JP2960869B2 - 高純度2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンの製造方法 - Google Patents
高純度2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンの製造方法Info
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Description
ヒドロキシジフェニルスルホンの製造方法に関する。さ
らに詳しくは、本発明は、2,4'−ジヒドロキシジフェ
ニルスルホンと4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホ
ンの混合物より、4,4'−ジヒドロキシジフェニルスル
ホンを分離し、感熱記録紙用顕色剤などとして有用な高
純度の2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンを効率
よく製造する方法に関するものである。
造されるジヒドロキシジフェニルスルホンは、通常多量
の4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンと少量の
2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンの2種の異性
体の混合物として得られる。これらの異性体のうち、
4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンは、耐熱性エ
ンジニアリングプラスチック、カラー写真用カプラーな
どの原料や、感熱記録紙用顕色剤などとして広く用いら
れている。一方、2,4'−ジヒドロキシジフェニルスル
ホンは、感熱記録紙用顕色剤として4,4'−ジヒドロキ
シジフェニルスルホンより一層優れた性能を有するにも
かかわらず、従来はフェノールと硫酸などのスルホン化
剤との反応における2,4'−ジヒドロキシジフェニルス
ルホンの生成量が少なく、かつ2,4'−ジヒドロキシジ
フェニルスルホンと4,4'−ジヒドロキシジフェニルス
ルホンの物理的、化学的性質が近似し、その単離精製が
困難であるために、いまだ広く利用されるには至ってい
ない。本発明者らは、先にフェノールと硫酸の反応によ
り高い選択率で2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホ
ンを製造する方法を発明した(特開平6−107622
号公報)が、さらに高純度の2,4'−ジヒドロキシジフ
ェニルスルホンに対する要求が強まってきた。
状況のもとで、フェノールと硫酸の反応により生成する
2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンと4,4'−ジ
ヒドロキシジフェニルスルホンの混合物を分離し、感熱
紙用顕色剤などとして有用な高純度の2,4'−ジヒドロ
キシジフェニルスルホンを効率よく製造する方法を提供
することを目的としてなされたものである。
題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、ジヒドロキシジ
フェニルスルホン異性体の混合物から、2,4'−ジヒド
ロキシジフェニルスルホンを選択的にジアルカリ金属塩
とすることにより、効率よく2,4'−ジヒドロキシジフ
ェニルスルホンを分離しうることを見いだし、この知見
に基づいて本発明を完成するに至った。すなわち、本発
明は、(1)2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン
を15重量%以上含有する2,4'−ジヒドロキシジフェ
ニルスルホンと4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホ
ンの混合物に、水溶媒中で2,4'−ジヒドロキシジフェ
ニルスルホンの1.6〜2.2モル倍と4,4'−ジヒドロ
キシジフェニルスルホンの0.8〜1.2モル倍の合計量
のアルカリ金属の水酸化物を添加し、2,4'−ジヒドロ
キシジフェニルスルホンをジアルカリ金属塩として水溶
媒中に溶存せしめ、4,4'−ジヒドロキシジフェニルス
ルホンをモノアルカリ金属塩として析出せしめることに
より、2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンと4,
4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンを分離すること
を特徴とする高純度2,4'−ジヒドロキシジフェニルス
ルホンの製造方法、(2)2,4'−ジヒドロキシジフェ
ニルスルホンを15重量%以上含有する2,4'−ジヒド
ロキシジフェニルスルホンと4,4'−ジヒドロキシジフ
ェニルスルホンの混合物に、水溶媒中で2,4'−ジヒド
ロキシジフェニルスルホンの1.6〜2.2モル倍と4,
4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンの1.6〜2.4
モル倍の合計量のアルカリ金属の水酸化物を添加したの
ち、酸を加えて4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホ
ンの0.8〜1.2モル倍のアルカリ金属の水酸化物に相
当するアルカリを中和し、2,4'−ジヒドロキシジフェ
ニルスルホンをジアルカリ金属塩として水溶媒中に溶存
せしめ、4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンをモ
ノアルカリ金属塩として析出せしめることにより、2,
4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンと4,4'−ジヒ
ドロキシジフェニルスルホンを分離することを特徴とす
