補正方法。
  4. 【請求項4】左右高さ調整手段を、刃口テーブルの左右
    に夫々設けられて、刃口の左右端部を夫々別途に昇降し
    得る一対の部分昇降制御装置により構成したことを特徴
    とする請求項2又は請求項3記載の木工用縦突きスライ
    サーの切削単板厚補正方法。
  5. 【請求項5】左右高さ調整手段を、刃口テーブルの左右
    のいずれに設けて、刃口の左右端部のいずれかを昇降し
    得る部分昇降制御装置と、刃口テーブル全体を昇降する
    全体昇降制御装置とにより構成したことを特徴とする請
    求項2又は請求項3記載の木工用縦突きスライサーの切
    削単板厚補正方法。
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