JP2963677B2 - メラトニン誘導体を含有する組成物、並びに脱色素化剤としてのその用途 - Google Patents

メラトニン誘導体を含有する組成物、並びに脱色素化剤としてのその用途

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、メラトニン誘導体
からなる脱色素化剤、および、色素斑点の治療用または
皮膚の美白化用の、フェース及び/またはボディの皮膚
に局所適用することによる、化粧品または皮膚用組成物
中への、または該組成物の製造へのメラトニン誘導体の
脱色素化剤としての用途に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】人生
における様々な時期に、皮膚、特に手に、暗いおよび/
または着色した斑点ができ、皮膚が不均一な外観になる
場合がある。これらの斑点はまた、皮膚表面のケラチノ
シトにおける高濃度のメラニンによるものである。この
理由は、表皮の深くに位置するメラノシトがメラニンを
生成し、このメラニンをケラチノシトに運び、次いで表
皮の表面に上がってきて、メラニンが付与されるからで
ある。
【0003】皮膚の色素形成メカニズム、すなわちメラ
ニンの形成は、特に複雑であり、主に以下の工程を含有
するものである。
【0004】チロシン −−> ドーパ −−> ドー
パキノン −−> ドーパクローム−−> メラニン
【0005】チロシナーゼは、該反応に含有される必須
酵素である。特にチロシナーゼは、チロシンのドーパ
(ジヒドロキシフェニルアラニン)への変換反応と、ド
ーパからドーパキノンへの変換反応とを触媒する。チロ
シナーゼは、ある生物学的ファクターの作用下、成熟状
態においてのみ作用する。
【0006】ある物質が、メラニン形成が起こる表皮メ
ラノシトの生存度に直接作用する場合、および/また
は、メラニン形成に含有される酵素の1つを抑制するこ
とによって、または、メラニン合成鎖における化学化合
物の1つの構造類似体として入り込ませることによっ
て、(該鎖がブロックされて脱色素化が起こり)メラニ
ンの生合成の1つの工程を妨害する場合、脱色素化する
と認識されるものである。
【0007】脱色素化剤として組成物中に最も一般的に
使用される物質は、特に、ヒドロキノンおよびその誘導
体、特にそのエーテル、たとえばヒドロキノンモノメチ
ルエーテルおよびモノエチルエーテルである。これらは
あるレベルまでは有効であるが、毒性に関して副作用が
ないわけではなく、使用するのが複雑で、使用に際して
は危険でさえある。ヒドロキノンおよびその誘導体が、
生物学的環境を妨害する危険があり、毒を製造すること
によって皮膚から斑点を除去するという、細胞を殺すこ
とによって、メラニン発生の基本的なメカニズムに介在
するという事実に、該毒性は起因するものである。
【0008】従って、法的に2%までの濃度としてその
使用が規制されているヒドロキノンは、特に刺激性があ
り、メラノシトへの細胞毒性がある化合物である。従っ
て、多くの研究者によって、これに代わるものが研究さ
れている。
【0009】メラノシトの過剰活性による部分的な過剰
色素化、例えば、妊娠時、またはエストロプロゲスト系
の避妊時に起きる特発性黒皮症、良性メラノシトの増殖
および過活性化による局在化過色素沈着、たとえば、の
危険性のない局所用脱色素化物質、たとえば化学線ほく
ろとして知られる老人性色素沈着斑点、偶発性過色素沈
着、たとえば病変跡のはんこん形成および光感作、並び
に、あるロイコデルミアス、たとえば白班を治療するた
めに、良好な効果を有する無害な局所脱色素化物質を使
用することが最も所望される。
【0010】2,5−ジヒドロキシフェニルカルボン酸
誘導体またはベンゾフラン誘導体の使用が、特許出願、
EP−0524108およびEP−0526302に記
載されている。
【0011】出願人は、あるメラトニン誘導体が皮膚斑
点および色素沈着に作用することを見い出した。
【0012】メラトニン、またはN−アセチル−5−メ
トキシトリプタミンが、ホルモンの生成を調節するサー
カディアン活性を有するとして、特に眠りのリズムに影
響を与えるとして知られている。さらに、酸化防止活性
があり、皮膚の外観を改善するための皮膚化粧品(derm
o−cosmetics)使用として(JP−61−221104;
US−4746674)、または、紫外線照射に対して皮
膚を保護するとして(EP−0438856;E.Bangha
et al.,Dermatology 191,[2],176,1
995)開示されている。治療用または化粧品用のメラ
トニンを含有する種々の局所組成物、たとえば、クレン
