JP2967168B1 - ペルフルオロ(第二級アミノ基置換アセチルフルオリド)の製造方法 - Google Patents

ペルフルオロ(第二級アミノ基置換アセチルフルオリド)の製造方法

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JP2967168B1 JP10258903A JP25890398A JP2967168B1 JP 2967168 B1 JP2967168 B1 JP 2967168B1 JP 10258903 A JP10258903 A JP 10258903A JP 25890398 A JP25890398 A JP 25890398A JP 2967168 B1 JP2967168 B1 JP 2967168B1
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Abstract

【要約】 【課題】 ペルフルオロ(第二級アミノ基置換アセチル
フルオリド)を、容易に入手しうる化合物から、効率よ
く製造する方法を提供する。 【解決手段】 ペルフルオロ(第二級アミノ基置換アセ
チルフルオリド)を製造する方法において、N−(2−
ヒドロキシエチル)第三級アミンを、液体フッ化水素中
で電解フッ素化することを特徴とする前記の方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、界面活性剤、潤滑
油、撥水撥油剤、農薬、医薬品などの含フッ素製品の合
成中間体や含フッ素プラスチックを得るための単量体な
どの製造原料として有用なペルフルオロ(第二級アミノ
基置換アセチルフルオリド)をN−(2−ヒドロキシル
エチル)第三級アミンを用いて効率よく製造する方法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、ペルフルオロカルボン酸フルオリ
ドは、例えば、界面活性剤、潤滑油、撥水撥油剤、農
薬、医薬品、高分子単量体などの原料として有用な化合
物であり、通常、電解フッ素化法によって製造されてい
る。ところで、分子中にペルフルオロ第二級アミノ基を
有するトリフルオロ酢酸フルオリドは既知化合物であ
り、種々の有用な含フッ素製品を与えうる合成中間体と
して有用な化合物であるが、従来は、対応する第二級ア
ミノ基を有する酢酸メチルの電解フッ素化により合成さ
れていた(T. Abe, E. Hayashi, H. Babe andH. Fukay
a, J. Fluorine Chem., 48 (1990)257〜279;T. Abe,
E. Hayashi, H.Fukaya and H. Baba, J. Fluorine Chem
istry, 50 (1990)173〜196)。しかしながら、この方法
では、原料となる第二級アミノ基置換酢酸メチルは、1
部のクロロー、またはブロモ酢酸メチルと2部の対応す
る第三級アミンとの反応により調製するために、原料が
割高になることを免れることができなかった。従って、
目的とするペルフルオロ(第二級アミノ基置換アセチル
フルオリド)を経済的に合成するために、より安価で入
手可能な原料をフッ素化することによる合成が望まれて
いた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、各種フッ素
含有製品の合成中間体や原料として有用なペルフルオロ
(第二級アミノ基置換アセチルフルオリド)を、容易に
入手しうる化合物から、効率よく製造する方法を提供す
ることをその課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、原料として、安価
で汎用性の試薬であるN−(2−ヒドロキシエチル)第
三級アミンを用い、このものを液体フッ化水素中で電解
フッ素化することにより、その課題を解決しうることを
見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至っ
た。すなわち、本発明によれば、下記一般式(1)
【化3】 (式中、Rfはペルフルオロ第二級アミノ基を示す)で表
されるペルフルオロ(第二級アミノ基置換アセチルフル
オリド)を製造する方法において、下記一般式(2)
【化4】 (式中、Rは第二級アミノ基を示す)で表されるN−
(2−ヒドロキシエチル)第三級アミンを、液体フッ化
水素中で電解フッ素化することを特徴とする前記の方法
が提供される。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明で反応原料として用いるN
−(2−ヒドロキシエチル)第三級アミンを表す前記一
般式(2)において、そのRは第二級アミノ基を示す
が、この第二級アミノ基には、環式アミノ基及び非環式
アミノ基が包含される。環式アミノ基の場合、その環構
成原子として、窒素原子の他、他のヘテロ原子、例え
ば、酸素や硫黄原子等を含有していてもかまわない。ま
た、その環構成原子数も特に制約されないが、通常は、
5〜6である。このような環式アミノ基を与える環式ア
ミンとしては、ピロリジンや、モルホリン、ピペリジ