る高純度2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンの製
造方法、(3)2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホ
ンを15重量%以上含有する2,4'−ジヒドロキシジフ
ェニルスルホンと4,4'−ジヒドロキシジフェニルスル
ホンの混合物に、水溶媒中で2,4'−ジヒドロキシジフ
ェニルスルホンの0.8〜1.1モル倍と4,4'−ジヒド
ロキシジフェニルスルホンの0.4〜0.6モル倍の合計
量のアルカリ金属の炭酸塩を添加し、2,4'−ジヒドロ
キシジフェニルスルホンをジアルカリ金属塩として水溶
媒中に溶存せしめ、4,4'−ジヒドロキシジフェニルス
ルホンをモノアルカリ金属塩として析出せしめることに
より、2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンと4,
4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンを分離すること
を特徴とする高純度2,4'−ジヒドロキシジフェニルス
ルホンの製造方法、(4)2,4'−ジヒドロキシジフェ
ニルスルホンを15重量%以上含有する2,4'−ジヒド
ロキシジフェニルスルホンと4,4'−ジヒドロキシジフ
ェニルスルホンの混合物に、水溶媒中で2,4'−ジヒド
ロキシジフェニルスルホンの0.8〜1.1モル倍と4,
4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンの0.8〜1.2
モル倍の合計量のアルカリ金属の炭酸塩を添加したの
ち、酸を加えて4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホ
ンの0.4〜0.6モル倍のアルカリ金属の炭酸塩に相当
するアルカリを中和し、2,4'−ジヒドロキシジフェニ
ルスルホンをジアルカリ金属塩として水溶媒中に溶存せ
しめ、4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンをモノ
アルカリ金属塩として析出せしめることにより、2,4'
−ジヒドロキシジフェニルスルホンと4,4'−ジヒドロ
キシジフェニルスルホンを分離することを特徴とする高
純度2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンの製造方
法、(5)析出した4,4'−ジヒドロキシジフェニルス
ルホンのモノアルカリ金属塩を、20〜70℃において
ろ別により分離除去する第(1)〜(4)項のいずれかに記
載の高純度2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンの
製造方法、(6)4,4'−ジヒドロキシジフェニルスル
ホンのモノアルカリ金属塩をろ別したろ液に、酸を加え
てpH4〜6に調整することにより、2,4'−ジヒドロキ
シジフェニルスルホンを析出せしめる第(5)項記載の高
純度2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンの製造方
法、(7)4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンの
モノアルカリ金属塩をろ別したろ液を、pH6〜10.5
に調整することにより2,4'−ジヒドロキシジフェニル
スルホンのモノアルカリ金属塩を析出せしめ、2,4'−
ジヒドロキシジフェニルスルホンのモノアルカリ金属塩
を単離したのち水系溶媒に再溶解し、得られた水系溶液
に酸を加えてpH4〜6に調整することにより2,4'−ジ
ヒドロキシジフェニルスルホンを析出せしめる第(5)項
記載の高純度2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン
の製造方法、及び、(8)4,4'−ジヒドロキシジフェ
ニルスルホンのモノアルカリ金属塩をろ別したろ液に炭
素数1〜3の脂肪族アルコールを加え、溶媒組成を水6
0〜90重量%及び脂肪族アルコール40〜10重量%
としたのち、酸を加えてpH4〜6に調整することによ
り、2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンを析出せ
しめる第(5)項記載の高純度2,4'−ジヒドロキシジフ
ェニルスルホンの製造方法、を提供するものである。
(9)2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンを15
重量%以上含有する2,4'−ジヒドロキシジフェニルス
ルホンと4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンの混
合物に、水溶媒中で2,4'−ジヒドロキシジフェニルス
ルホンの0.8〜1.1モル倍と4,4'−ジヒドロキシジ
フェニルスルホンの0.4〜0.6モル倍の合計量のアル
カリ土類金属の水酸化物を添加し、2,4'−ジヒドロキ
シジフェニルスルホンを2つのヒドロキシル基を塩とし
て水溶媒中に溶存せしめ、4,4'−ジヒドロキシジフェ
ニルスルホンを1つのヒドロキシル基を塩として析出せ
しめることにより、2,4'−ジヒドロキシジフェニルス
ルホンと4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンを分
離することを特徴とする高純度2,4'−ジヒドロキシジ
フェニルスルホンの製造方法、(10)2,4'−ジヒド
ロキシジフェニルスルホンを15重量%以上含有する
2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンと4,4'−ジ
ヒドロキシジフェニルスルホンの混合物に、水溶媒中で
2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンの0.8〜1.