ジングローションおよびクレンジングクリームおよびミ
ルクが開示されている(JP−61−221104)。
【0013】メラトニンは、中枢レベルでα−MSHの
生成を変性させる、すなわちメラニンの生成を変性させ
ることが可能であるが、文献(D.B.McElhinney et
al.,J.Invest.Dermatol 102(2),199
4,1258−9)は、外因性メラトニンはヒトの皮膚
の色素沈着には効果がないと教示している。
【0014】
【課題を解決するための手段および発明の実施の形態】
本発明の主題は、式(I):
【0015】
【化3】
【0016】(式中、R1は、低級アルキル基を示し、
R2は、水素原子または低級アルキル基を示し、R3は、
水素原子または低級アシル基を示し、インドール環のヒ
ドロキシル基は、4、6、または7位にあることが可能
である)で表わされる、メラトニン誘導体、その生理学
的に許容される塩、ソルベート、またはバイオプリカー
サからなる、皮膚の脱色素化剤、ならびに、式(I)で
表わされる、メラトニン誘導体、その生理学的に許容さ
れる塩、ソルベート、またはバイオプリカーサの脱色素
化剤としての用途に関する。
【0017】より優位には、式(Ia):
【0018】
【化4】
【0019】(式中、R1、R2、およびR3は、上記と
同様であり、ヒドロキシル基はインドール環の6位にあ
る)で表わされる誘導体である。
【0020】低級アルキル基とは、好ましくは、任意に
1以上のハロゲン(F、Cl、またはBr)で置換され
てもよい、直鎖または分岐の炭素数が1から4のアルキ
ル基を意味する。特に、メチル、エチル、プロピル、ま
たはブチル基が挙げられる。該定義は、アシル基のアル
キル基にも適用される。
【0021】塩とは、化粧品としてまたは皮膚に活性な
化合物として一般的である、生理学的に許容される無機
または有機酸の添加塩、例えば、塩酸、硫酸、酢酸、ク
エン酸、フマル酸、ヘミコハク酸、マレイン酸等の添加
塩を意味する。
【0022】生理学的に許容されるバイオプリカーサと
は、投与されると式(I)の化合物を遊離可能な誘導
体、特に、エステル、たとえばアルキル=ホスファー
ト、アルキル=スルファート、またはアシル(たとえば
アセタート)または単糖(特にグルコシル、マンノシ
ル、フラクトシル、N−アセチルグルカミンまたはガラ
クトシル)を意味する。
【0023】該組成物においては、本発明によるメラト
ニン誘導体が、好ましくは、組成物の全重量に対して、
0.0001から10重量%までの間、特に0.001
から1重量%までの間で存在する。
【0024】本発明によるメラトニン誘導体を含有する
組成物を適用することによって、マークが軽減したり、
色素斑点の形成が全体的になくなることが可能である。
メラトニン誘導体の作用法をあらかじめ定めなくても、
皮膚のメラノシトのチロシナーゼを抑制するのに十分な
メラトニン誘導体の量を適用すれば、脱色素化される。
【0025】従って、本発明の主題はまた、上記メラト
ニン誘導体を脱色素化剤として含有する組成物を、皮膚
に適用することからなる、皮膚の色素斑点の美容処理方
法に関する。
【0026】本発明の主題はまた、上記メラトニン誘導
体を皮膚に適用することからなる、皮膚メラノシトのチ
ロシナーゼを抑制するための美容処理方法に関する。
【0027】本発明の主題はまた、脱色素化剤としての
上記メラトニン誘導体と、化粧品としてまたは皮膚用に
許容されるサポートとを含有する、皮膚を脱色素化する
ための化粧品または皮膚用組成物に関する。本発明の主
題はまた、皮膚の色素斑点の治療用薬剤製品の製造へ
の、脱色素化剤としての上記メラトニン誘導体の用途に
関する。
【0028】本発明によるメラトニン誘導体を含有する
組成物は、通常使用される局所使用用の種々の薬剤形態
であってもよい。該組成物は、特に、水溶液、水−アル
コール溶液または油性溶液、ローションまたはシーラム
タイプの分散物、水性、無水性、または油性ゲル、水相
中への脂肪相の(O/W)またはその逆(W/O)の分
散によって得られる、液状または半液状コンシステンシ
ーのエマルション、または水性または無水性クリームま
たはゲルタイプのソフトコンシステンシーの懸濁液また
はエマルション、または、マイクロエマルション、マイ
クロカプセルまたは微粒子、またはイオン及び/または
非イオンタイプの小胞体分散物の形態であってもよい。
これらの組成物は常法にしたがて調製される。
【0029】常法にしたがって、化粧品または皮膚用組
成物は、また、通常化粧品または皮膚用製品の分野で使
用されている補助剤、例えば、乳化剤、親水性または親
油性ゲル化剤、親水性または親油性活性剤、防腐剤、酸