ン、N−メチルピペラジン等が挙げられる。また、非環
式アミノ基の場合、ジアルキルアミノ基及びジシクロア
ルキルアミノ基等が包含されるが、それらのアルキル基
の炭素数は、特に制約されないが、1〜8、好ましくは
1〜4である。このような非環式アミノ基としては、
N,N−ジメチルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基
等が挙げられる。
【0006】本発明により前記一般式(1)のペルフル
オロ(第二級アミノ基置換アセチルフルオリド)を製造
するには、それに対応する前記一般式(2)のN−(2
−ヒドロキシエチル)第三級アミンを液体フッ化水素中
で電解フッ素化する。この場合の電解フッ素化反応で
は、従来電解フッ素化反応で常用されている電解槽を用
いることができる。またこの反応は液体フッ化水素中で
行われ、この際の原料の濃度は1〜80重量%の範囲で
選ばれるが、この濃度が高くなるとタール状物質が生成
しやすくなるので、好ましくは3〜20重量%の範囲で
選ばれる。電流密度は0.01〜10A/dm2、好ま
しくは0.1〜5A/dm2の範囲で選ばれる。この電
流密度が高すぎると電解電力が高くなりすぎて副反応が
生じやすくなる。また、電解温度は−20〜50℃、好
ましくは−10〜20℃の範囲で選ばれる。この温度が
低すぎると電解電圧が高くなりやすく、一方、高すぎる
とフッ化水素の逃散が起こりやすくなる。この電解反応
は通常常圧で行われるが、所望に応じ加圧下で行うこと
もできる。加圧下で行う場合は、フッ化水素の沸点が上
昇するために、反応系の冷却を緩和しうる長所がある。
また、該反応は連続法又はバッチ式のいずれの方式でも
実施することができる。バッチ式で行う場合、反応を完
結させるための電解時間は電流密度や原料の量に左右さ
れるが、一般に、電気量が理論電気量の80〜200%
になるような時間を要して反応を行うのが好ましい。こ
れらの電解フッ素化条件は、使用する原料の種類によっ
て異なるので、目的生成物の収率及び電流効率などを考
慮して適宜選択することが望ましい。また、効率よく電
解フッ素化を行い、目的生成物の収率を向上させるため
に、反応中電解液をかきまぜることが望ましく、そのた
めには、機械的な強制攪拌や、不活性ガスの導入による
かきまぜなどの方法を用いることができる。
【0007】このように得られたペルフルオロ(第二級
アミノ基置換アセチルフルオリド)は、沸点が高い場合
には、ほとんどが電解槽内に残留し、液体フッ化水素中
に溶解せずに分離して2層を形成しているために、電解
終了後ドレインして取り出すことができる。また、一部
のペルフルオロ(第二級アミノ基置換アセチルフルオリ
ド)は、沸点の低い開裂生成物とともに電解槽外に出る
が、フッ化ナトリウムペレット層を通過させてフッ化水
素を除いたのち、冷却トラップで凝縮捕集することがで
きる。
【0008】
【発明の効果】本発明によると、容易に入手しうるN−
(2−ヒドロキシエチル)第三級アミンを電解フッ素化
することにより、第二級アミノ基置換酢酸メチルを原料
として用いた従来の場合と比べると、比肩しうる好収率
で対応するペルフルオロ(第二級アミノ基置換アセチル
フルオリド)が得られる。このものは、界面活性剤、潤
滑油、撥水撥油剤、農薬、医薬品などの含フッ素製品の
合成中間体や含フッ素プラスチックを得るための単量体
の製造原料として有用な化合物である。
【0009】
【実施例】次に実施例により本発明をさらに詳細に説明
するが、本発明はこれらの例によってなんら限定される
ものではない。なお、電解槽としてはモネルメタル製の
ものを、電極としては、ニッケル板製の陽極7枚と陰極
8枚とを極間距離2mmで交互に配列した、有効陽極面
積が7.5dm2のものを使用した。
【0010】実施例1 無水フッ化水素酸450gを導入し、このものを予備電
解して精製したのち、無水フッ化水素中にN−(2−ヒ
ドロキシエチル)ピロリジン33.3gを溶解した。こ
の電解液を5.9〜6.0Vで211Ahr電解した。
電解電圧は最終的に6.7Vに達した。生成ガスはフッ
化ナトリウム管を通じて随伴するフッ化水素を除いたの
ち、ドライアイス−エタノール浴で−78℃に冷却した
トラップに捕集した。電解終了後、電解槽下部のドレイ
ンコックを開き、フルオロカーボン混合物21.0gを
抜き出した。また、冷却トラップ中にはフルオロカーボ
ン混合物25.9gが捕集された。これらのフルオロカ
ーボン混合物を、ガスクロマトグラフィー〔キャリヤ
ー:He、液相:Fomblin、担体:60〜80メ
ッシュクロモソーブPAW〕〕、IR、19F−NMR、
GC−Massなどにより分析し、既知のデータ(T.Ab
e, E. Hayashi, H. Fukaya and H. Baba, J. Fluorine
Chemistry, 50 (1990)173〜196)と比較したところ、ペ
ルフルオロ(ピロリジノアセチルフルオリド)が19.2
g(収率21.4%)得られた。
【0011】実施例2 無水フッ化水素酸450gを導入し、このものを予備電
解して精製したのち、無水フッ化水素中にN−(2−ヒ
ドロキシエチル)モルホリン40.9gを溶解した。こ