1モル倍と4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンの
0.8〜1.2モル倍の合計量のアルカリ土類金属の水酸
化物を添加したのち、酸を加えて4,4'−ジヒドロキシ
ジフェニルスルホンの0.4〜0.6モル倍のアルカリ土
類金属の水酸化物に相当するアルカリを中和し、2,4'
−ジヒドロキシジフェニルスルホンを2つのヒドロキシ
ル基を塩として水溶媒中に溶存せしめ、4,4'−ジヒド
ロキシジフェニルスルホンを1つのヒドロキシル基を塩
として析出せしめることにより、2,4'−ジヒドロキシ
ジフェニルスルホンと4,4'−ジヒドロキシジフェニル
スルホンを分離することを特徴とする高純度2,4'−ジ
ヒドロキシジフェニルスルホンの製造方法、(11)使
用する水溶媒の量が、2,4'−ジヒドロキシジフェニル
スルホンと4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンの
合計量の0.5〜5.0重量倍である第(1)〜(4)項及び
第(9)〜(10)項のいずれかに記載の高純度2,4'−ジ
ヒドロキシジフェニルスルホンの製造方法、を挙げるこ
とができる。
ジヒドロキシジフェニルスルホンを15重量%以上含有
する2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンと4,4'
−ジヒドロキシジフェニルスルホンの混合物を使用す
る。ジヒドロキシジフェニルスルホンは、フェノールと
硫酸を混合し、加熱して、生成する水をフェノールとの
共沸混合物として留去することにより製造することがで
きる。反応は、減圧下に行うことが好ましい。必要に応
じて反応中にフェノールを追加し、水との共沸により系
外に留出するフェノールを補うことができる。フェノー
ルと硫酸のほかに、例えば、トルエン、クロロベンゼ
ン、キシレンのような水と共沸する化合物を加え、共沸
により水の留出を促進することができる。本発明方法に
おいて、ジヒドロキシジフェニルスルホン異性体混合物
中の2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンの含有量
が15重量%未満であると、高純度の2,4'−ジヒドロ
キシジフェニルスルホンを得るために分離操作を繰り返
す必要があり、工程が長く、得られる高純度2,4'−ジ
ヒドロキシジフェニルスルホンの収量が低下するので好
ましくない。フェノールと硫酸の反応に際して、ホスホ
ン酸、ホスフィン酸、リン酸のようなリン化合物を共存
させることにより、生成するジヒドロキシジフェニルス
ルホン異性体混合物中の2,4'−ジヒドロキシジフェニ
ルスルホンの含有量を高めることができる。
キシジフェニルスルホンと4,4'−ジヒドロキシジフェ
ニルスルホンの混合物に、水溶媒中で2,4'−ジヒドロ
キシジフェニルスルホンの1.6〜2.2モル倍と4,4'
−ジヒドロキシジフェニルスルホンの0.8〜1.2モル
倍の合計量のアルカリ金属の水酸化物を添加する。使用
するアルカリ金属の水酸化物には特に制限はなく、例え
ば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウ
ムなどを使用することができるが、これらの中で、水酸
化ナトリウムを特に好適に使用することができる。本発
明方法においては、2,4'−ジヒドロキシジフェニルス
ルホンと4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンの混
合物に、2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンの
1.6〜2.2モル倍と4,4'−ジヒドロキシジフェニル
スルホンの1.6〜2.4モル倍のアルカリ金属の水酸化
物を添加したのち、酸を加えて4,4'−ジヒドロキシジ
フェニルスルホンの0.8〜1.2モル倍のアルカリ金属
の水酸化物に相当するアルカリを中和することができ
る。ジヒドロキシジフェニルスルホン異性体混合物に、
2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンの1.6〜2.
2モル倍と4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンの
1.6〜2.4モル倍の合計量のアルカリ金属の水酸化物
を添加すれば、ジヒドロキシジフェニルスルホンはジア
ルカリ金属塩となって速やかに水溶媒中に溶解するの
で、操作時間を短縮し、得られる2,4'−ジヒドロキシ
ジフェニルスルホンの純度を高めることができる。中和
に使用する酸には特に制限はなく、例えば、塩酸、硫
酸、リン酸などの無機酸類や、ギ酸、酢酸、プロピオン
酸などの有機酸類を使用することができる。過剰のアル
カリを酸により中和する場合には、生成した塩は塩析剤
として作用する。
アルカリ金属の水酸化物の量を2,4'−ジヒドロキシジ
フェニルスルホンの1.6〜2.2モル倍と4,4'−ジヒ
ドロキシジフェニルスルホンの0.8〜1.2モル倍の合
計量とすることにより、2,4'−ジヒドロキシジフェニ
ルスルホンは実質的にジアルカリ金属塩となり、4,4'
−ジヒドロキシジフェニルスルホンは実質的にモノアル
カリ金属塩となる。2,4'−ジヒドロキシジフェニルス
ルホンのジアルカリ金属塩は、4,4'−ジヒドロキシジ
フェニルスルホンのモノアルカリ金属塩より水溶媒への
溶解度が大きいので、両者の溶解度差を利用して、2,
4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンのジアルカリ金
属塩を水溶媒中に溶存せしめ、4,4'−ジヒドロキシジ
フェニルスルホンのモノアルカリ金属塩を水溶媒から析
出せしめることができる。本発明方法において、水溶媒
中に存在するアルカリ金属の水酸化物の量が2,4'−ジ