化防止剤、香料、充填剤、遮蔽剤、および染料を含有し
てもよい。これらの補助剤の量は、当該分野において通
常使用されている量であり、例えば、組成物の全重量に
対して、0.01から20重量%である。補助剤は、そ
の特性に依存して、水相、脂肪相及び/または脂質球体
に導入可能である。
【0030】水中油形の(O/W)または油中水形(W
/O)の乳化剤は、所望の、最終エマルション形態に応
じて、乳化剤として使用可能である。
【0031】本発明において使用可能な乳化剤として
は、例えば、PEG−20ステアラート、PEG−10
0ステアラート、ポリソルバート60(ICI社から販
売されている”Tween 60”)、ソルビタン=ス
テアラート(ICI社から販売されている”Span
60”)、およびPPG−3ミリスチルエーテルが挙げ
られる。
【0032】乳化剤は、組成物中に、組成物の全重量に
対して、0.1から15重量%、好ましくは0.5から
5重量%の範囲で存在する。
【0033】共乳化剤が組成物中に含有されてもよく、
例えば、組成物の全重量に対して、0.05から10重
量%の範囲で存在する。グリセリル=ステアラートが共
乳化剤として挙げられる。
【0034】脂質小胞体分散物においては、乳化剤は、
イオン及び/または非イオン脂質小胞体からなるもので
あってもよい。
【0035】本発明において使用可能なオイルとして
は、鉱油、植物油(カリテバター、向日葵油、またはア
プリコット仁油)、合成油、シリコーン油(シクロメチ
コーン)およびフルオロ油(ペルヒドロポリエーテル)
が挙げられる。脂肪アルコール(ステアリルアルコー
ル)、脂肪酸(ステアリン酸)およびワックスがこれら
のオイルに添加可能である。
【0036】本発明において使用可能な親水性ゲル化剤
としては、カルボキシビニルポリマー、グリセリル=ポ
リアクリラートまたはポリメタクリラート、ポリアクリ
ルアミド、天然ゴム(キサンタンゴム)およびクレーが
挙げられ、親油性ゲル化剤としては、変性クレー、たと
えばベントン、脂肪酸の金属塩、たとえばステアリン酸
アルミニウム、疎水性シリカが挙げられる。
【0037】蛋白質または蛋白質加水分解物、アミノ
酸、ポリオール、特にグリセロールまたはソルビトー
ル、尿素、アラントイン、糖およびその誘導体、および
グリシルレチン酸が、親水性活性剤として使用可能であ
る。
【0038】親油性活性剤としては、トコフェロール
(ビタミンE)およびその誘導体、必須脂肪酸、セラミ
ドおよび精油が挙げられる。
【0039】親水性または親油性紫外線遮蔽剤および酸
化チタンおよび酸化亜鉛裳もまた、該組成物に使用可能
である。
【0040】該組成物は特に、顔用、手用、またはボデ
ィ用プロテクティング、トリートメント、またはケアク
リーム、ボディ用プロテクティングまたはケアミルク、
スキンケアまたはスキントリートメントローション、ゲ
ルまたはムース、クレンジングまたは消毒ローション、
バス用組成物、ファンデーション、チントクリームなど
である。後者の場合、該組成物は、ピグメントを含有す
る。
【0041】インビトロ試験 本発明による誘導体の脱色素化剤としての活性を、チロ
シナーゼの抑制インビトロテストで例証した。
【0042】該テストでは、チロシンのメラニンへの変
換の反応工程中に形成されるドーパクロームの量を、4
75nmでの可視分光測定によってモニターした。これら
の反応は、インビトロでは、L−チロシンからL−ドーパ
へのヒドロキシル化反応(これに次いで触媒的に酸化さ
れてドーパキノン、次いでドーパクロームへと変換され
る)を開始するために、還元性共基体(reductive co
−substrate)(たとえば少量のL−ドーパ)の存在
下、真菌性チロシナーゼによって触媒化される。
【0043】経時的に形成されたドーパクロームの濃度
を、インヒビタの有無の条件下で測定する。抑制効果
は、インヒビタなしの場合に得られた量に対して、形成
されたドーパクロームの最大量(カーブの高原部におい
て読み取られた475nmにおける光学濃度値)を低く
することによって表される。
【0044】反応物質 A.0.1M燐酸緩衝液、pH6.5(1%Tween
20) B.A中の2X0.001MのLーチロシン株溶液 C.A中の0.0001MのLードーパ株溶液 D.A中の2400ユニット/ml含有の真菌性チロシ
ナーゼの株溶液 E.A中の0.01Mのインヒビタ株溶液 溶液CおよびDは、使用する日に調製されるべきであ
る。
【0045】 早急に混合し、時間に対しての吸収を測定することによ
って反応を観察する。
【0046】テストは、0.1及び0.2mlの溶液E