の電解液を5.7〜6.1Vで228Ahr電解した。
電解電圧は最終的に6.8Vに達した。生成ガスの捕集
や分析などは、実施例1と同じように行った。電解終了
後、電解槽下部のドレインコックを開き、フルオロカー
ボン混合物28.1gを抜き出した。また、冷却トラッ
プ中にはフルオロカーボン混合物20.6gが捕集され
た。これらのフルオロカーボン混合物を、GC、IR、
19F−NMR、GC−Massなどにより分析し、既知
のデータ(T. Abe, E. Hayashi, H. Fukaya and H.Bab
a, J. Fluorine Chemistry, 50 (1990)173〜196)と比
較したところ、ペルフルオロ(モルホリノアセチルフル
オリド)が24.0g(収率25.2%)得られた。
【0012】実施例3 無水フッ化水素酸450gを導入し、このものを予備電
解して精製したのち、無水フッ化水素中にN−(2−ヒ
ドロキシエチル)ピペリジン40.9gを溶解した。こ
の電解液を5.7〜6.1Vで251Ahr電解した。
電解電圧は最終的に6.8Vに達した。生成ガスの捕集
や分析などは、実施例1と同じように行った。電解終了
後、電解槽下部のドレインコックを開き、フルオロカー
ボン混合物30.4gを抜き出した。また、冷却トラッ
プ中にはフルオロカーボン混合物20.9gが捕集され
た。これらのフルオロカーボン混合物を、GC、IR、
19F−NMR、GC−Massなどにより分析し、既知
のデータ(T. Abe, E. Hayashi, H. Fukaya and H.Bab
a, J. Fluorine Chemistry, 50 (1990)173〜196)と比
較したところ、ペルフルオロ(ピペリジノアセチルフル
オリド)が16.3g(収率15.9%)得られた。
【0013】実施例4 無水フッ化水素酸450gを導入し、このものを予備電
解して精製したのち、無水フッ化水素中にN−(2−ヒ
ドロキシエチル)ジメチルアミン39.5gを溶解し
た。この電解液を5.9〜6.2Vで279Ahr電解
した。電解電圧は最終的に6.7Vに達した。生成ガス
の捕集や分析などは、実施例1と同じように行った。電
解終了後、電解槽下部のドレインコックを開き、フルオ
ロカーボン混合物1.9gを抜き出した。また、冷却ト
ラップ中にはフルオロカーボン混合物27.9gが捕集
された。これらのフルオロカーボン混合物を、GC、I
R、19F−NMR、GC−Massなどにより分析し、
既知のデータと比較したところ、ペルフルオロ(ジアミ
ノアセチルフルオリド)が13.8g(収率12.5%)
得られた。
【0014】実施例5 無水フッ化水素酸450gを導入し、このものを予備電
解して精製したのち、無水フッ化水素中にN−(2−ヒ
ドロキシエチル)ジエチルアミン40.3gを溶解し
た。この電解液を6.0〜6.3Vで275Ahr電解
した。電解電圧は最終的に6.8Vに達した。生成ガス
の捕集や分析などは、実施例1と同じように行った。電
解終了後、電解槽下部のドレインコックを開き、フルオ
ロカーボン混合物25.4gを抜き出した。また、冷却
トラップ中にはフルオロカーボン混合物19.8gが捕
集された。これらのフルオロカーボン混合物を、GC、
IR、19F−NMR、GC−Massなどにより分析
し、既知のデータと比較したところ、ペルフルオロ(ジ
エチルアセチルフルオリド)が10.8g(収率9.0
%)得られた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き 審査官 星野 紹英 (56)参考文献 特開 平10−120664(JP,A) J.Fluorine.Chem., 50(2),173−96(1990) J.Fluorine.Chem., 48(2),257−79(1990) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) CAPLUS(STN)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1) 【化1】 (式中、Rfはペルフルオロ第二級アミノ基を示す)で表
    されるペルフルオロ(第二級アミノ基置換アセチルフル
    オリド)を製造する方法において、下記一般式(2) 【化2】 (式中、Rは第二級アミノ基を示す)で表されるN−
    (2−ヒドロキシエチル)第三級アミンを、液体フッ化
    水素中で電解フッ素化することを特徴とする前記の方
    法。
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Non-Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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J.Fluorine.Chem.,48(2),257−79(1990)
J.Fluorine.Chem.,50(2),173−96(1990)

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