ヒドロキシジフェニルスルホンの1.6モル倍と4,4'
−ジヒドロキシジフェニルスルホンの0.8モル倍の合
計量未満であると、得られる2,4'−ジヒドロキシジフ
ェニルスルホンの純度が低下するおそれがある。水溶媒
中に存在するアルカリ金属の水酸化物の量が2,4'−ジ
ヒドロキシジフェニルスルホンの2.2モル倍と4,4'
−ジヒドロキシジフェニルスルホンの1.2モル倍の合
計量を超えると、得られる高純度2,4'−ジヒドロキシ
ジフェニルスルホンの収率が低下するおそれがある。
キシジフェニルスルホンと4,4'−ジヒドロキシジフェ
ニルスルホンの混合物に、水溶媒中で2,4'−ジヒドロ
キシジフェニルスルホンの0.8〜1.1モル倍と4,4'
−ジヒドロキシジフェニルスルホンの0.4〜0.6モル
倍の合計量のアルカリ金属の炭酸塩を添加することがで
きる。使用するアルカリ金属の炭酸塩には特に制限はな
く、例えば、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリ
ウムなどを使用することができるが、これらの中で、炭
酸ナトリウムを特に好適に使用することができる。本発
明方法においては、2,4'−ジヒドロキシジフェニルス
ルホンと4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンの混
合物に、2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンの
0.8〜1.1モル倍と4,4'−ジヒドロキシジフェニル
スルホンの0.8〜1.2モル倍のアルカリ金属の炭酸塩
を添加したのち、酸を加えて4,4'−ジヒドロキシジフ
ェニルスルホンの0.4〜0.6モル倍のアルカリ金属の
炭酸塩に相当するアルカリを中和することができる。ジ
ヒドロキシジフェニルスルホン異性体混合物に、2,4'
−ジヒドロキシジフェニルスルホンの0.8〜1.1モル
倍と4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンの0.8
〜1.2モル倍の合計量のアルカリ金属の炭酸塩を添加
すれば、ジヒドロキシジフェニルスルホンはジアルカリ
金属塩となって速やかに水溶媒中に溶解するので、操作
時間を短縮し、得られる2,4'−ジヒドロキシジフェニ
ルスルホンの純度を高めることができる。中和に使用す
る酸には特に制限はなく、例えば、塩酸、硫酸、リン酸
などの無機酸類や、ギ酸、酢酸、プロピオン酸などの有
機酸類を使用することができる。過剰のアルカリを酸に
より中和する場合には、生成した塩は塩析剤として作用
する。
アルカリ金属の炭酸塩の量を2,4'−ジヒドロキシジフ
ェニルスルホンの0.8〜1.1モル倍と4,4'−ジヒド
ロキシジフェニルスルホンの0.4〜0.6モル倍の合計
量とすることにより、2,4'−ジヒドロキシジフェニル
スルホンは実質的にジアルカリ金属塩となり、4,4'−
ジヒドロキシジフェニルスルホンは実質的にモノアルカ
リ金属塩となる。2,4'−ジヒドロキシジフェニルスル
ホンのジアルカリ金属塩は、4,4'−ジヒドロキシジフ
ェニルスルホンのモノアルカリ金属塩より水溶媒への溶
解度が大きいので、両者の溶解度差を利用して、2,4'
−ジヒドロキシジフェニルスルホンのジアルカリ金属塩
を水溶媒中に溶存せしめ、4,4'−ジヒドロキシジフェ
ニルスルホンのモノアルカリ金属塩を水溶媒から析出せ
しめることができる。本発明方法において、水溶媒中に
存在するアルカリ金属の炭酸塩の量が2,4'−ジヒドロ
キシジフェニルスルホンの0.8モル倍と4,4'−ジヒ
ドロキシジフェニルスルホンの0.4モル倍の合計量未
満であると、得られる2,4'−ジヒドロキシジフェニル
スルホンの純度が低下するおそれがある。水溶媒中に存
在するアルカリ金属の炭酸塩の量が2,4'−ジヒドロキ
シジフェニルスルホンの1.1モル倍と4,4'−ジヒド
ロキシジフェニルスルホンの0.6モル倍の合計量を超
えると、得られる高純度2,4'−ジヒドロキシジフェニ
ルスルホンの収率が低下するおそれがある。本発明方法
においては、アルカリ金属の水酸化物又はアルカリ金属
の炭酸塩に代えて、アルカリ土類金属の水酸化物を用い
ることができる。アルカリ土類金属の水酸化物を用いる
場合には、水溶媒中に2,4'−ジヒドロキシジフェニル
スルホンの0.8〜1.1モル倍と4,4'−ジヒドロキシ
ジフェニルスルホンの0.4〜0.6モル倍の合計量のア
ルカリ土類金属の水酸化物を添加し、あるいは、過剰の
アルカリ土類金属の水酸化物を添加したのち酸によって
その一部を中和することができる。
シジフェニルスルホンのジアルカリ金属塩が水溶媒中に
溶存し、4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンのモ
ノアルカリ金属塩が水溶媒より析出する状態を現出せし
める方法には特に制限はなく、例えば、混合物を含む水
溶媒の量や温度を調節することにより、あるいは、水溶
媒に塩を加えて塩析することにより、4,4'−ジヒドロ
キシジフェニルスルホンのモノアルカリ金属塩のみを選
択的に析出せしめることができる。温度調節による場
合、適切な温度は、使用するアルカリ金属の種類、2,
4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン及び4,4'−ジ
ヒドロキシジフェニルスルホンの濃度、所望する2,4'
−ジヒドロキシジフェニルスルホンの純度などにより異
なるが、通常は20〜70℃、好ましくは30〜50℃
の温度とすることにより、2,4'−ジヒドロキシジフェ
ニルスルホンのジアルカリ金属塩が溶存し、4,4'−ジ
ヒドロキシジフェニルスルホンのモノアルカリ金属塩が
析出した状態とすることができる。温度が20℃未満で
あると、2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンのジ
アルカリ金属塩が析出し、得られる高純度2,4'−ジヒ
ドロキシジフェニルスルホンの収率が低下するおそれが
ある。温度が70℃を超えると、4,4'−ジヒドロキシ
ジフェニルスルホンのモノアルカリ金属塩が溶存し、得
られる2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンの純度
が低下するおそれがある。塩析による場合、使用する塩
には特に制限はなく、例えば、硫酸リチウム、硫酸ナト
リウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、塩化リチウ
ム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウ
ム、塩化カルシウム、塩化バリウムなどを用いることが
できる。本発明方法において、温度調節により、あるい
は、塩析により析出した4,4'−ジヒドロキシジフェニ
ルスルホンのモノアルカリ金属塩の分離方法には特に制
限はなく、例えば、ろ過、遠心分離などによることがで
きる。本発明方法において、温度調節により析出した
4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンのモノアルカ
リ金属塩をろ過などにより分離したのち、さらに塩析を
行うことによって、水溶媒中に残存する4,4'−ジヒド
ロキシジフェニルスルホンのモノアルカリ金属塩の除去
を完全なものとすることができる。本発明方法におい
て、使用する水溶媒の量は、通常は2,4'−ジヒドロキ
シジフェニルスルホンと4,4'−ジヒドロキシジフェニ
ルスルホンの合計量の0.5〜5.0重量倍であることが
好ましく、2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンと
4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンの合計量の
0.8〜3重量倍であることがより好ましい。水溶媒の
量が2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンと4,4'
−ジヒドロキシジフェニルスルホンの合計量の0.5重
量倍未満であると、処理すべき混合物の濃度が高くなり
すぎて操作性が劣り、2,4'−ジヒドロキシジフェニル
スルホンの分離に悪影響を及ぼすおそれがある。水溶媒
の量が2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンと4,
4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンの合計量の5.0
重量倍を超えると、2,4'−ジヒドロキシジフェニルス
ルホン以外の成分が水溶媒中に多量に残るので、2,4'
−ジヒドロキシジフェニルスルホンの純度が低下するお
それがある。本発明方法において、4,4'−ジヒドロキ
シジフェニルスルホンのモノアルカリ金属塩を分離除去
したのち、水溶媒中の2,4'−ジヒドロキシジフェニル
スルホンのジアルカリ金属塩を、2,4'−ジヒドロキシ
ジフェニルスルホンとして単離する。2,4'−ジヒドロ
キシジフェニルスルホンの単離方法には特に制限はな
く、例えば、ジアルカリ金属塩を直接酸によって中和す
ることにより単離することができ、あるいは、モノアル
カリ金属塩として単離したのち、さらに中和を行うこと
ができる。酸による中和を行う場合の溶媒は、水溶媒を
用いることができ、あるいは、水と有機溶媒の水系混合
溶媒を用いることができる。
シジフェニルスルホンのジアルカリ金属塩が溶解した水
溶媒又は水系混合溶媒のpHを4〜6とすることにより、
2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンのジアルカリ
金属塩を2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンとし
て析出せしめることができる。水溶媒又は水系混合溶媒
のpHを4とすれば、溶媒中の2,4'−ジヒドロキシジフ
ェニルスルホンのジアルカリ金属塩は2,4'−ジヒドロ
キシジフェニルスルホンとなって析出するので、通常は
溶媒のpHを4未満とする必要はない。水溶媒又は水系混
合溶媒のpHが6を超えると、2,4'−ジヒドロキシジフ
ェニルスルホン中に2,4'−ジヒドロキシジフェニルス
ルホンのモノアルカリ金属塩が混入し純度が低下するお
それがある。本発明方法において、2,4'−ジヒドロキ
シジフェニルスルホンのジアルカリ金属塩が溶解した水
溶媒又は水系混合溶媒のpHを6〜10.5に調整するこ
とにより、2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンは
モノアルカリ金属塩となるので、いったんモノアルカリ
金属塩として単離したのち、水溶媒又は水系混合溶媒に
再溶解し、得られた水系溶液に酸を加えてpH4〜6に調
整することにより2,4'−ジヒドロキシジフェニルスル
ホンとすることができる。本発明方法において使用する
水系混合溶媒には特に制限はないが、水/アルコール混
合溶媒を好適に使用することができる。使用するアルコ
ールとしては、例えば、メタノール、エタノール、1−
プロパノール、2−プロパノール、2−メトキシエタノ
ール、2−エトキシエタノール、2−イソプロポキシエ
タノール、2−ブトキシエタノールなどを挙げることが
できる。これらの中で炭素数1〜3の脂肪族アルコール
が好ましく、特にメタノール、エタノール及び2−プロ
パノールを好適に使用することができる。アルコールの
炭素数が4以上であると、ジヒドロキシジフェニルスル
ホン類又はそれらの塩が存在する水系混合溶媒が、相分
離を起こすおそれがある。
シジフェニルスルホンのジアルカリ金属塩が溶解した水
溶媒に脂肪族アルコールを添加し、水系混合溶媒とした