に対して、6−ヒドロキシメラトニンを用いて行なっ
た。6−ヒドロキシメラトニンを用いてまたは用いずに
得られた結果を図1および2に示す。いずれの場合も、
ドーパクロームの形成比率が減少して、チロシナーゼ活
性の抑制が観察される。
【0047】メラトニンおよび5−ヒドロキシトリプタ
ミン誘導体を用いて行なわれた類似のテストでは、抑制
がないことが示される。
【0048】本発明を以下に組成物の実施例を挙げて詳
細に説明する。実施例においては、濃度は、重量%で表
わされる。
【0049】
【実施例】
実施例1 水中油形エマルション 6−ヒドロキシメラトニン 0.05% オクチルドデカノール 5% ひまわり油 11% EDTA 0.05% 水酸化ナトリウム 0.02% キサンタンゴム 0.2% ポリアクリルアミド/イソパラフィン/ラウレト(laureth)−7(S eppic社から販売されている”Sepigel 305”) 0.9% シクロメチコーン 5% グリセロール 4% 水/グリセロール混合物中2%の濃度のポリグリセリル=アクリラート(Gu adian社から販売されている”Lubrajel”) 5% グリセリル=ステアラート 0.6% PEG−100ステアラート 0.6% PEG−20ステアラート 1.2% ステアリン酸 0.6% ステアリルアルコール 1% 防腐剤 0.3% 水 合計 100%
【0050】脱色素化特性を有する白色流動クリームが
得られる。
【0051】実施例2 水中油形エマルション 6−ヒドロキシメラトニン 0.3% アプリコット仁油 10% カリテ油 7% PPG−3ミリスチルエーテル 5% ポリソルバート60(Tween 60) 2.5% ソルビタン=ステアラート(Span 60) 2.5% 防腐剤 0.2% シクロメチコーン 4% キサンタンゴム 0.2% カルボニルビニルポリマー 0.5% トリエタノールアミン(中性化剤) 0.5% グリセロール 5% 水 合計 100% 良好な脱色素化デイクリームが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 100μlの6−ヒドロキシメラトニンのイ
ンビトロでのチロシナーゼの抑制を示す図である。
【図2】 200μlの6−ヒドロキシメラトニンのイ
ンビトロでのチロシナーゼの抑制を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A61K 7/00 - 7/50 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式(I): 【化1】 (式中、R1は、低級アルキル基を示し、 R2は、水素原子または低級アルキル基を示し、 R3は、水素原子または低級アシル基を示し、 インドール環のヒドロキシル基は、4、6、または7位
    にあることが可能である)で表わされる、メラトニン誘
    導体、その生理学的に許容される塩、またはアルキル=
    ホスファート、アルキル=スルファートまたはアシル、
    または単糖から選択されるバイオプリカーサからなる、
    ヒトの皮膚の脱色素化剤。
  2. 【請求項2】 ヒドロキシル基が6位にあることを特徴
    とする脱色素化剤。
  3. 【請求項3】 R1はメチル基を示し、R2は水素原子を
    示し、R3はアセチル基を示すことを特徴とする、請求
    項1または2に記載の脱色素化剤。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれか1項に記載
    の皮膚の脱色素化剤と、化粧品としてまたは皮膚用に許
    容されるサポートとを含有する、皮膚を脱色素化するた
    めの化粧品または皮膚用脱色素化組成物。
  5. 【請求項5】 式(I)の誘導体が、組成物の全重量に
    対して、0.0001から10重量%までの間の量で使
    用されることを特徴とする、請求項4に記載の組成物。
  6. 【請求項6】 メラトニン誘導体の量が、組成物の全重
    量に対して、0.001から1重量%までの間であるこ
    とを特徴とする、請求項5に記載の組成物。
  7. 【請求項7】 請求項1ないし3のいずれか1項に記載
    の脱色素化剤を含有する組成物を、皮膚に適用すること
    からなる、皮膚の色素斑点の美容処理方法。
  8. 【請求項8】 請求項1ないし3のいずれか1項に記載
    の脱色素化剤を皮膚に適用することからなる、皮膚メラ
    ノシトのチロシナーゼを抑制するための美容処理方法。
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