のち酸による中和を行うことにより、2,4'−ジヒドロ
キシジフェニルスルホンの純度をさらに向上することが
できる。水系混合溶媒の組成には特に制限はないが、水
60〜90重量%及び脂肪族アルコール40〜10重量
%であることが好ましい。脂肪族アルコールの量が10
重量%未満であると、脂肪族アルコールを添加した効果
が十分に発現しないおそれがある。脂肪族アルコールの
量が40重量%を超えると、高純度2,4'−ジヒドロキ
シジフェニルスルホンの収率が低下するおそれがある。
本発明方法においては、酸による中和により得られた
2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンを、さらに再
結晶によって精製することができる。再結晶の溶媒とし
ては水系混合溶媒、特に水/アルコール混合溶媒を好適
に使用することができる。使用するアルコールとして
は、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノー
ル、2−プロパノール、2−メトキシエタノール、2−
エトキシエタノール、2−イソプロポキシエタノール、
2−ブトキシエタノールなどを挙げることができるが、
これらの中で特にメタノール、エタノール及び2−プロ
パノールを好適に使用することができる。本発明方法に
よれば、2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンを1
5重量%以上含有するジヒドロキシジフェニルスルホン
異性体の混合物から、純度95〜99.5重量%の高純
度2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンを容易に、
かつ高収率で得ることができる。
に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限
定されるものではない。なお、2,4'−ジヒドロキシジ
フェニルスルホン及び4,4'−ジヒドロキシジフェニル
スルホンの含有量は、高速液体クロマトグラフィーによ
り定量した。反応例1(ジヒドロキシジフェニルスルホ
ン粗製品の製造)反応器にフェノール793g、硫酸3
34g及びホスホン酸16.5gを仕込み、560〜2
60mmHgの減圧下、150〜165℃で3時間脱水反応
を行った。フェノール水が250g留出したところでフ
ェノール165gを加え、260〜100mmHgの減圧下
2時間脱水反応を行った。さらに留出液が430gに達
したところでフェノール165gを加え、260〜10
0mmHgの減圧下2時間脱水反応を続けた。最終的に留出
液が570gに達したところで反応を終了し、2,4'−
ジヒドロキシジフェニルスルホン49重量%、4,4'−
ジヒドロキシジフェニルスルホン50重量%、その他の
不純物1重量%よりなるジヒドロキシジフェニルスルホ
ン粗製品724gを得た。収率は85%であった。反応
例2(ジヒドロキシジフェニルスルホン粗製品の製造)
反応器にフェノール564g及び硫酸300gを仕込
み、720〜120mmHgの減圧下140〜155℃で5
時間脱水反応を行った。フェノール水が145g留出し
たところでフェノール60gを加え、720〜80mmHg
の減圧下さらに2時間脱水反応を行った。最終的に留出
液が200gに達したところで反応を終了し、2,4'−
ジヒドロキシジフェニルスルホン20重量%、4,4'−
ジヒドロキシジフェニルスルホン79重量%、その他の
不純物1重量%よりなるジヒドロキシジフェニルスルホ
ン粗製品574gを得た。収率は75%であった。 実施例1 反応例1で得たジヒドロキシジフェニルスルホン粗製品
100g(0.4モル)を、水酸化ナトリウム32g
(0.8モル)を水100gに溶解した水溶液に加えて
加熱還流した。ジヒドロキシジフェニルスルホンが完全
に溶解したのち、溶液に硫酸10g(0.1モル)を加
えて50℃まで冷却し、析出する4,4'−ジヒドロキシ
ジフェニルスルホンのモノナトリウム塩をろ過により除
去した。ろ液を室温まで冷却したのち、ろ液にさらに硫
酸を加えてpHを5.0に調整し、析出物をろ別乾燥して
結晶49gを得た。得られた結晶は、2,4'−ジヒドロ
キシジフェニルスルホンを88重量%含有していた。こ
の結晶40gを30重量%メタノール水溶液160gに
溶解し再結晶を行い、析出する2,4'−ジヒドロキシジ
フェニルスルホン36gを得た。得られた2,4'−ジヒ
ドロキシジフェニルスルホンの純度は、97重量%であ
った。 実施例2 反応例1で得たジヒドロキシジフェニルスルホン粗製品
100g(0.4モル)を、水酸化ナトリウム32g
(0.8モル)を水100gに溶解した水溶液に加えて
加熱還流した。ジヒドロキシジフェニルスルホンが完全
に溶解したのち、溶液に硫酸10g(0.1モル)を加
えて50℃まで冷却し、析出する4,4'−ジヒドロキシ
ジフェニルスルホンのモノナトリウム塩をろ過により除
去した。ろ液を室温まで冷却したのち、ろ液にメタノー
ル43gを加えて溶媒の組成を30%メタノール水溶液
とし、pHが5.0になるよう硫酸を加え、析出する2,
4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン38gを得た。
得られた2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンの純
度は98重量%であった。 実施例3 反応例1で得たジヒドロキシジフェニルスルホン粗製品
100g(0.4モル)を、水酸化ナトリウム32g
(0.8モル)を水100gに溶解した水溶液に加えて
加熱還流した。ジヒドロキシジフェニルスルホンが完全
に溶解したのち、溶液に硫酸10g(0.1モル)を加
えて50℃まで冷却し、析出する4,4'−ジヒドロキシ
ジフェニルスルホンのモノナトリウム塩をろ過により除
去した。ろ液を室温まで冷却したのち、ろ液にpHが9.
5になるまで硫酸を加え、析出する2,4'−ジヒドロキ
シジフェニルスルホンのモノナトリウム塩を43g得
た。2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンのモノナ
トリウム塩の純度は99.2重量%であった。さらに得
られた2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンのモノ
ナトリウム塩を水200gに70℃で加熱溶解し、pHが
5.0になるまで硫酸を加えて、析出する2,4'−ジヒ
ドロキシジフェニルスルホン39gを得た。得られた
2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンの純度は9
9.5重量%であった。 実施例4 反応例1で得たジヒドロキシジフェニルスルホン粗製品
100g(0.4モル)を、水酸化ナトリウム24g
(0.6モル)を水100gに溶解した水溶液に加えて
加熱還流した。ジヒドロキシジフェニルスルホンが完全
に溶解したのち、溶液に硫酸ナトリウム15gを加えて
50℃まで冷却し、析出する4,4'−ジヒドロキシジフ
ェニルスルホンのモノナトリウム塩をろ過により除去し
た。ろ液を室温まで冷却したのち、ろ液にpHが5.0に
なるまで硫酸を加え、析出する結晶46gを得た。得ら
れた結晶は、2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン
を86重量%含有していた。この結晶40gを、30重
量%の2−プロパノール水溶液160gに溶解し再結晶
を行い、析出する2,4'−ジヒドロキシジフェニルスル
ホン35gを得た。得られた2,4'−ジヒドロキシジフ
ェニルスルホンの純度は97重量%であった。 実施例5 反応例2で得たジヒドロキシジフェニルスルホン粗製品
200g(0.8モル)を、水酸化ナトリウム68g
(1.7モル)を水300gに溶解した水溶液に加えて
加熱還流した。ジヒドロキシジフェニルスルホンが完全
に溶解したのち、溶液に硫酸36g(0.37モル)を
加えて40℃まで冷却し、析出する4,4'−ジヒドロキ
シジフェニルスルホンのモノナトリウム塩をろ過により
除去した。ろ液を室温まで冷却したのち、ろ液にさらに
硫酸を加えてpHを8.5に調整し、析出物をろ別乾燥し
て結晶40gを得た。得られた結晶は、2,4'−ジヒド
ロキシジフェニルスルホンのモノナトリウム塩を90重
量%含有していた。この結晶を30重量%メタノール水
溶液160gに溶解し、pHが5.0になるまで硫酸を加
え、析出する2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン
32gを得た。得られた2,4'−ジヒドロキシジフェニ
ルスルホンの純度は、99.5重量%であった。 比較例1 反応例1で得たジヒドロキシジフェニルスルホン粗製品
100g(0.4モル)を、水酸化ナトリウム16g
(0.4モル)を水300gに溶解した水溶液に加えて
加熱還流した。ジヒドロキシジフェニルスルホンが完全
に溶解したのち、溶液に硫酸10g(0.1モル)を加
えて50℃まで冷却し、析出する4,4'−ジヒドロキシ
ジフェニルスルホンをろ過により除去した。ろ液を室温
まで冷却したのち、ろ液にさらにpHが5.0になるまで
硫酸を加え、析出する結晶20gを得た。得られた結晶
は、2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンを51重
量%含有していた。この結晶を30重量%メタノール水
溶液80gに溶解し再結晶を行い、析出する結晶13g
を得た。再結晶により得られた結晶は、2,4'−ジヒド
ロキシジフェニルスルホンを52重量%含有していた。 比較例2 反応例2で得たジヒドロキシジフェニルスルホン粗製品
200g(0.8モル)を、水酸化ナトリウム32g
(0.8モル)を水600gに溶解した水溶液に加えて
加熱還流した。ジヒドロキシジフェニルスルホンが完全
に溶解したのち、溶液に硫酸ナトリウム30gを加え5
0℃まで冷却し、析出する4,4'−ジヒドロキシジフェ
ニルスルホンのモノナトリウム塩をろ過により除去し
た。ろ液を室温まで冷却したのち、ろ液にpHが7.5に
なるまで硫酸を加え、析出する結晶24gを得た。得ら
れた結晶は、2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン
のモノナトリウム塩を49重量%含有していた。この結
晶を30重量%メタノール水溶液100gに溶解し、pH
が5.0になるまで硫酸を加えて、析出する結晶13g
を得た。得られた結晶は、2,4'−ジヒドロキシジフェ
ニルスルホンを50重量%含有していた。 反応例3(ジヒドロキシジフェニルスルホン粗製品の製
造) 反応器にフェノール564g及び硫酸300gを仕込
み、720〜120mmHgの減圧下140〜150℃で5
時間脱水反応を行った。フェノール水が145g留出し
たところでフェノール80gを加え、720〜80mmHg
に減圧下さらに4時間脱水反応を行った。最終的に留出
液が220gに達したところで反応を終了し、2,4'−
ジヒドロキシジフェニルスルホン10重量%、4,4'−
ジヒドロキシジフェニルスルホン88重量%、その他の
不純物2重量%よりなるジヒドロキシジフェニルスルホ
ン粗製品651gを得た。収率は85%であった。 比較例3 反応例3で得たジヒドロキシジフェニルスルホン粗製品
200g(0.8モル)を、水酸化ナトリウム64g
(1.6モル)を水300gに溶解した水溶液に加えて
加熱還流した。ジヒドロキシジフェニルスルホンが完全
に溶解したのち、溶液に硫酸34g(0.35モル)を
加えて50℃まで冷却し、析出する4,4'−ジヒドロキ
シジフェニルスルホンのモノナトリウム塩をろ過により
除去した。ろ液を室温まで冷却したのち、ろ液にpHが
5.0になるまで硫酸を加え、析出する結晶28gを得
た。得られた結晶は、2,4'−ジヒドロキシジフェニル
スルホンを60重量%含有していた。この結晶を、30
重量%メタノール水溶液84gに溶解し再結晶を行い、
析出する結晶14gを得た。再結晶により得られた結晶
は、2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンを79重
量%含有していた。
キシジフェニルスルホンと4,4'−ジヒドロキシジフェ
ニルスルホンの混合物より、高純度の2,4'−ジヒドロ
キシジフェニルスルホンを容易に、かつ高収率で得るこ
とができる。
Claims (8)
- 【請求項1】2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン
を15重量%以上含有する2,4'−ジヒドロキシジフェ
ニルスルホンと4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホ
ンの混合物に、水溶媒中で2,4'−ジヒドロキシジフェ
ニルスルホンの1.6〜2.2モル倍と4,4'−ジヒドロ
キシジフェニルスルホンの0.8〜1.2モル倍の合計量
のアルカリ金属の水酸化物を添加し、2,4'−ジヒドロ
キシジフェニルスルホンをジアルカリ金属塩として水溶
媒中に溶存せしめ、4,4'−ジヒドロキシジフェニルス
ルホンをモノアルカリ金属塩として析出せしめることに
より、2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンと4,
4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンを分離すること
を特徴とする高純度2,4'−ジヒドロキシジフェニルス
ルホンの製造方法。 - 【請求項2】2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン
を15重量%以上含有する2,4'−ジヒドロキシジフェ
ニルスルホンと4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホ
ンの混合物に、水溶媒中で2,4'−ジヒドロキシジフェ
ニルスルホンの1.6〜2.2モル倍と4,4'−ジヒドロ
キシジフェニルスルホンの1.6〜2.4モル倍の合計量
のアルカリ金属の水酸化物を添加したのち、酸を加えて
4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンの0.8〜1.
2モル倍のアルカリ金属の水酸化物に相当するアルカリ
を中和し、2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンを
ジアルカリ金属塩として水溶媒中に溶存せしめ、4,4'
−ジヒドロキシジフェニルスルホンをモノアルカリ金属
塩として析出せしめることにより、2,4'−ジヒドロキ
シジフェニルスルホンと4,4'−ジヒドロキシジフェニ
ルスルホンを分離することを特徴とする高純度2,4'−
ジヒドロキシジフェニルスルホンの製造方法。 - 【請求項3】2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン
を15重量%以上含有する2,4'−ジヒドロキシジフェ
ニルスルホンと4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホ
ンの混合物に、水溶媒中で2,4'−ジヒドロキシジフェ
ニルスルホンの0.8〜1.1モル倍と4,4'−ジヒドロ
キシジフェニルスルホンの0.4〜0.6モル倍の合計量
のアルカリ金属の炭酸塩を添加し、2,4'−ジヒドロキ
シジフェニルスルホンをジアルカリ金属塩として水溶媒
中に溶存せしめ、4,4'−ジヒドロキシジフェニルスル
ホンをモノアルカリ金属塩として析出せしめることによ
り、2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンと4,4'
−ジヒドロキシジフェニルスルホンを分離することを特
徴とする高純度2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホ
ンの製造方法。 - 【請求項4】2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン
を15重量%以上含有する2,4'−ジヒドロキシジフェ
ニルスルホンと4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホ
ンの混合物に、水溶媒中で2,4'−ジヒドロキシジフェ
ニルスルホンの0.8〜1.1モル倍と4,4'−ジヒドロ
キシジフェニルスルホンの0.8〜1.2モル倍の合計量
のアルカリ金属の炭酸塩を添加したのち、酸を加えて
4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンの0.4〜0.
6モル倍のアルカリ金属の炭酸塩に相当するアルカリを
中和し、2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンをジ
アルカリ金属塩として水溶媒中に溶存せしめ、4,4'−
ジヒドロキシジフェニルスルホンをモノアルカリ金属塩
として析出せしめることにより、2,4'−ジヒドロキシ
ジフェニルスルホンと4,4'−ジヒドロキシジフェニル
スルホンを分離することを特徴とする高純度2,4'−ジ
ヒドロキシジフェニルスルホンの製造方法。 - 【請求項5】析出した4,4'−ジヒドロキシジフェニル
スルホンのモノアルカリ金属塩を、20〜70℃におい
てろ別により分離除去する請求項1〜4のいずれかに記
載の高純度2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンの
製造方法。 - 【請求項6】4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン
のモノアルカリ金属塩をろ別したろ液に、酸を加えてpH
4〜6に調整することにより、2,4'−ジヒドロキシジ
フェニルスルホンを析出せしめる請求項5記載の高純度
2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンの製造方法。 - 【請求項7】4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン
のモノアルカリ金属塩をろ別したろ液を、pH6〜10.
5に調整することにより2,4'−ジヒドロキシジフェニ
ルスルホンのモノアルカリ金属塩を析出せしめ、2,4'
−ジヒドロキシジフェニルスルホンのモノアルカリ金属
塩を単離したのち水系溶媒に再溶解し、得られた水系溶
液に酸を加えてpH4〜6に調整することにより2,4'−
ジヒドロキシジフェニルスルホンを析出せしめる請求項
5記載の高純度2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホ
ンの製造方法。 - 【請求項8】4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン
のモノアルカリ金属塩をろ別したろ液に炭素数1〜3の
脂肪族アルコールを加え、溶媒組成を水60〜90重量
%及び脂肪族アルコール40〜10重量%としたのち、
酸を加えてpH4〜6に調整することにより、2,4'−ジ
ヒドロキシジフェニルスルホンを析出せしめる請求項5
記載の高純度2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン
の製造方法。
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